(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記変圧装置が制限されている際であって、前記所定選択段より回生制動力が大きくなる方向の選択段が前記回生制動力選択部により選択されている場合に、前記車両の搭乗者に報知する報知部を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両の走行駆動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような変圧装置には、発熱等による部品保護のために入出力電力の上限値が存在する。したがって、上記のように変圧装置を有し回生制動が可能な車両では、減速時に回生制動によりフロントモータから発生する電力が増加した際に、フロントモータの回生制動トルクを制限しなければならない場合があり、制動力が低下して運転者による回生制動トルクの選択操作と合致せずに違和感を与えてしまうといった問題点がある。
【0007】
本発明は、変圧装置を搭載し、回生制動が可能なハイブリッド車において、車両減速時に必要最低限の回生制動力を確保し、回生制動力の設定操作に対して違和感のない減速が可能な車両の走行駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の車両の走行駆動装置は、車両の駆動輪の回転力により回生発電して回生制動力を発揮する電動機と、前記車両に搭載されたバッテリと、前記電動機により前記回生発電した電力を変換して前記バッテリに供給すると共に温度状態に基づいて最大入出力電力が制限される変圧装置と、前記回生制動力の大きさを段階的に変更するよう設定する回生制動力選択部と、前記回生制動力選択部により設定された選択段に基づいて回生制動力を算出する回生制動力演算部と、を有し、前記回生制動力演算部は、前記変圧装置が制限されている際に、所定選択段より回生制動力が大きくなる方向の選択段が前記回生制動力選択部により選択されている場合に、
当該選択されている選択段に対応して前記電動機により発揮される前記回生制動力を、前記変圧装置が制限されていない際
と比較して低減させることを特徴とする。
【0009】
また、好ましくは、前記回生制動力演算部は、前記変圧装置が制限されている際であっても、前記所定選択段又は前記所定選択段より回生制動力が小さくなる方向の選択段が前記回生制動力選択部により選択されている場合には、前記回生制動力を通常時の回生制動力と同じ回生制動力を発揮するとよい。
また、好ましくは、前記所定選択段は、前記車両の走行レンジと同じ回生制動力を発揮するとよい。
【0010】
また、好ましくは、前記変圧装置が制限されている際であって、前記所定選択段より回生制動力が大きくなる方向の選択段が前記回生制動力選択部により選択されている場合に、前記車両の搭乗者に報知する報知部を備えるとよい。
また、好ましくは、前記車両に搭載された内燃機関と、該内燃機関により駆動されて発電した電力を前記変圧装置で変換して前記バッテリまたは電動機に供給する発電機と、前記発電機の発電電力を演算する発電機演算部と、を更に備え、
前記発電機演算部は、前記変圧装置の最大入出力電力から前記回生制動力選択部により選択された選択段にて発揮される回生発電電力を減算した値を前記発電電力の最大値に設定するとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車両の走行駆動装置は、変圧装置の制限時でも最低限の回生力を発揮させることで、最低限要求されるドライバビリティを確保しつつ変圧装置の保護を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態の車両の走行駆動装置1の概略構成図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態の走行駆動装置1を備えた車両は、前輪2(走行駆動輪)を駆動する電動のフロントモータ3(電動機)、後輪4を駆動する電動のリアモータ5、エンジン6(内燃機関)、発電機7、バッテリ8を備えた四輪駆動のハイブリッド車である。
【0014】
エンジン6は、フロントトランスアクスル16を介して前輪2を駆動可能であるとともに、発電機7を駆動して発電させることが可能となっている。また、エンジン6と前輪2とは、クラッチ11を介して動力が伝達可能に接続されている。
また、車両には、フロントモータ3への電力供給を制御するインバータ12と、リアモータ5への電力供給を制御するインバータ13と、発電機7の出力を制御するインバータ14とを備えている。
【0015】
本実施形態では、バッテリ8の電圧を昇圧してフロントモータ3に高電圧の電力を供給する一方、発電機7によって発電した高電圧の電力を降圧してバッテリ8やリアモータ5に供給する昇圧コンバータ15(変圧装置)を備えている。
フロントモータ3は、昇圧コンバータ15、インバータ12を介してバッテリ8から電力を供給されて駆動するとともに、発電機7からインバータ14、インバータ12を介して電力を供給されて駆動可能であり、フロントトランスアクスル16を介して前輪2を駆動する。
【0016】
リアモータ5は、インバータ13を介してバッテリ8から電力を供給されて駆動するとともに、発電機7からインバータ14、昇圧コンバータ15、インバータ13を介して電力を供給されて駆動可能であり、リアトランスアクスル17を介して後輪4を駆動する。
発電機7によって発電されインバータ14から出力した電力は、昇圧コンバータ15を介してバッテリ8を充電可能であるとともに、インバータ12を介してフロントモータ3に、また昇圧コンバータ15及びインバータ13を介してリアモータ5に、夫々電力を供給可能である。
【0017】
また、発電機7は、バッテリ8から昇圧コンバータ15及びインバータ14を介して電力を供給されて駆動し、エンジン6を始動させるスタータモータとしての機能を有する。
バッテリ8は、リチウムイオン電池等の二次電池で構成され、複数の電池セルをまとめて構成された図示しない電池モジュールを有している。
インバータ12、インバータ13、インバータ14は、車両に搭載されたハイブリッドコントロールユニット20(回生制動力演算部、発電機演算部)からの制御信号によって作動制御される。
【0018】
昇圧コンバータ15には、昇圧コンバータ15の構成部品(素子等)の温度を検出する温度センサ21が設けられている。
また、運転席には車両の走行モードを選択するレバーが設けられている。このレバーにより、Dレンジ(走行レンジ)、Nレンジなどの車両の走行モードを選択できる。また、車両のステアリングには、シフトアップスイッチとシフトダウンスイッチを含み変速操作を行なうパドルスイッチ31(回生制動力選択部)が設けられている。パドルスイッチ31は、車両減速時における回生制動トルク(減速トルクTm)をB0からB5の6段階のシフトレンジから選択して切換え可能である。ここで、減速トルクはエンブレトルクと表現してもよい。B0は回生制動トルクが0、又は、小さな値であり、B1からB2、B3、B4、B5の順番に回生制動トルクが増加する。B2は、エンジン駆動車のエンジンブレーキと同等の制動トルクが付与されるDレンジであり、本発明における所定選択段に該当する。
【0019】
また、車両には、前輪2の単位時間当たりの回転数を検出する前輪回転数センサ22、後輪4の単位時間当たりの回転数を検出する後輪回転数センサ23、アクセル操作量を検出するアクセルセンサ24、ブレーキ操作量を検出するブレーキセンサ25、車両の前後加速度及び横加速度を検出するGセンサ26、ステアリング操舵角(舵角)を検出する舵角センサ27、エンジン6の駆動制御を行うエンジンコントロールユニット30、運転者にパドルスイッチ31の選択したシフトレンジや選択不能であることを報知する報知部32が備えられている。
【0020】
エンジンコントロールユニット30は、ハイブリッドコントロールユニット20からの制御信号に基づき、エンジン6の駆動制御を行う。
ハイブリッドコントロールユニット20は、車両の総合的な制御を行うための制御装置であり、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央演算処理装置(CPU)及びタイマ等を含んで構成される。
【0021】
ハイブリッドコントロールユニット20の入力側には、各インバータ12〜14、エンジンコントロールユニット30、温度センサ21、前輪回転数センサ22、後輪回転数センサ23、アクセルセンサ24、ブレーキセンサ25、Gセンサ26、舵角センサ27、パドルスイッチ31が接続されており、これらの機器からの検出及び作動情報が入力される。
【0022】
一方、ハイブリッドコントロールユニット20の出力側には、各インバータ12〜14、昇圧コンバータ15、エンジンコントロールユニット30、クラッチ11が接続されている。
そして、ハイブリッドコントロールユニット20は、車両のアクセルセンサ24からのアクセル操作量等の各種検出量や各種作動情報に基づいて、エンジンコントロールユニット30、各インバータ13〜14、昇圧コンバータ15、クラッチ11に制御信号を送信して、クラッチ11の断接を伴う走行モード(EVモード、シリーズモード、パラレルモード)の切換え、エンジン6とフロントモータ3とリアモータ5の出力トルク、発電機7の発電電力を制御する。
【0023】
パラレルモードでは、クラッチ11を接続してエンジン6の出力によって前輪2を機械的に駆動するとともに、フロントモータ3またはリアモータ5によって走行をアシスト駆動する。
EVモード及びシリーズモードでは、クラッチ11が切断される。EVモードでは、エンジン6が停止し、バッテリ8からの電力によってフロントモータ3及びリアモータ5を駆動する。シリーズモードでは、エンジン6を作動して発電機7により発電させ、フロントモータ3、リアモータ5に電力を供給して駆動する。
【0024】
また、本実施形態の車両は、車両減速時においてフロントモータ3、リアモータ5を回生駆動して発電させるとともに、前輪2及び後輪4に制動力を付与させる回生制動が可能となっている。ハイブリッドコントロールユニット20は、インバータ12、13を介し、車両減速時においてフロントモータ3、リアモータ5の回生駆動による発電量を夫々制御して前輪2と後輪4の回生ブレーキ力(回生制動トルク)を独立して制御する機能を有している。
【0025】
図2は、本実施形態の駆動制御装置の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、ハイブリッドコントロールユニット20は、昇圧最大入出力制限演算部40、モータトルク制限演算部41、駆動トルク演算部42、モータトルク演算部(回生制動力演算部)43、発電電力制限演算部44、発電電力演算部45、発電機トルク制限演算部47、回転速度演算部48、発電機トルク演算部49を備えている。
【0026】
昇圧最大入出力制限演算部40は、昇圧コンバータ15の温度に基づいて昇圧コンバータ15の最大入出力電力である昇圧コンバータ上限電力Pvmaxを演算する。
モータトルク制限演算部41は、モータトルク(フロントモータ3及びリアモータ5の力行トルク、回生トルク)の上限値であるモータ最大トルクを夫々演算する。
駆動トルク演算部42は、車両全体の駆動トルク(ユーザ要求駆動トルクTur)を演算する。
【0027】
モータトルク演算部43は、フロントモータ3及びリアモータ5のモータトルクTmf、Tmrを演算する。そして、このモータトルクTmf、Tmrに基づいて、インバータ12、13を介して、フロントモータ3及びリアモータ5の作動制御をする。
発電電力制限演算部44は、発電機7の発電電力の最大値を演算する。
発電電力演算部45は、ユーザ要求駆動トルクTurに対応して必要な発電機7による発電電力である発電機出力Pgを演算する。そして、発電機7においてこの発電機出力Pgの発電が可能となるように、エンジンコントロールユニット30を介してエンジン6を作動制御する。
【0028】
発電機トルク制限演算部47は、発電機トルクの最大値(回生側)を演算する。
回転速度演算部48は、発電機出力Pgに対応する発電機7の回転速度を演算する。
発電機トルク演算部49は、回転速度演算部48で演算した発電機7の回転速度にするための発電機トルクを演算する。そして、この発電機トルクに基づいて、インバータ14を介して発電機7を制御する。
【0029】
次に、
図3及び
図4を用いて本実施形態の走行駆動装置1による駆動制御の詳細について説明する。
図3は、走行駆動装置1における駆動制御要領を示すフローチャートである。
図4は、選択可能レンジの設定状態を示す説明図である。なお、
図4中の実線が昇圧コンバータ上限電力Pvmaxを示し、破線が減速電力(エンブレ電力)Pmfを示す。
【0030】
ハイブリッドコントロールユニット20は、シリーズモード中に
図3に示す駆動制御のルーチンを繰り返し実行する。
始めに、ステップS10では、温度センサ21から昇圧コンバータ15の温度を入力する。そして、ステップS20に進む。
ステップS20では、ステップS10で入力した昇圧コンバータ15の温度に基づいて、昇圧コンバータ上限電力Pvmaxを演算する。昇圧コンバータ上限電力Pvmaxは、昇圧コンバータ15において入出力可能な電力の上限値である。昇圧コンバータ上限電力Pvmaxは、例えばあらかじめ記憶したマップを用いて演算され、例えば
図4の実線で示すように、昇圧コンバータ15の温度が高くなるに伴って昇圧コンバータ上限電力Pvmaxが低くなるように設定される。そして、ステップS30に進む。なお、本ステップの制御は上記の昇圧最大入出力制限演算部40における機能に相当する。
【0031】
ステップS30では、前輪回転数センサ22またはフロントモータ回転数センサ(レゾルバ)により検出した前輪2の回転数(前輪回転数Rf)及び後輪回転数センサ23またはリアモータ回転数センサ(レゾルバ)により検出した後輪4の回転数(後輪回転数Rr)より車速Vを演算する。車速Vは、例えば前輪回転数Rfと後輪回転数Rrの平均値から求めればよい。そして、ステップS40に進む。
【0032】
ステップS40では、パドルスイッチ31により選択される各シフトレンジの減速トルクTmを演算する。減速トルクTmは、各シフトレンジであらかじめ設定された回生制動時における制動トルクである。なお、本実施形態では、B3レンジ以上(B3〜B5)の減速トルクTm(Tm2〜Tm5)を昇圧装置の温度状況に応じて制限する。減速トルクTmは、B0レンジからB5レンジの中では、B0レンジで小さく、B5レンジで最も大きくなるように設定されている。そして、ステップS50に進む。
【0033】
ステップS50では、各シフトレンジ(B0〜B5)のフロントモータ3のエンブレ電力Pmf(Pmf2〜Pmf5)を演算する。各シフトレンジのエンブレ電力Pmfは、減速トルクTmを発生させる際にフロントモータ3から発生する回生電力であり、ステップS40で演算した各シフトレンジの減速トルクTmと、ステップS30で演算した車速Vと、前輪分配比Rdfに基づいて演算される。前輪分配比Rdfは、例えば0.5の一定でもよいし、Gセンサ26や舵角センサ27から入力した車両加速度や舵角に基づいて変更してもよい。減速トルクTmに前輪分配比Rdfを乗算してフロントモータ3の減速トルクTmfを演算し、この減速トルクTmfを発生させる際にフロントモータ3から発生する回生電力をエンブレ電力Pmfとする。また、車速Vが低下するに伴って、エンブレ電力Pmfは小さくなるように設定される。パドルスイッチ31で選択されたこのB2レンジとレバーで選択されたDレンジとは同一、又は、同程度の減速力を得るように減速力が設定される。そして、ステップS60に進む。
【0034】
ステップS60では、エンブレ電力切換えを行なう。詳しくは、ステップS20で演算した昇圧コンバータ上限電力Pvmaxを下回る範囲で各シフトレンジのエンブレ電力Pmf(Pmf2〜Pmf5)を設定する。そして、各シフトレンジのエンブレ電力Pmf(Pmf2〜Pmf5)を算出した後に、発電機の確保電力である発電機出力Pg(所定の発電電力)を、昇圧コンバータ上限電力Pvmaxから各シフトレンジのエンブレ電力Pmf(Pmf2〜Pmf5)を減算して算出する。
【0035】
図4に示すように、昇圧コンバータ15の温度が上昇するに伴って低下する昇圧コンバータ上限電力Pvmaxに対し、
仮に一定に設定されている発電機出力Pgを減算した値
以下で、Pmf2からPmf5のうち最も大きい値をエンブレ電力Pmfとして選択する。そして、この選択したエンブレ電力PmfのシフトレンジとB0との間が選択可能レンジとなる。したがって、
図4に示すように、昇圧コンバータ15の温度が上昇するに伴って、回生制動トルクの大きいシフトレンジ(B5)から段階的に選択不能、すなわち、昇圧コンバータ15の正常温度時では発生できた回生力を低減させる必要が生じる。しかしながら、B0からB2では最低限の減速力を確保すべく予め確実に発揮できるように回生制動力を設定している。そのため、B0からB2では回生制動力を制限する必要がなくなり、運転者の要望する減速感を得ることができる。そして、ステップS70に進む。
【0036】
ステップS70では、ステップS60で選択された選択可能レンジを、例えば車両の運転席に設けられたインジケータにより表示する。また、現状パドルスイッチ31により選択されているシフトレンジが、選択可能レンジを超えている場合に、警告灯やブザー等の報知部32で報知してもよい。あるいは、シフトレンジが選択可能レンジを超えている場合に、報知をせずに回生制動トルクを規制し、運転者がパドルスイッチ31を再操作したときに報知してもよい。そして、ステップS80に進む。
【0037】
ステップS80では、発電機出力Pgを制限する。発電機出力Pgは、ステップS20で演算した昇圧コンバータ上限電力Pvmaxからエンブレ電力Pmfを減算した値以下となるように制限する。そして、本ルーチンを終了する。
本実施形態の車両は、前輪2をフロントモータ3によって駆動するとともに、後輪4をリアモータ5によって駆動可能な四輪駆動車であり、減速時にはフロントモータ3及びリアモータ5によって回生制動が可能である。そして、ハイブリッドコントロールユニット20は、この回生制動トルクをインバータ12、13を介して夫々制御可能である。
【0038】
また、本実施形態に係る車両は、エンジン6を作動して発電するとともにフロントモータ3及びリアモータ5によって走行駆動するシリーズモードが可能である。
車両には昇圧コンバータ15が搭載されており、バッテリ8から昇圧コンバータ15によって高圧化した電力をフロントモータ3に供給して駆動するように構成されている。車両減速時においては、発電機7による発電電力及びフロントモータ3による回生電力(エンブレ電力Pmf)が昇圧コンバータ15を通過して、バッテリ8に供給されて充電する。
【0039】
本実施形態では、パドルスイッチ31によるシフトレンジの選択により、車両減速時における回生制動トルクを数段階に切換えることができる。そして、昇圧コンバータ上限電力Pvmaxに応じて、パドルスイッチ31による選択可能レンジが制限され、エンブレ電力Pmfが制限されるので、昇圧コンバータ15の入力電力を抑制し、昇圧コンバータ15の保護を図ることができる。
【0040】
なお、シリーズモードにおいて、車両減速時にはフロントモータ3やリアモータ5による駆動トルクは不要となるが、エンジン6を駆動させて発電することでバッテリ8を充電させることができる。したがって、シリーズモードにおいて車両減速時には、エンブレ電力Pmfだけでなく発電機7による発電機出力Pgが発生し、これらの電力が合わせて昇圧コンバータ15に入力する場合がある。
【0041】
そして、本実施形態では、発電機7による発電機出力Pgとフロントモータ3によるエンブレ電力Pmfとの合計値が昇圧コンバータ上限電力Pvmaxを超えないようにした上で、エンブレ電力Pmfを極力大きく得られるようにシフトレンジの選択範囲が設定されるので、昇圧コンバータ15の温度状態に応じて回生制動トルクを極力大きく選択することが可能となる。シフトレンジの選択範囲については、最低でもB2(D)レンジは選択可能であるので、昇圧コンバータ上限電力Pvmaxが低下しても、回生制動トルクを従来のエンジン搭載車両で発揮可能なエンジンブレーキ相当は確保することができ、車両減速性能を確保することができる。
【0042】
また、エンブレ電力Pmfは車速に応じて変化し、低車速でエンブレ電力Pmfが小さくなるので選択可能なシフトレンジが拡大する。したがって、車速に応じてシフトレンジを広く選択可能とし、回生制動トルクを更に大きく確保することができる。
また、昇圧コンバータ上限電力Pvmaxに基づいて、シフトレンジの選択範囲が制限された際に、運転者によるパドルスイッチ31の操作と一致しない場合に、表示や警報灯により運転者に警告するので、回生制動が制限されていることを運転者に報知することができる。
【0043】
なお、上記実施形態では、発電機出力Pgを一定として設定しているが、例えばバッテリ8の充電率に基づいて変更するよう制御してもよい。充電率が低下している場合には、発電機7の発電電力を大きく設定し、バッテリ8の充電を促すことができる。充電率が満充電に近い場合には、発電機7の発電電力を小さく設定することで、エンブレ電力Pmfを更に大きく設定することができ、回生制動トルクを更に増加させることができる。
【0044】
なお、本発明は、以上の実施形態に限定するものではない。本発明は、昇圧コンバータを備え、回生制動を行なうハイブリッド車に広く適用することができる。