(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記空間形成部材の前記円形開口が前記洗浄具の前記上端面により閉塞された状態で、前記上端面を通る鉛直軸の周りで前記洗浄具を前記空間形成部材に対して相対的に回転させる洗浄具回転部をさらに備える、請求項1または2記載の基板洗浄装置。
前記洗浄具の前記上端面が前記空間形成部材の前記円形開口を閉塞するように前記洗浄具を前記空間形成部材に対して相対的に移動させる相対的移動部をさらに備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板洗浄装置。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施の形態に係る基板洗浄装置およびそれを備える基板処理装置について図面を用いて説明する。なお、以下の説明において、基板とは、半導体基板、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板またはフォトマスク用基板等をいう。また、本発明において、基板の上面とは上方に向けられた基板の面をいい、基板の下面とは下方に向けられた基板の面をいう。
【0025】
(1)基板洗浄装置
図1は本発明の一実施の形態に係る基板洗浄装置の概略構成を示す模式的平面図であり、
図2は
図1の基板洗浄装置700を白抜きの矢印Mの方向に見た模式的側面図であり、
図3は
図1の基板洗浄装置700を白抜きの矢印Nの方向に見た模式的側面図である。
【0026】
図1〜
図3に示すように、基板洗浄装置700は、スピンチャック200、ガード機構300、複数(本例では3つ)の受け渡し機構350、基板研磨部400、基板洗浄部500、ブラシ洗浄部600、筐体710、液受けバット720および研磨洗浄コントローラ780を含む。
図2および
図3では、研磨洗浄コントローラ780の図示が省略される。
【0027】
筐体710は、4つの側壁711,712,713,714(
図1)、天井部715(
図2)および底面部716(
図2)を有する。側壁711,713が互いに対向するとともに、側壁
712,714が互いに対向する。側壁711には、筐体710の内部と外部との間で基板Wを搬入および搬出するための図示しない開口が形成されている。なお、
図1では天井部715の図示が省略され、
図2では側壁713の図示が省略され、
図3では側壁714の図示が省略される。
【0028】
以下の説明においては、筐体710の内部から側壁711を通して筐体710の外方に向く方向を基板洗浄装置700の前方と呼び、筐体710の内部から側壁713を通して筐体710の外方に向く方向を基板洗浄装置700の後方と呼ぶ。また、筐体710の内部から側壁712を通して筐体710の外方に向く方向を基板洗浄装置700の左方と呼び、筐体710の内部から側壁714を通して筐体710の外方に向く方向を基板洗浄装置700の右方と呼ぶ。
【0029】
筐体710の内部においては、中央部上方の位置にスピンチャック200が設けられている。スピンチャック200は、基板Wを水平姿勢で保持して回転させる。
図1〜
図3では、スピンチャック200により保持される基板Wが太い二点鎖線で示される。
図2および
図3に示すように、スピンチャック200は配管を介して流体供給系98に接続される。流体供給系98は、配管、バルブ、流量計、レギュレータ、ポンプ、温度調節器等を含み、スピンチャック200の後述する液供給管215(
図8)に洗浄液を供給することが可能である。
【0030】
スピンチャック200の下方には、スピンチャック200の下方の空間を取り囲むように、ガード機構300および3つの受け渡し機構350が設けられている。ガード機構300は、ガード310およびガード昇降駆動部320を含む。スピンチャック200、ガード機構300および3つの受け渡し機構350の詳細は後述する。
【0031】
ガード機構300および複数の受け渡し機構350よりも左方に基板研磨部400が設けられている。基板研磨部400は、アーム410およびアーム支持柱420を含む。アーム支持柱420は、後方の側壁713の近傍で上下方向に延びる。アーム410は、その一端部がアーム支持柱420の内部で昇降可能かつ回転可能に支持された状態で、アーム支持柱420から水平方向に延びる。
【0032】
アーム410の他端部には、スピンチャック200により保持される基板Wの下面を研磨する研磨ヘッドphが取り付けられている。研磨ヘッドphは、円柱形状を有し、例えば砥粒が分散されたPVA(ポリビニールアルコール)スポンジにより形成される。アーム410の内部には、研磨ヘッドphをその軸心の周りで回転させる駆動系(図示せず)が設けられている。
【0033】
研磨ヘッドphの近傍におけるアーム410の部分にノズル410Nが取り付けられている。
図2に示すように、ノズル410Nは配管を介して流体供給系98に接続される。流体供給系98は、ノズル410Nに洗浄液を供給することが可能である。本実施の形態では、洗浄液として純水が用いられる。ノズル410Nの吐出口は研磨ヘッドphの上端面(研磨面)周辺に向けられる。
【0034】
基板Wの下面の研磨が行われない状態で、アーム410は、基板洗浄装置700の前後方向に延びるようにアーム支持柱420に支持される。このとき、研磨ヘッドphはスピンチャック200により保持される基板Wの外方に位置する。このように、アーム410が前後方向に延びる状態で研磨ヘッドphが配置される位置をヘッド待機位置p1と呼ぶ。
図1ではヘッド待機位置p1が二点鎖線で示される。
【0035】
基板Wの下面の研磨時には、アーム410がアーム支持柱420を中心に回転する。それにより、基板Wよりも下方の高さで、
図1に太い矢印a1で示すように、研磨ヘッドphがスピンチャック200により保持される基板Wの中心に対向する位置とヘッド待機位置p1との間を移動する。また、研磨ヘッドphの上端面(研磨面)が基板Wの下面に接触するように、アーム410の高さが調整される。
【0036】
ガード機構300および複数の受け渡し機構350よりも右方に基板洗浄部500が設けられている。基板洗浄部500は、アーム510およびアーム支持柱520を含む。アーム支持柱520は、後方の側壁713の近傍で上下方向に延びる。アーム510は、その一端部がアーム支持柱520の内部で昇降可能かつ回転可能に支持された状態で、アーム支持柱520から水平方向に延びる。
【0037】
アーム510の他端部には、スピンチャック200により保持される基板Wの下面を洗浄する洗浄ブラシcbが取り付けられている。洗浄ブラシcbは、円柱形状を有し、例えばPVAスポンジにより形成される。アーム510の内部には、洗浄ブラシcbをその軸心の周りで回転させる駆動系(後述する
図4参照)が設けられている。本例では、洗浄ブラシcbの外径は研磨ヘッドphの外径と等しい。なお、洗浄ブラシcbの外径と研磨ヘッドphの外径とは互いに異なる大きさに設定されてもよい。
【0038】
洗浄ブラシcbの近傍におけるアーム510の部分にノズル510Nが取り付けられている。
図2および
図3に示すように、ノズル510Nは配管を介して流体供給系98に接続される。流体供給系98は、ノズル510Nに洗浄液を供給することが可能である。ノズル510Nの吐出口は洗浄ブラシcbの上端面(洗浄面)周辺に向けられる。
【0039】
基板Wの下面の洗浄が行われない状態で、アーム510は、基板洗浄装置700の前後方向に延びるようにアーム支持柱520に支持される。このとき、洗浄ブラシcbはスピンチャック200により保持される基板Wの外方に位置する。このように、アーム510が前後方向に延びる状態で洗浄ブラシcbが配置される位置をブラシ待機位置p2と呼ぶ。
図1ではブラシ待機位置p2が二点鎖線で示される。
【0040】
基板Wの下面の洗浄時には、アーム510がアーム支持柱520を中心に回転する。それにより、基板Wよりも下方の高さで、
図1に太い矢印a2で示すように、洗浄ブラシcbがスピンチャック200により保持される基板Wの中心に対向する位置とブラシ待機位置p2との間を移動する。また、洗浄ブラシcbの上端面(洗浄面)が基板Wの下面に接触するように、アーム510の高さが調整される。
【0041】
ブラシ待機位置p2に配置される洗浄ブラシcbに対向するように、基板洗浄部500よりも上方でかつスピンチャック200よりも右方の位置にブラシ洗浄部600が設けられている。ブラシ洗浄部600は配管を介して流体供給系98に接続される。流体供給系98は、ブラシ洗浄部600に洗浄液を供給することが可能である。ブラシ洗浄部600においては、基板洗浄部500の洗浄ブラシcbが洗浄される。ブラシ洗浄部600の詳細は後述する。
【0042】
基板洗浄装置700の底面部716上には、スピンチャック200、ガード機構300、複数の受け渡し機構350、基板研磨部400、基板洗浄部500およびブラシ洗浄部600の下方に位置するように液受けバット720が設けられている。液受けバット720は、筐体710内の各部から落下する洗浄液を受け止める。
図2および
図3に示すように、液受けバット720には廃液部721が設けられている。廃液部721は、配管を介して廃棄系99に接続される。
【0043】
研磨洗浄コントローラ780は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)およびRAM(ランダムアクセスメモリ)等を含む。ROMには、制御プログラムが記憶される。CPUはROMに記憶された制御プログラムをRAMを用いて実行することにより基板洗浄装置700の各部の動作を制御する。
【0044】
(2)基板研磨部および基板洗浄部の詳細
図1〜
図3の基板研磨部400および基板洗浄部500は、アーム410,510の他端部に設けられる部材(研磨ヘッドphおよび洗浄ブラシcb)が異なる点を除いて基本的に同じ構成を有する。そこで、基板研磨部400および基板洗浄部500のうち、代表して基板洗浄部500の構成を説明する。
【0045】
図4は、
図1〜
図3の基板洗浄部500の構成を示す模式的側面図である。
図4に示すように、アーム510は、一体的に接続されたアーム一端部511、アーム本体部512およびアーム他端部513を含む。アーム支持柱520の内部には、アーム510のアーム一端部511を昇降可能に支持するアーム昇降駆動部530が設けられている。また、アーム支持柱520の内部には、アーム510およびアーム昇降駆動部530をアーム支持柱520の軸心の周りで回転可能に支持するアーム回転駆動部540が設けられている。
【0046】
アーム一端部511の内部には、プーリ517およびモータ518が設けられている。プーリ517は、モータ518の回転軸に接続されている。また、アーム他端部513の内部には、回転支持軸514およびプーリ515が設けられている。洗浄ブラシcbは、回転支持軸514の上端部に取り付けられている。プーリ515は、回転支持軸514の下端部に取り付けられている。さらに、アーム本体部512の内部には、2つのプーリ515,517を接続するベルト516が設けられている。
図1の研磨洗浄コントローラ780の制御に基づいてモータ518が動作すると、モータ518の回転力がプーリ517、ベルト516、プーリ515および回転支持軸514を通して洗浄ブラシcbに伝達される。それにより、洗浄ブラシcbが回転する。
【0047】
アーム昇降駆動部530は、鉛直方向に延びるリニアガイド531、エアシリンダ532および電空レギュレータ533を含む。リニアガイド531には、アーム一端部511が昇降可能に取り付けられている。この状態で、アーム一端部511がエアシリンダ532に接続されている。
【0048】
エアシリンダ532は、電空レギュレータ533を通して空気が供給されることにより鉛直方向に伸縮可能に設けられている。電空レギュレータ533は、
図1の研磨洗浄コントローラ780により制御される電気制御式のレギュレータである。電空レギュレータ533からエアシリンダ532に与えられる空気の圧力に応じてエアシリンダ532の長さが変化する。それにより、アーム一端部511がエアシリンダ532の長さに応じた高さに移動する。
【0049】
アーム回転駆動部540は、例えばモータおよび複数のギア等を含み、
図1の研磨洗浄コントローラ780により制御される。アーム支持柱520には、さらにアーム510の回転角度を検出するためのエンコーダ541が設けられている。エンコーダ541は、洗浄ブラシcbがブラシ待機位置p2にあるときのアーム510の延びる方向を基準としてアーム510の回転角度を検出し、検出結果を示す信号を
図1の研磨洗浄コントローラ780に与える。それにより、アーム510の回転角度がフィードバック制御される。
【0050】
(3)ブラシ洗浄部の詳細
円柱形状を有する洗浄ブラシcbの上端面で基板Wの下面を洗浄する場合、基板Wの下面に付着する汚染物は、主として洗浄ブラシcbの上端面の外周端部で剥ぎ取られる。そのため、洗浄ブラシcbの上端面の外周端部には、基板Wの下面から除去された汚染物が残留しやすい。そこで、ブラシ洗浄部600により洗浄ブラシcbが洗浄される。
【0051】
図5は、
図1のブラシ洗浄部600の縦断面図である。
図5では、ブラシ洗浄部600の縦断面図とともに
図4の基板洗浄部500の一部の構成が示される。
図5に示すように、ブラシ洗浄部600は、支持板610、空間形成部材620および洗浄液導入管630を含む。支持板610には、円形の貫通孔611が形成されている。
【0052】
空間形成部材620は、円板部621および円筒部622を含む。円板部621の中心部には、貫通孔621hが形成されている。円板部621の下面のうち、貫通孔621hを取り囲む部分から下方に延びるように円筒部622が形成されている。円筒部622の内側に内部空間625が形成される。内部空間625は、その下端部に円形開口624を有する。円筒部622は、円形開口624を形成する円環状の下端面623を有する。
図5の例では、円筒部622の下端面623は、円形開口624の内縁から斜め下方かつ外方に向かって傾斜する。
【0053】
円筒部622の内径は洗浄ブラシcbの外径よりも小さく設定される。例えば、洗浄ブラシcbの外径が20mmである場合に、円筒部622の内径は12mm程度に設定される。また、円筒部622の外径は洗浄ブラシcbの外径よりも大きくかつ支持板610の貫通孔611の内径よりも小さく設定される。
【0054】
空間形成部材620の円筒部622が支持板610の貫通孔611に嵌め込まれ、支持板610に接続される。支持板610および空間形成部材620は、基板洗浄部500の洗浄ブラシcbが
図1のブラシ待機位置p2にある状態で円筒部622の下端面623が洗浄ブラシcbの上端面に対向するように配置されている。
【0055】
空間形成部材620の円板部621に形成された貫通孔621hに洗浄液導入管630の一端部が接続される。この状態で、洗浄液導入管630の内部空間と、空間形成部材620の内部空間625とが連通する。洗浄液導入管630の他端部は、配管を介して流体供給系98に接続される。流体供給系98は、配管および洗浄液導入管630を通して空間形成部材620の内部空間625に洗浄液を供給することが可能である。
【0056】
図6は、洗浄ブラシcbの洗浄動作を説明するためのブラシ洗浄部600の縦断面図である。洗浄ブラシcbの洗浄前には、予め洗浄ブラシcbが
図1のブラシ待機位置p2に配置される。このとき、空間形成部材620の円筒部622の下端面623と、洗浄ブラシcbの上端面の外周端部とが対向する。
【0057】
洗浄ブラシcbを洗浄する際には、まず、
図6(a)に白抜きの矢印で示すように、洗浄ブラシcbの上端面が空間形成部材620の円形開口624を閉塞しかつ洗浄ブラシcbの上端面の外周端部が円筒部622の下端面623に接触するように、洗浄ブラシcbが上方に移動され、位置決めされる。さらに、洗浄ブラシcbが予め定められた圧力で下端面623に押圧される。なお、予め定められた圧力は0であってもよい。
【0058】
続いて、
図6(b)に太い実線の矢印で示すように、流体供給系98から配管および洗浄液導入管630を通して空間形成部材620の内部空間625に洗浄液(純水)が供給される。また、
図6(b)に白抜きの矢印で示すように、洗浄ブラシcbがその軸心の周りで回転する。
【0059】
上記のように、洗浄ブラシcbは、PVAスポンジにより形成されるので、弾力性を有する。内部空間625内に洗浄液が供給されると、内部空間625内の洗浄液は、空間形成部材620の円形開口624から洗浄ブラシcbの上端面と空間形成部材620の下端面623との間を通して空間形成部材620の外部に流出する。それにより、洗浄ブラシcbの上端面の外周端部に残留する汚染物が、空間形成部材620の内部空間625から流出する洗浄液とともに洗い流される。流出した洗浄液は、汚染物とともに
図1の液受けバット720により受け止められ、
図2の廃棄系99に送られる。
【0060】
それにより、基板Wの下面から除去された汚染物が洗浄ブラシcbに再付着することが防止され、洗浄後の洗浄ブラシcbの清浄度が向上する。これらの結果、基板Wの下面に付着した汚染物を除去することが可能であるとともに、除去された汚染物の基板Wへの再付着が低減される。
【0061】
上記の例では、洗浄ブラシcbの洗浄時に、円筒部622の円形開口624が洗浄ブラシcbの上端面により閉塞された状態で洗浄ブラシcbが回転するので、洗浄ブラシcbの上端面に残留する汚染物が空間形成部材620の下端面623により擦り取られる。また、空間形成部材620の内部空間625において、洗浄ブラシcbの回転とともに鉛直軸の周りで回転する洗浄液の流れが発生する。そのため、空間形成部材620の内部空間625から流出する洗浄液に遠心力が作用する。それにより、空間形成部材620の下端面623により擦り取られた汚染物が、空間形成部材620の内部空間625から流出する洗浄液により円滑に除去される。
【0062】
なお、洗浄ブラシcbの洗浄時に洗浄ブラシcbを回転させなくてもよい。この場合、
図4の基板洗浄部500のうち、洗浄ブラシcbを回転させるためのアーム510内部の構成が不要となる。したがって、基板洗浄部500の構成が単純化する。
【0063】
図5および
図6の例では、円筒部622の下端面623は、円形開口624の内縁から斜め下方かつ外方に向かって傾斜する。このような構成により、洗浄ブラシcbの洗浄時には、円筒部622の下端面623の形状に沿って、洗浄液が円形開口624の内縁から斜め下方かつ外方に向かって円滑に流れる。それにより、空間形成部材620の内部空間625から流出する洗浄液が広い範囲に渡って飛散することが防止される。
【0064】
なお、円筒部622の下端面623は、傾斜することなく円筒部622の軸心に直交するように形成されてもよい。この場合、空間形成部材620の作製時に、円筒部622の下端面623の加工が容易になる。
【0065】
洗浄ブラシcbの洗浄は、基板Wの下面の研磨開始時点よりも所定時間前(例えば数秒前)、基板Wの下面の洗浄開始時点よりも所定時間前(例えば数秒前)および基板Wの下面の洗浄終了時点から所定時間経過後(例えば数秒後)のうち少なくとも1つのタイミングで実行されることが好ましい。また、洗浄ブラシcbの洗浄は、基板洗浄装置700の稼働中に予め定められた周期(例えば1時間)で繰り返し実行されてもよい。
【0066】
上記の構成においては、円筒部622の下端面623は平滑に形成される。この場合、洗浄ブラシcbの洗浄時に洗浄ブラシcbの上端面が摩耗することが抑制される。それにより、洗浄ブラシcbの洗浄による洗浄ブラシcbの短寿命化が抑制される。
【0067】
なお、洗浄ブラシcbが耐摩耗性に優れた材料で形成される場合には、円筒部622の下端面623に凹凸が形成されてもよい。この場合、洗浄ブラシcbの上端面の外周端部が円筒部622の下端面623の凹凸に接触することにより、洗浄ブラシcbの上端面に残留する汚染物がより効率的に擦り取られる。
【0068】
(4)スピンチャック、ガード機構および複数の基板受け渡し機構の詳細
まず、
図1のスピンチャック200によって保持される基板Wの外周端部の構造を説明する。
図7は、基板Wの外周端部の構造を示す拡大側面図である。
図7に示すように、基板Wの外周端部WEは、上面側のベベル部1、下面側のベベル部2および端面3を含む。以下の説明においては、基板Wの下面周縁部とは、基板Wのベベル部2から所定の幅だけ内側までの領域を意味し、その幅は研磨ヘッドphおよび洗浄ブラシcbの外径よりも小さい。
【0069】
図8は
図1のスピンチャック200およびその周辺部材の構成を説明するための概略側面図であり、
図9はスピンチャック200およびその周辺部材の構成を説明するための概略平面図である。
図8および
図9では、スピンチャック200により保持される基板Wが太い二点鎖線で示される。
【0070】
図8および
図9に示すように、スピンチャック200は、スピンモータ211、円板状のスピンプレート213、プレート支持部材214、4つのマグネットプレート231A,231B,232A,232B(
図9)、4つのマグネット昇降機構233A,233B,234A,234B(
図9)、複数のチャックピン220および複数の補助ピン290を含む。
【0071】
スピンモータ211は、
図1の筐体710内部の中央よりもやや上方の位置で図示しない支持部材によって支持されている。スピンモータ211は、下方に延びる回転軸212を有する。回転軸212の下端部にプレート支持部材214が取り付けられている。プレート支持部材214によりスピンプレート213が水平に支持されている。スピンモータ211が動作することにより回転軸212が回転し、スピンプレート213が鉛直軸の周りで回転する。
【0072】
回転軸212およびプレート支持部材214には、液供給管215が挿通されている。液供給管215の一端は、プレート支持部材214の下端部よりも下方に突出する。液供給管215の他端は、配管を介して流体供給系98に接続される。スピンチャック200により保持される基板Wの上面上に、流体供給系98から液供給管215を通して洗浄液を吐出することができる。
【0073】
複数のチャックピン220が、回転軸212に関して等角度間隔でスピンプレート213の周縁部に設けられる。本例では、8つのチャックピン220が、回転軸212に関して45度間隔でスピンプレート213の周縁部に設けられる。各チャックピン220は、軸部221、ピン支持部222、保持部223およびマグネット224を含む。
【0074】
軸部221は、スピンプレート213を垂直方向に貫通するように設けられる。ピン支持部222は、軸部221の下端部から水平方向に延びるように設けられる。保持部223は、ピン支持部222の先端部から下方に突出するように設けられる。また、スピンプレート213の上面側において、軸部221の上端部にマグネット224が取り付けられている。
【0075】
各チャックピン220は、軸部221を中心に鉛直軸の周りで回転可能であり、保持部223が基板Wの外周端部WE(
図7)に接触する閉状態と、保持部223が基板Wの外周端部WEから離間する開状態とに切替可能である。なお、本例では、マグネット224のN極が内側にある場合に各チャックピン220が閉状態となり、マグネット224のS極が内側にある場合に各チャックピン220が開状態となる。また、閉状態においては、保持部223は、基板Wのベベル部1,2(
図7)に接触する。
【0076】
スピンプレート213の上方には、
図9に示すように、回転軸212を中心とする周方向に沿って並ぶように円弧状の4つのマグネットプレート231A,231B,232A,232Bが配置される。4つのマグネットプレート231A,231B,232A,232Bのうちマグネットプレート232Aは、
図1の基板研磨部400のアーム410が回転することにより研磨ヘッドphが移動する経路の上方に位置する。また、マグネットプレート232Bは、
図1の基板洗浄部500のアーム510が回転することにより洗浄ブラシcbが移動する経路の上方に位置する。
【0077】
マグネットプレート231A,231B,232A,232Bの各々は、外側にS極を有し、内側にN極を有する。マグネット昇降機構233A,233B,234A,234Bは、マグネットプレート231A,231B,232A,232Bをそれぞれ昇降させる。これにより、マグネットプレート231A,231B,232A,232Bは、チャックピン220のマグネット224よりも高い上方位置とチャックピン220のマグネット224とほぼ等しい高さの下方位置との間で独立に移動可能である。
【0078】
マグネットプレート231A,231B,232A,232Bの昇降により、各チャックピン220が開状態と閉状態とに切り替えられる。具体的には、各チャックピン220は、複数のマグネットプレート231A,231B,232A,232Bのうち、最も近接するマグネットプレートが上方位置にある場合に開状態となる。一方、各チャックピン220は、最も近接するマグネットプレートが下方位置にある場合に閉状態となる。
【0079】
図8および
図9に示すように、複数の補助ピン290が、回転軸212に関して等角度間隔でかつ複数のチャックピン220と干渉しないようにスピンプレート213の周縁部に設けられる。本例では、8つの補助ピン290が、回転軸212に関して45度間隔でスピンプレート213の周縁部に設けられる。各補助ピン290は、隣り合う2つのチャックピン220の中間の位置において、スピンプレート213を垂直方向に貫通するように配置される。各チャックピン220が閉状態となり、保持部223が基板Wのベベル部1,2(
図7)に接触している状態において、各補助ピン290の一部が基板Wのベベル部1に接触する。このとき、補助ピン290の下端部は、基板Wよりも下方に突出しないように形成されている。
【0080】
補助ピン290は、基板Wの下面の研磨時に、基板研磨部400の研磨ヘッドphにより基板Wの下面に加えられる押圧力に抗する反力を基板Wに発生させる。また、補助ピン290は、基板Wの下面の洗浄時に、基板洗浄部500の洗浄ブラシcbにより基板Wの下面に加えられる押圧力に抗する反力を基板Wに発生させる。
【0081】
上記のように、ガード機構300は、ガード310およびガード昇降駆動部320を含む。
図8では、ガード310が縦断面図で示される。ガード310は、スピンチャック200の回転軸212に関して回転対称な形状を有し、スピンチャック200およびその下方の空間よりも外方に設けられる。ガード昇降駆動部320は、ガード310を昇降させる。ガード310は、基板Wの研磨および洗浄時に基板Wから飛散する洗浄液を受け止め、
図1の液受けバット720へ導く。
【0082】
複数の受け渡し機構350は、スピンチャック200の回転軸212を中心として等角度間隔でガード310の外方に配置される。各受け渡し機構350は、昇降回転駆動部351、回転軸352、アーム353および保持ピン354を含む。
【0083】
回転軸352は、昇降回転駆動部351から上方に延びるように設けられる。アーム353は、回転軸352の上端部から水平方向に延びるように設けられる。保持ピン354は、基板Wの外周端部WEを保持可能にアーム353の先端部に設けられる。昇降回転駆動部351により、回転軸352が昇降動作および回転動作を行う。それにより、保持ピン354が水平方向および上下方向に移動する。
【0084】
(5)基板洗浄装置の制御系
図10は
図1の基板洗浄装置700の制御系統の構成を示すブロック図である。
図10には、研磨洗浄コントローラ780の機能的な構成が示される。研磨洗浄コントローラ780は、スピンチャック制御部781、受け渡し機構制御部782、ガード昇降制御部783、基板研磨制御部784、基板上面用液供給制御部785、ブラシ洗浄用液供給制御部786および基板洗浄制御部790を含む。基板洗浄制御部790は、さらに回転制御部791、昇降制御部792、アーム制御部793および基板下面用液供給制御部794を含む。
図10の研磨洗浄コントローラ780の各部の機能は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。
【0085】
基板洗浄制御部790の回転制御部791、昇降制御部792、アーム制御部793および基板下面用液供給制御部794は、主として基板洗浄部500の各部の動作を制御する。より具体的には、回転制御部791は、モータ518(
図4)を制御することにより基板洗浄部500の洗浄ブラシcbの回転速度を調整する。昇降制御部792は、電空レギュレータ533(
図4)を制御することにより基板洗浄部500の洗浄ブラシcbの高さを調整する。アーム制御部793は、基板洗浄部500のエンコーダ541(
図4)からの信号に基づいてアーム回転駆動部540を制御することによりアーム510の回転角度をフィードバック制御する。基板下面用液供給制御部794は、流体供給系98を制御することにより、基板洗浄部500のノズル510Nから基板Wへの洗浄液の供給量を調整する。
【0086】
スピンチャック制御部781は、スピンチャック200の各部の動作を制御する。受け渡し機構制御部782は、基板洗浄装置700に設けられる複数の受け渡し機構350の動作を制御する。ガード昇降制御部783は、ガード機構300のガード昇降駆動部320を制御することにより、ガード310の高さを調整する。基板研磨制御部784は、基板研磨部400の各部の動作を制御する。上記のように基板研磨部400は、基本的に基板洗浄部500と同じ構成を有する。したがって、基板研磨制御部784も、基本的に上記の基板洗浄制御部790と同じ構成を有する。
【0087】
基板上面用液供給制御部785は、流体供給系98を制御することにより、スピンチャック200の液供給管215(
図8)から基板Wへの洗浄液の供給量を調整する。ブラシ洗浄用液供給制御部786は、流体供給系98を制御することにより、ブラシ洗浄部600の洗浄液導入管630から空間形成部材620の内部空間625への洗浄液の供給量を調整する。
【0088】
(6)基板洗浄装置による基板の下面の研磨および洗浄
図1の基板洗浄装置700においては、例えば基板Wが筐体710内に搬入された後、基板Wの上面の洗浄、基板Wの下面の研磨および基板Wの下面の洗浄がこの順で連続的に実行される。このときの基板洗浄装置700の動作について説明する。
【0089】
図11および
図12は、筐体710内に基板Wが搬入される際の基板洗浄装置700の動作を示す側面図である。まず、
図11(a)に示すように、ガード310がチャックピン220よりも低い位置に移動する。そして、複数の受け渡し機構350(
図8)の保持ピン354がガード310の上方を通ってスピンプレート213の下方に移動する。複数の保持ピン354上に図示しない搬送機構により基板Wが載置される。
【0090】
このとき、全てのマグネットプレート231A,231B,232A,232B(
図9)は上方位置にある。この場合、マグネットプレート231A,231B,232A,232Bの磁力線Bは、チャックピン220のマグネット224の高さにおいて内側から外側に向かう。それにより、各チャックピン220のマグネット224のS極が内側に吸引される。したがって、各チャックピン220は開状態となる。
【0091】
次に、
図11(b)に示すように、複数の保持ピン354が基板Wを保持した状態で上昇する。これにより、基板Wが、複数のチャックピン220の保持部223間に移動する。また、基板Wのベベル部1(
図7)は、複数の補助ピン290に接触する。
【0092】
続いて、
図12(a)に示すように、全てのマグネットプレート231A,231B,232A,232B(
図9)が下方位置に移動する。この場合、各チャックピン220のマグネット224のN極が内側に吸引され、各チャックピン220が閉状態となる。それにより、基板Wのベベル部1(
図7)が複数の補助ピン290に接触した状態で、各チャックピン220の保持部223により基板Wのベベル部1,2(
図7)が保持される。その後、複数の保持ピン354がスピンチャック200の外方に移動する。
【0093】
次に、
図12(b)に示すように、ガード310がチャックピン220により保持される基板Wを取り囲む高さに移動する。この状態で、基板Wの上面の洗浄が開始される。
【0094】
図13は、基板Wの上面の洗浄について説明するための側面図である。
図13に示すように、基板Wの上面を洗浄する際には、スピンチャック200により基板Wが回転する状態で、液供給管215を通して基板Wの上面に洗浄液が供給される。洗浄液は遠心力によって基板Wの上面の全体に広がり、外方に飛散する。これにより、基板Wの上面に付着する塵埃等が洗い流される。
【0095】
図14は、基板Wの下面の研磨について説明するための側面図である。基板Wの下面を研磨する際には、スピンチャック200により基板Wが回転する状態で、基板研磨部400のノズル410Nから洗浄液が吐出される。また、基板研磨部400の研磨ヘッドphが
図1のヘッド待機位置p1から基板Wの下面中心部に対向する位置まで移動し、上端面が基板Wの下面に接触するまで研磨ヘッドphが上昇する。研磨ヘッドphの上端面が基板Wに接触しかつ研磨ヘッドphが基板Wの下面に予め定められた圧力で押圧される。この状態で、
図14に太い矢印で示すように、研磨ヘッドphが基板Wの下面中心部から下面周縁部まで移動する。このとき、研磨ヘッドphは、その軸心の周りで回転してもよいし、回転しなくてもよい。このようにして、基板Wの下面が研磨ヘッドphにより研磨される。基板Wの下面の研磨後、研磨ヘッドphは、基板Wよりも下方の予め定められた高さまで移動し、
図1のヘッド待機位置p1まで移動する。
【0096】
研磨ヘッドphにより基板Wの下面周縁部が研磨される際には、研磨ヘッドphと複数のチャックピン220とが干渉する可能性がある。そこで、本例では、研磨ヘッドphが基板Wの下面周縁部に到達する際に、
図9のマグネット昇降機構234Aにより
図9のマグネットプレート232Aが下方位置から上方位置に移動する。それにより、各チャックピン220は、複数のマグネットプレート231A,231B,232A,232Bのうちマグネットプレート232Aに対応する領域で局部的に開状態となる。この場合、マグネットプレート232Aは研磨ヘッドphの移動経路の上方に位置するので、研磨ヘッドphが複数のチャックピン220に干渉することが防止される。
【0097】
研磨ヘッドphによる基板Wの下面周縁部の研磨後、
図9のマグネットプレート232Aは上方位置から下方位置に移動する。それにより、基板Wが全てのチャックピン220により保持される。
【0098】
図15は、基板Wの下面の洗浄について説明するための側面図である。基板Wの下面を洗浄する際には、スピンチャック200により基板Wが回転する状態で、基板洗浄部500のノズル510Nから洗浄液が吐出される。また、基板洗浄部500の洗浄ブラシcbが
図1のブラシ待機位置p2から基板Wの下面中心部に対向する位置まで移動し、上端面が基板Wの下面に接触するまで洗浄ブラシcbが上昇する。洗浄ブラシcbの上端面が基板Wに接触しかつ洗浄ブラシcbが基板Wの下面に予め定められた圧力で押圧される。この状態で、
図15に太い矢印で示すように、洗浄ブラシcbが基板Wの下面中心部から下面周縁部まで移動する。このとき、洗浄ブラシcbは、その軸心の周りで回転してもよいし、回転しなくてもよい。このようにして、基板Wの下面が洗浄ブラシcbにより洗浄される。それにより、基板Wの下面の研磨時に基板Wから剥離された汚染物が物理的に除去され、洗い流される。基板Wの下面の洗浄後、洗浄ブラシcbは、基板Wよりも下方の予め定められた高さまで移動し、
図1のブラシ待機位置p2まで移動する。
【0099】
洗浄ブラシcbにより基板Wの下面周縁部が洗浄される際には、洗浄ブラシcbと複数のチャックピン220とが干渉する可能性がある。そこで、本例では洗浄ブラシcbが基板Wの下面周縁部に到達する際に、
図9のマグネット昇降機構234Bにより
図9のマグネットプレート232Bが下方位置から上方位置に移動する。それにより、各チャックピン220は、複数のマグネットプレート231A,231B,232A,232Bのうちマグネットプレート232Bに対応する領域で局部的に開状態となる。この場合、マグネットプレート232Bは洗浄ブラシcbの移動経路の上方に位置するので、洗浄ブラシcbが複数のチャックピン220に干渉することが防止される。
【0100】
洗浄ブラシcbによる基板Wの下面周縁部の洗浄後、
図9のマグネットプレート232Bは上方位置から下方位置に移動する。それにより、基板Wが全てのチャックピン220により保持される。
【0101】
上記のように、基板Wの下面周縁部の研磨および洗浄が行われる際には、いずれかのチャックピン220が基板Wの外周端部WEから離間する。このとき、当該チャックピン220の近傍の基板Wの外周端部WEはチャックピン220により保持されていない。このような状態でも、当該チャックピン220に隣り合う2つの補助ピン290は基板Wのベベル部1に当接し、研磨ヘッドphまたは洗浄ブラシcbから基板Wに与えられる押圧力に抗する反力を基板Wに発生させる。そのため、基板Wの撓みが防止される。
【0102】
基板Wの上面の洗浄処理、基板Wの下面の研磨処理および基板Wの下面の洗浄処理の後には、基板Wの乾燥処理が行われる。この場合、全てのチャックピン220により基板Wが保持された状態で、その基板Wが高速で回転される。それにより、基板Wに付着する洗浄液が振り切られ、基板Wが乾燥する。
【0103】
なお、基板Wの乾燥処理時に、液供給管215を通して基板Wに不活性ガス(例えば窒素ガス)またはエア(空気)等の気体を供給してもよい。その場合、スピンプレート213と基板Wとの間に形成される気流によって基板W上の洗浄液が外方に吹き飛ばされる。それにより、基板Wを効率よく乾燥させることができる。
【0104】
基板Wの乾燥処理が終了することにより、上記の基板Wの搬入時とは逆の手順で基板Wが筐体710から搬出される。
【0105】
(7)基板処理装置
図16は、
図1の基板洗浄装置700を備えた基板処理装置の模式的平面図である。
図16および後述する
図17〜
図19には、位置関係を明確にするために互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付している。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は鉛直方向に相当する。
【0106】
図16に示すように、基板処理装置100は、インデクサブロック11、第1の処理ブロック12、第2の処理ブロック13、洗浄乾燥処理ブロック14Aおよび搬入搬出ブロック14Bを備える。洗浄乾燥処理ブロック14Aおよび搬入搬出ブロック14Bにより、インターフェイスブロック14が構成される。搬入搬出ブロック14Bに隣接するように露光装置15が配置される。露光装置15においては、液浸法により基板Wに露光処理が行われる。
【0107】
インデクサブロック11は、複数のキャリア載置部111および搬送部112を含む。各キャリア載置部111には、複数の基板Wを多段に収納するキャリア113が載置される。
【0108】
搬送部112には、メインコントローラ114および搬送装置115が設けられる。メインコントローラ114は、基板処理装置100の種々の構成要素を制御する。搬送装置115は、基板Wを保持しつつその基板Wを搬送する。
【0109】
第1の処理ブロック12は、塗布処理部121、搬送部122および熱処理部123を含む。塗布処理部121および熱処理部123は、搬送部122を挟んで対向するように設けられる。搬送部122とインデクサブロック11との間には、基板Wが載置される基板載置部PASS1および後述する基板載置部PASS2〜PASS4(
図19参照)が設けられる。搬送部122には、基板Wを搬送する搬送装置127および後述する搬送装置128(
図19参照)が設けられる。
【0110】
第2の処理ブロック13は、塗布現像処理部131、搬送部132および熱処理部133を含む。塗布現像処理部131および熱処理部133は、搬送部132を挟んで対向するように設けられる。搬送部132と搬送部122との間には、基板Wが載置される基板載置部PASS5および後述する基板載置部PASS6〜PASS8(
図19参照)が設けられる。搬送部132には、基板Wを搬送する搬送装置137および後述する搬送装置138(
図19参照)が設けられる。
【0111】
洗浄乾燥処理ブロック14Aは、洗浄乾燥処理部161,162および搬送部163を含む。洗浄乾燥処理部161,162は、搬送部163を挟んで対向するように設けられる。搬送部163には、搬送装置141,142が設けられる。
【0112】
搬送部163と搬送部132との間には、載置兼バッファ部P−BF1および後述の載置兼バッファ部P−BF2(
図19参照)が設けられる。
【0113】
また、搬送装置141,142の間において、搬入搬出ブロック14Bに隣接するように、基板載置部PASS9および後述の載置兼冷却部P−CP(
図19参照)が設けられる。
【0114】
搬入搬出ブロック14Bには、搬送装置146が設けられる。搬送装置146は、露光装置15に対する基板Wの搬入および搬出を行う。露光装置15には、基板Wを搬入するための基板搬入部15aおよび基板Wを搬出するための基板搬出部15bが設けられる。
【0115】
(8)塗布処理部および塗布現像処理部の構成
図17は、主として
図16の塗布処理部121、塗布現像処理部131および洗浄乾燥処理部161を示す基板処理装置100の模式的側面図である。
【0116】
図17に示すように、塗布処理部121には、塗布処理室21,22,23,24が階層的に設けられる。塗布処理室21〜24の各々には、塗布処理ユニット(スピンコータ)129が設けられる。塗布現像処理部131には、現像処理室31,33および塗布処理室32,34が階層的に設けられる。現像処理室31,33の各々には現像処理ユニット(スピンデベロッパ)139が設けられ、塗布処理室32,34の各々には塗布処理ユニット129が設けられる。
【0117】
各塗布処理ユニット129は、基板Wを保持するスピンチャック25およびスピンチャック25の周囲を覆うように設けられるカップ27を備える。本実施の形態では、各塗布処理ユニット129に2組のスピンチャック25およびカップ27が設けられる。スピンチャック25は、図示しない駆動装置(例えば、電動モータ)により回転駆動される。また、
図16に示すように、各塗布処理ユニット129は、処理液を吐出する複数の処理液ノズル28およびその処理液ノズル28を搬送するノズル搬送機構29を備える。
【0118】
塗布処理ユニット129においては、図示しない駆動装置によりスピンチャック25が回転されるとともに、複数の処理液ノズル28のうちのいずれかの処理液ノズル28がノズル搬送機構29により基板Wの上方に移動され、その処理液ノズル28から処理液が吐出される。それにより、基板W上に処理液が塗布される。また、図示しないエッジリンスノズルから、基板Wの周縁部にリンス液が吐出される。それにより、基板Wの周縁部に付着する処理液が除去される。
【0119】
塗布処理室22,24の塗布処理ユニット129においては、反射防止膜用の処理液が処理液ノズル28から基板Wに供給される。塗布処理室21,23の塗布処理ユニット129においては、レジスト膜用の処理液が処理液ノズル28から基板Wに供給される。塗布処理室32,34の塗布処理ユニット129においては、レジストカバー膜用の処理液が処理液ノズル28から基板Wに供給される。
【0120】
現像処理ユニット139は、塗布処理ユニット129と同様に、スピンチャック35およびカップ37を備える。また、
図16に示すように、現像処理ユニット139は、現像液を吐出する2つの現像ノズル38およびその現像ノズル38をX方向に移動させる移動機構39を備える。
【0121】
現像処理ユニット139においては、図示しない駆動装置によりスピンチャック35が回転されるとともに、一方の現像ノズル38がX方向に移動しつつ各基板Wに現像液を供給し、その後、他方の現像ノズル38が移動しつつ各基板Wに現像液を供給する。この場合、基板Wに現像液が供給されることにより、基板Wの現像処理が行われる。また、本実施の形態においては、2つの現像ノズル38から互いに異なる現像液が吐出される。それにより、各基板Wに2種類の現像液を供給することができる。
【0122】
洗浄乾燥処理部161には、洗浄乾燥処理室81,82,83,84が階層的に設けられる。洗浄乾燥処理室81〜84の各々に、
図1の基板洗浄装置700が設けられる。基板洗浄装置700においては、露光処理前の基板Wの上面洗浄処理、下面研磨処理、下面洗浄処理および乾燥処理が行われるとともに、洗浄ブラシcbの洗浄処理が行われる。
【0123】
ここで、洗浄乾燥処理部161に設けられる複数の基板洗浄装置700の研磨洗浄コントローラ780は、洗浄乾燥処理部161の上部にローカルコントローラとして設けられてもよい。あるいは、
図16のメインコントローラ114が、複数の基板洗浄装置700の研磨洗浄コントローラ780により実行される各種処理を実行してもよい。
【0124】
図16および
図17に示すように、塗布処理部121において塗布現像処理部131に隣接するように流体ボックス部50が設けられる。同様に、塗布現像処理部131において洗浄乾燥処理ブロック14Aに隣接するように流体ボックス部60が設けられる。流体ボックス部50および流体ボックス部60内には、塗布処理ユニット129および現像処理ユニット139への処理液および現像液の供給ならびに塗布処理ユニット129および現像処理ユニット139からの排液および排気等に関する流体関連機器が収納される。流体関連機器は、導管、継ぎ手、バルブ、流量計、レギュレータ、ポンプ、温度調節器等を含む。
【0125】
(9)熱処理部の構成
図18は、主として
図16の熱処理部123,133および洗浄乾燥処理部162を示す基板処理装置100の模式的側面図である。
図18に示すように、熱処理部123は、上方に設けられる上段熱処理部301および下方に設けられる下段熱処理部302を有する。上段熱処理部301および下段熱処理部302には、複数の熱処理装置PHP、複数の密着強化処理ユニットPAHPおよび複数の冷却ユニットCPが設けられる。
【0126】
熱処理装置PHPにおいては、基板Wの加熱処理が行われる。密着強化処理ユニットPAHPにおいては、基板Wと反射防止膜との密着性を向上させるための密着強化処理が行われる。具体的には、密着強化処理ユニットPAHPにおいて、基板WにHMDS(ヘキサメチルジシラ
ザン)等の密着強化剤が塗布されるとともに、基板Wに加熱処理が行われる。冷却ユニットCPにおいては、基板Wの冷却処理が行われる。
【0127】
熱処理部133は、上方に設けられる上段熱処理部303および下方に設けられる下段熱処理部304を有する。上段熱処理部303および下段熱処理部304には、冷却ユニットCP、複数の熱処理装置PHPおよびエッジ露光部EEWが設けられる。
【0128】
エッジ露光部EEWにおいては、基板W上に形成されたレジスト膜の周縁部の一定幅の領域に露光処理(エッジ露光処理)が行われる。上段熱処理部303および下段熱処理部304において、洗浄乾燥処理ブロック14Aに隣り合うように設けられる熱処理装置PHPは、洗浄乾燥処理ブロック14Aからの基板Wの搬入が可能に構成される。
【0129】
洗浄乾燥処理部162には、洗浄乾燥処理室91,92,93,94,95が階層的に設けられる。洗浄乾燥処理室91〜95の各々には、洗浄乾燥処理ユニットSD2が設けられる。洗浄乾燥処理ユニットSD2は、基板研磨部400が設けられない点および
図9のマグネットプレート231A,231B,232Aが一体的に設けられる点を除いて基板洗浄装置700と同じ構成を有する。洗浄乾燥処理ユニットSD2においては、露光処理後の基板Wの上面洗浄処理、下面洗浄処理および乾燥処理が行われるとともに、洗浄ブラシcbの洗浄処理が行われる。
【0130】
(10)搬送部の構成
図19は、主として
図16の搬送部122,132,163を示す側面図である。
図19に示すように、搬送部122は、上段搬送室125および下段搬送室126を有する。搬送部132は、上段搬送室135および下段搬送室136を有する。上段搬送室125には搬送装置(搬送ロボット)127が設けられ、下段搬送室126には搬送装置128が設けられる。また、上段搬送室135には搬送装置137が設けられ、下段搬送室136には搬送装置138が設けられる。
【0131】
搬送部112と上段搬送室125との間には、基板載置部PASS1,PASS2が設けられ、搬送部112と下段搬送室126との間には、基板載置部PASS3,PASS4が設けられる。上段搬送室125と上段搬送室135との間には、基板載置部PASS5,PASS6が設けられ、下段搬送室126と下段搬送室136との間には、基板載置部PASS7,PASS8が設けられる。
【0132】
上段搬送室135と搬送部163との間には、載置兼バッファ部P−BF1が設けられ、下段搬送室136と搬送部163との間には載置兼バッファ部P−BF2が設けられる。搬送部163において搬入搬出ブロック14Bと隣接するように、基板載置部PASS9および複数の載置兼冷却部P−CPが設けられる。
【0133】
搬送装置127は、基板載置部PASS1,PASS2,PASS5,PASS6、塗布処理室21,22(
図17)および上段熱処理部301(
図18)の間で基板Wを搬送可能に構成される。搬送装置128は、基板載置部PASS3,PASS4,PASS7,PASS8、塗布処理室23,24(
図17)および下段熱処理部302(
図18)の間で基板Wを搬送可能に構成される。
【0134】
搬送装置137は、基板載置部PASS5,PASS6、載置兼バッファ部P−BF1、現像処理室31(
図17)、塗布処理室32(
図17)および上段熱処理部303(
図18)の間で基板Wを搬送可能に構成される。搬送装置138は、基板載置部PASS7,PASS8、載置兼バッファ部P−BF2、現像処理室33(
図17)、塗布処理室34(
図17)および下段熱処理部304(
図18)の間で基板Wを搬送可能に構成される。
【0135】
搬送部163の搬送装置141(
図16)は、載置兼冷却部P−CP、基板載置部PASS9、載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2および洗浄乾燥処理部161(
図17)の間で基板Wを搬送可能に構成される。
【0136】
搬送部163の搬送装置142(
図16)は、載置兼冷却部P−CP、基板載置部PASS9、載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2、洗浄乾燥処理部162(
図18)、上段熱処理部303(
図18)および下段熱処理部304(
図18)の間で基板Wを搬送可能に構成される。
【0137】
(11)基板処理装置の動作
図16〜
図19を参照しながら基板処理装置100の動作を説明する。インデクサブロック11のキャリア載置部111(
図16)に、未処理の基板Wが収容されたキャリア113が載置される。搬送装置115は、キャリア113から基板載置部PASS1,PASS3(
図19)に未処理の基板Wを搬送する。また、搬送装置115は、基板載置部PASS2,PASS4(
図19)に載置された処理済の基板Wをキャリア113に搬送する。
【0138】
第1の処理ブロック12において、搬送装置127(
図19)は、基板載置部PASS1に載置された基板Wを密着強化処理ユニットPAHP(
図18)、冷却ユニットCP(
図18)および塗布処理室22(
図17)に順に搬送する。次に、搬送装置127は、塗布処理室22により反射防止膜が形成された基板Wを熱処理装置PHP(
図18)、冷却ユニットCP(
図18)および塗布処理室21(
図17)に順に搬送する。続いて、搬送装置127は、塗布処理室21によりレジスト膜が形成された基板Wを、熱処理装置PHP(
図18)および基板載置部PASS5(
図19)に順に搬送する。
【0139】
この場合、密着強化処理ユニットPAHPにおいて、基板Wに密着強化処理が行われた後、冷却ユニットCPにおいて、反射防止膜の形成に適した温度に基板Wが冷却される。次に、塗布処理室22において、塗布処理ユニット129(
図17)により基板W上に反射防止膜が形成される。続いて、熱処理装置PHPにおいて、基板Wの熱処理が行われた後、冷却ユニットCPにおいて、レジスト膜の形成に適した温度に基板Wが冷却される。次に、塗布処理室21において、塗布処理ユニット129(
図17)により、基板W上にレジスト膜が形成される。その後、熱処理装置PHPにおいて、基板Wの熱処理が行われ、その基板Wが基板載置部PASS5に載置される。
【0140】
また、搬送装置127は、基板載置部PASS6(
図19)に載置された現像処理後の基板Wを基板載置部PASS2(
図19)に搬送する。
【0141】
搬送装置128(
図19)は、基板載置部PASS3に載置された基板Wを密着強化処理ユニットPAHP(
図18)、冷却ユニットCP(
図18)および塗布処理室24(
図17)に順に搬送する。次に、搬送装置128は、塗布処理室24により反射防止膜が形成された基板Wを熱処理装置PHP(
図18)、冷却ユニットCP(
図18)および塗布処理室23(
図17)に順に搬送する。続いて、搬送装置128は、塗布処理室23によりレジスト膜が形成された基板Wを熱処理装置PHP(
図18)および基板載置部PASS7(
図19)に順に搬送する。
【0142】
また、搬送装置128(
図19)は、基板載置部PASS8(
図19)に載置された現像処理後の基板Wを基板載置部PASS4(
図19)に搬送する。塗布処理室23,24(
図17)および下段熱処理部302(
図18)における基板Wの処理内容は、上記の塗布処理室21,22(
図17)および上段熱処理部301(
図18)における基板Wの処理内容と同様である。
【0143】
第2の処理ブロック13において、搬送装置137(
図19)は、基板載置部PASS5に載置されたレジスト膜形成後の基板Wを塗布処理室32(
図17)、熱処理装置PHP(
図18)、エッジ露光部EEW(
図18)および載置兼バッファ部P−BF1(
図19)に順に搬送する。この場合、塗布処理室32において、塗布処理ユニット129(
図17)により、基板W上にレジストカバー膜が形成される。その後、熱処理装置PHPにおいて、基板Wの熱処理が行われ、その基板Wがエッジ露光部EEWに搬入される。続いて、エッジ露光部EEWにおいて、基板Wにエッジ露光処理が行われる。エッジ露光処理後の基板Wが載置兼バッファ部P−BF1に載置される。
【0144】
また、搬送装置137(
図19)は、洗浄乾燥処理ブロック14Aに隣接する熱処理装置PHP(
図18)から露光装置15による露光処理後でかつ熱処理後の基板Wを取り出す。搬送装置137は、その基板Wを冷却ユニットCP(
図18)、現像処理室31(
図17)、熱処理装置PHP(
図18)および基板載置部PASS6(
図19)に順に搬送する。
【0145】
この場合、冷却ユニットCPにおいて、現像処理に適した温度に基板Wが冷却された後、現像処理室31において、現像処理ユニット139によりレジストカバー膜が除去されるとともに基板Wの現像処理が行われる。その後、熱処理装置PHPにおいて、基板Wの熱処理が行われ、その基板Wが基板載置部PASS6に載置される。
【0146】
搬送装置138(
図19)は、基板載置部PASS7に載置されたレジスト膜形成後の基板Wを塗布処理室34(
図17)、熱処理装置PHP(
図18)、エッジ露光部EEW(
図18)および載置兼バッファ部P−BF2(
図19)に順に搬送する。
【0147】
また、搬送装置138(
図19)は、洗浄乾燥処理ブロック14Aに隣接する熱処理装置PHP(
図18)から露光装置15による露光処理後でかつ熱処理後の基板Wを取り出す。搬送装置138は、その基板Wを冷却ユニットCP(
図18)、現像処理室33(
図17)、熱処理装置PHP(
図18)および基板載置部PASS8(
図19)に順に搬送する。現像処理室33、塗布処理室34および下段熱処理部304における基板Wの処理内容は、上記の現像処理室31、塗布処理室32(
図17)および上段熱処理部303(
図18)における基板Wの処理内容と同様である。
【0148】
洗浄乾燥処理ブロック14Aにおいて、搬送装置141(
図16)は、載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2(
図19)に載置された基板Wを洗浄乾燥処理部161の基板洗浄装置700(
図17)に搬送する。続いて、搬送装置141は、基板Wを基板洗浄装置700から載置兼冷却部P−CP(
図19)に搬送する。この場合、基板洗浄装置700において、基板Wの洗浄および乾燥処理が行われた後、載置兼冷却部P−CPにおいて、露光装置15(
図16)における露光処理に適した温度に基板Wが冷却される。
【0149】
搬送装置142(
図16)は、基板載置部PASS9(
図19)に載置された露光処理後の基板Wを洗浄乾燥処理部162の洗浄乾燥処理ユニットSD2(
図18)に搬送する。また、搬送装置142は、洗浄および乾燥処理後の基板Wを洗浄乾燥処理ユニットSD2から上段熱処理部303の熱処理装置PHP(
図18)または下段熱処理部304の熱処理装置PHP(
図18)に搬送する。この熱処理装置PHPにおいては、露光後ベーク(PEB)処理が行われる。
【0150】
搬入搬出ブロック14Bにおいて、搬送装置146(
図16)は、載置兼冷却部P−CP(
図19)に載置された露光処理前の基板Wを露光装置15の基板搬入部15a(
図16)に搬送する。また、搬送装置146(
図16)は、露光装置15の基板搬出部15b(
図16)から露光処理後の基板Wを取り出し、その基板Wを基板載置部PASS9(
図19)に搬送する。
【0151】
なお、露光装置15が基板Wの受け入れをできない場合、露光処理前の基板Wが載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2に一時的に収容される。また、第2の処理ブロック13の現像処理ユニット139(
図17)が露光処理後の基板Wの受け入れをできない場合、露光処理後の基板Wが載置兼バッファ部P−BF1,P−BF2に一時的に収容される。
【0152】
上記の基板処理装置100においては、上段に設けられた塗布処理室21,22,32、現像処理室31および上段熱処理部301,303における基板Wの処理と、下段に設けられた塗布処理室23,24,34、現像処理室33および下段熱処理部302,304における基板Wの処理とを並行して行うことができる。それにより、フットプリントを増加させることなく、スループットを向上させることができる。
【0153】
ここで、基板Wの表面とは、反射防止膜、レジスト膜およびレジストカバー膜が形成される面(主面)をいい、基板Wの裏面とは、その反対側の面をいう。本実施の形態に係る基板処理装置100の内部では、基板Wの表面が上方に向けられた状態で、基板Wに上記の各種処理が行われる。すなわち、基板Wの上面に各種処理が行われる。したがって、本実施の形態では、基板Wの表面が本発明の基板の上面に相当し、基板Wの裏面が本発明の基板の下面に相当する。
【0154】
(12)効果
(a)上記の基板洗浄装置700においては、ブラシ洗浄部600により基板洗浄部500の洗浄ブラシcbが洗浄される。洗浄ブラシcbの洗浄時には、空間形成部材620の円形開口624が洗浄ブラシcbの上端面により閉塞された状態で、空間形成部材620の内部空間625に洗浄液が供給される。供給された洗浄液は、円形開口624から洗浄ブラシcbの上端面と空間形成部材620の下端面623との間を通して空間形成部材620の外部に流出する。それにより、洗浄ブラシcbの上端面の外周端部に残留する汚染物が、空間形成部材620の内部空間625から流出する洗浄液とともに洗い流される。その結果、基板Wの下面に付着した汚染物を除去することが可能であるとともに、除去された汚染物の基板Wへの再付着が低減される。
【0155】
(b)基板洗浄装置700においては、アーム510、アーム昇降駆動部530およびアーム回転駆動部540により洗浄ブラシcbが筐体710内で移動する。それにより、洗浄ブラシcbの洗浄時に洗浄ブラシcbの上端面が空間形成部材620の円形開口624を閉塞するように洗浄ブラシcbが適切に位置決めされる。また、基板Wの下面の洗浄時に洗浄ブラシcbの上端面が基板Wの下面に接触するように洗浄ブラシcbが適切に位置決めされる。
【0156】
上記の構成によれば、洗浄ブラシcbの洗浄時における洗浄ブラシcbの位置決め動作を行うための構成と基板Wの下面の洗浄時における洗浄ブラシcbの位置決め動作を行うための構成とを個別に設ける必要がない。したがって、基板洗浄装置700の部品点数の増加および大型化を抑制することができる。
【0157】
(c)基板洗浄装置700においては、基板研磨部400により基板Wの下面が研磨される。それにより、基板Wの下面に強固に付着する汚染物が除去される。その後、基板洗浄部500により基板Wの下面が洗浄される。それにより、基板Wの下面の研磨により発生する汚染物が除去される。したがって、基板Wの下面の清浄度をより向上させることができる。
【0158】
(d)基板処理装置100においては、露光処理前の基板Wの下面が基板洗浄装置700により研磨され、洗浄される。それにより、露光処理時の基板Wの下面の清浄度が向上する。その結果、基板Wの下面の汚染に起因する基板Wの処理不良の発生が抑制される。
【0159】
(13)他の実施の形態
(a)上記実施の形態では、基板洗浄装置700のスピンチャック200に複数の補助ピン290が設けられるが、複数の補助ピン290は設けられなくてもよい。この場合、スピンチャック200の部品点数が低減されるとともにスピンチャック200の構成が単純化する。また、
図9のマグネットプレート232Aに対応する領域で各チャックピン220を局部的に開状態とすることにより、研磨ヘッドphが他の部材と干渉しない状態で研磨ヘッドphを基板Wの外周端部WEに接触させることができる。それにより、基板Wの外周端部WE(
図7)の研磨が可能になる。さらに、
図9のマグネットプレート232Bに対応する領域で各チャックピン220を局部的に開状態とすることにより、洗浄ブラシcbが他の部材と干渉しない状態で洗浄ブラシcbを基板Wの外周端部WEに接触させることができる。それにより、基板Wの外周端部WE(
図7)の洗浄が可能になる。
【0160】
(b)上記実施の形態では、基板洗浄装置700には、基板Wの下面を研磨する基板研磨部400と基板Wの下面を洗浄する基板洗浄部500とが設けられるが、本発明はこれに限定されない。基板洗浄装置700には、洗浄乾燥処理ユニットSD2と同様に基板研磨部400が設けられなくてもよい。この場合、基板洗浄装置700の構成が単純化する。
【0161】
あるいは、基板洗浄装置700には、基板研磨部400に代えて新たな基板洗浄部500が設けられてもよい。すなわち、基板洗浄装置700には、2つの基板洗浄部500が設けられてもよい。この場合、2つの基板洗浄部500の各洗浄ブラシcbから基板Wに作用する押圧力および基板Wの下面上での各洗浄ブラシcbの移動速度等を調整することにより、基板Wの下面を二種類の洗浄条件で洗浄することが可能になる。それにより、処理対象となる基板Wに応じた洗浄が可能になる。
【0162】
上記のように、基板洗浄装置700に複数の基板洗浄部500を設ける場合には、複数の基板洗浄部500にそれぞれ対応する複数のブラシ洗浄部600を設けることにより、各基板洗浄部500の洗浄ブラシcbを清浄に保つことができる。なお、複数の基板洗浄部500の洗浄ブラシcbの移動可能な範囲をそれぞれ拡大することにより、複数の基板洗浄部500の洗浄ブラシcbに関して共通に使用可能な一のブラシ洗浄部600が設けられてもよい。
【0163】
(c)上記実施の形態では、洗浄ブラシcbの洗浄時に洗浄ブラシcbに供給される洗浄液として純水が用いられるが、純水の代わりにBHF(バッファードフッ酸)、DHF(希フッ酸)、フッ酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸またはアンモニア等の薬液が洗浄液として用いられてもよい。より具体的には、アンモニア水と過酸化水素水との混合溶液が洗浄液として用いられてもよいし、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)等のアルカリ性溶液が洗浄液として用いられてもよい。
【0164】
(d)上記実施の形態では、洗浄ブラシcbの洗浄時に、
洗浄ブラシcbがアーム510、アーム昇降駆動部530およびアーム回転駆動部540により筐体710内を移動する。それにより、洗浄ブラシcbが空間形成部材620に対して相対的に移動し、洗浄ブラシcbが適切に位置決めされるが、本発明はこれに限定されない。
【0165】
洗浄ブラシcbを移動させることにより洗浄ブラシcbが円形開口624を閉塞する閉塞状態と洗浄ブラシcbが円形開口624を開放する開放状態とを切り替える代わりに、空間形成部材620を移動させることにより円形開口624の閉塞状態と開放状態とを切り替えてもよい。この場合、基板洗浄装置700には、上記の構成に加えて空間形成部材620を移動させる移動機構を設ける必要がある。
【0166】
(e)上記の基板洗浄装置700においては、アーム510、アーム昇降駆動部530およびアーム回転駆動部540が、洗浄ブラシcbの洗浄時に洗浄ブラシcbの位置決め動作を行うとともに基板Wの下面の洗浄時に洗浄ブラシcbの位置決め動作を行うが、本発明はこれに限定されない。基板洗浄装置700においては、洗浄ブラシcbの洗浄時に洗浄ブラシcbの位置決め動作を行う構成と、基板Wの下面の洗浄時に洗浄ブラシcbの位置決め動作を行う構成とが個別に設けられてもよい。
【0167】
(f)上記実施の形態では、液浸法により基板Wの露光処理を行う露光装置15が基板処理装置100の外部装置として設けられるが、本発明はこれに限定されない。液体を用いずに基板Wの露光処理を行う露光装置が基板処理装置100の外部装置として設けられてもよい。この場合、塗布処理室32,34の塗布処理ユニット129において、基板W上にレジストカバー膜が形成されなくてもよい。そのため、塗布処理室32,34を現像処理室として用いることができる。
【0168】
(g)上記実施の形態に係る基板処理装置100は、基板Wに対してレジスト膜の塗布形成処理および現像処理を行う基板処理装置(いわゆるコータ/デベロッパ)であるが、基板洗浄装置700が設けられる基板処理装置は上記の例に限定されない。基板Wに洗浄処理等の単一の処理を行う基板処理装置に本発明が適用されてもよい。例えば、本発明に係る基板処理装置は、搬送装置および基板載置部等を含むインデクサブロックと1または複数の基板洗浄装置700とで構成されてもよい。
【0169】
(h)上記の基板洗浄装置700においては、基板研磨部400の研磨ヘッドphは洗浄されないが、本発明はこれに限定されない。基板洗浄装置700においては、ヘッド待機位置p1にある研磨ヘッドphに対向するように、基板研磨部400よりも上方の位置にブラシ洗浄部600と同様の構成が設けられてもよい。それにより、研磨ヘッドphについても、洗浄ブラシcbと同様に、基板Wの下面の研磨前および研磨後等のタイミングで研磨ヘッドphの上端面の洗浄処理が行われてもよい。
【0170】
(14)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各構成要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0171】
上記実施の形態においては、基板Wが基板の例であり、基板洗浄装置700および洗浄乾燥処理ユニットSD2が基板洗浄装置の例であり、スピンチャック200が回転保持部の例であり、洗浄ブラシcbが洗浄具の例であり、基板洗浄部500が下面洗浄部の例であり、ブラシ洗浄部600が洗浄具洗浄部の例である。
【0172】
また、空間形成部材620が空間形成部材の例であり、空間形成部材620の下端面623が下端面の例であり、空間形成部材620の円形開口624が円形開口の例であり、空間形成部材620の内部空間625が内部空間の例であり、洗浄液導入管630および流体供給系98が洗浄液供給系の例である。
【0173】
また、アーム510内の回転支持軸514、プーリ515,517、ベルト516およびモータ518が洗浄具回転部の例であり、アーム510、アーム昇降駆動部530およびアーム回転駆動部540が相対的移動部の例であり、ブラシ待機位置p2が待機位置の例であり、洗浄ブラシcbがスピンチャック200により保持される基板Wの下面に対向する位置が洗浄位置の例である。
【0174】
また、研磨ヘッドphが研磨具の例であり、基板研磨部400が下面研磨部の例であり、露光装置15が露光装置の例であり、基板処理装置100が基板処理装置の例であり、基板Wにレジスト膜用の処理液を供給する塗布処理ユニット129が塗布装置の例であり、搬送装置115,127,128,137,138,141,142,146が搬送装置の例である。
【0175】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の構成要素を用いることもできる。