(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光学シートにおける前記複数の小型光源と対向する表面部分及び/又は当該表面部分の反対側に位置する前記表示画面側の表面部分に、前記複数の小型光源からの光を遮蔽及び/又は反射する印刷部が形成される、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学シート。
表示画面の背面側に複数の小型光源が分散して設けられた液晶表示装置において前記複数の小型光源とプリズムシートとの間に組み込まれる光学シートの評価方法であって、
前記光学シートの少なくとも一方の表面は、凹凸形状を持ち、
前記光学シートにおける前記凹凸形状を持った表面の少なくとも0.5mm四方以上の対象範囲を測定し、得られた画像の各ピクセルの高さデータを求め、複数のピクセルを含む100μm2以下の微小領域における当該ピクセルの高さデータから近似平面を算出し、前記凹凸形状を仮想的に取り除いた場合に現れる平坦な表面(高さ0の表面)と前記近似平面とのなす傾斜角度を求める計算を、ピクセルの少なくとも1つを単位として前記微小領域を前記平坦な表面に沿って二次元的に且つ等間隔にずらしながら繰り返し行った場合に、前記計算を行った前記微小領域の総面積に対する、前記傾斜角度が30°以上となる前記微小領域の総面積の比率を算出する、
光学シートの評価方法。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態に係る光学シート、バックライトユニット、液晶表示装置及び情報機器について、図面を参照しながら説明する。尚、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0029】
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置の断面図の一例であり、
図2は、本実施形態に係るバックライトユニットの断面図の一例であり、
図3は、本実施形態に係る光学シートの断面図の一例である。
【0030】
図1に示すように、液晶表示装置50は、液晶表示パネル5と、液晶表示パネル5の下面に貼付された第1偏光板6と、液晶表示パネル5の上面に貼付された第2偏光板7と、液晶表示パネル5の背面側に第1偏光板6を介して設けられたバックライトユニット40とを備えている。液晶表示パネル5は、互いに対向するように設けられたTFT基板1及びCF基板2と、TFT基板1とCF基板2との間に設けられた液晶層3と、TFT基板1とCF基板2との間に液晶層3を封入するために枠状に設けられたシール材(図示省略)とを備える。
【0031】
液晶表示装置50の表示画面50aを正面(
図1の上方)から見た形状は、原則、長方形又は正方形であるが、これに限らず、長方形の角が丸くなった形状、楕円形、円、台形、又は、自動車のインストルメントパネル(インパネ)等の任意の形状であってもよい。
【0032】
液晶表示装置50においては、各画素電極に対応する各サブ画素において、液晶層3に所定の大きさの電圧を印加して液晶層3の配向状態を変えると共にバックライトユニット40から第1偏光板6を介して入射した光をその透過率を調整して第2偏光板7を介して出射することにより、画像が表示される。
【0033】
本実施形態の液晶表示装置50は、種々の情報機器(例えばカーナビゲーション等の車載装置、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末、携帯型ゲーム機、コピー機、券売機、現金自動預け払い機など)に組み込まれる表示装置として用いられる。
【0034】
TFT基板1は、例えば、ガラス基板上にマトリクス状に設けられた複数のTFTと、各TFTを覆うように設けられた層間絶縁膜と、層間絶縁膜上にマトリクス状に設けられ且つ複数のTFTにそれぞれ接続された複数の画素電極と、各画素電極を覆うように設けられた配向膜とを備える。CF基板2は、例えば、ガラス基板上に格子状に設けられたブラックマトリクスと、ブラックマトリクスの各格子間にそれぞれ設けられた赤色層、緑色層及び青色層を含むカラーフィルターと、ブラックマトリクス及びカラーフィルターを覆うように設けられた共通電極と、共通電極を覆うように設けられた配向膜とを備える。液晶層3は、電気光学特性を有する液晶分子を含むネマチック液晶材料等により構成される。第1偏光板6及び第2偏光板7は、例えば、一方向の偏光軸を有する偏光子層と、その偏光子層を挟持するように設けられた一対の保護層とを備える。
【0035】
バックライトユニット40は、
図2に示すように、反射シート41と、反射シート41上に2次元状に配置された複数の小型光源42と、複数の小型光源42の上側に設けられた光学シート43と、光学シート43の上側に順に設けられた第1プリズムシート44及び第2プリズムシート45と、第2プリズムシート45の上側に設けられた偏光シート46とを備える。
【0036】
反射シート41は、例えば、白色のポリエチレンテレフタレート樹脂製のフィルム、銀蒸着フィルム等により構成される。
【0037】
小型光源42の種類は特に限定されないが、例えばLED素子やレーザー素子等であってもよく、コスト、生産性等の観点からLED素子を用いてもよい。小型光源42は、平面視した場合に長方形状を有していてもよく、その場合、一辺の長さは10μm以上(好ましくは50μm以上)20mm以下(好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下)であってもよい。小型光源42としてLEDを用いる場合、複数の数mm角のLEDチップを一定の間隔をもって反射シート41上に配置してもよい。また、小型光源42となるLEDの出光角度特性を調節するために、LEDにレンズを装着してもよい。
【0038】
光学シート43は、
図3に示すように、拡散層21と、拡散層21上に形成された凹凸形状層22とを有する。拡散層21は、例えばポリカーボネートを母材として構成され、母材100質量%に対して、例えば0.5〜4質量%程度の拡散剤21aを含有する。拡散剤21aとしては公知の材料を適宜用いることができる。凹凸形状層22は、例えばクリアポリカーボネートから構成され、凹凸形状層22の表面には、例えば逆ピラミッド形状の凹部22aが2次元配列されている。凹部22aの頂角θは、例えば90°であり、凹部22aの配列ピッチpは、例えば100μm程度である。光学シート43は、拡散剤を含有し、表面に凹凸形状を持つ1層構造で構成してもよい。このように、光学シート43は、
図3の形態に限られない。例えば、光学シートを、凹凸形状を設けた一層構造としてもよいし、凹凸形状を備えた層を含む3層以上の構造としてもよい。また、凹凸形状層は、上述のとおり逆ピラミッド形状の凹部を二次元配列するものに限られず、ランダムに凹凸を配置するようにしてもよい。
【0039】
第1プリズムシート44及び第2プリズムシート45は、例えば、横断面が二等辺三角形の複数の溝条が互いに隣り合うように形成され、隣り合う一対の溝条からなるプリズムの頂角が90°程度に形成されたフィルムである。ここで、第1プリズムシート44に形成された各溝条と、第2プリズムシート45に形成された各溝条とは、互いに直交するように配置される。第1プリズムシート44及び第2プリズムシート45は、一体に形成されていてもよい。第1プリズムシート44及び第2プリズムシート45としては、例えば、PET(polyethylene terephthalate)フィルムにUV硬化型アクリル系樹脂を用いてプリズム形状をつけたものを用いてもよい。
【0040】
偏光シート46としては、例えば、3M社製のDBEFシリーズを用いてもよい。偏光シート46は、バックライトユニット40から出射された光が液晶表示装置50の第1偏光板6に吸収されることを防止することによって、表示画面50aの輝度を向上させる。
【0041】
本実施形態の特徴の1つとして、光学シート43の少なくとも一方の表面は、凹凸形状を持ち、光学シート43の仮想平面に対して所定の投影面積を持つ微小領域を、当該仮想平面に沿って二次元的に且つ等間隔にずらしながら、当該仮想平面の各位置での微小領域に含まれる凹凸形状を持った表面を平面近似し、当該平面近似した平面が光学シート43の仮想平面となす傾斜角度を求めた場合に、各位置の微小領域の総面積に対する、傾斜角度が30°以上となる微小領域の総面積の比率が30%以上となる。
【0042】
ここで、光学シート43の仮想平面とは、光学シート43において凹凸を取り除いて残る平坦な表面を意味する。より具体的には、「仮想平面」とは、凹凸の凹部の最深部に接するように水平に設けた仮想面をいう。もっとも、ここでの「水平」は、光学シート43の水平面と平行に、という意味であって、厳密な意味での水平という意味までをいうものではない。例えば,光学シート43の凹凸が設けられている面とは反対側の面が平面又は平面に近い形状である場合は、この面と平行になるように前記仮想面を設ければよい。
【0043】
図4Aは、光学シート43(具体的には凹凸形状層22)の仮想平面(P)に沿って、所定の投影面積を持つ微小領域をずらしながら、各位置の微小領域(例えばR
1 、R
2 、R
3 、・・・)に含まれる凹凸形状を持った表面(例えばS
1 、S
2 、S
3 、・・・
)を平面近似し、当該平面近似した平面(例えばV
1 、V
2 、V
3 、・・・
)の傾斜角度(例えばθ
1 、θ
2 、θ
3 、・・・)を求めている様子を示す。尚、
図4Aでは、簡単のために、凹凸の各斜面に合わせて微小領域をずらしているが、実際には、
図4Bに示すように、凹凸の状態とは関係無く微小領域を二次元的に且つ等間隔にずらしていく。このとき、ずらした後の微小領域が、ずらす前の微小領域とオーバーラップしてもよい。
【0044】
以上に説明した本実施形態によると、光学シート43の仮想平面に対して所定の投影面積を持つ微小領域を当該仮想平面に沿ってずらしながら、各位置の微小領域に含まれる凹凸形状を持った表面を平面近似し、当該平面近似した平面の傾斜角度を求めた場合に、各位置の微小領域の総面積に対する、傾斜角度が30°以上となる微小領域の総面積の比率が30%以上となるように、凹凸形状が制御されている。このため、
図5に示すように、小型光源42から光学シート43に入射した光の反射、具体的には、光学シート43内での多重反射や、小型光源42が載置された反射シート41と光学シート43との間での多重反射等が促進される。その結果、LED等の小型光源42が複数配置された直下型のバックライトユニット40において小型光源42と光学シート43との間の距離が小さくなったとしても、発光面における各小型光源42と光源間領域との間に輝度ムラが生じることを十分に抑制することができる。
【0045】
尚、本実施形態において、小型光源42の配置数は特に限定されないが、複数の小型光源42を分散配置する場合は、反射シート41上に規則的に配置することが好ましい。規則的に配置するとは、一定の法則性をもって配置することを意味し、例えば、小型光源42を等間隔で配置する場合が該当する。等間隔で小型光源42が配置される場合、隣り合う2つの小型光源42の中心間距離は、0.5mm以上(好ましくは2mm以上)20mm以下であってもよい。隣り合う2つの小型光源42の中心間距離が0.5mm以上であると、隣り合う小型光源42同士の間の領域において他の領域よりも輝度が小さくなる現象(輝度ムラ)が発生しやすくなるので、本実施形態を適用する有用性が大きくなる。
【0046】
図6は、複数のLED光源を上方から見た様子を示し、
図7は、複数のLED光源を、本実施形態の光学シート43を介在させて上方から見た様子を示し、
図8は、複数のLED光源を、従来の光学シート(傾斜角度が30°以上の面積の比率が30%未満)を介在させて上方から見た様子を示す。
【0047】
図7に示すように、本実施形態の光学シート43によって、各光源と光源間領域との間の輝度ムラが抑制されているのに対して、
図8に示すように、従来の光学シートでは、各光源と光源間領域との間に輝度ムラが生じている。
【0048】
ところで、光学シート43の表面に形成される凹凸形状は、工業生産上の加工精度の制約があるために、均一な形状にはならず、ある程度のバラツキを有していてもよい(
図4A参照)。この場合、凹凸形状が設けられた光学シート43の表面における各微小領域の表面(近似平面)の傾斜角度は0〜90度までの範囲でばらつくことになるが、本実施形態は、これらのバラツキを集計した場合に、その3割以上が30度以上の傾斜角度を有するように、凹凸形状を制御するものである。特に、プラスチックフィルムを用いて光学シート43を形成する場合、光学シート43の表面に形成される凹部又は凸部の形状を均一にすることは困難となるので、各微小領域の表面の傾斜角度がバラツキを有することを前提とする本実施形態を適用する利点は大きい。
【0049】
また、本実施形態においては、光学シート43の上面(第1プリズムシート44側の表面)に凹凸形状(凹部22a)を設けたが、凹凸形状は光学シート43の少なくとも一方の表面に設けられていればよい。すなわち、光学シート43の下面(小型光源42側の表面)又は両面(上面及び下面)に凹凸形状を設けてもよい。
【0050】
また、光学シート43の表面に設けられる凹凸形状は、後記の方法等によって微小領域の表面の傾斜角度が測定できる形状であれば、特に制限されず、例えば、ピッチ、配列、形状等がランダムなマット形状、又は、複数の凸部や凹部が規則的に2次元配列された形状であってもよい。
【0051】
また、光学シート43の表面に設けられる凹凸形状は、多角錘又は多角錐に近似可能な形状を含んでいてもよい。ここで、「多角錐」としては、光学シート43の表面に隙間なく配置することが可能な三角錐、四角錘又は六角錐が好ましい。多角錘又は多角錐に近似可能な形状を光学シート43の表面に隙間なく配置することによって、光学シート43の仮想平面における傾斜角度が0°である部分の面積を低減することができる。また、光学シート43の表面に凹凸形状を設ける際の押し出し成形や射出成型などの製造工程では金型(金属ロール)が用いられるが、この金型(金属ロール)表面の切削作業の精度を考慮して、「多角錐」として四角錘を選択してもよい。
【0052】
凸部の形状としては、例えば、半球(上半分)、円錐、三角錐、四角錐、六角錐等を挙げることができ、凹部の形状としては、例えば、半球(下半分)、逆円錐、逆三角錐、逆四角錐、逆六角錐等を挙げることができる。
【0053】
また、凸部の形状としては、例えば、略半球(上半分)、略円錐、略三角錐、略四角錐、略六角錐等を挙げることができ、凹部の形状としては、例えば、略半球(下半分)、略逆円錐、略逆三角錐、略逆四角錐、略逆六角錐等を挙げることができる。ここで、「略」とは、近似可能であることを意味し、例えば「略四角錐」とは、四角錐に近似可能な形状な形状をいう。もっとも、凸部や凹部は、工業生産上の精度を考慮し、略半球(上半分又は下半分)、略円錐(略逆円錐)、略三角錐(略逆三角錐)、略四角錐(略逆四角錐)から変形した形でもよく、工業生産上の加工精度に起因する不可避的な形状のばらつきがあってもよい。
【0054】
光学シート43の表面に複数の凸部や凹部が規則的に2次元配列される場合、複数の凸部や凹部は、光学シート43の表面全体に隙間無く設けられていてもよいが、一定の間隔(ピッチ)で設けられていてもよいし、ランダムな間隔で設けられていてもよい。
【0055】
また、本実施形態において、光学シート43における凹凸形状を持った表面の傾斜角度を微小領域毎に求めることができれば、当該傾斜角度の算出方法は、特に制限されるものではないが、例えば、以下のような算出方法を用いてもよい。
【0056】
(手順1)キーエンス社製・レーザーマイクロスコープVK-100を使用して、光学シート43の表面形状を400倍の倍率で測定し、自動傾き補正を行って、縦768ピクセル×横1024ピクセル(522.6μm×697μm)の高さデータをCSVファイルとして採取する。高さ測定は、例えば、次のように行うことができる。まず、段階的にピント位置を変えて、測定対象の複数の共焦点画像を取得した後、離散的なピント位置(Z)と光検出強度(I)との関係に基づいて、画素毎に光強度変化曲線(I−Zカーブ)を推定し、I−Zカーブからピーク位置つまり高さを求める。
【0057】
(手順2)手順1で採取した高さデータ(digit)をZキャリブレーション値を使用して高さデータ(μm)に変換する。
【0058】
(手順3)手順2により得られた高さデータを使用し、縦4ピクセル×横4ピクセルの微小領域(面積(光学シート43の仮想平面に対する投影面積)は7.29μm
2 )のデータに基づいて公知の数学的手法により当該微小領域に含まれるシート表面を近似する平面を算出する。
【0059】
(手順4)手順3で算出された近似平面が光学シート43の仮想平面(つまり高さ0の平面)となす角度を算出し、当該微小領域の傾斜角度とする。
【0060】
(手順5)縦方向又は横方向に1ピクセルずつ微小領域をずらしながら、手順3及び手順4を50万箇所以上(具体的には779280箇所)の微小領域に対して実施する。
【0061】
(手順6)手順5で測定した50万箇所以上の微小領域の総面積に対する、傾斜角度が30°以上となる微小領域の総面積の割合(以下、単に「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」という)を算出する。
【0062】
尚、「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」の算出は、前述の手順1のように、加工バラツキ等を考慮して0.5mm四方以上の対象範囲(手順1では522.6μm×697μmの範囲)の高さデータから求めることが好ましい。もちろん、データ精度を向上させるために、0.5mm四方以上の対象範囲を複数設定したり、或いは、シート全面を対象範囲として、高さデータを取得してもいことは言うまでもない。この対象範囲の拡大に伴い、傾斜角度の算出を行う「微小領域」の数も増大する。「微小領域」の数について、測定やデータ処理等のリソース上支障が無ければ、特に上限はない。例えば、0.5mm四方以上の対象範囲を2つ設定した場合は、「微小領域」の数も2倍になる。また、同一サイズの対象範囲であっても、当該範囲に含まれるピクセル数が増えれば、「微小領域」の数も増大する。すなわち、対象範囲の広さ、対象範囲に含まれるピクセル数、後述する微小領域の面積等によって、傾斜角度の算出を行う「微小領域」の数は決まる。但し、加工バラツキ等を考慮して0.5mm四方以上を対象範囲とする場合、凹凸形状を精度良く把握するためには、少なくとも10万箇所以上(好ましくは30万箇所以上、より好ましくは50万箇所以上)の微小領域について傾斜角度の算出を行ってもよい。
【0063】
また、前述の傾斜角度の算出方法においては、縦4ピクセル×横4ピクセルの微小領域を縦方向又は横方向に1ピクセルずつずらしながら、傾斜角度の算出を行ったが、これに代えて、同サイズの微小領域を縦方向又は横方向に2ピクセルずつずらしながら、傾斜角度の算出を行ってもよい。或いは、より大きなサイズ(例えば縦8ピクセル×横8ピクセル)の微小領域を縦方向又は横方向に4ピクセルずつずらしながら、傾斜角度の算出を行ってもよい。すなわち、微小領域のピクセルサイズ、微小領域をずらすピクセルピッチは、凹凸形状を精度良く把握できる限りにおいて、任意に設定可能である。
【0064】
また、傾斜角度の測定における微小領域の面積(光学シートの仮想平面に対する投影面積)は、小型光源からの光の反射特性をミクロで評価できる十分小さい面積であれば、特に制限されるものではないが、測定精度や測定機器の性能等を考慮し、0.1mm
2 以下(好ましくは0.01mm
2 以下、より好ましくは0.001mm
2 以下、さらに好ましくは0.0001mm
2 (100μm
2 )以下)の面積(手順3では7.29μm
2 の面積)としてもよい。
【0065】
また、本実施形態においては、光学シート43が、拡散剤21aを含む拡散層21を有することによって、光学シート43内での光拡散が促進されるので、各小型光源42と光源間領域との間の輝度ムラをより一層抑制することができる。
【0066】
拡散層21に含有される拡散剤21aの材料は、特に限定されないが、無機粒子として、例えば、シリカ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム等、有機粒子として、例えば、アクリル、アクリルニトリル、シリコーン、ポリスチレン、ポリアミド等を用いてもよい。
【0067】
拡散剤21aの粒径としては、光拡散効果の観点で、例えば、0.1μm以上(好ましくは1μm以上)10μm以下(好ましくは8μm以下)としてもよい。
【0068】
拡散剤21aの含有量としては、光拡散効果の観点で、拡散層21を構成する材料(マトリックス)を100質量%として、例えば、0.1質量%以上(好ましくは0.3質量%以上)10質量%以下(好ましくは8質量%以下)としてもよい。
【0069】
拡散剤21aの屈折率と拡散層21のマトリックスの屈折率との差は、0.01以上、好ましくは0.03以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上、最も好ましくは0.15以上としてもよい。拡散剤21aの屈折率と拡散層21のマトリックスの屈折率との差が0.01未満であると、拡散剤21aによる拡散効果が不十分になる。
【0070】
拡散層21のマトリックスとなる樹脂は、光を透過させる材料であれば、特に限定されないが、例えば、アクリル、ポリスチレン、ポリカーボネート、MS(メチルメタクリレート・スチレン共重合)樹脂、ポエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、セルロールアセテート、ポリイミド等を用いてもよい。
【0071】
本実施形態の光学シート43の厚さは、特に限定されないが、例えば、3mm以下(好ましくは2mm以下、より好ましくは1.5mm以下、更に好ましくは1mm以下)で0.1mm以上であってもよい。光学シート43の厚さが3mmを超えると、液晶ディスプレイの薄型化の達成が難しくなる。一方、光学シート43の厚さが0.1mmを下回ると、前述の輝度均一性向上効果を発揮することが難しくなる。
【0072】
本実施形態の光学シート43のように多層構造(下層の拡散層21及び上層の凹凸形状層22)を持つ場合は、表面に凹凸形状が設けられる層(凹凸形状層22)の厚さは、凹凸形状の最大高さ又は最大深さよりも大きい厚さを持つ。例えば高さ(又は深さ)20μmの凸部(又は凹部)が設けられる層の場合は、厚さを20μmよりも大きくする。
【0073】
尚、本明細書において、「光学シート」とは、拡散、集光、屈折、反射などの光学的諸機能を有するシートを意味する。本実施形態の光学シート43は、前述のように、拡散層21上に、本発明の凹凸形状が設けられた表面を持つ凹凸形状層22を備えたものであるが、これに代えて、光学シート43を、拡散剤を含有し、表面に凹凸形状を持つ1層構造で構成してもよい。或いは、光学シート43を、拡散層21及び凹凸形状層22を含む3層以上の構造で構成してもよい。或いは、拡散層21と凹凸形状層22とをそれぞれ独立した光学シートとして構成し、両者を積層してもよいし、別個に配置してもよい。後者の場合、凹凸形状層22を小型光源42側に配置してもよい。或いは、光学シート43を拡散層21のみで構成し、第1プリズムシート44の下面に本発明の凹凸形状を設けてもよい。すなわち、バックライトユニット40を構成する光学シートのいずれかの表面に本発明の凹凸形状が設けられていてもよい。但し、反射特性の改善のためには、小型光源42の直近(直上)に配置される拡散シートの表面に本発明の凹凸形状を設けることが効果的である。
【0074】
光学シート43の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、押し出し成型法、射出成型法などを用いてもよい。押し出し成型法を用いて、凹凸形状を表面に持つ単層の拡散シートを製造する手順は次の通りである。まず、拡散剤が添加されたペレット状のプラスチック粒子(併せて、拡散剤が添加されていないペレット状のプラスチック粒子を混合してもよい)を単軸押し出し機に投入し、加熱しながら溶融、混錬した後、T−ダイスにより押し出された溶融樹脂を2本の金属ロールで挟んで冷却し、その後、ガイドロールを用いて搬送し、シートカッター機により枚葉平板に切り落とすことによって、拡散シートを作製する。ここで、所望の凹凸形状を反転した形状を表面に持つ金属ロールを使用して溶融樹脂を挟むことにより、ロール表面の反転形状が樹脂に転写されるので、所望の凹凸形状を拡散シート表面に賦形することができる。また、樹脂に転写された形状は、必ずしもロール表面の形状が100%転写されたものとはならないので、転写度合いから逆算して、ロール表面の形状を設計してもよい。
【0075】
押し出し成型法を用いて、凹凸形状を表面に持つ2層構造の拡散シートを製造する場合は、例えば、2つの単軸押し出し機のそれぞれに、各層の形成に必要なペレット状のプラスチック粒子を投入した後、各層毎に前述と同様の手順を実施し、作製された各シートを積層すればよい。
【0076】
或いは、2つの単軸押し出し機のそれぞれに、各層の形成に必要なペレット状のプラスチック粒子を投入し、加熱しながら溶融、混錬した後、各層となる溶融樹脂を1つのT−ダイスに投入し、当該T−ダイス内で積層し、当該T−ダイスにより押し出された積層溶融樹脂を2本の金属ロールで挟んで冷却し、その後、ガイドロールを用いて搬送し、シートカッター機により枚葉平板に切り落とすことによって、凹凸形状を表面に持つ2層構造の拡散シートを作製してもよい。
【0077】
また、本実施形態においては、バックライトユニット40として、液晶表示装置50の表示画面50aの背面側に複数の小型光源42を分散配置させた直下型のバックライトユニットを用いている。このため、液晶表示装置50を小型化するためには、小型光源42と光学シート43との距離を小さくする必要がある。しかしながら、この距離を小さくすると、分散配置された小型光源42同士の間の領域上に位置する部分の表示画面50aの輝度が他の部分よりも小さくなる現象(輝度ムラ)が生じやすくなる。
【0078】
それに対して、前述のように、本発明の凹凸形状を表面に持つ光学シートを用いることは、輝度ムラの抑制に有用である。特に、今後の中小型液晶ディスプレイの薄型化をにらみ、小型光源と光学シートとの距離を15mm以下、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、さらに好ましくは2mm以下、究極的には0mmとした場合に、本発明の有用性はより一層顕著になると考えられる。
【0079】
(実施例及び比較例)
以下、実施例及び比較例に係る光学シートについて、図面を参照しながら説明する。
【0080】
尚、各例の光学シートにおける凹凸形状を持った表面の傾斜角度の算出、及び、各例の光学シートにおける「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」の算出には、前述の手順1〜6の方法を用いた。
【0081】
また、各例における輝度均一性の評価は、光源として用いるLEDの出光特性やLEDの配置などの影響を考慮し、普遍的な評価とするために、次のような手順で行う。まず、LEDを1つ点灯させた上で、当該LEDから一定の距離をあけて、評価対象の光学シートを配置し、その上にプリズムシートを2枚、互いの稜線が直交するように積層配置し、その上に偏光シート(例えば3M社製のDBEFシリーズ)を配置した状態において当該偏光シートの上側からLED像の2次元平面輝度を測定し、LED中心からの距離による輝度変化を求める。
図9は、前述の2次元輝度測定にHI−LAND社製・RISACOLORを使用して得られたLED像の2次元輝度分布を示す。次に、LED中心点を通る直線(
図9ではx軸方向に延びる白い線)に沿って、輝度変化曲線を抽出し、
図10に示すように、横軸にLED中心からの距離、縦軸に最大輝度を1とする相対輝度をとったグラフで表し、相対輝度が0.5となるときの横軸方向のグラフ幅をFWHM(Full Width at Half Maximum)とし、相対輝度が0.1となるときの横軸方向のグラフ幅をFW0.1Mとして求める。FWHMが大きいほど、光の広がりが大きく、輝度均一性が向上しているので、FWHMを用いて、各例における輝度均一性の評価を行う。
【0082】
また、各例の光学シートのベース樹脂(マトリックス)としては、ポリカーボネート(屈折率1.59)、ベース樹脂に添加する拡散剤としては、シリコーン(屈折率1.43)を用いた。すなわち、各例の光学シートにおいてベース樹脂と拡散剤との間の屈折率差は0.16である。
【0083】
(比較例1)
比較例1の光学シートの作製方法は次の通りである。まず、ベース樹脂100質量%に対して拡散剤を5質量%含んだ樹脂を押出成形によって製膜した後、2本の金属ロールのうち片方のロールとして、表面にランダムなマット形状(Ra(算術平均粗さ):4.5μm)を持ったロールを使用し、当該ロールを線圧30kg/cmで樹脂膜に圧着して当該ロールの表面形状を転写し、表面に凹凸形状を持つ単層の光学シート(厚み:1mm)を作製した。
【0084】
このように作製された比較例1の光学シートの表面形状を
図11に示す。また、比較例1の光学シートの「Ra」、「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」、「FWHM」のそれぞれの値を
図18に示す。
図18に示すように、比較例1においては、「Ra」は3.632μm、「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」は25%、「FWHM」は10.97434mmである。
【0085】
(実施例1)
実施例1の光学シートの作製方法は次の通りである。まず、ベース樹脂100質量%に対して拡散剤を5質量%含んだ樹脂を押出成形によって製膜した後、2本の金属ロールのうち片方のロールとして、表面にランダムなマット形状(Ra:14.0μm)を持ったロールを使用し、当該ロールを線圧30kg/cmで樹脂膜に圧着して当該ロールの表面形状を転写し、表面に凹凸形状を持つ単層の光学シート(厚み:1mm)を作製した。
【0086】
このように作製された実施例1の光学シートの表面形状を
図12に示す。また、実施例1の光学シートの「Ra」、「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」、「FWHM」のそれぞれの値を
図18に示す。
図18に示すように、実施例1においては、「Ra」は11.427μm、「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」は36%、「FWHM」は11.13328mmである。
【0087】
(比較例2)
比較例2の光学シートの作製方法は次の通りである。まず、ベース樹脂100質量%に対して拡散剤を5質量%含んだ樹脂を押出成形によって製膜した後、2本の金属ロールのうち片方のロールとして、表面にピラミッド形状を持ったロールを使用し、当該ロールを線圧5kg/cmで樹脂膜に圧着して当該ロールの表面形状を転写し、表面に凹ピラミッド形状を持つ単層の光学シート(厚み:1mm)を作製した。
【0088】
このように作製された比較例2の光学シートの表面形状を
図13に示す。また、比較例2の光学シートの「Ra」、「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」、「FWHM」のそれぞれの値を
図18に示す。
図18に示すように、比較例2においては、「Ra」は0.443μm、「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」は17%、「FWHM」は10.4808mmである。
【0089】
(実施例2)
実施例2の光学シートの作製方法は次の通りである。まず、ベース樹脂100質量%に対して拡散剤を5質量%含んだ樹脂を押出成形によって製膜した後、2本の金属ロールのうち片方のロールとして、表面にピラミッド形状を持ったロールを使用し、当該ロールを線圧10kg/cmで樹脂膜に圧着して当該ロールの表面形状を転写し、表面に凹ピラミッド形状を持つ単層の光学シート(厚み:1mm)を作製した。
【0090】
このように作製された実施例2の光学シートの表面形状を
図14に示す。また、実施例2の光学シートの「Ra」、「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」、「FWHM」のそれぞれの値を
図18に示す。
図18に示すように、実施例2においては、「Ra」は0.528μm、「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」は30%、「FWHM」は11.145mmである。
【0091】
(実施例3)
実施例3の光学シートの作製方法は次の通りである。まず、ベース樹脂100質量%に対して拡散剤を5質量%含んだ樹脂を押出成形によって製膜した後、2本の金属ロールのうち片方のロールとして、表面にピラミッド形状を持ったロールを使用し、当該ロールを線圧20kg/cmで樹脂膜に圧着して当該ロールの表面形状を転写し、表面に凹ピラミッド形状を持つ単層の光学シート(厚み:1mm)を作製した。
【0092】
このように作製された実施例3の光学シートの表面形状を
図15に示す。また、実施例3の光学シートの「Ra」、「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」、「FWHM」のそれぞれの値を
図18に示す。
図18に示すように、実施例3においては、「Ra」は1.070μm、「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」は52%、「FWHM」は11.201mmである。
【0093】
(実施例4)
実施例4の光学シートの作製方法は次の通りである。まず、ベース樹脂100質量%に対して拡散剤を5質量%含んだ樹脂を押出成形によって製膜した後、2本の金属ロールのうち片方のロールとして、表面にピラミッド形状を持ったロールを使用し、当該ロールを線圧35kg/cmで樹脂膜に圧着して当該ロールの表面形状を転写し、表面に凹ピラミッド形状を持つ単層の光学シート(厚み:1mm)を作製した。
【0094】
このように作製された実施例4の光学シートの表面形状を
図16に示す。また、実施例4の光学シートの「Ra」、「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」、「FWHM」のそれぞれの値を
図18に示す。
図18に示すように、実施例4においては、「Ra」は2.435μm、「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」は90%、「FWHM」は11.6638mmである。
【0095】
(実施例5)
実施例5の光学シートの形成方法は次の通りである。まず、第1の単軸押し出し機を用いてベース樹脂100質量%に対して拡散剤を5質量%含んだ溶融樹脂を形成すると共に、第2の単軸押し出し機を用いて拡散剤を含まない溶融樹脂を形成する。次に、両方の溶融樹脂を1つのT−ダイスに投入し、当該T−ダイス内で積層し、当該T−ダイスにより押し出された積層溶融樹脂に対し、2本の金属ロールのうち片方のロールとして、表面にピラミッド形状を持ったロールを使用し、当該ロールを線圧10kg/cmで、拡散剤を含まない溶融樹脂の側に圧着して当該ロールの表面形状を転写する。これにより、表面に凹ピラミッド形状を持つ二層構造(上層(表面に凹ピラミッド形状を持つ層)の厚みは0.1mm、下層(表面が平坦な層)の厚みは0.9mm)の光学シート(合計厚み:1mm)を作製した。
【0096】
このように作製された実施例5の光学シートの表面形状を
図17に示す。また、実施例5の光学シートの「Ra」、「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」、「FWHM」のそれぞれの値を
図18に示す。
図18に示すように、実施例5においては、「Ra」は0.553μm、「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」は32%、「FWHM」は11.6034mmである。
【0097】
図19は、実施例1〜5に係る光学シート及び比較例1、2に係る光学シートのそれぞれにおける「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」と「FWHM」との相関を示す。
【0098】
図19に示すように、輝度均一性を表すFWHMの値は、「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」が30%を下回ると、急激に低下する傾向が見られる。また、実施例1〜4の結果から、単層の光学シートの場合は「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」が大きくなるに従って、FWHMが大きくなる傾向が見られる。また、実施例5の結果から、反射特性の改善のために、凹凸形状が表面に設けられる層には、拡散剤を含有させない方が望ましいことが分かる。
【0099】
図20は、参考までに、実施例1〜5に係る光学シート及び比較例1、2に係る光学シートのそれぞれにおける「ラフネス(Ra)」と「FWHM」との関係を示す。
【0100】
図20に示すように、「ラフネス」と「FWHM」との間には相関関係は見られない。これは、凹凸形状が相似形であれば、基本的に「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」も反射特性も同じになるのに対して、ラフネス(表面粗さ)の値は、凹凸形状が相似形であっても、各形状のサイズによって変わるためである。従って、光学シートの反射特性ひいては輝度均一性の評価において「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」は適切な指標であると言える。
【0101】
(その他の実施形態)
図3に示す光学シート43は、拡散層21と、拡散層21上に形成された凹凸形状層22とを有していたが、これに代えて、
図21に示すように、光学シート43を凹凸形状層22のみから構成してもよい。ここで、光学シート43における凹部22aが形成されていない面は、鏡面であってもよいし、或いは、マット面であってもよい。尚、
図21において、
図3に示す光学シート43と同じ構成要素には同じ符号を付している。
【0102】
図21に示す光学シート43(凹凸形状層22)においては、マトリックス樹脂100質量部に対して、拡散剤を0質量部以上4質量部以下、より好ましくは、0質量部以上2質量部以下、特に好ましくは、0質量部以上1質量部以下含有させてもよい。
【0103】
マトリックス樹脂は、好ましくは芳香族ポリカーボネート樹脂であり、一例として、二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重合法又は溶融法で反応させて得られるものであってもよい。
【0104】
二価フェノールの代表的な例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられ、なかでもビスフェノールAが好ましい。これらの二価フェノールは、単独又は2種以上を混合して使用してもよい。
【0105】
カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カーボネートエステル又はハロホルメート等が挙げられ、具体的には、ホスゲン、ジフェニルカーボネート又は二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
【0106】
二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重合法又は溶融法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに際しては、分子量調整剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。さらに、ポリカーボネート樹脂には、必要に応じて、添加剤、例えば、多価アルコールと脂肪酸とのエステル若しくは部分エステル等の離型剤、亜リン酸エステル、リン酸エステル若しくはホスホン酸エステル等の熱安定剤、ベンゾトリアゾール系、アセトフェノン系若しくはサリチル酸エステル等の紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、増白剤、又は、難燃剤等を配合してもよい。また、ポリカーボネート樹脂は、三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であってもよいし、芳香族若しくは脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよいし、又は、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0107】
ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で10,000〜100,000が好ましく、15,000〜35,000がより好ましい。かかる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂は、十分な強度を持ち、また、成形時の溶融流動性も良好であって好ましい。ここで、「粘度平均分子量」は、塩化メチレン100mLにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を下式に代入して求めたものである。
【0108】
ηsp/C=[η]+0.45×[η]
2 C
但し、[η]は極限粘度で、[η]=1.23×10
-4M
0.83C=0.7である。
【0109】
拡散剤は、好ましくはシリコーン系拡散剤であり、例えば、シロキサン結合を有し且つ平均粒子径が0.8μm以上12μm以下の球状微粒子であってもよい。拡散剤の平均粒子径が0.8μm未満である場合、拡散剤の添加量を変動させても十分な光拡散性を得ることが難しくなる傾向にある。また、平均粒子径が12μmよりも大きい場合、拡散剤の添加量を変動させても、良好な光拡散性を得ることが難しくなる傾向にある。一般的に用いることのできるシリコーン系拡散微粒子としては、シリカ、シリコーンレジン、シリコーンゴム、球状のシリコーンゴムパウダーの表面をシリコーンレジンで被覆した球状粉末であるシリコーン複合パウダー、及び、それらの組み合わせ等が挙げられ、特にシリコーン複合パウダーが好ましい。
【0110】
(その他の実施例)
実施例6〜20の光学シートの作製方法は、次の通りである。まず、芳香族ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、拡散剤としてシリコーン複合パウダー(平均粒子径:2.0μm)を、
図22に示す組成になるように添加し、押出機で溶融混錬してT−ダイより押し出す。その後、2本の金属ロールのうち一方のロールとして、表面に高さ50μm、ピッチ100μm、頂角90°の正四角錘のピラミッド形状を持ったロールを使用し、他方のロールとして、実施例6〜18では、表面にランダムなマット形状(表面粗さRa=4μm)を持ったロールを、実施例19、20では、表面に鏡面形状(表面粗さRa=0.01μm)を持ったロールを使用し、T−ダイより押し出された溶融樹脂を当該2つのロールで挟んで形状転写しながら冷却する。これにより、1つの表面に深さ45μmの凹(逆)ピラミッド形状を持ち、残りの表面に、
図22に示す表面粗さRaのマット面又は鏡面を有し、
図22に示す厚みを持つ単層の光学シートを作成した。
【0111】
このように作製された実施例6〜20の光学シートのそれぞれの「表面形状(30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率を含む)と表面粗さ」、「FWHM」、「FW0.1M」、「波長400nm〜700nmの分光光線の透過率及び反射率の平均値」の各値を
図22に示す。ここで、「FWHM」、「FW0.1M」、「波長400nm〜700nmの分光光線の透過率及び反射率の平均値」は、光学シートのマット面又は鏡面側を入光側、逆ピラミッド面側を出光側として測定したものである。
【0112】
図22に示すように、実施例6〜20の光学シートによると、拡散剤含有量が減少するほど、「FWHM」、「FW0.1M」がより大きくなり、拡散性能が向上する。具体的には、マトリックス樹脂100質量部に対して、拡散剤を0質量部以上4質量部以下含有させることが好ましく、0質量部以上2質量部以下含有させることがより好ましく、0質量部以上1質量部以下含有させることが特に好ましい。
【0113】
実施例21の光学シートは、実施例6で作製した光学シートを3枚重ねたものであり、実施例22の光学シートは、実施例7で作製した光学シートを3枚重ねたものであり、実施例23の光学シートは、実施例8で作製した光学シートを3枚重ねたものであり、実施例24の光学シートは、実施例9で作製した光学シートを3枚重ねたものであり、実施例25の光学シートは、実施例11で作製した光学シートを3枚重ねたものであり、実施例26の光学シートは、実施例12で作製した光学シートを3枚重ねたものであり、実施例27の光学シートは、実施例13で作製した光学シートを3枚重ねたものであり、実施例28の光学シートは、実施例14で作製した光学シートを3枚重ねたものである。また、実施例29の光学シートは、実施例6で作製した光学シートと同じ組成で厚みが115μmのフィルムを4枚重ねたものであり、実施例30の光学シートは、実施例9で作製した光学シートと同じ組成で厚みが115μmのフィルムを4枚重ねたものであり、実施例31の光学シートは、実施例11で作製した光学シートと同じ組成で厚みが115μmのフィルムを4枚重ねたものであり、実施例32の光学シートは、実施例13で作製した光学シートと同じ組成で厚みが115μmのフィルムを4枚重ねたものである。
【0114】
図23は、実施例21〜32に係る光学シートのそれぞれの輝度均一性を評価する際のバックライトユニットの断面構成を示す図であり、
図24は、
図23に示すバックライトユニット40における光源の配置を示す図である。尚、
図23において、
図2に示すバックライトユニット40と同じ構成要素には同じ符号を付している。また、
図23において、簡単のため、光学シート43は、一層のみ図示している。
【0115】
「輝度の均一性」の測定は、
図23及び
図24に示すように、アレイ状に配列された小型光源42(LEDアレイ)の上方に凹ピラミッド形状の光学シート43を所定枚数配置し、その上に2枚のプリズムシート44及び45を配置した状態で行った。ここで、LEDアレイからプリズムシート最上面までの距離は2mmに統一した。LEDアレイとしては、LEDピッチ7mmのものを使用した。LED(小型光源42)としては、Cree社製の青色LEDで品番XPGDRY-L1-0000-00501を使用した。
【0116】
「輝度の均一性」の評価は、以下のように行った。まず、
図24に示すLEDアレイ(6個×6個)において、LED(小型光源42)直上を通る対角線Lに沿って断面輝度を取得し、続いて、この断面輝度の平均値及び標準偏差を算出し、「輝度の均一性(%)」=(平均値−標準偏差)/(平均値+標準偏差)×100の計算式に従って、「輝度の均一性」を求めた。このように求められた「輝度の均一性」の数値が高いほど、輝度が均一であることを示す。
【0117】
実施例21〜32の光学シートのそれぞれの「輝度の均一性」、「波長400nm〜700nmの分光光線の透過率及び反射率の平均値」、「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」の各値を
図25に示す。尚、「輝度の均一性」、「波長400nm〜700nmの分光光線の透過率及び反射率の平均値」は、光学シートのマット面を入光側、逆ピラミッド面側を出光側として測定したものである。また、「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」の算出は、以下のように行った。すなわち、実施例21〜28の光学シートでは積層した3枚のフィルムのそれぞれについて、実施例29〜32の光学シートでは積層した4枚のフィルムのそれぞれについて、「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」を測定し、測定値の平均値として「30°以上の傾斜角度を持つ面積の比率」を求めた。
【0118】
図25に示すように、実施例21〜32の光学シートによると、同じ構成(厚み、組成等)のフィルムを複数枚重ねて使用した場合、拡散剤含有量が少ないほど、輝度の均一性が高くなることが分かる。
【0119】
以上、本発明についての実施形態(実施例を含む。以下同じ。)を説明したが、本発明は前述の実施形態のみに限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。すなわち、前述の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0120】
例えば、
図26に示す変形例のように、光学シート43における複数の小型光源42と対向する表面部分(図中Rで示す拡散層21の下面部分)の反対側に位置する表示画面50a側の表面部分(凹凸形状層22の上面部分)に、小型光源42からの光を遮蔽及び/又は反射する印刷部23、例えばドット状の白インクを形成してもよい。
図26においては、印刷部23の配置領域を白色で表し、凹部22aの図示を省略している。
【0121】
本変形例の印刷部23によって、小型光源42からの光の反射効果や、小型光源42の直上方向への過剰な光に対する遮蔽効果が得られるので、輝度均一性がさらに向上する。
【0122】
尚、本変形例において、印刷部23は、光学シート43の少なくとも一方の表面に形成されていればよい。また、凹凸形状が光学シート43の一方の表面のみに形成されている場合において印刷部23も片面にだけ形成する場合は、印刷部23を当該一方の表面に形成してもよいし、その反対面に形成してもよい。
【解決手段】光学シート43は、表示画面の背面側に複数の小型光源42が分散して設けられた液晶表示装置において複数の小型光源42とプリズムシート44,45との間に組み込まれる。光学シート43の少なくとも一方の表面は、凹凸形状を持つ。凹凸形状を仮想的に取り除いた場合に現れる平坦な表面を仮想平面として、仮想平面に対して所定の投影面積を持つ微小領域を、仮想平面に沿って二次元的に且つ等間隔にずらしながら、各位置の微小領域に含まれる凹凸形状を持った表面を平面近似し、当該平面近似した平面と仮想平面とのなす傾斜角度を求めた場合に、各位置の微小領域の総面積に対する、傾斜角度が30°以上となる微小領域の総面積の比率が30%以上となる。