(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記周辺装置は、拡張バスを有して前記拡張バスを介した通信を中継する中継装置、前記拡張バスにそれぞれ接続された複数の演算処理装置を含む演算処理装置群、および前記操作電力の供給源である電力供給部を含み、
前記制御部は、前記電力供給部の前記操作電力の遮断の前に、前記演算処理装置群、前記中継装置および前記ホスト装置の前記操作電力の遮断を行う、
請求項1記載の情報処理装置。
前記制御部は、前記ホスト装置または前記周辺装置に含まれる各装置の前記操作電力の遮断が不可であることを検出した場合、待機電力にもとづいて電力遮断エラーを通知する請求項1記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は情報処理システムの一例を説明するための図である。情報処理システム1−1は、情報処理装置1およびホスト装置2を備える。情報処理装置1は、制御部1a、周辺装置1bおよび電源スイッチ1cを含み、周辺装置1bは、ホスト装置2に接続されている。
【0013】
また、周辺装置1bは、中継装置1b1、演算処理装置群1b2および電力供給部1b3を備える。中継装置1b1は、拡張バス(例えば、PCIe)を有し、拡張バスを介してホスト装置2と演算処理装置群1b2との通信を中継する。
【0014】
演算処理装置群1b2は、拡張バスにそれぞれ接続された複数の演算処理装置1b2−1、・・・、1b2−nを含む。演算処理装置1b2−1、・・・、1b2−nは、例えば、AI(Artificial Intelligence)推論処理や画像処理等の演算処理をホスト装置2の指示にもとづいて行う。電力供給部1b3は、電力供給を行い、操作電力の供給源になる。
【0015】
制御部1aは、ホスト装置2および周辺装置1bへの操作電力の供給制御を行う。また、制御部1aは、電源スイッチ1cの作動状態を監視しており、電源スイッチ1cに対して所定時間以上の長押しが行われたことを検出した場合、ホスト装置2および周辺装置1bに供給されている操作電力の遮断を所定の順番で行う。
【0016】
制御部1aの動作フローについて説明する。
〔ステップS1〕制御部1aは、電源スイッチ1cが所定時間以上長押しされたか否かの監視を行う。
〔ステップS2〕制御部1aは、電源スイッチ1cが所定時間以上長押しされたことを検出した場合はステップS3に処理が進み、電源スイッチ1cが所定時間以上長押しされたことを検出しない場合はステップS1に処理が戻る。
【0017】
〔ステップS3〕制御部1aは、演算処理装置群1b2に供給されている操作電力を遮断する。
〔ステップS4〕制御部1aは、中継装置1b1に供給されている操作電力を遮断する。
〔ステップS5〕制御部1aは、ホスト装置2に供給されている操作電力を遮断する。
〔ステップS6〕制御部1aは、電力供給部1b3が供給している操作電力を遮断する(操作電力の出力を停止させる)。
【0018】
このように、情報処理装置1では、電源スイッチ1cの作動状態を監視し、電源スイッチ1cの所定時間以上の長押しを検出した場合、ホスト装置2および周辺装置1bに供給されている操作電力を遮断する。
【0019】
このような電源の遮断シーケンスを備えることにより、各構成装置の操作電力の一括遮断が可能になり、システムの操作性および利便性の向上を図ることができる。また、ステップS3からステップS6の順番で操作電力を遮断していくので、安定した操作電力遮断が可能になる。
【0020】
[第2の実施の形態]
次に第2の実施の形態として、拡張バスの一例であるPCIeを用いた情報処理システムについて説明する。
図2は情報処理システムの構成の一例を示す図である。情報処理システム1−2は、電力制御部10、電源ユニット(PSU:Power Supply Unit)21、DC(Direct Current)−DCコンバータ22a、22b、PCIeブリッジコントローラ23、スイッチIC(Integrated Circuit)24−1、・・・、24−6、電源スイッチ25およびプラットフォーム3−1、・・・3−7を備える。
【0021】
電源ユニット21は、
図1に示した電力供給部1b3の機能を有する。電源ユニット21は、商用電源から供給された交流電圧を所定の電圧値を有する直流電圧に変換して、プラットフォーム3−1、・・・、3−7、スイッチIC24−1、・・・、24−6およびDC−DCコンバータ22a、22bに供給する。
【0022】
なお、電源ユニット21は、直流電圧として操作電力および待機電力を生成する。操作電力の電圧値は例えば、12Vであり、待機電力の電圧値は例えば、11Vである。操作電力は、各構成デバイスの稼働時に供給される電力であり、待機電力は、コンセントプラグが接続されて電源が切れている状態でも消費される電力である。
【0023】
DC−DCコンバータ22aは、電源ユニット21から供給された待機電力を電力制御部10用の電源電圧(例えば、3V)に変換して、電力制御部10に供給する。PCIeブリッジコントローラ23は、
図1に示した中継装置1b1の機能を有し、プラットフォーム3−1、・・・、3−7間における中継通信の制御を行う。
【0024】
電力制御部10は、待機電力にもとづいて駆動し、
図1に示した制御部1aの機能を有する。また、電力制御部10は、電源スイッチ25の操作を受けて、プラットフォーム3−1、電源ユニット21、およびPCIeブリッジコントローラ23への電力制御を行う。さらにスイッチIC24−1、・・・、24−6を介したプラットフォーム3−2、・・・、3−7に対する電力制御を行う。
【0025】
スイッチIC24−1、・・・、24−6は、電力制御部10の制御下に置かれ、電力制御部10からのスイッチ制御指示にもとづいて、自身に接続されているプラットフォーム3−2、・・・、3−7それぞれに対して電力供給/遮断を行う。
【0026】
DC−DCコンバータ22bは、電源ユニット21から供給された操作電力をPCIeブリッジコントローラ23用の電源電圧に変換して、PCIeブリッジコントローラ23に供給する。
【0027】
プラットフォーム3−1は、例えば、Windows(登録商標)のOS(Operating System)が搭載されており、他のプラットフォーム3−2、・・・、3−7の管理統括を行っている。すなわち、プラットフォーム3−1は、ホストPC(ホスト装置2)として機能している。
【0028】
プラットフォーム3−2、・・・、3−7は、例えば、Linux(登録商標)のOSが搭載されており、プラットフォーム3−1の管理下で独立または共働して処理を行う。すなわち、プラットフォーム3−2、・・・、3−7は、コプロセッサ(演算処理装置)として機能している。
【0029】
ここで、電力制御部10におけるGPIO(General Purpose Input Output)の各種信号について説明する。信号POW_SW_IN#は、電源スイッチ25が押されたときに、電源スイッチ25から電力制御部10に向かって出力される信号(第1の電力遮断指示)である。この信号が出力されている時間を電力制御部10が監視し、長押しされたかどうかを判定する。
【0030】
信号PS_ON#_PMUは、電力制御部10から電源ユニット21に向かって出力され、電源ユニット21から操作電力を出力させるか、停止させるかを設定するための信号である。
例えば、信号PS_ON#_PMUがLレベルのときは、電源ユニット21から操作電力が出力され、信号PS_ON#_PMUがHレベルのときは、電源ユニット21からの操作電力の出力が停止される。
【0031】
信号PSU_PGOODは、電源ユニット21から電力制御部10に向かって出力され、電源ユニット21の起動状態を電力制御部10に通知するための信号である。例えば、信号PSU_PGOODがHレベルのときは、電源ユニット21は起動しており(操作電力を出力している状態)、信号PSU_PGOODがLレベルのときは、電源ユニット21は非起動を意味する(操作電力の出力が停止している状態)。
【0032】
信号PON_n(n=2、・・・、7)は、電力制御部10からスイッチIC24−1、・・・、24−6に向かって出力され、スイッチIC24−1、・・・、24−6を個別にスイッチングして、プラットフォーム3−2、・・・、3−7の電源オンオフ制御を行う信号である。
【0033】
例えば、信号PON_nがLレベルのとき、スイッチIC24−1、・・・、24−6がオフして、操作電力が流れるラインがスイッチIC内部で切断することで、プラットフォーム3−2、・・・、3−7への操作電力が遮断される。
また、信号PON_nがHレベルのとき、スイッチIC24−1、・・・、24−6がオンして、操作電力が流れるラインがスイッチIC内部で繋がることで、プラットフォーム3−2、・・・、3−7へ操作電力が供給される。
【0034】
信号ALL_OFFは、電力制御部10からプラットフォーム3−2、・・・、3−7に向かって出力され、プラットフォーム3−2、・・・、3−7のOSに対してシステムシャットダウンを指示するための信号である。例えば、信号ALL_OFFがHレベルのとき、プラットフォーム3−2、・・・、3−7はシャットダウンを開始する。
【0035】
信号S5_n#(n=2、・・・、7)は、プラットフォーム3−2、・・・、3−7から電力制御部10に向かって出力され、プラットフォーム3−2、・・・、3−7の演算処理状態を電力制御部10に通知するための信号である。
例えば、信号S5_n#がHレベルのときは、プラットフォーム3−2、・・・、3−7は演算処理の実行状態であり、信号S5_n#がLレベルのときは、プラットフォーム3−2、・・・、3−7は演算処理の非実行状態(シャットダウン状態含む)を意味する。
【0036】
信号BRIDGE_PONは、電力制御部10からPCIeブリッジコントローラ23に向かって出力され、PCIeブリッジコントローラ23の操作電力の供給/遮断を行うための信号である。
例えば、信号BRIDGE_PONがHレベルのときはPCIeブリッジコントローラ23に操作電力が供給され、信号BRIDGE_PONがLレベルのときはPCIeブリッジコントローラ23への操作電力が遮断される。
【0037】
信号BB_SOC_STATEは、PCIeブリッジコントローラ23から電力制御部10に向かって出力され、PCIeブリッジコントローラ23の起動状態を電力制御部10に通知するための信号である。
例えば、信号BB_SOC_STATEがHレベルのときは、PCIeブリッジコントローラ23は起動しており、信号BB_SOC_STATEがLレベルのときは、PCIeブリッジコントローラ23は非起動を意味する。
【0038】
信号SUSSW#は、電力制御部10からプラットフォーム3−1に向かって出力される電源スイッチ信号である。電源スイッチ信号とは、プラットフォーム3−1が起動していないときには(電力供給指示および)システム起動指示となり、起動しているときにはシステムシャットダウン指示(および電力遮断指示)となる信号である。例えば、信号SUSSW#がHレベルのときは、プラットフォーム3−1には電源スイッチ信号が入力されていない状態で、信号SUSSW#がLレベルのときは、プラットフォーム3−1に電源スイッチ信号が入力されている状態となる。プラットフォーム3−1が起動している状態で信号SUSSW#のLレベルが一定時間継続すると、システムシャットダウン指示は省略されて、強制的な電力遮断指示となる。
【0039】
信号PC_S3_STATE#は、プラットフォーム3−1から電力制御部10に向かって出力され、プラットフォーム3−1の起動状態を電力制御部10に通知するための信号である。例えば、信号PC_S3_STATE#がLレベルのときは、プラットフォーム3−1は起動しており、信号PC_S3_STATE#がHレベルのときは、プラットフォーム3−1は非起動を意味する。
【0040】
<エッジコンピューティングの適用>
図3は情報処理システムのエッジコンピューティングの適用例を示す図である。
図2で上述したプラットフォーム3−1(ホストPC)をエッジサーバとみなして、情報処理システム1−2をエッジコンピューティングに適用することができる。
【0041】
エッジコンピューティングシステムsy1は、情報処理システム1−2、専用ネットワークN1(インターネット等)およびクラウドネットワークN2を備える。情報処理システム1−2内のプラットフォーム3−1は専用ネットワークN1に接続され、専用ネットワークN1はクラウドネットワークN2に接続される。
【0042】
プラットフォーム3−1は、PCIeブリッジコントローラ23を介して、プラットフォーム3−2、・・・、3−7で分散処理されたデータを集約して、専用ネットワークN1を介してクラウドネットワークN2へ送信する。
【0043】
このような構成によって、クラウド側のリソースを節約してエッジ側での処理が可能になる。これにより、クラウドネットワークN2を介した応答時間が低減するためリアルタイム性を確保できる。
【0044】
また、プラットフォーム3−1(エッジ)上でデータを処理して結果をクラウドネットワークN2へ送信するので、データの秘匿性を確保できる。さらに、プラットフォーム3−1上でデータを処理して必要なデータのみをクラウドネットワークN2へ送信することで、通信量を削減できる。
【0045】
<ハードウェア構成>
図4は電力制御部のハードウェア構成の一例を示す図である。電力制御部10は、プロセッサ(コンピュータ)100によって全体制御されている。
【0046】
プロセッサ100には、バス103を介して、メモリ101および電力制御インタフェース102が接続されている。プロセッサ100は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはPLD(Programmable Logic Device)である。またプロセッサ100は、CPU、MPU、DSP、ASIC、PLDのうちの2以上の要素の組み合わせであってもよい。
【0047】
メモリ101は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を含み、電力制御部10の主記憶装置として使用される。メモリ101には、プロセッサ100に実行させるプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。
【0048】
また、メモリ101には、プロセッサ100による処理に要する各種データが格納される。また、メモリ101は、電力制御部10の補助記憶装置としても使用され、プログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。
【0049】
電力制御インタフェース102は、プロセッサ100の指示にもとづいて、GPIOの入出力インタフェースを行う。具体的には、電力制御インタフェース102は、PCIeブリッジコントローラ23、スイッチIC24−1、・・・、24−6およびプラットフォーム3−1、・・・、3−7に対してGPIOの信号線で接続して、電源供給/遮断のインタフェース制御を行う。なお、電力制御インタフェース102のインタフェース機能は、プロセッサ100によって実現されてもよい。
【0050】
以上のようなハードウェア構成によって、電力制御部10の処理機能を実現することができる。例えば、電力制御部10は、プロセッサ100がそれぞれ所定のプログラムを実行することで本発明の電力制御を行うことができる。
【0051】
電力制御部10は、例えば、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、本発明の処理機能を実現する。電力制御部10に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。
【0052】
例えば、電力制御部10に実行させるプログラムを補助記憶装置に格納しておくことができる。プロセッサ100は、補助記憶装置内のプログラムの少なくとも一部を主記憶装置にロードし、プログラムを実行する。
【0053】
また、光ディスク、メモリ装置、メモリカード等の可搬型記録媒体に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体に格納されたプログラムは、例えば、プロセッサ100からの制御により、補助記憶装置にインストールされた後、実行可能となる。またプロセッサ100が、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。
【0054】
<電力制御フロー>
図5から
図7は電力制御の一例を示すフローチャートである。
〔ステップS11〕電力制御部10は、内部ステートが「システム操作電力遮断完了」であるか否かを判定する。内部ステートが「システム操作電力遮断完了」の場合は通常の電源スイッチイベント処理を行い、内部ステートが「システム操作電力遮断完了」以外の場合はステップS12へ処理が進む。
【0055】
〔ステップS12〕電力制御部10は、電源スイッチ25から出力される信号POW_SW_IN#のレベルにもとづいて、電源スイッチ25が所定時間以上(例えば、4秒以上)長押しされたか否かの監視を行う。
【0056】
〔ステップS13〕電力制御部10は、電源スイッチ25から出力される信号POW_SW_IN#にもとづいて、電源スイッチ25が長押しされたか否かを判定する。
例えば、信号POW_SW_IN#が所定時間以上Lレベルであることを検出した場合は、電源スイッチ25が所定時間以上長押しされたものと認識して、ステップS14に処理が進む。また、信号POW_SW_IN#が所定時間以上Lレベルでない場合は通常の電源スイッチイベント処理を行う。
【0057】
〔ステップS14〕電力制御部10は、プラットフォーム3−2、・・・、3−7(コプロセッサ)の操作電力を遮断する。この場合、電力制御部10は、信号PON_2、・・・、PON_7をLレベルにしてスイッチIC24−1、・・・、24−6をオフにし、続けてプラットフォーム(コプロセッサ)3−2、・・・、3−7の操作電力を遮断する。続けて次回起動時に備えて信号ALL_OFFをHレベルにしておく。
【0058】
〔ステップS15〕電力制御部10は、PCIeブリッジコントローラ23の操作電力を遮断する。この場合、電力制御部10は、信号BRIDGE_PONをLレベルにして、PCIeブリッジコントローラ23の操作電力を遮断する。
【0059】
〔ステップS16〕電力制御部10は、プラットフォーム3−1(ホストPC)から出力される信号PC_S3_STATE#のレベルにもとづいて、プラットフォーム3−1(ホストPC)の起動状態を監視する。
【0060】
〔ステップS17〕電力制御部10は、プラットフォーム3−1(ホストPC)から出力される信号PC_S3_STATE#がLレベルであるか否かを判定する。
信号PC_S3_STATE#がLレベルであることを検出した場合は、プラットフォーム3−1(ホストPC)は起動中であると認識し、ステップS18に処理が進む。また、信号PC_S3_STATE#がHレベルの場合は、プラットフォーム3−1(ホストPC)は非起動と認識し、ステップS23に処理が進む。
【0061】
〔ステップS18〕電力制御部10は、プラットフォーム3−1(ホストPC)の操作電力の遮断を行う。この場合、電力制御部10は、信号POW_SW_IN#の所定時間のLレベルよりも長い第1の設定時間(例えば、5秒間)のLレベルを有して、信号POW_SW_IN#を疑似した信号SUSSW#を生成する。
例えば、電源スイッチ25の所定時間以上の長押しがされた場合、信号POW_SW_IN#が4秒間のLレベルになった時点で、信号POW_SW_IN#を疑似した信号SUSSW#は、5秒間のLレベルを持つように、Lレベルの設定時間をより長くして生成されることになる。そして、この信号SUSSW#をプラットフォーム3−1に出力してプラットフォーム3−1の電源供給を強制的に遮断する。
【0062】
〔ステップS19〕電力制御部10は、プラットフォーム3−1(ホストPC)から出力される信号PC_S3_STATE#のレベルにもとづいて、プラットフォーム3−1(ホストPC)の起動状態を監視する。
【0063】
〔ステップS20〕電力制御部10は、プラットフォーム3−1(ホストPC)から出力される信号PC_S3_STATE#にもとづいて、プラットフォーム3−1(ホストPC)が起動しているか否かを判定する。
信号PC_S3_STATE#がLレベルであることを検出した場合は、プラットフォーム3−1(ホストPC)は起動と認識し、ステップS21に処理が進む。また、信号PC_S3_STATE#がHレベルの場合は、プラットフォーム3−1(ホストPC)が非起動と認識し、ステップS23に処理が進む。
【0064】
〔ステップS21〕電力制御部10は、信号SUSSW#のLレベルアサートが、ステップS18で設定した第1の設定時間よりも長い第2の設定時間(例えば、10秒間)を経過したか否かを判定する。
信号SUSSW#のLレベルアサートが第2の設定時間未満の場合はステップS19に処理が戻り、信号SUSSW#のLレベルアサートが第2の設定時間に達した場合はステップS22に処理が進む。
【0065】
〔ステップS22〕電力制御部10は、プラットフォーム3−1(ホストPC)の操作電力の遮断が不可であると認識する。この場合、電力制御部10は、待機電力にもとづいて、LED(Light Emission Diode)等を利用したアラームを発して電力遮断エラーを通知する。なお、電力遮断エラーの通知には待機電力が使用されるため、操作電力の遮断にかかわらず、エラー通知処理を行うことができる。
【0066】
〔ステップS23〕電力制御部10は、電源ユニット21の操作電力を遮断する。この場合、電力制御部10は、信号PS_ON#_PMUをHレベルにして、電源ユニット21の操作電力を遮断する。
〔ステップS24〕電力制御部10は、電源ユニット21から出力される信号PSU_PGOODのレベルにもとづいて、電源ユニット21の起動状態を監視する。
【0067】
〔ステップS25〕電力制御部10は、電源ユニット21から出力される信号PSU_PGOODにもとづいて、電源ユニット21が遮断したか否かを判定する。
信号PSU_PGOODがHレベルであることを検出した場合は、電源ユニット21の操作電力が遮断されていないものと認識し、ステップS26に処理が進む。また、信号PSU_PGOODがLレベルの場合は、電源ユニット21の操作電力が遮断されたものと認識して処理を終了する。
【0068】
〔ステップS26〕電力制御部10は、信号PS_ON#_PMUのHレベルアサートが、設定時間(例えば、10秒間)経過した否かを判定する。
信号PS_ON#_PMUのHレベルアサートが設定時間未満の場合はステップS24の処理が戻り、信号PS_ON#_PMUのHレベルアサートが設定時間に達した場合はステップS27に処理が進む。
【0069】
〔ステップS27〕電力制御部10は、電源ユニット21の操作電力の遮断が不可であると認識する。この場合、電力制御部10は、待機電力にもとづいて、LED等のアラームを発して電力遮断エラーを通知する。
なお、プラットフォーム3−2、・・・、3−7(コプロセッサ)、PCIeブリッジコントローラ23、プラットフォーム3−1(ホストPC)、電源ユニット21の順に操作電力を正常に遮断できた場合は、電力制御部10は、内部ステートを「システム操作電力遮断完了」に設定する。
【0070】
上記のような、情報処理システム1−2の構成によって、電源スイッチ25の所定時間以上の長押しを契機にして、各構成デバイスの操作電力の遮断シーケンスが稼動することにより、システム全体の操作電力の一括遮断を行うことが可能になる。
【0071】
また、プラットフォーム3−2、・・・、3−7(コプロセッサ)、PCIeブリッジコントローラ23、プラットフォーム3−1(ホストPC)、電源ユニット21の順番で操作電力を遮断していくので、安定した操作電力遮断が可能になる。
【0072】
さらに、内部ステートが「システム操作電力遮断完了」以外のときに、電源スイッチ25に対して所定時間以上の長押しが行われた場合に、各構成デバイスに対して操作電力の遮断が実行されるので、誤作動無く安全な操作電力遮断が可能になる。
【0073】
さらにまた、プラットフォーム3−1(ホストPC)の操作電力の遮断制御においては、電源スイッチ25が所定時間以上長押しされた場合に出力されるPOW_SW_IN#(第1の電力遮断指示)は、プラットフォーム3−1(ホストPC)には入力されずに電力制御部10に入力される構成としている。
【0074】
そして、電力制御部10は、POW_SW_IN#を検出した場合、POW_SW_IN#のLレベルよりも長い時間のLレベルを有するSUSSW#(第2の電力遮断指示)を生成して、プラットフォーム3−1へ出力し、POW_SW_IN#を疑似したSUSSW#によってプラットフォーム3−1(ホストPC)の操作電力を遮断する。これにより、プラットフォーム3−1(ホストPC)を安全に精度よく遮断することができる。
【0075】
<電力制御の変形例>
次に電力制御の変形例について、
図8、
図9を用いて説明する。
図8は電力制御の第1の変形例の動作を示すフローチャートである。第1の変形例は、すべてのコプロセッサの演算処理が停止していることを認識した場合に、コプロセッサの操作電力を遮断するものである。
【0076】
〔ステップS31〕電力制御部10は、内部ステートが「システム操作電力遮断完了」であるか否かを判定する。内部ステートが「システム操作電力遮断完了」の場合は通常の電源スイッチイベント処理を行い、内部ステートが「システム操作電力遮断完了」以外の場合はステップS32へ処理が進む。
【0077】
〔ステップS32〕電力制御部10は、電源スイッチ25から出力される信号POW_SW_IN#のレベルにもとづいて、電源スイッチ25が所定時間以上(例えば、4秒以上)長押しされたか否かの監視を行う。
【0078】
〔ステップS33〕電力制御部10は、電源スイッチ25から出力される信号POW_SW_IN#にもとづいて、電源スイッチ25が長押しされたか否かを判定する。
信号POW_SW_IN#が所定時間以上Lレベルであることを検出した場合は、電源スイッチ25が所定時間以上長押しされたものと認識して、ステップS34に処理が進む。また、信号POW_SW_IN#が所定時間以上Lレベルでない場合は通常の電源スイッチイベント処理を行う。
【0079】
〔ステップS34〕電力制御部10は、プラットフォーム3−2、・・・、3−7(コプロセッサ)の各OSに対してシステムシャットダウンを指示する。この場合、電力制御部10は、信号ALL_OFFをHレベルにして、プラットフォーム3−2、・・・、3−7(コプロセッサ)それぞれのOSに対して、システムシャットダウン指示を行う。
【0080】
〔ステップS35〕電力制御部10は、プラットフォーム3−2、・・・、3−7(コプロセッサ)の演算処理状態を示すS5_2#、・・・、S5_7#を監視する。
〔ステップS36〕電力制御部10は、すべてのS5_2#、・・・、S5_7#がLレベルになったか否かを判定する。プラットフォーム3−2、・・・、3−7(コプロセッサ)の各OSのシャットダウンが完了して、すべてのS5_2#、・・・、S5_7#がLレベルになった場合(演算処理非実行状態の場合)はステップS37へ処理が進み、すべてのS5_2#、・・・、S5_7#がLレベルにならない場合(演算処理実行状態のコプロセッサがある場合)はステップS35に処理が戻る。
【0081】
〔ステップS37〕電力制御部10は、PON_2、・・・、PON_7をLレベルにして、プラットフォーム(コプロセッサ)3−2、・・・、3−7の操作電力を遮断する。その後、
図5に示したPCIeブリッジコントローラ23の操作電力遮断処理(ステップS15)に移行する。
【0082】
ここで、
図5のフローでは、プラットフォーム(コプロセッサ)3−2、・・・、3−7の操作電力遮断時は、ただちにPON_nをLレベルとしているが、この場合、プラットフォーム(コプロセッサ)3−2、・・・、3−7のカーネルクラッシュが発生してしまう可能性がある。
【0083】
これを回避するために、上述の第1の変形例の電力制御部10では、プラットフォーム(コプロセッサ)3−2、・・・、3−7の操作電力遮断時は、最初にALL_OFFをHにして全プラットフォーム(コプロセッサ)3−2、・・・、3−7のOSに対してシャットダウン指示を行う。
【0084】
続けて、電力制御部10は、プラットフォーム(コプロセッサ)3−2、・・・、3−7の演算処理状態を示すS5_n#を監視し、すべてのコプロセッサでS5_n#のLレベルが確認できたら、PON_nをLレベルにして操作電力を遮断する。これより、プラットフォーム(コプロセッサ)3−2、・・・、3−7のカーネルクラッシュを防止して、コプロセッサの操作電力遮断を実行することが可能になる。
【0085】
図9は電力制御の第2の変形例の動作を示すフローチャートである。第2の変形例は、ホストPCの操作電力のみを遮断する場合である。
〔ステップS41〕電力制御部10は、内部ステートが「システム操作電力遮断完了」であるか否かを判定する。内部ステートが「システム操作電力遮断完了」の場合は通常の電源スイッチイベント処理を行い、内部ステートが「システム操作電力遮断完了」以外の場合はステップS42へ処理が進む。
【0086】
〔ステップS42〕電力制御部10は、電源スイッチ25から出力される信号POW_SW_IN#のレベルにもとづいて、電源スイッチ25が所定時間以上(例えば、4秒以上)長押しされたか否かの監視を行う。
【0087】
〔ステップS43〕電力制御部10は、電源スイッチ25から出力される信号POW_SW_IN#にもとづいて、電源スイッチ25が長押しされたか否かを判定する。
信号POW_SW_IN#が所定時間以上Lレベルであることを検出した場合は、電源スイッチ25が所定時間以上長押しされたものと認識して、ステップS44に処理が進む。また、信号POW_SW_IN#が所定時間以上Lレベルでない場合は通常の電源スイッチイベント処理を行う。
【0088】
〔ステップS44〕電力制御部10は、プラットフォーム3−2、・・・、3−7(コプロセッサ)の演算処理状態を示すS5_2#、・・・、S5_7#を監視する。
〔ステップS45〕電力制御部10は、すべてのS5_2#、・・・、S5_7#がHレベルであるか否かを判定する。すべてのS5_2#、・・・、S5_7#がHレベルの場合(演算処理実行状態の場合)はステップS46へ処理が進み、すべてのS5_2#、・・・、S5_7#がLレベルの場合(演算処理非実行状態の場合)は、
図8に示したプラットフォーム3−2、・・・、3−7(コプロセッサ)の操作電力遮断処理(ステップS37)に移行する。
【0089】
〔ステップS46〕電力制御部10は、プラットフォーム3−1(ホストPC)の操作電力を遮断する。例えば、電力制御部10は、SUSSW#=Lを所定時間アサートする。
ここで、プラットフォーム3−1(ホストPC)がハングアップしたため強制シャットダウンしたいが、コプロセッサ側は正常に動作しているため引き続き動作を継続させたい場合、ホストPCの操作電力だけ遮断させたいケースが考えられる。
【0090】
第2の変形例は、このようなケースに対応するものであり、電力制御部10は、信号S5_n#がすべてHレベル(演算処理実行中)ならプラットフォーム3−2、・・・、3−7(コプロセッサ)、PCIeブリッジコントローラ23および電源ユニット21の操作電力遮断処理はスキップし、プラットフォーム3−1(ホストPC)のみの操作電力を遮断する(また、一定時間後に自動で再起動させる)。これにより、ハングアップしたホストPCだけの操作電力を遮断することができる。
【0091】
上記で説明した本発明の情報処理システム1−1、1−2の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。この場合、情報処理システム1−1、1−2が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0092】
処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等がある。磁気記憶装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等がある。光ディスクには、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)/RW等がある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto Optical disk)等がある。
【0093】
プログラムを流通させる場合、例えば、そのプログラムが記録されたCD−ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0094】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0095】
また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP、ASIC、PLD等の電子回路で実現することもできる。
【0096】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【解決手段】情報処理装置1は、制御部1aと、中継装置1b1、演算処理装置群1b2および電力供給部1b3を含む周辺装置1bとを備え、周辺装置1bは、ホスト装置2に接続される。中継装置1b1は、拡張バスを介した通信を中継する。演算処理装置群1b2は、拡張バスにそれぞれ接続された複数の演算処理装置1b2−1、・・・、1b2−nを含む。電力供給部1b3は、操作電力の供給源になる。制御部1aは、ホスト装置2および周辺装置1bへの操作電力の供給制御を行い、電源スイッチ1cの作動状態を監視して電源スイッチ1cに対して所定時間以上の長押しが行われたことを検出した場合、ホスト装置2および周辺装置1bへの操作電力の遮断を所定の順番で行う。