(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は種々の異なる形態を実現することができ、以下で説明する実施形態に限られない。
図面において、種々の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。明細書の全体にわたって類似する部分に対しては同一の図面符号を付した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあると表現される場合、それは他の部分の「すぐ上」にある場合だけでなく、その中間に他の部分がある場合も含む。一方、ある部分が他の部分の「すぐ上」にあると表現される場合には、中間に他の部分がないことを意味する。
先ず、
図1を参照して、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置の斜視図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置1000は、一定の曲率を有して曲がった形態に形成される。曲面液晶表示装置1000は第1方向W1に沿って曲がる。本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置1000は、平らな形態の平面液晶表示装置を製造した後、これを曲げて曲面を形成する。
平面液晶表示装置の場合、視聴者の目から表示装置に含まれている複数の画素までの距離がそれぞれ異なっている。例えば、視聴者の目から平面表示装置の中央に位置した画素までの距離よりも、左右両側周縁に位置した画素までの距離がさらに遠いこともある。反面、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置1000の場合、曲面を延長して形成される円の中心が視聴者の目の位置であるとき、視聴者の目から複数の画素までの距離はほぼ一定である。このような曲面表示装置は、平面表示装置に比べ、視聴角度が広くて、より多くの量の情報が視細胞を刺激し、視神経を通じて脳により多くの視覚情報を伝達する。これにより、現実感、没入感をより高めることができる。
【0009】
本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置1000は複数の画素領域を含む。以下、
図2〜
図4を参照して、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置の一画素について説明する。
図2は、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置の一画素を示す回路図である。
図3は、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置の一画素の平面図であり、
図4は、
図3のIV−IV線に沿って示す本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置の断面図である。
図2を参照すると、各画素領域PXは第1副画素領域PXa及び第2副画素領域PXbを含む。第1副画素領域PXa及び第2副画素領域PXbは、それぞれゲート線121及び当該データ線171a、171bに接続されているスイッチング素子Qa、Qbと、これに接続されている液晶キャパシタClca、Clcbと、スイッチング素子Qa、Qb及び維持電極線131に接続されているストレージキャパシタCsta、Cstbと、を含む。
各スイッチング素子Qa、Qbは、制御端子、入力端子及び出力端子を含む三端子素子であって、制御端子はゲート線121と接続され、入力端子は当該データ線171a、171bと接続され、出力端子は液晶キャパシタClca、Clcb及びストレージキャパシタCsta、Cstbと接続されている。
液晶キャパシタClca、Clcbの補助的な役割を果たすストレージキャパシタCsta、Cstbは、維持電極線131と画素電極(図示せず)が絶縁体を介して重なって形成され、維持電極線131には共通電圧Vcomなどの定められた電圧が印加される。しかし、ストレージキャパシタCsta、Cstbは、画素電極が絶縁体を媒介としてすぐ上の前段ゲート線と重なって形成されてもよい。
【0010】
図3及び
図4を参照すると、本実施形態による液晶表示装置は、互いに対向する下部表示板100と上部表示板200、及びその間に介されている液晶層3を含む。
先ず、下部表示板100について説明する。
第1基板110の上にゲート線121及び維持電極線131を含むゲート導電体が形成されている。
ゲート線121は主に横方向に延在し、ゲート信号を伝達する。ゲート線121は、上に拡張されている第1ゲート電極124a及び第2ゲート電極124bと、幅が広い端部129とを含む。
維持電極線131は主に横方向に延在し、共通電圧などを伝達する。各維持電極線131は二つのゲート線121の間に位置し、維持電極133を含む。
維持電極133は上面、下面、左面、及び右面を有する帯状である。維持電極133の上面は、下方に拡張されている拡張部134aと、上方に拡張されている拡張部134bとを含み、拡張部134a、134bは接続されている。維持電極133の下面も、下方に拡張されている拡張部135bと、上方に拡張されている拡張部135aとを含むが、このとき、拡張部135a、135bは接続されていない。帯状の維持電極133の一部は除去されており、除去された部分は拡張部135a、135bの間に位置する。維持電極133の上面及び下面は左面及び右面より幅が広くてもよい。
ゲート線121及び維持電極線131の上にはゲート絶縁膜140が形成されている。
ゲート絶縁膜140の上には線状半導体(図示せず)が形成されている。線状半導体は主に縦方向に延在し、第1及び第2ゲート電極124a、124bに向かって延在した第1及び第2突出部154a、154bを含む。
【0011】
線状半導体上には線状オーミックコンタクト部材(図示せず)、第1島状オーミックコンタクト部材165a、及び第2島状オーミックコンタクト部材(図示せず)が形成されている。線状オーミックコンタクト部材は第1突出部163a及び第2突出部(図示せず)を有し、第1突出部163aと第1島状オーミックコンタクト部材165aは対をなして、線状半導体の第1突出部154aの上で対向し、第2突出部と第2島状オーミックコンタクト部材は対をなして、線状半導体の突出部154bの上で対向する。
線状オーミックコンタクト部材及びゲート絶縁膜140の上には、第1及び第2データ線171a、171bと第1及び第2ドレイン電極175a、175bが形成されている。
第1及び第2データ線171a、171bは主に縦方向に延在して、ゲート線121及び維持電極線131と交差し、データ電圧を伝達する。第1データ線171aは、第1ゲート電極124aに向かって延在した第1ソース電極173aと、幅の広い端部179aとを含む。第2データ線171bは、第2ゲート電極124bに向かって延在した第2ソース電極173bと、幅の広い端部179bとを含む。第1データ線171aと第2データ線171bは互いに異なる電圧が供給される。第1データ線171aには第1データ電圧が供給され、第2データ線171bには第1データ電圧より低い第2データ電圧が供給される。
【0012】
第1ドレイン電極175aは、第1ゲート電極124aを中心に第1ソース電極173aと対向し、第2ドレイン電極175bは、第2ゲート電極124bを中心に第2ソース電極173bと対向する。第1及び第2ドレイン電極175a、175bの端部は、第1及び第2ソース電極173a、173bの曲がった部分により一部が取り囲まれている。
線状半導体は、第1ソース電極173aと第1ドレイン電極175aの間のチャネル領域、及び第2ソース電極173bと第2ドレイン電極175bの間のチャネル領域を除いては、第1及び第2データ線171a、171b及び第1及び第2ドレイン電極175a、175bと実質的に同一の平面形状を有する。
線状オーミックコンタクト部材は、線状半導体と第1及び第2データ線171a、171bとの間に挿入されており、第1及び第2データ線171a、171bと実質的に同一の平面形状を有する。第1及び第2島状のオーミックコンタクト部材は、線状半導体と第1及び第2ドレイン電極175a、175bとの間に挿入されており、第1及び第2ドレイン電極175a、175bと実質的に同一の平面形状を有する。
第1及び第2データ線171a、171bと第1及び第2ドレイン電極175a、175bの上には窒化ケイ素(SiNx)または酸化ケイ素(SiO
2)などの無機絶縁物質からなる遮断層160が形成されており、遮断層160の上にはカラーフィルタ230が形成されている。場合によって遮断層160は省略可能である。
カラーフィルタ230は、画素列に沿って第1及び第2データ線171a、171bと平行な方向に延在する赤色フィルタ、緑色フィルタ、及び青色フィルタを含んでもよい。または赤色フィルタ、緑色フィルタ、及び青色フィルタが各画素別に交互に配列されてもよい。
【0013】
カラーフィルタ230は複数の開口部234a、234b、235a、235bを有する。開口部234a、234b、235a、235bは維持電極133の拡張部134a、134b、135a、135bと重なる。
カラーフィルタ230の上には保護膜180が形成されている。保護膜180は、窒化ケイ素または酸化ケイ素などの無機絶縁物質で形成されてもよく、カラーフィルタ230が浮くことを防止し、後続工程でカラーフィルタ230にエッチング液などの化学液が流入することを防止できる。場合によって保護膜180は省略可能である。
保護膜180、カラーフィルタ230、及び遮断層160には第1及び第2ドレイン電極175a、175bを露出するコンタクトホール185a、185bが形成されており、保護膜180及び遮断層160には第1及び第2データ線171a、171bの端部179a、179bをそれぞれ露出するコンタクトホール182a、182bが形成されており、保護膜180、遮断層160及びゲート絶縁膜140にはゲート線121の端部129を露出するコンタクトホール181が形成されている。
保護膜180の上には画素電極191及び複数の接触補助部材81、82が形成されている。
【0014】
画素電極191は、第1副画素電極191aと第2副画素電極191bとの間の間隙91によって分離されている第1副画素電極191a及び第2副画素電極191bを含む。
第1副画素電極191aと第2副画素電極191bの間の間隙91は四角形の帯状であり、前述した四角形の帯状の維持電極133は間隙91と重なって、第1副画素電極191aと第2副画素電極191bの間の光漏れを防止する役割を果たす。
また、維持電極133の拡張部134a、135a、134b、135bは、第1副画素電極191aまたは第2副画素電極191a、191bと重なってストレージキャパシタCstを形成する。
つまり、第1副画素電極191aは、維持電極133の拡張部134a、135aと重なってストレージキャパシタCstaを形成する。このとき、第1副画素電極191aと維持電極133の拡張部134a、135aが重なる部分にはカラーフィルタ230の開口部234a、235aが位置することにより、ストレージキャパシタCstaの絶縁体の厚さを減らして保持容量を増加させることができる。
第2副画素電極191bは、維持電極133の拡張部134b、135bと重なってストレージキャパシタCstbを形成する。このとき、第2副画素電極191bと維持電極133の拡張部134b、135bが重なる部分にはカラーフィルタ230の開口部234b、235bが位置することにより、ストレージキャパシタCstbの絶縁体の厚さを減らして保持容量を増加させることができる。
第1ゲート電極124a、線状半導体の第1突出部154a、第1ソース電極173a、及び第1ドレイン電極175aは第1薄膜トランジスタQaを形成し、第1薄膜トランジスタQaはコンタクトホール185aを通じて第1副画素電極191aと接続されている。第2ゲート電極124b、線状半導体の第2突出部154b、第2ソース電極173b、及び第2ドレイン電極175bは第2薄膜トランジスタQbを形成し、第2薄膜トランジスタQbはコンタクトホール185bを通じて第2副画素電極191bと接続されている。
【0015】
このように、一つの画素電極191を構成する第1副画素電極191aと第2副画素電極191bはそれぞれ第1薄膜トランジスタQaと第2薄膜トランジスタQbに接続されているので、第1及び第2副画素電極191a、191bは第1及び第2データ線171a、171bを通じて別個のデータ電圧の印加を受ける。また、これとは異なり、第1及び第2副画素電極191a、191bは、一つのデータ線を通じ、互いに異なる時間に別個のデータ電圧の印加を受けてもよい。
このように、第1副画素電極191aと第2副画素電極191bの電圧が異なると、第1副画素電極191aと共通電極270の間に形成される第1液晶キャパシタClca、及び第2副画素電極191bと共通電極270の間に形成される第2液晶キャパシタClcbに作用する電圧が異なるので、第1副画素及び第2副画素の液晶分子の傾斜角度が異なり、そのために二つの副画素の輝度が異なるようになる。したがって、第1液晶キャパシタClcaの電圧及び第2液晶キャパシタClcbの電圧を適切に合わせると、側面から見る映像を正面から見る映像に最大限近くすることができ、つまり、側面ガンマ曲線を正面ガンマ曲線に最大限近くすることができ、このことにより、側面視認性を向上することができる。
【0016】
接触補助部材81、82a、82bは、コンタクトホール181、182a、182bを通じてゲート線121の端部129及びデータ線171a、171bの端部179a、179bにそれぞれ接続されている。接触補助部材81、82a、82bは、ゲート線121の端部129またはデータ線171a、171bの端部179a、179bと駆動集積回路のような外部装置との接着性を補完し、これらを保護する。
下部表示板100は、第1基板110の上に位置する間隔材300をさらに含んでもよく、下部表示板100と上部表示板200間の間隔を一定に維持させることができる。間隔材300は上部表示板200に形成されてもよいが、下部表示板100に形成されるのがさらに好ましい。これは、下部表示板と上部表示板のミスアライメントが発生する場合、間隔材300が透過率を低下させるのを防止するためである。
【0017】
次に、上部表示板200を説明する。
第2基板210の上に複数の遮光部材220が形成され、遮光部材220の上には蓋膜250が形成され、蓋膜250の上には共通電極270が形成されている。
遮光部材220は、ゲート線121、データ線171a、171b、及び薄膜トランジスタQ1、Q2と重なってもよい。遮光部材220は、第1方向W1及び第2方向W2に沿って形成されてもよい。
下部表示板100と上部表示板200の対向する面にはそれぞれ第1配向膜11と第2配向膜21が形成されている。第1配向膜11と第2配向膜21は垂直配向膜で形成されてもよく、配向膜の表面は領域によって異なる方向に傾いた末端部を有する。第1配向膜11は下部表示板100で画素電極191の上に位置してもよく、第2配向膜21は上部表示板200で共通電極270の上に位置してもよい。
第1配向膜11と第2配向膜21は光配向されている。一つの画素領域は複数の領域に分かれ、各領域別に配向方向を有する。第1配向膜11及び第2配向膜21は、シンナマート、チャコン、クマリンなどの光感応性基を含むポリアミド酸(polyamic acid)またはポリイミド(polyimide)からなってもよい。光配向方法は、垂直配向膜に光を斜めに照射して、配向膜の表面にある光反応性鎖が光照射された方向に沿って傾斜するように設定する方法であり、各領域別に異なる方向に光を照射することができる。
下部表示板100と上部表示板200との間には液晶層3が介されている。液晶層3は、負の誘電率異方性を有する複数の液晶分子31を含んでもよい。
【0018】
第1配向膜11及び第2配向膜21の配向方向によって液晶分子31が傾く方向が決定される。以下、
図5を参照して、各領域における液晶分子の傾斜方向について説明する。
図5は、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置の一画素領域における液晶分子の傾斜方向を示す平面図である。
図5は、画素電極を共に示している。
一つの画素領域PXは第1副画素領域PXaと第2副画素領域PXbを含む。第1副画素電極191aは第1副画素領域PXaに位置し、第2副画素電極191bは第2副画素領域PXbに位置する。第1副画素領域PXaは画素領域PXの中央に位置し、第2副画素領域PXbは第1副画素領域PXaを取り囲む形態に形成される。特に、第2副画素領域PXbの大部分は第1副画素領域PXaの上側と下側に位置する。第2副画素電極191bは第1副画素電極191aを取り囲む形態に形成される。ただし、本発明で第1副画素領域PXaと第2副画素領域PXbの配置形態はこれに限定されず、多様に変更可能である。また、一つの画素領域PXが複数の副画素領域に分かれず、一つの画素領域PXに単一の画素電極が形成されてもよい。
第1副画素領域PXa及び第2副画素領域PXbは、それぞれ横中心線(BT)と縦中心線(BL)によって少なくとも4個の領域D1a、D1b、D2a、D2b、D3a、D3b、D4a、D4bに分かれる。各副画素領域PXa、PXbの4個の領域D1a、D1b、D2a、D2b、D3a、D3b、D4a、D4bは、左上領域D1a、D1b、右上領域D2a、D2b、右下領域D3a、D3b、及び左下領域D4a、D4bで形成される。これらの領域D1a、D1b、D2a、D2b、D3a、D3b、D4a、D4bは、画素電極191の横中心線BTと縦中心線BLを境界にしてサイズがほぼ類似している。
【0019】
画素電極191と共通電極270の間に電位差が生じると、表示板100、200の面にほぼ垂直の電界が液晶層3に生成される。このことにより、液晶層3の液晶分子31は電界に応答して、その長軸が電界の方向に垂直となるように傾き、液晶分子31の傾斜程度によって液晶層3に入射した光の偏光の変化程度が変わる。このような偏光の変化は、偏光子によって透過率の変化として現れ、これを通じて液晶表示装置は映像を表示する。
液晶分子31が傾く方向は、配向膜11、21の特性により変化するが、例えば、配向膜11、21に偏光方向の異なる紫外線(UV)を照射するか、または傾くように照射することにより、液晶分子31の傾斜方向を決定することができる。
【0020】
図5において、各領域D1a、D1b、D2a、D2b、D3a、D3b、D4a、D4bに表示された矢印は、液晶分子31が傾く方向を示す。左上領域D1a、D1bで液晶分子が傾く方向は左下方向である。右上領域D2a、D2bで液晶分子が傾く方向は左上方向である。右下領域D3a、D3bで液晶分子が傾く方向は右上方向である。左下領域D4a、D4bで液晶分子が傾く方向は右下方向である。
しかし、各領域D1a、D1b、D2a、D2b、D3a、D3b、D4a、D4bで液晶分子31が傾く方向はこれに限定されず、色々な組み合わせが可能である。また、各副画素領域PXa、PXbは4個以上の領域に分かれてもよい。
【0021】
以下、
図6〜
図8を参照して、第1配向膜及び第2配向膜を光配向して、液晶分子が傾く方向を決定する方法について説明する。
図6は、光配向時に使用する二つのマスクを示す概略図であり、
図7は、
図6のマスクを使用して光を照射する方法を示す概略図であり、
図8は、配向膜の配向方向と、これによる液晶分子の傾斜方向を示す図面である。
図8は、二つの副画素領域のうちの第1副画素領域を示し、第2副画素領域においても同一に光配向が行われる。
図6を参照すると、光配向時に使用するマスクは第1マスクM1と第2マスクM2で構成されてもよい。第1マスクM1には、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置の曲率方向である第1方向W1に対して垂直な第2方向W2に複数の開口部h1が形成されている。第2マスクM2には、第1方向W1と平行な方向に複数の開口部h2が形成されている。
【0022】
図6A及び
図7Aを参照すると、第1配向膜11が塗布されている下部表示板100の上に第1マスクM1を配置し、紫外線(UV)などの光を斜めな角度に照射することによって1次露光を行う。このとき、紫外線(UV)の照射波長は10nm〜400nmであり、好ましくは280nm〜340nmであり得る。光の照射エネルギーは1mJ〜5、000mJであり得る。配向膜11、21の材料によって光の照射エネルギーと照射波長の影響を受ける。配向膜がシンナマート、チャコン、クマリンなどの光感応性基を含むポリアミド酸またはポリイミドからなる場合、光の照射エネルギーは50mJ以下であり得る。
光は、線偏光(LPUV:linearly polarized ultraviolet)または部分偏光された光を照射する。線偏光は、配向膜の表面に対して斜めな角度で照射して、配向膜の表面が一定の方向にラビングされたような効果を誘発する。配向膜の表面に斜めに線偏光を照射する方法は、配向膜を傾斜するようにするか、または線偏光照射装置を傾斜するようにして行われる。照射傾きは0°〜90°の間にしてもよい。好ましくは20°〜70°であり得る。次に、1次露光一方向と正反対の方向に紫外線(UV)などの光を斜めにして照射することによって2次露光を行う。
このとき、光照射は、第1マスクM1の開口部h1の長軸と平行な方向、つまり、第2方向W2に沿って移動しながら行う。光照射が開口部h1の長軸と平行な方向に沿って行われない場合、光回折によって実際に露光される領域が減少するだけでなく、基板とマスクの間の距離及び露光角度に対する工程マージンが縮小され得る。
例えば、画素領域の左半部は上から下に傾斜方向を有するように形成し、画素領域の右半部は下から上へ傾斜方向を有するように形成することにより、
図8Aに示すように、傾斜方向が反対の二つの領域が形成され得る。
【0023】
第1配向膜11は、第1副画素領域PXaの右上領域D2a及び右下領域D3aで第1方向W1に対して垂直な第2方向W2に光配向され、左上領域D1a及び左下領域D4aで第2方向W2と正反対の方向−W2に光配向されている。
同様に、
図6A及び
図7Bを参照すると、第2配向膜21が塗布されている上部表示板200の上に第2マスクM2を配置し、紫外線(UV)などの光を斜めな角度に照射することによって3次露光を行う。次に、3次露光した方向と反対方向に紫外線(UV)などの光を斜めに照射することによって4次露光を行う。
このとき、光照射は、マスクM2の開口部h2の長軸と平行な方向、つまり、第1方向W1に沿って移動しながら行う。
例えば、画素領域の上半部は右側から左側に傾斜方向を有するように形成し、画素領域の下半部は左側から右側に傾斜方向を有するように形成してもよい。これにより、
図8のBに示すように、傾斜方向が反対の二つの領域が形成され得る。
【0024】
図8Bに示すように、第2配向膜21は、第1副画素領域PXaの左下領域D4a及び右下領域D3aで第1方向W1に光配向され、左上領域D1a及び右上領域D2aで第1方向W1の正反対の方向−W1に光配向されている。
配向膜の表面に対して斜めな角度に光を照射することにより、配向膜の表面が一定の方向にラビング(rubbing)されたことと同じ効果を有する。つまり、配向膜の表面は光照射方向によって配向方向が変化するので、一つの画素を複数の領域に分けて露光を行うことにより、一つの画素に液晶分子のプレチルト方向が互いに異なる複数のドメインを形成することができる。
図8Cを参照すると、下部表示板100と上部表示板200を合着すると、第1配向膜11の配向方向と第2配向膜21の配向方向のベクトルの和により、各領域D1a、D2a、D3a、D4aにおける液晶分子の傾斜方向が決定される。例えば、左上領域D1aにおいて、下部表示板100の第1配向膜11は上から下に配向方向を有し、上部表示板200の第2配向膜21は右側から左側に配向方向を有する。したがって、左上領域D1aではベクトルの和によって左下方向に液晶分子が傾くようになる。
【0025】
本実施形態では、第1配向膜が曲面液晶表示装置の曲率方向に対して垂直方向に光配向され、第2配向膜が曲率方向に平行な方向に光配向されている。これとは反対に、第1配向膜が曲率方向に平行な方向に光配向され、第2配向膜が曲率方向に対して垂直方向に光配向されることを仮定できる。下部表示板と上部表示板を合着した後、これを曲げて曲面液晶表示装置を実現する過程で、下部表示板と上部表示板のミスアライメントが発生し得る。そのために画素領域の縦中心線が移動するようになり、左上領域、右上領域、右下領域、及び左下領域の大きさが異なるようになる。つまり、第2配向膜が曲率方向と異なる方向に光配向される曲面液晶表示装置においては、複数の領域の大きさが異なるように形成される。
本実施形態では、第2配向膜が曲率方向に平行な方向に光配向されているので、下部表示板と上部表示板のミスアライメントが発生しても、画素領域の縦中心線が移動しない。したがって、左上領域、右上領域、右下領域、及び左下領域の大きさは一定に維持される。つまり、下部表示板と上部表示板のミスアライメントが発生しても、配向特性が維持される。
【0026】
次に、
図9〜
図11を参照して本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置について説明する。
図9〜
図11に示された本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置は、
図1〜
図8に示された本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置と同一の部分が相当あるので、これに対する説明は省略する。本実施形態ではカラーフィルタが上部表示板に形成されるという点で上述した実施形態と異なり、以下、さらに詳細に説明する。
図9は、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置を示す断面図であり、
図10は、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置を示す平面図であり、
図11は、
図10のXI−XI線に沿って示す本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置の断面図である。
図11は、カラーフィルタなどの一部構成要素のみを示し、他の一部構成要素は省略している。
上述した実施形態と同様に、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置は、互いに対向する下部表示板100と上部表示板200、及びこれら二つの表示板100、200の間に挿入されている液晶層3を含む。下部表示板100は、第1基板110の上に位置する画素電極191、及び画素電極191の上に位置する第1配向膜11を含む。上部表示板200は、第2基板210の上に位置する共通電極270、及び共通電極270の上に位置する第2配向膜21を含む。
【0027】
第1配向膜11は、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置の曲率方向に対して垂直方向に光配向され、第2配向膜21は、曲率方向に平行な方向に光配向されている。
上述した実施形態では、下部表示板100にカラーフィルタ230が形成されており、本実施形態では、上部表示板200にカラーフィルタ230が形成されている。下部表示板100は、カラーフィルタの代わりに有機絶縁物質からなる絶縁膜180aをさらに含んでもよい。絶縁膜180aは、遮断層160と保護膜180の間に位置してもよい。
複数の画素領域PXはマトリックス状に配置されてもよい。つまり、複数の画素領域PXは行方向及び列方向に配置されてもよい。複数の画素領域PXは、複数の第1色画素領域PX(R)、複数の第2色画素領域PX(G)、及び複数の第3色画素領域PX(B)を含んでもよい。第1色画素領域PX(R)は赤色画素領域で形成され、第2色画素領域PX(G)は緑色画素領域で形成され、第3色画素領域PX(B)は青色画素領域で形成されてもよい。第1色画素領域PX(R)には第1カラーフィルタ230Rが位置し、第2色画素領域PX(G)には第2カラーフィルタ(図示せず)が位置し、第3色画素領域PX(B)には第3カラーフィルタ(図示せず)が位置する。
【0028】
複数の第1色画素領域PX(R)は、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置の曲率方向の第1方向W1に沿って配置されている。複数の第2色画素領域PX(G)は第1方向W1に沿って配置され、複数の第3色画素領域PX(B)は第1方向W1に沿って配置されている。行方向に同一の色の画素領域PXが配置されてもよい。
第1色画素領域PX(R)と第2色画素領域PX(G)は、第1方向W1に対して垂直な第2方向W2に隣接するように配置されている。第2色画素領域PX(G)と第3色画素領域PX(B)は第2方向W2に隣接するように配置されている。列方向に異なる色の画素領域PXが配置されてもよい。
本実施形態では、第1方向に沿って同一の色の画素領域が配置されている。これとは反対に、第1方向に沿って異なる色の画素領域が配置される場合も仮定できる。下部表示板と上部表示板を合着した後、これを曲げて曲面液晶表示装置を実現する過程で、下部表示板と上部表示板のミスアライメントが発生し得る。このとき、上部表示板に含まれているカラーフィルタが第1方向に沿って移動し、一つの画素領域に複数のカラーフィルタが位置するようになって混色が発生する。
本実施形態では、曲率方向に平行な方向に同一の色の画素領域が配置されているので、下部表示板と上部表示板のミスアライメントが発生しても混色が発生しない。
【0029】
図10において各画素領域PXは、二つの長辺と、二つの短辺とを含む長方形に形成され、長辺は、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置の曲率方向に対して垂直な第2方向W2に平行する。ただし、本実施形態はこれに限定されず、画素領域PXの形状は多様に変更が可能である。
図12を参照して、これに対する例示を説明する。
図12は、本発明の他の実施形態による曲面液晶表示装置を示す平面図である。
図12に示すように、各画素領域PXは、二つの長辺と、二つの短辺とを含む長方形に形成され、長辺は、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置の曲率方向の第1方向W1に平行する。
【0030】
次に、
図13及び
図14を参照して、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置について説明する。
図13及び
図14に示された本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置は、
図1〜
図8に示された本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置と同一の部分が相当あるので、これに対する説明は省略する。本実施形態では、遮光部材が第1方向のみに形成されているという点で上述した実施形態と異なり、以下、さらに詳細に説明する。
図13は、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置を示す平面図であり、
図14は、
図13のXIV−XIV線に沿って示す本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置の断面図である。
図14は、カラーフィルタなどの一部構成要素のみを示し、他の一部構成要素は省略している。
上述した実施形態と同様に、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置は、互いに対向する下部表示板100と上部表示板200、及びこれら二つの表示板100、200の間に挿入されている液晶層3を含む。下部表示板100は、第1基板110の上に位置する画素電極191、及び画素電極191の上に位置する第1配向膜11を含む。上部表示板200は、第2基板210の上に位置する共通電極270、及び共通電極270の上に位置する第2配向膜21を含む。
【0031】
第1配向膜11は、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置の曲率方向に対して垂直方向に光配向され、第2配向膜21は、曲率方向に平行な方向に光配向されている。
複数の画素領域PXは、複数の第1色画素領域PX(R)、複数の第2色画素領域PX(G)、及び複数の第3色画素領域PX(B)を含んでもよい。第1色画素領域PX(R)には第1カラーフィルタ230Rが位置し、第2色画素領域PX(G)には第2カラーフィルタ230Gが位置し、第3色画素領域PX(B)には第3カラーフィルタ230Bが位置する。
第2基板210の上には遮光部材220が位置する。上述した実施形態では、遮光部材220が第1方向W1及び第2方向W2に沿って形成されており、本実施形態では、遮光部材220が第1方向W1に沿って形成されている。つまり、遮光部材220が第2方向W2には形成されていない。
遮光部材220は、第1方向W1に隣接した複数の画素領域PX間の境界に位置せず、第1方向W1に対して垂直な第2方向W2に隣接した複数の画素領域PX間の境界に位置している。
遮光部材220が第2方向W2に沿って形成される場合、下部表示板100と上部表示板200のミスアライメントが発生するとき、遮光部材220の位置が移動して透過率が低下するようになる。本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置では、遮光部材220を第1方向W1のみに形成することにより、このような透過率の減少を防止することができる。
【0032】
図14において、第1カラーフィルタ230R、第2カラーフィルタ230G、及び第3カラーフィルタ230Bは第1基板110の上に位置していると示している。ただし、本発明はこれに限定されず、
図15を参照して、これに対する例示を説明する。
図15は、本発明の他の実施形態による曲面液晶表示装置を示す断面図である。
図15に示すように、第1カラーフィルタ230R、第2カラーフィルタ230G、及び第3カラーフィルタ230Bは第2基板210の上に位置してもよい。
【0033】
次に、
図16を参照して、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置について説明する。
図16に示された本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置は、
図1〜
図8に示された本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置と同一の部分が相当あるので、これに対する説明は省略する。本実施形態では、一つの画素領域を分ける基準線が全て第1方向に平行するという点で上述した実施形態と異なり、以下、さらに詳細に説明する。
図16は、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置における配向膜の配向方向と、これによる液晶分子の傾斜方向を示す図面である。
上述した実施形態と同様に、第1配向膜11は、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置の曲率方向に対して垂直方向に光配向され、第2配向膜21は、曲率方向に平行な方向に光配向されている。
一つの画素領域PXは、第1方向の3個の線によって最上領域Dp、中上領域Dq、中下領域Dr、及び最下領域Dsに分かれる。4個の領域Dp、Dq、Dr、Dsはその大きさがほぼ類似している。一つの画素領域PXは複数の副画素領域に分かれてもよく、それぞれの副画素領域は4個の領域Dp、Dq、Dr、Dsに分かれる。
【0034】
図16Aを参照すると、第1配向膜11は、本発明の一実施形態による曲面液晶表示装置の曲率方向の第1方向W1に対して垂直方向に光配向されている。第1配向膜11は、中上領域Dq及び中下領域Drで第1方向W1に対して垂直な第2方向W2に光配向され、最上領域Dq及び最下領域Dsで第2方向W2と正反対の方向−W2に光配向されている。
図16Bを参照すると、第2配向膜21は第1方向W1と平行に光配向されている。第2配向膜21は、中下領域Dr及び最下領域Dsで第1方向W1に光配向され、最上領域Dp及び中上領域Dqで第1方向W1と正反対の方向−W1に光配向されている。
図16Cを参照すると、下部表示板100と上部表示板200を合着すると、第1配向膜11の配向方向と第2配向膜21の配向方向のベクトルの和により、各領域Dp、Dq、Dr、Dsにおける液晶分子の傾斜方向が決定される。最上領域Dpで左下方向に液晶分子が傾くようになり、中上領域Dqで左上方向に液晶分子が傾くようになる。中下領域Drで右上方向に液晶分子が傾くようになり、最下領域Dsで右下方向に液晶分子が傾くようになる。
本実施形態では、第2配向膜が曲率方向に平行な方向に光配向されているので、下部表示板と上部表示板のミスアライメントが発生しても、最上領域、中上領域、中下領域、及び最下領域の大きさは一定に維持され、配向特性が維持できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の種々の変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属する。