(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のチューブの中で、前記第1のグループの香りカートリッジに対応する第1のグループの前記チューブの各々は、当該香りカートリッジの前記噴射口に接する第1の端部と、前記キャップの前記開口部内に開く第2の端部とを持ち、
前記キャップは、前記第1のグループの前記チューブの前記第2の端部の各々が、前記第1の軸に垂直な面上の、前記第1の軸上に中心を持つ第1の円上に位置するように前記第1のグループの前記チューブを保持する、請求項2に記載の香りディスプレイ。
前記複数のチューブの中で、前記第2のグループの香りカートリッジに対応する第2のグループの前記チューブの各々は、当該香りカートリッジの前記噴射口に接する第1の端部と、前記キャップの前記開口部に開く第2の端部とを持ち、
前記キャップは、前記第2のグループの前記チューブの前記第2の端部の各々が、前記第1の軸に垂直な面上の、前記第1の軸上に中心を持つ第2の円上に位置するように前記第2のグループの前記チューブを保持する、請求項3に記載の香りディスプレイ。
前記香りカートリッジ収容筐体に関して前記キャップと反対側に設けられ、前記キャップの前記開口部に向けて香りを含まない空気を送り込むための風力源をさらに含む、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の香りディスプレイ。
前記風力源から送り込まれる風を前記キャップの前記開口部まで案内するための、前記第1の軸を囲むように前記カートリッジ収容筐体の中心部を貫通して設けられたダクト部材をさらに含み、
前記キャップは、前記ダクト部材の前記キャップ側の端部と接する底部と、前記開口部の周囲を規定する、前記底部より小さな面積の先端部とを持つノズルを含み、
前記複数のチューブの各々の前記第2の端部は前記ノズルの規定する空間の内部に開口している、請求項6に記載の香りディスプレイ。
前記香りカートリッジ収容筐体に関して前記キャップと反対側に設けられ、前記キャップの前記開口部に向けて香りを含まない空気を送り込むための風力源をさらに含む、請求項1又は請求項2に記載の香りディスプレイ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記したような構成を持つ香りディスプレイによれば、どの風力源を動作させるかによって香りを自由に切替えることができる。またその際に空気の放出機構を動作させれば香りが混ざることを防止できる。どの風力源をどのタイミングで動作させるかについては、外部から香りディスプレイにコマンドを送ることで制御できる。そのため、例えば映画、アニメーション等で所望のタイミングで所望の風力源を動作させることで、場面にあった香りを放出できるという優れた効果がある。
【0008】
特許文献1に開示された香りディスプレイから発生できる香りの種類を多くするためには、香りカートリッジに装填可能な香りカートリッジの数を多くすればよい。しかし、特許文献1に開示された香りディスプレイでは、香りカートリッジは香りディスプレイの中心軸の周りの円周上に配置されている。そのため、装填可能な香りカートリッジの数を多くすると、香りディスプレイの筐体が大きくなるという問題がある。香りカートリッジを小さくすれば香りディスプレイの筐体が大きくなることは防止できるが、他の香りディスプレイと共通の香りカートリッジが使用できないと、様々な点で不都合が生ずる。
【0009】
例えばこれまでは一定数の香りカートリッジのみ使用可能な香りディスプレイを使用していたユーザが、より多数の香りカートリッジが使用可能な香りディスプレイを新たに購入したものとする。そうした場合、ユーザは、当然に以前から所持していた香りカートリッジを新たな香りディスプレイでも使用できることを想定すると思われる。仮にそれまで所持していた香りカートリッジが新しい香りディスプレイでは使用できないとすれば、ユーザは新たな香りカートリッジを多数購入しなければならない。
【0010】
それ故にこの発明は、特殊な香りカートリッジを使用することなく、筐体が大型化することを防止しながら、多くの香りカートリッジを使用して所望の香りを噴出できるような香りディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の第1の局面に係る香りディスプレイは、各々が香源を封入した複数の香りカートリッジの中で、所望の香りカートリッジからの香りを含んだ空気を噴射する香りディスプレイであって、第1の軸の周りに複数の香りカートリッジを収容する香りカートリッジ収容筐体と、香りカートリッジ収容筐体を覆うように香りカートリッジ収容筐体に取付けられ、香りを含んだ空気が噴射される開口部を持つキャップとを含み、複数の香りカートリッジの各々は、中空部と第1の面とを持つ筐体と、当該中空部に封入された香源とを含み、当該筐体は、中空部に給気するための給気口と、給気口からの給気による中空部内の圧力増加に応答し、香源からの香りを含む空気を筐体外に噴射するための、第1の面の、当該第1の面の幾何中心から偏心した位置に形成される噴射口とを持ち、香りディスプレイはさらに、複数の香りカートリッジの給気口に個別に給気する給気機構を含み、香りカートリッジ収容筐体は、第1の数の香りカートリッジからなる第1のグループの香りカートリッジを収容可能な第1のカートリッジ収容部と、第1の数以下の第2の数の香りカートリッジからなる第2のグループの香りカートリッジを収容可能な第2のカートリッジ収容部とを持ち、第1のカートリッジ収容部は、第1のグループの香りカートリッジの各々の幾何中心と、第1の軸との距離が第1の距離となるように第1のグループの香りカートリッジを収容し、第2のカートリッジ収容部は、第2のグループの香りカートリッジの各々の幾何中心と、第1の軸との距離が、第1の距離より小さな第2の距離となるように第2のグループの香りカートリッジを収容する。
【0012】
好ましくは、第1のカートリッジ収容部は、第1のグループの香りカートリッジを、当該第1のグループの香りカートリッジの第1の面が第1の共通面上に位置するように収容する。
【0013】
より好ましくは、第2のカートリッジ収容部は、第2のグループの香りカートリッジを、当該第2のグループの香りカートリッジの第1の面が第2の共通面上に位置するように収容する。
【0014】
さらに好ましくは、第1の共通面と第2の共通面とは同一の面である。
【0015】
好ましくは、第1のカートリッジ収容部は、第1のグループの香りカートリッジを、第1のグループの香りカートリッジの第1の面の開口と第1の軸の間の距離が、第1の距離よりも小さな第3の距離となるように収容する。
【0016】
より好ましくは、第2のカートリッジ収容部は、第2のグループの香りカートリッジを、第2のグループの香りカートリッジの第1の面の開口と第1の軸との距離が、第2の距離よりも大きく、かつ第1の距離よりも小さな第4の距離となるように収容する。
【0017】
さらに好ましくは、第4の距離は第3の距離以上である。
【0018】
好ましくは、第4の距離と第3の距離との差の絶対値は、第4の距離の10%以下である。
【0019】
より好ましくは、第4の距離と第3の距離との差の絶対値は、第4の距離の5%以下である。
【0020】
さらに好ましくは、香りディスプレイは、複数の香りカートリッジの噴射口と、キャップの開口部とをそれぞれ連絡する複数のチューブをさらに含む。
【0021】
好ましくは、複数のチューブの中で、第1のグループの香りカートリッジに対応する第1のグループのチューブの各々は、当該香りカートリッジの噴射口に接する第1の端部と、キャップの開口部内に開く第2の端部とを持ち、キャップは、第1のグループのチューブの第2の端部の各々が、第1の軸に垂直な面上の第1の円上に位置するように第1のグループのチューブを保持する。
【0022】
より好ましくは、複数のチューブの中で、第2のグループの香りカートリッジに対応する第2のグループのチューブの各々は、当該香りカートリッジの噴射口に接する第1の端部と、キャップの開口部に開く第2の端部とを持ち、キャップは、第2のグループのチューブの第2の端部の各々が、第1の軸に垂直な面上の第2の円上に位置するように第2のグループのチューブを保持する。
【0023】
さらに好ましくは、第1のグループの香りカートリッジの数と第2のグループの香りカートリッジとの数の比はM:N(M及びNはM>Nを満たす自然数でかつ互いに素)であり、キャップは、カートリッジ収容筐体のキャップ側の端部周壁に固定される端部と、中央に形成された開口部とを持ち、端部から開口部に向けて盛り上がった形状を持つカバーと、各々が、カバーのカートリッジ収容筐体側の面に、M個の第1のグループのチューブと、N個の第2のグループのチューブとを着脱可能に固定するための複数のチューブ固定具とを含む。
【0024】
好ましくは、第1の円と第2の円とは互いに異なる面上にある。
【0025】
より好ましくは、香りディスプレイは、香りカートリッジ収容筐体に関してキャップと反対側に設けられ、キャップの開口部に向けて香りを含まない空気を送り込むための風力源をさらに含む。
【0026】
さらに好ましくは、香りディスプレイは、風力源から送り込まれる風をキャップの開口部まで案内するための、第1の軸を囲むようにカートリッジ収容筐体の中心部を貫通して設けられたダクト部材をさらに含み、キャップは、ダクト部材のキャップ側の端部と接する底部と、開口部の周囲を規定する、底部より小さな面積の先端部とを持つノズルを含み、複数のチューブの各々の第2の端部はノズルの規定する空間の内部に開口している。
【0027】
好ましくは、香りディスプレイは、香りカートリッジ収容筐体に関してキャップと反対側に設けられ、キャップの開口部に向けて香りを含まない空気を送り込むための風力源をさらに含む。
【0028】
より好ましくは、複数の香りカートリッジの筐体は三角柱の形状を持ち、第1の面は当該三角柱の上面である。
【0029】
この発明の目的、構成、及び効果は、この明細書と添付の図面とにより明らかとなるだろう。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の説明及び図面では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。また、以下に述べる実施の形態の全ての部分がこの発明の実施に必須というわけではない。この発明の実施に必須の構成要素は特許請求の範囲の記載によって定められるべきである。
【0032】
[第1の実施の形態]
<構成>
図1に、この発明の第1の実施の形態に係る香りディスプレイ50の外観図を示す。
図1を参照して。香りディスプレイ50は、ほぼ円柱形状の筐体60を含む。筐体60は、ベース筐体62と、ベース筐体62の上に順に組付けられたカートリッジ収容筐体64、及びキャップ66とを含む。キャップ66はカートリッジ収容筐体64に対して着脱可能で、後述するように香りカートリッジを香りディスプレイ50に装填したり、香りディスプレイ50から取外したりするときにはこのキャップ66をカートリッジ収容筐体64から取外して行う。
【0033】
キャップ66は、カートリッジ収容筐体64の上端と一致する形状の円形である底部を持ち、上面は中央に向かってなだらかに盛り上がっているカバーを含む。このカバーの底部はカートリッジ収容筐体64の上端(キャップ66側の端部)に固定される。キャップ66のカバーの中央には、香りカートリッジからの香りを含んだ空気の出口である開口が集まった開口領域68が形成されている。開口領域68にはキャップ66の直径の1/4程度の直径を持つ開口70が形成されている。
【0034】
図2及び
図3を参照して、この実施の形態では、ベース筐体62及びカートリッジ収容筐体64の断面は円形をしており、カートリッジ収容筐体64の内部には複数の香りカートリッジを収容可能なカートリッジ収容部が形成されている。特に、
図2及び
図3に示すとおり、カートリッジ収容筐体64の中央には空気の流通路92を規定するダクト部材112が設けられ、ダクト部材112の周囲に18個の香りカートリッジを含む香りカートリッジの集合90が装填されている。香りカートリッジの集合90の詳細については後述するが、この実施の形態では香りカートリッジの集合90は外側の香りカートリッジグループと、内側の香りカートリッジグループとに分類されている。これら香りカートリッジグループ各々は、カートリッジ収容筐体64の中心軸を中心とする円周上に配列されている。その配置の詳細については後述する。香りカートリッジの数は任意だが、先行技術として6個の香りカートリッジを含むものが開示されているので、この発明に係る香りディスプレイでは外側グループの香りカートリッジとしては少なくとも6個を用い、内側グループとしては少なくとも1個を用いることが望ましい。この実施の形態では、外側グループとして12個、内側グループとして6個の香りカートリッジを装填可能である。
【0035】
特に
図3を参照して、キャップ66のカバーの裏面(カートリッジ収容筐体64側の面)の中央には、
図1に示す開口70を形成するノズル134の下端が配置されている。ノズル134の周囲には、香りカートリッジの集合90から噴出される香りを含んだ空気をノズル134の内部で開口70の近くにそれぞれガイドするための複数のチューブをキャップ66に固定するチューブ固定具140等が6個配置されている。チューブ固定具140等の構成については後述する。ノズル134の下端はダクト部材112の上端と接し、ノズル134の下半部は上に向かうにしたがって徐々に半径が狭まるコーン状となり、上半部は下端の内径よりも小さな内径の、上下が開放された円筒となっている。こうした形状を持つため、ノズル134の下端に流れ込んだ空気はノズル134の内部で加速されて上端の開口から放出される。
【0036】
特に
図3を参照して、ベース筐体62の下面には、後述するように空気の取入口となる複数の開口130が設けられる。ベース筐体62の上にはカートリッジ収容筐体64が組付けられる。ベース筐体62の内部にはさらに、香りを含まない空気からなる空気流を生成し、キャップ66に設けたノズル134に向けて送り出すための風力源であるシロッコファン100が取付部材102により取付けられる。ベース筐体62の中にはさらに、シロッコファン100と、後述するようにカートリッジ収容筐体64の内部に設けられた、香りカートリッジの集合90の各香りカートリッジの中に空気を送り込む風力源とを制御するための制御回路を搭載した、無線通信により外部と通信可能な制御回路基板104が、取付部材96及び98により取付けられる。ベース筐体62の内部にはさらに、制御回路基板104の電源となる図示しないバッテリーが収納されている。
【0037】
カートリッジ収容筐体64の内部にはダクト部材112が固定されている。このダクト部材112は、前記したようにシロッコファン100から開口70に向かう空気の流通路92を規定する。この実施の形態では、カートリッジ収容筐体64の中心軸とダクト部材112の中心軸とが一致している。ダクト部材112の下部には、中央に開口106を持つ中継基板94が取付けられる。中継基板94の下面には、香りカートリッジの底面に貼り付けられたNFCタグ(図示せず)と近距離無線通信することにより、各香りカートリッジ又はその香りの識別子を読取るためのNFCチップ132が、各香りカートリッジの位置に対応して設けられる。ダクト部材112の下端は開口106を介してシロッコファン100の吐出口付近に配置されている。
【0038】
図4及び
図5を参照して、例えば香りカートリッジ180は、断面がほぼ正三角形の三角柱状である。すなわち香りカートリッジ180は、互いに平行で合同な正三角形である上面221及び底面222、並びにこれらの周囲をつなぐように形成された側面223からなる筐体220を持つ。筐体220は、香源が封入される中空部を持つ。香りカートリッジ180の上面221の1つの頂点の近傍には、筐体220の中空部に通じ、筐体220に封入された香源からの香りを含む空気が放出される噴射口224が形成されている。この実施の形態では、上面221の中心を上面221の幾何中心とすると、噴射口224はこの上面221の中心と上記した1つの頂点とを結ぶ線分上で、この線分を4:1程度に分割する、上記1つの頂点側に偏心した位置にある。側面223の、噴射口224と反対側の部分には、筐体220の中空部に外部のマイクロブロア(後述)が空気を送り込むための給気口225が形成されている。また
図5に示すように、噴射口224が形成された頂点の両脇の側面223には溝226及び227が形成されている。これら溝226及び227は、香りカートリッジ180をカートリッジ収容筐体64のカートリッジ収容部に装填する際の位置決めに用いられる。
【0039】
図6は、
図1に示す開口70付近におけるチューブの配置を示す図である。
図6を参照して、開口70を形成するノズル134の周囲には、後述するように第1のグループの香りカートリッジのための第1のグループのチューブ280、282、…、300、及び302と、第2の香りカートリッジのための第2のグループのチューブ304、306、…、312、及び314が集中し、それらチューブの端部が開口70の中に開口している。
図6に示すように、チューブ280及び282並びに304、チューブ284及び286並びに306、チューブ288及び290並びに308、チューブ292及び294並びに310、チューブ296及び298並びに312、そしてチューブ300及び302並びに314がそれぞれ3個ずつの組になっている。このように各チューブをキャップ66に固定する機構の詳細については後述する。
【0040】
図7は、
図1の7−7方向における香りディスプレイ50の断面図であり、
図8は、開口領域68付近を拡大した図である。
図7を参照して、カートリッジ収容筐体64の内周壁の、外側の各香りカートリッジが装填される箇所の背後には、圧電素子により動作して空気の流れを作り出すマイクロブロアが設けられている。例えば外側の香りカートリッジグループに属する香りカートリッジ180の背後には、香りカートリッジ180の給気口225に空気を送り込むためのマイクロブロア230が設けられる。香りカートリッジ180と反対側に装填される香りカートリッジ192についても同様で、その給気口に空気を送り込むマイクロブロア242が香りカートリッジ192の背後に設けられる。なお、これらマイクロブロアは外側グループに属する香りカートリッジと内側グループに属する香りカートリッジの各々に対して設けられ、これら香りカートリッジの給気口に個別に空気を供給できる。
【0041】
例えば香りカートリッジ180の噴射口224には、噴射口224と開口70とを連絡するためのチューブ280の一端が当接するように取付けられる。チューブ280はチューブ固定具140によりキャップ66の表面に取付けられている。チューブ固定具140は、チューブ280の他端がキャップ66に形成された開口70の内部に開口するようにチューブ280をキャップ66に固定する。香りカートリッジ192についても同様であり、その噴射口にはチューブ292の一端が当接して取付けられる。チューブ292も、チューブ固定具140と同様のチューブ固定具146により他端がキャップ66の周壁からキャップ66の中心を向いて開口するようにキャップ66に取付けられる。こうした配置により、香りカートリッジ180及び192からそれぞれ噴出される香りを含む空気は、それぞれチューブ280及び292を経て開口70に導かれ、開口70の中心に向けて噴出される。シロッコファン100が生成した空気がノズル134から噴出されていると、これらの香りを含んだ空気はノズル134から噴出される空気の流れにより搬送される。その結果、香りを含んだ空気を香りディスプレイ50からかなり離れた位置まで届けることができる。シロッコファン100を止めると、香りを含んだ空気は開口領域68付近にとどまる。その結果、香りディスプレイ50の近傍のみに限定して香りを漂わせることもできる。
【0042】
図7及び
図8に示すチューブ294、296、298、300及び302等も同様に、外側の香りカートリッジグループの中の、対応する香りカートリッジの開口部から噴出される香りを含んだ空気を開口70に向けて導くためのものである。
図7及び
図8に示すチューブ310、312及び314は、以下に述べるように内側の香りカートリッジグループに属する香りカートリッジのためのチューブである。
【0043】
図9は、
図1の9−9で示す矢視方向における香りディスプレイ50の断面図であり、
図10は、開口領域68付近を拡大した図である。
図9を参照して、カートリッジ収容筐体64の内部のダクト部材112の外周壁の、内側の香りカートリッジに属する各香りカートリッジが装填される箇所には、空気の流れを作り出すマイクロブロアが設けられている。例えば内側の香りカートリッジグループに属する香りカートリッジ214は、噴射口がカートリッジ収容筐体64の中心軸から離れた位置になるように、外側の香りカートリッジグループとは反対側を向けてキャップ66に装填される。その背後(側面の中で給気口325が形成されている部分)には、香りカートリッジ214の給気口325に空気を送り込むためのマイクロブロア264が設けられる。香りカートリッジ214と反対側に装填される香りカートリッジ208についても同様で、その給気口に空気を送り込むマイクロブロア270がダクト部材112の周囲外側で香りカートリッジ208の背後となる箇所に設けられる。
【0044】
例えば香りカートリッジ214の噴射口にはチューブ314の一端が当接するように取付けられる。チューブ314はチューブ固定具150によりキャップ66のカバーの裏面に取付けられている。チューブ固定具150は、チューブ314の他端がキャップ66に形成された開口70の内部に開口するようにチューブ314をキャップ66に固定する。香りカートリッジ208についても同様であり、その噴射口にはチューブ308の一端が当接して取付けられる。チューブ308も、チューブ固定具144により他端がキャップ66に形成された開口70の内部に開口するようにキャップ66に取付けられる。こうした配置により、香りカートリッジ214及び208からそれぞれ噴出される香りを含む空気は、それぞれチューブ314及び308を経て開口70に導かれ、開口70の中心に向けて噴出される。
【0045】
図10に示すチューブ312及び310も同様に、内側の香りカートリッジグループの中の、対応する香りカートリッジの開口部から噴出される香りを含んだ空気を開口70に向けて導くためのものである。なお、
図10に示すチューブ290、292、294、296、298及び300は、外側の香りカートリッジグループに属する香りカートリッジのためのチューブである。
【0046】
図8及び
図10に示すようにこの実施の形態では、外側の香りカートリッジグループのためのチューブの開口70側の端部は、開口70の内部において、その中心軸に垂直な平面上の、中心軸を中心とする円周上に配置されている。また内側の香りカートリッジグループのためのチューブのノズル134側の端部は、開口70の中において、外側の香りカートリッジグループと同様、その中心軸に垂直な平面上の、中心軸を中心とする円周上に配置されている。ただし、この円は外側の香りカートリッジグループのためのチューブの端部が配置されている円の平面とは別の平面に存在する。このように、香りカートリッジの端部を異なる面上に配置することにより、香りカートリッジの数が多数になり、開口70の内部にそれらのための開口を形成する十分なスペースが確保できないときでも、全てのチューブを開口70の内部に配置できる。したがって、香りディスプレイ50に装填されている香りカートリッジの数が増えても、ある程度の数までは開口70の径を大きくしなくてもチューブの開口のための空間を確保できる。
【0047】
図11及び
図12は、それぞれカートリッジ収容筐体64からキャップ66を取除いたときのカートリッジ収容筐体64を示す斜視図及び平面図である。なお、これらの図は香りカートリッジを筐体60に装填していない状態を示している。また
図13は、
図12の一部を拡大して示す図である。
図14及び
図15は、キャップ66に外側グループの12個の香りカートリッジ180、182、…、200及び202と、内側グループの6個の香りカートリッジ204、206、…、212及び214を装填した状態を示すキャップ66の斜視図及び平面図である。
図16は、
図15の一部を拡大して示す図である。
【0048】
図11、
図12及び
図13を参照して、この実施の形態では、カートリッジ収容筐体64の内部には、外側のカートリッジ収容室350、352、…、370及び372と、内側のカートリッジ収容室374、376、…、382及び384からなるカートリッジ収容部が形成されている。カートリッジ収容室はそれぞれ1個の香りカートリッジを収容するためのもので、これらカートリッジ収容室の中で、カートリッジ収容室350、352、…、370及び372は、キャップ66の中心軸を中心として回転対称な位置に配置され、外側カートリッジ収容部を形成している。これらカートリッジ収容室はいずれも正三角形の空間を形成しており、その空間の各々の1頂点はキャップ66の中心軸側を向いている。一方、カートリッジ収容室374、376、…、382及び384は、同様に同じ大きさの正三角形状の空洞であるが、その1頂点がキャップ66の中心軸とは反対側を向くように、中心軸を中心として回転対称な位置に配置され、内側カートリッジ収容部を形成している。これらの正三角形の各々についてその中心を幾何中心とすれば、外側のカートリッジ収容室350、352、…、370及び372の各々から中心軸までの距離は同一である。ここでは、このようにカートリッジ収容室の正三角形の幾何中心から中心軸までの距離をそのカートリッジ収容室と中心軸との距離という。また内側のカートリッジ収容室374、376、…、382及び384の各々から中心軸までの距離も同一である。そして、外側のカートリッジ収容室から中心軸までの距離は、内側のカートリッジ収容室から中心軸までの距離より大きい。
【0049】
図13を参照して、例えばカートリッジ収容室350とカートリッジ収容室352との間に、カートリッジ収容室374が形成される。またカートリッジ収容室350にはカートリッジ収容室372が隣接して設けられているが、これらの間には内側のカートリッジ収容室は形成されていない。これらを区分するために、カートリッジ収容筐体64の内部には、外側のカートリッジ収容室の中で、間に内側のカートリッジ収容室が設けられていないものを区分するための、V字型の仕切部材400、404等が全部で6個設けられている。これら仕切部材400、404等のV字の開いた方の端部は固定部材414及び416等を介してダクト部材112の外周に固定される。カートリッジ収容室350とカートリッジ収容室352のように、間にカートリッジ収容室374が形成されたものの間には、逆A字型の仕切部材402、406及び408等が6個設けられている。これらの逆A字型の開いた端部の足の各々は、隣接する仕切部材400等の上端と合流して固定部材414及び416等によりダクト部材112の外周に固定される。
図13に示すように、カートリッジ収容筐体64の外壁の内周には、カートリッジ収容室350、352、…、370及び372に収容される香りカートリッジの給気口の位置に合わせて12個のマイクロブロア230、232、…、250及び252が固定されている。またダクト部材112の外壁の外周には、カートリッジ収容室374、376、…、382及び384に収容される香りカートリッジの給気口の位置にあわせて6個のマイクロブロア260、262、…、268及び270が固定されている。
【0050】
なお、マイクロブロア230、232、…、250及び252並びにマイクロブロア260、262、…、268及び270は、交番電圧を受けることにより風を生成する。そのための交番電圧は、制御回路基板104(
図2及び
図3参照)に搭載された制御回路が生成し出力する。この制御回路は、無線通信を介して外部から与えられた情報にしたがってマイクロブロア230、232、…、250及び252、並びにマイクロブロア260、262、…、268及び270とシロッコファン100とを適宜駆動する。
【0051】
図13、
図14及び
図15に示すように、外側のカートリッジ収容室350、352、…、370及び372(
図13参照)には、香りカートリッジ180、182、…、200及び202(
図14及び
図15参照)がそれぞれ装填される。内側のカートリッジ収容室374、376、…、382及び384(
図13参照)には、香りカートリッジ204、206、…、212及び214(
図14及び
図15参照)がそれぞれ装填される。
図15の7−7で示す矢視方向の断面図が
図7に示すものであり、
図15の9−9で示す矢視方向の断面図が
図9に示すものである(ただし
図7及び
図9の双方においてキャップ66は示していない)。これら香りカートリッジのの中で、外側グループに属する香りカートリッジ180、182、…、200及び202は、いずれもその上面が同一面上に並ぶようにカートリッジ収容筐体64の内部に装填される。また内側グループに属する香りカートリッジ204、206、…、212及び214も、いずれもその上面が同一面上に並ぶようにカートリッジ収容筐体64の内部に装填される。この実施の形態では、外側グループに属する香りカートリッジの上面が配置された面と、内側グループに属する香りカートリッジの上面が配置された面とは同じ面となっているが、これら面は互いに異なっていてもよい。
【0052】
図16に、外側グループの香りカートリッジと内側グループの香りカートリッジとの間の平面的な位置関係を示す。
図16を参照して、外側グループの香りカートリッジの中心(例えば香りカートリッジ180の中心420、香りカートリッジ182の中心422等)は、いずれもカートリッジ収容筐体64の中心軸428を中心とする第1の円430の上に存在する。この第1の円430は半径R1の円であるものとする。同様に内側グループの香りカートリッジの中心(例えば香りカートリッジ204の中心424)は中心軸428を中心とする第2の円432の上に存在する。この第2の円432は半径R2の円であるものとする。明らかに、R1>R2である。
【0053】
また、外側グループの香りカートリッジの噴射口(例えば香りカートリッジ180の噴射口224)等は、中心軸428を中心とする半径R3の第3の円434上に存在する。同様に内側グループの香りカートリッジの噴射口(例えば香りカートリッジ204の噴射口426は、中心軸428を中心とする半径R4の第4の円436上に存在する。
【0054】
さらに、外側グループの香りカートリッジの噴射口に最も近い頂点は、中心軸428を中心とする、半径R5の第5の円438の上に存在する。同様に内側グループの噴射口に最も近い頂点は、中心軸428を中心とする、半径R6の第6の円440の上に存在する。
【0055】
R5=R6の場合、各香りカートリッジの、噴射口に最も近い頂点は同じ円上に存在することになる。18個のカートリッジを収容できるものの、そのダクト部材112の外周からカートリッジ収容筐体64の内周までの距離が香りカートリッジの2個分の高さとマイクロブロア2個分の高さとの和とほぼ等しくなる。R5>R6となると、この距離がさらに大きくなり、カートリッジ収容筐体64をコンパクトにするという意味では好ましくない。したがってR5≦R6であることが望ましい。一方、各香りカートリッジから開口70までの距離は互いに等しいことが望ましく、あまり距離が異なると香りを含んだ空気を噴射させるタイミングに相違が生じて好ましくない。したがって、R3≒R4であることが望ましい。このR3とR4との違いの絶対値は香りカートリッジの平面の正三角形の高さの10%程度までの範囲、より好ましくは5%程度までの範囲にあることが望ましい。なお、カートリッジ収容筐体64をよりコンパクトにすることが目的であればR4>R3であることが望ましい。この場合のR3とR4との関係については後述の第2の実施の形態で説明する。
【0056】
図17に、キャップ66の裏面の斜視図を示す。
図17を参照して、キャップ66のカバーの裏面には、6個の位置にそれぞれ設けられた6個のチューブ固定具140、142、…、148及び150が固定されている。
図17ではこれらのチューブ固定具140をキャップ66から外した状態で示す。これらチューブ固定具140、142、…、148及び150はそれぞれ、内側の6個の香りカートリッジのいずれかと、その両隣の外側の香りカートリッジとを一組とし、それらのためのチューブをキャップ66に固定するためのものである。
図17に示す例では、チューブ固定具140は、
図15に示す香りカートリッジ204を中心として、その両隣の外側グループの香りカートリッジ180及び182のチューブ304、280及び282(
図6参照)をキャップ66に固定するためのものである。同様にチューブ固定具142はチューブ306、284、及びチューブ286を、チューブ固定具144はチューブ308、288、及びチューブ290を、チューブ固定具146はチューブ310、292、及びチューブ294を、チューブ固定具148はチューブ312、296及び298を、チューブ固定具150はチューブ314、300及び302を、それぞれキャップ66に固定する。
図17に示すように、チューブ固定具140、142、…、148及び150は、キャップ66の中央、すなわちノズル134(
図6)の中央を中心として、6回回転対称な位置に配置されている。
【0057】
図18から
図20を参照して、例えばチューブ固定具140は、溝520及びネジ穴540が形成された第1部材500と、第1部材500側の面に溝522及びネジ穴542が、その反対面に溝524が、それぞれ形成された第2部材502とを含む。第1部材500の第2部材502側の面には2つの小さな突起570及び572が形成されており、第2部材502の第1部材500側の面の対応する位置には、図示しない小さな凹部が2つ形成されている。第1部材500の2つの側面の間には、ネジ穴580及び582が形成され、第2部材502の2つの側面の対応する位置にはネジ穴584及び586が形成されている。溝520と溝522との間にチューブ280を挟むように第1部材500及び第2部材502を組合せる。この例では第1部材500に形成された突起570及び572を第2部材502の面に形成された凹部にはめ込むことで第1部材500と第2部材502とを結合する。このように第1部材500及び第2部材502を結合すると、これらのネジ穴540及び542によりねじ510が挿入されるネジ穴が形成される。
【0058】
チューブ固定具140はさらに、第2部材502側の面に溝526が、その反対側の面に溝528及びネジ穴544がそれぞれ形成された第3部材504と、第3部材504側の面に溝530及びネジ穴546が形成された第4部材506とを含む。第3部材504の第4部材506側の面には小さな突起574及び576が形成され、第4部材506の第3部材504側の面には図示しない小さな凹部が形成されている。さらに第3部材504及び第4部材506の各々の2つの側面の間には、小さなネジ穴588及び590、並びにネジ穴592及び594が形成されている。第3部材504と第4部材506との間にチューブ282を挟むように第3部材504及び第4部材506を組合せる。このとき、第3部材504に形成された突起574及び576を第4部材506に形成された凹部にはめ込むことで第3部材504と第4部材506とを結合する。このように第3部材504及び第4部材506を結合すると、これらのネジ穴544及び546によりねじ512が挿入されるネジ穴が形成される。
【0059】
最後に、第2部材502の溝524と第3部材504の溝526の間にチューブ304を挟むように、第1部材500及び第2部材502の結合部品と、第3部材504及び第4部材506の結合部品とを組合せ、ネジ穴580、582、…、592、及び594にねじを通してこれらを結合することでチューブ固定具140が得られる。
【0060】
ねじ510及び512をチューブ固定具140に形成されたネジ穴に通し、さらにねじ510及び512をキャップ66の裏面に形成されたネジ穴にねじ込むことでチューブ固定具140をキャップ66のカバーの裏面に固定する。
【0061】
なお、
図19及び
図20を参照して、溝520及び522は、チューブ固定具140をキャップ66に固定したときに、チューブ280の一端が、対応する香りカートリッジ180の噴射口224(
図4参照)に当接し、他方の端部560が開口70の内部に開口するように予め位置決めして形成されている。溝524及び526は、同様に、チューブ304の一端が、対応する香りカートリッジの噴射口に当接し、他方の端部564が開口70の内部に開口するように予め位置決めして形成されている。溝528及び530も、同様にチューブ282の一端が、対応する香りカートリッジの噴射口に当接し、他方の端部562が開口70の内部に開口するように予め位置決めして形成されている。
図19及び
図20に示すように、端部560及び562は、チューブ固定具140がキャップ66に固定されたときに同じ高さとなるように位置決めされている。端部564は、端部560及び562の位置よりも少し低い位置になるように予め位置決めされている。
【0062】
他のチューブ固定具142、144、…、148及び150についても同様なので、ここではそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0063】
例えばチューブ280は一般的な樹脂からできたものでよく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリ塩化ビニール、ポリカーボネート、アクリル等からなる。この実施の形態ではさらに、チューブ280等の内壁には、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー、パーフルオロアルコキシアルカン、パーフルオロエチレン-プロペンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン-クロロトリフルオロエチレンコポリマー等)をコーティングしてある。フッ素樹脂は公知のように滑りやすく物質がつきにくいという特長がある。このようなチューブで香りを含む空気を外部に放出する際に、チューブの内部に香り物質がつきにくい。そのため、香りカートリッジを交換しても、香りカートリッジからの本来の香りが、香りディスプレイ50の中に付着した他の香りと混ざり合うことが防止できるという効果がある。
【0064】
なお、樹脂性のチューブの内壁にフッ素樹脂をコーティングすることだけではなく、フッ素樹脂を混合した一般樹脂でチューブを成形しても効果がある。
【0065】
<動作>
上記した香りディスプレイ50は以下のように動作する。香りディスプレイ50を使用するために、最初に香りカートリッジ180等、必要な香りカートリッジをカートリッジ収容筐体64の内部に装填する。この実施の形態では、外側グループの香りカートリッジ180、182、…、200及び202という12個の香りカートリッジと、内側グループの香りカートリッジ204、206、…、212及び214という6個の香りカートリッジとをカートリッジ収容筐体64に装填可能である。すなわち、香りディスプレイ50に最大で18個の香りカートリッジを装填できる。香りカートリッジを香りディスプレイ50に装填すると、香りカートリッジに付された図示しないNFCタグから香りディスプレイ50の内部のNFCチップ132が近距離無線通信により香りカートリッジ又は香りの識別子を読取る。その識別子が制御回路基板104を介して外部の制御装置(例えばコンピュータ)に送信される。外部の制御装置は、この情報と予め準備されていたシナリオとに基づき、どのようなタイミングで、どの香りカートリッジから香りを噴出させるか、シロッコファン100をいつ動作させるか、等に関する制御信号を生成し、制御回路基板104に送信する。制御回路基板104はこの制御信号により指定されたタイミングで、指定された香りカートリッジに対応するマイクロブロア230、232、…、250及び252、並びにマイクロブロア260、262、…、268及び270及びシロッコファン100に駆動信号を送信する。この駆動信号を受信したマイクロブロア230、232、…、250若しくは252、又はマイクロブロア260、262、…、268若しくは270又はシロッコファン100は、駆動信号にしたがって動作し、香りカートリッジから香りを含んだ空気を噴出させる。このとき、同時に2つ以上のマイクロブロアを駆動することもできるし、1つのみを駆動することもできる。またマイクロブロア230、232、…、250若しくは252、又はマイクロブロア260、262、…、268若しくは270を駆動するのと同時にシロッコファン100を駆動することもできるし、シロッコファン100を駆動せず所望のマイクロブロア230、232、…、250若しくは252、又はマイクロブロア260、262、…、268若しくは270のみを駆動してもよい。さらに、マイクロブロア230、232、…、250及び252、並びにマイクロブロア260、262,…、268及び270は駆動せず、シロッコファン100のみを駆動してもよい。
【0066】
より詳細には、
図7を参照して、例えば外側グループに属する香りカートリッジ180から香りを噴出させるときには、制御回路基板104は香りカートリッジ180に対応するマイクロブロア230の内部の圧電素子に対して交番電圧を印加する。マイクロブロア230の内部の圧電素子はこの交番電圧に応答して振動することで、圧電素子が貼付けられた薄板を振動させ、空気の流れを起こしてマイクロブロア230のノズルから香りカートリッジ180の給気口225(
図4参照)を介して香りカートリッジ180の内部に空気を吹き込む。この結果、香りカートリッジ180の内部の圧力が一時的に高まり、この圧力の高まりに応答して香りカートリッジ180は内部に封入された香源からの香りを含んだ空気を噴射口224から外部に噴出する。
【0067】
特に
図21を参照して、このとき、マイクロブロア230が利用する空気は、ベース筐体62の底面に形成された開口130から筐体60の中に入り、さらに空気の流通路600を経てマイクロブロア230の位置に至る。空気はさらにマイクロブロア230に引き込まれ、マイクロブロア230のノズル及び香りカートリッジ180の給気口225(
図4参照)からなる空気の流通路604を経て香りカートリッジ180の内部に断続的に吹き込まれる。香りカートリッジ180の中空部の圧力は空気が吹き込まれたことに応答して、一時的に圧力が高まることを繰返す。この圧力が高まったことに応答して、香りカートリッジ180の中空部に封入された香源からの香りを含んだ空気が香りカートリッジ180の噴射口224(
図4参照)から噴出される。噴出された香りを含んだ空気608はチューブ280の一端からチューブ280の内部に入り、チューブ280によりノズル134側に導かれ、チューブ280の他端から香りを含んだ空気612として開口70の内部に噴出される。
【0068】
この香りを含んだ空気612の噴出は、マイクロブロア230に交番電圧が印加されている間、繰返して行われる。マイクロブロア230に対する交番電圧の印加が終了すると、マイクロブロア230は動作を停止し、香りカートリッジ180の中への空気の吹込みが停止される。その結果、香りカートリッジ180からの香りを含んだ空気の噴出は停止する。したがって、マイクロブロア230への交番電圧の印加開始及び停止のタイミングを制御することで、所望のタイミングで所望の時間にわたり、所望の香りを香りディスプレイ50から噴出させることができる。
【0069】
このとき、シロッコファン100が動作していれば、シロッコファン100が生成する空気の流れ620は、ダクト部材112の中の空気の流通路92からノズル134の内部に入り、ノズル134の上部の内径が狭くなっていることにより加速され、噴射空気622として香りディスプレイ50の外部に噴出される。このとき、香りを含んだ空気612はこの噴射空気622に引込まれ、噴射空気622により遠くまで搬送される。シロッコファン100が動作していなければ、香りを含んだ空気612は香りディスプレイ50に近い部分のみに噴出され、他に風がなければその部分に留まる。この後にシロッコファン100を動作させれば、香りディスプレイ50に近い部分にとどまっていた香りは消散する。
【0070】
外側グループの他の香りカートリッジ、例えば香りカートリッジ192の場合も同様で、開口130から取込まれた空気は空気の流通路602を経て香りカートリッジ192のマイクロブロア242に引き込まれ、香りカートリッジ192の内部に吹き込まれる。その結果、香りを含んだ空気610がチューブ292を介してノズル134側に導かれ、チューブ292の他端から香りを含んだ空気614として開口70の内部に噴出する。この後の香りを含んだ空気の動きは香りカートリッジ180の場合と同様である。
【0071】
内側グループの香りカートリッジ、例えば香りカートリッジ214から香りを含んだ空気を噴出させるときには、香りディスプレイ50は以下のように動作する。
図22を参照して、香りカートリッジ214とダクト部材112との間に配置されているマイクロブロア264に対して交番電圧を印加する。マイクロブロア264はこの交番電圧に応答して、
図21に示すマイクロブロア230と同様に開口130から筐体60の内部に取入れられた空気を空気の流通路600、640及び644という経路を経て取込み、香りカートリッジ214の内部に断続的に吹き込む。その結果、香りカートリッジ214の内部の圧力は一時的に高まることを繰返す。圧力が高まったことに応答し、香りカートリッジ214は内部に封入された香源からの香りを含んだ空気を噴射口324から噴射する。
【0072】
この香りを含んだ空気648は、チューブ314の一端からチューブ314の内部に入り、チューブ314によりノズル134側に導かれ、チューブ314の他端から開口70の内部に香りを含んだ空気652として噴出される。この後の香りディスプレイ50の動作は外側グループの香りカートリッジを動作させたときと同様であるのでここでは繰返さない。
【0073】
図22においてダクト部材112を挟んで香りカートリッジ214と反対側に配置された内側グループの香りカートリッジ208の動作も同様である。マイクロブロア270を駆動させることによって香りを含んだ空気650がカートリッジ208からチューブ308を介して開口70の内部に香りを含んだ空気654として噴射される。この後の香りディスプレイ50の動作は、外側グループの香りカートリッジを動作させたとき、及び香りカートリッジ214を動作させたときと同様であるのでここでは繰返さない。
【0074】
以上のようにこの実施の形態によれば、多数の香りカートリッジを香りディスプレイ50に搭載し、任意の香りカートリッジから香りを含む空気を噴出できる。これら香りカートリッジはいずれも同じ形のもので同じ構造のものであって、外側グループに属するものと内側グループに属するものとの間で区別はない。したがって、既に市販されている香りディスプレイで使用されている香りカートリッジと同じタイプの香りカートリッジであれば、それらを使用できる。また、香りカートリッジを外側グループと内側グループとに分け、筐体内の空間を効果的に使用して、できるだけ筐体が大型化することを防止しながら、多くの香りカートリッジが使用できるようにしてある。その結果、特殊な香りカートリッジを使用することなく、筐体が大型化することを防止しながら、多くの香りカートリッジを使用して所望の香りを噴出できるような香りディスプレイを提供できる。
【0075】
チューブ280等の内壁がフッ素樹脂によりコーティングされているため、例えば香りカートリッジ180から噴出される香りを含んだ空気は効率よくノズル134側に導かれ噴出される。香りカートリッジ180からの香りの噴出が止まった後にもチューブ280の内壁には香り成分がほとんど付着しない。そのため、香りカートリッジ180を別の香りカートリッジと交換したときに、香りが混合してしまうという可能性がほとんどなくなるという効果がある。仮にチューブ280の内部に香り成分が残存していても、次に香りディスプレイ50が動作したときにその香りは速やかにチューブ280から排出される。そのため、香りカートリッジ180を停止させ、他の香りカートリッジから香りを噴出させているときにも、残存した香り成分が悪影響を及ぼすことはほとんどない。
【0076】
さらに、長期間の香りディスプレイ50の使用によりチューブ280等の内部に香りが付着したとしても、チューブ固定具140等をキャップ66から取外して分解すれば、いずれのチューブについても新品に交換できる。したがって、チューブの内部に付着した香りにより問題が生じる可能性はほとんどなく、常に所望の香りを発生できるという効果がある。また、18個の香りカートリッジを、12個の外側グループと6個の内側グループとに分けてカートリッジ収容筐体64に収容する。そのため、外側グループの香りカートリッジと内側グループの香りカートリッジとをユーザが区別して使用できるという効果がある。例えば内側グループにはフローラル系の香りの香りカートリッジを装填し、外側にはコーヒー、ミント等、フローラル系以外の香りカートリッジを装填するようにユーザが両者を使い分けることで、香りカートリッジの交換が容易に行える。
【0077】
[第2の実施の形態]
上記した第1の実施の形態に係る香りディスプレイは、外側グループの香りディスプレイとして最大で12個、内側グループの香りディスプレイとして最大6個の香りカートリッジを利用できる。すなわち、外側グループに属する香りカートリッジの数と内側グループに属する香りカートリッジの数とは2:1となっている。しかしこの発明はそのような実施の形態には限定されない。両者の比は2:1でなくともよい。
【0078】
図23及び
図24に第2の実施の形態に係る香りディスプレイ700のカートリッジ収容筐体710及びベース筐体712の斜視図及びカートリッジ収容筐体710の平面図をそれぞれ示す。
図23及び
図24を参照して、このカートリッジ収容筐体710は、12個の香りカートリッジ180、182、…、200及び202を収容可能なカートリッジ収容部を持つ。カートリッジ収容部は、6個の外側の香りカートリッジ180、…、190を収容する外側カートリッジ収容部と、6個の内側の香りカートリッジ192、…、202を収容する内側カートリッジ収容部とを含む。これら香りカートリッジ180、…、202は第1の実施の形態で用いられていたものと同一である。
【0079】
外側カートリッジ収容部に収容されている6個の香りカートリッジ180、…、190は、いずれも香りの噴射口がカートリッジ収容筐体710の中央軸方向を向くように、かつ給気口がカートリッジ収容筐体710の外周側を向くように、カートリッジ収容筐体710の中心軸に関し6回回転対称な位置に配置されている。内側カートリッジ収容部に収容されている6個の香りカートリッジ192、…、202は、いずれも香りの噴射口がカートリッジ収容筐体710の外周側を向くように、かつ給気口がカートリッジ収容筐体710の中心軸を向くように、カートリッジ収容筐体710の中心軸に関し6回回転対称な位置に配置されている。これら香りカートリッジ180、…、202の各々の給気口部分には、各香りカートリッジに空気を吹き込むためのマイクロブロアが設けられている。
【0080】
香りディスプレイ700はカートリッジ収容筐体710を覆うための、第1の実施の形態の
図1から
図3、及び
図17に示すキャップ66と同様のキャップ(図示せず)を含む。このキャップのカートリッジ収容筐体710側の面には、香りカートリッジ180、…、202の噴射口からキャップの中央の開口(
図1の開口70と同様のもの)の内部に香りを導くためのチューブ(図示せず)が、第1の実施の形態のチューブ固定具140(
図17を参照)のようなチューブ固定具(図示せず)により固定されている。
【0081】
この第2の実施の形態に係るカートリッジ収容筐体710の他の部分は、第1の実施の形態に係る香りディスプレイ50と同様である。
【0082】
この第2の実施の形態に係る香りディスプレイ700は、第1の実施の形態の香りディスプレイ50と異なり、カートリッジ収容筐体710に12個の香りカートリッジしか収容できないが、カートリッジ収容筐体710の直径を第1の実施の形態のものと比較して小さくコンパクトにできるという効果がある。
【0083】
またこのように12個の香りカートリッジを外側グループと内側グループとに分けることにより、外側グループに装填する香りカートリッジと、内側カートリッジに装填する香りカートリッジとを利用者が区別して使い分けることが可能になるという、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0084】
上記した第1の実施の形態に係る香りディスプレイは、外側グループの香りディスプレイとして最大で12個、内側グループの香りディスプレイとして最大6個の香りカートリッジを利用できる。また第2の実施の形態に係る香りディスプレイは、外側グループ及び内側グループの双方とも最大で6個の香りカートリッジを利用できる。しかしこの発明はそのような実施の形態には限定されない。外側グループ及び内側グループの香りディスプレイの数は、これ以外でもよい。両方のグループに属する香りカートリッジの数が共通の約数を持つ必要もなく、例えば内側グループに5個、外側グループに14個の香りカートリッジが装填できるようにしてもよい。ただし、筐体60の内部の空間を有効に利用するという意味では、第1の実施の形態のように外側グループの香りディスプレイの数が内側グループの香りディスプレイの数より多い方が好ましく、一方のグループに属する、隣接するカートリッジの間の空間を有効に利用するためには、両者の数が共通の約数を持つこことが望ましい。
【0085】
また、各香りディスプレイに対応するチューブをチューブ固定具140のようなチューブ固定具でキャップ66に固定するためには、1つのチューブ固定具に複数のチューブを固定できることが望ましい。またその場合、チューブ固定具を同じ構造にするために、各チューブ固定具により固定されるチューブの構成は一定であることが望ましい。すなわち、各チューブ固定具は、一定数の外側グループの香りカートリッジのチューブと、一定数の内側グループの香りカートリッジのチューブとを固定するようにすることが望ましい。その結果、外側グループの香りカートリッジの総数と、内側グループの香りカートリッジの総数とは、M:N(ただしM、NはM≧Nを充足する自然数、好ましくはM>Nを充足する互いに素な自然数)であることが望ましく、この場合、各チューブ固定具は、外側グループのためのM個のチューブと、内側グループのためのN個のチューブとをまとめてキャップ66に固定するようにすれば、全てのチューブ固定の構成を同じにできる。上記第1の実施の形態では、M=2、N=1、第2の実施の形態ではM=N=1である。もちろん、これらの倍数のチューブを各チューブ固定具で固定してもよい。
【0086】
また、上記第1及び第2の実施の形態では各香りカートリッジからの香りを含む成分の噴出に圧電素子を採用したマイクロブロアを用いている。しかしこの発明はそのような実施の形態には限定されない。例えばマイクロブロアに代えて、小型のファンを用いるようにしてもよい。さらに、上記実施の形態では、香りを含まない空気の流れを生成するためにシロッコファンを用いている。しかしこの発明はそのような実施の形態には限定されず、他の形式のファンを用いてもよい。例えばプロペラを用いたもの、又はターボファン等を用いることもできる。
【0087】
さらに、上記第1の実施の形態では、外側グループに属する香りカートリッジのための各チューブはノズル134の側壁の、ノズル134の中心軸(したがって開口70及び筐体60の中心軸)に対して垂直な面内の円上に等間隔で開口している。また内側グループに属する香りカートリッジのための各チューブも同様に、ノズル134の側壁の、ノズル134の中心軸に対して垂直な面内の円上に等間隔で開口している。そして、外側グループのチューブの開口が配置されている面と、内側グループのチューブの開口が配置されている面とは互いに異なる面となっている。こうした配置により、ノズル134の側壁の同じ面内の円上に全ての香りグループのためのチューブの開口を設けることが難しい場合でも、開口を形成する場所を確保できるという効果がある。しかも同じグループに属する香りカートリッジについてはいずれの香りカートリッジについても同じ条件で香りを噴出できるので好ましい。しかし、この発明はそうした実施の形態に限定されるわけではなく、ノズル134の側壁に全てのチューブのための開口を配置できるのであれば、全て同じ面上に設けてもよい。またノズル134の側壁の周囲長が短く、香りカートリッジの数が多いときには、3面以上の面に香りカートリッジの開口を設けるようにしてもよい。
【0088】
また上記実施の形態では、いずれのグループに属する香りカートリッジのためのチューブの開口もノズル134内に配置される。しかしこの発明はそのような実施の形態には限定されない。例えば一部のグループ又は全部のグループのためのチューブの香りを含んだ空気を噴出するための端部を、
図1に示す開口領域68の内側で開口70の近傍のキャップ66の表面に配置するようにしてもよい。
【0089】
今回開示された実施の形態は単に例示であって、この発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。この発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。
【解決手段】香りディスプレイは、香りカートリッジ180〜214を収容する筐体64と、香りを含む空気の噴射口を持つキャップとを含み、カートリッジは、中空部と上面とを持ち、内部に香源を有する筐体を含み、筐体は、給気口と、香りを含む空気を外に噴射する噴射口とを持ち、これらカートリッジの給気口に個別に給気する給気機構が備えられ、筐体64は、外側カートリッジ収容部と、内側カートリッジ収容部とを持ち、外側カートリッジ収容部は、外側のカートリッジの各々の幾何中心と、中心軸との距離が第1の距離となるように収容し、内側カートリッジ収容部は、内側のカートリッジの各々の幾何中心と、中心軸との距離が、第1の距離より小さな距離となるようにカートリッジを収容する。