(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の第一実施形態に係るファイル管理システム100の概略構成を示す図である。
【0018】
ファイル管理システム100は、第一の電子機器1Aと、第二の電子機器1Bと、ネットワーク機器を構成するNAS2と、ルータ5と、DDNS(Dynamic Domain Name System)サービスを提供するDDNSサーバ7と、を備える。
【0019】
NAS2は、企業、学校、又は、個人宅内等で使用される限定されたネットワークであるLAN(Local Area Network)3に接続されている。
【0020】
NAS2は、ファイルの記憶及び管理を主に行うファイルサーバであり、ファイル管理を行うためのファイルシステムと、ネットワーク通信を行うためのネットワーク通信機能と、を備える。
【0021】
LAN3は、ルータ5を介してインターネット6に接続されている。これにより、NAS2にはインターネット6を介して接続可能となっている。
【0022】
第一の電子機器1Aと第二の電子機器1Bは、それぞれ、移動体通信網4を介してインターネット6に接続可能である。
【0023】
第一の電子機器1Aと第二の電子機器1Bは、それぞれ、ネットワーク通信を行うためのネットワーク通信機能と、表示部と、キーボード、マウス、又は、タッチパネル等の操作インタフェース(I/F)と、を有する電子機器である。
【0024】
本明細書における電子機器としては、例えばパーソナルコンピュータ、タブレット端末、又は、スマートフォン等が用いられる。
【0025】
第一の電子機器1Aのユーザと第二の電子機器1Bのユーザは、それぞれ、NAS2に対して予め利用登録を行うことで、移動体通信網4、インターネット6、及び、LAN3から構成されるネットワークを介して、NAS2の利用(NAS2に記憶されているファイルの編集、NAS2へのファイルの記憶、及び、NAS2からのファイルの読み出し等)が可能となる。
【0026】
第一の電子機器1A及び第二の電子機器1Bの各々のユーザが設定するユーザ名及びパスワード等の登録情報は、各電子機器からNAS2に対して登録作業を行うことでNAS2内部に記憶される。
【0027】
この登録情報は、インターネット6に接続された認証用サーバに記憶されてもよい。この場合、各電子機器からNAS2にアクセスがあると、NAS2がこの認証用サーバから各電子機器の登録情報を取得することで、各電子機器の認証を行う。
【0028】
NAS2の製品パッケージには、NAS2への利用登録を行うために用いられる利用登録用カード2Aが同梱される。NAS2の製造メーカにより、NAS2と利用登録用カード2Aとは一対一で対応付けて管理される。
【0029】
利用登録用カード2Aは、利用登録用情報が光学的に読み取り可能な形で印刷されたカードである。
【0030】
この利用登録用情報は、NAS2のLAN3及びインターネット6を含むネットワーク上の場所を特定するための接続情報と、利用登録を行うためのNAS2への接続であることを示すアクセス事由情報と、初期登録情報と、を含む。
【0031】
接続情報は、例えばDDNSサーバ7のIPアドレス情報及びNAS2の名称を含む。
【0032】
初期登録情報は、予め定められているユーザID及びパスワードを含む。例えば、初期登録情報のユーザIDは“1234”であり、パスワードは“ABCD”である。
【0033】
利用登録用カード2Aは、例えば、利用登録用情報を示すバーコード又は二次元コードが印刷された印刷物が用いられる。したがって、バーコード又は二次元コードをカメラ等によって読み取り可能な電子機器であれば、利用登録用カード2Aから利用登録用情報を光学的に読み取ることができる。
【0034】
利用登録用カード2Aは、NAS2の製品パッケージに同梱されるものとしたが、これに限らない。例えば、NAS2の購入者が、NAS2に付与されているシリアルナンバー等をNAS2の製造者の管理するサーバに送信する。そして、購入者は、このサーバから、利用登録用情報を示すバーコード又は二次元コードをダウンロードしてもよい。
【0035】
この場合は、購入者が、ダウンロードしたバーコード又は二次元コードを紙に印刷したり、電子機器の表示部に表示させたりすることで、利用登録用情報を光学的に読み取り可能な状態を得ることができる。
【0036】
なお、利用登録用カード2Aは、利用登録用情報を記憶する無線タグが埋め込まれたカードが用いられてもよい。または、NAS2の筐体の任意の箇所に、利用登録用情報を記憶した無線タグが固定される構成(つまり利用登録用カード2AとNAS2とが一体化された構成)であってもよい。
【0037】
これらの場合には、無線タグリーダを内蔵する電子機器であれば、利用登録用カード2Aから利用登録用情報を電磁的に読み取ることができる。
【0038】
DDNSサーバ7は、インターネット6に接続されており、ルータ5に対して割り当てられたグローバルIPアドレスと、ルータ5に接続されたNAS2にアクセスするためのポート番号と、NAS2に固有の名称との対応関係を逐次更新しながら記憶する。
【0039】
DDNSサーバ7は、第一の電子機器1A又は第二の電子機器1Bからの要求に応じて、NAS2の名称に対応するグローバルIPアドレスとポート番号を要求元に返信する。第一の電子機器1A又は第二の電子機器1BはこのグローバルIPアドレスとポート番号を用いることで、インターネット6を介したNAS2へのアクセスが可能となる。
【0040】
図2は、
図1に示すファイル管理システム100における第一の電子機器1Aの内部構成例を示す図である。第二の電子機器1Bの内部構成については、第一の電子機器1Aと同様であるため説明を省略する。
【0041】
第一の電子機器1Aは、CPU(Central Processing Unit)20と、ROM(Read Only Memory)21と、RAM(Random Access Memory)22と、液晶ドライバ230と、液晶パネル231と、無線LANモジュール240と、アンテナ241と、移動体通信モジュール250と、アンテナ251と、キーボード、マウス、又は、液晶パネル231と一体化されたタッチパネル等の操作インタフェース(I/F)260と、情報読取部25と、内部ストレージ部27と、を備える。
【0042】
CPU20、ROM21、RAM22、液晶ドライバ230、無線LANモジュール240、移動体通信モジュール250、操作インタフェース260、情報読取部25、及び、内部ストレージ部27は、それぞれ共通のバスにより接続されている。
【0043】
CPU20は、ROM21内に記憶されたファームウェア等のプログラムがRAM22において展開された後で実行されることで、第一の電子機器1A全体の動作制御を行う。
【0044】
ROM21には、上述のファームウェア等のプログラムと各種設定データが記憶されている。RAM22は、第一の電子機器1Aのワークメモリとして動作し、各種プログラム及びデータが一時的に記憶される。
【0045】
液晶パネル231は、情報を表示するための表示部である。液晶ドライバ230は、表示画面を構成するデータがCPU20から供給されると、液晶パネル231の表示領域に所望の表示画面を表示するように、この液晶パネル231を駆動する。
【0046】
無線LANモジュール240は、無線通信を行うためのモジュールである。
【0047】
無線LANモジュール240は、例えばIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11規格に準拠したものである。無線LANモジュール240がアンテナ241を介してルータ5との間で無線通信を行うことで、第一の電子機器1Aが移動体通信網4及びインターネット6を経由することなく、LAN3に接続可能となる。
【0048】
移動体通信モジュール250は、例えばIMT(International Mobile Telecommunication)−2000規格に準拠して、アンテナ251を介して移動体通信網4との間で移動体無線通信を行う。
【0049】
移動体通信モジュール250が対応する規格には、3G/HSDPA(3rd Generation/High−Speed Downlink Packet Access)、LTE(Long Term Evolution)、又は、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等が含まれうる。
【0050】
情報読取部25は、利用登録用カード2Aから光学的又は電磁的に利用登録用情報を読み取るための装置である。
【0051】
利用登録用カード2Aが上述した印刷物である場合には、バーコード又は二次元コードを読み取るためのカメラが情報読取部25として用いられる。また、利用登録用カード2Aが無線タグを含むものである場合には、無線タグリーダが情報読取部25として用いられる。
【0052】
内部ストレージ部27は、内部ストレージ270と内部ストレージインタフェース(I/F)271とを備える。
【0053】
内部ストレージ270は、例えばフラッシュメモリのような不揮発性半導体メモリであり、第一の電子機器1Aにおいて用いられるアプリケーションプログラム、文書ファイル、音ファイル、画像ファイル、又は、動画ファイル等の各種ファイルが記憶される。
【0054】
内部ストレージ270には、第一の電子機器1Aのユーザの操作により、NAS2の利用登録の支援及びNAS2の利用を行うためのプログラム(以下、ファイル管理アプリという)が記憶される。ファイル管理アプリは、電子機器の作動プログラムを含む。
【0055】
第一の電子機器1Aは、このファイル管理アプリの機能により、情報読取部25によって読み取られた利用登録用情報に含まれる接続情報にしたがってNAS2に接続し、当該利用登録用情報に含まれるアクセス事由情報及び初期登録情報をNAS2に送信することで、第一の電子機器1AのユーザがNAS2に対して利用登録を行う作業をサポートする。
【0056】
内部ストレージインタフェース271は、内部ストレージ270に対するファイルの読み出し又は書き込み指令があった場合に、内部ストレージ270全体の制御を行うと共に、ファイルの読み出し又は書き込み制御を行い、読み出されたファイルを出力する。
【0057】
なお、内部ストレージ270は挿脱可能な不揮発性メモリカードであってもよい。この場合、内部ストレージインタフェース271は、このメモリカードが装着されるメモリカードスロットをさらに備える。
【0058】
図3は、
図1に示すファイル管理システム100におけるNAS2の内部構成例を示す図である。
【0059】
NAS2は、CPU30と、ROM31と、RAM32と、HDD部33と、有線LANモジュール34と、を備える。
【0060】
CPU30、ROM31、RAM32、HDD部33、及び、有線LANモジュール34は、それぞれ共通のバスにより接続されている。
【0061】
CPU30は、ROM31内に記憶されたファームウェア等のプログラムがRAM32において展開された後で実行されることで、NAS2全体の動作制御を行う。
【0062】
ROM31には、上述のファームウェア等のプログラムが記憶されている。RAM32は、NAS2のワークメモリとして動作し、各種プログラム及びデータが一時的に記憶される。
【0063】
HDD部33は、HDD330とHDDインタフェース(I/F)331とを備える。
【0064】
HDD330は、記憶媒体であるディスクと、このディスクの回転を行う回転部と、ディスクに対してデータの読み出し及び書き込みを行うヘッド部とを備える(いずれも不図示)。
【0065】
HDD330は記憶部を構成する。なお、HDD330は、NAS2のCPU30がアクセス可能な場所にあればよく、NAS2の外部に設けられていてもよい。例えば、NAS2と無線又は有線によって接続可能に構成されたHDDであってもよい。
【0066】
HDDインタフェース331は、HDD330に対するファイルの読み出し又は書き込み指令があった場合に、HDD330全体の制御を行うと共に、ファイルの読み出し又は書き込み制御を行い、読み出されたファイルを出力する。
【0067】
HDD330にはアプリケーションプログラムの他、NAS2に利用登録されているユーザの登録情報(ユーザID及びパスワード)と、NAS2に利用登録されている電子機器から送信されてきた文書ファイル、音ファイル、画像ファイル、又は、動画ファイル等の各種ファイルと、が適宜記憶される。
【0068】
NAS2の出荷時には、上記の利用登録用情報に含まれる初期登録情報と同じ内容の情報がHDD330に予め記憶される。
【0069】
HDD330には、上述した各種ファイルが記憶される領域を示すフォルダが形成されている。NAS2では、フォルダ毎、又は、ファイル毎に、利用登録済みの各電子機器からのアクセス制限を設定することができる。
【0070】
有線LANモジュール34は、例えばIEEE802.3規格に準拠して、ルータ5との間で有線による通信を行う。有線LANモジュール34の代わりに、例えばIEEE802.11規格に準拠してルータ5との間で無線による通信を行うモジュールを用いてもよい。
【0071】
図4は、
図3に示すNAS2のCPU30の機能ブロック図である。
【0072】
NAS2のCPU30は、検出部30Aと、初期登録情報取得部30Bと、入力要求部30Cと、登録部30Dと、利用権限切替部30Eと、を備える。
【0073】
これらの機能ブロックは、NAS2のCPU30が、NAS2のROM31に記憶された利用登録プログラムを含むプログラムを実行することにより形成される。
【0074】
検出部30Aは、NAS2に対応する利用登録用カード2Aから読み取られた利用登録用情報にしたがった電子機器による接続を検出する。
【0075】
検出部30Aは、利用登録用情報に含まれるアクセス事由情報を電子機器から受け取り、このアクセス事由情報を参照することで、当該電子機器が、NAS2の利用登録のために接続してきたものであるか否かを判定する。
【0076】
初期登録情報取得部30Bは、検出部30Aによって接続が検出された電子機器から、利用登録用情報に含まれる初期登録情報を取得してRAM32に一時記憶する。
【0077】
入力要求部30Cは、検出部30Aによって検出された電子機器に対して、利用登録に必要な登録情報(ユーザID及びパスワード)の入力を要求する。
【0078】
登録部30Dは、入力要求部30Cによって行われた要求に応じて電子機器から入力された登録情報をHDD330に記憶することで当該登録情報に対応するユーザの利用登録を行う。
【0079】
また、登録部30Dは、NAS2の利用権限を示す利用権限情報を、当該登録情報と対応付けてHDD330に記憶することで、当該ユーザの利用権限を設定する。
【0080】
NAS2では、複数のユーザの利用登録が可能である。このため、HDD330には登録情報及び利用権限情報の組み合わせが複数記憶可能である。
【0081】
このように、複数のユーザの利用登録が行われる場合、登録部30Dは、最初に利用登録したユーザに対しては第一の利用権限を設定し、このユーザよりも後に利用登録したユーザに対しては第一の利用権限よりも制限された第二の利用権限を設定する。最初に利用登録したユーザとは、NAS2が工場出荷の状態から、登録部30DがHDD330に最初に記憶した登録情報に対応するユーザのことを言う。
【0082】
電子機器の利用権限が制限されるとは、この電子機器の利用可能な機能が少なくなることを意味する。
【0083】
NAS2の利用権限とは、ユーザの削除、フォルダの作成、フォルダの削除、ファイルの削除、HDD330へのファイルの書き込み、HDD330からのファイルの読み込み、読み込んだファイルの保存、フォルダやファイル毎のアクセス制限の設定、システムの初期化、省電力設定、及び、HDD330のフォーマット等のNAS2が有する全ての機能のうちの利用可能な機能の範囲を示している。
【0084】
上記の第一の利用権限が設定されたユーザは、NAS2が有する全ての機能を利用可能である。
【0085】
上記の第二の利用権限が設定されたユーザは、NAS2が有する全ての機能のうちの一部の機能(例えば、アクセス制限のないフォルダへのファイルの書き込みと、当該フォルダからのファイルの読み込みと、読み込んだファイルの保存の機能)を利用可能である。
【0086】
利用権限切替部30Eは、登録部30Dが最初に利用登録したユーザ(第一の利用権限が設定されているユーザ)の電子機器からの指示(後述するモード切替情報)に基づいて、当該ユーザのNAS2の利用権限を、第一の利用権限と第二の利用権限との間で切り替える。
【0087】
図5は、
図2に示す第一の電子機器1AのCPU20の機能ブロック図である。第二の電子機器1BのCPUの機能ブロックは
図5と同じ構成であるため説明を省略する。
【0088】
第一の電子機器1AのCPU20は、接続制御部20Aと、表示制御部20Bと、送信部20Cと、を備える。これらの機能ブロックは、第一の電子機器1AのCPU20が、第一の電子機器1Aにインストールされた上記のファイル管理アプリを実行することにより形成される。
【0089】
このファイル管理アプリは、NAS2又はインターネット6に接続された別のサーバ等から取得可能となっている。
【0090】
接続制御部20Aは、液晶パネル231を用いて、情報読取部25による利用登録用情報の読み取りを第一の電子機器1Aのユーザに指示し、この指示にしたがって情報読取部25により利用登録用情報が読み取られると、この利用登録用情報に含まれる接続情報に基づいて、移動体通信網4及びインターネット6を介してNAS2に接続する。
【0091】
表示制御部20Bは、NAS2の利用登録や各種操作を行うための表示画面を構成する構成データをNAS2から受信し、受信した構成データに基づいて表示画面を生成し、この表示画面を液晶パネル231に表示させる。
【0092】
液晶パネル231に表示される表示画面には、ユーザID及びパスワードの入力を要求する画面と、NAS2のHDD330のディレクトリ構成を示す画面等が含まれる。
【0093】
第一の電子機器1AのユーザがNAS2の利用登録を既に行っており、第一の電子機器1AのユーザのNAS2に対する利用権限として第一の利用権限が設定されている場合には、管理者モードとユーザモードとを切り替えるためのモード切替ボタンのデータを含む構成データがNAS2から送信されてくる。
【0094】
管理者モードは、第一の利用権限にしたがってNAS2を利用する第一のモードである。ユーザモードは、第二の利用権限にしたがってNAS2を利用する第二のモードである。
【0095】
このモード切替ボタンのデータを含む構成データに基づいて生成される表示画面には、管理者モードとユーザモードの切り替えをCPU20に対して指示するためのモード切替ボタンが含まれることになる。この表示画面は、管理者モードとユーザモードの切り替えを行うための画面を構成する。
【0096】
送信部20Cは、ユーザの操作によってCPU20に入力されるユーザIDやパスワード等の各種情報と、ファイルの書き込みや読み出し等のNAS2の操作を指示するコマンド情報と、管理者モードとユーザモードの切り替えを指示するモード切替情報と、をNAS2に送信する。
【0097】
次に、第一の電子機器1Aのユーザと第二の電子機器1BのユーザがNAS2の利用登録を順番に行う場合のファイル管理システム100の動作について
図6を参照しながら説明する。
【0098】
図6は、
図1に示すファイル管理システム100の動作を説明するためのフローチャートである。以下では、利用登録用カード2Aが、利用登録用情報を示す二次元コードが印刷されたものとして説明する。
【0099】
第一の電子機器1Aのユーザが、第一の電子機器1Aにインストールされているファイル管理アプリを起動すると、第一の電子機器1Aの接続制御部20Aは、NAS2に同梱されていた利用登録用カード2Aの二次元コードを読み取ることを要求する表示画面を液晶パネル231に表示させる。
【0100】
第一の電子機器1Aのユーザは、この表示画面にしたがい、情報読取部25(ここではカメラ)によって利用登録用カード2Aの二次元コードを撮影する。
【0101】
情報読取部25によって二次元コードが撮影されると、第一の電子機器1Aの接続制御部20Aは、撮影された撮像画像を解析して利用登録用情報をデコードし、この利用登録用情報をRAM22に記憶する(ステップS1)。
【0102】
次に、第一の電子機器1Aの接続制御部20Aは、RAM22に記憶した利用登録用情報に含まれる接続情報に基づいて、移動体通信網4及びインターネット6を介してNAS2に接続し、RAM22に記憶した利用登録用情報に含まれるアクセス事由情報及び初期登録情報をNAS2に送信する(ステップS2)。
【0103】
NAS2が第一の電子機器1Aからアクセス事由情報及び初期登録情報を受信すると、NAS2の初期登録情報取得部30Bは、初期登録情報を取得してRAM32に記憶する(ステップS3)。
【0104】
また、NAS2の検出部30Aは、第一の電子機器1Aから受信したアクセス事由情報に基づいて、第一の電子機器1Aが利用登録のために接続してきたことを検出する(ステップS4)。
【0105】
ステップS4の後、NAS2の入力要求部30Cは、第一の電子機器1Aに対して利用登録に必要な登録情報の入力を要求する(ステップS5)。具体的には、NAS2の入力要求部30Cは、ユーザIDとパスワードを入力するための表示画面を構成する構成データを第一の電子機器1Aに送信する。
【0106】
第一の電子機器1Aの表示制御部20Bは、NAS2から受信した構成データに基づいてユーザIDとパスワードの入力を要求するための表示画面を生成して液晶パネル231に表示させる。
【0107】
この表示画面にしたがい、第一の電子機器1AのユーザがユーザIDとパスワードを入力して確定操作を行い、このユーザIDとパスワードが第一の電子機器1Aによって受け入れられると、(ステップS6)、入力されたユーザIDとパスワードがRAM22に一時記憶される。そして、第一の電子機器1Aの送信部20Cは、RAM22に記憶されたユーザIDとパスワードをNAS2に送信する(ステップS7)。
【0108】
NAS2の登録部30Dは、第一の電子機器1AからユーザIDとパスワードを受信すると、これらをRAM32に一時記憶する。また、NAS2の登録部30Dは、ステップS3でRAM32に記憶された初期登録情報と同じ内容の情報がHDD330に記憶されているか否かを判定する(ステップS8)。
【0109】
NAS2に対してユーザの利用登録が一度もなされていない状態では、NAS2のHDD330には初期登録情報と同じ内容の情報が記憶されている。ここでは第一の電子機器1Aのユーザが、NAS2に利用登録する最初のユーザであるため、ステップS8の判定はYESとなる。
【0110】
ステップS8の判定がYESの場合には、NAS2の登録部30Dは、RAM32に一時記憶しているユーザIDとパスワードを第一の登録情報としてHDD330に記憶して、第一の登録情報に対応するユーザの利用登録を行う。また、NAS2の登録部30Dは、第一の利用権限を示す利用権限情報をこの第一の登録情報と対応付けてHDD330に記憶することで、このユーザの利用権限を第一の利用権限に設定する(ステップS9)。
【0111】
ステップS9の後、NAS2の登録部30Dは、HDD330に記憶されていた初期登録情報と同じ内容の情報を削除する(ステップS10)。
【0112】
なお、この情報の削除は、ステップS9において初期登録情報と同じ内容の情報を第一の登録情報で上書きすることで行ってもよい。また、この情報はステップS10で削除されることなく、以後、NAS2が工場出荷時の状態に初期化されるまでは無効として取り扱われるようにしてもよい。この場合、NAS2が初期化されると、NAS2のCPU30は、この情報を有効化する。これにより、NAS2が別のユーザに譲渡された場合であっても、この別のユーザは、第一の利用権限による利用登録を行うことが可能となる。
【0113】
ステップS9の処理で第一の電子機器1Aのユーザの利用登録が完了すると、NAS2のCPU30は、利用登録の完了通知を第一の電子機器1Aに送信する。
【0114】
第一の電子機器1AのCPU20は、この完了通知を受けると、ステップS1でRAM22に記憶していた利用登録用情報に含まれる接続情報と、ステップS6でユーザから入力されてRAM22に記憶していた登録情報とを内部ストレージ270に記憶する。
【0115】
第一の電子機器1Aのユーザが利用登録を行った後、第二の電子機器1Bのユーザが、第二の電子機器1Bにインストールされているファイル管理アプリを起動させると、ステップS1〜ステップS8と同様の処理が第二の電子機器1BとNAS2によって行われる。
【0116】
第一の電子機器1Aのユーザの利用登録が行われた後では、ステップS10の処理が行われているため、ステップS8の判定はNOとなる。この場合、NAS2の登録部30Dは、ステップS9及びステップS10の処理は行わずに、ステップS11の処理を行う。
【0117】
ステップS11において、NAS2の登録部30Dは、RAM32に一時記憶している第二の電子機器1Bから受信したユーザIDとパスワードを第二の登録情報としてHDD330に記憶して第二の登録情報に対応するユーザの利用登録を行う。また、NAS2の登録部30Dは、第二の利用権限を示す利用権限情報をこの第二の登録情報と対応付けてHDD330に記憶することで、このユーザの利用権限を第二の利用権限に設定する。
【0118】
ステップS11の処理で第二の電子機器1Bのユーザの利用登録が完了すると、NAS2のCPU30は、利用登録の完了通知を第二の電子機器1Bに送信する。
【0119】
第二の電子機器1BのCPU20は、この完了通知を受けると、ステップS1でRAM22に記憶していた利用登録用情報に含まれる接続情報と、ステップS6でユーザから入力されてRAM22に記憶していた登録情報とを内部ストレージ270に記憶する。
【0120】
このようにして2人のユーザの利用登録が完了した後は、第一の電子機器1A又は第二の電子機器1Bにおいてファイル管理アプリが起動すると、第一の電子機器1A又は第二の電子機器1BのCPU20は、内部ストレージ270に記憶した接続情報に基づいてNAS2に接続し、内部ストレージ270に記憶した登録情報によってNAS2にログインする。
【0121】
これにより、第一の電子機器1A又は第二の電子機器1BによってNAS2の利用が可能となる。なお、ここでは自動でログインがなされるものとしたが、ユーザが登録情報を手入力することでログインがなされてもよい。
【0122】
次に、第一の電子機器1Aのユーザと第二の電子機器1Bのユーザの利用登録が行われた後のファイル管理システム100の動作について
図7を参照しながら説明する。
【0123】
図7は、
図1に示すファイル管理システム100におけるNAS2の利用登録後の動作を説明するためのフローチャートである。
【0124】
第一の電子機器1A(又は第二の電子機器1B)のユーザが、第一の電子機器1A(又は第二の電子機器1B)にインストールされているファイル管理アプリを起動すると、第一の電子機器1A(又は第二の電子機器1B)のCPU20は、内部ストレージ270に記憶されている接続情報に基づいてNAS2に接続し、内部ストレージ270に記憶されている登録情報を用いてNAS2にログインする(ステップS21)。
【0125】
ログインが行われると、NAS2の利用権限切替部30Eは、ログインしたユーザに対応する登録情報に対応付けて記憶されている利用権限情報を確認する(ステップS22)。
【0126】
ログインしたユーザが第二の電子機器1Bのユーザである場合には、利用権限情報が第二の利用権限を示すものとなり(ステップS22:第二)、NAS2の利用権限切替部30Eは、ログインしたユーザの利用権限を第二の利用権限に設定する。
【0127】
この設定処理により、第二の電子機器1Bのユーザは、第二の利用権限にしたがってNAS2の利用を許可された状態となり(ステップS24)、ログイン中はその設定が継続される。
【0128】
ログインしたユーザが第一の電子機器1Aのユーザである場合には、利用権限情報が第一の利用権限を示すものとなり(ステップS22:第一)、NAS2の利用権限切替部30Eは、ログインしたユーザの利用権限を第二の利用権限に設定する。
【0129】
この設定処理により、第一の電子機器1Aのユーザは、第二の利用権限にしたがったNAS2の利用を許可された状態となる(ステップS23)。
【0130】
ステップS23の後、NAS2のCPU30は、第一の利用権限と第二の利用権限を切り替えるためのモード切替ボタンを含む表示画面を構成する構成データを、第一の電子機器1Aに送信する(ステップS26)。
【0131】
第一の電子機器1Aの表示制御部20Bは、構成データをNAS2から受信すると、この構成データに基づく表示画面を液晶パネル231に表示させる(ステップS27)。
【0132】
図8は、
図7のステップS27の処理で表示される表示画面の一例を示す図である。
【0133】
図8に示す表示画面は、HDD330のディレクトリ構成を表示する画面領域80と、各種メニューを表示する画面領域81とにより構成されている。画面領域81には、モード切替ボタン81aとモード切替ボタン81bとが表示されている。
【0134】
モード切替ボタン81aは、第一の利用権限にしたがってNAS2の利用を行う管理者モードの設定を指示するためのボタンである。
【0135】
モード切替ボタン81bは、第二の利用権限にしたがってNAS2の利用を行うユーザモードの設定を指示するためのボタンである。
【0136】
モード切替ボタン81aとモード切替ボタン81bは、現在設定中のモードに対応するボタンの外枠が太線で囲まれる等してハイライト表示されるようになっている。
【0137】
図8に示す表示画面において、第一の電子機器1Aのユーザが、モード切替ボタン81aを押す操作を行うと、管理者モードへの切替指示が第一の電子機器1AのCPU20に入力される。
【0138】
この切替指示を受けると、第一の電子機器1Aの表示制御部20Bは、表示画面を例えば
図9に示すような表示画面に変更する。
図9に示す表示画面では、モード切替ボタン81bのハイライトが解除され、モード切替ボタン81aがハイライトされた状態となっている。
【0139】
また、第一の電子機器1Aの送信部20Cは、この切替指示を受けると(ステップS28:YES)、ユーザモードから管理者モードへの切り替え(第二の利用権限から第一の利用権限への切り替え)を指示するモード切替情報をNAS2に送信する(ステップS29)。
【0140】
このモード切替情報を受信したNAS2の利用権限切替部30Eは、ユーザの利用権限を第一の利用権限に設定する(ステップS30)。
【0141】
この設定処理により、第一の電子機器1Aのユーザは、第一の利用権限にしたがったNAS2の利用を許可された状態となる。ステップS30の後は、ステップS25に処理が戻る。
【0142】
ステップS30において第一の利用権限が設定された状態で、第一の電子機器1Aのユーザがモード切替ボタン81bを押す操作を行うと、表示画面は
図9に示すものから
図8に示すものに変化し、ユーザモードへの切替指示が第一の電子機器1AのCPU20に入力される。
【0143】
第一の電子機器1Aの送信部20Cは、この切替指示を受ける(ステップS28:YES)と、管理者モードからユーザモードへの切り替えを指示するモード切替情報をNAS2に送信する(ステップS29)。
【0144】
このモード切替情報を受信したNAS2の利用権限切替部30Eは、ステップS30においてユーザの利用権限を第二の利用権限に設定し、ステップS25に処理を戻す。
【0145】
以上のように、モード切替ボタン81aとモード切替ボタン81bのどちらかが押されると、その押されたボタンに対応するモードへの切り替えを指示するモード切替情報がNAS2に送信され、指示されたモードにしたがった利用権限がユーザに対して設定されることになる。
【0146】
以上のように、ファイル管理システム100によれば、利用登録のために一度使用された利用登録用カード2Aが使用不可となることはなく、何度でも利用可能である。このため、複数のユーザがNAS2の利用登録を行う作業を簡略化することができる。
【0147】
また、ファイル管理システム100によれば、利用登録用カード2Aを用いて最初に利用登録を行ったユーザには第一の利用権限が設定され、その後に利用登録用カード2Aを用いて利用登録を行ったユーザには、第一の利用権限よりも制限された第二の利用権限が設定される。
【0148】
このように、NAS2の管理者であるユーザと、管理者によって管理される被管理者であるユーザとは、それぞれ、自身の利用権限の設定を特に意識することなく、他のユーザと同じ手順で登録作業を行うだけで、管理者又は被管理者としてNAS2の利用が可能になる。したがって、NAS2の管理者となるユーザがNASに対する知識の少ない場合であっても、NAS2の利用を簡単に行うことができる。
【0149】
また、ファイル管理システム100によれば、利用登録時に第一の利用権限が設定されたユーザは、第一の利用権限にしたがったNAS2の利用だけでなく、第二の利用権限にしたがったNAS2の利用が可能である。
【0150】
このように、NAS2の管理者となるユーザからの明示的な切替の指示がない限り、管理者となるユーザが、被管理者となるユーザと同じ立場でNAS2の利用を行えることで、被管理者が管理者の管理下にあるという心理的な不安を和らげることができる。
【0151】
例えば、家族で1台のNAS2を運用する場合には、管理者である親が基本的にはユーザモードでNAS2を利用することで、被管理者である子供にとっては、自身の管理している特定のファイルを親によって常時閲覧可能な状態となるのを防ぐことができる。このため、NAS2を安心して利用することができる。
【0152】
以上の説明では、
図7のステップS22において、ログインしたユーザの利用権限情報が第一の利用権限を示すものである場合には、このユーザの利用権限が第二の利用権限に設定されるものとしたが、この処理は省略してもよい。
【0153】
この場合は、NAS2の利用権限切替部30Eは、ログインしたユーザの利用権限を第一の利用権限に設定する。そして、このユーザからモード切替指示があれば、利用権限を切り替える処理を行えばよい。
【0154】
また、以上の説明では、NAS2の管理者であるユーザが利用登録を行うと、このユーザに対しては第一の利用権限が設定されるものとしたが、このユーザに対し、第一の利用権限と第二の利用権限を設定するようにしてもよい。
【0155】
具体的には、
図6のステップS9において、NAS2の登録部30Dは、第一の利用権限を示す利用権限情報と、第二の利用権限を示す利用権限情報とをこの第一の登録情報と対応付けてHDD330に記憶することで、このユーザの利用権限を第一の利用権限と第二の利用権限に設定する。
【0156】
この場合は、ステップS22において利用権限が第一の利用権限と第二の利用権限が設定されているユーザに対してはステップS23とステップS25の処理が行われる。
【0157】
そして、ステップS29においてモード切替情報が送信され、NAS2がこれを受信すると、NAS2の利用権限切替部30Eは、ログイン中の当該ユーザの電子機器に対して表示させている画面の情報を保持し、当該ユーザのログアウト処理を行う。その後、NAS2の利用権限切替部30Eは、当該ユーザの再ログイン処理を行い、当該ユーザに対して、再ログイン前に設定していた利用権限とは異なる利用権限を設定する。
【0158】
この例では、管理者となるユーザは、見かけ上、2つのアカウントを有することになり、利用権限の切り替えを行う場合にはログアウトと再ログインが行われる。しかし、ログアウト前に画面の情報を保持しておき、再ログイン後はこの情報に基づいて画面表示を再開させることで、管理者となるユーザは、特に意識することなくアカウントの切替を行うことが可能となる。
【0159】
次に、ファイル管理システム100の変形例について説明する。
【0160】
(第一の変形例)
第一の変形例では、NAS2の登録部30Dが、初期登録情報を用いずに、少なくとも1つの登録情報がHDD330に記憶されているか否かによって、最初に利用登録を行うユーザと、2回目以降に利用登録を行うユーザとを区別する。
【0161】
このため、第一の変形例においては、利用登録用情報に初期登録情報が含まれている必要はない。また、NAS2の出荷時において、HDD330には初期登録情報と同じ内容の情報は記憶されていない。
【0162】
図10は、ファイル管理システム100の第一の変形例の動作を説明するためのフローチャートである。
【0163】
図10に示すフローチャートは、ステップS2がステップS2aに変更され、ステップS3とステップS10が削除され、ステップS8がステップS8aに変更された点を除いては、
図6に示すフローチャートと同じである。
図10において
図6と同じ処理は同一符号を付して説明を省略する。
【0164】
ステップS2aにおいて、第一の電子機器1Aの接続制御部20Aは、RAM22に記憶した利用登録用情報に含まれる接続情報に基づいて、移動体通信網4及びインターネット6を介してNAS2に接続し、RAM22に記憶した利用登録用情報に含まれるアクセス事由情報をNAS2に送信する。ステップS2aの後はステップS4〜ステップS7の処理が行われる。
【0165】
ステップS7の後のステップS8aにおいて、NAS2の登録部30Dは、第一の電子機器1Aから受信したユーザIDとパスワードをRAM32に一時記憶する。また、NAS2の登録部30Dは、HDD330に少なくとも1つの登録情報が記憶されているか否かを判定する。
【0166】
NAS2に対してユーザの利用登録が一度もなされていない状態では、NAS2のHDD330には登録情報が1つも記憶されていない。ここでは第一の電子機器1Aのユーザが、NAS2に利用登録する最初のユーザであるため、ステップS8aの判定はNOとなる。
【0167】
そして、ステップS8aの判定がNOの場合には、ステップS9の処理が行われる。
【0168】
第一の電子機器1Aのユーザが利用登録を行った後、第二の電子機器1Bのユーザが、第二の電子機器1Bにインストールされているファイル管理アプリを起動させると、ステップS1、ステップS2a、ステップS4〜ステップS7、及び、ステップS8aと同様の処理が第二の電子機器1BとNAS2によって行われる。
【0169】
第一の電子機器1Aのユーザの利用登録が行われた後では、HDD330に登録情報が記憶されているため、ステップS8aの判定はYESとなる。この場合、NAS2の登録部30Dは、ステップS9の処理は行わずに、ステップS11の処理を行う。以降のNAS2の利用時の動作については
図7で説明したとおりである。
【0170】
以上のように、初期登録情報を用いなくても、初回の利用登録のユーザと、2回目以降の利用登録のユーザとを区別することができ、ユーザ毎に異なる利用権限の設定を行うことができる。
【0171】
(第二の変形例)
第二の変形例では、NAS2の利用権限切替部30Eが、ログイン中のユーザに第一の利用権限を設定している状態では、予め定められた条件を満たした場合に、このユーザに対する利用権限を第二の利用権限に強制的に設定する点が、上記の実施形態及び第一の変形例とは異なる。
【0172】
つまり、NAS2の利用権限切替部30Eは、
図7に示すフローチャートのステップS30において第一の利用権限を設定した場合には、この第一の利用権限の設定期間中に上記の条件を満たすか否かを判定する。そして、NAS2の利用権限切替部30Eは、上記の条件を満たすと判定した場合にはステップS23に処理を戻す。
【0173】
上記の条件としては、例えば、以下の[1]〜[3]が設定される。
【0174】
[1]第一の利用権限の設定継続時間が予め定められた時間に達すること
[2]第一の電子機器1AからNAS2の操作が一定時間行われないこと
[3]第一の利用権限でのみアクセス可能なフォルダ又はファイルに第一の電子機器1Aからアクセスがある状態から、第二の利用権限でアクセス可能なフォルダ又はファイルに第一の電子機器1Aからアクセスがある状態に変化すること
【0175】
このように、管理者に対して第一の利用権限での利用が許可された場合でも、上記の条件が満たされた場合には第二の利用権限での利用を許可する状態にすることで、第一の利用権限での利用が許可された状態が長時間継続するのを防ぐことができ、上述した心理的な不安解消の効果を高めることができる。
【0176】
(第三の変形例)
第三の変形例では、NAS2の利用権限切替部30Eが、ログイン中のユーザに第二の利用権限を設定している状態では、予め定められた切替条件を満たした場合に、このユーザに対する利用権限を第一の利用権限に強制的に設定する点が第二の変形例とは異なる。
【0177】
つまり、NAS2の利用権限切替部30Eは、
図7に示すフローチャートのステップS30において第二の利用権限を設定した場合には、この第二の利用権限の設定期間中に上記の切替条件を満たすか否かを判定する。そして、NAS2の利用権限切替部30Eは、上記の切替条件を満たすと判定した場合には、利用権限を第一の利用権限に切り替えてステップS25に処理を戻す。
【0178】
上記の切替条件としては、例えば以下の[4][5]が設定される。
【0179】
[4]第二の利用権限でのみアクセス可能なフォルダ又はファイルに第一の電子機器1Aからアクセスがある状態から、第一の利用権限でアクセス可能なフォルダ又はファイルに第一の電子機器1Aからアクセスがある状態に変化すること
[5]第二の利用権限でのみアクセス可能なフォルダ又はファイルに第一の電子機器1Aからアクセスがある状態から、NAS2の設定画面に第一の電子機器1Aからアクセスがある状態に変化すること
【0180】
この例では、上記の切替条件が満たされてから、第一の電子機器1Aが、再び、第二の利用権限でのみアクセス可能なフォルダ又はファイルにアクセスしたり、設定画面にしたがった所定の設定処理が終了したりすると、利用権限が第一の利用権限から第二の利用権限へと戻る構成とするのが好ましい。
【0181】
このように、管理者に対して第二の利用権限での利用が許可されている場合でも、上記の切替条件が満たされた場合には第一の利用権限での利用を許可する状態にすることで、管理者が特別な操作をすることなく利用権限の切り替えを行うことができ、利便性を向上させることができる。
【0182】
また、第一の利用権限によってNAS2の設定等の特定の作業を行った場合でも、この作業が終了すると第二の利用権限に自動的に戻ることで、利用権限の切り替え操作が不要となり、利便性を向上させることができる。また、このように第一の利用権限から第二の利用権限へと自動的に切り替えが行われることで、管理者となるユーザが特に意識することなく、被管理者となるユーザと同じ立場でNAS2の利用を行うことができる。この結果、被管理者が管理者の管理下にあるという心理的な不安を和らげることができる。
【0183】
(第四の変形例)
上記の実施形態、第一の変形例、第二の変形例、及び、第三の変形例では、NAS2の利用権限として第一の利用権限と第二の利用権限の2つを設定可能としたが、3つ以上の利用権限が設定可能であってもよい。例えば、NAS2の登録部30Dは、利用権限として以下に例示した第一の利用権限〜第三の利用権限を設定してもよい。
【0184】
第一の利用権限:NAS2の全ての機能を利用可能
第二の利用権限:アクセス制限のないフォルダへのファイルの書き込み、当該フォルダからのファイルの削除、当該フォルダからのファイルのダウンロード、及び、当該ファイルの保存のみが可能
第三の利用権限:アクセス制限のないフォルダ内のファイルのダウンロードのみが可能(読取専用)
【0185】
ここで、第一の利用権限〜第三の利用権限の関係は、第一の利用権限>第二の利用権限>第三の利用権限となる。
【0186】
図11は、ファイル管理システム100の第四の変形例の動作を説明するためのフローチャートである。
【0187】
図11に示すフローチャートは、ステップS41〜ステップS43が追加された点を除いては、
図6に示すフローチャートと同じである。
図11において
図6と同じ処理は同一符号を付して説明を省略する。
【0188】
ステップS8の判定がNOの場合、NAS2の登録部30Dは、CPU30に内蔵されたカウンタのカウンタ値を1つ増やし(ステップS41)、現在のカウンタ値が予め定められた閾値に達したか否かを判定する(ステップS42)。ここでの閾値は例えば“2”に設定される。
【0189】
現在のカウンタ値が上記の閾値(=2)に達していない場合(ステップS42:NO)には、NAS2の登録部30Dは、ステップS11の処理を行う。
【0190】
現在のカウンタ値が上記の閾値(=2)に達した場合(ステップS42:YES)には、NAS2の登録部30Dは、ステップS43の処理を行う。
【0191】
ステップS43において、NAS2の登録部30Dは、RAM32に一時記憶している電子機器から受信したユーザIDとパスワードを第三の登録情報としてHDD330に記憶して登録情報に対応するユーザの利用登録を行う。また、NAS2の登録部30Dは、第三の利用権限を示す利用権限情報をこの第三の登録情報と対応付けてHDD330に記憶することで、このユーザの利用権限を第三の利用権限に設定する。
【0192】
図11に示す動作によれば、最初に利用登録を行ったユーザには第一の利用権限を設定し、2回目に利用登録を行ったユーザには第二の利用権限を設定し、3回目以降に利用登録を行ったユーザには第三の利用権限を設定することができる。
【0193】
このように、3種類の利用権限をユーザ毎に分けて簡単に設定することができるため、NAS2の運用を柔軟かつ簡便に行うことができる。
【0194】
ステップS42でカウント値と比較する閾値は、最初の利用登録を行ったユーザ(利用登録時に第一の利用権限が設定されたユーザ)がNAS2にログインし、任意の数値を設定できるようにしておくことが好ましい。これにより、NAS2の運用をより柔軟に行うことができる。
【0195】
例えば、両親と子供3人の5人家族で1台のNAS2を運用する場合には、父親が管理者となって最初に利用登録を行い、その後、NAS2にログインして、上記の閾値を“5”に設定する。その後、母親及び子供3人が順次、NAS2の利用登録を行うと、母親及び子供3人の各々には第二の利用権限が設定される。
【0196】
家族5人の利用登録がなされた状態で、例えば、子供の友人がNAS2を一時的に使用したいような場合には、この友人が、自身のスマートフォン等と利用登録用カード2Aを用いて、NAS2に利用登録を行う。
【0197】
このとき、NAS2のCPU30の内蔵カウンタのカウント値は“5”になる。このため、ステップS42の判定はYESとなり、この友人に対しては第三の利用権限が設定される。
【0198】
したがって、友人は、ファイルの閲覧のみが可能となり、NAS2に記憶されている記録データのセキュリティを確保することができる。
【0199】
また、家族5人の利用登録がなされた状態で、例えば、悪意ある第三者が利用登録用カード2Aを取得し、この利用登録用カード2Aを利用してNAS2への利用登録を行った場合には、この第三者には第三の利用権限が設定されることになる。このため、第三者によってNAS2の記録データが削除されたり、ウィルス等の不正プログラムの書き込みがなされたりするのを防止することができ、NAS2のセキュリティを確保することができる。上記の閾値は、管理者が任意のタイミングで変更できるようにしてもよい。このようにすることで、柔軟な運用が可能となる。
【0200】
ここまで説明してきた実施形態と全ての変形例では、第一の電子機器1Aや第二の電子機器1Bが移動体通信網4及びインターネット6を介してNAS2に接続するものとしたが、これに限らない。
【0201】
第一の電子機器1Aや第二の電子機器1Bは、無線LANモジュール240とアンテナ241によってルータ5を介してLAN3に接続し、LAN3を介してNAS2に接続してもよい。
【0202】
また、ここまで説明してきた実施形態と全ての変形例では、ネットワーク機器としてNAS2を例にしたが、本発明が適用されるネットワーク機器としては、複数の利用権限をユーザ毎に設定できるものであればよい。例えば、ネットワークカメラ又はルータ等であってもよい。
【0203】
また、ここまで説明してきた実施形態と全ての変形例では、第一の電子機器1Aや第二の電子機器1BがNAS2から構成データを受信し、この構成データに基づいて表示画面を生成して表示させる構成としたが、これに限らない。
【0204】
NAS2が表示画面のデータを生成して第一の電子機器1Aや第二の電子機器1Bに送信してもよい。
【0205】
また、ここまで説明してきた実施形態と全ての変形例では、第一の電子機器1Aや第二の電子機器1BのCPU20がファイル管理アプリ内で表示画面を表示するものとしたが、第一の電子機器1Aや第二の電子機器1Bにインストールされているウェブブラウザ内で表示画面の表示を行う構成であってもよい。
【0206】
また、ここまで説明してきた実施形態と全ての変形例では、HDD330に、NAS2に利用登録されているユーザの登録情報(ユーザID及びパスワード)、利用権限情報、及び、初期登録情報が記憶されるものとしたが、これらの情報はNAS2のROM31に記憶される構成であってもよい。この場合、ROM31は記憶部を構成する。
【0207】
以上説明したファイル管理アプリ及び利用登録プログラムは、プログラムをコンピュータが読取可能な一時的でない(non−transitory)記憶媒体に記憶される。このような「コンピュータ読取可能な記憶媒体」は、たとえば、CD−ROM(Compact Disc−ROM)等の光学媒体や、USBメモリ又はメモリカード等の磁気記憶媒体等を含む。また、このようなプログラムを、インターネット6を介したダウンロードによって提供することもできる。
【0208】
以上のように本明細書には以下の事項が開示されている。
【0209】
(1) ネットワークを介して電子機器と通信可能かつ利用登録済みのユーザによって利用可能なネットワーク機器であって、前記ネットワーク機器に対応付けられた情報にしたがって行われた電子機器による接続を検出する検出部と、前記検出部によって接続が検出された電子機器に対してユーザの利用登録に必要な登録情報の入力を要求する入力要求部と、前記入力要求部によって行われた要求に応じて前記電子機器から入力された登録情報を記憶部に記憶して当該登録情報に対応するユーザの利用登録を行う登録部と、を備え、前記登録部は、最初に利用登録したユーザに対応する第一の登録情報が前記記憶部に記憶されている状態で、前記第一の登録情報とは異なる第二の登録情報が前記要求に応じて電子機器から入力された場合に、前記第二の登録情報を前記記憶部に記憶して、前記第二の登録情報に対応するユーザの利用登録を行い、更に、前記登録部は、前記最初に利用登録したユーザに対しては第一の利用権限を設定し、前記ユーザよりも後に利用登録したユーザに対しては前記第一の利用権限よりも制限された第二の利用権限を設定するネットワーク機器。
【0210】
(2) (1)記載のネットワーク機器であって、前記第一の利用権限は前記第二の利用権限を含み、前記最初に利用登録したユーザからの指示に基づいて、当該ユーザの前記ネットワーク機器に対する利用権限を前記第一の利用権限と前記第二の利用権限との間で切り替える利用権限切替部を更に備えるネットワーク機器。
【0211】
(3) (2)記載のネットワーク機器であって、前記利用権限切替部は、前記第一の利用権限を設定した状態で、予め定められた条件を満たした場合に、前記ユーザに対する利用権限を前記第二の利用権限に切り替えるネットワーク機器。
【0212】
(4) (1)〜(3)のいずれか1つに記載のネットワーク機器であって、前記ネットワーク機器に対応付けられた前記情報は、予め定められた初期登録情報を含み、前記ネットワーク機器に対応付けられた前記情報にしたがって接続してきた電子機器から前記初期登録情報を取得する初期登録情報取得部を更に備え、前記登録部は、前記初期登録情報と同じ内容の情報が前記記憶部に記憶されている状態で、前記電子機器から前記第一の登録情報が入力された場合には、当該第一の登録情報に対応するユーザを前記第一の利用権限を持つユーザとして登録し、前記初期登録情報と同じ内容の情報が前記記憶部に記憶されていない状態で前記電子機器から前記第二の登録情報が入力された場合には、当該第二の登録情報に対応するユーザを前記第二の利用権限を持つユーザとして登録するネットワーク機器。
【0213】
(5) (1)〜(4)のいずれか1つに記載のネットワーク機器であって、前記ネットワーク機器に対応付けられた前記情報は、前記ネットワーク機器のネットワーク上の場所を特定するための情報と、前記ネットワーク機器への利用登録を行うための接続であることを示す情報と、を含むネットワーク機器。
【0214】
(6) (1)〜(5)のいずれか1つに記載のネットワーク機器であって、前記ネットワーク機器に対応付けられた前記情報は、前記電子機器によって光学的又は電磁的に読取可能なものであるネットワーク機器。
【0215】
(7) (2)又は(3)記載のネットワーク機器と通信可能な電子機器であって、ユーザの前記ネットワーク機器に対する利用権限として前記第一の利用権限が設定されている場合に、前記第一の利用権限にしたがって前記ネットワーク機器を利用する第一のモードと、前記第二の利用権限にしたがって前記ネットワーク機器を利用する第二のモードとを切り替えるための画面を表示部に表示させる表示制御部と、前記第一のモードと前記第二のモードの切り替えを指示するモード切替情報を前記ネットワーク機器に送信する送信部と、を備え、前記ネットワーク機器の前記利用権限切替部は、前記モード切替情報に基づいて前記ユーザの利用権限を前記第一の利用権限と前記第二の利用権限との間で切り替える電子機器。
【0216】
(8) ネットワークを介して電子機器と通信可能かつ利用登録済みのユーザによって利用可能なネットワーク機器の利用登録方法であって、前記ネットワーク機器に対応付けられた情報にしたがって行われた電子機器による接続を検出する検出ステップと、前記検出ステップによって接続が検出された電子機器に対してユーザの利用登録に必要な登録情報の入力を要求する入力要求ステップと、前記入力要求ステップによって行われた要求に応じて前記電子機器から入力された登録情報を記憶部に記憶して当該登録情報に対応するユーザの利用登録を行う登録ステップと、を備え、前記登録ステップでは、最初に利用登録したユーザに対応する第一の登録情報が前記記憶部に記憶されている状態で、前記第一の登録情報とは異なる第二の登録情報が前記電子機器から入力された場合に、前記第二の登録情報を前記記憶部に記憶して、前記第二の登録情報に対応するユーザの利用登録を行い、更に、前記最初に利用登録したユーザに対しては第一の利用権限を設定し、前記ユーザよりも後に利用登録したユーザに対しては前記第一の利用権限よりも制限された第二の利用権限を設定するネットワーク機器の利用登録方法。
【0217】
(9) (2)又は(3)記載のネットワーク機器と通信可能な電子機器の作動方法であって、前記電子機器のユーザの前記ネットワーク機器に対する利用権限として前記第一の利用権限が設定されている場合に、前記第一の利用権限にしたがって前記ネットワーク機器を利用する第一のモードと、前記第二の利用権限にしたがって前記ネットワーク機器を利用する第二のモードとを切り替えるための画面を表示部に表示させる表示制御ステップと、前記第一のモードと前記第二のモードの切り替えを指示するモード切替情報を前記ネットワーク機器に送信する送信ステップと、を備え、前記ネットワーク機器の前記利用権限切替部は、前記モード切替情報に基づいて前記ユーザの利用権限を前記第一の利用権限と前記第二の利用権限との間で切り替える電子機器の作動方法。
【0218】
(10) ネットワークを介して電子機器と通信可能かつ利用登録済みのユーザの電子機器によって利用可能なネットワーク機器の利用登録プログラムであって、前記ネットワーク機器に対応付けられた情報にしたがって行われた電子機器による接続を検出する検出ステップと、前記検出ステップによって接続が検出された電子機器に対してユーザの利用登録に必要な登録情報の入力を要求する入力要求ステップと、前記入力要求ステップによって行われた要求に応じて前記電子機器から入力された登録情報を記憶部に記憶して当該登録情報に対応するユーザの利用登録を行う登録ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、前記登録ステップでは、最初に利用登録したユーザに対応する第一の登録情報が前記記憶部に記憶されている状態で、前記第一の登録情報とは異なる第二の登録情報が前記電子機器から入力された場合に、前記第二の登録情報を前記記憶部に記憶して、前記第二の登録情報に対応するユーザの利用登録を行い、更に、前記最初に利用登録したユーザに対しては第一の利用権限を設定し、前記ユーザよりも後に利用登録したユーザに対しては前記第一の利用権限よりも制限された第二の利用権限を設定するネットワーク機器の利用登録プログラム。
【0219】
(11) (2)又は(3)記載のネットワーク機器と通信可能な電子機器の作動プログラムであって、前記電子機器のユーザの前記ネットワーク機器に対する利用権限として前記第一の利用権限が設定されている場合に、前記第一の利用権限にしたがって前記ネットワーク機器を利用する第一のモードと、前記第二の利用権限にしたがって前記ネットワーク機器を利用する第二のモードとを切り替えるための画面を表示部に表示させる表示制御ステップと、前記第一のモードと前記第二のモードの切り替えを指示するモード切替情報を前記ネットワーク機器に送信する送信ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、前記ネットワーク機器の前記利用権限切替部は、前記モード切替情報に基づいて前記ユーザの利用権限を前記第一の利用権限と前記第二の利用権限との間で切り替える電子機器の作動プログラム。
【0220】
(12) ネットワークを介して電子機器と通信可能かつ利用登録済みのユーザによって利用可能なネットワーク機器であって、前記ネットワーク機器に接続された電子機器に対してユーザの利用登録に必要な登録情報の入力を要求する入力要求部と、前記入力要求部によって行われた要求に応じて前記電子機器から入力された登録情報を記憶部に記憶して当該登録情報に対応するユーザの利用登録を行う登録部と、を備え、前記登録部は、最初に利用登録したユーザに対しては第一の利用権限を設定し、前記最初に利用登録したユーザからの指示に基づいて、当該ユーザの前記ネットワーク機器に対する利用権限を前記第一の利用権限と、前記第一の利用権限よりも制限された第二の利用権限との間で切り替える利用権限切替部をさらに備えるネットワーク機器。