特許第6684110号(P6684110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 吉村 清己の特許一覧 ▶ 吉村 光子の特許一覧 ▶ 広瀬 幸雄の特許一覧 ▶ 加納 勉の特許一覧 ▶ 涌井 徹の特許一覧 ▶ 今村 祥宏の特許一覧 ▶ 馬場 嘉幸の特許一覧 ▶ 落合 健二朗の特許一覧

<>
  • 特許6684110-食材の加熱処理装置 図000002
  • 特許6684110-食材の加熱処理装置 図000003
  • 特許6684110-食材の加熱処理装置 図000004
  • 特許6684110-食材の加熱処理装置 図000005
  • 特許6684110-食材の加熱処理装置 図000006
  • 特許6684110-食材の加熱処理装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684110
(24)【登録日】2020年3月31日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】食材の加熱処理装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/16 20060101AFI20200413BHJP
   A23L 7/10 20160101ALI20200413BHJP
【FI】
   A47J27/16 H
   A23L7/10 A
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-36482(P2016-36482)
(22)【出願日】2016年2月27日
(65)【公開番号】特開2017-148450(P2017-148450A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2019年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】507152202
【氏名又は名称】吉村 清己
(73)【特許権者】
【識別番号】507153405
【氏名又は名称】吉村 光子
(73)【特許権者】
【識別番号】594079349
【氏名又は名称】広瀬 幸雄
(73)【特許権者】
【識別番号】515266072
【氏名又は名称】加納 勉
(73)【特許権者】
【識別番号】516041335
【氏名又は名称】涌井 徹
(73)【特許権者】
【識別番号】516060967
【氏名又は名称】今村 祥宏
(73)【特許権者】
【識別番号】516060956
【氏名又は名称】馬場 嘉幸
(73)【特許権者】
【識別番号】516060934
【氏名又は名称】落合 健二朗
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】吉村 清己
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】加納 勉
(72)【発明者】
【氏名】涌井 徹
(72)【発明者】
【氏名】今村 祥宏
(72)【発明者】
【氏名】馬場 嘉幸
(72)【発明者】
【氏名】落合 健二朗
【審査官】 根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−077509(JP,A)
【文献】 実公昭34−010194(JP,Y1)
【文献】 実開昭62−086890(JP,U)
【文献】 特開2012−255591(JP,A)
【文献】 特開2006−149223(JP,A)
【文献】 特開2014−226062(JP,A)
【文献】 特開平04−028310(JP,A)
【文献】 特開平01−222746(JP,A)
【文献】 特開2003−230841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/14−27/18
A23L 7/00−7/104
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁で複数のゾーンに仕切った外室部と、
前記外室部を横切るように配設され、回転制御された通気性を有する内筒部とを備え、
前記各ゾーン毎に、過熱蒸気の供給手段と加熱ヒーターと散水手段とを有し、
記内筒部は複数のドラムを差し込み連結され、
前記連結部に外形が円形のフランジ部を有し、
前記フランジ部を回転ローラにて回転支持してあることを特徴とする材の加熱処理装置。
【請求項2】
前記内筒部の端部は一方が原料食材の投入部で他方が加熱処理後の搬出部となっていて、前記投入部の方が搬出部よりもやや高い位置にあり、且つ内側に搬送スクリューを配設してあることを特徴とする請求項1載の食材の加熱処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、還元条件下で食材を加熱処理する加熱処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
過熱水蒸気は、常圧で水蒸気を100℃以上に過熱した水蒸気をいい、食材を加熱処理する方法が例えば特許文献1〜4に記載されている。
しかし、いずれも過熱水蒸気を食材に噴射した際に凝縮した水になり、過熱水蒸気の特性が充分に活用されたものではない。
【0003】
食材には、自由水として単に含まれている水分と、食材の中の糖やタンパク質と結合した結合水とが存在すると言われる。
また、食材を加熱すると、遊離する溶解水も含有していると言われる。
また、空気中で単に食材を加熱すると酸化されてしまい、食味の低下の原因となると言われている。
特に食材が穀類のように粒状である場合は、従来のバッチ処理では生産性に劣る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4746706号公報
【特許文献2】特開2008−154576号公報
【特許文献3】特開2001−120199号公報
【特許文献4】特開2006−87641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、それぞれの食材に適した加熱条件の設定が容易であり、生産性に優れた連続加熱処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る食材の加熱処理装置は、隔壁で複数のゾーンに仕切った外室部と、前記外室部を横切るように配設され、回転制御された通気性を有する内筒部とを備え、前記各ゾーン毎に、過熱蒸気の供給手段と加熱ヒーターと散水手段とを有することを特徴とする。
【0007】
このように、外室部を複数のゾーンに仕切り、各ゾーン毎に過熱蒸気の供給手段と、加熱ヒーターと、散水手段を設けると、それぞれのゾーンの加熱条件を独立して、例えばプログラム制御できる。
【0008】
過熱蒸気を単に食材に向けて吹き付けるだけでは食材により冷やされ、凝縮水となり、水分が多い食材になるだけでなく、周囲の空気が多く残った状態になるために食材が酸化されてしまう。
そこで本発明は、各ゾーンに加熱ヒーターを設けたものである。
これにより、温度低下した水が再加熱され、ゾーン内が過熱水蒸気で充満されるために空気が追い出され、還元条件を維持することができる。
また、食材の一部に水分が凝縮することもなくなり、均一に加熱される。
本発明において、各ゾーンに散水手段も備えたので、食材への加水用に用いたり、食材を高温から冷却する際にゾーン内を飽和水蒸気状態に維持し、還元状態を確保しながら冷却もできる。
【0009】
例えば、食材が米のように穀物である場合に初期に散水し、加水しながら余熱し、アルファー化した方が良いとされている。
その後に、還元下で高温加熱処理、さらに還元下での乾燥冷却等の連続処理が可能である。
【0010】
本発明において、内筒部は複数のドラムを差し込み連結され、前記連結部に外形が円形のフランジ部を有し、前記フランジ部を回転ローラにて回転支持してあるのが好ましい。
このようにすると、差し込み部で熱膨張,冷却収縮等の熱変形を吸収できる。
また、差し込み部で分解,組立ができるので、メンテナンスもしやすい。
【0011】
本発明において、内筒部の端部は一方が原料食材の投入部で他方が加熱処理後の搬出部となっていて、前記投入部の方が搬出部よりもやや高い位置にあり、且つ内側に搬送スクリューを配設してあるようにすることもできる。
このようにすると、粒状の穀物等の加熱処理が連続してでき、生産性に優れる。
なお、内筒部の内側に搬送スクリューを設けたことにより、この内筒部は概ね水平であってもよい。
【0012】
本発明において、加熱処理された食材を還元条件下で乾燥及び冷却するための乾燥冷却装置を備えてもよい。
例えば乾燥冷却装置として、左右一対の撹拌スクリューとその中央下部側に、この撹拌スクリューよりも外形が小さい小撹拌スクリューを設けた3軸平行撹拌スクリュー構造を採用することができる。
この場合にも外部から空気が流れ込まない還元条件下で撹拌乾燥するのが好ましく、必要に応じて加熱手段を設けて加熱乾燥をしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る加熱処理装置は、内筒部内に食材を連続投入する際に、各ゾーン毎に加熱条件を設定及び変更可能で有り、食材に適した連続処理ができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る食材の加熱処理装置と乾燥冷却装置の構造例を示す。
図2】乾燥冷却装置の内部構造例を示す。
図3】ドラムの連結構造例を示す。
図4】(a)はフランジ部の回転ローラによる支持の例、(b)はその側面図を示す。
図5】加熱処理装置の処理ゾーンの設定例を示す。
図6】食材の加熱処理パターンの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に本発明に係る食材の加熱処理装置及び乾燥冷却装置の構造例を示し、図2に乾燥冷却装置の構造例を示す。
加熱処理装置10は、複数の仕切り12aにて複数の処理ゾーンに区分けした外室部12と、この外室部12に設けた複数の仕切り12aを横断するように内筒部13が設けられている。
内筒部13は、複数の回転ローラ18にて支持され、その状態で駆動モーター16と内筒部の端部に連結固定したスプロケット17とがチェーン16aにて伝達連結されている。
これにより、内筒部13は回転制御されている。
また、架台11にはキャスターが取り付けられ、移動可能になっている。
【0016】
内筒部13は、SUSのメッシュ材等を用いて通気可能に製作されている。
内部には、螺旋状の搬送スクリュー13dが設けられている。
図3(a)に示すように、内筒部13は複数のドラム13aが差込部13cを介して、差し込み連結された分割構造になっている。
ドラム13aの両端側には、外形が円形状のフランジ部13bが形成され、図4(a),(b)に示すようにフランジ部13bの外周部を3つの回転ローラ18にて回転保持されている。
回転ローラ18は、中央部が溝部18aからなる溝構造になっていて、この溝部18aにフランジ部13bが載置され、回転ローラ18は支持ブラケット18bに軸部18cを介して軸着されている。
これにより、差込部にて熱膨張,冷却収縮の寸法変化を吸収し、また分割できるので、メンテナンスが容易である。
外室部12の仕切り12aで仕切られた各ゾーンには、図5に示すように過熱水蒸気発生器15(15a〜15g),加熱ヒーター14(14a〜14g)及び散水手段(散水バルブ制御)19(V〜V)が、それぞれ設けられている。
また、外室内のガスは、排気口12b,12cから排出される。
【0017】
供給スクリュー等により米等の食材が投入されると、投入ホッパー12dから内筒部13に投入される。
外室部12を図1に示すように、仕切り12aにて複数のゾーンに区分けしたので、各ゾーンを横切る食材は、それぞれのゾーンの処理条件がコンピューターによりプログラム制御されている。
例えば図5で説明すると、初期のS行程では散水により加水しながら過熱水蒸気による還元条件下で余熱できる。
次のS行程では、還元条件下、高温加熱処理をする。
次にS行程で還元条件下、乾燥処理し、S行程にて飽和水蒸気の状態にし、還元下で冷却することができる。
これらの温度変化パターンを図6に例として示す。
図6のグラフは、食材が各ゾーンを通過する全体の加熱条件の変化を示す。
過熱水蒸気の温度は、300℃〜550℃の範囲で制御され、加熱ヒーターは、過熱水蒸気が所定の温度に維持されるようにサポートする役割を有する。
食材によっては、食材の加熱にも利用でき、各ゾーンに上下1対の加熱ヒーターを配置した。
【0018】
加熱処理された食材は、搬出ホッパー12eを経由して乾燥冷却装置20に投入される。
乾燥冷却装置20は、図2に示すように左右一対の撹拌スクユー22,23と、その中央部下側に設けた撹拌及び搬出を備えた小撹拌スクリュー24の3軸スクリュー構造例になっている。
各スクリューは、駆動モーター22a,24aにて回転制御されている。
上部は、天板21aと複数の通気孔121bを有する中間部材21bとからなる。
また、下側の仕切り板となる底板部26の下側には、冷却ファン25aによる冷却エアーが送り込まれる。
食材を投入口21cから投入する際に、食材により投入口21cがシールされた状態になり、食材中の水蒸気は天板21aと中央部材12bとの間を通過し、エキゾーストファン25bにより外部に排出される。
これにより、内部にはエアーが流れ込まないようになっており、還元条件下で乾燥及び冷却がされる。
なお、加熱ヒーター26を設け、乾燥温度を制御することもできる。
搬出部24bから搬出された食材は、さらに粉砕機30等によりパウダーにすることもできる。
【0019】
本発明において加熱処理される食材に制限はない。
その中でも米,麦,豆類等の粒状の穀類に好適である。
【符号の説明】
【0020】
10 加熱処理装置
11 架台
12 外室部
12a 仕切り
13 内筒部
13a ドラム
13b フランジ部
14 加熱ヒーター
15 過熱水蒸気発生器
16 駆動モーター
17 スプロケット
18 回転ローラ
19 散水手段
20 乾燥冷却装置
30 粉砕機
図1
図2
図3
図4
図5
図6