特許第6684093号(P6684093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684093
(24)【登録日】2020年3月31日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】両軸受リールのスプール
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/015 20060101AFI20200413BHJP
【FI】
   A01K89/015 C
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-8321(P2016-8321)
(22)【出願日】2016年1月19日
(65)【公開番号】特開2017-127234(P2017-127234A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2018年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大古瀬 広樹
(72)【発明者】
【氏名】新妻 翔
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 憲一
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−165057(JP,A)
【文献】 特開2000−083534(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3020401(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0289690(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0090802(US,A1)
【文献】 米国特許第06412724(US,B1)
【文献】 米国特許第05615840(US,A)
【文献】 特開2004−337026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/00 − 89/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両軸受リールのスプールであって、
筒状の糸巻き胴部と、
前記糸巻き胴部の両端に前記糸巻き胴部よりも大径に形成される一対の円形のフランジ部と、
前記糸巻き胴部の外周面から前記フランジ部の外周面までの第1距離の60パーセントの第2距離以下の第3距離の径方向位置で開口し、前記フランジ部に周方向に間隔を隔てて配置された複数の第1貫通孔と、
を備え
前記フランジ部は、厚みが径方向外側から径方向内側に向かって徐々に厚くなるように構成され、
前記第1貫通孔の周縁部において、前記フランジ部の内側面の前記糸巻き胴部の外周面に近い側の周縁部のみに面取り部が設けられる、
両軸受リールのスプール。
【請求項2】
前記面取り部は、前記糸巻き胴部の端部まで延びている、
請求項1に記載の両軸受リールのスプール。
【請求項3】
前記第1貫通孔は、中心が前記径方向位置よりも前記糸巻き胴部の外周面に近い位置にある円形の孔である、請求項1又は2に記載の両軸受リールのスプール。
【請求項4】
前記第1貫通孔は、前記径方向に長い長円形の孔である、請求項1又は2に記載の両軸受リールのスプール。
【請求項5】
前記糸巻き胴部の外周面と内周面とを貫通する第2貫通孔をさらに備える、請求項1からのいずれか1項に記載の両軸受リールのスプール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプール、特に、両軸受リールのスプールに関する。
【背景技術】
【0002】
両軸受リールのスプールには、フランジ部に周方向に間隔を隔てて配置された複数の貫通孔を設けたものが知られている(特許文献1参照)。貫通孔をフランジ部に設けることによって、スプールの外径を小さくすることなく、スプールの質量及び慣性を低減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−165057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のスプールでは、キャスティング時にスプールが高速で糸繰り出し方向に回転したとき、空気が貫通孔を通過し、風切り音などの異音が発生することがある。
【0005】
本発明の課題は、質量及び慣性の低減を図ったスプールにおいて、スプールが高速回転したときの異音の発生を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る両軸受リールのスプールは、筒状の糸巻き胴部と、一対の円形のフランジ部と、複数の第1貫通孔と、を備える。一対の円形のフランジ部は、糸巻き胴部の両端に糸巻き胴部よりも大径に形成される。複数の第1貫通孔は、糸巻き胴部の外周面からフランジ部の外周面までの第1距離の60パーセントの第2距離以下の第3距離の径方向位置で開口し、フランジ部に周方向に間隔を隔てて配置される。
【0007】
この両軸受リールのスプールでは、複数の第1貫通孔が、巻き胴部の外径からフランジ部の外径までの距離の60パーセント以下の径方向位置で開口するように配置される。このため、キャスティングの速度が最も速いキャスティングの初期に、第1貫通孔が釣り糸によって塞がれて外部に露出しない。このため、空気が第1貫通孔を通過しなくなり、キャスティング時にスプールが高速回転しても、異音の発生を抑えることができる。
【0008】
第1貫通孔は、中心が径方向位置よりも糸巻き胴部の外周面に近い位置にある円形の孔であってもよい。この構成によれば、機械加工または成形加工によって第1貫通孔を容易に形成できる。
【0009】
第1貫通孔は、径方向に長い長円形の孔であってもよい。この構成によれば、円形と同じ肉盗み量であっても、長円形の孔は、移動方向に対する貫通孔の幅を短くすることができる。このため、貫通孔を通過する空気の量を減らして風切音の発生をさらに抑制できる。
【0010】
フランジ部は、厚みが径方向外側から径方向内側に向かって徐々に厚くなるように構成されてもよい。この構成によれば、糸巻き胴部側の肉厚が徐々に厚くなるので、糸巻き胴部に近い位置に第1貫通孔を形成しても、フランジ部の強度の低下を抑えることができる。
【0011】
第1貫通孔の少なくとも糸巻き胴部の外周面に近い側の周縁部には面取り部が設けられてもよい。この構成によれば、面取り部によって空気の流速の変化が小さくなり、異音の発生をさらに抑えることができる。
【0012】
スプールは、糸巻き胴部の外周面と内周面とを貫通する第2貫通孔をさらに備えてもよい。この構成によれば、スプールのさらなる軽量化及び低慣性化を図れる。
【0013】
本発明の別の発明に係る両軸受リールのスプールは、筒状の糸巻き胴部と、一対の円形のフランジ部と、複数の第1貫通孔と、を備える。一対の円形のフランジ部は、糸巻き胴部の両端に糸巻き胴部よりも大径に形成される。複数の第1貫通孔は、最大糸巻き長さの半分の糸巻き長さの釣り糸によって覆われるように、フランジ部に周方向に間隔を隔てて配置される。
【0014】
この両軸受リールのスプールでは、複数の第1貫通孔が、最大糸巻き長さの半分の糸巻き長さの釣り糸によって覆われるように、フランジ部に周方向に間隔を隔てて配置される。通常のキャスティングでは、最大でおおむね最大糸巻き長さの半分の長さの釣り糸が繰り出される。このため、キャスティング中に第1貫通孔が露出されなくなり、キャスティングときに、第1貫通孔が釣り糸によって塞がれて外部に露出しない。このため、キャスティング時にスプールが高速回転しても、異音の発生を抑えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、質量及び慣性の低減を図ったスプールにおいて、スプールが高速回転したときの異音の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態によるスプールが採用された両軸受リールの斜視図。
図2】両軸受リールの断面図。
図3】スプール軸が取り付けられたスプールの断面図。
図4図3の切断線IV−IVで切断されたスプールの断面図。
図5】そのスプールのフランジ部の断面拡大図。
図6】第1変形例のスプールの図4に相当する図。
図7】第2変形例のスプールの図4に相当する図。
図8】第3変形例のスプールの図4に相当する図。
図9】第1変形例から第3変形例の図5に相当する図。
図10】第4変形例の図4に相当する図。
図11】第4変形例の図5に相当する図。
図12】本発明の他の実施形態による両軸受リールの図3に相当する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<両軸受リールの全体構成>
図1及び図2において、本発明の一実施形態によるスプール16を採用した両軸受リール10は、釣り糸を前方に繰り出すリールである。両軸受リール10は、リール本体12と、ハンドル14と、ハンドル14によって糸巻き取り方向に回転するスプール16と、スプール軸18(図2参照)と、を備える。ハンドル14は、リール本体12の側部に回転自在に装着される。
【0018】
に示すように、リール本体12は、フレーム12aと、フレーム12aの両側方を覆う第1側カバー12b及び第2側カバー12cと、を有する。リール本体12は、スプール軸18及びスプール16のいずれか一方を回転自在に支持する。本実施形態では、リール本体12はスプール軸18を回転自在に支持する。
【0019】
リール本体12の内部には、回転伝達機構20、クラッチ機構22、ドラグ機構(図示せず)、キャスティングコントロール機構24、及びスプール制動機構26が設けられる。回転伝達機構20は、ハンドル14の回転をスプール16に伝達する。クラッチ機構22は、回転伝達機構20の伝達経路の途中に設けられる。クラッチ機構22は、ハンドル14の回転をスプール16に伝達する伝達状態と、ハンドル14の回転を遮断する遮断状態と、に切換可能である。遮断状態では、スプール16は自由回転状態になる。クラッチ機構22は、リール本体12に設けられるクラッチ操作部材28によって伝達状態と遮断状態に操作できる。本実施形態では、クラッチ操作部材28は、スプール16の後方に上下に移動自在に設けられる。ドラグ機構は、釣り糸に作用する張力(ドラグ力)を調整するために回転伝達経路の途中に設けられる。ドラグ機構のドラグ力は、ハンドル14に軸方向に並べて配置されたドラグ操作部材30によって調整できる。キャスティングコントロール機構24は、スプール軸18の両端を押圧してスプール16を常時制動する。スプール制動機構26は、キャスティング時にスプール16の糸繰り出し方向の回転を制動する。スプール制動機構は、遠心力、磁力、または回生制動によってスプール16を制動する。本実施形態では、スプール制動機構26は遠心力によって、スプール16を制動する。
【0020】
<スプール及びスプール軸の構成>
スプール16は、図3及び図4に示すように、スプール軸18に一体回転可能に連結される。スプール16は、筒状の糸巻き胴部32と、糸巻き胴部32の両端に形成された一対のフランジ部34と、糸巻き胴部32の内周面に形成された連結部36と、複数の第1貫通孔38と、複数の第2貫通孔40と、を有する。
【0021】
糸巻き胴部32は、外周面に釣り糸を巻き付け可能である。本実施形態では、糸巻き胴部32は、スプール軸18の軸芯Sからの距離が軸方向の中心位置CPで最も小さくとなるように、両端からわずかに傾斜した第1テーパ面32aおよび第2テーパ面32bを有する。本実施形態では、糸巻き胴部32の外周面は中心位置CPでの外周面である。
【0022】
一対のフランジ部34は、厚みが、径方向外側から径方向内側に向かって徐々に厚くなるように構成される。一対のフランジ部34は、スプール16の軸方向の中心位置CPに対して線対称に形成される。一対のフランジ部34は、最大巻き付け位置の目安となる第3テーパ面34aと、第3テーパ面34aの外周部に形成された糸かみ防止用の筒状部34bと、をそれぞれ有する。第3テーパ面34aは、軸方向の中心位置CPに向かって小径となるように傾斜するテーパ面である。図3に拡大して示すように、第3テーパ面34aの内周側の環状の縁部34cが最大巻き付け位置の目安となる。フランジ部34の外周面は、筒状部34bの外周面である。
【0023】
連結部36は、糸巻き胴部32の内周面に一体形成される円板部36aと、円板部の内周部に一体形成された装着筒部36bと、を有する。装着筒部36bは、例えば、スプール軸18の外周面に形成されたセレーション部18aが圧入されることによって、スプール軸18と一体回転可能に連結される。
【0024】
複数の第1貫通孔38は、本実施形態では、図5に示すように、糸巻き胴部32の外周面からフランジ部34の外周面までの第1距離R1の60パーセントの第2距離R2以下の第3距離R3の径方向位置で開口する。複数の第1貫通孔38は、周方向に間隔を隔てて、例えば12個設けられる。複数の第1貫通孔38の個数は12個に限定されない。複数の第1貫通孔38は、回転バランス及び強度を考慮して配置される。第1貫通孔38の個数は、例えば6個から20個が好ましい。第1貫通孔38の個数が5個以下であると、軽量化及び低慣性化を図ろうとすると、第1貫通孔の直径が大きくなる。また、第1貫通孔38の個数が21個以上であると、加工コストが上昇し、かつフランジ部34の強度が低くなる。第1貫通孔38は、中心Cが第3距離の径方向位置よりも糸巻き胴部32の外周面に近い位置にある円形の孔である。第1貫通孔38は、図3に拡大して示すように、円形の孔部38aと、孔部38aのフランジ部34の内側面34dの糸巻き胴部32の少なくとも外周面に近い側の周縁部に設けられた面取り部38bと、を有する。なお、第1貫通孔38の開口する位置は、面取り部38bではなく、孔部38aによって規定される。また、本実施形態では、面取り部38bは、例えばテーパ面形状に形成され、周縁部の全周に設けられる。
【0025】
図4に示すように、複数の第2貫通孔40は、糸巻き胴部32の外周面と内周面とを貫通する。本実施形態では、第2貫通孔40は、図3に示すように、軸方向の中心位置CPを中心とする円によって構成される。第2貫通孔40は、軸方向に沿って延びる、図示しない楕円状の面取り部が角部に形成される。
【0026】
このように構成されたスプール16では、キャスティング時に、フランジ部34の外周部まで巻き付けられた釣り糸が放出されると、概ね全体の半分の長さの釣り糸が放出されるまで、第1貫通孔38が釣り糸によって塞がれて露出しない。このため、キャスティング初期の高速回転時に空気が第1貫通孔38を通過しない。これによって、キャスティング時に、空気の流れに伴う異音の発生を抑えることができる。
【0027】
<第1から第3変形例>
なお、以降の説明では、上記実施形態と同じ構成の部材は同じ符号で図に示し、その説明を省略する。また、構成は異なるが対応する部材には、上記実施形態と下二桁が同じ三桁の符号で示す。
【0028】
上記実施形態では、第1貫通孔38の孔部38aが円形であったが、第1貫通孔の孔部の形状は、円形に限定されない。例えば、図6に示す第1変形例では、スプール116の第1貫通孔138の孔部138aは、径方向に長い長円形の孔である。また、図7に示す第2変形例では、スプール216の第1貫通孔238の孔部238aは、周方向に長い長円形の孔である。さらに、図8に示す第3変形例では、スプール316の第1貫通孔338の孔部338aは、円形ではなく、多角形の孔である。第1から第3変形例の場合にも、図9に示すように、例えば、第1貫通孔138(又は、238,338)は、糸巻き胴部32の外周面からフランジ部34の外周面までの第1距離R1の60パーセントの第2距離R2以下の第3距離R3の径方向位置で開口するように配置される。また、面取り部138b(又は、238b、338b)は、上記実施形態と同様に、例えばテーパ面形状に形成され、周縁部の全周に設けられる。
【0029】
<第4変形例>
図10及び図11に示す第4変形例では、第1貫通孔438の孔部438aは、円形であり、面取り部438bは、周縁部の糸巻き胴部32の外周面に近い側に設けられる。面取り部438bは、例えば、中心を中心に回転する球形の切削工具によって,糸巻き胴部32の外周面に近い側だけを糸巻き胴部32とともに機械加工して球面状に形成される。
【0030】
このように形成された面取り部438bでは、外周部に向かって肉厚が徐々に薄くなるフランジ部34に第1貫通孔438を形成しても、糸巻き胴部32から遠い側に面取り部が形成されない。このため、フランジ部34の強度を維持できる。
【0031】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた実施形態及び複数の変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0032】
(a)上記実施形態では、第1貫通孔38を周方向に間隔を隔てて配置したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1貫通孔を周方向及び径方向に間隔を隔てて配置してもよい。この場合、最外周の第1貫通孔が、糸巻き胴部32の外周面からフランジ部34の外周面までの第1距離R1の60パーセントの第2距離R2以下の第3距離R3の径方向位置で開口すればよい。
【0033】
(b)上記実施形態では、第1貫通孔38の配置を開口する位置で定義したが、本発明はこれに限定されない。第1貫通孔38は、キャスティング当初の高速回転時に釣り糸によって塞がれて開口しない位置であれば、どのように配置されてもよい。例えば、最大糸巻き長さの半分の糸巻き長さの釣り糸によって覆われるように、フランジ部34に周方向に間隔を隔てて、第1貫通孔38を配置してもよい。通常の形状のスプール16であれば、この位置は、上述した、糸巻き胴部32の外径からフランジ部34の外径までの距離の概ね60パーセントの径方向位置である。
【0034】
(c)上記実施形態および第1から第3変形例では、面取り部を第1貫通孔の周縁部の全周に形成したが、第4変形例と同様に周縁部の糸巻き胴部の外周面に近い側にだけ形成してもよい。
【0035】
(d)上記実施形態では、スプール制動機構26が遠心力によって、スプール16を制動した。しかし、図12に示すように、スプール制動機構526が、スプール軸518に一体回転可能に連結された磁石542と、磁石542の回転により発電するコイル544とを含む発電制動機構でもよい。この場合には、スプール516の糸巻き胴部532の内周面に磁束漏洩防止用の筒状部材546を装着できる環状凹部532cを形成してもよい。
<特徴>
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
【0036】
(A)両軸受リール10のスプール16は、筒状の糸巻き胴部32と、一対の円形のフランジ部34と、複数の第1貫通孔38と、を備える。一対の円形のフランジ部34は、糸巻き胴部32の両端に糸巻き胴部32よりも大径に形成される。複数の第1貫通孔38は、糸巻き胴部32の外周面からフランジ部34の外周面までの第1距離R1の60パーセントの第2距離R2以下の第3距離R3の径方向位置で開口し、フランジ部34に周方向に間隔を隔てて配置される。
【0037】
この両軸受リール10のスプール16では、複数の第1貫通孔38が、糸巻き胴部32外周面からフランジ部34の外周面までの第1距離R1の60パーセントの第2距離R2以下の第3距離R3の径方向位置で開口するように配置される。このため、キャスティングの速度が最も速いキャスティングの初期に、第1貫通孔38が釣り糸によって塞がれて外部に露出しない。このため、空気が第1貫通孔38を通過しなくなり、キャスティング時にスプール16が高速回転しても、異音の発生を抑えることができる。
【0038】
(B)第1貫通孔38は、中心Cが径方向位置よりも糸巻き胴部32の外周面に近い位置にある円形の孔であってもよい。この構成によれば、機械加工または成形加工によって第1貫通孔38を容易に形成できる。
【0039】
(C)第1貫通孔138は、径方向に長い長円形の孔であってもよい。この構成によれば、円形と同じ肉盗み量であっても、長円形の孔は、移動方向に対する貫通孔の幅を短くすることができる。このため、貫通孔を通過する空気の量を減らして風切音の発生をさらに抑制できる。
【0040】
(D)フランジ部34は、厚みが径方向外側から径方向内側に向かって徐々に厚くなるように構成されてもよい。この構成によれば、糸巻き胴部32側の肉厚が徐々に厚くなるので、糸巻き胴部32に近い位置に第1貫通孔38を形成しても、フランジ部34の強度の低下を抑えることができる。
【0041】
(E)第1貫通孔38の少なくとも糸巻き胴部の外周面に近い側の周縁部には面取り部が設けられてもよい。この構成によれば、面取り部によって空気の流速の変化が小さくなり、異音の発生をさらに抑えることができる。
【0042】
(F)スプール16は、糸巻き胴部32の外周面と内周面とを貫通する第2貫通孔40をさらに備えてもよい。この構成によれば、スプール16のさらなる軽量化及び低慣性化を図れる。
【0043】
(G)両軸受リール10のスプール16は、筒状の糸巻き胴部32と、一対の円形のフランジ部34と、複数の第1貫通孔38と、を備える。一対の円形のフランジ部34は、糸巻き胴部32の両端に糸巻き胴部よりも大径に形成される。複数の第1貫通孔38は、最大糸巻き長さの半分の糸巻き長さの釣り糸によって覆われるように、フランジ部34に周方向に間隔を隔てて配置される。
【0044】
この両軸受リールのスプール16では、複数の第1貫通孔38が、最大糸巻き長さの半分の糸巻き長さの釣り糸によって覆われるように、フランジ部34に周方向に間隔を隔てて配置される。通常のキャスティングでは、最大でおおむね最大糸巻き長さの半分の長さの釣り糸が繰り出される。このため、キャスティング中に第1貫通孔38が露出されなくなり、キャスティングときに、第1貫通孔38が釣り糸によって塞がれて外部に露出しない。このため、キャスティング時にスプール16が高速回転しても、異音の発生を抑えることができる。
【符号の説明】
【0045】
10 両軸受リール
16、116,216,316,416,516 スプール
32 糸巻き胴部
34 フランジ部
38、138,238,338 第1貫通孔
38b 面取り部
40 第2貫通孔
R1 第1距離
R2 第2距離
R3 第3距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12