(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684089
(24)【登録日】2020年3月31日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20200413BHJP
【FI】
H02M3/155 S
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-247345(P2015-247345)
(22)【出願日】2015年12月18日
(65)【公開番号】特開2017-112791(P2017-112791A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000217491
【氏名又は名称】田淵電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167977
【弁理士】
【氏名又は名称】大友 昭男
(72)【発明者】
【氏名】加藤 久嗣
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雅喜
【審査官】
遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−225520(JP,A)
【文献】
特開平08−033324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00− 1/44
H02M 3/00− 3/44
H03K 17/00−17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力する直流電圧の直流電力を、ドライブ回路の駆動によって第1のバイポーラトランジスタをオン・オフ制御することにより、所定の出力電圧の直流電力を出力するスイッチング電源回路であって、
前記ドライブ回路は、
前記第1のバイポーラトランジスタの直流入力側と制御極との間に接続された第2のバイポーラトランジスタと、第2のバイポーラトランジスタの制御極と第1のバイポーラトランジスタの出力側との間に接続されたキャパシタとを有し、第1のバイポーラトランジスタがオフし始めたとき、前記出力側の電圧降下に応動して第2のバイポーラトランジスタの制御極に前記キャパシタの充電電流を流すことにより、第2のバイポーラトランジスタをオンして第1のバイポーラトランジスタを急速にスイッチオフさせる急速スイッチオフ制御回路と、
前記第2のバイポーラトランジスタのオン時に、第1のバイポーラトランジスタの制御極に負電圧を印加させて前記急速スイッチオフ制御回路により急速にスイッチオフさせた第1のバイポーラトランジスタのスイッチオフの速度をさらに速めるように、第1のバイポーラトランジスタの制御極の電圧を負側にずらして負電圧を含ませるよう動作する負電圧生成回路と、
を備えたスイッチング電源回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記スイッチング電源回路は降圧型チョッパを構成する、スイッチング電源回路。
【請求項3】
請求項1において、
前記スイッチング電源回路は、極性反転チョッパを構成する、スイッチング電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力する直流電圧の直流電力をバイポーラトランジスタにより所定の出力電圧の直流電力に変換するスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入力する直流電圧の直流電力を変換して所定の出力電圧の直流電力を得るに際しては、
図6に示すようなスイッチング電源装置が用いられている。同図には、直流入力電圧を所定の直流電圧に降圧する降圧型チョッパの回路構成を例示してあるが、直流入力電圧の極性を反転させて出力する極性反転型もある。
【0003】
図6において、直流入力電圧Viは、その脈流分をキャパシタC1により平滑化されて例えばPNP型のバイポーラトランジスタQ1に印加される。このトランジスタQ1は、制御回路50からの制御信号aを受けてオン・オフを繰り返し、直流入力電圧Viをチョッピングする。このトランジスタQ1がオンのときにリアクトルLに蓄えられるエネルギが、トランジスタQ1のオフのときにダイオードD1を通して放出され、かつリアクトルLと共に平滑フィルタを構成するキャパシタC2によって平滑化されて、その直流出力電圧Voが負荷(図示せず)に供給される。
【0004】
制御回路50からは、デューテイパルスからなる制御信号aが出力される。すなわち、制御信号aは、出力電圧Voの低下に応じてパルス幅が大きくなり、かつ出力電圧Voの上昇に応じてパルス幅が小さくなるよう調整され、この制御信号aにより、直流出力電圧Voがフィードバック制御される。その結果、直流出力電圧Voは、入力直流電圧Viの変動にかかわらず一定値になるよう制御される。
【0005】
このスイッチング電源装置では、従来から電力変換効率を向上させるために、トランジスタQ1のスイッチング速度を速めてスイッチング損失を低減することが要求されている。このため、トランジスタQ1のベース抵抗R1をオーバードライブやアンダードライブが生じない適切な定数に設定し、かつ、このベース抵抗R1の抵抗値r1とトランジスタQ1のベース・エミッタ間抵抗R3の抵抗値r3との比r3/r1をできる限り小さくして、トランジスタQ1がスイッチオフするのに要する時間の短縮化を図ることが知られている。
【0006】
しかし、上記の電力変換効率を改善する方法では、トランジスタQ1がオフし始めても、トランジスタQ1のベースに電荷が蓄積されているために、すぐには完全にオフとならないで、コレクタ電流IC が流れ続ける結果、トランジスタQ1が実際にオフするタイミングが遅れがちとなる。そのため、
図7に示すように、トランジスタQ1のコレクタ・エミッタ間電圧VCEとコレクタ電流ICとがゼロクロスしないで重なり、スイッチング損失が発生し、電力変換効率を十分に向上することができない。
【0007】
一方、電力変換効率を向上させるための技術として、本出願人による特許文献1が知られている。この技術は、第1のトランジスタQ1の直流入力側(エミッタ)と制御極(ベース)との間に接続された第2のトランジスタQ2と、トランジスタQ2の制御極(ベース)とトランジスタQ1の出力側(コレクタ)との間に接続されたキャパシタとを有し、トランジスタQ1がオフし始めたとき、出力側の電圧降下に応動してトランジスタQ2のベースにキャパシタの充電電流を流すことにより、トランジスタQ2をオンしてトランジスタQ1を急速にスイッチオフさせるものである。このトランジスタQ1の急速オフにより、トランジスタQ1のスイッチング損失の低減および電力変換効率の向上が図られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−33324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、近年さらなるスイッチング損失の低減および電力変換効率向上の要求があり、可及的にトランジスタのオフのスイッチング速度を速めてスイッチング損失を低減させ電力変換効率を向上させたスイッチング電源装置が要請されている。
【0010】
本発明は上記課題を解決して、バイポーラトランジスタのスイッチオフのスイッチング速度を可及的に速めてスイッチング損失を低減させ電力変換効率を向上させることができるスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るスイッチング電源回路は、入力する直流電圧の直流電力を、ドライブ回路の駆動によって第1のバイポーラトランジスタをオン・オフ制御することにより、所定の出力電圧の直流電力を出力するものである。
前記ドライブ回路は、
前記第1のバイポーラトランジスタの直流入力側と制御極との間に接続された第2のバイポーラトランジスタと、第2のバイポーラトランジスタの制御極と第1のバイポーラトランジスタの出力側との間に接続されたキャパシタとを有し、第1のバイポーラトランジスタがオフし始めたとき、前記出力側の電圧降下に応動して第2のバイポーラトランジスタの制御極に前記キャパシタの充電電流を流すことにより、第2のバイポーラトランジスタをオンして第1のバイポーラトランジスタを急速にスイッチオフさせる急速オフ制御回路と、
前記第2のバイポーラトランジスタのオン時に、第1のバイポーラトランジスタの制御極に負電圧を印加させて第1のバイポーラトランジスタのスイッチオフの速度を速めるように、第1のバイポーラトランジスタの制御極の電圧を負側にずらして負電圧を含ませるよう動作する負電圧生成回路とを備えている。
【0012】
この構成によれば、ドライブ回路の駆動により第1のバイポーラトランジスタがスイッチオフし始めて、その出力側の電位が直流入力側の電位に対し僅かに低下したときに、直流入力側から第2のバイポーラトランジスタの制御極を通じて充電電流が流れてキャパシタが充電されて、第2のバイポーラトランジスタが瞬間的にオンして第1のバイポーラトランジスタを急速にスイッチオフさせる。これとともに、第2のバイポーラトランジスタのオン時に、第1のバイポーラトランジスタの制御極の電圧を負側にずらして負電圧を含ませるよう、つまり負側に引くように動作してスイッチオフのスイッチング速度を速めるようにしている。したがって、第1のバイポーラトランジスタは即座にスイッチオフされるため、可及的にスイッチオフのスイッチング速度を速めてスイッチング損失を低減させ電力変換効率の向上を確保することができる。
【0013】
好ましくは、前記スイッチング電源回路は降圧型チョッパまたは極性反転チョッパを構成する。この場合、降圧型チョッパまたは極性反転チョッパについて、可及的にトランジスタのスイッチング速度を速めてスイッチング損失を低減させ電力変換効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、急速オフ制御回路によりバイポーラトランジスタを急速にスイッチオフさせるとともに、負電圧生成回路により当該スイッチオフのスイッチング速度をより速めているので、バイポーラトランジスタのスイッチオフのスイッチング速度を可及的に速めてスイッチング損失を低減させて電力変換効率の向上を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るスイッチング電源装置を示す回路構成図である。
【
図3】本発明のスイッチング電源装置の動作を示すタイムチャートである。
【
図4】同上におけるトランジスタの電流ICと電圧VCEの時間変化を示した特性図である。
【
図5】同上の直流入力電圧と電力変換効率との関係を示す特性図である。
【
図6】従来のスイッチング電源装置の一例を示す回路構成図である。
【
図7】従来におけるトランジスタの電流ICと電圧VCEの時間変化を示した特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は本発明に係るスイッチング電源装置を示す回路構成図である。同図において、
図6と同様に、バイポーラトランジスタQ1がオンのときにチョークLに蓄えられたエネルギをダイオードD1を通じて出力する降圧型チョッパであり、これと同一若しくは同等のものには同一の符号を付してある。
図6と相違する点はスイッチング電源装置を駆動するドライブ回路10を付設した構成にある。このドライブ回路10は、急速オフ制御回路3および負電圧生成回路5を備えており、制御部20により制御される。
【0017】
急速オフ制御回路3は、第1のバイポーラトランジスタQ1のエミッタ(直流入力側)Eとベース(制御極)Bとの間に接続された第2のバイポーラトランジスタQ2と、このトランジスタQ2のエミッタ(直流入力側)Eとベース(制御極)Bとの間に接続されたダイオードD2および抵抗R4の並列回路と、トランジスタQ2のベースBとトランジスタQ1のコレクタ(出力側)Cとの間に接続されたキャパシタC3および抵抗R5とを備えており、トランジスタQ2のオンによりトランジスタQ1を急速にスイッチオフさせる。第1のバイポーラトランジスタQ1および第2のバイポーラトランジスタQ2はともに、例えばPNP型のトランジスタである。
【0018】
入力電圧Viが高い場合、キャパシタC3に充電された電圧が、トランジスタQ1のオン時にトランジスタQ2のエミッタ・ベース間を逆バイアスするので、この場合、このエミッタ・ベース間電圧の定格をオーバーするおそれがある。このため、ダイオードD2によって、その順電圧降下によりトランジスタQ2のベース・エミッタ間に、定格をオーバーするような逆バイアスがかからないようにしてある。
【0019】
負電圧生成回路5は、トランジスタQ1を急速にスイッチオフさせるトランジスタQ2のオン時に、トランジスタQ1のベースBに負電圧を印加させてトランジスタQ1のスイッチオフの速度を速めるように、トランジスタQ1のベース電圧を負側にずらして負電圧を含ませるよう、つまり負側に引くように動作してスイッチオフのスイッチング速度を速めるようにしている。負電圧生成回路6は、例えば、ツェナーダイオードD3、抵抗R2およびキャパシタC4が並列に接続されてなり、制御信号aを出力する制御部20と、トランジスタQ1のベースBとの間に配置されている。
【0020】
なお、トランジスタQ1のオン時にキャパシタC4がツェナーダイオードD3のツェナー電圧まで充電されるように、トランジスタQ1のエミッタEとベースB間に抵抗R3が接続されている。
【0021】
図2は、
図1と同一の各構成要素の接続を代えて極性反転型に構成した変形例を示す。すなわち、
図2のスイッチング電源装置は、トランジスタQ1のオンのときにリアクトルLに蓄えられたエネルギを、
図1とは逆方向に接続したダイオードD1を通じて出力させることにより、出力端子に入力電圧とは逆極性の出力電圧を発生させるようになっている。
【0022】
つぎに、上記実施形態の動作について
図3を参照しながら説明する。
図1と
図2とは、共に急速オフ制御回路3および負電圧生成回路5を同様に接続してほぼ同様の動作を行うものであるから、ここでは、代表として、
図1の動作について説明する。
【0023】
図1の制御部20は、直流出力電圧Voを検知して、一定周期で発生するデューテイパルスのパルス幅が直流出力電圧Voの変動に応じて変化する制御信号aを出力する。トランジスタQ1は、制御信号aをベースBに受けてオン・オフを繰り返し、
図3(a)のように、コレクタ・エミッタ間電位VCE1を矩形状(方形波)に変化させる。
【0024】
図1のトランジスタQ1はPNP型であり、制御信号aがローレベルのときにオンして、
図3(a)のように、コレクタ・エミッタ間電位VCE1がオン電圧となって、出力側(コレクタ側)に
図3(b)に示すオン電流のコレクタ電流ICが流れ、
図3(d)に示すオン電圧の出力電圧VDが出力する。また、このトランジスタQ1のオン時には、
図3(c)のベース・エミッタ間電位VBE1も期間Aにおいてオン電圧を示す。このとき、キャパシタC4もVC4の方向に充電されている。
【0025】
制御信号aがハイレベルに立ち上がるとトランジスタQ1がオフし始めてオフとなるとき、
図3(a)の電位VCE1がオフ電圧の入力電圧Viとなって、
図3(b)のコレクタ電流ICがオフ電流の0A、
図3(d)の出力電圧VDがオフ電圧の0Vとなる。また、トランジスタQ1のオフ時には、
図3(c)の電位VBE1も期間Bにおいてオフ電圧0Vを示す。
【0026】
トランジスタQ1がオフし始めるとき、急速オフ回路3のキャパシタC3にかかる電圧はまだ0Vである。つづいて、トランジスタQ1の出力側電圧VDの電位が直流入力側(エミッタ側)の電位よりも僅かな値、たとえば、1Vだけ低下した瞬間にキャパシタC3に、電流が流れて充電される。この状態を
図3(f)のトランジスタQ2のコレクタ・エミッタ間電位VCE2に示す。この充電電流がトランジスタQ2のベースBおよび抵抗R4を流れることによって、
図3(f)のように、トランジスタQ2がオンする。このとき、充電電流は抵抗R5によって適当なレベルに抑制される。
【0027】
このトランジスタQ2のオン時に、キャパシタC4にかかる電圧VC4によりトランジスタQ1の電位VBE1は逆バイアスされることにより、
図3(c)のオフ期間Bのうちオフし始めの期間Cにおいて、急速にスイッチオフされるとともに、トランジスタQ1のベースBに蓄積された電荷が急速に放電され、オフ電圧の0Vよりもさらに負側に引かれて、電位VBE1は負電圧となる。
図3(e)のように、トランジスタQ2のベース電流IBは、トランジスタQ1がオンし始めるとき負電流が流れ、オフし始めるとき正電流が流れる。こうして、トランジスタQ1がオフし始めるときに、トランジスタQ1のベース電圧が負側に引かれることによってトランジスタQ1のスイッチオフのスイッチング速度を速めることができる。
【0028】
従来では、上述したとおり、
図7のように、トランジスタQ1のオフ時に、そのオフのタイミングの遅れにより、トランジスタQ1のコレクタ・エミッタ間電圧VCEとコレクタ電流ICとがゼロクロスしないで重なるため、大きなスイッチング損失が発生していた。
【0029】
これに対し、本発明では、急速オフ制御回路3により、トランジスタQ1がスイッチオフし始めたとき、コレクタ側(出力側)の電位がエミッタ側(直流入力側)の電位よりも僅かに低下した瞬間にキャパシタC3に充電電流が瞬間的に流れて、トランジスタQ2がオンして、トランジスタQ1が逆バイアスされ、第1のトランジスタQ1を急速にスイッチオフさせてスイッチング速度が速められる。さらに、負電圧生成回路5により、トランジスタQ1のベース電圧が負電圧に引かれて、よりスイッチング速度が速められる。その結果、トランジスタQ1がスイッチオフし始めてコレクタ・エミッタ間電圧VCEが上昇(出力側の電位が下降)し始めた瞬間に、コレクタ電流ICがゼロレベルに低下して、
図4のように、IC、VCEともにより垂直状に変化してゼロクロスする。
【0030】
こうして、本発明では、急速オフ制御回路3と負電圧生成回路5とが相俟って、トランジスタQ1のコレクタ・エミッタ間電圧VCEとコレクタ電流ICとは、重なりが極めて少なくなるので、スイッチング損失が可及的に小さくなる。
【0031】
トランジスタQ2がオンし始めた後、オン時にはキャパシタC3にかかる電圧が上昇するので、トランジスタQ2はオフされる。また、トランジスタQ1のオン時に、キャパシタC3に充電された電荷は、ダイオードD2と抵抗R4、トランジスタQ1、抵抗R5、キャパシタC3のループで放電されて、次の充電に備えられる。
【0032】
図5の直流入力電圧(横軸)に対する電力変換効率(たて軸)の特性図から明らかなように、本発明は、従来に比べて、入力電圧の増加に対する電力変換効率の下がり方が緩やかであり、全体として電力変換効率がかなり高くなっている。
【0033】
これにより、本発明は、ドライブ回路の駆動により第1のバイポーラトランジスタがオフし始めて出力側の電位が直流入力側の電位に対し僅かに低下したときに、直流入力側から第2のバイポーラトランジスタの制御極を通じて充電電流が流れてキャパシタが充電されて、第2のバイポーラトランジスタが瞬間的にオンして第1のバイポーラトランジスタを急速にスイッチオフさせる。これとともに、第2のバイポーラトランジスタのオン時に、第1のバイポーラトランジスタの制御極の電圧を負側にずらして負電圧を含ませるよう、つまり負側に引くように動作してスイッチオフのスイッチング速度を速めるようにしている。したがって、第1のバイポーラトランジスタは即座にスイッチオフされるため、可及的にスイッチオフのスイッチング速度を速めてスイッチング損失を低減させ電力変換効率の向上を確保することができる。
【0034】
以上のとおり図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。したがって、そのような変更および修正は、添付の請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【符号の説明】
【0035】
3:急速オフ制御部
5:負電圧生成部
10:ドライブ回路
20:制御部
Q1:第1のバイポーラトランジスタ
Q2:第2のバイポーラトランジスタ
C3,C4:キャパシタ
D2:ダイオード
D3:ツェナーダイオード
R3,R4、R5:抵抗