(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
有機層がホストを更に含み、前記ホストが、トリフェニレン、カルバゾール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、アザトリフェニレン、アザカルバゾール、アザ−ジベンゾチオフェン、アザ−ジベンゾフラン、及びアザ−ジベンゾセレノフェンからなる群から選択される少なくとも1つの化学基を含む請求項8に記載の第1のデバイス。
【発明の概要】
【0017】
実施形態によれば、下記からなる群Aから選択される配位子Lを含む化合物が提供される。
【化2】
【化3】
(式中、X
1〜X
13は、それぞれ独立して、炭素及び窒素からなる群から選択され;
Xは、BR、NR、PR、O、S、Se、C=O、S=O、SO
2、CRR’、SiRR’及びGeRR’からなる群から選択され;
R及びR’は、縮合又は結合して環を形成してもよく;
R
a、R
b、R
c及びR
dは、それぞれ、モノ置換から可能な最も多い数の置換、又は無置換を表すことができ;
R、R’、R
a、R
b、R
c及びR
dは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択され;R
a、R
b、R
c及びR
dが少なくともジ置換を表すとき、2つの隣接するR
a、2つの隣接するR
b、2つの隣接するR
c、及び2つの隣接するR
dは、それぞれ、縮合又は結合して環を形成してもよく;
前記配位子Lは、金属Mに配位しており;
前記配位子Lは、他の配位子と結合して三座、四座、五座又は六座の配位子を含んでもよく;
前記化合物は、次の式に示す少なくとも1つの分子内水素結合相互作用を含む。
【化4】
(式中、Z
1は、炭素、ケイ素、窒素及び酸素からなる群から選択され;
Z
2は、窒素、酸素及びフッ素からなる群から選択され;
前記式1において、HのプロトンNMRの化学シフトが、Z
2が炭素の場合の前記化合物に比べて、少なくとも1.3ppm低磁場にシフトする。))
【0018】
1つの実施形態においては、式1において、HのプロトンNMRの化学シフトが、Z
2が炭素の場合の前記化合物に比べて、少なくとも1.4ppm低磁場にシフトする。他の実施形態においては、前記化合物は、77Kにおけるよりも室温において小さい高エネルギー端(the high energy end smaller)に第1のピーク波長を有する発光を有する。他の実施形態においては、Z
1が炭素であり、Z
2が窒素である。他の実施形態においては、Z
1がアルキルの炭素であり、Z
2がピリジンの窒素である。他の実施形態においては、MがIr、Rh、Re、Ru、Os、Pt、Au及びCuからなる群から選択される。他の実施形態においては、MがIr又はPtである。他の実施形態においては、前記化合物がホモレプティックである。他の実施形態においては、前記化合物がヘテロレプティックである。他の実施形態においては、Z
2がX
1〜X
13のいずれかであり、且つ窒素である。他の実施形態においては、Z
1が少なくとも4つの共有結合だけZ
2から離れている。他の実施形態においては、Z
1が少なくとも5つの共有結合だけZ
2から離れている。他の実施形態においては、XがOである請求項1に記載の化合物。
【0019】
1つの実施形態においては、前記化合物は、式Ir(L)
n(L’)
3−nで表される。
(式中、L’は、群Aから選択され;
nは、1、2又は3である。)
【0020】
1つの実施形態においては、nが3である。他の実施形態においては、L’がLと異なる。
【0021】
1つの実施形態においては、前記化合物は、式Pt(L)
m(L’)
2−mで表される。
(式中、L’は、群Aから選択され;
mは、1又は2である。)
【0022】
1つの実施形態においては、mが1であり、L及びL’が結合して四座配位子を形成する。他の実施形態においては、mが1であり、L及びL’が2箇所で結合して大環状四座配位子を形成する。
【0023】
1つの実施形態においては、前記配位子Lが下記からなる群から選択される。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【0024】
1つの実施形態においては、前記化合物は、下記からなる群から選択される。
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【0025】
他の実施形態によれば、下記からなる群Aから選択される配位子Lを含む化合物が提供される。
【化14】
【化15】
(式中、X
1〜X
13は、それぞれ独立して、炭素及び窒素からなる群から選択され;
Xは、BR、NR、PR、O、S、Se、C=O、S=O、SO
2、CRR’、SiRR’及びGeRR’からなる群から選択され;
R及びR’は、縮合又は結合して環を形成してもよく;
R
a、R
b、R
c及びR
dは、それぞれ、モノ置換から可能な最も多い数の置換、又は無置換を表すことができ;
R、R’、R
a、R
b、R
c及びR
dは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択され;R
a、R
b、R
c及びR
dが少なくともジ置換を表すとき、2つの隣接するR
a、2つの隣接するR
b、2つの隣接するR
c、及び2つの隣接するR
dは、それぞれ、縮合又は結合して環を形成してもよく;
前記配位子Lは、金属Mに配位しており;
前記配位子Lは、他の配位子と結合して三座、四座、五座又は六座の配位子を含んでもよく;
前記化合物は、次の式に示す少なくとも1つの分子内水素結合相互作用を含む。
【化16】
(式中、Z
1は、炭素、ケイ素、窒素及び酸素からなる群から選択され;
Z
2は、窒素、酸素及びフッ素からなる群から選択され;
前記式1において、HのプロトンNMRの化学シフトが、Z
2が炭素の場合の前記化合物に比べて、少なくとも35%低磁場にシフトする。))
【0026】
1つの実施形態においては、HのプロトンNMRの化学シフトが、Z
2が炭素の場合の前記化合物に比べて、少なくとも37%低磁場にシフトする。
【0027】
他の実施形態によれば、また、第1の有機発光デバイスを含む第1のデバイスが提供される。前記第1の有機発光デバイスは、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置された有機層とを含むことができる。前記有機層は、配位子Lを含む化合物を含むことできる。前記第1のデバイスは、消費者製品、有機発光デバイス、電子部品モジュール、及び/又は照明パネルであることができる。
【0028】
1つの実施形態においては、前記第1のデバイスは、第1の有機発光デバイスを含み、前記第1の有機発光デバイスが、
アノードと;
カソードと;
前記アノードと前記カソードとの間に配置された有機層とを含み、
前記有機層が、下記からなる群Aから選択される配位子Lを含む化合物を含む。
【化17】
【化18】
(式中、X
1〜X
13は、それぞれ独立して、炭素及び窒素からなる群から選択され;
Xは、BR、NR、PR、O、S、Se、C=O、S=O、SO
2、CRR’、SiRR’及びGeRR’からなる群から選択され;
R及びR’は、縮合又は結合して環を形成してもよく;
R
a、R
b、R
c及びR
dは、それぞれ、モノ置換から可能な最も多い置換、又は無置換を表すことができ;
R、R’、R
a、R
b、R
c及びR
dは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択され;R
a、R
b、R
c及びR
dが少なくともジ置換を表すとき、2つの隣接するR
a、2つの隣接するR
b、2つの隣接するR
c、及び2つの隣接するR
dは、それぞれ、縮合又は結合して環を形成してもよく;
前記配位子Lは、金属Mに配位しており;
前記配位子Lは、他の配位子と結合して三座、四座、五座又は六座の配位子を含んでもよく;
前記化合物は、次の式に示す少なくとも1つの分子内水素結合相互作用を含む。
【化19】
(式中、Z
1は、炭素、ケイ素、窒素及び酸素からなる群から選択され;
Z
2は、窒素、酸素及びフッ素からなる群から選択され;
(a)前記式1において、HのプロトンNMRの化学シフトが、Z
2が炭素の場合の前記化合物に比べて、少なくとも1.3ppm低磁場にシフトする;又は
(b)前記式1において、HのプロトンNMRの化学シフトが、Z
2が炭素の場合の前記化合物に比べて、少なくとも35%低磁場にシフトする。))
【0029】
1つの実施形態においては、前記第1のデバイスは、消費者製品、電子部品モジュール、有機発光デバイス、及び照明パネルからなる群から選択される。他の実施形態においては、前記有機層が発光層であり、前記化合物が発光ドーパント又は非発光ドーパントである。他の実施形態においては、前記有機層が電荷輸送層であり、前記化合物が前記有機層における電荷輸送材料である。他の実施形態においては、前記有機層がブロッキング層であり、前記化合物が前記有機層におけるブロッキング材料である。
【0030】
1つの実施形態においては、前記有機層がホストを更に含み、前記ホストは、ベンゾ−縮合チオフェン又はベンゾ−縮合フランを含むトリフェニレンを含み、前記ホストにおける任意の置換基が、C
nH
2n+1、OC
nH
2n+1、OAr
1、N(C
nH
2n+1)
2、N(Ar
1)(Ar
2)、CH=CH−C
nH
2n+1、C≡CC
nH
2n+1、Ar
1、Ar
1−Ar
2、及びC
nH
2n−Ar
1からなる群から独立して選択される非縮合置換基である、又は無置換であり;nは、1〜10であり;Ar
1及びAr
2は、独立して、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、トリフェニレン、カルバゾール、及びそれらのヘテロ芳香族アナログからなる群から選択される。
【0031】
1つの実施形態においては、前記有機層がホストを更に含み、前記ホストが、トリフェニレン、カルバゾール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、アザトリフェニレン、アザカルバゾール、アザ−ジベンゾチオフェン、アザ−ジベンゾフラン、及びアザ−ジベンゾセレノフェンからなる群から選択される少なくとも1つの化学基を含む。
【0032】
1つの実施形態においては、前記有機層がホストを更に含み、前記ホストが下記からなる群から選択される。
【化20】
【化21】
【0033】
1つの実施形態においては、前記有機層がホストを更に含み、前記ホストが金属錯体を含む。
【0034】
他の実施形態においては、また、本発明の化合物を含む組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0047】
概して、OLEDは、アノード及びカソードの間に配置され、それらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が印加されると、アノードが正孔を注入し、カソードが電子を有機層(複数可)に注入する。注入された正孔及び電子は、逆帯電した電極にそれぞれ移動する。電子及び正孔が同じ分子上に局在する場合、励起エネルギー状態を有する局在電子正孔対である「励起子」が形成される。光は、励起子が緩和した際に、光電子放出機構を介して放出される。いくつかの事例において、励起子はエキシマー又はエキサイプレックス上に局在し得る。熱緩和等の無輻射機構が発生する場合もあるが、概して望ましくないとみなされている。
【0048】
初期のOLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第4,769,292号において開示されている通り、その一重項状態から光を放出する発光分子(「蛍光」)を使用していた。蛍光発光は、概して、10ナノ秒未満の時間枠で発生する。
【0049】
ごく最近では、三重項状態から光を放出する発光材料(「リン光」)を有するOLEDが実証されている。参照によりその全体が組み込まれる、Baldoら、「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices」、395巻、151〜154、1998;(「Baldo−I」)及びBaldoら、「Very high−efficiency green organic light emitting devices based on electrophosphorescence」、Appl.Phys.Lett.、75巻、3号、4〜6(1999)(「Baldo−II」)。リン光については、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第7,279,704号において更に詳細に記述されている。
【0050】
図1は、有機発光デバイス100を示す。図は必ずしも一定の縮尺ではない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子ブロッキング層130、発光層135、正孔ブロッキング層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、カソード160、及びバリア層170を含み得る。カソード160は、第一の導電層162及び第二の導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。これらの種々の層の特性及び機能並びに材料例は、参照によりその全体が組み込まれるUS7,279,704号において更に詳細に記述されている。
【0051】
これらの層のそれぞれについて、更なる例が利用可能である。例えば、フレキシブル及び透明基板−アノードの組合せは、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5、844、363号において開示されている。p−ドープされた正孔輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、50:1のモル比でm−MTDATAにF
4−TCNQをドープしたものである。発光材料及びホスト材料の例は、参照によりその全体が組み込まれるThompsonらの米国特許第6,303,238号において開示されている。n−ドープされた電子輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、1:1のモル比でBPhenにLiをドープしたものである。参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5,703,436号及び同第5,707,745号は、上を覆う透明の、導電性の、スパッタリング蒸着したITO層を持つMg:Ag等の金属の薄層を有する複合カソードを含むカソードの例を開示している。ブロッキング層の理論及び使用は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,097,147号及び米国特許出願公開第2003/0230980号において更に詳細に記述されている。注入層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において提供されている。保護層についての記述は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において見ることができる。
【0052】
図2は、反転させたOLED200を示す。デバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、及びアノード230を含む。デバイス200は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。最も一般的なOLED構成はアノードの上に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下に配置されたカソード215を有するため、デバイス200は「反転させた」OLEDと称されることがある。デバイス100に関して記述されたものと同様の材料を、デバイス200の対応する層において使用してよい。
図2は、いくつかの層が如何にしてデバイス100の構造から省略され得るかの一例を提供するものである。
【0053】
図1及び2において例証されている単純な層構造は、非限定的な例として提供されるものであり、本発明の実施形態は多種多様な他の構造に関連して使用され得ることが理解される。記述されている特定の材料及び構造は、事実上例示的なものであり、他の材料及び構造を使用してよい。機能的なOLEDは、記述されている種々の層を様々な手法で組み合わせることによって実現され得るか、又は層は、設計、性能及びコスト要因に基づき、全面的に省略され得る。具体的には記述されていない他の層も含まれ得る。具体的に記述されているもの以外の材料を使用してよい。本明細書において提供されている例の多くは、単一材料を含むものとして種々の層を記述しているが、ホスト及びドーパントの混合物等の材料の組合せ、又はより一般的には混合物を使用してよいことが理解される。また、層は種々の副層を有してもよい。本明細書における種々の層に与えられている名称は、厳しく限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し、正孔を発光層220に注入し、正孔輸送層又は正孔注入層として記述され得る。1つの実施形態において、OLEDは、カソード及びアノードの間に配置された「有機層」を有するものとして記述され得る。有機層は単層を含んでいてよく、又は、例えば
図1及び2に関して記述されている通りの異なる有機材料の多層を更に含んでいてよい。
【0054】
参照によりその全体が組み込まれるFriendらの米国特許第5,247,190号において開示されているもののようなポリマー材料で構成されるOLED(PLED)等、具体的には記述されていない構造及び材料を使用してもよい。更なる例として、単一の有機層を有するOLEDが使用され得る。OLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第5,707,745号において記述されている通り、積み重ねられてよい。OLED構造は、
図1及び2において例証されている単純な層構造から逸脱してよい。例えば、基板は、参照によりその全体が組み込まれる、Forrestらの米国特許第6,091,195号において記述されている通りのメサ構造及び/又はBulovicらの米国特許第5,834,893号において記述されている通りのくぼみ構造等、アウトカップリングを改良するための角度のついた反射面を含み得る。
【0055】
別段の規定がない限り、種々の実施形態の層のいずれも、任意の適切な方法によって堆積され得る。有機層について、好ましい方法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,013,982号及び同第6,087,196号において記述されているもの等の熱蒸着、インクジェット、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第6,337,102号において記述されているもの等の有機気相堆積(OVPD)、並びに参照によりその全体が組み込まれる米国特許第7,431,968号において記述されているもの等の有機気相ジェットプリンティング(OVJP)による堆積を含む。他の適切な堆積法は、スピンコーティング及び他の溶液ベースのプロセスを含む。溶液ベースのプロセスは、好ましくは、窒素又は不活性雰囲気中で行われる。他の層について、好ましい方法は熱蒸着を含む。好ましいパターニング法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,294,398号及び同第6,468,819号において記述されているもの等のマスク、冷間圧接を経由する堆積、並びにインクジェット及びOVJD等の堆積法のいくつかに関連するパターニングを含む。他の方法を使用してもよい。堆積する材料は、特定の堆積法と適合するように修正され得る。例えば、分枝鎖状又は非分枝鎖状であり、且つ好ましくは少なくとも3個の炭素を含有するアルキル及びアリール基等の置換基は、溶液プロセシングを受ける能力を増強するために、小分子において使用され得る。20個以上の炭素を有する置換基を使用してよく、3〜20個の炭素が好ましい範囲である。非対称構造を持つ材料は、対称構造を有するものよりも良好な溶液プロセス性を有し得、これは、非対称材料のほうが再結晶する傾向が低くなり得るからである。溶液プロセシングを受ける小分子の能力を増強するために、デンドリマー置換基が使用され得る。
【0056】
本発明の実施形態に従って製作されたデバイスは、バリア層を更に含んでいてよい。バリア層の1つの目的は、電極及び有機層を、水分、蒸気及び/又はガス等を含む環境における有害な種への損傷性暴露から保護することである。バリア層は、基板、電極の上、下若しくは隣に、又はエッジを含むデバイスの任意の他の部分の上に堆積し得る。バリア層は、単層又は多層を含んでいてよい。バリア層は、種々の公知の化学気相堆積技術によって形成され得、単相を有する組成物及び多相を有する組成物を含み得る。任意の適切な材料又は材料の組合せをバリア層に使用してよい。バリア層は、無機若しくは有機化合物又は両方を組み込み得る。好ましいバリア層は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,968,146号、PCT特許出願第PCT/US2007/023098号及び同第PCT/US2009/042829号において記述されている通りの、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物を含む。「混合物」とみなされるためには、バリア層を構成する前記のポリマー及び非ポリマー材料は、同じ反応条件下で及び/又は同時に堆積されるべきである。ポリマー材料対非ポリマー材料の重量比は、95:5から5:95の範囲内となり得る。ポリマー材料及び非ポリマー材料は、同じ前駆体材料から作成され得る。一例において、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物は、ポリマーケイ素及び無機ケイ素から本質的になる。
【0057】
本発明の実施形態に従って製作されたデバイスは、各種電子製品又は中間体部品に組み込むことができる各種電子部品モジュール(又はユニット)に組み込むことができる。このような電子製品又は中間体部品としては、エンドユーザー製品の製造業者によって利用することができるディスプレイスクリーン、ディスクリート光源デバイスなどの照明デバイス、照明パネルなどを挙げることができる。このような電子部品モジュールは、駆動電子機器及び/又は(1つ又は複数の)電源を任意に含むことができる。本発明の実施形態に従って製作されたデバイスは、電子部品モジュール(又はユニット)の1つ以上を組み込まれて有する各種消費者製品に組み込むことができる。このような消費者製品は、1つ以上の光源及び/又はある種のビジュアルディスプレイの1つ以上を含む任意の種類の製品を含む。このような消費者製品の幾つかの例としては、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニター、テレビ、掲示板、屋内若しくは屋外照明及び/又は信号送信用のライト、ヘッドアップディスプレイ、完全又は一部透明なディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンター、電話、携帯電話、タブレット、ファブレット、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダー、ファインダー、マイクロディスプレイ、3−Dディスプレイ、車、大面積壁、劇場又はスタジアムのスクリーン、或いは看板を挙げることができる。パッシブマトリックス及びアクティブマトリックスを含む種々の制御機構を使用して、本発明に従って製作されたデバイスを制御することができる。デバイスの多くは、摂氏18度から摂氏30度、より好ましくは室温(摂氏20〜25度)等、ヒトに快適な温度範囲内での使用が意図されているが、この温度範囲外、例えば、摂氏−40度〜+80度で用いることもできる。
【0058】
本明細書において記述されている材料及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有し得る。例えば、有機太陽電池及び有機光検出器等の他の光電子デバイスが、該材料及び構造を用い得る。より一般的には、有機トランジスタ等の有機デバイスが、該材料及び構造を用い得る。
【0059】
本明細書において、「ハロ」、「ハロゲン」又は「ハライド」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を含む。
【0060】
本明細書において、「アルキル」という用語は、直鎖及び分岐鎖アルキル基のいずれをも意味する。好ましいアルキル基としては、1〜15個の炭素原子を含むアルキル基であり、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチルなどを含む。更に、前記アルキル基は、置換されていてもよい。
【0061】
本明細書において、「シクロアルキル」という用語は、環状アルキル基を意味する。好ましいシクロアルキル基としては、3〜7個の炭素原子を含むシクロアルキル基であり、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含む。更に、前記シクロアルキル基は置換されていてもよい。
【0062】
本明細書において、「アルケニル」という用語は、直鎖及び分岐鎖アルケニル基のいずれをも意味する。好ましいアルケニル基としては、2〜15個の炭素原子を含むアルケニル基である。更に、前記アルケニル基は、置換されていてもよい。
【0063】
本明細書において、「アルキニル」という用語は、直鎖及び分岐鎖アルキン基のいずれをも意味する。好ましいアルキニル基は、2〜15個の炭素原子を含むアルキニル基である。更に、前記アルキニル基は置換されていてもよい。
【0064】
本明細書において、「アラルキル」又は「アリールアルキル」という用語は、置換基として芳香族基を有するアルキル基を意味する。更に、前記アラルキル基は、置換されていてもよい。
【0065】
本明細書において、「ヘテロ環基」という用語は、芳香族環基及び非芳香族環基を意味する。ヘテロ芳香族環基は、ヘテロアリールも意味する。好ましいヘテロ非芳香族環基は、3又は7個の環原子を含む少なくとも1つのヘテロ原子であり、モルホリノ、ピペリジノ、ピロリジノなどの環状アミンを含み、及びテトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどの環状エーテルを含む。更に、前記ヘテロ環基は、置換されていてもよい。
【0066】
本明細書において、「アリール」又は「芳香族基」は、単環及び多環系を意味する。多環とは、2つの隣接する環(前記環は、「縮合」している)により2つの炭素が共有されている2つ以上の環を有することができ、前記環の少なくとも1つは、芳香族であり、例えば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロ環、及び/又はヘテロアリールである。更に、前記アリール基は、置換されていてもよい。
【0067】
本明細書において、「ヘテロアリール」は、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、及びピリミジンなど、1〜3個のヘテロ原子を含む単環の複素芳香族基を意味する。ヘテロアリールという用語も、2つの隣接する環(前記環は、「縮合」している)により2つの原子が共されている2つ以上の環を有する多環のヘテロ芳香族系を含み、前記環の少なくとも1つは、ヘテロアリールであり、例えば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロ環、及び/又はヘテロアリールであることができる。更に、前記ヘテロアリールは、置換されていてもよい。
【0068】
前記アルキル、前記シクロアルキル、前記アルケニル、前記アルキニル、前記アラルキル、前記ヘテロ環、前記アリール、及び前記ヘテロアリールは、水素、重水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、環状アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エーテル、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組合せから選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0069】
本明細書において、「置換(された)」は、H以外の置換基が関連している位置(炭素など)に結合していることを示す。したがって、例えば、R
1が一置換である場合、R
1はH以外でなくてはならない。同様に、R
1が二置換である場合、R
1のうちの2つは、H以外でなくてはならない。同様に、R
1が無置換である場合、R
1は全ての置換位置において水素である。
【0070】
本明細書において記述されるフラグメント、例えば、アザ−ジベンゾフラン、アザ−ジベンゾンチオフェン等の中の「アザ」という名称は、各フラグメント中のC−H基の1つ以上が窒素原子に置き換わることができることを意味し、例えば、何ら限定するものではないが、アザトリフェニレンは、ジベンゾ[f,h]キノキサリンとジベンゾ[f,h]キノリンのいずれをも包含する。当業者であれば、上述のアザ誘導体の他の窒素アナログを容易に想像することができ、このようなアナログ全てが本明細書に記載の前記用語によって包含されることが意図される。
【0071】
分子フラグメントが置換基として記述される、又は他の部分に結合されているものとして記述される場合、その名称は、フラグメント(例えば、フェニル、フェニレン、ナフチル、ジベンゾフリル)又は分子全体(例えば、ベンゼン、ナフタレン、ジベンゾフラン)であるように記載されることがあることを理解されたい。本明細書においては、置換基又は結合フラグメントの表示の仕方が異なっていても、これらは、等価であると考える。
【0072】
非配位性窒素を含む錯体の分解について提案されているメカニズムは、前記非配位性窒素が、隣接する分子を脱プロトン化させ、非発光性で且つ潜在的にイオン性の反応生成物を生じさせる塩基として作用する事象であるということである。この事象は、励起状態、又はデバイス環境に存在する荷電状態の存在下で起こり得る。アザフェナントリジンベンズイミダゾール(APBI)配位子などの多環骨格(multi−ring scaffolds)は、この分解メカニズムに対処するために置換可能な官能性部位を与えるのに有用となり得る。
【0073】
安定性を改善するために2つのアプローチが研究されている。第1のアプローチは、非配位性窒素の不対電子対が隣接分子上のプロトンに露出されることを遮蔽するために、当該部位に立体基を置くことである。例えば、化合物1〜6は、当該窒素をプロトン化から立体的に遮蔽するように設計された置換を有する。
【化22】
【0074】
化合物1及び化合物2においては、非配位性窒素に対向する環にアリール基が置換している。立体的相互作用によって、該環は、面外に大きくねじれ、三重項エネルギーの上昇を最小限にする。更に、該アリール環の面は非配位性窒素の不対電子対を覆うように存在しているので、隣接する分子の近傍のプロトンに露出されることを防ぐ。アリール環の配置は、化合物1のX線結晶構造(
図3)で確認することができる。しかしながら、この部位における芳香族置換の予想外のネガティブな結果は、PLQYの低下である。これは、化合物2の場合のように、ねじれたアリール環に2,6−アルキル置換を導入して環系をより剛性にすることにより、ある程度低減することができる。化合物1のPLQYを測定すると、ポリメチルメタクリレート(PMMA)マトリックス中で13%である。これは、より剛性な2,6−ジメチルフェニル置換を有する化合物2では、28%と大幅に改善する。しかしながら、当該位置にアリール置換を有さないAPBI錯体は、通常、70〜90%のPLQYを有する。置換基が芳香族性である場合に見られるPLQYの低下を避けるためには、非配位性窒素の部位に非芳香族性置換基を用いることが好ましい。例えば、トリメチルシリル(TMS)基による非芳香族性置換を有する化合物3の、エネルギーが最小化された、計算された配置においては、該TMS基のメチル基が芳香環系から面外を向き、非配位性窒素の潜在的に反応性を有する不対電子対の周りにポケットを形成している(
図4)。
【0075】
本明細書に示すように、安定性を改善するための第2のアプローチは、水素原子を設け、スタティックな(静電的)水素結合相互作用が該水素原子と非配位性窒素の不対電子対との間に形成されるようにすることを含む。
【0076】
この配置は、不対電子対の反応性を低減させるように働き、分子を分子間分解から安定化させ、これにより、デバイス中における錯体の安定性を完全する。例示的なアザフェナントリジンベンズイミダゾール(APBI)配位子を以下に示すが、当該水素原子をH
*として表す。
【化23】
H
*が窒素の不対電子対の方を向いていることが分かる。プロトンと非配位性窒素との近接は、イソプロピル基のメチル置換とAPBIの環系との間の立体的反発によりもたらされる。この方策を用れば、スタティックな分子内水素結合を形成するために、窒素の不対電子対近傍にプロトンを配置するように錯体を設計することができる。したがって、励起又は荷電状態における窒素の不対電子対の塩基性が上昇すれば、不対電子とH
*は、可逆的に相互作用することができるであろう。一方、分子内水素結合を有さない分子は、励起又は荷電状態において近傍の分子を脱プロトン化させることにより、不可逆的な分解事象を引き起こすであろう。
本発明の化合物
【0077】
本発明の化合物は、有機合成の分野でよく知られた技術を用いて合成することができる。合成に必要な出発材料及び中間体は、商業的供給源から入手できる、又は当業者に知られた方法に従って合成することができる。
【0078】
1つの態様においては、本発明の化合物は、下記からなる群Aから選択される配位子Lを含む化合物である。
【化24】
【化25】
【化26】
(式中、X
1〜X
13は、それぞれ独立して、炭素及び窒素からなる群から選択され;
Xは、BR、NR、PR、O、S、Se、C=O、S=O、SO
2、CRR’、SiRR’及びGeRR’からなる群から選択され;
R及びR’は、縮合又は結合して環を形成してもよく;
R
a、R
b、R
c及びR
dは、それぞれ、モノ置換から可能な最も多い置換、又は無置換を表すことができ;
R、R’、R
a、R
b、R
c及びR
dは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択され;R
a、R
b、R
c及びR
dが少なくともジ置換を表すとき、2つの隣接するR
a、2つの隣接するR
b、2つの隣接するR
c、及び2つの隣接するR
dは、それぞれ、縮合又は結合して環を形成してもよく;
前記配位子Lは、金属Mに配位しており;
前記配位子Lは、他の配位子と結合して三座、四座、五座又は六座の配位子を含んでもよく;
前記化合物は、次の式に示す少なくとも1つの分子内水素結合相互作用を含む。
【化27】
(式中、Z
1は、炭素、ケイ素、窒素及び酸素からなる群から選択され;
Z
2は、窒素、酸素及びフッ素からなる群から選択され;
前記式1において、HのプロトンNMRの化学シフトが、Z
2が炭素の場合の前記化合物に比べて、少なくとも1.3ppm低磁場にシフトする。))
【0079】
他の態様においては、本発明の化合物は、下記からなる群Aから選択される配位子Lを含む化合物である。
【化28】
【化29】
【化30】
(式中、X
1〜X
13は、それぞれ独立して、炭素及び窒素からなる群から選択され;
Xは、BR、NR、PR、O、S、Se、C=O、S=O、SO
2、CRR’、SiRR’及びGeRR’からなる群から選択され;
R及びR’は、縮合又は結合して環を形成してもよく;
R
a、R
b、R
c及びR
dは、それぞれ、モノ置換から可能な最も多い置換、又は無置換を表すことができ;
R、R’、R
a、R
b、R
c及びR
dは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択され;R
a、R
b、R
c及びR
dが少なくともジ置換を表すとき、2つの隣接するR
a、2つの隣接するR
b、2つの隣接するR
c、及び2つの隣接するR
dは、それぞれ、縮合又は結合して環を形成してもよく;
前記配位子Lは、金属Mに配位しており;
前記配位子Lは、他の配位子と結合して三座、四座、五座又は六座の配位子を含んでもよく;
前記化合物は、次の式に示す少なくとも1つの分子内水素結合相互作用を含む。
【化31】
(式中、Z
1は、炭素、ケイ素、窒素及び酸素からなる群から選択され;
Z
2は、窒素、酸素及びフッ素からなる群から選択され;
(a)前記式1において、HのプロトンNMRの化学シフトが、Z
2が炭素の場合の前記化合物に比べて、少なくとも1.3ppm低磁場にシフトする;又は
(b)前記式1において、HのプロトンNMRの化学シフトが、Z
2が炭素の場合の前記化合物に比べて、少なくとも35%低磁場にシフトする。))
【0080】
他の態様においては、本発明の化合物は、下記からなる群Aから選択される配位子Lを含む化合物である。
【化32】
【化33】
(式中、X
1〜X
13は、それぞれ独立して、炭素及び窒素からなる群から選択され;
Xは、BR、NR、PR、O、S、Se、C=O、S=O、SO
2、CRR’、SiRR’及びGeRR’からなる群から選択され;
R及びR’は、縮合又は結合して環を形成してもよく;
R
a、R
b、R
c及びR
dは、それぞれ、モノ置換から可能な最も多い置換、又は無置換を表すことができ;
R、R’、R
a、R
b、R
c及びR
dは、それぞれ独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組合せからなる群から選択され;R
a、R
b、R
c及びR
dが少なくともジ置換を表すとき、2つの隣接するR
a、2つの隣接するR
b、2つの隣接するR
c、及び2つの隣接するR
dは、それぞれ、縮合又は結合して環を形成してもよく;
前記配位子Lは、金属Mに配位しており;
前記配位子Lは、他の配位子と結合して三座、四座、五座又は六座の配位子を含んでもよく;
前記化合物は、次の式に示す少なくとも1つの分子内水素結合相互作用を含む。
【化34】
(式中、Z
1は、炭素、ケイ素、窒素及び酸素からなる群から選択され;
Z
2は、窒素、酸素及びフッ素からなる群から選択され;
前記式1において、HのプロトンNMRの化学シフトが、Z
2が炭素の場合の前記化合物に比べて、少なくとも35%低磁場にシフトする。))
【0081】
前記金属Mは、特に限定されない。本発明の化合物に有用な金属の例としては、Ir、Pt、Au、Re、Ru、W、Rh、Ru、Os、Pd、Ag、Cu、Co、Zn、Ni、Pb、Al及びGaなどの遷移金属が挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態においては、Mは、Ir、Rh、Re、Ru、Os、Pt、Au及びCuからなる群から選択される。他の実施形態においては、Mは、Ir又はPtである。1つの実施形態においては、MはIrである。他の実施形態においては、MはPtである。
【0082】
1つの実施形態においては、Xは、BR、NR、PR、O、S、Se、C=O、S=O、SO
2、CRR’、SiRR’及びGeRR’からなる群から選択される。1つの実施形態においては、XはOである。
【0083】
1つの態様においては、本発明の化合物は、隣接する分子の脱プロトン化を防ぐと共に非配位性窒素のプロトン化を防ぐ少なくとも1つの分子内水素結合相互作用を含む。例示的な分子内水素結合相互作用を、式1に見ることができる。
【化35】
【0084】
当業者であれば理解するように、Z
1は、Hと共有結合を形成できる任意の原子であることができ、Z
2は、Hと水素結合相互作用を形成できる任意の原子であることができる。1つの実施形態においては、Z
1は、炭素、ケイ素、窒素及び酸素からなる群から選択される。1つの実施形態においては、Z
2は、窒素、酸素及びフッ素からなる群から選択される。他の実施形態においては、Z
1が炭素であり、Z
2が窒素である。他の実施形態においては、Z
1がアルキルの炭素であり、Z
2がピリジンの窒素である。他の実施形態においては、Z
2がX
1〜X
13のいずれかであり、且つ窒素である。幾つかの実施形態においては、化合物内のZ
2に対するZ
1の位置を、Z
1とZ
2との間の共有結合の数で決めることができる。1つの実施形態においては、Z
1が少なくとも3つの共有結合だけZ
2から離れている。1つの実施形態においては、Z
1が少なくとも4つの共有結合だけZ
2から離れている。他の実施形態においては、Z
1が少なくとも5つの共有結合だけZ
2から離れている。1つの実施形態においては、Z
1が少なくとも6つの共有結合だけZ
2から離れている。
【0085】
水素とZ
2との間の相互作用は、本技術分野で知られた任意の方法を用いて判定できる。1つの実施形態においては、前記相互作用は、コンピューターを用いた方法、例えば、最小化した配置におけるZ
2−H距離及び空間的位置を調べることにより判定される。1つの実施形態においては、HとZ
2との距離は、1.5Å〜2.4Åの範囲である。1つの実施形態においては、HとZ
2との間の距離は、2.2Å以下である。他の実施形態においては、HとZ
2との間の距離は、2.16Å以下である。他の実施形態においては、HとZ
2との間の距離は、2.15Å以下である。他の実施形態においては、前記相互作用は、実験的方法、例えば、水素結合プロトンの
1H(プロトン)NMRの化学シフトを測定することにより判定される。1つの実施形態においては、HのプロトンNMRの化学シフトが、Z
2が炭素の場合の前記化合物に比べて4.5ppm〜7.0ppm低磁場にシフトする。幾つかの実施形態においては、HのNMR化学シフトは、Z
2が炭素の場合の前記化合物に比べて、少なくとも1.3ppm、少なくとも1.4ppm、少なくとも1.5ppm、少なくとも1.6ppm、少なくとも1.7ppm、少なくとも1.8ppm、少なくとも1.9ppm、又は少なくとも2.0ppm低磁場にシフトすることができる。1つの実施形態においては、HのプロトンNMRの化学シフトが、Z
2が炭素の場合の前記化合物に比べて、少なくとも1.3ppm低磁場にシフトする。他の実施形態においては、HのプロトンNMRの化学シフトが、Z
2が炭素の場合の前記化合物に比べて、少なくとも1.4ppm低磁場にシフトする。1つの実施形態においては、HのプロトンNMRの化学シフトが、Z
2が炭素の場合の前記化合物に比べて、30%〜60%低磁場にシフトする。幾つかの実施形態においては、HのプロトンNMRの化学シフトは、Z
2が炭素の場合の前記化合物に比べて、少なくとも35%、少なくとも37%、少なくとも39%、少なくとも40%、少なくとも45%、又は少なくとも50%低磁場にシフトすることができる。1つの実施形態においては、HのプロトンNMRの化学シフトが、Z
2が炭素の場合の前記化合物に比べて、少なくとも35%低磁場にシフトする。他の実施形態においては、HのプロトンNMRの化学シフトが、Z
2が炭素の場合の前記化合物に比べて、少なくとも37%低磁場にシフトする。
【0086】
1つの実施形態においては、前記相互作用は、室温における高エネルギー端での第1のピーク波長の発光を測定し、これを異なる温度での発光と比べることにより判定される。本明細書において使用される場合、用語「室温」は、約20℃〜約30℃の温度を意味する。本明細書に示されるように、分子内水素結合相互作用を示す化合物は、室温溶液において、より低い温度での発光に対して異常な三重項発光青色シフトを有し得ることも観察された。1つの実施形態においては、前記化合物は、77Kにおけるよりも室温において小さい高エネルギー端に第1のピーク波長を有する発光を有する。
【0087】
1つの実施形態においては、前記配位子Lは、下記からなる群から選択される。
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【0088】
幾つかの実施形態においては、前記化合物は、ホモレプティックである。化合物が2つ以上の配位子Lを含み、これら2つ以上の配位子Lが同一である場合、当該化合物はホモレプティックであることができる。他の実施形態においては、前記化合物は、ヘテロレプティックである。化合物が2つ以上の配位子Lを含み、これら配位子Lの少なくとも1つがその他の配位子Lと異なる配位子である場合、当該化合物はヘテロレプティックであることができる。幾つかの実施形態においては、前記化合物は、少なくとも1つの配位子Lと少なくとも1つの配位子L’を含む。1つの実施形態においては、L’は、Lと異なる配位子である。他の実施形態においては、L’は、Lと同一の配位子である。他の実施形態においては、Lは、群Aから選択される。L’は特に限定されない。1つの実施形態においては、L’は、二座配位子である。更に、配位子L’は、置換されていてもよく、任意の隣接する置換基が縮合又は結合して環又は多座配位子を形成してもよい。幾つかの実施形態においては、LとL’が結合して三座、四座、五座又は六座の配位子などの多座配位子を形成する。1つの実施形態においては、LとL’が結合して四座配位子を形成する。LとL’は、1つの位置又は場所で結合して多座配位子を形成してもよいし、LとL’は、2つ以上の位置又は場所で結合して大環状多座配位子を形成してもよい。1つの実施形態においては、LとL’が2つの場所で結合して大環状四座配位子を形成する。
【0089】
1つの実施形態においては、前記化合物は、式Ir(L)
n(L’)
3−nで表される。(式中、L’は、群Aから選択され;nは、1、2又は3である。)
【0090】
1つの実施形態においては、nが1である。他の実施形態においては、nが2である。他の実施形態においては、nが3である。
【0091】
1つの実施形態においては、式Pt(L)
m(L’)
2−mで表される。(式中、L’は、群Aから選択され;mは、1又は2である。)
【0092】
1つの実施形態においては、mが1である。他の実施形態においては、mが2である。
【0093】
1つの実施形態においては、前記化合物は、下記からなる群から選択される。
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
【化44】
【0094】
幾つかの実施形態においては、前記化合物は、発光ドーパントであることができる。幾つかの実施形態においては、前記化合物は、リン光発光、蛍光発光、熱活性化遅延蛍光、即ち、TADF(E−型遅延蛍光とも称する)、三重項−三重項消滅、又はこれらのプロセスの組合せを介して、発光を生成することができる。
デバイス:
【0095】
本開示の他の態様によれば、また、第1のデバイスが提供される。前記第1のデバイスは、第1の有機発光デバイスを含み、前記第1の有機発光デバイス、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置された有機層とを含む。前記有機層は、ホストとリン光ドーパントを含むことができる。前記発光層は、配位子L及び本明細書に記載されるそのバリエーションを含む化合物を含むことができる。
【0096】
前記第1のデバイスは、消費者製品、電子部品モジュール、有機発光デバイス、及び照明パネルの1つ以上であることができる。前記有機層が発光層であることができ、且つ幾つかの実施形態においては、前記化合物が発光ドーパントであることができ、他の実施形態においては、前記化合物が非発光ドーパントであることができる。幾つかの実施形態においては、前記有機層が電荷輸送層であることができ、前記化合物が前記有機層における電荷輸送材料であることができる。幾つかの実施形態においては、前記有機層がブロッキング層であることができ、前記化合物が前記有機層におけるブロッキング材料であることができる。
【0097】
前記有機層は、また、ホストを含むことができる。幾つかの実施形態においては、前記ホストは、金属錯体を含むことができる。前記ホストは、ベンゾ−縮合チオフェン又はベンゾ−縮合フランを含むトリフェニレンをであることができる。前記ホストにおける任意の置換基は、C
nH
2n+1、OC
nH
2n+1、OAr
1、N(C
nH
2n+1)
2、N(Ar
1)(Ar
2)、CH=CH−C
nH
2n+1、C≡CC
nH
2n+1、Ar
1、Ar
1−Ar
2、及びC
nH
2n−Ar
1からなる群から独立して選択される非縮合置換基であることができる、又は無置換であることができる。これらの置換基において、nは、1〜10であることができ;Ar
1及びAr
2は、独立して、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、トリフェニレン、カルバゾール、及びそれらのヘテロ芳香族アナログからなる群から選択することができる。
【0098】
前記ホストは、トリフェニレン、カルバゾール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、アザトリフェニレン、アザカルバゾール、アザ−ジベンゾチオフェン、アザ−ジベンゾフラン、及びアザ−ジベンゾセレノフェンからなる群から選択される少なくとも1つの化学基を含む化合物であることができる。前記ホストは、金属錯体を含むことができる。前記ホストは、下記からなる群から選択することができる。
【化45】
【化46】
組成物:
【0099】
本開示の更に他の態様においては、配位子Lを含む化合物を含む組成物が記載される。前記組成物は、本明細書に開示される、溶媒、ホスト、ホール注入材料、ホール輸送材料、及び電子輸送層材料からなる群から選択される1つ以上の成分を含むことができる。
他の材料との組合せ
【0100】
有機発光デバイス中の特定の層に有用として本明細書において記述されている材料は、デバイス中に存在する多種多様な他の材料と組み合わせて使用され得る。例えば、本明細書において開示されている発光性ドーパントは、多種多様なホスト、輸送層、ブロッキング層、注入層、電極、及び存在し得る他の層と併せて使用され得る。以下で記述又は参照される材料は、本明細書において開示されている化合物と組み合わせて有用となり得る材料の非限定的な例であり、当業者であれば、組み合わせて有用となり得る他の材料を特定するための文献を容易に閲覧することができる。
HIL/HTL:
【0101】
本発明の実施形態において使用される正孔注入/輸送材料は特に限定されず、その化合物が正孔注入/輸送材料として典型的に使用されるものである限り、任意の化合物を使用してよい。材料の例は、フタロシアニン又はポルフィリン誘導体;芳香族アミン誘導体;インドロカルバゾール誘導体;フッ化炭化水素を含有するポリマー;伝導性ドーパントを持つポリマー;PEDOT/PSS等の導電性ポリマー;ホスホン酸及びシラン誘導体等の化合物に由来する自己集合モノマー;MoO
x等の金属酸化物誘導体;1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル等のp型半導体有機化合物;金属錯体、並びに架橋性化合物を含むがこれらに限定されない。
【0102】
HIL又はHTL中に使用される芳香族アミン誘導体の例は、下記の一般構造を含むがこれらに限定されない。
【化47】
【0103】
Ar
1からAr
9のそれぞれは、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン等の芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン及びセレノフェノジピリジン等の芳香族複素環式化合物からなる群;並びに芳香族炭化水素環式基及び芳香族複素環式基から選択される同じ種類又は異なる種類の基である2から10個の環式構造単位からなる群から選択され、且つ、直接的に、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位及び脂肪族環式基の少なくとも1つを介して、互いに結合している。ここで、各Arは、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される置換基によって更に置換されている。
【0104】
1つ態様において、Ar
1からAr
9は、
【化48】
からなる群から独立に選択される。
式中、kは1から20までの整数であり;X
101からX
108はC(CHを含む)又はNであり;Z
101はNAr
1、O、又はSであり;Ar
1は、上記で定義したものと同じ基を有する。
【0105】
HIL又はHTL中に使用される金属錯体の例は、下記の一般式を含むがこれに限定されない。
【化49】
式中、Metは、40超の原子量を有することができる金属であり;(Y
101−Y
102)は二座配位子であり、Y
101及びY
102は、C、N、O、P及びSから独立に選択され;L
101は補助配位子であり;k’は、1から金属に付着し得る配位子の最大数までの整数値であり;且つ、k’+k’’は、金属に付着し得る配位子の最大数である。
【0106】
1つ態様において、(Y
101−Y
102)は2−フェニルピリジン誘導体である。
1つ態様において、(Y
101−Y
102)はカルベン配位子である。
1つ態様において、Metは、Ir、Pt、Os及びZnから選択される。
更なる態様において、金属錯体は、Fc
+/Fcカップルに対して、溶液中で約0.6V未満の最小酸化電位を有する。
ホスト:
【0107】
本発明の有機ELデバイスの発光層は、発光材料として少なくとも金属錯体を含むことが好ましく、前記金属錯体をドーパント材料として用いるホスト材料を含んでいてもよい。前記ホスト材料の例は、特に限定されず、ホストの三重項エネルギーがドーパントのものより大きい限り、任意の金属錯体又は有機化合物を使用してよい。下記の表において、各色を発光するデバイスに好ましいホスト材料が分類されているが、三重項の基準が満たされれば、いずれのホスト材料もいずれのドーパントと共に用いてもよい。
【0108】
ホスト材料として使用される金属錯体の例は、下記の一般式を有することが好ましい。
【化50】
式中、Metは金属であり;(Y
103−Y
104)は二座配位子であり、Y
103及びY
104は、C、N、O、P及びSから独立に選択され;L
101は他の配位子であり;k’は、1から金属に付着し得る配位子の最大数までの整数値であり;且つ、k’+k’’は、金属に付着し得る配位子の最大数である。
【0109】
1つ態様において、金属錯体は、下記の錯体である。
【化51】
式中、(O−N)は、原子O及びNに配位された金属を有する二座配位子である。
【0110】
1つ態様において、Metは、Ir及びPtから選択される。
更なる態様において、(Y
103−Y
104)はカルベン配位子である。
【0111】
ホスト材料として使用される有機化合物の例は、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン等の芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン及びセレノフェノジピリジン等の芳香族複素環式化合物からなる群;並びに芳香族炭化水素環式基及び芳香族複素環式基から選択される同じ種類又は異なる種類の基であり、且つ、直接的に、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位及び脂肪族環式基の少なくとも1つを介して互いに結合している2から10個の環式構造単位からなる群から選択される。各基は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される置換基によって更に置換されている。
【0112】
1つ態様において、ホスト化合物は、分子中に下記の群の少なくとも1つを含有する。
【化52】
式中、R
101からR
107は、独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。
kは0から20又は1から20までの整数であり;k’’’は、0から20までの整数である。
X
101からX
108はC(CHを含む)又はNから選択される。
Z
101及びZ
102はNR
101、O、又はSである。
HBL:
【0113】
正孔ブロッキング層(HBL)を使用して、発光層から出る正孔及び/又は励起子の数を低減させることができる。デバイスにおけるそのようなブロッキング層の存在は、ブロッキング層を欠く同様のデバイスと比較して大幅に高い効率をもたらし得る。また、ブロッキング層を使用して、発光をOLEDの所望の領域に制限することもできる。
【0114】
1つの態様において、前記HBL中に使用される前記化合物は、上述したホストとして使用されるものと同じ分子を含有する。
【0115】
1つの態様において、前記HBL中に使用される前記化合物は、分子中に下記の群の少なくとも1つを含有する。
【化53】
式中、kは1から20までの整数であり;L
101は他の配位子であり、k’は1から3までの整数である。
ETL:
【0116】
電子輸送層(ETL)は、電子を輸送することができる材料を含み得る。電子輸送層は、真性である(ドープされていない)か、又はドープされていてよい。ドーピングを使用して、伝導性を増強することができる。ETL材料の例は特に限定されず、電子を輸送するために典型的に使用されるものである限り、任意の金属錯体又は有機化合物を使用してよい。
【0117】
1つの態様において、前記ETL中に使用される前記化合物は、分子中に下記の群の少なくとも1つを含有する。
【化54】
式中、R
101は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。Ar
1からAr
3は、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。kは1から20までの整数である。X
101からX
108はC(CHを含む)又はNから選択される。
【0118】
1つの態様において、前記ETL中に使用される金属錯体は、下記の一般式を含有するがこれらに限定されない。
【化55】
式中、(O−N)又は(N−N)は、原子O、N又はN、Nに配位された金属を有する二座配位子であり;L
101は他の配位子であり;k’は、1から金属に付着し得る配位子の最大数までの整数値である。
【0119】
OLEDデバイスの各層中に使用される任意の上記で言及した化合物において、水素原子は、部分的に又は完全に重水素化されていてよい。故に、メチル、フェニル、ピリジル等であるがこれらに限定されない任意の具体的に挙げられている置換基は、それらの重水素化されていない、部分的に重水素化された、及び完全に重水素化されたバージョンを包含する。同様に、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール等であるがこれらに限定されない置換基のクラスは、それらの重水素化されていない、部分的に重水素化された、及び完全に重水素化されたバージョンも包含する。
【0120】
本明細書において開示されている材料に加えて且つ/又はそれらと組み合わせて、多くの正孔注入材料、正孔輸送材料、ホスト材料、ドーパント材料、励起子/正孔ブロッキング層材料、電子輸送及び電子注入材料がOLEDにおいて使用され得る。OLED中で本明細書において開示されている材料と組み合わせて使用され得る材料の非限定的な例を、以下の表Aに収載する。表Aは、材料の非限定的なクラス、各クラスについての化合物の非限定的な例、及び該材料を開示している参考文献を収載する。
【表A-1】
【表A-2】
【表A-3】
【表A-4】
【表A-5】
【表A-6】
【表A-7】
【表A-8】
【表A-9】
【表A-10】
【表A-11】
【表A-12】
【表A-13】
【表A-14】
【表A-15】
【表A-16】
【表A-17】
【表A-18】
【表A-19】
【表A-20】
【表A-21】
【表A-22】
実験
【0121】
分子内水素結合を含む本発明化合物の非限定的な例としては、以下の化合物が挙げられる。
【化56】
【0122】
これらの錯体は、スタティックな分子内水素結合を形成するために、窒素の不対電子の近傍にプロトンが位置するように設計されている。この相互作用の分光学的特徴は、77Kに対して室温溶液における異常な三重項発光青色シフトにも見ることができる。
【0123】
分子内水素結合事象に関するコンピューター上の証拠から、化合物7の最小化した配置を
図5に示す。分かり易くするために、配位子を2つ除いている。H
*が僅かに窒素の不対電子対の平面上方にあり、C−C−C−H2面角が31.6°、H
*−N間距離が2.15Åであることが分かる。何ら特定の理論に拘束されることを望むものではないが、イソプロピル基上のメチル置換基とAPBI上の環系との間の立体的反発により前記プロトンは非配位性窒素に近接するとの仮説が立てられる。この仮説は、メチル置換された化合物13(
図6)との比較によって支持され、ここでは、直接的なN−H
*相互作用が見られず、メチル基上のプロトンが、窒素の不対電子対から物理的に可能な範囲で最も離れた方向を向いている。
【化57】
この場合、C−C−C−H2面角が61.8°であり、N−H
*結合距離が2.52Åである。化合物8及び化合物9の最小化した配置は、化合物7と同様のN−H
*相互作用を示す。化合物8のC−C−C−H2面角及びN−H
*結合距離はそれぞれ、34.7°及び2.16Åである。以下は、前記C−C−C−H2面角を強調したものである。
【化58】
【0124】
非配位性窒素の不対電子対に対するスタティックな分子内水素結合の実験的証拠は、遊離配位子及びイリジウム錯体の双方の
1H NMRに見ることができる。例えば、化合物13の配位子のメチルプロトンは、CD
2Cl
2中3.26ppmに測定される。これに対して、
図7及び
図8に示されるように、化合物7及び8の配位子のH
*プロトンは、著しく低磁場シフトしており、それぞれ5.6ppm及び5.2ppmに観測される。錯体7のCD
2Cl
2及びDMSO−d
6中における
1H NMRスペクトル(
図9及び10にそれぞれ対応し、化学シフトは溶媒極性に関わらず5.9ppmである)に示されるように、イリジウム(III)に対するシクロメタル化後にも同様の低磁場シフトが観測される。この低磁場シフトは、水素結合による誘起されるプロトン脱遮蔽というよく理解されている現象の結果であり、分子間水素結合相互作用の指標である。
【0125】
また、化合物7、8、13及びその配位子、並びに比較例1〜8について、H
*の
1H NMR化学シフトを計算した。計算は、B3LYP/6−31g
* functional and basis setをガウシアンソフトウェアパッケージに用いて行った。計算された値は、実験値と非常に近い値である。計算されたH
*の化学シフトを、分子間H結合が形成されない比較例1〜8と比較することにより、分子間H結合の更なる証拠が見られる。これらのいずれの場合においても、C−H
*−−NアナログにおけるH
*のNMR化学シフトはいずれも、C−H
*−−Cアナログに比べて著しく低磁場シフトしており、その差は、1.4〜2.1ppm、即ちC−H
*−−Cアナログに対して37%〜50%である(表1)。
表1:H
*の化学シフトの実験値及び計算値
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0126】
H結合相互作用の更なる証拠が化合物7の発光スペクトルの特徴に見ることができる。
図11は、2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)溶媒中における室温及び77Kでの化合物7の発光スペクトルを示す。測定された他のIr(APBI)
3錯体のいずれとも異なり、室温での発光は77Kでの発光に比べて著しく青色シフトしていることが分かった。何ら特定の理論に拘束されることを望むものではないが、この青色シフトは、共有結合した環の電子密度を低下させて発光スペクトルを青色シフトさせる誘起性吸引効果によるものであるという仮説が立てられる。何ら特定の理論に拘束されることを望むものではないが、この効果が室温でより著しいという事実は、H原子とN原子との間の振動相互作用(この作用は、77Kでは凍結されている)を示唆している。比較目的のために、化合物13のスペクトルを
図12に示す。この化合物は、大部分のリン光錯体で典型なことであるが、77Kで分子の剛性が高くなっているので青色シフトを示す。
例示配位子及び錯体の合成
化合物7の合成:
【0127】
10−クロロベンゾ[h][1,6]ナフチリジン−5−アミンの合成:
【化59】
【0128】
3−クロロ−2−ヨードアニリン(9.60g、37.9mmol)、CyJohnPhos(0.506g、1.443mmol)及びPd(CH
3CN)
2Cl
2(0.187g、0.722mmol)の混合物を、ジオキサン(80ml)に溶解させた。トリエチルアミン(15.09ml、108mmol)及び4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(11.00ml、76 mmol)を、得られた溶液にシリンジを介して順次添加した。反応物を4時間還流した。反応物を室温に冷却し、2−クロロニコチノニトリル(5g、36.1mmol)、S−Phos Pd G2(0.520g、0.722mmol)、S−Phos(0.296g、0.722mmol)及び炭酸カリウム(9.97g、72.2mmol)の固体混合物を反応物に直接添加し、その後、ジオキサン(20ml)及び水(20ml)を添加し、反応物を85℃に一晩加熱した。ジオキサンを除去し、粗生成物をジクロロメタン(DCM)で抽出した。有機部分を蒸発させ油状生成物を得た。該生成物をTHF(80mL)に溶解させ、水素化ナトリウム(2.165g、54.1mmol)を0℃で直接添加し、25分間撹拌した。反応物を食塩水(約150mL)でクエンチした。THFを蒸発させた後、ヘキサンとジエチルエーテル(約1:2、全量約30mL)を得られた懸濁液に添加し、次いで、該懸濁液を約3分間撹拌した。固体をろ過で回収し、ジエチルエーテルで洗浄して、粗10−クロロベンゾ[h][1,6]ナフチリジン−5−アミンを得、これを更なる生成は行わずに次工程にそのまま用いた(60%収率)。
【0129】
5−クロロベンゾ[h]ベンゾ[4,5]イミダゾ[2,1−f][1,6]ナフチリジンの合成:
【化60】
【0130】
10−クロロベンゾ[h][1,6]ナフチリジン−5−アミン(3.11g、13.54mmol)、ジアセトキシパラジウム(0.152g、0.677mmol)、Xantphos(0.392g、0.677mmol)及び炭酸セシウム(17.65g、54.2mmol)の混合物に脱気と窒素充填とを数回行い、1,2−ジヨードベンゼン(1.947ml、14.90mmol)及びトルエン(70ml)を溶液に添加した。反応物を3時間還流した。生成物をシリカカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=20/1)で精製した。生成物をジエチルエーテルで洗浄した(52%収率)。
【0131】
5−(プロプ−1−エン−2−イル)ベンゾ[h]ベンゾ[4,5]イミダゾ[2,1−f][1,6]ナフチリジンの合成:
【化61】
【0132】
5−クロロベンゾ[h]ベンゾ[4,5]イミダゾ[2,1−f][1,6]ナフチリジン(1g、3.29mmol)、SPhos Pd G2(0.237g、0.329mmol)、SPhos(0.135g、0.329mmol)及び炭酸セシウム(0.536g、1.646mmol)の混合物に脱気と窒素充填とを数回行った。トルエン(45ml)、水(15ml)及び4,4,5,5−テトラメチル−2−(プロプ−1−エン−2−イル)−1,3,2−ジオキサボロラン(1.257ml、6.58mmol)を添加し、一晩加熱還流した。反応混合物をセライトに塗布し、シリカクロマトグラフィー(DCM/EtOAc/ヘプタン=6/1/2)を行った(50%収率)。
【0133】
5−イソプロピルベンゾ[h]ベンゾ[4,5]イミダゾ[2,1−f][1,6]ナフチリジンの合成:
【化62】
【0134】
5−(プロプ−1−エン−2−イル)ベンゾ[h]ベンゾ[4,5]イミダゾ[2,1−f][1,6]ナフチリジン(1.05g、3.39mmol)を酢酸エチル(60ml)に溶解させ、エタノール(50ml)及びパラジウム(0.361g、0.339mmol)を添加した。反応混合物に脱気と水素バルーンによる充填とを3回行い、室温で一晩撹拌した。反応物をセライトに通してろ過し、溶媒を蒸発させた。固体をジエチルエーテル及びヘキサン(約1:2)で洗浄して、純粋な生成物を得た(99%収率)。
【0136】
5−イソプロピルベンゾ[h]ベンゾ[4,5]イミダゾ[2,1−f][1,6]ナフチリジン(900mg、2.89mmol)、Ir(acac)
3(283mg、0.578mmol)及びペンタデカン(2mL)をシュレンク管中で合わせ、該管に脱気とN
2充填とを3回行った。管を2日間290℃に加熱した。粗生成物をアルミナ(100g、10%H
2Oで不活性化、DCM/Hep=3/2))カラムクロマトグラフィーで精製した。生成物をシリカゲルカラム(DCM)で更に精製して、化合物7を得た(15.4%)。
化合物8の合成:
【0137】
5−(シクロヘキセ−1−エン−1−イル)ベンゾ[h]ベンゾ[4,5]イミダゾ[2,1−f][1,6]ナフチリジンの合成:
【化64】
【0138】
5−クロロベンゾ[h]ベンゾ[4,5]イミダゾ[2,1−f][1,6]ナフチリジン(2.13g、7.01mmol)、SPhos Pd G2(0.505g、0.701mmol)、SPhos(0.288g、0.701mmol)及びリン酸カリウム一水和物(4.84g、21.04mmol)の混合物に脱気と窒素充填とを数回行った。トルエン(75ml)、水(25ml)及び2−(シクロヘキセ−1−エン−1−イル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(2.292ml、10.52mmol)を添加し、一晩加熱還流した。反応物をDCMと食塩水で抽出し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EA/Hep=1/3)で精製した(75%収率)。
【0139】
化合物8の配位子の合成:
【化65】
【0140】
5−(シクロヘキセ−1−エン−1−イル)ベンゾ[h]ベンゾ[4,5]イミダゾ[2,1−f][1,6]ナフチリジン(1.59g、4.55mmol)を酢酸エチル(90ml)に溶解させ、エタノール(70ml)及びパラジウム(0.484g、0.455mmol)を添加した。反応混合物に脱気と水素バルーンによる充填とを3回行い、室温で3日間撹拌した。反応物をセライトに通してろ過し、蒸発させた。生成物を、純粋なEAを用いるシリカカラムクロマトグラフィーで精製した(54%収率)。
【0142】
5−シクロヘキシルベンゾ[h]ベンゾ[4,5]イミダゾ[2,1−f][1,6]ナフチリジン(1g、2.85mmol)、Ir(acac)
3(279mg、0.569mmol)及びペンタデカン(4mL)の混合物をグローブボックス内の酸温浸ボンベ(acid digestion bomb)に添加し、砂浴中285℃で一晩加熱した。生成物をシリカカラムクロマトグラフィー(DCM)で精製した。生成物をMeOH及びジエチルエーテル中で粉砕し、濾過した(26%収率)。
比較例5の合成:
【0143】
1−クロロフェナントリジン−6−アミンの合成:
【化67】
【0144】
3−クロロ−2−ヨードアニリン(8.77g、34.6mmol)、CyJohnPhos(0.462g、1.319mmol)及びPd(CH
3CN)
2Cl
2(0.171g、0.659mmol)の混合物を、ジオキサン(80ml)に溶解させた。トリエチルアミン(13.78ml、99mmol)及び4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(10.04ml、69.2mmol)を、得られた溶液にシリンジを介して順次添加した。反応物を4時間還流した。反応物を室温に冷却し、2−ブロモベンゾニトリル(6g、33mmol)、S−Phos Pd G2(0.475g、0.659mmol)、S−Phos(0.271g、0.659mmol)及び炭酸カリウム(9.11g、65.9mmol)の固体混合物を反応混合物に直接添加し、その後、ジオキサン(20ml)及び水(20ml)を添加し、反応物を85℃に一晩加熱した。ジオキサンを除去し、粗生成物をジクロロメタン(DCM)で抽出した。有機部分を蒸発させ油状生成物を得た。該生成物をTHF(80mL)に溶解させ、水素化ナトリウム(1.978g、49.4mmol)を0℃で直接添加し、20分間撹拌した。反応物を食塩水(約150mL)でクエンチした。THFを蒸発させ、粗生成物をDCMと食塩水で抽出した。ジエチルエーテル及びヘキサン中で粉砕することにより、固体を回収した(52%収率)。
【化68】
【0145】
1−クロロフェナントリジン−6−アミン(3.93g、17.19mmol)、2−クロロアセトアルデヒド(4.68mL、34.4mmol)及び重炭酸ナトリウム(2.89g、34.4mmol)を合わせ、2時間還流した。反応混合物を、DCM中10%MeOH及び食塩水で抽出した。粗生成物をシリカカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=9/1)で精製した。生成物をジエチルエーテルとヘキサンで洗浄して、8−クロロイミダゾ[1,2−f]フェナントリジンを得た(78%)。
【0146】
比較例5の配位子の合成:
【化69】
【0147】
8−クロロイミダゾ[1,2−f]フェナントリジン(900mg、3.56mmol)及びSPhos Pd G2(128mg、0.178mmol)の混合物に脱気と窒素充填とを数回行った。THF(40ml)及びシクロヘキシル亜鉛(II)ブロミド(14.25ml、7.12mmol)を添加漏斗を介して添加し、室温で一晩撹拌した。反応物を水でクエンチし、DCMで抽出した。粗生成物にシリカクロマトグラフィー(EA)を行い、8−シクロヘキシルイミダゾ[1,2−f]フェナントリジン(80%収率)を得た。
【0149】
8−シクロヘキシルイミダゾ[1,2−f]フェナントリジン(180mg、5.99mmol)、Ir(acac)3(58.7mg、120mmol)及びトリデカン(0.8mL)を、グローブボックス内の酸分解ボンベ中で合わせ、砂浴中245℃で一晩加熱した。生成物をシリカカラムクロマトグラフィー(DCM)で精製した(60%収率)。
【0150】
本明細書において記述されている種々の実施形態は、単なる一例としてのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。例えば本明細書において記述されている材料及び構造の多くは、本発明の趣旨から逸脱することなくほかの材料及び構造に置き換えることができる。したがって、特許請求されているとおりの本発明は、当業者には明らかになるように、本発明において記述されている特定の例及び好ましい実施形態からの変形形態を含み得る。なぜ本発明が作用するかについての種々の理論は限定を意図するものではないことが理解される。
【0151】
本明細書に引用した全ての特許、特許出願、及び公報の開示内容全体を参照により本明細書に援用する。具体的な実施形態に参照しつつ本発明を開示したが、当業者であれば、本発明の真の精神及び範囲を逸脱せずに、本発明の他の実施形態及び変形例について想到できることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、そのような全ての実施形態及び等価な変形例を含むと解釈されることを意図している。