【文献】
J. Immunol., (2012), 189, [6], p.3092-3103
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記Rv2299cとESAT−6を融合した蛋白質は、1μg/ml〜20μg/ml濃度で含まれることを特徴とする、請求項1記載の樹状細胞の成熟化誘導用組成物。
上記Rv2299cとESAT−6融合蛋白質処理後、細胞を12時間以上36時間以下で培養することを特徴とする、請求項4記載の未成熟樹状細胞の成熟化誘導方法。
上記Rv2299cとESAT−6融合蛋白質は、未成熟樹状細胞の成熟過程の間、TNF−α、IL−12p70、IL−6及びIL−1βからなる群から選択された複数の産生を増加させることを特徴とする、請求項4記載の未成熟樹状細胞の成熟化誘導方法。
上記未成熟樹状細胞の成熟は、Rv2299cとESAT−6融合蛋白質は、TLR(toll−like receptor)−4を刺激して起こることを特徴とする、請求項4記載の樹状細胞の成熟化誘導方法。
【発明を実施するための形態】
【0024】
今日まで、免疫細胞に関する免疫反応において結核菌(M.tuberculosis)から由来した蛋白質に関する多くの研究が行われてきたが、Rv2299cに関する研究は知られていない。
【0025】
未成熟な樹状細胞を成熟させて成熟樹状細胞を形成する。成熟樹状細胞は、抗原を捕獲し、同時刺激細胞表面分子及び各種サイトカインの上向き−調節された発現を示す能力を喪失する。特に成熟化された樹状細胞は、MHCI型及びII型の抗原を未熟な樹状細胞よりも高いレベルで発現させ、CD(Cluster of Differentiation)80+、CD83+、CD86+及びCD14−を調節する。より多くのMHC発現により樹状細胞の抗原密度の増加を誘導するのに対し、同時−刺激の分子CD80及びCD86の上向き調節で、T細胞上にCD28のような同時−刺激分子当量を通じてT細胞活性信号を強化する。
【0026】
本発明の成熟樹状細胞は、組み換え方法で調製されたRv2299cまたはRv2299cとESTA−6を融合した蛋白質を接触させることによって調製することができる。本発明は、Rv2299cまたはRv2299cとESTA−6を融合した蛋白質を含む組成物を介して樹状細胞の成熟を誘導化させることができる。有効な組み合わせ方法で調製されたRv2299cまたはRv2299cとESTA−6を融合した蛋白質は、これらに限定されるものではないが、Rv2299cの量1μg/mlないし20μg/ml、好ましくは5μg/mlのないし10μg/mlの濃度で組成物に含まれることができる。
【0027】
樹状細胞の成熟は、当該技術分野に公知された方法で監視することができる。細胞表面マーカーをフローサイトメトリー(flow cytometry)及び免疫組織化学法などのような当該技術分野でよく知られている黒色で検出することができる。上記細胞らもまたサイトカインの産生(例えば、ELISA、FACS、及び他の免疫試験)を介して監視することができる。
【0028】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明をさらに容易に理解できるように例示するものであって、本発明の内容が実施例により限定されるものではない。
【0029】
<実施例1>
材料及び方法
1.1 菌株とマイコバクテリウム属の調製
Mtb H37Rv(ATCC 27294)及びH37Ra(ATCC 25177)は、米国の細胞バンク(ATCC、Manassas、VA)から購入し、Mtb HM878は財団法人国際結核研究所(ITRC、Changwon、Gyeongsangnam−do、South Korea)から得た。ウシ型結核菌のBCG(パスツール菌株1173P2)は、パスツール研究所(Paris、France)のブローチ博士により提供を受けた。この研究に使用されているすべてのマイコバクテリアは、以前に説明したように、調製された(Cha et al.,2015b)。
【0030】
1.2 動物、予防接種及びエアロゾルの感染
OT−I及びOT−II T−細胞受容体(TCR)形質転換マウス(C57BL/6背景)、C57BL/6(H−2K
bとIA
b)、C57BL/6J TLR2ノックアウトマウス(TLR2
−/−;B6.129−Tlr2
tm1Kir/J)及びC57BL/10 TLR4ノックアウトマウス(TLR4
−/−;C57BL/10ScNJ)のみならず、5週〜6週齢の特定病原体不在の雌C57BL/6マウスは、ジャクソン研究所(Bar Harbor、ME、USA )から購入した。マウスは、延世大学医療研究センターのBL−3の生物災害動物施設であるバリア条件下で一定の温度(24±1°C)と湿度(50±5%)に維持される。動物には、標準化された照明制御条件(12時間ずつの明暗サイクル)の下で、水に任意に接近させ、滅菌した市販のマウスの餌を与えた。マウスは毎日監視し、この実験の間、どのマウスからも、臨床学的症状や病気が示されなかった。
【0031】
予防接種のために、マウスは、まず皮下注射(2.0×10
5 CFU /マウス)を用いてBCGパスツール1173P2で予防接種し、後−BCG免疫予防接種6週間後に、モノホスホリル脂質−A(MPL、5μg /注射)を含むジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDA)リポソーム(50μg/注射)と一緒にサブユニットワクチンを3週周期で3回投与した。最終免疫予防接種をしてから4週間後、脾臓と肺の細胞を収穫し、これを用いて、免疫原性(IFN−γの分泌物のレベルとIFN−γ−産生T細胞とAg−特異的T細胞の周期に)を調べた。サブユニットワクチン単独の予防効果を研究するため、BCG免疫法単独及びBCGプライミング−サブユニットワクチンブーストグループは、前述したようにMtb H37Rv(ATCC27294)またはMtb HN878株とガスが発生するように試験にかけられた(Cha et al.,2015b 、Lee et al.,2009)。要約すると、マウスを約200 CFUの生存可能なMtbに曝露するために空気感染装置(Glas−Col、Terre Haute、IN、USA)の吸入チャンバーに60分間、所定のH37RvまたはHN878投与量で曝露させた。後−試験を8週間または16週間の時点で、各グループで脾臓と肺の細胞を収穫し、フローサイトメトリー解析を用いて、多機能性T細胞とT細胞亜型の周期を評価した。
【0032】
1.3 抗体及び試薬
組換えマウスマクロファージ増殖刺激因子(M−CSF)、顆粒球−マウスマクロファージ増殖刺激因子(GM−CSF)、及びインターロイキン−4(IL−4)は、JWクレアジェン(Gyeonggi、Republic of Korea)から購入した。フルオレセインイソチオシアン酸塩(FITC)−アネキシンV/プロピジウムヨウ化物のキットは、研究開発システム(Minneapolis、MN、USA)から購入した。デキストラン−FITC(分子量、40,000 Da)は、シグマ(St.Louis、MO、USA)から得た。大腸菌O111:B4からの脂質多糖類は、InvivoGenから購入した(San Diego、CA、USA)。エドキシンフィルタ(END−X)とエドキシン除去樹脂(END−X B15)は、米国ACC社((East Falmouth、MA、USA)から得た。OT−Iペプチド(OVA 257−264)とOT−IIペプチド(OVA
323−339)は、PEPTRON社(Daejeon、Korea)によって合成された。抗−リン酸化されたERK1/2モノクローナル抗体、抗−ERK1/2モノクローナル抗体、抗−リン酸化されたp38モノクローナル抗体、抗−p38モノクローナル抗体、抗−NF−κB(p65)ポリクローナル抗体、抗−リン酸化されたIκB−αポリクローナル抗体、抗−IκB−αモノクローナル抗体、抗−ラミンBポリクローナル抗体及び抗−β−アクチンポリクローナル抗体は、米国のCST社(Danvers、MA、USA)から得た。HRP−結合抗−マウスIgG抗体とHRP−rhddor抗−ラビット抗体は、Calbiochem(San Diego、CA、USA)から得て、抗−β−アクチンmAb(AC−15)は、シグマから購入した。CD11c、p65、IFN−g及びCD62L標的FITC−共役mAb、IL−12p70、IL−10及びCD3標的APC−共役mAb、CD4及びCD8標的PerCP−Cy5.5−共役mAb、CD8+標的APC−Cy7−共役mAb、CD80、CD86、MHC class I、MHC class II、IFN−γ及びCD44標的フィコエリトリン(PE)−共役mAb、CD11c及びIL−2標的PE−Cy7−共役mAb、そしてCD3e標的eFluor 450−共役mAbは、e
Bioscience(San Diego、CA、USA)から購入した。フィコエリトリン(PE)−共役マウス抗−IgG1、マウス抗−IgG2a及びマウス抗−IgG2b、APC−共役マウス抗−IgG2a及びマウス抗−IgG1、FITC−共役マウス抗−anti−IgG2b、そしてPE−Cy7−共役マウス抗−IgG1及びマウス抗−IgG2bはeBioscienceから得た。これらの抗体は、イソ型対照群として使用された。TNF−α、IL−1β、IFN−γ、IL−2、IL−4、IL−6、IL−10及びIL−12p70 ELISAキットは、eBioscienceから得た。
【0033】
1.4組換え蛋白質の発現及び精製
組換えRv2299c蛋白質を産生するために、M.結核H37Rv ATCC27294ゲノムDNAをテンプレートとして使用し、次のプライマーを用いて、対応する遺伝子をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅させた:Rv2299c正方向、5’−
CATATGAACGCCCATGTCGAGCAGTTG−3’、及び逆方向、5’−
GAATTCGGCAAGGTACGCGCGAGACGTTC−3’ESAT−6正方向、5’−
AAGCTTATGACAGAGCAGCAGTGGAAT−3’、及び逆方向、5’−
CTCGAGTGCGAACATCCCAGTGACGTT−3’。Rv2299cのPCR産物は、NdeIとEcoRIで切断され、ESAT−6は、HindIIIとXhoIで切断された。この産物は、pET22b(+)ベクター(Novagen、Madison、WI、USA)に挿入され、その結果物は序列化された。組換えプラスミドは、42°Cで1分間の熱衝撃によってE.coli BL21細胞に変形された。過発現された蛋白質は、先に述べたように僅かな改変によって調整された(Cho et al.,2006)。簡略に、E.coli含有組換えプラスミドを、600nmでの光学密度(OD)が0.4〜0.5になるまで37°Cで培養した後、1mMのイソプロピル−D−チオガラクトピラノシド(IPTG;ELPIS−Biotech、Daejeon、South Korea)で誘導した。以後、細菌細胞を遠心分離で収穫し、20mMのトリス−塩化水素(pH 8.0)、0.5 Mの塩化ナトリウム、5mMのイミダゾール及び1mMのフッ化フェニルメチルスルホニル(シグマ)に懸濁させ、音波処理で溶解させた。組換え蛋白質は、調製業者の指示(Qiagen、Chatsworth、CA、USA)によりニッケル−ニトリルトリ酢酸(Ni−NTA)アガロースクロマトグラフィー解析で精製された。各精製段階を抗−His抗体(Santa Cruz)を用いてクマシ-ブリリアントブルー菌株と免疫ブロットで13.5%のドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル(SDS−PAGE)により解析した。精製された蛋白質を集め濃縮させ、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH 7.4)に対して透析した。エドキシン汚染を除去するために、透析された組換え蛋白質を、4°Cで6時間、ポリミ
キシンB−アガロース(PmB、Sigma)と培養させた。最後に、精製されたエドキシンのない組換え蛋白質を濾過滅菌し、−70°Cで凍結した。蛋白質濃度は、ウシ血清アルブミンを標準として使用し、BCA蛋白質解析キット(Pierce、Rockford、IL)で測定した。組換え蛋白質の残余LPSは、生物学的エドキシン(LAL)試験(Lonza、Basel、Switzerland)を用いて、調製業者の指示に従って決定した。組換え蛋白質の純度は、抗−ヒスチジン抗体を用いてクマシ-ブリリアントブルー(CB)染色及びウェスタンブロッドで評価した。
【0034】
1.5細胞培養
最近、説明したようにミューリン骨髄由来のDCを作製し、培養し、精製した(Byun et al.,2012b)。骨髄由来のマクロファージ(BMDMs)は、先に述べたように組換えM−CSFを用いて調製された。簡略に、C57BL/6マウスから分離された骨髄細胞は、緩衝液(塩化アンモニウム4.15g/500ml、0.01 Mトリス−塩化水素緩衝液(pH7.5±2)を溶解する赤血球(RBC)で溶解され、RPMI 1640培地で洗浄された。6−ウェル培養プレート(10
6細胞/ml、3ml/ウェル)にプレートされ、5%の二酸化炭素存在下で37°Cから100unit/mlペニシリン/ストレプトマイシン(Lonza)、10%ウシ胎児血清(Lonza)、50mMメルカプトエタノール(Lonza)、0.1mM非必須アミノ酸(Lonza)、1mMピルビン酸ナトリウム(Sigma)、20ng/ml GM−CSF及び10ng/ml IL−4(BMDC)または20ng/ml M−CSF(BMDM)で補充されたRPMI 1640培地を用いて培養された。
【0035】
1.6 細胞毒性解析
細胞毒性解析は、調製業者の指示に従って(BD Biosciences)アネキシンV/プロピジウムヨウ化物(PI)染色キットを用いて評価した。細胞は、アネキシンVとPIとしてFITC−共役で染色された。染色された細胞の解析は、FACSDivaと共にFACSCanto IIを用いて行われ、その結果は、FlowJoソフトウェアを用いて解析された(TreeStar、Ashland、OR、USA)。
【0036】
1.7 フローサイトメトリーによる表面分子発現の解析
6日目に、BMDCを収穫し、PBSで洗浄し、蛍光活性化細胞ソーター洗浄緩衝液(2%FBS及びPBS中の0.1%アジ化ナトリウム)で再懸濁した。細胞をPBSで30分間、0.5%BSAで事前培養し、PBSで洗浄した。細胞をFITC−結合抗−CD11cと共にPE−結合抗−H−2Kb(MHCクラスI)、抗−I−抗体(MHC class II)、抗−CD80及び抗−CD86で4°Cで45分間染色した。細胞をPBSで3回洗浄し、500μlのPBSで再懸濁した。蛍光発光をフローサイトメトリーで測定し、データはCellQuestデータ解析ソフトウェアを用いて解析した。
【0037】
1.8 Rv2299cによるBMDCの抗原摂取能力
BMDC(2×10
5細胞)は、37°Cまたは4°Cで45分間平衡を維持し、フルオレセイン−共役デキストランで1mg/mlの濃度でパルスされた。冷たい染色緩衝液を添加して反応を停止させた。細胞を3回洗浄し、PE−結合抗−CD11c抗体で染色した後、FACSCantoで解析した。DCに対するデキストランの非特異的な結合は、DCをFITC−共役デキストランと共に4°Cで培養することにより決定され、その結果、得られた背景値を特定の結合値から差し引いた。
【0038】
1.9 Rv2299cのLPS−汚染除去の確認
Rv2299cによって誘導されるDCの成熟が蛋白質調製におけるエドキシン汚染又はLPSに起因するものでないことを確認するために、ポリミキシンB(PmB)と前処理(Sigma)、熱変性、プロテイナーゼK(Sigma)の分解の解析を行った。DCは100ng/ml LPS及び10ug/ml Rv2299cで処理する前に、室温で1時間50μg/ml PmBで事前−培養された。熱変性のために、LPSまたはRv2299cは100°Cで1時間培養された。プロテイナーゼKの分解のために、LPSまたはRv2299cは10μg/mlの濃度で可溶性プロテイナーゼKで37°Cで1時間分解され、酵素を非活性化させるために、100°Cで15分間熱処理した後、BMDC培養液に添加された。24時間後、BMDC上清液におけるTNF−α及びIL−6レベルを、ELISAを用いて解析した。
【0039】
1.10 共焦点走査レーザー顕微鏡
DCは、ポリ−L−リジンコーティングされたガラスカバースリップに一晩中、プレーティングされた。Rv2299cで処理した後、細胞を4%のパラホルムアルデヒドで固定し、0.1%トリトンX−100を透過するようにした後、2時間室温でPBS/T含有抗−Rv2299c抗体中に2%BSAで培養する前に、2時間0.1%ツイン−20(PBS/T)を含有するPBSから2%のウシ血清アルブミン(BSA)でブロッキングされた。PBS/Tで洗浄した後、細胞を暗室で1時間Cy−3共役二次抗体に培養し、次いで室温で10分間1μg/mlのDAPIで染色した。細胞の形状及び蛍光感度は共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した(Zeiss LSM510 Meta;Carl Zeiss Ltd、Welwyn Garden City、UK)。画像はLSM510メタソフトウェアを使用して得、LSM画像のテスターを用いて処理した。
【0040】
1.11 免疫沈降反応
DC(1×10
7)を、10mg/mlのRv2299cで6時間培養し、細胞ペレットを溶解緩衝液(10mMのトリス−塩化水素(pH7.4)、1%のNP−40、0.25%のジオキシコリン酸ナトリウム、150mMの塩化水素、1mMのEDTA、1mMのPMSF、それぞれ1μg/mlのアプロチニン、ロイペプチン、及びペプスタチン、1mMのNa
3VO
4、1mMのNaF)で溶解した。非特異的な結合を防ぐために、50μlの正常血清(Santa Cruz)及び100μlの50%の蛋白質AまたはGセファロースビーズスラリー(Invitrogen、Carlsbad、CA)を1mgの細胞溶解物に添加して、細胞溶解物の安定性を事前確認した。4°Cで2時間培養した後、ビーズと細胞溶解物の混合物を、4°Cで5分間、10,000×gで遠心分離し、上清液は次の実験のために収集した。Rv2299c(His)、TLR2及びTLR4−関連蛋白質は、1時間4°Cで抗−TLR2及びTLR4に対する対照群の抗体として抗−マウスIgGと培養し、抗−Rv2299c(His)に対する対照群の抗体として抗−マウスIgGと培養した後、24時間4°Cで蛋白質AまたはGセファロースとの培養で免疫沈降された。ビーズを収穫し、洗浄し、5分間5Xサンプル緩衝液で沸かした。蛋白質は、10%のSDS−PAGEから分離され、塩化ビニリデンジフルオライド膜へ移した(Millipore)。膜は明示したとおり、抗−TLR2、TLR4、His抗体として追加で調査された。
【0041】
1.12 免疫ブロッティング解析
10μg/mlのRv2299cで刺激した後、DCを50mMのトリス−塩化水素(pH7.5)、150mM塩化水素、1%トリトンX−100、1mM EDTA、50mM NaF、30mM Na
4PO
7、1mMフェニルメタンスルホニルフルオリド、1μg/mlアプロチニン及び1mMとバナジン酸塩を含む100μlの溶解緩衝液で溶解させた。全細胞溶解物のサンプルは、SDS−ポリアクリルアミドゲルで分解され、ニトロセルロース膜に移された。膜は5%スキムミルクでブロックされ、2時間抗体と一緒に培養され、以後、室温で1時間HRP−共役二次抗体で培養された。抗体に特異的に認識されるMAPK及びNF−κBを含む標的蛋白質上のエピトープは、ECLアドバンスキットを用いて視覚化された(GE Healthcare、Little Chalfont、UK)。
【0042】
1.13 核抽出液の調製
細胞から得られた核抽出液は、次のように調製された。DCを氷の上で10分間100mlの溶解緩衝液(10mM HEPES(pH7.9)、10mM KCl、0.1mM EDTA、0.5% Nonidet P−40、1mM dithioreitol(DTT)、0.5mM PMSF)で処理した。5分間4,000rpmで遠心分離した後、ペレットを100μlの抽出緩衝液(20mM HEPES(pH7.9)、40mM塩化ナトリウム、1mM EDTA、1mM DTT、1mM PMSF)に再懸濁し、氷の上で30分間培養した。10分間12,000rpmで遠心分離した後、核抽出液を含む上清液を収集し、必要になるまで−80°Cで保存した。
【0043】
1.14 信号伝達経路解析のための薬理学的阻害剤におけるDC処理
すべての薬理学的阻害剤は、Calbiochemのを購入した。ジメチルスルホキシド(Sigma)は、0.1%(vol/vol)で溶媒対照群として培養に追加された。DCをPBSで洗浄し、24時間Rv2299cで処理する前に1時間、グルタミン含有RPMI 1640培地で阻害剤で事前処理した。阻害剤は次の濃度で使用された:U0126(10μM)、SB203580(20μM)、SP600125(10μM)及びBay11−7082(20μM)。阻害剤を用いたすべての実験において、試験濃度はMTT解析を用いてDCの生存力を評価する、細心の適正実験後に使用された。
【0044】
1.15 生体外Υ細胞増殖反応の測定法
ナイーブT細胞反応に関与する反応性T細胞は、BALB/cマウスから調製した全単核細胞からMACSカラム(Miltenyi Biotec)を用いて単離した。OVA−特異的CD8
+及びCD4
+反応性T細胞いずれもOT−1とOT−2マウスそれぞれの脾臓細胞から得た。これらのT細胞は、先に説明したように、1μMのCFSE(Invitrogen)で染色した(Jeong et al.,2009)。10μg/mlのRv2299c存在下、24時間、OVAペプチドで処理されたDC(ウェル当たり2×10
5細胞)は、CFSE−染色されたCD8
+及びCD4
+T細胞(2×10
6)で、DCとT細胞率1:10で共培養された。共培養3日または4日目に、それぞれのT細胞をPerCP−cy5.5−結合抗−CD4
+mAb、PE−cy5−結合抗−CD4
+mAb、PE−cy5−結合抗−CD8
+mAb、Alexa647−結合抗−CCR3mAbまたはPE−結合抗−CXCR3mAbで染色し、フローサイトメトリーで解析した。上清液を収穫し、ELISAを用いて、IFN−γ、IL−2及びIL−4の産生を測定した。
【0045】
1.16 効果/記憶Υ細胞活性化の解析
前述したように、同種T細胞反応に関与する反応性T細胞は、結核菌−感染BALB/cマウスから調製された全単核細胞からMACSカラム(Miltenyi Biotec)を用いて隔離された。APC−結合抗−CD3mAb(BD Biosciences)への染色は、産生が主にCD3
+細胞(>95%)からなることを明らかにした。大規模の洗浄後、野生型(WT)、TLR2
-/-及びLR4
-/-C57BL/6マウスから調製したDC(ウェル当たり2×10
5細胞)は、24時間Rv2299cで処理され、DCのT細胞率が1:10になるように2×10
6の同種反応性T細胞(結核菌−感染T細胞)で共培養された。共培養4日目に、細胞をPerCP−cy5.5−結合抗−CD4
+mAb、PerCP−cy5.5−結合抗−CD8
+mAb、FITC−結合抗−CD62LmAb及びPE−結合抗−CD44mAbで染色し、フローサイトメトリーで解析した。
【0046】
1.17 サイトカイン測定
サンドイッチ酵素結合免疫吸着検査(ELISA)は、先に説明したように培養上清液のIL−6、IL−1β、TNF−α、IFN−γ、IL−4、IL−2、IL−12p70及びIL−10を検出するために使用された(Byun et al.,2012b)。予防接種した、または感染したマウスの肺から調製された単細胞はPPD(2μg/ml)を、または抗原−特異的CD4またはCD8T細胞ペプチド(2μg/ml)を37°Cで24時間刺激した。培養上清液におけるIFN−γサイトカインレベルは、調製業者のプロトコルに従って、市販のELISAキット(eBioscience)を用いて測定した。
【0047】
1.18 細胞内のサイトカイン解析
細胞は、4°Cで15分間、10%(vol/vol)正常ヤギ血清でまずブロックし、4°Cで30分間FITC−共役CD11c
+抗体で染色した。適切なイソタイプ−マッチされた免疫グロブリン(Ig)で染色した細胞を陰性対照群として使用した。細胞を、調製業者の指示に従って使用されたサイトフィックス/サイトパームキット(BD Biosciences)で固定して透過されるようにした。細胞内IL−12p70、IL−10、IL−2、IL−4及びIFN−γは、フルオレセイン−結合抗体(BD Biosciences)で透過緩衝液で検出された。純粋な蛋白質誘導体(PPD)は、AerasのBrennan博士によって提供された(Rockville、MD)。細胞内サイトカイン染色のために、予防接種された動物(2×10
6細胞)から得られた単一細胞懸濁液は、PPD(2μg/ml)を、抗原−特異的CD4またはCD8T細胞ペプチド(2μg/ml)でGolgiStop存在下で37°Cで12時間刺激された(BD Biosciences)。HN878チャレンジ後、細胞内サイトカイン染色のための刺激剤としてPPDを単独で使用した。細胞は、4°Cで15分間Fcブロック(抗−CD16/32)に優先ブロッキングされ、4°Cで30分間BV421−結合抗−CD3、PerCp−Cy5.5−結合抗−CD4、APC−Cy7−結合抗−CD8及びFITC−結合抗−CD62L抗体で染色された。細胞を、調製業者の指示に従って使用されたサイトフィックス/サイトパームキット(BD Biosciences)で固定して透過されるようにした。細胞内TNF−α、IL−2及びIFN−γは、透過緩衝液においてAPC−結合抗−TNF−α、PE−Cy7−結合抗−IL−2及びPE−結合抗−IFN−γ抗体を用いて検出された。すべての抗体は、特に指定されない限りeBioscience(San Diego、CA)で購入した。細胞はFACSverseフローサイトメトリーで、市販で購入可能なソフトウェアプログラムFlowJoを用いて解析された(Treestar、Inc.、San Carlos、CA)。
【0048】
1.19 細菌数及び組織病理学的解析
最終の予防接種後、そしてHN878チャレンジ16週間後、1グループ当たり6〜7匹のマウスを二酸化炭素で安楽死させ、その肺と脾臓を均質化した。生菌数は、臓器(左肺及び脾臓の半分)ホモジネートの連続希釈によりミドルブルック7H11寒天(Difco Laboratories、Detroit、MI)にプレーティングすることにより決定され、これは10%OADC(Difco Laboratories)、アムホテリシンB(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)、及び2μg/mlの2−チオフェンカルボン酸ヒドラジド(Sigma−Aldrich)で補充された。群体は37°Cで4週間培養した後、計数した。組織病理学的解析のために、右肺の上葉はヘマトキシリン及びエオシンで染色され、炎症の重症度について評価した。前述のように(Cha et al.,2015a)、肺における炎症レベルは、ImageJ(National Institutes of Health、Bethesda、ML)ソフトウェアプログラムを用いて評価した。さらに、炎症反応は、病変の大きさ及び免疫細胞の構成に基づいて評価した。CFUに対するデータ及び肺の炎症は、メディアンlog
10CFU±四分位範囲(IQR)で報告された。
【0049】
1.20 統計分析
すべての実験は少なくとも3回繰り返して行い、一貫した結果を得た。サンプル間の比較に対する重要度レベルは、統計的ソフトウェア(GraphPad Prism Software、version 4.03; GraphPad Software、San Diego、CA)を用いて、トルコの多重比較試験分散で決定された。グラフ内のデータは、平均±SEMで示した。
*p<0.05、
**p<0.01または
***p<0.001のそれぞれの値は、統計的に有意なものとみなされた。
【0050】
<実施例2>
組換えRv2299c蛋白質は、樹状細胞(DC)の成熟及び活性化を誘導する。
2.1 実験方法
(A)(a)Rv2299cは、6時間1mMのイソプロピルβ−D−チオガラクトシド(IPTG)の補充によりE.coli BL21で正常に誘導された。蛋白質は、封入体で主に局在化された。N−末端His−タグRv2299cの分子量は、SDS−PAGEによる72kDaに近かった(M:分子量マーカー;レーン1:非誘導:レーン2、誘導)。組換えRv2299cは、BL21細胞で産生され、NTA樹脂で精製された。精製された蛋白質は、1:1000のマウス抗−His抗体を用いて、(b)SDS−PAGEと(c)ウェスタンブロット解析に用いられた。(B)BMDCは1、5または10μg/mlのRv2299cで30分間処理され、以後24時間LPSの存在と不在下で培養された。細胞は、37℃で30分間、そして4℃で30分間デキストラン(FITC)で培養され、デキストラン(FITC)摂取のFAC解析で評価された。デキストラン(FITC)−陽性CD11c(PE)−陽性細胞率が示されている。結果は、4つの実験結果を代表する。バーグラフは、3つの独立した実験のデキストラン−FITC−陽性CD11c
+細胞率の平均±SEMを示し、統計的有意性(
***p<0.001)は、対照群と比較して処理に関して示す。(C)BMDCは1、5または10μg/ml Rv2299cの存在下で24時間培養しており、2色フローサイトメトリーによって解析した。細胞は、CD11c細胞を排除するために、ゲートされた。培地:未処理対照群;LPS:陽性対照群(100ng/mlLPS)のDCは、抗−CD80、抗−CD86、抗−MHCクラスIまたは抗−MHCクラスIIで染色された。結果は、3つの実験結果を代表する。平均蛍光強度は、上記のグラフから算出した。それぞれのバーは、サンプルの平均蛍光レベルを示す。データは、平均±SEM(n=5)で表示される。未処理対照群と比較して
*p<0.05、
**p<0.01と
***p<0.001。(D)BMDCは1、5または10μg/ml Rv2299cと100ng/ml LPSで24時間刺激した。TNF−α、IL−6、IL−1β、IL−12p70及びIL−10の産生についての解析は、ELISAで測定した。結果は行われた3つの実験を代表する一つの実験から得られたものである。データは、平均±SEM(n=5)で表示される。
未処理対照群と比較して
*p<0.05、
**p<0.01及び
***p<0.001。(E)細胞内サイトカイン染色によってCD11c+DC内のIL−12p70及びIL−10の発現解析。
【0051】
2.2 実験結果の解析
マイコバクテリアHSPファミリーのうち、Rv2299c蛋白質の免疫学的役割についての情報はほとんどない。本発明者らは、E.coli BL21内組換えRv2299c蛋白質を精製して、それの免疫反応を調べた。Rv2299cの純度はSDS−PAGE及びウェスタンブロット解析(
図1a)で評価した。調製されたRv2299cエンドトキシン含有量は、LAL解析で15pg/mlの(<0.1UE/ml)を未満であった。DCとマクロファージは、マイコバクテリアの予防免疫反応の開始及び活性化に重要な役割を果たす。したがって、本発明者らは、マクロファージ活性化またはDC成熟に対するRv2299cの効果を調べた。Rv2299cはさらなるマクロファージ活性化を誘導しなかった。DC成熟のマーカーとしての食作用活性は、デキストラン−FITCを曝露させることによって決定した。二重陽性細胞(CD11c
+及びデキストラン−FITC−陽性)は、陽性対照群として使用されるRv2299cまたはLPSで処理されたDCで減少し、これは蛋白質による食作用活性の減少と機能成熟の強化を示す(
図1b)。さらに、24時間Rv2299c処理したDCは、MHCクラスI及びII分子とCD80及びCD86のような同時刺激分子の発現を用量依存的に大幅に向上させた(
図1c)。このような結果は、Rv2299cがDC成熟を効果的に誘導することを示唆する。
【0052】
次に、本発明者らはRv2299c−媒介性DC成熟が前炎症性または抗炎症サイトカインの分泌と結合されたかを解析した。
図1dに示すように、Rv2299cは、高レベルのTNF−α、IL−6及びIL−1βを分泌するために、DCを大きく刺激したのに対し、未処理のDCは無視できる程度のサイトカインを分泌した。以後、本発明者らは、T細胞−媒介性免疫反応の発達に重要な効果を有するIL−12p70及びIL−10の産生を決定した。LPSとは異なり、Rv2299cはIL−10ではないIL−12p70の分泌を大きく誘導した(
図1d)。FACS解析において、IL−10陽性細胞において、どのような変化も見られなかったのに対し、未処理DCに対して得られた結果と比較してRv2299c処理されたDCからIL−12p70−陽性細胞率が増加したことを示している(
図1e)。内毒素含有量が組換え蛋白質を調製するすべての時間を決定したが、本発明者らは、DC成熟を誘発するRv2299c能力がLPS汚染によらないことをプロテイナーゼKまたは熱変性処理を介して確認した(
図2)。また、ポリミキシンBの処理がRv2299c活性に影響を与えていないのに対し、LPS活性は、ポリミキシンBに大きく抑制された。このような点から見たとき、これらの結果は、Rv2299cがDCから前炎症性サイトカイン分泌を誘導し、このようなRv2299c−成熟DCがTh1型免疫反応を促進することができることを示唆している。
【0053】
<実施例3>
Rv2299cはTLR4経路を介して樹状細胞(DC)の成熟を誘導する。
3.1実験方法
(A)バーグラフは、WT、TLR2/及びTLR4/マウスに由来するRv2299c−処理CD11c+−ゲートされたDCにおけるCD86またはMHCII発現を示す。WT、TLR2/及びTLR4/マウスに由来するDCは、24時間Rv2299c(10μg/ml)で処理された。陽性細胞率は、各パネルに表示される。バーグラフは、3つの独立した実験からCD11c+細胞の各表面分子に対する比率の平均±SEMを示す。
【0054】
統計的有意性(
***p<0.001)は、Rv2299c−処理されたTLR2/対Rv2299c−処理されたWT DCで表示される。すべてのデータは、平均±SD(n=3)として表示され、統計的有意性(
***p<0.001)は、Rv2299c−処理されたWT DCと比較して処理のために表示される。(B)WT、TLR2/及びTLR4/マウスから由来したDCは、24時間Rv2299cまたはLPSで処理される。WT、TLR2/及びTLR4/マウスから由来したRv2299c−またはLPS−処理されたDCにおけるTNF−α、IL−6、またはIL−1βの産生は、ELISAで測定した。すべてのデータは、平均±SD(n=3)で表示され、統計的有意性(
***p<0.001)は、Rv2299c−処理されたWT DCと比較して処理のために表示される。(C)WT、MyD88/及びTRIF/マウスから由来するDCは、24時間Rv2299c(10μg/ml)、及びLPS(100ng/ml)で処理された。WT、MyD88/及びTRIF/マウス由来のRv2299c−またはLPS−処理されたDCにおけるTNF−α、IL−6、またはIL−1βの産生は、ELISAによって測定した。すべてのデータは、平均±SD(n=3)で表示され、統計的有意性(
***p<0.001)は、Rv2299c−処理されたWT DCと比較して処理のために表示される。(D)Rv2299c−処理されたDCと結合された抗−Rv2299cの蛍光強度。WT、TLR2/及びTLR4/マウス由来のDCは、1時間Rv2299c(10μg/ml)で処理され、固定され、DAPI及びCy3−結合抗−His抗体(スケールバー:10μm)で染色された。(E)WT、TLR2/及びTLR4/マウス由来のBMDCは、1時間Rv2299c(10μg/ml)で処理され、Alexa488−結合抗−His mAbで染色された。陽性細胞率は、各パネルに表示される。バーグラフは、3つの独立した実験から得られたCD11c+細胞内のRv2299c−Alexa488の比率の平均±SEMを示す。統計的有意性(
***p<0.001)は、Rv2299c−処理されたWT DCと比較してRv2299c−処理されたTLR4/のために表示される。(F)抗−His、抗−TLR2または抗−TLR4抗体で
免疫沈降反応(IP)及び抗−His、抗−TLR2または抗−TLR4抗体で免疫ブロッティング法。DCは6時間Rv2299c(10μg/ml)で処理された。細胞は収穫し、細胞溶解物は、抗−マウスIgG、抗−マウスIgG、抗−His、抗−TLR2または抗−TLR4で免疫沈降された:その後、蛋白質は抗−His、抗−TLR2または抗−TLR4抗体で免疫ブロッティングして視覚化された。総計は、平均総細胞溶解物を指す。
【0055】
3.2実験結果に対する分析
トル様受容体(TLRs)経路を介してDCを活性化させるいくつかのMtb構成要素が確認された(Harding and Boom、2010)。したがって、本発明者らは、DC中のTLRによってRv2299cが認められ得るのか、そしてこれにより、活動ができるのか、調ベた。表面分子(
図3a)及び前炎症性サイトカイン(
図3b)の発現は、野生型(WT)またはTLR2
−/−マウスから得られたDCと比較して、TLR4
−/−マウスから得られたDCにおいて大きく抑制された。これはRv2299cがTLR4に対する作用剤となり得ることを意味する。MyD88は、すべてのTLRの共通したアダプタ分子であるのに対し、TRIFはMyD88−独立とした信号伝達経路のTLR4−媒介活性化に不可欠である(Takeda et al.,2003)。WT、MyD88
−/−及びTRIF−欠乏マウスから得られたDCにおける前炎症性サイトカイン産生の決定は、MyD88−及びTRIF−依存性経路がTNF−α、IL−6及びIL−1βのRv2299c−誘導産生に関与していることを示唆する(
図3c)。次に、本発明者らはRv2299cがDCにおいてTLR4分子と相互作用するか否かを調べた。Cy3−結合抗−Rv2299c多クローン性抗体を有する共焦点顕微鏡は、Rv2299cがTLR4
−/−DCでないWT及びTLR2
−/−から得られたDCの表面に優先的に結合することを示す(
図3d)。また、Rv2299cとTLR4分子間の結合は、FACS解析によって確認された(
図3e)。Rv2299cとTLR4との間の相互作用を確認するために、本発明者らは、抗−TLR2または抗−TLR4抗体及びAnti−His抗体について免疫沈降解析を行った。
【0056】
本発明者らは、Rv2299cがTLR2でないTLR4と結合することを発見した(
図3f)。これらの結果は、Rv2299cがTLR4−依存的な方法でDC成熟を誘導することにより、細胞表面分子と前炎症性サイトカインの発現の増加を起こしていることを説明する。
【0057】
<実施例4>
MAPK及びNF−κB経路はRv2299c−媒介樹状細胞(DC)成熟と関連している。
4.1 実験方法。
(A)DCは10μg/ml Rv2299c蛋白質で処理され、蛋白質の発現は、経時的に示される。細胞溶解物は、SDS−PAGEに置かれ、免疫ブロット解析は、ホスホp38(p−p38)、p38、ホスホERK1/2(p−ERK1/2)、ホスホIκB−a、IκB−a及びp65 NF−κBに特異的なそれぞれの抗体を用いて行われた。(B)DCにおいてNF−κBのp65サブユニットの細胞局在化のRv2299cの効果。DCは覆われたガラスチャンバースライドにプレーティングされ、1時間Rv2299cで処理された。刺激後、細胞内NF−κBのp65サブユニットの免疫反応性は、「材料及び方法」にて説明したように、免疫蛍光法によって決定された。(CD)DCは10μg/ml Rv2299c蛋白質で24時間処理される前、1時間p38(SB203580、20μM)、ERK1/2(U0126、10μM)、JNK(SP600125、20μM)、Bay11−7082(20μM)またはDMSO(車両制御)の薬理学的阻害剤で処理された。CD80及びCD86の発現は、フローサイトメトリーによって解析された。バーグラフはCD11c+細胞のそれぞれの表面分子に対する比率(3つの別々の実験に対する平均±SEM)を示す。培養培地でTNF−a、IL−6及びIL−1βの量はELISAで測定した。平均±SEMは、3つの独立した実験を示し、統計的有意性(
*p<0.05、
**p<0.01または
***p<0.001)は、Rv2299c−処理された対照群と比較して処理のために表示される。
【0058】
4.2 実験結果に対する分析。
MAPK及びNF−κBは、DC成熟と前炎症性サイトカインの分泌を調節するための重要な信号伝達分子である(Bansal et al.,2010b、Pathak et al.,2007)。したがって、本発明者らはRv2299cに対する応答としてMAPKとNF−κBの活性化を調べた。予想通り、Rv2299cはp38及びERK 1/2のリン酸化とDCにおいてIκB−αのリン酸化と低下を誘発し(
図4a)、p65のシートゾルから核への重要な位置変更を誘導した(
図4b)。Rv2299c−誘導前炎症性サイトカインの産生及び同時刺激分子の発現におけるMAPK及びNF−κBの役割を確認するために、Rv2299cに曝露する前に、1時間DCをp38阻害剤(SB203580)、ERK1/2阻害剤(U0126)、JNK阻害剤(SP600125)、またはNF−κB阻害剤(Bay 11−0782)で前処理する。JNK阻害剤を除くすべての薬理学的阻害剤は、DC表面上において同時刺激分子のRv2299c−誘導発現(
図4c)及び前炎症性サイトカインの産生(
図4d)を大きく廃止した。これらの研究結果から、本発明者らはMAPK及びNF−κB信号伝達経路が前炎症性サイトカインの産生及びRv2299cによって誘導されたDC成熟マーカー発現に不可欠であることを知ることができる。
【0059】
<実施例5>
Rv2299c−成熟樹状細胞(DC)がナイーブT細胞の増殖を誘導する。
5.1 実験方法
(A)形質転換OVA−特異的CD8+T細胞及び形質転換OVA−特異的CD4+T細胞を分離し、CFSEで染色し、Rv2299c(10μg/ml)またはLPS(100ng/ml)で処理されたDCで96時間、共培養し、OVA−特異的CD8+T細胞についてはOVA257264(1μg/ml)に、またはOVA−特異的なCD4+T細胞にはOVA323339(1μg/ml)に、それぞれパルスされた。T細胞単独及び未処理DCにおける共培養されたT細胞が対照群としての役割をした。OT−I+及びOT−II+T細胞の増殖は、フローサイトメトリーによって評価された。(B)24時間後、収穫された培養上清液とIFN−γ、IL−2とIL−4は、ELISAによって測定された。平均±SEMは、3つの独立した実験について示しており、統計的有意性(
*p<0.05)は、適切な対照群(T細胞/OVA257264パルスされたDCまたはT細胞/OVA323339パルスされたDCs)と比較して、処理のために表示される。顕著な効果がない処理はnsと表示される。
【0060】
5.2 実験結果に対する解析
DCとT細胞間の相互作用についてのRv2299c活性の特徴を正確に説明するために、本発明者らはOT−IT細胞受容体(TCR)形質転換CD8+T細胞及びOT−IITCR形質転換CD4+T細胞を用いて同系のMLR解析を行った。OVA
257−264またはOVA
323−339とパルスされたDCは、72時間形質転換CFSE−標識OVA−特異CD4+またはCD8+T細胞と共培養した。Rv2299c−またはLPS−処理されたDCは、未処理DCに比べて著しく大きいほどの T細胞の増殖を誘導した(
図5a)。また、Rv2299c−処理されたDCとパルスされた処女CD4+及びCD8+T細胞は、未処理DCよりもはるかに高いIFN−γ及びIL−2レベルで産生されたのに対し(p<0.05−0.01)、IL−4分泌は、Rv2299c刺激とは無関係に増加しなかった(
図5b)。これらの結果は、Rv2299c−処理されたDCがナイーブT細胞の増殖をTh1表現型に誘導することを示唆する。
【0061】
<実施例6>
Rv2299c−成熟樹状細胞(DC)が効果/記憶T細胞集団の拡大を誘導した。
6.1実験方法
(A)結核菌−感染BALB/cマウスから用意されたT細胞。DCを24時間10μg/ml Rv2299c蛋白質で培養した。Rv2299c−成熟したDCを洗浄し、同種T細胞とDC対T細胞率1:10で3日間共培養した。脾臓細胞が抗−CD4、抗−CD8mAb、抗−CD62L及び抗−CD44mAbで染色された。 棒グラフは 、脾臓からのCD62L
lowCD44
highT細胞を示す。バーグラフは、3つの独立した実験においてCD4+/CD8+CD44
high及びCD4+/CD8+CD62L
lowT細胞率(平均±SEM)を示す。(B)CD3+/CD4+及びCD3+/CD8+細胞におけるIFN−γ、IL−2またはIL−4発現は、細胞内IFN−γ、IL−2またはIL−4染色によってRv2299c−パルスされたDCまたはLPS−パルスされたDCで共培養された腸内のリンパ節のT細胞で解析された。T細胞の二重−陽性細胞率は、右上隅に示し、結果は3つの独立した実験を表す。統計的有意性(
**p<0.01または
***p<0.001)は、未処理DCと比較して比較のために示し、顕著な効果がないのはnsと示す。
【0062】
6.2 実験結果に対する解析
Rv2299c−刺激DCが特にMtbに感染したマウスから得られたCD4+を刺激することができる能力に反映されているかどうかを評価するために、本発明者らは、フローサイトメトリーを用いてRv2299c−処理されたD Cにより誘導されたCD4+脾臓T細胞におけるCD62LとCD44の発現の変化を解析した。DCはWT、TLR2
−/−またはTLR4
−/−マウスの骨髄から調製され、Rv2299cまたはLPSで成熟された。感染したマウスから得られたRv2299c−成熟DC及び同系CD4+T細胞の両方を72時間共培養した後、TLR4
−/−マウスではないWTまたはTLR2
−/−マウスから得られたRv2299c−成熟DCが対照DCまたはLPS−処理されたDCに比べてCD4+T細胞中で大きく下向き調節されたCD62L及び上向き調節されたCD44発現を示す(
図6a)。CD4−IFN−γまたはCD4−IL−2陽性細胞率は、対照DCまたはLPS−処理されたDCに比べて、TLR4
−/−マウスではないWTまたはTLR2
−/−マウスから得られたRv2299c−成熟DCと共培養したときにはるかに高かった(
図6b)。加えて、CD4−IL−4陽性細胞は、抗原刺激されたDCと共培養によって増加されなかった。これらのデータは、Rv2299c−成熟DCが効果/記憶T細胞の拡大を誘導し、TLR4−依存的方法でTh1免疫反応を駆動することを示唆する。
【0063】
<実施例7>
Rv2299c−成熟樹状細胞(DC)によって活性化されたΥ細胞は、細胞内のMtb成長を抑制する。
7.1 実験方法
BMDMは4時間H37Rv(MOI=1)で感染した。その後、感染したBMDMは、2時間アミカシン(200μg/ml)で処理され、PBSを用いて2回洗浄した。その後、前に調製された混合物を、それぞれのシェルに追加させてプレートを3日間培養した。混合物は、DC対T細胞率1:10で3日間CD4+T細胞で共培養された抗原活性化されたDCであった。抗原を活性化したDCは、LPS(100ng/ml)及びRv2299c(10μg/ml)をした。(A)感染されたマクロファージでMtbの数。(B)上清液は、ELISAを用いて解析された。表示されるデータは、平均値±SD(n=3)であり;
*p<0.05、
**p<0.01または
***p<0.001=処理済み細胞対未処理細胞に対する有意性。顕著な効果がない処理はnsと示す。
【0064】
7.2 実験結果に対する解析
Rv2299c−成熟DCが実際にMtbを制御する役割をしていることを確認するために、本発明者らはRv2299c−成熟DCによって活性化されたT細胞がマクロファージにおける殺菌作用を向上させることができるかを調べた。感染していないマウスから得られた処女脾臓T細胞は、72時間Rv2299c−成熟DCと共培養することにより活性化され、以後、Mtb−感染されたBMDMに添加された。
図7に示すように、非活性化T細胞の単純付加が細胞内のMtb成長を相当部分抑制した。興味深いことに、Rv2229c−刺激DCによって活性化されたT細胞は、非活性化T細胞またはLPS−刺激DCによって活性化されたT細胞に比べてMtb成長が大きく抑制された。抗−結核活性と関連する前炎症性サイトカイン、IFN−γ及びIL−17は、非活性化T細胞またはLPS−刺激DCによって活性化されたT細胞に比べてRv2299c−刺激DCによって活性化されたT細胞を添加したとき顕著に調製された。これはMtb成長抑制が、これらのサイトカインの産生と関連していることを示している(
図7)。この結果は、Rv2299c、DC成熟を介して殺菌活性を有するT細胞の活性化を誘導することを示唆する。
【0065】
<実施例8>
Rv2299cとESAT−6融合蛋白質は、ESAT−6免疫反応を強化する。
8.1 融合蛋白質は、樹状細胞(DC)成熟を誘導することを確認するための実験方法
(A)BMDCは1、2、5、10または20μg/mlESAT−6または融合蛋白質の存在下で24時間培養され、フローサイトメトリーで解析した。スタウロスポリンは陽性対照群であった。DCは抗−CD11c、アネキシンV及びPIで染色された。各四分画領域における陽性細胞(アネキシンV−及びPI−染色された細胞)の比率が示されている。結果は、3つの実験を代表する。(B)BMDCは1、5または10μg/mlの融合蛋白質、2μg/ml ESAT−6または10μg/ml Rv2299cの存在下で24時間培養しており、2色のフローサイトメトリーで解析した。細胞は、CD11c細胞を排除するために、ゲートされた。DCは抗−CD40、抗−CD80、抗−CD86または抗−MHCクラスIIで染色された。結果は、3つの実験の結果を代表する。平均蛍光強度は、上記のグラフから算出した。それぞれのバーは、サンプルの平均蛍光レベルを示す。データは、平均±SEM(n=5)で示される。未処理対照群、ESAT−6またはRv2299cと比較して
*p<0.05、
**p<0.01と
***p<0.001。(C)上清液は、ELISAで測定した。結果は行われた3つの実験のうちの一つの代表実験による。データは、平均±SEM(n=5)で示される。未処理対照群、ESAT−6またはRv2299cと比較して
*p<0.05、
**p<0.01と
***p<0.001。
【0066】
8.2 融合蛋白質によるマクロファージ内のMtb成長を抑制することを確認する実験方法。
BMDMは、4時間H37Rv(MOI=1)で感染した。その後、感染したBMDMは、2時間アミカシン(200μg/ml)で処理され、PBSを用いて2回洗浄した。その後、以前に調製された混合物を、それぞれのウェルに追加させてプレートを3日間培養した。混合物は、DC対T細胞率1:10で3日間CD4+T細胞で共培養された抗原活性化されたDCであった。抗原を活性化するDCは、ESAT−6(2μg/ml)、Rv2299c、及び融合蛋白質(10μg/mlの)であった。(A)感染されたマクロファージにおけるMtbの数。(B)上清液は、ELISAを用いて解析された。表示されるデータは、平均値±SD(n=3)であり;
*p<0.05、
**p<0.01または
***p<0.001=処理済み細胞対未処理細胞に対する有意性。顕著な効果がない処理はnsと示す。
【0067】
8.3 実験結果に対する分析
本発明者らは、DC−活性化蛋白質がT細胞−刺激抗原の予防免疫を向上させることができると仮定した。これを検証するため、主要なT細胞ワクチン候補であるESAT−6がE.coli中のRv2299cに融合された蛋白質で発現させて精製させ、これの免疫原性を調べた。まず、本発明者らはアネキシンVとプロピオンロジウムヨウ化(PI)染色によってBMDMにおける組換えRv2299c−融合ESAT−6の細胞毒性を決定した。ESAT−6は5μg/mlより高い値で、細胞毒性を示したが、融合蛋白質は、10μg/mlで毒性を示さなかった(
図8a)。したがって、その後の実験でESAT−6を2μg/ml濃度で使用した。同時刺激及びMHC分子の発現とTNF−α、IL−1β、及びIL−12などの前炎症性サイトカインの産生は、単一蛋白質に比べて融合蛋白質で刺激されたDCで大幅に増加した(
図8B)。次に、本発明者らは融合蛋白質熟成DCによって刺激されるT細胞の殺菌活性を決定した。
図9Aに示すように、T細胞もDCもないBMDMに比べESAT−6刺激DCに活性化されたT細胞の添加により細胞内のMtb成長が大きく抑制されたが、Rv2299c−刺激DCまたは融合蛋白質−刺激DCによって活性化されたT細胞は、他の条件に比べて細胞内のMtb成長を大きく抑制させた。IFN−γ及びTNF−αなどの前炎症性サイトカインの高産生は、Mtb−感染BMDMが融合蛋白質−刺激DCによって活性化されたT細胞と共培養されたときに現れた(
図9b)。
【0068】
<実施例9>
Rv2299c、ESAT−6融合蛋白質は、高病毒性 Mtb HN878株の有意なBCGプライムブースト効果を誘導する。
9.1 実験方法
(A)免疫接種スケジュールと実験のデザイン、(B)Mtb HN878へチャレンジ後16週間の時点で、BCG単独、蛋白質単独、BCG/Rv2299c+ESAT−6融合蛋白質及びサプリメント対照群(MPL−DDAのみ)で予防接種したマウスの肺腸から細菌増殖程度の差が示される。(C)Mtb HN878(n=6動物/グループ)とのチャレンジ後16週の時点で予防接種したそれぞれのマウスから得た肺の部分は、H&Eで染色した。(D)肺組織切片における炎症組織部位の百分率。G1:感染対照、G2:MPL/DDA接種対照、G3:BCG単独、G4:BCG/Rv2299c+ESAT−6/MPL−DDA融合蛋白接種、G5:ESAT−6/MPL−DDA接種群。MPL−DDA−単独グループと比較して
*p<0.05、
**p<0.01及び
***p<0.001。
【0069】
9.2 実験結果に対する解析
最後に、本発明者らはRv2299c+ESAT−6融合蛋白がTBに対するワクチンの可能性があるか、評価した。本発明者らは、まず、Rv2299c蛋白質単独のワクチン効果をMtbエドマン(Erdman)菌株を活用して、マウスモデルで評価した。しかし、肺と脾臓における細菌の負担の減少という観点からRv2299c/MPL−DDA接種は、エドマン菌株に対して意味のある防御効果を示さなかった。
【0070】
次に、本発明者らは高病原性結核菌株であるMtb HN878チャレンジモデルにおいて、Rv2299c+ESAT−6融合蛋白がBCG−プライムブースターとして可能性があるか、評価した。以前の研究では、マウスのBCG単独予防接種後−感染10週間後にMtb H37RvよりW−Beijing分離菌株についてあまり予防することがないことが分かった(Lopez et al.,2003)。したがって、前述したように、W−Beijingファミリーの一つである臨床高病毒性HN878菌株を用いて、マウスモデルで蛋白質のワクチン効能を検証した(Cha et al.,2015b)。最終のワクチン接種後4週間後、本発明者らは、マウスをMtb HN878株でチャレンジし、16週間の時点で肺内の細菌負荷を決定した(
図10a)。
図10bに示すように、サプリメント対照群と比較してBCG単独で使用され、ESAT−6及びRv2299c+ESAT−6融合蛋白質共々、肺内の細菌負荷を大幅に減少させた。BCG単独と融合蛋白質は、同様の予防効果を示し、ESAT−6予防接種が肺からより高い細菌負荷を示した。しかし、この3つのワクチンは、大きな違いを示さなかった。本発明者らはまた、BCGワクチンをブーストするために融合蛋白質の能力を調べた。感染後16週間後、融合蛋白質−ブーストマウスがBCG−ワクチンマウスに比べてかなり低い細菌数を示した。本発明者らはまた、予防接種後の肺の炎症を評価した。チャレンジ後16週間の時点で、Rv2299c+ESAT−6融合蛋白質−予防接種グループは、BCG対照群に比べて顕著に減少された肺の炎症を示した(p<0.01)。全体として、Rv2299c+ESAT−6融合蛋白質が長期間の細菌が減少するという観点から、HN878菌株チャレンジに対して予防効果を示した。加えて、チャレンジ16週間の時点で、Rv2299c+ESAT−6融合蛋白質−予防接種グループは、感染対照群に比べて顕著に減少された肺の炎症を示した(p<0.01)(
図10c及び10d)。
【0071】
<実施例10>
Mtb HN878に感染したマウスから抗原特異的Th1免疫反応の免疫原性
10.1 免疫性を有するマウスの肺における抗原−特異的多機能性T細胞の誘導を確認するための実験方法。
マウスの各グループは、材料及び方法で説明したように、予防接種されて犠牲にさせた。最終の予防接種4週間後、マウス(n=6)の各グループは、安楽死させ、その肺の細胞は、GolgiStop存在下37°Cで12時間、表示された抗原で刺激された。予防接種されたマウスの肺から分離された細胞内のIFN−γ、TNF−α、及び/またはIL−2を産生する抗原特異的CD4+T細胞率は、多色のフローサイトメトリーでCD4+リンパ球についてゲーティングし解析された。パイチャートは、IFN−γ、TNF−α及び/またはIL−2を共発現する細胞の平均回数を示す。データは、各グループで5匹のマウスから得た平均±SDで示し、独立標本t試験は、有意性を決定するために使用された。MPL−DDA−単独グループと比較して
*p<0.05、
**p<0.01及び
***p<0.001(独立標本t試験)。
【0072】
10.2 結核菌HN878株でチャレンジした後、脾臓における多機能性T細胞の維持を確認するための実験方法。
感染16週間後、各グループ(n=6)のマウスは安楽死させ、その脾臓細胞(2.0×10
6細胞)は、GolgiStop存在下で37°Cで12時間、それぞれの抗原(5μg/ml)で刺激された。マウスの各グループの肺から分離された細胞内のIFN−γ、TNF−α及び/またはIL−2を産生する抗原特異的CD4+T細胞率は、多色のフローサイトメトリーでCD4+リンパ球に対してゲーティングしながら解析された。パイチャートは、IFN−γ、TNF−α及び/またはIL−2を共発現する細胞の平均回数を示す。データは、各グループで5匹のマウスから得た平均±SDで示し、独立標本t試験は、有意性を決定するために使用された。MPL−DDA−単独グループと比較して
*p<0.05、
**p<0.01と
***p<0.001(独立標本t試験)。
【0073】
10.3 上記の実験結果に対する解析
Th1媒介免疫反応及び多機能性T細胞は、Mtbの予防免疫に重要な役割を果たす。したがって、次に本発明者らは、Rv2299c+ESAT−6融合蛋白質−予防接種によって誘導されたT細胞表現型の変化を評価した。チャレンジ後16週に肺(
図11a、b)と脾臓細胞(
図12、a、b)を分離して、各免疫抗原で刺激して反応するCD4+T細胞の表現型を多色の細胞内サイトカイン染色によって評価された。他のグループに比べてRv2299c+ESAT−6融合蛋白質−予防接種グループのみ肺におけるトリプル陽性CD4+T細胞(IFN−γ、TNF−α及びIL−2のボール発現)が増加され、維持された(
図11、a、b及び12 a、b)。加えて、Rv2299c+ESAT−6融合蛋白質−予防接種グループが肺におけるチャレンジ後に増加された頻度の二重陽性多機能性CD4+T細胞(TNF−α+IL−2+CD4+T細胞)を示す(
図11a、b、及び12a、b)。
【0074】
<実施例11>
考察
サブユニット蛋白質ワクチンは、BCGの代替またはBCG−誘導免疫反応をブーストすることに潜在的に有用であることが判明した(Dalmia and Ramsay、2012)。本発明者らは、TBワクチン候補の予防効果を改善するため、新しいワクチン開発戦略を提案した。最適な抗原が多蛋白質ワクチンを含むように選択されることは、ワクチン開発において最も重要なステップである。DCはナイーブT細胞の偏光及びリンパ節排水において、Th1またはTh2類型の次の開発を調節する。したがって、DC−活性化蛋白質−基盤のワクチンは、作製された、他の抗原の予防免疫を向上させることができる。本研究では、本発明者らは、DCを活性化することができるRv2299c蛋白質がTBワクチン開発のための価値ある目標であることを発見した。これはRv2299c+ESAT−6融合蛋白質が非常に高病毒性Mtb HN878臨床菌株とチャレンジ後の肺の細菌の負荷を大幅に減少させることを示す。
【0075】
T−細胞基盤の免疫を誘導するために設計されたTBワクチン開発の基本原理は、結核菌抗原に特異的に対抗する強いTh1反応が抗−結核免疫の基本的なメカニズムであることを前提とする。Th1反応を引き出せなかった抗原は、Mtbに対するワクチン効能がなかったが、丈夫なTh1反応を誘導する蛋白の全部がかなりの予防効果を示すわけではない(Orr et al.,2014)。Ag85Aに対抗して丈夫なTh1反応を誘導するMVA85Aワクチンはヒトから明確なBCGブースト効果が示されることができなかった(Tameris et al.,2013)。これはワクチンが記憶T細胞反応を誘導して、長期的な免疫反応を誘導させることが重要である。DCは、T細胞の効果的な活性化及び記憶T細胞反応の誘導に重要な役割を果たす。Mtb−感染DC(Tascon et al.,2000)、または抗原抽出液で処理されたDC(Rubakova et al.,2007)に接種されたマウスがMtb感染から保護されることが分かった。これらの結果は、生体内のDCを標的とすることができる抗−結核ワクチン戦略開発を支持する(Sinha et al.,2007)。本研究では、DC−活性化蛋白質が可能なワクチン候補といわれる仮説を検証するために、信頼できるDC−活性化蛋白質を選択することが重要な研究課題であった。まず、本発明者らはマイコバクテリアHSPは、マクロファージまたはDCなどの免疫細胞DCs(Wang et al.,2001、Wang et al.,2002、Franco et al.,2008)及びサプリメントの活動(Srivastava et al.,1998)を活性化させる能力と関連しているので、マイコバクテリアHSPを選択した。本研究では、本発明者らはマイコバクテリアHSPのうち、Rv2299c(HSP90)がTLR4シグナル伝達とMAPK及びNF−κBの活性化を介してDC成熟を誘導することが分かった。この活性化は、Th1型の免疫反応を促進させる同時刺激分子の発現及び前炎症性サイトカインの分泌の増加を導いた。最近Rv2299cを投与したマウスの脾臓細胞から分離されたDCがMHC分子及び同時刺激分子の発現の増加をもたらし、Rv2299c治療とともにDC負荷腫瘍抗原が相乗的な抗−腫瘍免疫効果を誘導することが報告された(V
o et al.,2015)。これらの結果と本発明者らの研究結果は、Rv2299cが、生体内及び生体外でDC活性化を介して補助活性を有することを示唆している。
【0076】
いくつかのマイコバクテリア蛋白質がDCを活性化させ、TLR2(Bansal et al.,2010a、Byun et al.,2012a)、またはTLR4経路(Choi et al.,2015、Kim et al.,2013)を介してTh1感染反応を誘導したり、TLR2経路(Bansal et al.,2010b)を介してTh2感染反応を誘導することが報告された(Bansal et al.,2010b)。これは、それぞれの抗原が樹状細胞で他の活動を見せることを示す。組換えマイコバクテリアHSP70は、TLR4及びTLR2の両方を介しシグナル伝達されるのに対し、マイコバクテリアHSP65はTLR4のみ介してシグナル伝達されて、免疫細胞を活性化させる(Bulut et al.,2005)。ヒトHSP90はTLR4経路を通じて生物学的活性を誘導する(Thuringer et al.,2011、Hutchinson et al.,2009)。本研究では、HSP90ファミリーのRv2299cがTLR4−、MyD88−及びTRIF−依存的方法でDCを活性化することを示し、これはTRL4またはTRL2ノックアウトマウスを使用するプルダウン解析と実験を通じて立証される。
【0077】
本発明者らは、信頼性の高いDC−基盤のワクチンのために抗−マイコバクテリア活性を有するT細胞を活性化させることが重要であると仮定した。しかし、Th1免疫反応を誘導するDC−活性蛋白質がもたらす実際の抗−マイコバクテリア効果については知られたところがない。本研究では、Rv2299c−成熟DCによって活性化されたT細胞が非活性化T細胞に比べて、マクロファージ内でのMtb成長を大幅に抑制しており、大量のサイトカイン産生を誘導したことを示している。LPS成熟DCによって非特異的に活性化されたT細胞は、いかなる抗−殺菌活性を示さなかった。これらの結果は、Rv2299cは、予防活性を有する処女CD4+T細胞に特定の活性化を誘導することを示す。
【0078】
2〜4の融合蛋白質の抗原からなるサブユニットワクチンがBCGのみに誘導された予防と対等な程度の強い予防反応と効果を誘発されたことが報告されている。ほとんどの人は、幼児期にBCG接種をするが、その効能は、時間が経過すると弱くなり(Bertholet et al.,2010)、このためにBCGによって誘導される予防免疫をブーストすることが最も実用的な戦略になり得る。したがって、本発明者らは、Rv2299c及びESAT−6からなる融合蛋白質の予防免疫反応と効果を調べた。本発明者らは、ESAT−6は、現在臨床試験でワクチンに含まれる主要な抗原の一つであるため、これを融合パートナーとして選択した。本研究では、BCG単独で接種されたマウスと融合蛋白質で接種されたマウスにおいて同様の予防効果が示された。記憶T細胞のリコール応答がDCに依存的ではなく、他の非専門的な抗原提示細胞が、二次反応の開始に十分であることが示唆されたが(Bertram et al.,2004年、Dawicki and Watts、2004)、他の研究者は、全身または局在感染に応答して記憶T細胞の活性化がDCに主に依存することを実証されている(Zammit et al.,2005、Wakim et al.,2008)。本研究では、本発明者らは、Rv2299c−成熟DCがMtb−感染マウスから得られた効果/記憶CD4+T細胞の拡大を誘導していることを発見した。これはRv2299cがBCG接種された対象から記憶T細胞のリコール反応を誘導することができることを示唆する。Rv2299c−融合ESAT−6蛋白質でBCGをブーストすることはBCG単独接種に比べて病理を減少させ、Mtbに対して長期的な保護を提供する。特に、本発明者らは、マウスのBCG予防接種がMtb H37Rvに比べてW−Beijing分離についてあまり保護しないので、W−Beijingファミリーから得られた病毒性の臨床菌株であるMtb HN878に対する融合蛋白質の効果を決定した(Lopez et al。、2003)。この分離は、感染C57BL/6マウスから死及び幅広い肺の病理を誘発させる。
【0079】
本発明者らは、マウスモデルで高病毒性W−Beijing系統の菌株であるMtb HN878株に対するRv2299c+ESAT−6融合蛋白質ワクチンの予防効果を調べた。Rv2299c+ESAT−6融合蛋白質−免疫マウスは、肺の病理と細菌の増殖の評価に基づいてMtb HN878株にチャレンジされた後、実質的に予防された(
図10)。Rv2299c+ESAT−6融合予防接種は、著しく減少した肺の病理とともに肺から大幅に減少した細菌の負担を示すことで、Mtb HN878の驚くべき予防を示した。
【0080】
一般に、Mtb感染へのワクチン−誘導予防は、特に、肺内のAg−特定の多機能IFN−γ+TNF−α+IL−2+及びTNF−α+IL−2+CD4+T cells細胞と関連付けられる。重要なのは、Ag−免疫化されたマウスに対する検査は、Rv2299c+ESAT−6融合蛋白質に対する免疫が前−チャレンジ及び後−チャレンジで肺の中で多機能性CD4+T細胞の産生を大幅に誘導したことを示している(
図11及び12)。これらの傾向に基づいて、Rv2299cはMtb感染に対する成功したワクチンの主な構成要素として作用することができるはずである。BCG単独または蛋白質単独免疫ではないRv2299c+ESAT−6融合免疫は、肺内におけるRv2299c−ESAT−6蛋白質特異多機能性CD4+T細胞反応を誘導した。筋肉注射後、肺におけるRv2299c+ESAT−6融合−特定多機能性T細胞反応を誘導するワクチン候補の能力は、観察される予防効果と一致する。加えて、Rv2299c+ESAT−6融合蛋白質免疫化によって誘導されたこの反応は、後−感染16週まで維持された。これはプライム多機能メモリCD4+T細胞とMtb感染を認識した後、これらの急増を示唆する。これらの結果は、肺の免疫反応予防を誘導するため、ワクチン候補を適切に補助することの重要性を示すことができる。
【0081】
結論として、本発明者らの結果は、Rv2299cが、複数の抗原の効果的なTBワクチンの合理的な設計に優れた候補であることを示唆する。したがって、ミューリンまたはモルモットモデルにおけるRv2299c+ESAT6融合蛋白質の具体的なワクチンの効能及び効果的な予防機構を調査するために、より詳細な研究が必要である。
【0082】
Rv2299cアミノ酸配列
MNAHVEQLEFQAEARQLLDLMVHSVYSNKDAFLRELISNASDALDKLRIEALRNKDLEVD
TSDLHIEIDADKAARTLTVRDNGIGMAREEVVDLIGTLAKSGTAELRAQLREAKNAAASE
ELIGQFGIGFYSSFMVADKVQLLTRKAGESAATRWESSGEGTYTIESVEDAPQGTSVTLH
LKPEDAEDDLHDYTSEWKIRNLVKKYSDFIAWPIRMDVERRTPASQEEGGEGGEETVTIE
TETLNSMKALWARPKEEVSEQEYKEFYKHVAHAWDDPLEIIAMKAEGTFEYQALLFIPSH
APFDLFDRDAHVGIQLYVKRVFIMGDCDQLMPEYLRFVKGVVDAQDMSLNVSREILQQDR
QIKAIRRRLTKKVLSTIKDVQSSRPEDYRTFWTQFGRVLKEGLLSDIDNRETLLGISSFV
STYSEEEPTTLAEYVERMKDGQQQIFYATGETRQQLLKSPHLEAFKAKGYEVLLLTDPVD
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