(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を、
図1ないし
図5を参照して説明する。
【0010】
図1ないし
図5に、電球形ランプであるランプ装置10を示す。このランプ装置10は、筐体11、この筐体11の一端側(ランプ装置10の中心軸方向の一端側)に配置された放熱板12および発光モジュール13、発光モジュール13に対向して配置された光分散体14、発光モジュール13および光分散体14を覆って筐体11の一端側に取り付けられたグローブ15、筐体11内に配置される絶縁ケース16、絶縁ケース16に保持されて筐体11内に配置された電源回路17、および絶縁ケース16に取り付けられて筐体11の他端側に配置された給電部としての口金18を備えている。
【0011】
そして、筐体11は、放熱性に優れた例えばアルミニウムなどの金属材料によって形成されている。筐体11は、一端側に向けて拡径するとともに両端に開口する円筒状に形成され、内部に空洞部21が形成されている。筐体11の一端側の内周部には放熱板12を載置する載置面22が形成され、載置面22の周辺部から筐体11の一端側に突出する筒状の縁部23が形成され、縁部23の先端内周部に光分散体14およびグローブ15を取り付けるための取付部24が突出形成されている。縁部23および取付部24の一部には、縁部23の内周側および取付部24を切り欠いた溝部25が形成されている。筐体11の内周部には、放熱板12および発光モジュール13をねじ止めするための複数のボス26が設けられている。
【0012】
また、放熱板12は、熱伝導性に優れた例えばアルミニウムなどの金属材料によって略円板状に形成されている。放熱板12の一面に発光モジュール13が熱伝導可能に接触され、放熱板12の他面の周辺部が筐体11の載置面22に載置されて熱伝導可能に接触される。なお、放熱板12の外周形状は、発光モジュール13が有する基板29の外周形状と略同一に形成されている。
【0013】
また、発光モジュール13は、基板29、この基板29の一面の中央域に設けられた発光部30、および基板29の一面の周辺域に実装されたコネクタ31を有している。
【0014】
基板29は、熱伝導性に優れた例えばアルミニウムなどの金属材料あるいはセラミックスで、略円板状に形成されている。基板29の一面には、図示しない配線パターンが形成され、この配線パターンに、発光部30(複数のLED素子)およびコネクタ31が電気的接続されている。基板29の周辺部には、筐体11の各ボス26の位置に対応して各ボス26に螺着されるねじが挿通する複数の挿通溝32が形成されているとともに、1箇所に配線溝33が形成されている。基板29の周辺部で四方の4箇所には基板29の外径部よりも基板29の中心側に近付くように直線状の切欠き部34が形成され、1箇所の切欠き部34の一部に位置決め溝35が形成されている。位置決め溝35は筐体11の溝部25に対向する位置に設けられている。そして、基板29は、基板29の他面が放熱板12の一面に接合するように重ねて筐体11に取り付けられる。なお、基板29の外周形状と略同一に放熱板12の外周形状が形成されており、すなわち、基板29の挿通溝32、配線溝33、切欠き部34および位置決め溝35が放熱板12にも形成されており、基板29と放熱板12とを重ねた際に形状がほぼ一致するように構成されている。
【0015】
発光部30は、発光素子36を備えている。発光素子36としてLED素子が用いられ、基板29上に複数のLED素子が実装されるとともに複数のLED素子が蛍光体層37で封止されており、すなわち、発光モジュール13としてCOB(Chip On Board)モジュールが用いられている。蛍光体層37の表面が、発光部30の面状の発光面30aとして形成されている。なお、発光素子36は、例えば、LED素子を備えた表面実装形のSMDパッケージを用いてもよく、あるいはEL素子などを用いてもよい。また、本実施形態では、発光部30の発光面30aは円形であるが、四角形状や、他の形状でもよい。
【0016】
また、光分散体14は、例えばポリカーボネートなどの透光性を有する樹脂に分散剤(拡散材)が混入された材料によって一体に形成されている。これにより、光分散体14は、例えば乳白色で、発光部30からの光が透過する透過性を有するとともに、透過する光を分散させる光分散性を有している。光分散体14は、光分散部40、この光分散部40から突設され筐体11に固定される固定部41a,41b、および光分散部40から突設され発光モジュール13の基板29に位置決めされる位置決め部42a,42bを備えている。
【0017】
光分散部40は、頂部40a側が周辺部40b側よりも一端側に膨らむとともに発光モジュール13の発光部30に対向する内部が空洞となるドーム状に形成されている。光分散部40の頂部40a側は緩やかな曲面状に形成され、周辺部40b側は頂部40a側から他端側へ向けて緩やかに拡径するような筒状に形成されている。光分散部40の頂部40a側の肉厚が周辺部40b側の肉厚よりも厚く形成されており、すなわち、頂部40a側の光分散度が周辺部40b側の光分散度よりも大きくなっている。
【0018】
光分散度の定義は、試料に同一光源からの光を照射して計測する光量分布において、試料の表面からの出射角θ=0°を光量100%とし、光量50%となる出射角θが光分散度の度合を示すものであり、光量50%となる出射角θが大きいほど光分散度が大きいことになる。
【0019】
固定部41a,41bは、光分散部40の周辺部40bから発光モジュール13の基板29に向けて突出する突出部43、この突出部43から基板29と平行に外径方向に向けて突出する脚部44、およびこの脚部44の先端から突設され筐体11の取付部24に係合する爪部45を有している。
【0020】
位置決め部42a,42bは、光分散部40の周辺部40bから発光モジュール13の基板29に向けて突出する突出部46、この突出部46から基板29の外径方向に突出して基板29の一面に当接する当接部47を備えている。位置決め部42aのみは、当接部47の先端に、基板29の位置決め溝35に嵌り込む規制部48が設けられている。規制部48は、筐体11の溝部25に侵入し、筐体11の溝部25と基板29の位置決め溝35との間で位置決めされる。
【0021】
固定部41a,41bは、発光モジュール13の基板29に接することはなく、ランプ装置10の組立時に、筐体11およびグローブ15に例えばシリコーン接着剤などによって接着されている。
【0022】
図4に示すように、固定部41a,41bは光分散部40の中心に対して互いに反対方向に向けてそれぞれ突設され、固定部41bはコネクタ31との干渉を避けるために幅が狭くなっている。また、位置決め部42a,42bは、固定部41a,41bに対して直交する方向に突出され、光分散部40の中心に対して互いにオフセットされた位置に設けられている。位置決め部42bは、オフセットにより、基板29および放熱板12を筐体11に固定するためのねじとの干渉が防止される。位置決め部42aは、オフセットにより、位置決め部42bが基板29に当接する位置に対して基板29の中心から対称位置に当接し、位置決め部42a,42bが基板29に当接した状態で光分散体14の姿勢が安定する。
【0023】
固定部41a,41bの突出部43および位置決め部42a,42bの突出部46は、光分散部40から発光モジュール13に近付くにしたがって、発光部30から遠ざかるように、外側方(外径方向)に向けて張り出している。
【0024】
光分散体14は、光分散部40と発光モジュール13との間で固定部41a,41bおよび位置決め部42a,42bがない部分に、発光部30からの光が通過する光通過部49が開口されている。
【0025】
また、グローブ15は、例えばポリカーボネートなど透光性を有する樹脂に分散剤(拡散材)が混入された材料によって一体に形成されている。これにより、グローブ15は、例えば乳白色で、光分散体14を透過した光および光通過部49を通過する発光部30からの光が透過する透過性を有するとともに、透過する光を分散させる光分散性を有している。
【0026】
グローブ15は、頂部15a側が周辺部15b側よりも一端側に膨らむとともに発光モジュール13および光分散体14に対向する内部が空洞となるドーム状に形成されている。グローブ15の周辺部15b側の肉厚が頂部15a側の肉厚がよりも厚く形成されおり、すなわち、光通過部49に対向する周辺部15b側の光分散度が頂部15a側の光分散度よりも大きくなっている。
【0027】
グローブ15の周辺部15bには、筐体11の一端側の内周に嵌り込む嵌め込み部52が突出形成されているとともに、この嵌め込み部52の複数箇所には筐体11の取付部24に係合する爪部53が設けられている。嵌め込み部52は、筐体11の取付部24と筐体11に固定される光分散体14の固定部41a,41bとの間に嵌り込み、光分散体14を保持する。
【0028】
そして、グローブ15の光分散度と光分散体14の光分散度を比較すると、光分散体14の光分散度がグローブ15の光分散度よりも大きい関係を有している。
【0029】
また、絶縁ケース16は、絶縁性を有する樹脂材料によって筒状に形成されており、筐体11の内側に沿って配置されている。絶縁ケース16の一端側には筐体11の縁部23の内側に突出する突起部56が突設されている。この突起部56の内側には、筐体11に放熱板12および基板29を組み込む際に、放熱板12および基板29の切欠き部34が嵌り込み、これにより、筐体11に対する放熱板12および基板29の周方向の位置が位置決めされる。また、絶縁ケース16の内側には、電源回路17を保持するための保持部57が形成されている。
【0030】
また、電源回路17は、回路基板17aおよびこの回路基板17aに実装された電子部品を有している。回路基板17aが絶縁ケース16の保持部57に差し込み装着され、電源回路17が絶縁ケース16内に収容されている。回路基板17aに接続された配線が放熱板12および基板29の配線溝33を通じて基板29上に引き出され、コネクタ31に電気的に接続されている。そして、電源回路17は、口金18から交流電力を入力し、所定の直流電力に変換して発光モジュール13に供給し、発光素子36を発光させる。
【0031】
また、口金18は、例えばE17形口金やE26形口金が用いられている。
【0032】
また、
図5には、ランプ装置10を使用する照明装置60を示す。照明装置60は、例えばダウンライトである。照明装置60は、器具本体61を有し、この器具本体61内にソケット62および反射体63が配設されている。ソケット62は、ランプ装置10の口金18が電気的に接続され、ランプ装置10に交流電力を供給する。
【0033】
そうして、照明装置60のソケット62に接続されたランプ装置10に交流電力を供給すると、ランプ装置10の電源回路17によって交流電力を所定の直流電力に変換して発光モジュール13に供給し、発光部30の発光面30aから光が出射する。発光部30の発光面30aから出射する光は、光分散体14の光分散部40に入射するとともに光分散部40の表面から出射方向が分散されて出射する。さらに、光分散部40の表面から出射する光は、グローブ15に入射するとともにグローブ15の表面から出射方向が分散されて出射する。
【0034】
このように光分散体14を用いることにより、レンズを用いる場合に比べて、グローブ15の輝度むらが生じにくく、配光のばらつきを低減することができる。
【0035】
しかも、光分散体14の光分散度がグローブ15の光分散度よりも大きい関係を有していることにより、グローブ15から出射される光の効率を確保しながら、グローブ15に輝度むらが生じるのをより低減することができる。
【0036】
また、発光部30の発光面30aから出射する光の強度は、発光面30aに対して垂直な方向が強く、発光面30aに対して斜め方向が弱いが、発光面30aに対して垂直な方向に対向する光分散部40の頂部40a側の光分散度が、発光面30aに対して斜め方向に対向する光分散部40の周辺部40b側の光分散度よりも大きい関係を有しているため、発光面30aに対して垂直方向の強い強度の光を分散させ、発光面30aに対して斜め方向の弱い強度の光を効率よくグローブ15外へ出射させることができる。
【0037】
また、発光部30の発光面30aから斜め方向に出射する光の一部は、光分散体14の光通過部49を通過してグローブ15に直接入射する。そのため、グローブ15の周辺部15bの表面から効率よく光を出射させ、グローブ15の周辺部15bの輝度を向上させることができる。このとき、光通過部49に対向するグローブ15の周辺部15b側の光分散度が頂部15a側の光分散度よりも大きくなっているため、発光部30の発光面30aから直接入射する光を分散させ、グローブ15の輝度むらが生じるのを低減することができる。なお、基板29の発光部30の配置側の面における発光モジュール13の中心に対してなす光通過部49の開口角は15度〜40度、望ましくは20度〜35度であることにより、比較的光量のある斜め方向の光は光分散体14で光分散しながら、暗くなりやすいグローブ15の周辺部15bには光通過部49を介して光を供給することができるため、グローブ15に輝度むらが生じるのをより低減することができる。
【0038】
また、ランプ装置10の点灯時、発光素子36が発生する熱は、主に、基板29および放熱板12に伝わるとともに、放熱板12から筐体11に伝わり、筐体11の表面から外気中に放熱される。このとき、発光素子36が実装されている基板29の温度が高く、外気中にさらされている筐体11の温度が基板29の温度よりも低い。例えばランプ装置10がランプ電力5.2Wのミニクリプトン形LED電球の場合、基板29の温度は100℃程度になることもあり、筐体11の温度は90℃程度となる。
【0039】
例えばRTI(Relative Thermal Index)(UL規格による熱老化性の温度指標であり、長期間暴露されたとき、電気的特性、機械的特性が元の特性の半分以上を保持することができる温度)が120℃の材料を使用した場合でも、95℃以上の温度で、寿命中に黄変(着色)が起こり、光照射により温度上昇および着色の相乗効果により、寿命中にRTI以上の温度になる可能性がある。
【0040】
光分散体14の位置決め部42a,42bは基板29に接しているため、位置決め部42a,42bに基板29の熱が伝わりやすく、位置決め部42a,42bの温度が高くなりやすい。一方、光分散体14の固定部41a,41bは、筐体11に固定され、基板29には接していないため、固定部41a,41bに基板29の熱は伝わりにくく、固定部41a,41bの温度は位置決め部42a,42bよりも低く保たれる。そのため、位置決め部42a,42bは熱の影響による劣化のおそれがあるが、固定部41a,41bは熱の影響による劣化のおそれが少なく、光分散体14を筐体11に固定する機能を継続的に維持できる。換言すると、位置決め部42a,42bは光分散体14の位置決め時にさえあればよい部分であり、点灯によって劣化し、仮に破損等したとしても固定部41a,41bが健在のため何の問題もない。したがって、光分散体14と発光モジュール13との位置関係を維持でき、所望の配光が得られるとともに、所望の配光を維持することができる。
【0041】
また、光分散体14の固定部41a,41bおよび位置決め部42a,42bは、光分散部40から発光モジュール13に近付くにしたがって外側方に向けて張り出しているため、固定部41a,41bおよび位置決め部42a,42bを発光モジュール13の発光素子36から遠ざけることができ、固定部41a,41bおよび位置決め部42a,42bが発光素子36から光および熱の影響を受けるのを低減することができる。
【0042】
また、光分散体14の固定部41a,41bは、外気中にさらされている筐体11およびグローブ15に接着されているため、基板29などから固定部41a,41bに受けた熱を筐体11およびグローブ15に効率よく放熱することができ、固定部41a,41bの温度上昇を抑制することができる。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。