(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記磁性基体は、前記プランジャ受け口の端壁に形成される開口を貫通して設けられて、前記磁性基体が、前記プランジャ受け口の円筒側壁の凹状内面上に位置するようになっていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のリニアアクチュエータ。
更に、アクチュエータフレームを備え、前記アクチュエータフレームは、フレーム開口を備え、前記プランジャが前記プランジャ延出位置にあるとき、プランジャ末端部は、前記フレーム開口を貫通して延出し、前記磁性基体は、前記プランジャ受け口を、前記フレームに対して適当な位置に保持するように働くことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のリニアアクチュエータ。
前記係止ばねは、前記プランジャに連結される係止ばね第1端部と、係止ばね第2端部とを備え、前記係止ばね第2端部は、前記コイルが付勢されていないとき、前記プランジャを前記プランジャ延出位置に係止するように、また、前記コイルが付勢されると、前記磁性基体に引き付けられることによって、前記プランジャが前記プランジャ引込位置に移動することができるように配置されることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のリニアアクチュエータ。
戻しばねによって、前記プランジャを前記プランジャ延出位置に偏らせ、前記プランジャ受け口は、プランジャ受け口端壁を備え、前記戻しばねの第1の端部は、前記プランジャ受け口端壁に接触し、前記戻しばねの第2の端部は、前記プランジャに支えられ、前記プランジャ受け口端壁は、前記係止ばね第2端部に係合する掛止構造部を備えることを特徴とする、請求項7に記載のリニアアクチュエータ。
前記係止ばねは、前記プランジャ受け口に連結される係止ばね第1端部と、係止ばね第2端部とを備え、前記係止ばね第2端部は、前記プランジャ延出位置の前記プランジャと係合するように配置されることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のリニアアクチュエータ。
前記プランジャ受け口は、プランジャ受け口端壁を備え、前記プランジャに、プランジャ係止ばね掛止部が形成され、前記係止ばね第1端部は、前記プランジャ受け口端壁に連結され、前記係止ばね第2端部は、前記プランジャが前記プランジャ延出位置にあるとき、前記プランジャ係止ばね掛止部と係合するように配置されることを特徴とする、請求項12に記載のリニアアクチュエータ。
前記係止ばね第2端部及び前記プランジャは、前記係止ばね第2端部が、前記磁性基体に引き付けられて、前記プランジャの動きを解放した後、前記係止ばねが前記プランジャに引き付けられるような構成及び位置であることを特徴とする、請求項12に記載のリニアアクチュエータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、改良されたリニアアクチュエータが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明は、その一態様において、リニアアクチュエータを提供するものであり、前記リニアアクチュエータは、プランジャ受け口の内面によって少なくとも部分的に形成されるキャビティを備えるプランジャ受け口と、前記キャビティ内に少なくとも部分的に設けられて、プランジャ軸に沿って直線運動する磁性プランジャと、付勢時に磁界を発生させるためのコイルと、前記コイルが付勢されていないとき、前記プランジャをプランジャ延出位置に係止するような構成及び向きである係止ばねと、前記プランジャに対して半径方向に設けられる磁性基体とを備え、前記係止ばねは、前記コイルが付勢されると、前記磁性基体に引き付けられて、前記プランジャがプランジャ引込位置に移動することができるような構成及び配置である。
【0006】
前記コイルは、前記プランジャ受け口の外面の少なくとも一部の周りに巻き付けられることが好ましい。
【0007】
前記磁性基体は、前記プランジャ受け口の円筒側壁に形成される開口を貫通して設けられることが好ましい。
【0008】
前記磁性基体は、前記プランジャ受け口の端壁に形成される開口を貫通して設けられて、前記磁性基体が、前記プランジャ受け口の円筒側壁の凹状内面上に位置するようになっていることが好ましい。
【0009】
アクチュエータフレームが設けられ、前記アクチュエータフレームは、フレーム開口を有し、前記プランジャが前記プランジャ延出位置にあるとき、プランジャ末端部は、前記フレーム開口を貫通して延出し、前記磁性基体は、前記プランジャ受け口を、前記フレームに対して適当な位置に保持するように働くことが好ましい。
【0010】
前記アクチュエータフレームの一部は、前記磁性基体に固定されることが好ましい。
【0011】
前記磁性基体は、前記磁性基体と前記係止ばねとの間の残留磁気を低減させる量だけ、前記プランジャ受け口の内周の半径方向外側に設けられることが好ましい。
【0012】
前記係止ばねは、前記プランジャに連結される係止ばね第1端部と、係止ばね第2端部とを備え、前記係止ばね第2端部は、前記コイルが付勢されていないとき、前記プランジャを前記プランジャ延出位置に係止するように、また、前記コイルが付勢されると、前記磁性基体に引き付けられることによって、前記プランジャが前記プランジャ引込位置に移動することができるように配置されることが好ましい。
【0013】
戻しばねが、前記プランジャを前記プランジャ延出位置に偏らせるように配置されることが好ましい。
【0014】
戻しばねによって、前記プランジャを前記プランジャ延出位置に偏らせ、前記プランジャ受け口は、プランジャ受け口端壁を備え、前記戻しばねの第1の端部は、前記プランジャ受け口端壁に接触し、前記戻しばねの第2の端部は、前記プランジャに支えられ、前記プランジャ受け口端壁は、前記係止ばね第2端部に係合する掛止構造部を備えることが好ましい。
【0015】
前記掛止構造部は、前記係止ばね第2端部に係合するように配置される斜切面を備えることが好ましい。
【0016】
前記プランジャ受け口端壁は、開口を備え、前記係止ばね第2端部は、前記プランジャが前記プランジャ引込位置にあるとき、前記開口を貫通することが好ましい。
【0017】
前記係止ばねは、前記プランジャ受け口に連結される係止ばね第1端部と、係止ばね第2端部とを備え、前記係止ばね第2端部は、前記プランジャ延出位置の前記プランジャと係合するように配置されることが好ましい。
【0018】
前記プランジャ受け口は、プランジャ受け口端壁を備え、前記プランジャに、プランジャ係止ばね掛止部が形成され、前記係止ばね第1端部は、前記プランジャ受け口端壁に連結され、前記係止ばね第2端部は、前記プランジャが前記プランジャ延出位置にあるとき、前記プランジャ係止ばね掛止部と係合するように配置されることが好ましい。
【0019】
前記プランジャ係止ばね掛止部は、前記プランジャの非磁性部に形成されることが好ましい。
【0020】
前記係止ばね第2端部及び前記プランジャは、前記係止ばね第2端部が、前記磁性基体に引き付けられて、前記プランジャの動きを解放した後、前記係止ばねが前記プランジャに引き付けられるような構成及び位置であることが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで、添付図面の図を参照して、単なる例示として本発明の好ましい実施形態を説明する。図において、複数の図に現れる同一の構造体、要素又は部品は、一般に、それらが現れる全ての図において同じ符号で表記される。図内に示される構成部品及び構造部の寸法は、一般に、便宜のため及び提示の明確さのために選択されたものであり、必ずしも縮尺通りではない。
【0023】
図1〜
図8は、第1の例示的な実施形態によるリニアアクチュエータ20を示す。
図1は、プランジャ延出動作モード、すなわち、プランジャが延出位置にある状態のリニアアクチュエータ20を示す。
図1及び
図8に示すように、リニアアクチュエータ20は、プランジャ受け口22と、コイル24と、プランジャ26と、磁性基体28と、戻しばね30と、係止ばね32とを備える。プランジャ26は、コイル24に電力が印加されていないときのプランジャ延出位置(
図1に示す)と、コイル24に電力が印加されたときのプランジャ引込位置(
図3に示す)との間で、プランジャ軸34に沿って、延出したり、引っ込んだりする。プランジャ26、磁性基体28、及び係止ばね32は、強磁性である。
【0024】
プランジャ受け口22は、プランジャ軸34を本質的に中心とする円筒壁36を備える。円筒壁36は、外面及び内面を有する。円筒壁36の内面は、プランジャ26の一部が設けられるキャビティを形成する。
図8に示すように、プランジャ受け口22は、末端壁すなわち第1の端壁38と、基端壁部すなわち第2の端壁部39とを備える。末端壁38及び基端壁部39の両方の上部は、円筒壁36と本質的に同心状に湾曲している。しかしながら、末端壁38及び基端壁部39の両方の底部は、フレームの平坦面に位置するように、本質的に矩形状である。このように、末端壁38及び基端壁部39は、各々、「D」字形状で、この「D」の平坦な脚部に位置すると見ることができる。基端壁部39は、末端壁38よりも、軸34に沿った長さが大きい。基端壁部39は、基体28が嵌合することができる矩形状の大きな開口40を含むように、軸34に沿った寸法を有する。基端壁部39は、その上部に、半径方向に延在する複数のフランジを備える。基端壁部の1つのフランジ及び末端壁は、コイル24が巻き付けられる円筒壁36の部分を形成する。複数のフランジのうちの他のフランジは、コイル導線保持フランジ41である。
【0025】
プランジャ受け口22は、また、プランジャ受け口端壁42を備える。また、プランジャ受け口端壁42の内面は、プランジャ26の各部を収容するキャビティを、少なくとも部分的に形成することができる。プランジャ受け口端壁42の一部は、半径方向に、且つ、導線保持フランジ41に平行に延在して、プランジャ受け口端壁42と導線保持フランジ41との間に、コイル導線44が保持されるようになっている。コイル導線44は、電源(図示せず)に接続され、この電源は、例えば制御装置等によって、選択的に作動されて、コイル24に電力供給する。
【0026】
プランジャ受け口の円筒壁36、すなわち、プランジャ受け口の円筒壁36のコイル24が巻き付けられた部分は、ボビンと見なすこともできる。いくつかの実施形態では、プランジャ受け口円筒壁36及びプランジャ受け口端壁42は、一体化できるので、一体型のプランジャ受け口22を本質的に形成することができる。しかしながら、他の実施形態では、プランジャ受け口端壁42は、プランジャ受け口円筒壁36に連結される同一又は類似の材料の別体のものにすることができる。プランジャ受け口円筒壁36と、末端壁38と、基端壁部39とを備えるプランジャ受け口22は、ボビンと見なすことができ、これは、プランジャ受け口円筒壁36の周りに巻き付けられるコイル24と共に、コイルアセンブリと見なすこともできる。
【0027】
プランジャ受け口22は、そのプランジャ受け口端壁42の反対側で、プランジャ受け口キャップ45によって、部分的に密閉される。プランジャ受け口キャップ45は、プランジャ軸34を中心とするプランジャ受け口キャップネック46によって形成される中心開口を有する。プランジャ受け口キャップ45の内面とプランジャ26との間に、Oリング48又は他の弾性緩衝部材が位置する。プランジャ受け口キャップネック46は、アクチュエータフレーム50の開口を貫通して嵌合する。
図1の実施形態では、アクチュエータフレーム50は、本質的にL字形状に示されているが、所期の使用目的のための周囲構造に対するリニアアクチュエータ20の使用法及び設置法によっては、他の形状や構成も可能である。好ましい実施形態では、アクチュエータフレーム50は、効率を向上させるため、強磁性であることが好ましいが、他の実施形態では、非強磁性のフレーム50を用いることができる。
【0028】
図2で見ると、プランジャ受け口円筒壁36の下内面には、係止ばね溝51が形成されている。係止ばね溝51は、本質的に平坦な底部を備え、プランジャ受け口円筒壁36の本質的に全長分だけ、軸34に平行に延在する。係止ばね溝51は、係止ばね32を収容し、係止ばね32が係止ばね溝51内を摺動できるように構成される。係止ばね32を係止ばね溝51に配置及び位置決めすることによって、係止ばね32は、磁性基体28及び掛止構造部76と位置合わせされ(
図6参照)、また、プランジャ26の回転も制限される。
【0029】
プランジャ26は、プランジャ主部52及びプランジャ末端部54を備える。プランジャ26の少なくとも一部は、強磁性である。例えば、例示的な実施形態では、プランジャ26の少なくとも一部は、天然磁石(例えば、永久磁石)である。別の例示的な実施形態では、プランジャ26全体を磁性にすることができる。プランジャ主部52は、プランジャ受け口円筒壁36によって形成されるキャビティ内に本質的に閉じ込められ、プランジャ末端部54よりも大きい直径を有する。プランジャ末端部54の少なくとも一部は、プランジャ受け口キャップネック46と、アクチュエータフレーム50に設けられる開口とを貫通して延出する。アクチュエータフレーム50からのプランジャ末端部54の突出の程度は、プランジャ26が延出位置(
図1に示す)にあるか、引込位置(
図3に示す)にあるかによって決まる。引込位置では、動作要件にもよるが、プランジャ末端部54は、まずほとんど、アクチュエータフレーム50を貫通して延出することはないと考えられる。
【0030】
磁性基体28は、プランジャ26に対して半径方向に設けられる。換言すれば、磁性基体28は、プランジャ26の周面の外側に位置し、プランジャ26と軸方向に位置合わせされない。このように、磁性基体28には、プランジャ軸34に沿った部分は無い。また、
図1に示すように、「プランジャ26の周面の外側」とは、磁性基体28が、軸34に平行な方向において、プランジャ26の円筒側壁の仮想延長部の半径方向外側にあることを意味する。図示の実施形態では、磁性基体28は、プランジャ受け口端壁42付近だが、わずかに離間している円筒壁36の一部を貫通して、半径方向に設けられる。この実施形態では、磁性基体28は、本質的に矩形の角柱状であり、矩形状の開口40に嵌合するような大きさである。矩形状の開口40は、プランジャ受け口の基端壁部39の底面に設けられる。
【0031】
磁性基体28が開口40に挿入された後、プランジャ受け口の基端壁部39は、フレーム50によって下から支えられる。フレーム50は、磁性基体28のねじ穴と位置合わせされる穴を有する。フレーム50は、プランジャ受け口キャップ45の周りに嵌合し、基端壁部39の下に位置する。フレームの穴及び磁性基体28の穴が位置合わせされると、固締ねじ56のねじ付きシャンクは、ねじ穴に挿入され、締結される。固締ねじ56が磁性基体28のねじ穴に挿入されると、プランジャ受け口22は、キャップネック46によってフレーム50内に取り込まれ、フレーム50と磁性基体28との間に割り込まされる。例えば、
図8に示すように、アクチュエータフレーム50は、フレーム開口を備え、プランジャ26が延出位置にあるとき、プランジャ末端部54は、フレーム開口を貫通して延出し、磁性基体28は、プランジャ受け口22を、フレーム50の適当な位置(例えば、軸34に沿った軸方向の位置)に保持するように働く。このように、第1の実施形態では、アクチュエータフレームの一部が、固締ねじ56を介して、磁性基体28に固定されて、フレームをコイルアセンブリに固定する。
【0032】
戻しばね30は、プランジャ26を延出位置に偏らせるように配置される。戻しばね30は、圧縮コイルばねであることが好ましい。戻しばね30の第1の端部は、プランジャ受け口端壁42の内面に接触し、この内面によって保持される(且つ、この内面に連結することができる)。戻しばね30の第2の端部は、プランジャ26に支えられる。特に、戻しばね30の第2の端部は、戻しばね支持部材60に支えられる。戻しばね支持部材60は、プランジャ駆動ピン62の頭部の下に取り込まれる座金型構造である。プランジャ駆動ピン62は、プランジャ主部52の中心開口内に延在する軸である。このように、プランジャ駆動ピン62は、駆動ピンとプランジャの開口との締まり嵌めによって固定される。戻しばね支持部材60は、また、それ自身とプランジャ主部52との間に、係止ばね32の第1の端部すなわち基端、例えば、係止ばね基端64を固定するように働く。このように、戻しばね30は、プランジャ26をそのプランジャ延出位置に偏らせるように働くだけでなく、プランジャアセンブリ全体(プランジャ26、係止ばね32、戻しばね支持部材60、及び駆動ピン62を備える)に力を加えて、プランジャアセンブリ全体を延出位置に移動させるようにも働く。したがって、戻しばね30は、コイル24への電力を解除した後、軸34の方向に沿って、係止ばね32を(
図1に示すように)左方に移動させるように働くので、係止ばね32は、位置を回復して、その係止の役割を果たすことができる。
【0033】
係止ばね32は、コイル24に電力が印加されていないとき、プランジャ26をプランジャ延出位置に係止するような構成及び向きである。一方、係止ばね32は、コイル24に電力が印加されると、磁性基体28(例えば、係止ばね溝51内)に引き付けられることによって、プランジャ26が引込位置に移動することができるような構成及び向きでもある。本明細書では、係止ばね32のそれぞれ異なる実施形態及び構成を説明しているが、例えば、係止ばねの第2の端部によって、(コイル24の作動時に)プランジャ26が移動することができたり、或いは、(コイル24の非作動時に)プランジャの移動を制限したり、又は、プランジャの全移動を阻止する位置及び/又は方法において、係止ばね32の第1の端部が固定又は連結される位置のために、いくつかの実施形態は互いに異なる。
【0034】
図1〜
図8に示す第1の実施形態では、係止ばね32は、プランジャ26に連結される係止ばね第1端部64(基端)を有する。係止ばねの第2の端部すなわち末端(係止ばね末端66)は、コイル24に電力が印加されていないとき、プランジャ26を、
図1に示すプランジャ延出位置に係止するような向きである。一方、
図3に示すように、係止ばね末端66は、コイル24に電力が印加されると、磁性基体28(例えば、係止ばね溝51内)に引き付けられることによって、プランジャ26がそのプランジャ引込位置に移動することができるような向き及び構成である。
【0035】
図1で見て、
図4で拡大すると、側断面において、係止ばね32は、2つの直線部分を備えるように見えるが、その一方は、係止ばね基端64を備え、他方は、係止ばね末端66を備える。側断面において、係止ばね32のこれら2つの部分は、ほぼL字形状を呈して、係止ばね32を係止するように見える。係止ばね32の形状は、2つの部分の間の内角が、84°+3°/−0°程度であるという意味で、「ほぼL字形状」であると言う。磁界が加えられると、係止ばね32は、係止ばね末端66が中心線(例えば、軸34)と平行になるように偏向する。例えば、係止ばね32は、末端66が、プランジャ26の移動方向に対して本質的に平行になるように、2つの部分の間の内角が、少なくとも実質的に90°になるように偏向する。係止ばね末端66は、コイル24の作動時に係止ばね末端66が磁性基体28に引き付けられたとき、係止ばね末端66が、係止ばね基端64に対してより大きな内角、例えば、90度以上を呈することができる程度に弾性である。
【0036】
例示的な実施形態の係止ばね基端64の構成は、
図5に示すように、リニアアクチュエータ20の右端面図から分かる。
図5に示すように、係止ばね基端64は、円形状の中心部材70を備え、中心部材70は、同一平面内において、2つのほぼ半円状のアーム72によって取り囲まれ、アーム72を介して、中心部材70は、係止ばね末端66で終わる係止ばね32の部分に引き付けられる。アーム72の各々は、円弧状の間隙によって分離される2つの半円部分を備え、各アーム72の2つの部分のうち外側の部分は、内側の部分よりも、係止ばね基端64の軸方向の中心から更に半径方向の位置にある。中心部材70は、その周面で、半円アーム72の両方の内部の末端に連結される。半円アーム72の両方の内部は、中心部材70との取り付け部から最も遠くで、180度屈曲して、それぞれの半円アーム72の外部と結合する。各半円アーム72の外部の基端は、係止ばね末端66に連結される。
【0037】
一般に、片持ち梁(例えば、梁)のばね速度は、片持ち梁の長さの3乗に反比例する。
図5に示すような係止ばね32の構成は、係止ばね32の片持ち梁の長さを形成して、半円アーム72の半円状の内部及び半円状の外部の長さの合計になる。この構成の場合、係止ばね32のばね速度は、低速である。すなわち、偏向及び係止解除に必要な力は小さい。
【0038】
図1に示し、
図6により詳細に示すように、プランジャ受け口端壁42は、コイル24に電力が印加されていないとき、係止ばね末端66に係合する掛止構造部76を備える。掛止構造部76は、指片を備え、この指片は、プランジャ軸34の方向に沿って、プランジャ受け口端壁42から本質的に垂直に延在し、コイル24に電力が印加されていないとき、係止ばね末端66に係合する、すなわち、末端66に「引っ掛かる」斜切面を備える。掛止構造部76は、プランジャ受け口端壁42と一体でもよいし、プランジャ受け口に取り付けるなどして固定される別個の片持ち部材又は他の適当な部材でもよい。端壁42の開口74によって、係止ばねは、プランジャが引込位置に移動すると、端壁を自由に貫通して延出することができる。
【0039】
リニアアクチュエータ20’の第2の例示的な実施形態を、
図9A〜
図9B、
図10A〜
図10B、及び
図11A〜
図11Bに示す。リニアアクチュエータ20’は、
図1のアクチュエータ20と類似し、主に、係止ばね32’の取り付け及び向きが異なる。例えば、係止ばね32’は、プランジャ受け口22に連結される係止ばね第1端部すなわち基端64’と、係止ばね第2端部すなわち末端66’とを備える。
図9A、
図10A、及び
図11Aの側断面図から分かるように、係止ばね32’は、
図1の係止ばね32と類似する、本質的にL字形状の構成を有するが、軸34の方向に対して異なる向きである。係止ばね基端64’及び係止ばね末端66’は、両方とも弾性である。
【0040】
係止ばね基端64’は、軸34と直交する平面内に延在する。その直交面内において、係止ばね基端64’は、円形の中心開口を有する円形状を有することができる。係止ばね基端64’の円形の中心開口は、プランジャ受け口基端側壁24の内面に形成される又は取り付けられる中心ハブ80に嵌合される。中心ハブ80は、プランジャのキャビティ内に突出する。中心ハブ80は、その末端付近に、ばね取付リム81を備え、戻しばね30の一端が、ばね取付リム81に支えられる。ばね取付リム81とプランジャ受け口右側壁24の内面との中間に、中心ハブ80は、ハブ周溝82を備える。係止ばね基端64’の円形中心開口の内面は、中心ハブ80の周りに嵌合し、ハブ周溝82に引っ掛かる。
【0041】
第2の実施形態のアクチュエータ20’のプランジャ26は、プランジャ非磁性カラー84を備える。プランジャ非磁性カラー84は、中空円筒状である。プランジャ非磁性カラー84の中空中心は、戻しばね30の一端を収容することにより、プランジャ26の非作動端部を形成する。
図9B、
図10B、及び
図11Bの拡大図に示すように、プランジャ非磁性カラー84の外周面には、段差又は切欠きが形成されて、プランジャ係止ばね掛止部86が設けられる。プランジャ係止ばね掛止部86は、コイル24に電力が印加されていないとき、プランジャ26を、プランジャ延出位置(
図9A及び
図9Bに示す)に係止するような向きである。プランジャ26が、
図9A及び
図9Bに示すように、そのプランジャ延出位置にあるとき、係止ばね末端66’の先端は、係止ばねの弾性によって、偏り、プランジャ係止ばね掛止部86に係合することによって、プランジャ引込位置に向かうプランジャ26の軸方向の変位を制限する。
【0042】
コイル24に電力が印加されると、係止ばね32’は、磁性基体28に向かって引き付けられ、係止ばね溝51内に移動し、これによって、プランジャ26は、その全延出位置(
図9A及び
図9Bに示す)から、プランジャ半引込位置(
図10Aに概略的に示し、
図10Bにより詳細に示す)に移動し始めることができる。係止ばね32’が磁性基体28に引き付けられることによって、係止ばね末端66’の先端は、半径方向に変位して係止ばね溝51内に入るので、もはや、プランジャ係止ばね掛止部86に支えられなくなる。このように、係止ばね末端66’の構成及び向きは、コイル24に電力が印加されると、係止ばね末端66’が、磁性基体28(例えば、係止ばね溝51内)に引き付けられることによって、プランジャ26は、まず最初に、プランジャ半引込位置(
図10Aに概略的に示し、
図10Bにより詳細に示す)に移動することができるようになっている。
【0043】
コイル24に電力を印加し続けた状態では、プランジャ26が引っ込み続けて、プランジャ26の磁性部(プランジャ非磁性カラー84を除く)は、磁性基体28に半径方向に近接するようになる。このような連続的な引込状態では、係止ばね末端66’は、プランジャ26の磁性部の周面に引き付けられる。係止ばね32’が平坦で、プランジャ26が円筒の場合、プランジャ26と係止ばね32’との間の線接触しかなく、この線接触により、最小の摩擦しか生じない。しかしながら、位置の変化に伴って、プランジャ26の磁力は増加しているので、摩擦は、停止動作とは異なり、プランジャ26の速度を遅くするように作用しているに過ぎない。この現象の利点は、このような摩擦を用いて、保持力を大きくすることにより、全消費電力及び加熱の低減を実現することによって、利用される。
【0044】
プランジャ非磁性カラー84は、プランジャ係止ばね掛止部86を設置するように働くだけでなく、プランジャ26の最内端で磁束を減衰させて、プランジャ26の係止解除又は移動を行いたいとき、プランジャ26の磁力が、係止ばね32’に対する磁性基体28の引力を上回らないようにも働く。
【0045】
このように、プランジャ受け口22は、プランジャ受け口端壁42を備え、係止ばね第1端部64’は、プランジャ受け口端壁42に連結され、係止ばね第2端部66’は、コイル24に電力が印加されていないとき、プランジャ係止ばね掛止部86に接触する。プランジャ係止ばね掛止部86は、プランジャの非磁性部、例えば、プランジャ非磁性カラー84に形成されることが好ましい。係止ばね第2端部66’及びプランジャ26(プランジャ非磁性カラー84を含む)は、係止ばね第2端部66’が、基体に引き付けられて、プランジャの動きを解放した後(
図10A及び
図10Bに示す)、係止ばね32’の第2端部66’がプランジャ26に再び引き付けられて(
図11A及び
図11Bに示す)、引込位置の保持力を低減させるような構成及び位置である。
【0046】
このように、
図9A、
図9B、
図10A、
図10B、
図11A、及び
図11Bの第2の実施形態では、係止ばねの取り付け点及び向きが、
図1〜
図8の第1の実施形態の本質的に逆である。第2の実施形態では、プランジャ26から係止ばね32’への磁気的な引力がある場合でも、磁性基体28からの力はより大きくなり、係止ばね32’を係止ばね溝51内に移動させて、プランジャ26は引込位置に移動することができる。
【0047】
図12は、磁性基体28のプランジャに最も近い面は、プランジャ受け口円筒壁36の内面よりも、(軸34に対して)更に半径方向の位置にあることを、拡大して示す。すなわち、磁性基体28は、係止ばね溝51に対して本質的に「ほぼ同一平面(subflush)」であるか、又は、係止ばね溝51から半径方向に離間しており、コイル24が付勢されると(
図12では、コイル24が付勢されている)、係止ばね基端64は、係止ばね溝51内に引き込まれる。その結果、ばねと基体との境界面(例えば、係止ばね32と磁性基体28との境界面)には、残留磁気が存在せず、係止ばね32は、低摩擦係数材料(例えば、低摩擦係数のプラスチック材料)上に載るので、付勢力の低減に寄与する。すなわち、磁性基体28は、磁性基体28と係止ばね32との間の残留磁気を低減させる量だけ、プランジャ受け口円筒壁36の内周の半径方向外側に設けられる。また、コイル24に電力供給せずに、プランジャ26を移動させようとしても、係止ばね32の可撓部によって、プランジャ26は、係止ばね32にぶつかり、係止ばねの末端には、支柱として負荷がかかる。一方、従来技術が、電力低減を試みるためのばね速度を有していても、従来技術の支柱の強度が損なわれ、永久歪及び作用不良を引き起こす。換言すれば、従来技術が、そのばね速度を低下させても、ばね材料の方がはるかに薄いので、支柱強度の低下により座屈しやすくなる。
【0048】
このように、
図12では、
図1の第1の実施形態のリニアアクチュエータ20の引込状態のプランジャの動作の少なくとも一部と、第2の実施形態のリニアアクチュエータ20’の少なくとも半引込状態のプランジャの動作(例えば、
図10A及び
図10B参照)とを説明している。
【0049】
図13及び
図14は、リニアアクチュエータ20”の第3の例示的な実施形態を示す。前述の各実施形態のものと同様の第3の実施形態のリニアアクチュエータ20”の部材については、同様の符号で示す。
図13及び
図14のリニアアクチュエータ20”の係止ばね32は、第2の実施形態と同様の向き及び位置である。但し、第3の実施形態のリニアアクチュエータ20”の場合、磁性基体28”が、半径方向ではなく軸方向に挿入される。すなわち、第3の実施形態のリニアアクチュエータ20”では、磁性基体28”は、軸34に平行な方向に挿入されて、端壁開口74”を貫通する(
図14参照)。挿入後、磁性基体28”は、プランジャ受け口円筒壁36”の凹状内面90上に位置する。凹状内面90は、軸34に対して半径方向に位置しており、
図12を参照して上記で説明したのと同様に、第3の例示的な実施形態の磁性基体28”も、係止ばね溝51に対して本質的に「ほぼ同一平面(subflush)」であるか、又は、係止ばね溝51から半径方向に離間している。この点で、一例示的な実施例では、端壁開口74”は、凹状内面90と本質的に平行になることができる。別の例示的な実施例では、端壁開口74”は、軸34の上方又は軸34の半径方向近傍に位置して、磁性基体28”は、半径方向に沈下して、プランジャ受け口円筒壁36”の凹状内面90上に位置することができる。他の例示的な各実施形態の場合のように、磁性基体28”は、プランジャに対して半径方向に設けられる。更に、
図13及び
図14の第3の実施形態では、コイル24”は、均一な半径方向の厚さを有さない。なぜならば、プランジャ受け口円筒壁36”の凹状内面90を形成しているので、磁性基体28”の近傍の軸34に沿ったコイルの半径方向の厚さは、軸34の残りの部分に沿ったコイルの公称厚さよりも小さいからである。
【0050】
本明細書に開示した技術の係止ばね32によって、戻しばね30のばね速度の低速化、例えば、約0.2lb/inのばね速度の実現が容易になり、これは、
図15の従来技術の例の場合の約0.9lb/inのばね速度よりも低速である。このような低速のばね速度により、十分な支柱の剛性(すなわち、プランジャ軸34に沿った係止ばね32の末端の剛性)によって、プランジャ26をその延出位置に維持することができる。低速のばね速度の場合、かなり低い電力レベルで、係止ばね32が磁性基体28に引き付けられるので、戻しばね30は、プランジャ26を延出位置に戻すのに必要な程度だけ、プランジャ26を偏らせることができる。本明細書に開示した技術のリニアアクチュエータは、プランジャと基体との間の緩衝材又はダンパを必要としないので、このような緩衝材又はダンパを必要とせずに、低電力要件を実現することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、係止ばね32は、非磁性ボビン構造部、例えば、掛止構造部76によって、磁性基体28から分離されるので、いずれの摩擦抵抗も最小になる。磁性係止ばね32が磁性基体28に引き付けられ、また、磁力が指数関数的に大きくなるので、係止ばね32がプランジャ受け口22によって磁性基体28から分離されない場合、係止ばね32は、磁性基体28に対して高い法線力を有し、係止ばね32がプランジャ26と共に摺動するにつれて、高い摩擦力で、強磁性体同士が接触する。
【0052】
本明細書に開示した技術のリニアアクチュエータ20は、閉エアギャップ構造を用いない。その代わりに、磁性基体28が、プランジャ26に対して半径方向に設けられる。プランジャ26は、力が低下して動きが停止する点まで、半径方向に設けられた磁性基体28に磁気的に引き付けられる。したがって、本明細書に開示した技術の利点として、雑音低減があり、例えば、本明細書に開示した技術では、プランジャ26と磁性基体28との衝突がないので、衝突による雑音は無い。また、金属同士の接触が無い場合、残留磁気の問題は無い。また、力が低下するにつれて、磁気回路のため、プランジャアセンブリは、これ以外の場合ではバンパ又は緩衝材との衝突に伴う衝撃を最小限に抑えながら、ゆっくり停止される。
【0053】
戻しばね30はプランジャ26を戻しさえすればよいので、戻っているプランジャ26の衝突は最小限に抑えられる。戻しばねの力が小さいことによって、付勢力及び熱放散が低下する。したがって、係止ばね32を用いることによって、振動に強い係止が可能になり、半径方向に設けられた磁性基体28によって、必要な力レベルを低減し、金属同士の衝突による雑音を著しく除去することができる。
【0054】
このように、本明細書に開示した技術は、電力を印加せずに移動に抗して係止される、静かで、機械的衝撃に強く、2方向型で、低消費電力である、直線運動アクチュエータを供する。したがって、利点として、静かで、低電力で、熱をほとんど発生せず、機械的衝撃に強く、且つ、停電時に既知の位置に戻るという点でフェールセーフであるリニアアクチュエータである。
【0055】
上記の実施形態は単なる例示であり、請求項に定義する本発明の範囲から逸脱することなく、他の様々な修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
【0056】
例えば、アクチュエータフレーム50は、本質的に、開口・L字形状の構成を有するように示したが、フレーム50の他の構成は可能である。例えば、フレームは、アクチュエータが管状ソレノイドである場合、本質的に円筒状で、コイルアセンブリ(例えば、プランジャ受け口22)を封入することができる。別の例示的な実施形態では、フレーム50は、本質的に「D」字形状であり、フレームが、コイルアセンブリの上部及び底部を越えて延在することができる。
【0057】
少なくともいくつかの例示的な実施形態では、磁性基体28は、プランジャ26の周面の外側だけでなく、コイル24から(軸34に沿って)軸方向に離間して、プランジャ26を磁性基体28に引き付けることができる。他の構成も可能である。例えば、コイルアセンブリに段差を形成して、基体が突出して後端を貫通するためのポケットを設け、基体の少なくとも一部がコイルアセンブリ内部にあるようにすることができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、係止ばねは、プランジャ受け口に連結される一端を有するように示した。係止ばねは、他の構造すなわち中間構造を介して、プランジャ受け口に連結することができるので、「連結される」とは、必ずしも、プランジャ受け口に直接取り付けることではない。また、更に他の実施形態では、係止ばねは、プランジャ受け口以外の構造、例えば、フレーム又は磁性基体にも連結することができる。
【0059】
本出願の説明及び請求項において、動詞「備える(comprise)」、「含む(include)」、「含む(contain)」及び「有する(have)」、並びにその変形形態は、説明する要素又は特徴の存在を規定するために包括的な意味で使用され、追加の要素又は特徴の存在を排除するものではない。
【0060】
明確にするために別個の実施形態に関連して説明されている本発明の特定の特徴は、1つの実施形態において組み合わせて提供してもよいものと理解される。逆に、簡潔にするために1つの実施形態に関連して説明されている本発明の種々の特徴を、個別に又はそれらを適当に組み合わせて提供してもよい。