特許第6684071号(P6684071)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684071
(24)【登録日】2020年3月31日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】フィルタ装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 27/08 20060101AFI20200413BHJP
   B01D 35/02 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   B01D27/08
   B01D35/02 E
【請求項の数】6
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-214491(P2015-214491)
(22)【出願日】2015年10月30日
(65)【公開番号】特開2017-42754(P2017-42754A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年10月2日
(31)【優先権主張番号】特願2015-169453(P2015-169453)
(32)【優先日】2015年8月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000178675
【氏名又は名称】ヤマシンフィルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】卓 明鋒
【審査官】 増田 健司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−105638(JP,A)
【文献】 特開2007−130631(JP,A)
【文献】 特開平7−155513(JP,A)
【文献】 特開平7−208292(JP,A)
【文献】 特開2011−62658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 27/08
B01D 35/02
B01D 35/30
C02F 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒形状の濾材と、前記濾材の内側に設けられた略円筒形状の内筒と、前記濾材の上端を覆うプレートであって、前記内筒の内部空間と連通する開口部を有するプレートと、を有するフィルタエレメントと、
前記フィルタエレメントが内部に設けられるフィルタケースであって、有底略円筒形状のケースと、前記ケースの開口端を覆うように設けられるヘッドであって、前記開口部に嵌合する略円筒形状の嵌合筒を有するヘッドと、を有するフィルタケースと、
を備え、
前記プレートには、閉状態と開状態との間で回転可能に設けられたカバーであって、前記閉状態では前記開口部を覆い、前記開状態では前記開口部を露出させるカバーが設けられ、
記ケースは、略円筒形状の第1側面の内周面に、前記開状態において前記カバーの外周部が挿入される溝が形成され、
記ケースと前記ヘッドとが取り付けられた状態では、前記カバーは前記開状態であり、かつ前記開口部に前記嵌合筒が嵌合されており、
記ケースと前記ヘッドとが取り付けられた状態から前記ケースと前記ヘッドとを分離して前記開口部と前記嵌合筒との嵌合を外すと、前記ケース及び前記フィルタエレメントが前記ヘッドから取り外される
ことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタ装置であって、
前記カバーは、略半円形状の第1カバーと、略半円形状の第2カバーと、前記第1カバー及び前記第2カバーの位置を固定するロック機構と、を有し、
前記第1カバー及び前記第2カバーは、それぞれ回転可能に設けられ、
前記第1カバー及び前記第2カバーが閉じた状態である前記閉状態では、前記第1カバー及び前記第2カバーの内側の直線部が当接して略円形状となり、
前記ロック機構は、前記第1カバー及び前記第2カバーを前記閉状態で固定する
ことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のフィルタ装置であって、
前記第1カバーには、第1把持部が形成され、
前記第2カバーには、第2把持部が形成され、
前記閉状態では、前記第1把持部と前記第2把持部とが隣接することを特徴とするフィルタ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のフィルタ装置であって、
前記第1側面の内周面には、第1ネジ部が形成され、
前記ヘッドは、前記嵌合筒の外側に形成された略円筒形状の第2側面を有し、
前記第2側面の外周面には、前記第1ネジ部と螺合する第2ネジ部が形成され、前記第2側面の内周面には、リブが形成され、
前記プレートには、軸受が形成され、
前記カバーは、前記閉状態で前記開口部を覆う板状部と、前記軸受に挿入される軸と、前記軸に設けられた当接部と、を有し、
前記当接部は、前記第1ネジ部と前記第2ネジ部とを螺合させて前記ケースと前記ヘッドとが所定位置まで近づくと、前記リブに当接し、
前記板状部は、前記当接部が前記リブに当接したまま前記第1ネジ部と前記第2ネジ部
との螺合量が増加すると、前記軸を中心に回転することを特徴とするフィルタ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のフィルタ装置であって、
前記リブは、前記ヘッドの中心軸と略平行方向に延設され、前記第2側面の内周面から最も突出している頂部が前記第2側面の内周面と略平行であり、前記頂部の両端に曲面が形成されていることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のフィルタ装置であって、
前記当接部は、略J字形状であり、
前記軸の外周部の第1の位置には、前記板状部の端部が固定され、
前記軸の外周部の前記第1の位置と略反対側の第2の位置には、前記当接部の前記略J字形状のうちの短い辺の先端が、前記略J字形状のうちの長い辺の先端が前記フィルタエレメントの径方向外側に向けて突出するように固定されることを特徴とするフィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、濾過すべき液が周壁部の内側と外側との間を移動することによって濾過されるフィルタエレメントと、フィルタエレメントを内側に収容するハウジングと、ハウジング内の液を排出するドレン装置と、を有する濾過装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−130631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、フィルタエレメント交換のためにヘッドからハウジングを外すと、ヘッドにフィルタエレメントが取り付けられたまま、ハウジングのみがヘッドから取り外される。そのため、フィルタエレメントを交換する時には、油が付着したフィルタエレメントを把持して、ヘッドからフィルタエレメントを取り外さなければならず、フィルタエレメントの交換が容易ではないという問題がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、フィルタエレメントを簡単に交換することができるフィルタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るフィルタ装置は、例えば、略円筒形状の濾材と、前記濾材の内側に設けられた略円筒形状の内筒と、前記濾材の上端を覆うプレートであって、前記内筒の内部空間と連通する開口部を有するプレートと、を有するフィルタエレメントと、前記フィルタエレメントが内部に設けられるフィルタケースであって、有底略円筒形状のケースと、前記ケースの開口端を覆うように設けられるヘッドであって、前記開口部に嵌合する略円筒形状の嵌合筒を有するヘッドと、を有するフィルタケースと、を備え、前記プレートには、閉状態と開状態との間で回転可能に設けられたカバーであって、前記閉状態では前記開口部を覆い、前記開状態では前記開口部を露出させるカバーが設けられ、前記ケースは、略円筒形状の第1側面の内周面に、前記開状態において前記カバーの外周部が挿入される溝が形成され、前記ケースと前記ヘッドとが取り付けられた状態では、前記カバーは前記開状態であり、かつ前記開口部に前記嵌合筒が嵌合されており、前記ケースと前記ヘッドとが取り付けられた状態から前記ケースと前記ヘッドとを分離して前記開口部と前記嵌合筒との嵌合を外すと、前記ケース及び前記フィルタエレメントが前記ヘッドから取り外されることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るフィルタ装置によれば、ケースとヘッドとが取り付けられた状態では、プレートに設けられたカバーは開状態であり、かつプレートの開口部にヘッドの嵌合筒が嵌合されている。ケースとヘッドとが取り付けられた状態からケースとヘッドとを分離すると、カバーの外周部がケースの溝に挿入されているため、ケース及びフィルタエレメントがヘッドから分離される。これにより、フィルタエレメントを簡単に交換することができる。また、フィルタエレメントの交換に必要なスペースを狭くすることができる。
【0008】
ここで、前記カバーは、略半円形状の第1カバーと、略半円形状の第2カバーと、前記第1カバー及び前記第2カバーの位置を固定するロック機構と、を有し、前記第1カバー及び前記第2カバーは、それぞれ回転可能に設けられ、前記第1カバー及び前記第2カバーが閉じた状態である前記閉状態では、前記第1カバー及び前記第2カバーの内側の直線部が当接して略円形状となり、前記ロック機構は、前記第1カバー及び前記第2カバーを前記閉状態で固定してもよい。これにより、フィルタエレメントの内部に塵埃が混入し、フィルタ装置から汚れた作動油が流出しないようにすることができる。
【0009】
ここで、前記第1カバーには、第1把持部が形成され、前記第2カバーには、第2把持部が形成され、前記閉状態では、前記第1把持部と前記第2把持部とが隣接してもよい。これにより、フィルタエレメントを片手で把持することができる。
【0010】
ここで、前記第1側面の内周面には、第1ネジ部が形成され、前記ヘッドは、前記嵌合筒の外側に形成された略円筒形状の第2側面を有し、前記第2側面の外周面には、前記第1ネジ部と螺合する第2ネジ部が形成され、前記第2側面の内周面には、リブが形成され、前記プレートには、軸受が形成され、前記カバーは、前記閉状態で前記開口部を覆う板状部と、前記軸受に挿入される軸と、前記軸に設けられた当接部と、を有し、前記当接部は、前記第1ネジ部と前記第2ネジ部とを螺合させて前記ケースと前記ヘッドとが所定位置まで近づくと、前記リブに当接し、前記板状部は、前記当接部が前記リブに当接したまま前記第1ネジ部と前記第2ネジ部との螺合量が増加すると、前記軸を中心に回転してもよい。これにより、ケースをヘッドに取り付けることで、カバーを自動的に開くことができる。したがって、フィルタエレメントの交換がより容易となる。
【0011】
ここで、前記リブは、前記ヘッドの中心軸と略平行方向に延設され、前記第2側面の内周面から最も突出している頂部が前記第2側面の内周面と略平行であり、前記頂部の両端に曲面が形成されていてもよい。頂部の両端に曲面が形成されているため、当接部はまず曲面に当接する。その結果、第1ネジ部と前記第2ネジ部との螺合量が増加して当接部の先端の位置及び角度が変化したとしても、当接部の先端が曲面上を滑らかに移動する。これにより、板状部を滑らかに回転させることができる。また、第1ネジ部と前記第2ネジ部との螺合量が増加すると、当接部の先端が曲面から頂部に移動するため、カバーを開状態で維持することができる。
【0012】
ここで、前記当接部は、略J字形状であり、前記軸の外周部の第1の位置には、前記板状部の端部が固定され、前記軸の外周部の前記第1の位置と略反対側の第2の位置には、前記当接部の前記略J字形状のうちの短い辺の先端が、前記略J字形状のうちの長い辺の先端が前記フィルタエレメントの径方向外側に向けて突出するように固定されてもよい。これにより、当接部の先端に加えられた力を用いて効率よくカバーを回転させることができる。また、当接部が弾性変形しやすいため、当接部を折れにくくすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、フィルタエレメントを簡単に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態であるフィルタ装置1の概略を示す斜視図である。
図2】フィルタ装置1の概略を示す斜視図であって、一部を断面表示した図である。
図3】フィルタ装置1の概略を示す断面図である。
図4】フィルタエレメント20の概略を示す斜視図である。
図5】カバー26が設けられたプレート25の概略を示す斜視図である。
図6】カバー26が設けられたプレート25の概略を示す断面図である。
図7】下方へ引き抜かれたケース11及びフィルタエレメント20の概略を示す図である。
図8図7に示す状態から、カバー26を閉じた状態を示す図である。
図9】フィルタ装置2の概略を示す斜視図であって、一部を断面表示した図である。
図10】ヘッド12Aを裏側(−z側)から見た斜視図である。
図11】フィルタエレメント20Aの概略を示す斜視図であり、カバー26Aが閉じた状態を示す。
図12】フィルタエレメント20Aの概略を示す斜視図であり、カバー26Aが開いた状態を示す。
図13】カバー26Aが設けられたプレート25の概略を示す断面図である。
図14】雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとの螺合を開始するときのフィルタ装置2の概略を示す断面図である。
図15図14のC−C断面図である。
図16図14に示す状態から、雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとの螺合量を増やしたときのフィルタ装置2の概略を示す断面図である。
図17】(A)は、図16のD−D断面図であり、(B)は(A)の(ア)部の拡大図である。
図18】(A)は、図17(A)に示す状態から、雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとの螺合量を増やしたときの状態を示す図であり、(B)は(A)における(イ)部の拡大図である。
図19】(A)は、外周部261aの端部が溝11bに当接したときの状態を示す図であり、(B)は(A)における(ウ)部の拡大図である。
図20】雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとの螺合し終わった状態におけるフィルタ装置2の概略を示す断面図である。
図21】(A)は、図20のE−E断面図であり、(B)は(A)における(エ)部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施形態であるフィルタ装置1の概略を示す斜視図である。図2は、フィルタ装置1の概略を示す斜視図であって、一部を断面表示した図である。図3は、フィルタ装置1の概略を示す断面図である(ただし、断面を示すハッチングを一部省略している)。
【0017】
フィルタ装置1は、主として、フィルタケース10と、フィルタエレメント20と、インジケータ30と、ドレン31と、バルブ32と、を有する。なお、インジケータ30、ドレン31及びバルブ32は、公知の技術を用いることができるため、詳細な説明を省略する。
【0018】
フィルタケース10は、主として、ケース11と、ヘッド12と、を有する。
【0019】
ケース11は、一端が略閉塞され、他端が開口する略有底円筒形状の部材であり、金属又は樹脂により形成される。ケース11の略円筒形状の側面11dには、内周面に雌ねじ部11aが形成される。ケース11の底面(下端)には、ドレン31(図2図3参照)が設けられる。なお、ドレン31を設けることは必須ではない。
【0020】
ケース11の上側(+z側)の開口端は、ヘッド12に取り付けられる。ヘッド12には、インジケータ30(図1参照)が設けられる。インジケータ30は、内部に設けられたリードスイッチ(図示せず)を用いてフィルタケース10内部の圧力差を測定し、測定結果をランプ(図示せず)の点灯・消灯によって表示する。なお、測定結果の表示は、ランプの点灯・消灯に限られず、例えば、表示部(例えば液晶パネル)に測定結果を表示するようにしてもよい。
【0021】
図2及び図3に示すように、ヘッド12は、略有底円筒形状の部材であり、金属により形成される。ヘッド12の開口端と、ケース11の開口端とが連結されることで、フィルタエレメント20が挿入される空間がフィルタケース10の内部に形成される。
【0022】
ヘッド12の側面は、底面から下側(−z側)に突出するように形成された略円筒形状の取付部121である。取付部121の外周面には、雄ねじ部121aが形成される。雄ねじ部121aを雌ねじ部11aに螺合させると、ヘッド12がケース11に取り付けられる。なお、ヘッド12は、底面が上側(+z側)に位置するように設けられる。
【0023】
ケース11とヘッド12との間には、シール部材41(例えば、Oリング)が設けられる。シール部材41により、ケース11とヘッド12との間から液体が外部に漏れないようにシールされる。
【0024】
ヘッド12は、取付部121の内側に、底面から下側(−z側)に突出するように形成された略円筒形状の嵌合筒122を有する。嵌合筒122は、取付部121の内側に形成される。嵌合筒122は、プレート25(後に詳述)の開口部250(後に詳述)に挿入される。
【0025】
ヘッド12の底面には、作動油をフィルタ装置1内部に流入させる流入部12a及び作動油をフィルタ装置1外部に流出させる流出部12bが形成される。
【0026】
流入部12aは、フィルタケース10の内部空間のうちのフィルタエレメント20の外側の空間と、フィルタケース10の外部空間とを連通する。本実施の形態では、フィルタケース10の内部空間のうちのフィルタエレメント20の外側の空間とは、取付部121と嵌合筒122との間の空間S1及びケース11の内部空間のうちのフィルタエレメント20の外側の空間S2に相当する。なお、本実施の形態では、流入部12aはヘッド12に形成されるが、作動油をフィルタ装置1内部に流入させる流入部はケース11に形成されていてもよい。
【0027】
流出部12bは、嵌合筒122の内部の空間S4及び内筒21の内部の空間S3と、フィルタケース10の外部空間とを連通する。
【0028】
ヘッド12の底面の、流入部12aと流出部12bとの間の壁面には、バルブ32が設けられる。バルブ32は、空間S1及び空間S2の圧力と、空間S3及び空間S4の圧力との差に応じて開閉する。
【0029】
図3に示すように、フィルタエレメント20は、主として、内筒21と、濾材22と、外筒23と、内筒21、濾材22及び外筒23の両端に設けられるプレート24、25と、カバー26と、を有する。
【0030】
内筒21は、耐腐食性の高い材料(本実施の形態では、樹脂)を用いて形成された略中空円筒形状の部材である。内筒21の全面には、作動油が通過する孔21aが多数形成される。
【0031】
濾材22は、径方向に厚みを有する略中空円筒形状である。濾材22は、合成樹脂や紙等を用いたシート状の濾紙をひだ折りにし、ひだ折りにした濾紙の両端を連結して円筒状に丸めることによって形成される。濾材22は、内筒21の外側に設けられる。
【0032】
図4は、フィルタエレメント20の概略を示す斜視図である。外筒23は、耐腐食性の高い材料(本実施の形態では、樹脂)を用いて形成された略中空円筒形状の部材である。外筒23の全面には、作動油が通過する孔23a(図2、3では図示を省略している)が多数形成される。外筒23は、内筒21及び濾材22の外側に設けられる。
【0033】
内筒21、濾材22及び外筒23の一方の端(下端)にはプレート24が設けられ、他方の端(上端)にはプレート25が設けられる。プレート24及びプレート25は、有底略円筒形状の部材であり、耐腐食性の高い材料(本実施の形態では、樹脂)を用いて形成される。
【0034】
図2及び図3に示すように、プレート24はケース11の内周面に当接する。なお、プレート24とケース11とが当接する位置は、図示された位置に限定されない。プレート24とケース11底面との隙間は、任意の広さに設定できる。
【0035】
プレート25は、内筒21の内部空間と連通する開口部250(後に詳述)を介してヘッド12に取り付けられる。プレート25には、カバー26が設けられる。図5は、カバー26が設けられたプレート25の概略を示す斜視図である。図6は、カバー26が設けられたプレート25の概略を示す断面図である。
【0036】
プレート25は、耐腐食性の高い材料(本実施の形態では、樹脂)を用いて形成される。図6に示すように、プレート25は、主として、第1のプレート251と、第2のプレート252と、を有する。第2のプレート252は、第1のプレート251の内側に嵌合する。第1のプレート251及び第2のプレート252には、略中央に内筒21の内側の空間(空間S3)と連通する開口部250が形成される。
【0037】
第1のプレート251は、主として、略円板形状の本体251aと、本体251aの内周面に沿って上方(+z方向)に突出する円筒部251bと、本体251aの外周面に沿って下方(−z方向)に突出する外周部251cと、を有する。円筒部251bには、開口部250の一部を構成する開口部250aが形成される。また、円筒部251bには、フランジ部251gが形成され、フランジ部251gには軸受251eが形成される。
【0038】
図3に示すように、本体251aの下側(−z側)の面には、濾材22が当接する。外周部251cの内周面は、外筒23を覆う。
【0039】
図6の説明に戻る。第2のプレート252は、主として、略円板形状の本体部252aと、本体部252aから上方(+z方向)に突出する略円筒形状の嵌合筒252bと、本体部252aから下方(−z方向)に突出する略円筒形状の円筒部252cと、を有する。嵌合筒252bの内周面は、開口部250の一部を構成する開口部250bである。
【0040】
本体部252aの外周部252dが、本体251aの内周部251dに嵌合することで、第2のプレート252が第1のプレート251の内側に設けられる。
【0041】
図3に示すように、円筒部252cは、内筒21の内側に挿入される。また、本体251aと嵌合筒252bの略中央に形成された開口部250には、ヘッド12の嵌合筒122が嵌合される。そのため、嵌合筒252bに嵌合筒122が挿入されると、内筒21の内部空間(空間S3)が嵌合筒122の内部空間(空間S4)と連通する。
【0042】
開口部250の開口部250aと開口部250bとの間には、シール部材42(例えば、Oリング)が設けられる。シール部材42により、プレート25と嵌合筒122との間から液体が外部に漏れないようにシールされる。
【0043】
図5及び図6の説明に戻る。プレート25の上側(+z側)には、略半円形状のカバー26が2つ設けられる。図5に示すように、プレート25には、2つのカバー26が対向して設けられる。2つのカバー26は、上(+z方向)から見たときに、開口部250の中心軸(フィルタエレメント20の中心軸A)を中心として点対の位置に設けられる。2つのカバー26は、それぞれ、開口部250を覆う閉状態(図5図8等参照)と、開口部250が露出される開状態(図2図3及び図7等参照)との間で回転可能に設けられる。
【0044】
カバー26は、主として、本体261と、軸262(図6参照、図5では視認不可)と、把持部263と、を有する。本体261は、略半円形状の板状の部品であり、耐腐食性の高い材料(本実施の形態では、樹脂)を用いて形成される。本体261は、円弧形状の外周部261aと、直線状の内側部261b(図2参照、図5では視認不可)と、を有する。外周部261aは、径方向外側に突出する突起261cを有する。本体261は、端から突出するように形成されたフランジ部261dを有する。なお、突起261c及びフランジ部261dの位置、大きさ等はこれに限定されない、
【0045】
図6に示すように、フランジ部261dから下方(−z方向)に突出するように、軸262が設けられる。軸262は、第1のプレート251のフランジ部251gに形成された軸受251eに挿入される。これにより、カバー26は、第1のプレート251に対して回転可能に設けられる。
【0046】
図5に示すように、把持部263は、上方(+z方向)に突出するように本体261に設けられる。把持部263は、作業者がフィルタエレメント20を把持するための部材であり、作業者の指をかけるための孔263aが形成される。把持部263は、内側部261bに沿って設けられる(図2参照)。
【0047】
把持部263には、内側部261bに沿って突出する凸部263bを有する。2個のカバー26が、それぞれの内側部261bが当接する状態(以下、閉状態という)にあるときには、2個の凸部263bが当接することで、カバー26同士が開かないように、カバー26の位置が固定される。このように、凸部263bは、カバー26を閉状態でロックするロック機構として機能する。カバー26が閉状態にあるときは、カバー26は全体として略円形状である。
【0048】
カバー26が開いた状態(以下、開状態という)では、図2に示すように、突起261cが、ケース11の内周面に形成された溝11bに挿入される。また、開状態において、フィルタ装置1等の振動によりカバー26が閉じる方向に回転した場合には、把持部263が嵌合筒122の外周に当接して、カバー26が開状態で維持される。
【0049】
次に、このように構成されたフィルタ装置1の作用について説明する。
まず、図3を用いて、フィルタ装置1の濾過機能について説明する。図3の矢印は、フィルタ装置1内部の作動油の流れを示す。
【0050】
作動油のうちの濾過すべき作動油L1は、流入部12aを通って空間S1に流入する。空間S1に流入した作動油L1は、ケース11とフィルタエレメント20との間の空間S2に流入する。
【0051】
その後、作動油L1は、外筒23、濾材22、内筒21を順番に通過して、内筒21の内部空間である空間S3へ流出する。作動油L1は濾材22で濾過される。空間S3へ流出した濾過された作動油L2は、空間S4及び流出部12bを通ってフィルタ装置1の外部へ排出される。
【0052】
フィルタ装置1の使用を継続すると、濾材22に塵埃が付着し、空間S1と空間S4との圧力差が大きくなる。空間S1と空間S4との圧力差がある閾値T1(閾値T1は、任意の値に設定可能である)以上となると、バルブ32が開いて作動油L1が空間S4に排出される。
【0053】
また、空間S1と空間S4との圧力差がある閾値T2(閾値T2は、任意の値に設定可能である。閾値T2は、閾値T1と同じでもよいし、異なっていてもよい。)以上となると、インジケータ30(図1参照)のランプの消灯と点灯とが切り替えられる。これにより、フィルタ装置1内の、空間S1と空間S4との圧力差が閾値T2以上となった、すなわちフィルタエレメント20の濾材22が目詰まりしていることが表示される。
【0054】
その後、ユーザーにより、フィルタエレメント20が交換される。フィルタエレメント20を交換するには、まず、ドレン31を開き、ケース11の内側とフィルタエレメント20の外側との間に溜まっている作動油L1を、ケース11底面の孔11cから排出する。次に、ケース11を回転させて、雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとの螺合を外してケース11とヘッド12とを分離する。すると、同時に、開口部250と嵌合筒122との嵌合も外れる。雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとの螺合が外れたら、ケース11を下方(−z方向)へ引き抜く。
【0055】
図7は、下方へ引き抜かれたケース11及びフィルタエレメント20の概略を示す図である。突起261cが溝11bに挿入されているため、ケース11を下方へ引き抜くと、ケース11及びフィルタエレメント20がヘッド12から取り外される。
【0056】
この時、把持部263が嵌合筒122の外周に当接しなくなるが、第1のプレート251に形成された突起251fにカバー26の内側部261bが当接することで、カバー26が開状態で維持される。
【0057】
ケース11及びフィルタエレメント20がヘッド12から取り外されたら、ケース11からフィルタエレメント20を取り外す。図8は、図7に示す状態(カバー26は開状態にある)から、カバー26を閉じた状態を示す図である。フィルタエレメント20を取り外すには、まず、2枚のカバー26を閉じて、2個の凸部263bを当接させて、カバー26を閉状態でロックする。なお、カバー26が閉状態にあるときには、突起251fは、カバー26の裏面に形成された凹部(図示省略)に挿入される。
【0058】
カバー26が閉状態にある場合には、2個の把持部263が直線状に並んで隣接する。したがって、ユーザーは、2個の孔263aのそれぞれに指を挿入することで、フィルタエレメント20を片手で把持することができる。そのため、フィルタエレメント20の交換が容易となる。
【0059】
ユーザーは、フィルタエレメント20を片手で把持したまま、使用済みのフィルタエレメント20をケース11から引き抜き、新しいフィルタエレメント20をケース11に挿入する。交換時にはカバー26が閉状態であるため、新しいフィルタエレメント20の内筒21の内周面等には、塵埃が混入しない。
【0060】
新しいフィルタエレメント20をケース11の内部に挿入したら、カバー26を閉状態から開状態にして、これらをヘッド12に取り付ける。具体的には、ケース11を回転させて雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとを螺合させることで、ケース11をヘッド12に取り付け、かつ開口部250と嵌合筒252bとを嵌合させてフィルタエレメント20をヘッド12に取り付ける。このようにして、新しいフィルタエレメント20がフィルタケース10の内部に取り付けられると、インジケータ30により、空間S1と空間S4との圧力差が閾値以下となったことが表示される。
【0061】
本実施の形態によれば、突起261cを溝11bに挿入することで、フィルタエレメント20の交換時にケース11とフィルタエレメント20を一緒にヘッド12から取り外すことができる。これにより、フィルタエレメント20の交換が容易となる。また、フィルタエレメント20の交換時に、フィルタエレメント20の外側に付着した作動油が垂れ落ちないようにすることができる。
【0062】
また、本実施の形態によれば、フィルタエレメント20の交換時にカバー26を閉状態とするため、フィルタエレメント20の内部に塵埃が混入することが防止できる。
【0063】
フィルタ装置1では、作動油L1が濾材22の外側から内側へ移動することにより、濾過された作動油L2が内筒21の内側に流出する。カバー26が設けられていない場合には、内筒21の内側に塵埃が混入するが、内筒21の内部は濾過後の作動油L2が通過するため、内筒21の内周面に付着した塵埃が濾過後の作動油L2に混入してしまうおそれがある。このように、カバー26が設けられていない場合には、フィルタ装置1から汚れた作動油が流出するおそれがある。
【0064】
それに対し、フィルタエレメント20にカバー26を設け、フィルタエレメント20の交換時にカバー26を閉状態とすることで、内筒21の内周面やケース11の底面に塵埃が混入することを防止し、これによりフィルタ装置1から汚れた作動油が流出しないようにすることができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、フィルタエレメント20の交換時に、フィルタエレメント20がケース11内に挿入されたままの状態でケース11がヘッド12から取り外されるため、フィルタエレメントの交換に必要なスペースを狭くすることができる。
【0066】
例えば、フィルタエレメント20がヘッド12と一体化されている場合には、フィルタエレメント20交換時にケース11をヘッド12から外すと、ヘッド12にフィルタエレメント20が取り付けられたまま、ケース11のみがヘッド12から取り外される。そのため、ケース11及びフィルタエレメント20の長さの合計以上の高さを有するスペースを、フィルタエレメント20の交換に必要なスペースとして油圧装置内に確保しなければならない。
【0067】
それに対し、フィルタエレメント20がケース11内に挿入された状態でケース11がヘッド12から取り外せるようにすれば、フィルタエレメント20の交換に必要なスペースは、雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとの螺合を外すだけのスペースで十分となる。したがって、フィルタエレメントの交換に必要なスペースを狭くすることができる。
【0068】
また、本実施の形態によれば、フィルタエレメント20の交換時に、隣接する把持部263の孔263aに指を挿入することで、ユーザーが、フィルタエレメント20を片手で把持することができる。そのため、フィルタエレメント20の交換が容易となる。
【0069】
例えば、フィルタエレメントにカバーが設けられておらず、把持部も設けられていない場合には、フィルタエレメントの交換時に、ユーザーがフィルタエレメントの本体部分や底面を、手全体を用いて把持しなくてはならない。また、フィルタエレメントの大きさによっては、ユーザーが両手でフィルタエレメントの本体部分を把持しなくてはならない。そのため、フィルタエレメントの交換時に、ユーザーの手、場合によっては両手ともが汚れてしまうおそれがある。
【0070】
それに対し、フィルタエレメント20が隣接する把持部263(孔263aを含む)を有する場合には、フィルタエレメント20の大きさ等によらず、ユーザーは片手でフィルタエレメント20を把持することができる。しかも、把持部263の孔263aに挿入する指以外は汚れずにすむ。したがって、フィルタエレメント20の交換が容易となる。
【0071】
なお、本実施の形態では、フィルタエレメント20の交換時にケース11とフィルタエレメント20を一緒にヘッド12から取り外すようにするため、突起261cを溝11bに挿入する構成としたが、突起261cを設けず、外周部261aを溝11bに挿入する構成としてもよい(第2の実施の形態参照)。
【0072】
また、本実施の形態では、カバー26が閉状態にあるときに、2個の把持部263が直線状に並んで隣接したが、2個の把持部263の位置はこれに限られない。例えば、カバー26が閉状態にあるときに、2個の把持部263及び2個の孔263aが重なるように隣接してもよい。この場合にも、ユーザーは、2個の孔263aに同じ指を挿入することで、フィルタエレメント20を片手で把持することができる。
【0073】
<第2の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態は、新しいフィルタエレメント20をケース11の内部に挿入し、ユーザーがカバー26を閉状態から開状態にしてからケース11をヘッド12に取り付けたが、カバーが自動的に閉状態から開状態になってもよい。
【0074】
本発明の第2の実施の形態は、カバーが自動的に閉状態から開状態になる形態である。以下、本発明の第2の実施の形態にかかるフィルタ装置2について説明する。以下、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0075】
図9は、フィルタ装置2の概略を示す斜視図であって、一部を断面表示した図である。フィルタ装置2は、主として、フィルタケース10Aと、フィルタエレメント20Aと、インジケータ30と、ドレン31と、バルブ32と、を有する。
【0076】
フィルタケース10は、主として、ケース11と、ヘッド12Aと、を有する。ヘッド12Aは、ヘッド12と同様、略有底円筒形状の部材であり、金属により形成される。ヘッド12とヘッド12Aとの差異は、ヘッド12Aがリブ123を有する点である。以下、リブ123について詳細に説明する。
【0077】
図10は、ヘッド12Aを裏側(−z側)から見た斜視図である。リブ123は、略円筒形状の取付部121の内周面に形成される。リブ123は、略90度毎に4箇所形成される。
【0078】
ただし、リブ123の位置及び数は図10に示す形態に限定されない。リブ123は、少なくとも、軸264(後に詳述)の位置及び数と同じ数(本実施の形態では、対向する位置に2つ)設けられていればよい。
【0079】
リブ123は、中心軸A(ヘッド12Aの中心軸Aとフィルタエレメント20Aの中心軸Aとは同一である)と略平行方向、すなわちz方向に沿って形成される。リブ123は、中心軸Aと直交する断面における形状が略矩形形状である。リブ123の、取付部121の内周面から最も突出している頂部が平坦面123aである。平坦面123aは、取付部121の内周面と略平行である。平坦面123aの両端には、曲面123bが形成される。なお、取付部121の直径に比べてリブ123の突出量は小さいため、平坦面123aは略平面といえる。
【0080】
図9の説明に戻る。フィルタエレメント20Aは、主として、内筒21(図9では図示せず)と、濾材22(図9では図示せず)と、外筒23と、プレート24、25と、カバー26Aと、を有する。図9においては、カバー26Aが開状態であり、カバー26Aの外周部261a(後に詳述)がケース11の溝11bに挿入されている。以下、カバー26Aについて詳細に説明する。
【0081】
図11は、カバー26Aが閉状態にあるときのフィルタエレメント20Aの概略を示す斜視図である。図12は、カバー26Aが開状態にあるときのフィルタエレメント20Aの概略を示す斜視図である。
【0082】
プレート25の上側(+z側)には、略半円形状のカバー26Aが2つ設けられる。2つのカバー26Aは、上(+z方向)から見たときに、中心軸Aを中心として点対象の位置に設けられる。2つのカバー26Aは、それぞれ、開口部250を覆う閉状態(図11参照)と、開口部250が露出される開状態(図12参照)との間で回転可能に設けられる。
【0083】
カバー26Aは、主として、板状部261Aと、軸264と、当接部265と、を有する。軸264には、本体261及び当接部265が設けられる。
【0084】
板状部261Aは、略半円形状の板状の部品であり、耐腐食性の高い材料(本実施の形態では、樹脂)を用いて形成される。板状部261Aは、主として、円弧形状の外周部261aと、直線状の内側部261b(図12参照)と、を有する。
【0085】
板状部261Aの外周部261aと内側部261bとが交差する領域を含む端部には、突起261eが形成される。突起261eの先端が、軸264に固定される。
【0086】
図13は、カバー26Aが設けられたプレート25の概略を示す断面図である。軸264は、中心軸Aと略平行方向に(z方向に沿って)延設される。軸264は、下端近傍が軸受251eに挿入される。これにより、カバー26Aは、第1のプレート251に対して回転可能に設けられる。
【0087】
軸264の上端近傍には、当接部265が設けられる。なお、図13では、右側の軸264に設けられた当接部265の図示を省略している。
【0088】
図11、12の説明に戻る。当接部265は、略J字形状の部材である。当接部265のJ字形状における短い辺の先端を先端265aとし、J字形状における略円弧形状の部分を底部265bとし、J字形状における長い辺の先端を先端265cとする。
【0089】
軸264には、先端265aが固定される。軸264の外周部における突起261eの先端が設けられる位置を位置Xとすると、先端265aは、軸264の中心線に沿った方向から見て位置Xと略反対側の位置Yに設けられる。なお、図11、12では、位置Xと位置Yとは軸264の中心を挟んで厳密に対向していないが、図11、12に示すように数度程度のずれを含む状態も略反対側に含まれる。
【0090】
また、当接部265は、外周部261aが突出する方向と略反対方向に底部265bが突出し、フィルタエレメント20Aの径方向外側に向けて先端265cが突出するように軸264に設けられる。なお、先端265cがフィルタエレメント20Aの径方向外側に向けて突出するのであれば、底部265bが突出する方向は図11、12に示す形態に限定されない。
【0091】
次に、このように構成されたフィルタ装置2の作用について説明する。フィルタ装置2の濾過機能は、フィルタ装置1の濾過機能と同一であるため説明を省略し、フィルタ装置2におけるフィルタエレメント20Aの交換方法について説明する。
【0092】
まず、フィルタエレメント20Aの取り外しについて、図9を用いて説明する。まず、ドレン31を開き、ケース11の内側とフィルタエレメント20Aの外側との間に溜まっている作動油を、ケース11底面の孔11cから排出する。次に、ケース11を回転させて、雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとの螺合を外してケース11とヘッド12Aとを分離し、開口部250と嵌合筒122との嵌合を外す。雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとの螺合が外れたら、ケース11を下方(−z方向)へ引き抜く。
【0093】
カバー26Aの外周部261aが溝11bに挿入されているため、ケース11を下方へ引き抜くと、ケース11及びフィルタエレメント20Aがヘッド12Aから取り外される。そして、ケース11からフィルタエレメント20Aを引き抜くと、フィルタエレメント20Aがケース11から取り外される。
【0094】
次に、新しいフィルタエレメント20Aをケース11に挿入し、これらをヘッド12に取り付ける。以下、新しいフィルタエレメント20Aの取り付けについて、図14図21を用いて詳細に説明する。
【0095】
新しいフィルタエレメント20Aをケース11の内部に挿入したら、これらをヘッド12Aに取り付ける。このとき、カバー26Aが閉状態であるため、新しいフィルタエレメント20Aの内部には塵埃が混入しない。なお、フィルタ装置2では、ケース11をヘッド12Aに取り付けることでカバー26Aが自動的に開くため、カバー26は閉状態のまま作業を開始する。
【0096】
図14は、雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとの螺合を開始するときのフィルタ装置2の概略を示す断面図である。図15は、図14のC−C断面図である。なお、図14では、断面を示すハッチングを一部省略している。また、図15では、説明のために要部のみを図示している。ケース11を回転させて(図14の矢印I参照)、雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとの螺合を開始する。雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとの螺合を開始してしばらくの間は、当接部265とリブ123とが当接しない。
【0097】
図16は、図14に示す状態から、雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとの螺合量を増やしたときのフィルタ装置2の概略を示す断面図である。図17(A)は、図16のD−D断面図であり、図17(B)は図17(A)の(ア)部の拡大図である。なお、図17では、説明のために要部のみを図示している。ケース11を回転させて(図16の矢印I参照)雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとの螺合量を増やすと、ケース11及びフィルタエレメント20Aがヘッド12Aに向かって移動する(図16の矢印II参照)。そして、ケース11とヘッド12Aとが所定位置まで近づくと、当接部265がリブ123に当接する。この時には、当接部265の先端265cがリブ123の曲面123bに当接する。
【0098】
図18(A)は、図17(A)に示す状態から、雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとの螺合量を増やしたときの状態を示す図であり、図18(B)は図18(A)の(イ)部の拡大図である。リブ123がz方向に沿って延設されているため、先端265cがリブ123に当接したままケース11を回転させて(図18(A)の矢印I参照)、雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとの螺合量を増やすと、当接部265がリブ123を押圧し続ける。そのため、当接部265には、ケース11の回転方向と反対向きの力が連続して加えられる(図18(A)、(B)の矢印III参照)。
【0099】
その結果、軸264を中心として、当接部265及び板状部261Aがケース11の回転方向と反対向きに回転する(図18(A)の矢印III、IV参照)。これにより、カバー26Aが閉状態から開状態へと移動する。
【0100】
ここで、軸264の外周部における位置Xに突起261eの先端が設けられ、また、外周部261aが突出する方向と反対方向に底部265bが突出し、フィルタエレメント20Aの径方向外側に向けて先端265cが突出するように、位置Yに先端265aが設けられる。したがって、先端265cに加えられた力により、効率よくカバー26Aを回転させることができる。
【0101】
カバー26Aが閉状態から開状態へと移動する間、先端265cは曲面123bに当接する。そのため、図17図18に示すように、カバー26Aが回転して先端265cの位置及び角度が変化したとしても、先端265cが曲面123b上を滑らかに移動する。その結果、軸264、すなわち板状部261Aは滑らかに回転する。
【0102】
板状部261A及び当接部265は、外周部261aの端部がケース11の内周面に形成された溝11bに当接するまで回転する。図19(A)は外周部261aの端部が溝11bに当接したときの状態を示す図であり、図19(B)は図19(A)の(ウ)部の拡大図である。外周部261aの端部が溝11bに当接したときには、先端265cは、曲面123bを通過して、平坦面123aに当接している。
【0103】
その後、ケース11を更に回転させると、雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとが螺合し終わる。図20は、雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとが螺合し終わった状態におけるフィルタ装置2の概略を示す断面図である。図21(A)は、図20のE−E断面図であり、図21(B)は図21(A)における(エ)部の拡大図である。なお、図20では、断面を示すハッチングを一部省略している。また、図21では、説明のために要部のみを図示している。図20に示すように、リブ123がz方向に沿って延設されているため、雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとが螺合し終わったときも、当接部265とリブ123とは当接したままである。
【0104】
図21に示すように、ケース11がヘッド12Aに取り付けられたときの先端265cの位置は、図19に示す状態と比較して、平坦面123aの中心線に近い位置にある。つまり、図19に示す状態から図21に示す状態に移行する間に、先端265cは平坦面123aに沿って移動している。
【0105】
ただし、平坦面123aは、ケース11の回転方向、すなわちケース11の側面や取付部121の内周面に略沿っているため、先端265cが平坦面123aに当接したまま雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとの螺合量が増加しても、当接部265が回転する方向に力が加えられず、板状部261A及び当接部265が軸264を中心に回転しない。したがって、カバー26Aは、開状態で維持される。
【0106】
ただし、先端265cが平坦面123aに当接している間、先端265cは、径方向内側に向けて押圧される。しかしながら、当接部265は略J字形状であるため、先端265cが径方向内側に向けて押圧されたとしても、当接部265は幅が狭くなる方向に弾性変形する。このように、当接部265を略J字形状とすることで、当接部265を折れにくくすることができる。
【0107】
また、当接部265は略J字形状である(すなわち、底部265bが曲面である)ため、当接部265は幅が狭くなる方向に弾性変形した場合にも、力が特定の箇所に集中しない。これにより、当接部265がより折れにくくなる。
【0108】
本実施の形態によれば、カバー26Aの外周部261aを溝11bに挿入することで、フィルタエレメント20Aの交換時にケース11とフィルタエレメント20Aを一緒にヘッド12Aから取り外すことができる。したがって、フィルタエレメント20Aの交換が容易となる。また、フィルタエレメント20Aの交換に必要なスペースを狭くすることができる。
【0109】
また、本実施の形態によれば、フィルタエレメント20Aにカバー26Aを設け、フィルタエレメント20Aがヘッド12Aに取り付ける前にはカバー26Aが閉状態であるため、ケース11の内部又はフィルタエレメント20Aの内部に塵埃が混入することが防止できる。
【0110】
また、本実施の形態では、フィルタエレメント20Aが内部に設けられたケース11をヘッド12Aに取り付けることで、カバー26Aを自動的に開くことができる。したがって、フィルタエレメント20Aの交換がより容易となる。
【0111】
また、本実施の形態では、当接部265が略J字形状であるため、当接部265を折れにくくすることができる。例えば、略矩形形状の当接部が径方向外側に突出する場合には、当接部が弾性変形しにくいため、フィルタエレメントの使用中やフィルタエレメントを取り外す時等に、当接部に意図しない力が加わり、当接部が破損するおそれがある。それに対し、当接部265を略J字形状とすることで、当接部265が弾性変形しやすくなり、これにより当接部265を折れにくくすることができる。
【0112】
なお、本実施の形態は、カバー26Aを自動的に開く機構(リブ123、軸264及び当接部265)を有したが、カバーの開閉を電気的に行ってもよい。例えば、雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとが当接したことを検出し、雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとが当接したらアクチュエータ等を用いてカバーの開状態とし、雌ねじ部11aと雄ねじ部121aとが当接しなくなったらアクチュエータ等を用いてカバーを閉状態としてもよい。
【0113】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成の追加、削除、置換等をすることが可能である。
【0114】
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、「略円筒形状」とは、厳密に円筒形状の場合には限られない。また、例えば、単に略中央等と表現する場合において、厳密に中央等の場合のみでなく、略中央等の場合を含むものとする。
【符号の説明】
【0115】
1、2 :フィルタ装置
10、10A:フィルタケース
11 :ケース
11a :雌ねじ部
11b :溝
12、12A:ヘッド
12a :流入部
12b :流出部
20、20A:フィルタエレメント
21 :内筒
21a :孔
22 :濾材
23 :外筒
23a :孔
24、25 :プレート
26、26A:カバー、
30 :インジケータ
31 :ドレン
32 :バルブ
41、42 :シール部材
121 :取付部
121a :雄ねじ部
122 :嵌合筒
123 :リブ
123a :平坦面
123b :曲面
250 :開口部
251 :第1のプレート
251a :本体
251b :円筒部
251c :外周部
251d :内周部
251e :軸受
251f :突起
251g :フランジ部
252 :第2のプレート
252a :本体部
252b :嵌合筒
252c :円筒部
252d :外周部
261 :本体
261A :板状部
261a :外周部
261b :内側部
261c :突起
261d :フランジ部
261e :突起
262 :軸
263 :把持部
263a :孔
263b :凸部
264 :軸
265 :当接部
265a :先端
265b :底部
265c :先端
図1
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