(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリウレタンの国際ゴム硬さ(IRHD)が、87.0以上98.0以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のフレキシブルディスプレイ用表面保護フィルム。
前記ポリウレタンが、ポリカーボネート系、または、ポリエステル系であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフレキシブルディスプレイ用表面保護フィルム。
ポリウレタンからなる保護層を最表面に有し、前記ポリウレタンの50%伸長300秒後における応力緩和率が、30%以下であるフレキシブルディスプレイ用表面保護フィルムの製造方法であって、
材料組成物を、離間して配置された一対のロールにより送り出される第一および第二の間隙維持部材の間隙に流し込み、
前記材料組成物を、前記第一および第二の間隙維持部材の間に保持された状態で熱硬化して前記保護層とすることを特徴とするフレキシブルディスプレイ用表面保護フィルムの製造方法。
前記ポリウレタンの50%伸長300秒後における応力緩和値が、2MPa以下であることを特徴とする請求項6に記載のフレキシブルディスプレイ用表面保護フィルムの製造方法。
前記ポリウレタンが、ポリカーボネート系、または、ポリエステル系であることを特徴とする請求項6または7に記載のフレキシブルディスプレイ用表面保護フィルムの製造方法。
前記第一および第二の間隙維持部材の一方が凹凸を有するフィルムであり、該フィルムの凹凸を有する側で前記材料組成物を保持することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のフレキシブルディスプレイ用表面保護フィルムの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、折り目が残りにくいフレキシブルディスプレイ用の表面保護フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための、本発明の構成は以下のとおりである。
1.ポリウレタンからなる保護層を最表面に有し、
前記ポリウレタンの50%伸長300秒後における応力緩和率が、30%以下であることを特徴とするフレキシブルディスプレイ用表面保護フィルム。
2.前記ポリウレタンの50%伸長300秒後における応力緩和値が、2MPa以下であることを特徴とする1.に記載のフレキシブルディスプレイ用表面保護フィルム。
3.前記ポリウレタンの国際ゴム硬さ(IRHD)が、87.0以上98.0以下であることを特徴とする1.または2.に記載のフレキシブルディスプレイ用表面保護フィルム。
4.前記ポリウレタンが、ポリカーボネート系、または、ポリエステル系であることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載のフレキシブルディスプレイ用表面保護フィルム。
5.前記保護層の厚さが、50μm以上400μm以下であることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載のフレキシブルディスプレイ用表面保護フィルム。
6.ポリウレタンからなる保護層を最表面に有し、前記ポリウレタンの50%伸長300秒後における応力緩和率が、30%以下であるフレキシブルディスプレイ用表面保護フィルムの製造方法であって、
材料組成物を、離間して配置された一対のロールにより送り出される第一および第二の間隙維持部材の間隙に流し込み、
前記材料組成物を、前記第一および第二の間隙維持部材の間に保持された状態で熱硬化して前記保護層とすることを特徴とするフレキシブルディスプレイ用表面保護フィルムの製造方法。
7.前記ポリウレタンの50%伸長300秒後における応力緩和値が、2MPa以下であることを特徴とする6.に記載のフレキシブルディスプレイ用表面保護フィルムの製造方法。
8.前記ポリウレタンが、ポリカーボネート系、または、ポリエステル系であることを特徴とする6.または7.に記載のフレキシブルディスプレイ用表面保護フィルムの製造方法。
9.前記第一および第二の間隙維持部材の一方が凹凸を有するフィルムであり、該フィルムの凹凸を有する側で前記材料組成物を保持することを特徴とする6.〜8.のいずれかに記載のフレキシブルディスプレイ用表面保護フィルムの製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の表面保護フィルムは、折り目が残りにくいため、フレキシブルディスプレイの表面保護フィルムとして好適に利用することができる。本発明の表面保護フィルムは、ポリウレタンからなる保護層を用いることにより、光透過性、非着色性、耐候性に優れている。国際ゴム硬さ(IRHD)が、87.0以上98.0以下である表面保護フィルムは、タッチペンでの書き味が良好であり、鉛筆で紙に筆記しているかのような筆記感を備えている。
【0009】
保護層が50μm以上400μm以下の厚みを有する表面保護フィルムは、表面保護フィルムとして使用可能な光学特性を満足し、さらに、自己修復性に優れている。また、保護層表面に凹凸を形成することにより、防眩性を付与することもできる。
ポリカーボネート系ポリウレタンからなる保護層は、耐可塑剤性に優れ、ポリエステル系ポリウレタンからなる保護層は、耐可塑剤性、耐油性に優れる。そのため、これらのポリウレタンからなる保護層は、様々なゴム製品や油剤と接触しても、変色、膨潤等が生じにくい。
【0010】
本発明の表面保護フィルムに、離型フィルムと剥離フィルムとを積層した表面保護フィルム積層体は、表面保護フィルムの傷付き、汚れを防止することができ、取り扱い性に優れている。
本発明の製造方法により、表面保護フィルムを連続的に製造することができる。さらに、湿式塗布法では製造が困難な50μm以上400μm以下の厚みを有する保護層を、光学特性を低下させることなく製造することができる。また、転写法により、保護層の表面に凹凸を容易に形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1、2に、それぞれ、本発明の一実施態様である表面保護フィルム、一実施態様である表面保護フィルムをフレキシブルディスプレイ表面に位置する透明基板に貼り合わせた様を示す。なお、
図1、2において、各層の厚さは実際の厚さを意味するものではない。
一実施態様である表面保護フィルム10は、ポリウレタンからなる保護層1、粘着剤層2がこの順に積層されてなる。また、一実施態様である表面保護フィルム10は、透明基板20上に粘着剤層2を介して貼り合わせられる。このように、本発明の表面保護フィルムは、透明基板表面に貼り付けられることにより、透明基板の傷付き、ひび割れ、汚れ等を防止するものである。
【0014】
「保護層」
保護層は、ポリウレタンからなる。ポリウレタンは、少なくともポリオールとイソシアネートとアルコール系硬化剤とを含有する液状の材料組成物を熱硬化させて得られる注型タイプの熱硬化性ポリウレタンである。なお、本発明において、保護層を形成するポリウレタンは、その要求特性を阻害しない範囲で、必要に応じて、着色剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、防黴剤、難燃剤、滑り剤等の各種添加剤を含有することができる。
【0015】
a.ポリオール
ポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール類、あるいは、ビスフェノールA、グリセリンのエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシド付加物類のポリエーテル系ポリオール;アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマール酸等の二塩基酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン等のグリコール類との重合反応により得られるポリエステル系ポリオール;ポリカプロラクトングリコール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカプロラクトンテトラオール等のポリカプロラクトン系ポリオール;ポリカーボネートグリコール、ポリカーボネートトリオール、ポリカーボネートテトラオール等のポリカーボネート系ポリオール等;及び、これらに側鎖や分岐構造を導入した誘導体、変性体、さらにはこれらの混合物等を挙げることができる。
【0016】
これらの中で、ポリカーボネート系ポリオールから得られるポリカーボネート系ポリウレタンは、耐可塑剤性に優れ、ゴム製品等の接触により可塑剤が移行して膨潤することを防ぐことができる。また、ポリエステル系ポリオールから得られるポリエステル系ポリウレタンは、耐可塑剤性、耐油性に優れ、可塑剤、および、ハンドクリームや日焼け止め等の様々な油分が移行して膨潤することを防ぐことができる。
【0017】
a1.ポリカーボネート系ポリオール
ポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、ジアルキルカーボネートとジオールとの反応物が挙げられる。また、ポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、ポリカーボネートグリコール、ポリカーボネートトリオール、ポリカーボネートテトラオール、これらに側鎖や分岐構造を導入した誘導体、変性体、さらにはこれらの混合物等を用いることもできる。
【0018】
上記ジアルキルカーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート、エチレンカーボネート等のアルキレンカーボネートなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
上記ジオールとしては、例えば、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2'−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。上記ジオールとしては、炭素数が4〜9の脂肪族ジオール、または脂環族ジオールが好ましく、例えば、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、および、1,9−ノナンジオールを単独で又は2種以上併用することが好ましい。また、分岐構造を有さないものがより好ましい。
【0019】
a2.ポリエステル系ポリオール
ポリエステル系ポリオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマール酸等の二塩基酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン等のグリコール類との重合反応により得られるポリエステル系ポリオールが挙げられる。これらの中で、二塩基酸としてコハク酸を使用したコハク酸エステル系のポリウレタンが、特に耐油性に優れるため好ましい。
【0020】
ポリオールの数平均分子量は、200以上10,000以下であることが好ましく、500以上5,000以下であることがより好ましく、800以上3,000以下であることがさらに好ましい。数平均分子量が200未満では、反応が速すぎて取り扱い性が悪く、また、成形体が柔軟性を失うとともに脆くなる場合がある。一方、数平均分子量が10,000より大きいと、粘度が高くなりすぎて取り扱い性に劣り、また、成形体が結晶化して白濁する場合がある。なお、本発明において、数平均分子量は、JISK1557に準じて測定したポリオールの水酸基価より算出した分子量を意味する。但し、上記の数値範囲外であっても、本発明の主旨を逸脱しなければ、これを除外するものではない。
【0021】
b.イソシアネート
イソシアネートとしては、分子中にイソシアネート基を2個以上有するものを特に制限することなく用いることができる。例えば、トリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、カルボジイミド化ジフェニルメタンポリイソシアネート、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等を用いることができる。これらの中から、2種類以上を併用してもよい。
【0022】
本発明において、保護層を形成するポリウレタンは、イソシアネート成分として芳香環を有さない脂肪族イソシアネートを用いることが好ましい。脂肪族イソシアネートから得られるポリウレタンは、黄変しにくく、光源、太陽光線等からの光や熱により、ポリウレタンが変色して透明性が低下することを防ぐことができる。
【0023】
c.アルコール系硬化剤
本発明の保護層を形成するポリウレタンは、硬化剤としてアルコール系硬化剤を使用する。アルコール系硬化剤は、アミン系硬化剤と比較して人体、環境への悪影響が小さい。
【0024】
アルコール系硬化剤としては、分子中に2つ以上のヒドロキシ基を有するものであれば、特に制限することなく使用することができる。例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール)、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、ペンタントリオール、ヘキサントリオール、シクロペンタントリオール、シクロヘキサントリオール等の3価アルコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、テトラメチロールプロパン等の3価以上のアルコールが挙げられる。これらの中で、2価アルコールとしては、取り扱い性、力学物性の観点からは1,4−ブタンジオールが好ましく、白濁防止の観点からはシクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の環状構造を有する2価アルコールが好ましい。3価アルコールとしてはトリメチロールプロパンが、取り扱い性、力学物性の観点から好ましい。
【0025】
アルコール系硬化剤として、2価アルコールを単独で使用した場合は、成形体が結晶化して白濁する場合があること、3価アルコールを主成分とした場合は、強度が低下する場合があることから、2価アルコールと3価アルコールとを併用することが好ましい。具体的には、2価アルコール40〜100重量部、3価アルコール60〜0重量部の範囲で用いることが好ましく、2価アルコール60〜80重量部、3価アルコール40〜20重量部の範囲で用いることがさらに好ましい。そして、2価アルコールとして1,4−ブタンジオールを使用すると白濁する場合には、1,4−ブタンジオールの一部または全部を、シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の環状構造を有する2価アルコールに置き換えればよい。
【0026】
d.触媒
本発明の保護層を形成するポリウレタンは、非アミン系触媒の存在下で熱硬化させることが好ましい。非アミン系触媒を使用することにより、非着色性、透明性、耐候性に優れたポリウレタンを得ることができる。それに対し、アミン系触媒で熱硬化させたポリウレタンは、出射光が黄色くなり、また、経時で外観が着色してしまう場合がある。非アミン系触媒としては、例えば、ジラウリル酸ジ−n−ブチル錫、ジラウリル酸ジメチル錫、ジブチル錫オキシド、オクタン錫等の有機錫化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、カルボン酸錫塩、カルボン酸ビスマス塩等が挙げられる。これらの中で、有機錫化合物が、反応速度を調節しやすいため好ましい。
【0027】
非アミン系触媒は、上記したa.〜c.の総量に対して、0.0005重量%以上3.0重量%以下となるように添加することが好ましい。0.0005重量%未満では、反応速度が十分に速くならず、効率よく成形体を得ることができない場合がある。3.0重量%より多いと、反応速度が速くなりすぎて、均一な厚みの成形体を得ることができなくなる、成形体の耐熱性や耐候性が低下する、光透過率が低下する、成形体が着色するなどの不具合を生じる場合がある。但し、上記の数値範囲外であっても、本発明の主旨を逸脱しなければ、これを除外するものではない。
【0028】
e.シリコン系添加剤
本発明の表面保護フィルムにおいて、保護層を形成するポリウレタンは、シリコン系添加剤を含有することが好ましい。ポリウレタンがシリコン系添加剤を含有することにより、滑り性が向上し、タッチペンや指等によるタッチパネル操作を快適に行うことができる。シリコン系添加剤の添加量の下限は、上記したa.〜c.の総量に対して、0.05重量%以上であることが好ましく、0.1重量%以上であることがより好ましく、0.3重量%以上であることがさらに好ましい。また、シリコン系添加剤の添加量の上限は、上記したa.〜c.の総量に対して、10.0重量%以下であることが好ましく、9.0重量%以下であることがより好ましく、7.0重量%以下であることがさらに好ましい。シリコン系添加剤の添加量が0.05重量%未満では、滑り性の向上が十分でない場合があり、10.0重量%より多いと逆に滑り性が良くなりすぎて、タッチペンのペン先が滑りすぎる場合がある。但し、上記の数値範囲外であっても、本発明の主旨を逸脱しなければ、これを除外するものではない。
【0029】
シリコン系添加剤は、ポリウレタンの熱硬化前の材料組成物に添加し、この材料組成物を熱硬化させることにより、ポリウレタンに含有させることができる。また、シリコン系添加剤は、ポリオール、イソシアネート、アルコール系硬化剤により形成される架橋ネットワークと共有結合を形成しない非反応性のものを用いることが好ましい。非反応性のシリコン系添加剤は、保護層表面に徐々にブリードアウトするため、長期間に亘って滑り性を付与することができる。シリコン系添加剤としては、熱硬化前の材料組成物と相分離しないものであれば特に制限することなく使用することができる。例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリアラルキル変性ポリジメチルシロキサン、長鎖アルキル変性ポリジメチルシロキサンを用いることができる。具体的には、市販品である信越化学工業株式会社製のKF352A、KF615A、X22−4515、KF410、KF412等を用いることができる。
【0030】
保護層は、少なくとも、ポリオールとイソシアネートとアルコール系硬化剤を含む液状の材料組成物を、触媒の存在下で熱硬化させた注型タイプの熱硬化性ポリウレタンの成形体であり、その成形方法は、ワンショット法、プレポリマー法、擬プレポリマー法のいずれでもよい。
【0031】
ワンショット法では、ポリオール、イソシアネート、アルコール系硬化剤、任意の添加剤、触媒を一括して投入し、熱硬化させることによりポリウレタンの成形体を作製することができる。
プレポリマー法では、ポリオールと化学量論的に過剰量のイソシアネートとを反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを予め調製しておき、ここに所定量のアルコール系硬化剤、任意の添加剤、触媒を混合して、プレポリマーを熱硬化させることによりポリウレタンの成形体を作製することができる。
擬プレポリマー法では、ポリオールの一部を予めアルコール系硬化剤に混合しておき、残りのポリオールとイソシアネートによりプレポリマーの調製を行い、ここに予め混合しておいたポリオールとアルコール系硬化剤、任意の添加剤、触媒との混合物を混合して熱硬化させることによりポリカーボネート系ポリウレタンの成形体を作製することができる。
【0032】
本発明において、ポリウレタンの熱硬化前の材料組成物における、アルコール系硬化剤に含まれる水酸基(−OH)のモル数と、イソシアネートまたはプレポリマーのイソシアネート基(−NCO)のモル数との比(−OH/−NCO:以下、α比という。)が、0.8以上1.5以下であることがより好ましい。α比が0.8未満では、力学物性が不安定になり、1.5より大きいと、表面粘着性が増し、良好な書き味が損なわれる。また、保護層を構成するポリウレタンが適度に変形し、耐擦傷性が向上するため、α比は1.05以上1.3以下であることが、より好ましい。
【0033】
また、ポリウレタンは、アクリル骨格(アクリル骨格又はメタクリル骨格)を含有しないことが好ましい。すなわち、本発明の保護層を形成するポリウレタンは、アクリル変性ポリウレタンを含まないことが好ましい。アクリル骨格を有するポリウレタンは、ポリウレタンの柔軟性が損なわれるとともに耐摩耗性や引裂強度などの力学的強度が低下することがあり、また、アクリル骨格又はメタクリル骨格を導入するために使用した触媒の残渣により、出射光が着色することがある。
【0034】
本発明の表面保護フィルムは、保護層を形成するポリウレタンの50%伸長300秒後における応力緩和率が30%以下であることを特徴とする。保護層を形成するポリウレタンの上記した応力緩和率が30%以下であると、変形した箇所に生じた応力が経時であまり緩和せずに残留するため、折り目が残りにくい。それに対し、50%伸長300秒後における応力緩和率が30%より大きいポリウレタンは、変形した箇所に生じた応力が、経時で緩和されて元の形状に戻りにくくなるため、折り目が残りやすい。本発明において、この応力緩和率は25%以下であることがより好ましく、23%以下であることがさらに好ましい。
【0035】
本発明の表面保護フィルムは、保護層を形成するポリウレタンの50%伸長300秒後における応力緩和値が2MPa以下であることが好ましい。保護層を形成するポリウレタンの上記した応力緩和値が2MPa以下であると、変形した状態で静置した後に、元の形状に戻ろうとする応力が残留しているため、折り目が残りにくい。本発明において、この応力緩和値は、1.5MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることがさらに好ましい。
【0036】
本発明の表面保護フィルムは、ポリウレタンの国際ゴム硬さ(IRHD)が87.0以上98.0以下であることが好ましい。国際ゴム硬さが87.0より小さいと、タッチペンでの操作時にペン先が保護層に押し込まれすぎ、ペンの動きが重くなる。逆に、国際ゴム硬さが98.0より大きいと、ペン先が保護層に押し込まれないため、タッチペンでの操作時の抵抗感が小さく、ペンの動きが軽くなりすぎる。
なお、応力緩和率、応力緩和値、硬度は、架橋点間距離の設計やハードセグメント/ソフトセグメントのモルフォロジーを制御することにより調整することができる。具体的には、ポリウレタンを構成するウレタンソフトセグメントの分子骨格や分子量、官能基数およびハードセグメントの量、アルコール系硬化剤の2価/3価の配合比等により調整することができる。
【0037】
保護層の厚みは、50μm以上400μm以下が好ましく、100μm以上300μm以下がより好ましい。保護層が50μm以上400μm以下の厚みを有することにより、タッチペンの書き味、滑り性が非常に良好となり、操作性、自己修復性にも優れる。保護層の厚みが50μm未満では、書き味、自己修復性が低下する。保護層の厚みが400μmより厚いと、書き味、滑り性、操作性、自己修復性が低下し、また、均一な厚さで成形することが困難となる。保護層の厚みが50μm以上400μm以下であれば、表面保護フィルムに求められる性能がバランスよく発揮され、また、製造も容易である。
【0038】
「粘着剤層」
粘着剤層は、フレキシブルディスプレイ表面の透明基板に、表面保護フィルムを貼り合わせるためのものである。粘着剤の種類は特に限定されず、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂等からなる粘着剤を用いることができる。これらの中で、アクリル系樹脂からなる粘着剤は、防汚処理、低反射処理等の表面処理がなされた透明基板であっても貼り付けることができる。また、シリコン系樹脂からなる粘着剤は、Wetting性に優れ、透明基板への貼り付け時に気泡が生じにくく、再剥離性がよく剥離時に糊残りしにくい。粘着剤層の厚みは、通常5μm以上60μm以下の範囲内であるが、要求仕様に合わせて適宜調節することができる。
【0039】
「表面保護フィルム」
一実施態様である表面保護フィルム10は、ポリウレタンからなる保護層1、粘着剤層2の二層がこの順に積層されてなる。本発明の表面保護フィルムは、この一実施態様に限定されず、例えば、保護フィルムを支持する透明基材フィルム、各層の間に密着性を高めるための中間層、ブルーライトをカットするブルーライトカット層等を備えることもできる。
【0040】
表面保護フィルムのヘイズ値は、0.1%以上40%以下であることが好ましい。また、表面保護フィルムの全光線透過率は90%以上であることが好ましい。ヘイズ値が40%より大きい、または、全光線透過率が90%未満であると、ディスプレイの視認性が低下する。ただし、青色領域の可視光をカットするブルーライトカット層を備える場合は、全光線透過率は60%以上であることが好ましい。表面保護フィルムのヘイズ値が0.1%以上3%未満である場合は、クリアな外観にすることができる。表面保護フィルムのヘイズ値が3%以上40%以下である場合は、表面保護フィルムに防眩性を付与することができる。また、防眩性を有する表面保護フィルムは、保護層表面に付いた傷が目立ちにくい。表面保護フィルムのヘイズ値を3%以上40%以下とするには、保護層表面に凹凸を形成すればよい。保護層表面の凹凸形状は、上記したヘイズ値と全光線透過率を有するものであれば特に限定されず、使用する材料の屈折率や光吸収性等に応じて適宜調整すればよいが、通常、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が10μm以上80μm以下程度である。また、算術平均粗さRaは、0.01μm以上0.3μm以下程度、最大高さRzは、0.1μm以上2.0μm以下程度である。
【0041】
本発明の表面保護フィルムを、フレキシブルディスプレイ表面の透明基板へ貼付するまで保護するために、表面保護フィルムの保護層側表面に離型フィルム、他方の表面に剥離フィルムを貼着し、表面保護フィルム積層体とすることができる。
図3に、一実施態様である表面保護フィルム10に、離型フィルム3、剥離フィルム4を貼着した表面保護フィルム積層体30を示す。なお、
図3において、各層の厚さは実際の厚さを意味するものではない。
【0042】
離型フィルムは、保護層の汚れ、埃付着、傷付き等を防止するものであり、保護層と貼り合わせる側の表面に離型処理が施されたフィルムを用いることが好ましい。離型処理が施された離型フィルムを、保護層から剥離すると、離型剤が保護層表面に移行し、離型フィルムを剥離した直後の保護層表面に滑り性を付与することができ、使用開始直後からタッチ操作を違和感なく行うことができる。また、下記「保護層の製造方法」で詳述するが、保護層は、離型フィルム上に直接成形することもできる。この場合、材料組成物を熱硬化させて保護層とする際の加熱時の変形を防ぐために、離型フィルムの厚さは50μm以上300μm以下であることが好ましく、厚いほうがより好ましい。
【0043】
剥離フィルムは、粘着剤層に貼り合わせることが、汚れ、埃付着、粘着力の低下等を防ぐために好ましい。剥離フィルムは、特に制限されず、粘着剤層と貼り合わせる側の表面に離型処理が施されたフィルムを好適に利用することができる。
【0044】
「保護層の製造方法」
保護層は、未硬化の材料組成物を、離間して配置された一対のロールにより送り出される第一、および第二の間隙維持部材の間隙に流し込み、材料組成物が二つの間隙維持部材の間に保持された状態で加熱装置に導入し、材料組成物を熱硬化してポリウレタンとすることにより製造することができる。材料組成物は、少なくともポリオール、イソシアネート(または、これらからなるウレタンプレポリマー)、アルコール系硬化剤を含有する。
【0045】
図4に、保護層の製造方法の模式図を示す。以下、
図4を用いて保護層の製造方法を説明する。
材料組成物40aを、注型機41を用いて、離間して配置された一対の搬送ロール43a、43bにより送り出される第一、および第二の間隙維持部材42a、42bの間隙に流し込む。第一、および第二の間隙維持部材42a、42bは、その間に材料組成物40aを保持した状態で加熱装置46内に導かれる。材料組成物40aは、第一、および第二の間隙維持部材42a、42bの間に保持された状態で熱硬化して、ポリウレタンのシート状物40となる。なお、
図4において、44は第一、および第二の間隙維持部材42a、42bを送り出すための搬送ローラ、45は補助ローラ、47は材料組成物40aを間に保持した第一、および第二の間隙維持部材42a、42bを加熱装置46内で搬送するためのコンベアベルトである。
【0046】
第一、および第二の間隙維持部材42a、42bは、材料組成物を熱硬化させる際に熱変形しない材料であれば、特に制限することなく使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィン系樹脂(COP)、ポリイミド(PI)等の高分子材料からなる長尺フィルムを用いることができる。なお、
図4に示す模式図では、間隙維持部材として高分子材料からなる長尺フィルムを用いているが、これらの高分子材料やアルミニウム等の金属材料からなる無端ベルトを用いることもできる。
【0047】
第一、および第二の間隙維持部材42a、42bは、その間に材料組成物40aを保持した状態で同一の張力で引っ張られて搬送されるため、その間隙を一定の大きさに維持することができる。材料組成物40aは、第一、および第二の間隙維持部材42a、42bに挟まれ、一定の厚みを維持した状態で硬化することにより、厚み精度に優れたシート状物40となる。この製造方法により、塗布では困難な50μm以上の厚みを有し、表面保護フィルムの保護層として実用的な光学特性を有するシート状物40を連続的に成形することができる。
【0048】
注型機41のヘッド部41aの位置は、搬送ロール43a、43bの中央部(第一、および第二の間隙維持部材42a、42bがなす間隙の中央部)より、いずれか一方の搬送ロール側に偏在していることが好ましく、また、偏在距離が搬送ロールの半径以下であることが好ましい。すなわち、注型機41のヘッド部41aの直下は、一対の搬送ロール43a、43bの中央部から一方の搬送ロールの中心軸までの間に位置することが好ましい。また、ヘッド部41aの先端部と、搬送ロールの表面との最短距離は、5cm以下であることが好ましい。ヘッド部41aをこのように配設することにより、シート状物40の厚み精度がより向上するとともに、第一、および第二の間隙維持部材42a、42bの間隙に流し込まれた未硬化の材料組成物40aに気泡が混入しにくく、また、混入した気泡が抜けやすくなる。
【0049】
搬送ロール43a、43bは、単に搬送機能のみを有するものでもよいが、加熱ロールであることが好ましい。搬送ロールが加熱ロールであると、材料組成物40aを、第一、および第二の間隙維持部材42a、42bの間隙に保持された直後から硬化反応を進行させることができ、材料組成物40aが加熱装置46内に導入されるまでに厚さをより均一に維持することができ、より厚み精度に優れるシート状物40を成形することができる。搬送ロールを加熱する際の搬送面温度は、10℃以上60℃以下に設定することが好ましい。10℃未満では、材料組成物40aの粘度が高くなって気泡が抜けにくくなるとともに、硬化反応が遅くなってシート状物40の厚み精度が低下する。60℃を超えると、搬送ロール上で材料組成物40aが硬化したり、シート状物40に気泡が入ったりすることがある。
【0050】
加熱装置46は、ヒータを備えた加熱炉であり、材料組成物40aの硬化温度まで炉内温度を上昇させることができるものであればよい。また、加熱装置46内での加熱条件(硬化条件)は特に限定されず、材料組成物40aの組成に応じて適宜設定すればよく、例えば、40℃以上160℃以下、1分以上180分以下の条件で行えばよい。加熱装置46からは、第一の間隙維持部材42a、ポリウレタンのシート状物40、第二の間隙維持部材42bからなる長尺状積層体が搬出される。そして、この長尺状積層体のシート状物40が、本発明の表面保護フィルムにおける保護層となる。
【0051】
「表面保護フィルム積層体の製造方法」
上記製造方法において、第一の間隙維持部材42a、第二の間隙維持部材42bの一方を離型フィルム3、他方を剥離フィルム4とすることができる。この場合、剥離フィルム4としては、粘着剤層2を備え、この粘着剤層2をポリウレタンのシート状物40に転写可能である転写フィルムを用いる。第一の間隙維持部材42aが離型フィルム3、第二の間隙維持部材42bが剥離フィルム4と粘着剤層2となる場合、上記製造方法により、離型フィルムとなる第一の間隙維持部材42a、保護層となるポリウレタンのシート状物40、剥離フィルムと粘着剤層となる第二の間隙維持部材42bからなる長尺状積層体が搬出される。
【0052】
本製造方法により、表面保護フィルム積層体30をいわゆるロールtoロールで連続的に製造することができる。製造された表面保護フィルム積層体30は、両面にそれぞれ離型フィルム3と剥離フィルム4とを備えているため、表面保護フィルムの傷付き、汚染等を防ぐことができ、取り扱い性に優れている。
【0053】
表面保護フィルム積層体は、ロール状に巻回して出荷してもよく、シート状に裁断してから出荷してもよい。また、第一の間隙維持部材42a、ポリウレタンのシート状物40、第二の間隙維持部材42bからなる長尺状積層体として、またはこの長尺状積層体を裁断したシート状積層体として出荷し、ディスプレイ工場等で粘着剤層を塗布等により形成し、フレキシブルディスプレイの透明基板に貼り合わせることもできる。
【0054】
なお、上記製造方法は一例であり、例えば、第二の間隙維持部材42bとして剥離性のフィルムを用い、これを剥がした後に、塗布等で粘着剤層を設けることもできる。また、第一の間隙維持部材42aとして凹凸を有するフィルムを用い、凹凸を有する面で材料組成物40aを保持することにより、シート状物40の最表面に凹凸を転写し、得られる保護層に防眩性を付与することができる。
【実施例】
【0055】
以下、本発明について実施例を挙げてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0056】
<実施例1>
ポリカーボネートジオール(東ソー株式会社製、商品名:ニッポラン980R)71.5gに対して、1,4−ブタンジオールを4.6g、トリメチロールプロパンを1.2g、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を22.8g、有機錫化合物を50ppm添加し、撹拌・混合を行い、材料組成物とした。
シリコン処理した厚み125μmのPETフィルムを、第一、第二の間隙維持部材として、上記製造方法により厚み150μmの保護層を有する表面保護フィルム積層体を製造した。
【0057】
<実施例2>
ポリカーボネートジオール(東ソー株式会社製、商品名:ニッポラン965)64.7gに対して、1,4−ブタンジオールを2.3g、トリメチロールプロパンを3.5g、イソホロンジイソシアネート(IPDI)を29.5g、有機錫化合物を50ppm添加し、撹拌・混合を行い、材料組成物とした以外は、実施例1と同様にして表面保護フィルム積層体を得た。
【0058】
<実施例3>
ポリカーボネートジオール(東ソー株式会社製、商品名:ニッポラン965)56.7gに対して、1,4−ブタンジオールを5.6g、トリメチロールプロパンを3.7g、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)を34.0g、有機錫化合物を50ppm添加し、撹拌・混合を行い、材料組成物とした以外は、実施例1と同様にして表面保護フィルム積層体を得た。
【0059】
<実施例4>
分子量1000であるPTMG(三菱ケミカル株式会社製、商品名:PTMG1000)と水添MDIからなるプレポリマーを、NCO%=10.0%で作製した。その後、プレポリマー100gに対して、1,4−ブタンジオールを3.56g、トリメチロールプロパンを5.34g、有機錫化合物を50ppm添加し、撹拌・混合を行い、材料組成物とした以外は、実施例1と同様にして表面保護フィルム積層体を得た。
【0060】
<比較例1>
ポリカーボネートジオール(東ソー株式会社製、商品名:ニッポラン980R)59.3gに対して、1,4−ブタンジオールを7.6g、トリメチロールプロパンを1.9g、IPDIを31.1g、有機錫化合物を50ppm添加し、撹拌・混合を行い、材料組成物とした以外は、実施例1と同様にして表面保護フィルム積層体を得た。
【0061】
<比較例2>
ポリカーボネートジオール(東ソー株式会社製、商品名:ニッポラン980R)59.3gに対して、1,4−ブタンジオールを6.7g、トリメチロールプロパンを2.9g、IPDIを31.1g、有機錫化合物を50ppm添加し、撹拌・混合を行い、材料組成物とした以外は、実施例1と同様にして表面保護フィルム積層体を得た。
【0062】
<比較例3>
ポリカーボネートジオール(東ソー株式会社製、商品名:ニッポラン980R)59.3gに対して、1,4−ブタンジオールを5.7g、トリメチロールプロパンを3.8g、IPDIを31.1g、有機錫化合物を50ppm添加し、撹拌・混合を行い、材料組成物とした以外は、実施例1と同様にして表面保護フィルム積層体を得た。
【0063】
<比較例4>
ポリカーボネートジオール(東ソー株式会社製、商品名:ニッポラン965)53.8gに対して、1,4−ブタンジオールを7.6g、トリメチロールプロパンを1.9g、IPDIを36.7g、有機錫化合物を50ppm添加し、撹拌・混合を行い、材料組成物とした以外は、実施例1と同様にして表面保護フィルム積層体を得た。
【0064】
上記実施例1〜4、比較例1〜4で製造した表面保護フィルム積層体について、下記評価を行った。結果を表1に示す。
・応力緩和値および応力緩和率
作成した表面保護フィルム積層体をJIS−1号ダンベルで打ち抜きし、試験片とした。引張試験機(INSTRON社製:3365Q4986)を用いて、チャック間を4cmとしたうえで、サンプルをセットした。チャック間距離が6cmになるまで伸長させ、そのときの応力を初期応力とした。300秒後の応力を300秒後応力として読み取った。N=3で測定を行い、その平均値を測定値とし、下記式にしたがって応力緩和値、応力緩和率を求めた。
応力緩和値(MPa)=初期応力(50%伸長時)―300秒後応力(50%伸長時)
応力緩和率(%)=応力緩和値/初期応力 × 100
【0065】
・折り目
作成した表面保護フィルム積層体から50mm×100mmを裁断し、両側のフィルムを剥がした後、サンプルを半分に折り畳み、圧接ローラ(エアー圧:0.5MPa)で1往復の条件で貼り合わせ、常温下(25℃)で7日間静置した。その後、折り畳んだサンプルを剥がし、凸となる面を下方にして、定盤の上に静置させた。静置して10分後に、表面保護フィルムの定盤から最も高い位置の高さを計測した。また、折り目部分を跨ぐように直管状の三波長管が映り込むように光を反射させ、映り込む三波長管の形状を目視で確認し、下記基準で評価した。
○:折り目部分で三波長管が直線のまま映っている。
×:折り目部分で三波長管が歪んで映っている。
【0066】
・国際ゴム硬さ(IRHD)
作成した表面保護フィルム積層体から1cm角のサンプルを裁断し、両側のフィルムを剥がした後、JIS K6253−2に準じて、保護層側の硬さをIRHDゴム硬度計(ヒルデブランド社製)を用いて測定した。
【0067】
・引張試験(M100、M300、引っ張り強さ、破断伸び)
作成した表面保護フィルム積層体をJIS−3号ダンベルで打ち抜きし、両側のフィルムを剥がして試験片とした。引張試験機(INSTRON社製:3365Q4986)を用いて、引張速度:500mm/minの条件で測定を行った。N=3で測定を行い、その平均値を測定値とした。
【0068】
・引き裂き強さ(引張試験)
作成した表面保護フィルム積層体をJIS−B型ダンベルで打ち抜きし、両側のフィルムを剥がして試験片とした。引張試験機(INSTRON社製:3365Q4986)を用いて、引張速度:500mm/minの条件で測定を行った。N=3で測定を行い、その平均値を測定値とした。
【0069】
・永久伸び
作成した表面保護フィルム積層体をJIS−1号ダンベルで打ち抜きし、両側のフィルムを剥がして試験片とした。試験片に4cmの標線を記し、測定冶具を用いて標線間距離が6cmになるまで伸長させた。10分静置後、試験片を測定冶具から取り外し、10分静置後に標線間距離を計測し、下記式に従って永久伸びを算出した。
永久伸び(%)=標線間距離(試験後)−標線間距離(試験前)/標線間距離(試験前)×100
【0070】
【表1】
【0071】
本発明である実施例1〜4で得られた表面保護フィルムは、折り畳んだ状態で7日間静置した後も、折り目が残りにくく、特に、実施例1、2、4で得られた表面保護フィルムは、折り目が残っていなかった。また、本発明である表面保護フィルムは、折り目部分に映り込む形状に歪みが見られなかった。
比較例1〜4で得られた表面保護フィルムは、折り畳んだ状態で7日間静置した後に折り目が残っており、折り目部分に映り込む形状に歪みが生じていた。
折り目が残りにくいフレキシブルディスプレイ用の表面保護フィルムを提供することを課題とする。解決手段として、ポリウレタンからなる保護層を最表面に有し、前記ポリウレタンの50%伸長300秒後における応力緩和率が、30%以下であるフレキシブルディスプレイ用表面保護フィルムを提供する。