(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第二パネル設置工程では、前記複数の第一パネルの各々に組み込まれた前記スタッドと、前記複数の第二パネルの各々に組み込まれた前記スタッドとが、前記一方向に沿って千鳥状に位置するように、前記複数の第二パネルを前記躯体に固定する
ことを特徴とする請求項7または8に記載の間仕切り壁の施工方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
一実施形態の間仕切り壁Wの構造及び施工方法について、以下に説明する。
【0018】
図1〜
図3には、一実施形態の間仕切り壁Wを示している。間仕切り壁Wは、建物9の内部空間を仕切る壁である。
【0019】
本実施形態において、建物9は、複数の住戸92が水平方向に隣接する集合住宅である。間仕切り壁Wは、水平方向に隣接する住戸92間を仕切る界壁である。
【0020】
図2等に示すように、間仕切り壁Wは、複数(本実施形態では三つ)の第一パネル10を一方向D1に並べて形成された第一壁ブロック1と、複数(本実施形態では二つ)の第二パネル20を一方向D1に並べて形成された第二壁ブロック2とを備える。
【0021】
第一壁ブロック1と第二壁ブロック2とは、互いに裏表の位置にある。第一壁ブロック1と第二壁ブロック2が、互いの厚み方向に重ね合わさることで、間仕切り壁Wの主要部分が構成される。
【0022】
本文中では、第一壁ブロック1が組み立てられる側を、間仕切り壁Wの「表側」と称し、第二壁ブロック2が組み立てられる側を、間仕切り壁Wの「裏側」と称して説明する。
【0023】
間仕切り壁Wは、表側半部と裏側半部に区分される。言い換えれば、第一壁ブロック1で主要部が構成される表側半部と、第二壁ブロック2で主要部が構成される裏側半部とが組み合わさることで、間仕切り壁Wが形成される。
【0024】
間仕切り壁Wの表側半部は、第一壁ブロック1(つまり一方向D1に並んだ三つの第一パネル10)と、これの外壁91側に隣接するスタートパネル30とを含む。
【0025】
まず、スタートパネル30について説明する。
【0026】
図4A〜
図4Cには、スタートパネル30を示している。スタートパネル30は、スタッド31と吸音材32と枠材35があらかじめ一体に組み込まれたパネルであり、工場等で製造された後に、施工現場に搬送される。
【0027】
スタートパネル30は、縦に長い矩形状のパネルであり、縦方向に沿って一直線状に伸びる断面十字状のスタッド31を、一対備える。スタートパネル30は、横方向の両端部にそれぞれスタッド31を備える。
【0028】
また、スタートパネル30は、縦方向の両端部にそれぞれ枠材35を備える。一対のスタッド31と一対の枠材35が結合することで、スタートパネル30全体の枠が構成される。
【0029】
ロックウール等で構成される吸音材32は、横方向に距離をあけて互いに平行に位置する一対のスタッド31間に、取り付けられる。スタートパネル30の縦方向の端部(取付時に上端部となる部分)に位置する枠材35には、L字型の取付金具34が固定される。取付金具34は、スタートパネル30の端部から縦方向(取付時に上方向となる方向)に突出する突片341を有する。
【0030】
スタートパネル30の横方向の寸法は、第一パネル10や第二パネル20の横方向の寸法よりも小さい。本実施形態では、スタートパネル30の横方向の寸法は、後述する基本パネルP1の横方向の寸法の1/4程度であり、また、小型パネルP2の横方向の寸法の1/2程度である。
【0031】
次に、第一パネル10について説明する。
【0032】
第一壁ブロック1を形成するために用いられる三つの第一パネル10は、二つの基本パネルP1と、一つの小型パネルP2とで構成される。
【0033】
基本パネルP1と小型パネルP2をどのように組み合わせるかは、適宜に選択可能である。本実施形態では基本パネルP1と小型パネルP2を用いるが、小型パネルP2を用いないことや、あるいは基本パネルP1を用いないことも可能である。
【0034】
図5A〜
図5Cに示すように、第一壁ブロック1に用いられる基本パネルP1は、縦に長い矩形状のパネルであり、工場等で製造された後に、施工現場に搬送される。
【0035】
基本パネルP1は、縦方向に沿って一直線状に伸びる断面十字状のスタッド11を、一対備える。また、基本パネルP1は、縦方向の両端部にそれぞれ枠材15を備える。
【0036】
基本パネルP1は、横方向の一端部と中央部に、それぞれスタッド11を備える。横方向に距離をあけて互いに平行に位置する一対のスタッド11間に、ロックウール等の吸音材12が取り付けられる。また、基本パネルP1の中央部に位置するスタッド11と、基本パネルP1の横方向の他端部との間にも、ロックウール等の吸音材12が取り付けられる。
【0037】
基本パネルP1の一面側には、吸音材12の大部分を覆うように、下地材をなすボード13(石膏ボード)が貼り付けられる。ボード13の縦方向の長さは、スタッド11や吸音材12の縦方向の長さよりも短い。基本パネルP1においては、縦方向の一端側の領域(取付時に下部となる領域)を除いて、ボード13が貼り付けられる。基本パネルP1の一面側のうち、ボード13が貼り付けられない領域(取付時に下部となる領域)では、吸音材12の一部や枠材15が露出する。
【0038】
基本パネルP1の縦方向の端部(取付時に上端部となる部分)に位置する枠材15には、L字型の取付金具14が固定される。取付金具14は、基本パネルP1の縦方向の端部から縦方向(取付時に上方向となる方向)に突出する突片141を有する。
【0039】
図6A〜
図6Cに示すように、第一壁ブロック1に用いられる小型パネルP2は、縦に長い矩形状のパネルであり、工場等で製造された後に、施工現場に搬送される。
【0040】
以下において、小型パネルP2の構成のうち基本パネルP1と同様の構成には、同一符号を付す。小型パネルP2は、縦方向に沿って一直線状に伸びる断面十字状のスタッド11を、一つ備える。小型パネルP2の横方向の寸法は、基本パネルP1の横方向の寸法よりも小さく、本実施形態では半分程度である。
【0041】
小型パネルP2は、横方向の一端部にスタッド11を備える。このスタッド11と、小型パネルP2の横方向の他端部との間に、吸音材12が取り付けられる。
【0042】
小型パネルP2の一面側には、吸音材12の大部分を覆うように、下地材をなすボード13が貼り付けられる。ボード13の縦方向の長さは、スタッド11や吸音材12の縦方向の長さよりも短い。小型パネルP2においても、縦方向の一端側の領域を除いて、ボード13が貼り付けられる。小型パネルP2の一面側のうちボード13が貼り付けられない領域からは、吸音材12の一部や枠材15が露出する。
【0043】
なお、小型パネルP2にはボード13を貼り付けないことも可能である。この場合、施工現場において小型パネルP2を固定した後に、小型パネルP2に対して下地材をなすボードを貼り付ける。
【0044】
小型パネルP2の縦方向の端部に位置する枠材15には、L字型の取付金具14が固定される。取付金具14が有する突片141は、小型パネルP2の縦方向の端部から突出する。
【0045】
次に、第二パネル20について説明する。
【0046】
第二壁ブロック2を形成するために用いられる二つの第二パネル20は、二つの基本パネルP1で構成される。
【0047】
第二壁ブロック2に用いられる基本パネルP1は、第一壁ブロック1に用いられる基本パネルP1(
図5A−
図5C参照)と同様の構造である。第一壁ブロック1と第二壁ブロック2とで、基本パネルP1は共通化されており、工場等で一括して製造される。
【0048】
つまり、基本パネルP1で構成される第二パネル20は、縦に長い矩形状のパネルであり、縦方向に沿って一直線状に伸びる断面十字状のスタッド21を、一対備える。
【0049】
横方向に距離をあけて互いに平行に位置する一対のスタッド21間に、ロックウール等の吸音材22が取り付けられる。また、第二パネル20の中央部に位置するスタッド21と、第二パネル20の横方向の他端部との間にも、ロックウール等の吸音材22が取り付けられる。
【0050】
第二パネル20の一面側には、下地材をなすボード23(石膏ボード)が、吸音材22を覆うように貼り付けられる。ボード23の縦方向の長さは、スタッド21や吸音材22の縦方向の長さよりも短い。第二パネル20においては、縦方向の一端側の領域(取付時に下部となる領域)を除いて、ボード23が貼り付けられる。第二パネル20の一面側のうちボード23が貼り付けられない領域からは、吸音材22の一部や枠材25が露出する。
【0051】
第二パネル20の縦方向の端部には、L字型の取付金具24が固定される。取付金具24は、第二パネル20の縦方向の端部から突出する突片241を有する。
【0052】
第二壁ブロック2においても、基本パネルP1と小型パネルP2をどのように組み合わせるかは、適宜に選択可能である。小型パネルP2についても、第一壁ブロック1と第二壁ブロック2とで共通化される(
図6A−
図6C参照)。本実施形態では、複数の第二パネル20を基本パネルP1だけで構成したが、基本パネルP1と小型パネルP2で構成することや、小型パネルP2だけで構成することも可能である。
【0053】
以上、工場等であらかじめ製造するスタートパネル30、第一パネル10及び第二パネル20の構造について説明した。
【0054】
以下においては、スタートパネル30、第一パネル10及び第二パネル20を用いて、施工現場で間仕切り壁Wを施工する手順について、説明する。
【0055】
まず、
図7等に示すように、建物9の梁構造901に、梁下金具4を固定する。梁下金具4は、梁構造901の下面に固定される固定片41と、固定片41の幅方向(一方向D1及び上下方向と直交する方向)の両端から下方に伸びる一対の連結片42とを有し、下方に開口した金具である。
【0056】
また、
図8等に示すように、建物9の基礎902(布基礎)上に、複数の基礎金具5を一方向D1に距離をあけて固定し、これら複数の基礎金具5上に、目板材6を固定する。
【0057】
目板材6は、長板状の本体部61と、本体部61から下方に突出する複数の支持脚62とを有する。複数の支持脚62は、本体部61の幅方向(一方向D1及び上下方向と直交する方向)に、互いに距離をあけて平行に位置する。各支持脚62の下端が、基礎902に当接する。目板材6は、基礎902を挟んで位置する床パネル93間の隙間を埋めるように、基礎902上に支持される(
図3参照)。
【0058】
目板材6には、幅方向の一方の側の支持脚62の内面に当接または近接するように、ロックウール等の吸音材63が取り付けられる。目板材6が基礎902上に固定された状態で、両側の支持脚62間に基礎金具5が位置し、一方の側の支持脚62と基礎金具5との間に、吸音材63が位置する。
【0059】
さらに目板材6には、本体部61の幅方向の中央にスリット64が形成されている。スリット64は、本体部61の上面から下方に切欠いた形状を有する。平面視において、スリット64は一方向D1に沿って一直線状の形状を有する。スリット64は、上下に貫通する形状であるが、有底溝状に形成することも可能である。
【0060】
スリット64は、目板材6を通じて音が伝播されることを抑え、遮音性を高める効果を発揮する。また、スリット64は、間仕切り壁Wの表側半部が載置される領域と、間仕切り壁Wの裏側半部が載置される領域とを区切る目安となるため、施工性を高めるという効果を発揮する。
【0061】
次いで、スタートパネル30を、基礎902上の目板材6と、目板材6の上方に位置する梁下金具4との間に、設置する。この工程を「スタートパネル設置工程S0」と称する。
【0062】
スタートパネル設置工程S0では、スタートパネル30を、躯体90の最も外壁91側の箇所に、目板材6や梁下金具4を介して固定する(
図1、
図2等参照)。
【0063】
具体的には、スタートパネル30の上端部に設けた取付金具34の突片341(
図4A、
図4C等参照)を、梁下金具4の連結片42(
図7等参照)に当て、突片341と連結片42をビス等の固着具で固定することで、スタートパネル30の上端部を梁下金具4に固定する。
【0064】
また、スタートパネル30の下端部を目板材6の上面の表側部分に載せ、スタートパネル30が備える吸音材32の下端部を少し持ち上げた状態で、下側の枠材35に対してビス等の固着具を打ち込む。これにより、スタートパネル30の下端部を目板材6に固定する。
【0065】
スタートパネル30の上端部と下端部を躯体90側に固定したうえで、施工現場にて、スタートパネル30の一面側にボード36(
図1、
図2等参照)を貼り付ける。ボード36はスタートパネル30の下地材を構成する。
【0066】
次いで、複数の第一パネル10を、目板材6と梁下金具4との間に、順に設置していく。この工程を「第一パネル設置工程S1」と称する。
【0067】
第一パネル設置工程S1では、一番目の第一パネル10(基本パネルP1)をスタートパネル30と隣接する位置に設置し、その後に、二番目の第一パネル10(基本パネルP1)を、一番目の第一パネル10と隣接する位置に設置する。その後に、三番目の第一パネル10(小型パネルP2)を、二番目の第一パネル10と隣接する位置に設置する。
【0068】
つまり、最も外壁91側に位置するスタートパネル30から、一方向D1に沿って段々と外壁91から離れる方向に向かって、複数の第一パネル10を順に設置していく。
図2中の白抜き矢印R1は、パネル設置の順路の方向を示す矢印である。
【0069】
第一パネル10を設置する構造は、スタートパネル30を設置する構造と同様であり、第一パネル10の上端部に設けた取付金具14の突片141(
図4C、
図5C等参照)を、梁下金具4の連結片42に固定することで、第一パネル10の上端部を梁下金具4に固定する。また、第一パネル10の下端部を目板材6の上面の表側部分に載せ、第一パネル10が備える吸音材12の下端部を少し持ち上げた状態で、下側の枠材15に対してビス等の固着具を打ち込む。これにより、第一パネル10の下端部を目板材6に固定する。
【0070】
第一パネル10を固定した後に、第一パネル10の一面側の下部に、吸音材12の下部や下側の枠材15を隠すように、石膏ボードからなる第一の下部ボード16を貼り付ける(
図1、
図3参照)。この工程を、以下において「第一の貼付工程S11」と称する。
【0071】
第一の貼付工程S11で貼り付けられた第一の下部ボード16は、第一パネル10にあらかじめ固定されたボード13と面一に位置し、ボード13と共に第一パネル10の下地材を構成する。
【0072】
上記のように第一パネル10を設置して第一壁ブロック1を形成した後は、あらかじめ製造した第一パネル10を用いるのではなく、現場で位置を合わせながら単独のスタッド17を設置し、さらに下地材をなすボード19(石膏ボード)や吸音材を配置する等して、間仕切り壁Wの表側半部の残りの部分を、形成する。
【0073】
このように形成された間仕切り壁Wの表側半部には、さらに石膏ボード等で上貼りが施される。
【0074】
次いで、間仕切り壁Wの裏側半部を、順に形成する。
【0075】
ここで施工を順に行う方向は、表側で施工を行う方向とは逆方向(つまり外壁91に近づく方向)である。
図2中の白抜き矢印R2は、パネル設置の往路の方向を示す矢印である。
【0076】
まずは、あらかじめ製造した第二パネル20を用いるのではなく、現場で位置を合わせながら単独のスタッド27を設置し、さらに吸音材28や下地材をなすボード29(石膏ボード)を配置する等して、間仕切り壁Wの裏側のスタート部分を形成する。
【0077】
次いで、複数の第二パネル20を、目板材6と梁下金具4との間に、順に設置していく。この工程を「第二パネル設置工程S2」と称する。
【0078】
第二パネル設置工程S2では、一番目の第二パネル20(基本パネルP1)を、裏側のスタート部分と隣接する位置に設置し、その後に、二番目の第二パネル20(基本パネルP1)を、一番目の第二パネル20と隣接する位置に設置する。
【0079】
つまり、最も外壁91から離れて位置するスタート部分から、一方向D1に沿って段々と外壁91に近づく方向に、複数の第二パネル20を順に設置していく。
【0080】
このとき、第二パネル20に含まれる各スタッド21が、表側の第一壁ブロック1で一列に並んだ複数のスタッド11に対して千鳥状に位置するように、位置を合わせながら第二パネル20を配置していく。
【0081】
第二パネル20を設置する構造は、第一パネル10を設置する構造と同様である。つまり、第二パネル20の上端部に設けた取付金具24の突片241(
図4C、
図5C等参照)を、梁下金具4の連結片42に固定することで、第二パネル20の上端部を梁下金具4に固定する。また、第二パネル20の下端部を目板材6の上面の裏側部分に載せ、第二パネル20が備える吸音材22の下端部を少し持ち上げた状態で、下側の枠材25に対してビス等の固着具を打ち込む。これにより、第二パネル20の下端部を目板材6に固定する。
【0082】
第二パネル20を固定した後に、第二パネル20の一面側の下部には、吸音材22の一部や下側の枠材25を隠すように、石膏ボードからなる第二の下部ボード26(
図3参照)を貼り付ける。この工程を、以下において「第二の貼付工程S21」と称する。
【0083】
第二の貼付工程S21で貼り付けられた第二の下部ボード26は、第一パネル10にあらかじめ固定されたボード23と面一に位置し、ボード23と共に第二パネル20の下地材を構成する。
【0084】
上記のように第二パネル20を設置して第二壁ブロック2を形成した後は、あらかじめ製造された第二パネル20を用いるのではなく、現場で位置を合わせながら単独のスタッド27を設置し、さらに吸音材28や下地材をなすボード29を配置する等して、間仕切り壁Wの裏側半部の残りの部分を形成する。このスタッド27は、表側でスタートパネル30を設置する際に、スタートパネル30の裏側に設置しておくことも可能である。
【0085】
このように形成された間仕切り壁Wの裏側半部にも、さらに石膏ボード等で上貼りが施される。
【0086】
以上のように施工することで、遮音性の高い間仕切り壁Wが、施工の際に大きな負担を伴うことなく形成される。
【0087】
つまり、本実施形態の間仕切り壁Wでは、工場であらかじめ製造した各パネル10,20,30を用いて、現場で効率的に間仕切り壁Wを形成することができる。しかも、各パネル10,20,30は、それぞれが間仕切り壁Wの表側半部または裏側半部の一部を構成するものであり、一つ当たりの重量が抑えられることから、一人での取り付け作業が可能になるといったように、施工の負担が大幅に抑えられる。
【0088】
また、本実施形態の間仕切り壁Wでは、まず表側において第一パネル10を並べて固定した後に、裏側において、第一パネル10と位置をあわせて第二パネル20を固定していくことで、表側のスタッド11と裏側のスタッド21が千鳥状に配置される。すなわち、第一パネル10や第二パネル20を用いた簡単な施工で、スタッド11,21が千鳥状に配置された、遮音性の高い間仕切り壁Wが得られる。
【0089】
以上、添付図面に基づいて詳述したように、本実施形態の間仕切り壁Wは、第一の特徴として、建物9の躯体90に固定された第一壁ブロック1と、第一壁ブロック1とは裏表の位置で躯体90に固定され、第一壁ブロック1と共に間仕切り壁Wの主要部を構成する第二壁ブロック2とを具備する。
【0090】
第一壁ブロック1は、スタッド11と吸音材12が一体に組み込まれた複数の第一パネル10が、一方向D1に沿って並んだ構造を有する。第二壁ブロック2は、スタッド21と吸音材22が一体に組み込まれた複数の第二パネル20が、一方向D1に沿って並んだ構造を有する。
【0091】
したがって、本実施形態の間仕切り壁Wでは、工場等であらかじめ製造された第一パネル10と第二パネル20を施工現場まで搬送し、これらを施工現場で取り付ける作業で、遮音性の高い間仕切り壁Wが得られる。しかも、第一パネル10や第二パネル20は、それぞれが間仕切り壁Wの表側半部または裏側半部の一部を構成するもの(ハーフパネル)であるから、スタッド11,21や吸音材12,22を含むものの一つ当たりの重量が少なくて済み、施工の負担が大幅に抑えられる。
【0092】
また、本実施形態の間仕切り壁Wは、第二の特徴として、下記の構成を付加的に備える。
【0093】
本実施形態の間仕切り壁Wは、スタッド31と吸音材32が一体に組み込まれたスタートパネル30をさらに備える。スタートパネル30は、第一壁ブロック1よりも躯体90の外壁91側に固定され、一方向D1に沿って第一壁ブロック1と並んで位置する。
【0094】
したがって、本実施形態の間仕切り壁Wでは、工場等であらかじめ製造されたスタートパネル30をまず取り付け、これと一方向D1に並ぶように複数の第一パネル10を取り付けるといった作業で、間仕切り壁Wの表側半部を、効率的に組み立てることができる。
【0095】
また、本実施形態の間仕切り壁Wは、第三の特徴として、下記の構成を付加的に備える。
【0096】
本実施形態の間仕切り壁Wでは、複数の第一パネル10の各々に組み込まれたスタッド11と、複数の第二パネル20の各々に組み込まれたスタッド21とが、一方向D1に沿って千鳥状に位置する。
【0097】
したがって、本実施形態の間仕切り壁Wでは、あらかじめ製造された複数の第一パネル10と複数の第二パネル20を、施工現場で位置を合わせて取り付けるという作業で、千鳥状に位置するスタッド11,21の列が得られる。つまり、スタッド11,21が千鳥状に配置された遮音性の高い間仕切り壁Wを、簡単な作業で形成することができる。
【0098】
また、本実施形態の間仕切り壁Wは、第四の特徴として、下記の構成を付加的に備える。
【0099】
本実施形態の間仕切り壁Wにおいて、複数の第一パネル10と複数の第二パネル20の少なくとも一部は、一面側のうち下部を除いた領域に、ボード13,23が貼り付けられたパネルである。
【0100】
したがって、本実施形態の間仕切り壁Wでは、第一パネル10や第二パネル20を躯体90に固定する作業を、それぞれの開放された(ボード13,23で覆われない)下部に対してビス等の固着具を打ち込むという作業で行うことができ、その後に該下部を塞げばよいため、施工が効率化される。
【0101】
また、本実施形態の間仕切り壁Wは、第五の特徴として、下記の構成を付加的に備える。
【0102】
本実施形態の間仕切り壁Wにおいて、複数の第一パネル10と複数の第二パネル20はそれぞれ、躯体90の梁構造901に固定される取付金具14,24が、上端部に固定されたものである。
【0103】
したがって、本実施形態の間仕切り壁Wでは、第一パネル10や第二パネル20を躯体90に固定する際に、それぞれの上端部に設けた取付金具14,24を、梁下金具4を介して梁構造901に固定すればよく、施工が効率化される。
【0104】
また、本実施形態の間仕切り壁Wは、第六の特徴として、下記の構成を付加的に備える。
【0105】
本実施形態の間仕切り壁Wにおいて、建物9は、複数の住戸92が水平方向に隣接する集合住宅である。間仕切り壁Wは、複数の住戸92を仕切る界壁である。
【0106】
したがって、本実施形態の間仕切り壁W(界壁)によれば、隣接する住戸92間で音が伝播することを効果的に抑制することができ、しかも、施工の負担を少なくすることができる。
【0107】
また、本実施形態の間仕切り壁Wの施工方法(以下、単に「本実施形態の施工方法」と称する。)は、第一の特徴として、第一パネル設置工程S1と第二パネル設置工程S2を備える。
【0108】
第一パネル設置工程S1は、スタッド11と吸音材12が一体に組み込まれた複数の第一パネル10を用い、複数の第一パネル10を、一方向D1に並んだ状態で建物9の躯体90に固定することで、第一壁ブロック1を形成する工程である。
【0109】
第二パネル設置工程S2は、スタッド21と吸音材22が一体に組み込まれた複数の第二パネル20を用い、複数の第二パネル20を、一方向D1に並んだ状態で躯体90に固定することで、第一壁ブロック1とは裏表の位置に第二壁ブロック2を形成する工程である。本実施形態の施工方法では、第一壁ブロック1と第二壁ブロック2とで間仕切り壁Wの主要部を形成する。
【0110】
したがって、本実施形態の施工方法では、工場等であらかじめ製造された第一パネル10と第二パネル20を施工現場まで搬送し、これらを施工現場で裏表の位置に順次取り付ける作業によって、遮音性の高い間仕切り壁Wが得られる。しかも、第一パネル10や第二パネル20は、それぞれが間仕切り壁Wの表側半部または裏側半部の一部を構成するもの(ハーフパネル)であるから、一つ当たりの重量が少なくて済み、取り付け作業が一人で可能になるといったように、施工の負担が大幅に抑えられる。
【0111】
また、本実施形態の施工方法は、第二の特徴として、下記の構成を付加的に備える。
【0112】
本実施形態の施工方法は、スタッド31と吸音材32が一体に組み込まれたスタートパネル30を、躯体90に固定するスタートパネル設置工程S0をさらに含む。そして、スタートパネル設置工程S0で、スタートパネル30を躯体90に固定した後に、第一パネル設置工程S1で、一方向D1に沿ってスタートパネル30と並んで位置するように、複数の第一パネル10を躯体90に固定する。
【0113】
したがって、本実施形態の施工方法では、工場等であらかじめ製造されたスタートパネル30を躯体90に取り付け、これと一方向D1に並ぶように複数の第一パネル10を順次取り付けるといった作業で、間仕切り壁Wの表側半部を、効率的に組み立てることができる。
【0114】
また、本実施形態の施工方法は、第三の特徴として、下記の構成を付加的に備える。
【0115】
本実施形態の施工方法において、第二パネル設置工程S2では、複数の第一パネル10の各々に組み込まれたスタッド11と、複数の第二パネル20の各々に組み込まれたスタッド21とが、一方向D1に沿って千鳥状に位置するように、複数の第二パネル20を躯体90に固定する。
【0116】
したがって、本実施形態の施工方法では、あらかじめ製造された複数の第一パネル10と複数の第二パネル20を用い、複数の第一パネル10を取り付けた後に、これと位置を合わせて複数の第二パネル20を取り付けるという作業で、千鳥状に位置するスタッド11,21の列が得られる。つまり、スタッド11,21が千鳥状に配置された遮音性の高い間仕切り壁Wを、簡単な作業で形成することができる。
【0117】
また、本実施形態の施工方法は、第四の特徴として、下記の構成を付加的に備える。
【0118】
本実施形態の施工方法において、複数の第一パネル10と複数の第二パネル20の少なくとも一部は、一面側のうち下部を除いた部分を覆うように、ボード13,23が貼り付けられたパネルで構成される。本実施形態の施工方法は、躯体90に固定された前記パネルの下部を覆うように、前記パネルに下部ボード16,26を貼り付ける貼付工程S11,S21を、更に備える。
【0119】
したがって、本実施形態の施工方法では、第一パネル10や第二パネル20を躯体90に固定する作業を、それぞれの開放された(ボード13,23で覆われない)下部に対してビス等の固着具を打ち込むという作業で行うことができ、その後に該下部を下部ボード16,26で塞げばよいため、施工が効率化される。
【0120】
また、本実施形態の施工方法は、第五の特徴として、下記の構成を付加的に備える。
【0121】
本実施形態の施工方法において、複数の第一パネル10と複数の第二パネル20はそれぞれ、取付金具14,24が上端部に固定されたものである。第一パネル設置工程S1では、躯体90に固定された梁下金具4に対して、複数の第一パネル10のそれぞれの取付金具14が固定される。第二パネル設置工程S2では、梁下金具4に対して、複数の第二パネル20のそれぞれの取付金具24が固定される。
【0122】
したがって、本実施形態の施工方法では、第一パネル10や第二パネル20を躯体90に固定する際に、それぞれの上端部に設けた取付金具14,24を梁構造901に固定すればよく、施工が効率化される。
【0123】
また、本実施形態の施工方法は、第六の特徴として、下記の構成を付加的に備える。
【0124】
本実施形態の施工方法において、建物9は、複数の住戸92が水平方向に隣接する集合住宅である。間仕切り壁Wは、複数の住戸92を仕切る界壁である。
【0125】
したがって、本実施形態の施工方法では、隣接する住戸92間で音が伝播することを効果的に抑制することができ、しかも、施工の負担を少なくすることができる。
【0126】
以上、間仕切り壁の構造及び施工方法について説明したが、間仕切り壁の構造及び施工方法は前記した一実施形態に限定されず、適宜の設計変更を行うことが可能である。