特許第6683923号(P6683923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6683923ロータリーブロー成形機及びロータリーブロー成形方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6683923
(24)【登録日】2020年3月31日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】ロータリーブロー成形機及びロータリーブロー成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/36 20060101AFI20200413BHJP
   B29C 49/04 20060101ALI20200413BHJP
   B29C 49/70 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   B29C49/36
   B29C49/04
   B29C49/70
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-69432(P2016-69432)
(22)【出願日】2016年3月30日
(65)【公開番号】特開2017-177592(P2017-177592A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】河田 勝幸
【審査官】 ▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/110310(WO,A1)
【文献】 特開平02−063720(JP,A)
【文献】 特開2002−036346(JP,A)
【文献】 特開昭51−149373(JP,A)
【文献】 特開昭48−096659(JP,A)
【文献】 特開昭54−001376(JP,A)
【文献】 実開昭54−171684(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00−49/80
B29C 33/00−33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリーブロー成形機であって、
回転台座と、
前記回転台座の表面に設けられ、成形体を成形する金型ユニットと、を備え、
前記金型ユニットが、第1金型と、前記第1金型との間で開閉する第2金型とを有し、
前記第2金型が開いたときに前記成形体が前記第1金型に保持されるように、前記第2金型が前記成形体を前記第1金型の側へ突き放す突き放し手段を有することを特徴とするロータリーブロー成形機。
【請求項2】
前記金型ユニットが、前記第1金型としての下金型と、前記下金型との間で片開き状に開閉する前記第2金型としての上金型とを有し、前記突き放し手段が前記成形体を前記下金型の側へ突き下げる突き下げ手段であることを特徴とする請求項1に記載のロータリーブロー成形機。
【請求項3】
前記突き放し手段がエアシリンダによって駆動される突き放しピンであることを特徴とする請求項1又は2に記載のロータリーブロー成形機。
【請求項4】
前記突き放し手段が前記成形体の捨て袋部を突き放すことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のロータリーブロー成形機。
【請求項5】
前記第2金型が、その内面に、前記成形体が前記第2金型と付着しやすい位置に鏡面仕上げ部を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のロータリーブロー成形機。
【請求項6】
前記鏡面仕上げ部が前記成形体の肩部及び底部に対応する範囲を含むことを特徴とする請求項5に記載のロータリーブロー成形機。
【請求項7】
前記鏡面仕上げ部が、0.01μm〜0.10μmの算術平均粗さRaを有することを特徴とする請求項5又は6に記載のロータリーブロー成形機。
【請求項8】
前記第1金型が、その内面に、前記第2金型の前記鏡面仕上げ部に対応する位置に粗面仕上げ部を有することを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載のロータリーブロー成形機。
【請求項9】
前記粗面仕上げ部が、1.50μm〜2.50μmの算術平均粗さRaを有することを特徴とする請求項8に記載のロータリーブロー成形機。
【請求項10】
ロータリーブロー成形方法であって、
回転台座の表面に設けられ、第1金型と、前記第1金型との間で開閉する第2金型とから構成される金型ユニットを型締めし、パリソンを供給するステップ(a)と、
前記金型ユニットにエアの吹込み及び冷却を行い、成形体を成形するステップ(b)と、
前記金型ユニットを型開きするステップ(c)と、
前記金型ユニットから前記成形体を取り出すステップ(d)と、を備え、
ステップ(c)において、前記第2金型が開いたときに前記成形体が前記第1金型に保持されるように、前記第2金型に設けられた突き放し手段が前記成形体を前記第1金型の側へ突き放すことを特徴とするロータリーブロー成形方法
【請求項11】
ステップ(d)において、前記成形体が円滑に取り出されるように、前記第1金型に設けられた別の突き放し手段が前記成形体を前記第2金型の側へ突き放すことを特徴とする請求項10に記載のロータリーブロー成形方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリーブロー成形機及びロータリーブロー成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばマヨネーズや各種飲料などの比較的小さな樹脂製の容器を製造するにあたり、回転台座に設けられた金型によって当該容器を成形するロータリーブロー成形機が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
ロータリーブロー成形機は、回転台座の外側の表面に連続して設けられている複数の金型ユニットに対し、順次、溶融された樹脂部材(パリソン)を押出し機によって供給し、その内側に気体を吹き込むことによって、連続的に中空状の成形体を成形する成形方法である。このブロー成形においては、型開きをしたときに成形体が常に金型ユニットのうち同一方向側に保持されることが成形体の取り出しの観点上望ましい。しかし、実際には金型ユニットを開いたとき、成形体が金型ユニットのうち意図しない側に付着し、円滑に成形体を取り出せないという問題があった。
【0004】
特許文献1では、この点、成形後に切除される捨て袋部に、金型ユニットの一方に設けた仮保持ピンを成形体の長手方向に平行に差し込むことによって仮保持する発明が開示されている。しかしながら、特許文献1は、仮保持ピンの最適な長さが金型ユニットや成形体の材質及び大きさ等によって異なるため、微調整が困難であり、調整を誤ると仮保持ピンによる仮保持が金型ユニットからの取り出しの障害となってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭58−40503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、金型ユニットが型開きしたとき、金型ユニットや成形体の材質及び大きさの変更による微調整を必要とせず、成形体を金型ユニットの一方側に仮保持することが可能なロータリーブロー成形機及びロータリーブロー成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の第1の観点は、ロータリーブロー成形機であって、回転台座と、前記回転台座の表面に設けられ、成形体を成形する金型ユニットと、を備え、前記金型ユニットは、第1金型と、前記第1金型との間で開閉する第2金型とを有し、前記第2金型が開いたときに前記成形体が前記第1金型に保持されるように、前記第2金型が前記成形体を前記第1金型の側へ突き放す突き放し手段を有することを特徴とする。
【0008】
(2)上記(1)の構成において、前記金型ユニットが、前記第1金型としての下金型と、前記下金型との間で片開き状に開閉する前記第2金型としての上金型とを有し、前記突き放し手段は、前記成形体を前記下金型の側へ突き下げる突き下げ手段であってもよい。
【0009】
(3)上記(1)又は2の構成において、前記突き放し手段は、エアシリンダによって駆動される突き放しピンであってもよい。
【0010】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つの構成において、前記突き放し手段は、前記成形体の捨て袋部を突き放してもよい。
【0011】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つの構成において、前記第2金型は、その内面に、前記成形体が前記第2金型と付着しやすい位置に鏡面仕上げ部を有してもよい。
【0012】
(6)上記(5)の構成において、前記鏡面仕上げ部は、前記成形体の肩部及び底部に対応する範囲を含んでもよい。
【0013】
(7)上記(5)又は(6)の構成において、前記鏡面仕上げ部は、0.01μm〜0.10μmの算術平均粗さRaを有するようにしてもよい。
【0014】
(8)上記(5)から(7)のいずれか1つの構成において、前記第1金型は、その内面に、前記第2金型の前記鏡面仕上げ部に対応する位置に粗面仕上げ部を有してもよい。
【0015】
(9)上記(8)の構成において、前記粗面仕上げ部は、1.50μm〜2.50μmの算術平均粗さRaを有してもよい。
【0016】
(10)本発明の第2の観点は、ロータリーブロー成形方法であって、回転台座の表面に設けられ、第1金型と、前記第1金型との間で開閉する第2金型とから構成される金型ユニットに、パリソンを供給するステップ(a)と、前記金型ユニットを型締めし、成形体を成形するステップ(b)と、前記金型ユニットを型開きするステップ(c)と、前記金型ユニットから前記成形体を取り出すステップ(d)と、を備え、ステップ(c)の際に、前記第2金型が開いたときに前記成形体が前記第1金型に保持されるように、前記第2金型に設けられた突き放し手段が前記成形体を前記第1金型の側へ突き放すことを特徴とする。
【0017】
(11)上記(10)の構成において、ステップ(d)の際に、前記成形体が円滑に取り出されるように、前記第1金型に設けられた別の突き放し手段が前記成形体を前記第2金型の側へ突き放してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、金型ユニットが型開きしたとき、金型ユニットや成形体の材質及び大きさの変更による微調整を必要とせず、成形体を金型ユニットの一方側に仮保持することが可能なロータリーブロー成形機及びロータリーブロー成形方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係るロータリーブロー成形機を示す図であって、回転しながら回転台座に設けられた個々の金型(上金型と下金型)が開閉している状況を示す概念図である。
図2図1の上金型と下金型の開閉の仕組みを示す側面図である。
図3】ロータリーブロー成形機で成形される成形体の一例を示す図である。
図4図2の下金型の内側を示す平面図である。
図5図4の下金型の縦断面図である。
図6図2の上金型の内側を示す平面図である。
図7図6の上金型の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0021】
(ロータリーブロー成形機1の全体構成、及びロータリーブロー成形方法)
ロータリーブロー成形機1は、図1に示すように、回転台座10と、回転台座10の表面に設けられ、成形体Pを成形する複数の金型ユニット20と、を備えている。なお、ロータリーブロー成形機1の系外には、溶融されたパリソンM(樹脂部材)の樹脂供給装置S(図中右側。一部図示)、及び成形体Pを取り出す取出し装置(図中左側。不図示)が設けられている。
【0022】
回転台座10は、一定の速度で回転するように構成されており、表面に設けられた複数の金型ユニット20を順次移動させる。なお、ここでは時計回りに回転する場合を示しているが、反時計回りであってもよい。
【0023】
金型ユニット20は、回転台座10の表面に同心円状に配設されている。ここでは、12個の金型ユニット20を図示しているが、その配置数はこれに限定されるものではない。金型ユニット20は、第1金型としての下金型30と、下金型30との間で片開き状に開閉する第2金型としての上金型40とを有している。以下では、下金型30が回転台座10に固定され、上金型40が片開き状に開閉する態様を説明するが、本実施形態は、第2金型が第1金型に対し対向して前進後退する態様であっても、適用され得るものである。
【0024】
複数の金型ユニット20は、12時に位置する第1金型ユニット201から順にその直前の第12金型ユニット212まで、次のように開閉する。第1金型ユニット201では上金型40が下金型30に対し完開した状態にある。その状態から、第2金型ユニット202から第3金型ユニット203へと上金型40が順次閉じていき、樹脂供給装置SのダイDからパリソンMが供給される第4金型ユニット204の段階で完閉すなわち型締めの状態となる(ロータリーブロー成形方法のステップ(a))。
【0025】
そして、第5金型ユニット205から第9金型ユニット209まで、エアの吹込み及び冷却が行われることにより、成形体Pが成形される(ロータリーブロー成形方法のステップ(b))。第10金型ユニット210の段階で上金型40が開いていき、第11金型ユニット211の段階で上金型40が完開した状態となる(ロータリーブロー成形方法のステップ(c))。そして、第11金型ユニット211から成形体Pが図示しない取出し装置によって順次取り出されていく(ロータリーブロー成形方法のステップ(d))。成形体Pが取り出された後、上金型40が完開した状態で第12金型ユニット212から第1金型ユニット201へと移動する。
【0026】
ここで、詳しくは後述するように、金型ユニット20の上金型40には突き放し手段(突き下げピン433)が設けられており、ステップ(c)において、上金型40が開いたときに成形体Pが下金型30に保持されるように、突き放し手段(突き下げピン433)が成形体Pを下金型30の側へ突き放す(突き下げる)。また、下金型30には別の突き放し手段(突き上げピン333)が設けられており、ステップ(d)において、成形体Pが円滑に取り出されるように、別の突き放し手段(突き上げピン333)が成形体Pを上金型40の側へ突き放す(突き上げる)。なお、「上金型40の側へ」とは、広く「下金型30からみて上方へ」という意味で用いている。「下金型30の側へ」についても同様に広く「上金型40からみて下方へ」という意味で用いている。
【0027】
図1に示すように、成形体Pは、第11金型ユニット211から、バリ部Bによって連接された状態で取り出される。その際、図示するように、成形体Pは、下金型30の側に保持されている状態から順次取り出されていくこととなる。取り出された成形体Pは、バリ取りが行われて製品として仕上げられる。
【0028】
ここで、上金型40が片開き状に開閉する点について、説明する。図2に示すように、金型ユニット20は、下金型30と上金型40とを備えている。下金型30は、第1基部31、第2基部32、下キャビティー部33を有しており、第1基部31には軸部311が設けられている。第1基部31及び第2基部32は、回転台座10に固定されている。上金型40は、第1基部41、第2基部42、上キャビティー部43を有しており、第1基部41には軸部311を受容する受容部411が設けられている。これにより、上金型40は下金型30にヒンジ結合され、図示した矢印のように片開き状に開閉する。この態様の金型ユニット20について、ブックタイプと呼ぶことがある。
【0029】
このブックタイプの場合、上金型40が完開した後、成形体Pは、下金型30に保持された状態において取出し装置によって取り出していく。仮に、成形体Pが上金型40に付着された状態になると、取出し装置では取り出すことができなくなり、成形体Pは、上金型40に付着されたまま第12金型ユニット212から第4金型ユニット204へと移動していき、成形体Pの上に新たなパリソンMが重ねて供給されて不良品が発生するという状態(ダブルショット)が発生してしまう。
【0030】
このような状態を避けるため、本実施形態においては、金型ユニット20を構成する下金型30と上金型40は、以下のように構成されている。
【0031】
(成形体Pとバリ部B)
ここで、金型ユニット20によって成形される成形体Pの態様の一例について、あらかじめ説明する。図3に示すように、ここでは成形体Pとして容器の場合を示しており、成形体Pは、頭部側と底部側にバリ部Bをもった状態で成形される。その頭部側には頭部側バリ部Baと捨て袋部Bcが、底部側には底部側バリ部Bbが接続されている。底部側バリ部Bbの一部にはエアを吹き込む吹込み口Bb1がある。先行する底部側バリ部Bbと、後行する頭部側バリ部Baとは連接された状態で金型ユニット20から取り出され、その後、図示していない取出し装置によって、先行する底部側バリ部Bbと、後行する頭部側バリ部Baとは、切断される。成形体Pのうち、キャップが嵌入される頭部Phの直下部に肩部PSがあり、最下部の一定の範囲を底部PBtと呼ぶ。肩部PSと底部PBtの間は胴部PBdである。捨て袋部Bcの上部にある凹みCについては、後述する。なお、成形体Pやバリ部Bはここで示した態様に限られるものではない。
【0032】
(下金型30)
下金型30について、説明する。図4は、下金型30の内側の平面図を、図5は、図4のA−A線の断面図を示している。下金型30は、第1基部31と、第2基部32と、それらの間に配置された下キャビティー部33とを備えている。第1基部31と第2基部32は、回転台座10に固定される。第1基部31には、後述する上金型40をヒンジ結合するための軸部311が設けられている。
【0033】
下キャビティー部33は、成形体Pに対応する第1凹部331及びバリ部Bに対応するように成形された第2凹部332を有しており、第2凹部332は、成形体Pの頭部側の頭部側バリ部Baに対応して形成された頭部側第2凹部332aと、成形体Pの底部側の底部側バリ部Bbに対応して形成された底部側第2凹部332bと、捨て袋部Bcに対応して形成された捨て袋部用第2凹部332cを含んでいる。底部側バリ部Bbには、成形体Pにエアを吹き込むためのエアノズル34が設けられている。第1粗面仕上げ部334a及び第2粗面仕上げ部334bについては、項をあらためて後述する。
【0034】
捨て袋部用第2凹部332cには、捨て袋部Bcを突き上げる(突き放す)ための突き上げ手段(突き放し手段)突き上げピン333が設けられている。突き上げピン333は、図5に示すように、エアシリンダにより出没可能に駆動されるよう構成されている。前述したとおり、バリ部Bを介して連接された成形体Pは取出し装置によって順次取り出されていくが、スムースに取り出していくことを助勢するため、突き上げピン333は捨て袋部Bcを突き上げて、下キャビティー部33から成形体Pが離型し易くするものである。
【0035】
具体的には、図1に示したように、本実施形態に係るロータリーブロー成形機1においては、成形体Pの底部から頭部にかけて順に下キャビティー部33ひいては下金型30から離型していくため、第11金型ユニット211の段階で突き上げピン333によって成形体Pの捨て袋部Bcを突き上げることによって離型をスムースにするものである。
【0036】
(上金型40)
次に、上金型40について、説明する。図6は、上金型40の内側の平面図を、図7は、図6のB−B線の断面図を示している。上金型40は、第1基部41と、第2基部42と、それらの間に配置された上キャビティー部43とを備えている。第1基部41には、前述した下金型30をヒンジ結合するため、下金型30の軸部311を受容する受容部411が設けられている。
【0037】
上キャビティー部43は、成形体Pに対応する第1凹部431及びバリ部Bに対応するように成形された第2凹部432を有しており、第2凹部432は、成形体Pの頭部側の頭部側バリ部Baに対応して形成された頭部側第2凹部432aと、成形体Pの底部側の底部側バリ部Bbに対応して形成された底部側第2凹部432bと、捨て袋部Bcに対応して形成された捨て袋部用第2凹部432cとを含んでいる。第1鏡面仕上げ部434a及び第2鏡面仕上げ部434bについては、項をあらためて後述する。
【0038】
捨て袋部用第2凹部432cには、捨て袋部Bcを下金型30側へ突き下げる(突き放す)ための突き下げ手段(突き放し手段)として突き下げピン433が設けられている。突き下げピン433は、図7に示すように、エアシリンダにより出没可能に構成されている。前述したとおり、バリ部Bを介して連接された成形体Pは取出し装置によって順次取り出されていくが、スムースに取り出していくためには、上金型40が開くときに、成形体Pは、下キャビティー部33ひいては下金型30に保持されていることが望ましい。突き下げピン433は捨て袋部Bcを突き下げて、上キャビティー部43に成形体Pが付着した状態で上金型40が開いてしまうことを防ぐものである。
【0039】
具体的には、図1に示したように、本実施形態に係るロータリーブロー成形機1においては、上金型40が開くときに成形体Pが追従してこないようにするため、第9金型ユニット209から第10金型ユニット210へ移行する直前の段階で、突き下げピン433によって成形体Pの捨て袋部Bcを下金型30側へ突き下げるものである。このとき、仮に突き下げピン433の突き下げによって、下キャビティ―部33に成形体Pが食い込んだとしても、後に、前述した突き上げピン333で突き上げられるので、成形体Pの取り出しはスムースに行うことができる。図3で示した捨て袋部Bcの上部にある凹みCは、突き下げピン433によって突き下げられた際に形成されるものである。凹みCは、捨て袋部Bcに形成されるため、成形品Pの外観には影響しない。
【0040】
(上キャビティー部43)
上金型40には、上記したように、上金型40が開いたときに成形体Pが追従してこないようにするため、突き下げピン433が設けられている。この働きを一層効果的にするため、図6及び図7に示すように、上キャビティー部43の内面に、成形体Pが付着しやすい箇所に鏡面仕上げを施すようにしてもよい。ここで、成形体Pが付着しやすい箇所とは、成形品Pが離型する方向を0度として、±10度の範囲内にある箇所のことをいう。例えば、成形体Pが容器である場合、成形体Pの肩部PSや底部PBtに対応する箇所を含む範囲を、それぞれ第1鏡面仕上げ部434aや第2鏡面仕上げ部434bとする。
【0041】
成形体Pの肩部PSは、その上方にキャップが嵌入されることから、側面視において段差状になっているのが一般的である。また、底部PBtは、当然のことながら端部に当たるため、段差状になっている。この段差状に形成されている箇所については、上金型40が片開き状に開く際、上キャビティー部43の対応する箇所と成形体Pとが付着し易く、かつ、擦れ合う関係になる。そこで、これらに対応する箇所を含む範囲を鏡面仕上げとしておくことにより、上キャビティー部43が当該箇所において擦れによる傷が生じることなくスムースに離型するようにすることができる。
【0042】
なお、図6及び図7では、成形体Pが付着しやすい箇所として、成形体Pの肩部PSに対応する箇所を含む範囲を第1鏡面仕上げ部434a、底部PBtに対応する箇所を含む範囲を第2鏡面仕上げ部434bを示しているが、もちろんこれらの箇所に限定する必要はない。成形体Pの形状によっては、肩部PSと底部PBtの中間領域である胴部PBdに段差状の形状が与えられることもあるため、その箇所を含む範囲を鏡面仕上げにしてもよい。
【0043】
第1鏡面仕上げ部434aや第2鏡面仕上げ部434bの仕上げの程度は、0.01μm〜0.10μmの算術平均粗さRaとすることが好ましく、0.01μm〜0.03μmの算術平均粗さRaとすることがさらに好ましい。上キャビティー部43は、成形体Pに求められる程度を勘案して、一般には1.00μm〜2.00μmの算術平均粗さRaとされていることから、これよりも粗くない鏡面とすることによって、上キャビティー部43ひいては上金型40から一層離型し易くなる。
【0044】
(下キャビティー部33)
上金型40を下金型30から開いた際に成形体Pが下金型30すなわち下キャビティー部33により一層存置し易くするため、図4及び図5に示すように、上金型40の上キャビティー部43に鏡面仕上げ部を設けることに対応して、下金型30の下キャビティー部33に粗面仕上げ部を設けてもよい。これにより、成形体Pは、上キャビティー部43から離型し易く、下キャビティー部33から離型し難いという状態を生じさせることができる。
【0045】
上キャビティー部43に第1鏡面仕上げ部434aや第2鏡面仕上げ部434bを設けた場合は、下キャビティー部33の対応する位置に、第1粗面仕上げ部334aや第2粗面仕上げ部334bを設けることとなる。成形体Pの形状によって、肩部PSと底部PBtの中間領域である胴部PBdに段差状の形状が与えられることもあるため、上キャビティー部43のその箇所を含む範囲に鏡面仕上げ部が設けられたときには、下キャビティー部33にもその対応する位置に粗面仕上げ部を設けてもよい。なお、ここでは、成形体Pの肩部PSが上下で対称に形成された例を示しているが、下キャビティー部33の第1粗面仕上げ部334aは、上キャビティー部43に第1鏡面仕上げ部434aと非対称に形成の輪郭をもつように形成されてもよい。
【0046】
第1粗面仕上げ部334aや第2粗面仕上げ部334bの仕上げの程度は、1.50μm〜2.50μmの算術平均粗さRaとすることが好ましく、1.80μm〜2.00μmの算術平均粗さRaとすることがさらに好ましい。下キャビティー部33は、成形体Pに求められる程度を勘案して、一般には1.00μm〜2.00μmの算術平均粗さRaとされるが、第1粗面仕上げ部334aや第2粗面仕上げ部334bを他の部分(第1鏡面仕上げ部434aや第2鏡面仕上げ部434bを除く)よりも相対的に粗い粗面とすることによって、下キャビティー部33ひいては下金型30から一層離型し難くなる。
【0047】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。例えば、上記実施形態では、上金型40が下金型30から片開き状に開閉するブックタイプの金型ユニット20について説明したが、本実施形態は、下金型30を第1金型、上金型40を第1金型との間で対向して開閉する第2金型、突き下げ手段としての突き下げピン433を突き放し手段としての突き放しピンとする、二つ割タイプの金型ユニット20についても適用され得るものである。
【符号の説明】
【0048】
1…ロータリーブロー成形機
10…回転台座
20…金型ユニット
201〜212…第1金型ユニット〜第12金型ユニット
30…下金型(第1金型)
31…第1基部
311…軸部
32…第2基部
33…下キャビティー部
331…第1凹部
332…第2凹部
332a…頭部側第2凹部
332b…底部側第2凹部
332c…捨て袋部用第2凹部
333…突き上げピン
334a…第1粗面仕上げ部
334b…第2粗面仕上げ部
34…エアノズル
40…上金型(第2金型)
41…第1基部
411…受容部
42…第2基部
43…上キャビティー部
431…第1凹部
432…第2凹部
432a…頭部側第2凹部
432b…底部側第2凹部
432c…捨て袋部用第2凹部
433…突き下げピン(突き放しピン)
434a…第1鏡面仕上げ部
434b…第2鏡面仕上げ部
M…樹脂部材(パリソン)
P…成形体
Ph…頭部
PS…肩部
PBt…底部
PBd…胴部
B…バリ部
Ba…頭部側バリ部
Bb…底部側バリ部
Bc…捨て袋部
S…樹脂供給装置
D…ダイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7