特許第6684242号(P6684242)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6684242-位置情報提供装置、プログラム及び方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684242
(24)【登録日】2020年3月31日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】位置情報提供装置、プログラム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20200413BHJP
   H04W 4/029 20180101ALI20200413BHJP
   H04M 3/42 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   H04M11/00 302
   H04W4/029
   H04M3/42 U
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-62644(P2017-62644)
(22)【出願日】2017年3月28日
(65)【公開番号】特開2018-166257(P2018-166257A)
(43)【公開日】2018年10月25日
【審査請求日】2019年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】久保 健
【審査官】 山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0157622(US,A1)
【文献】 国際公開第2016/140047(WO,A1)
【文献】 特開2003−230172(JP,A)
【文献】 特表2008−514109(JP,A)
【文献】 特開2012−010254(JP,A)
【文献】 特開2013−054536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
H04B 7/24− 7/26
H04M 3/00
3/16− 3/20
3/38− 3/58
7/00− 7/16
11/00−11/10
H04W 4/00− 8/24
8/26−16/32
24/00−28/00
28/02−72/02
72/04−74/02
74/04−74/06
74/08−84/10
84/12−88/06
88/08−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ装置がアプリケーションサーバに送信した第1メッセージに含まれるトークン及び当該ユーザ装置の宛先情報を含む、第2メッセージを当該アプリケーションサーバから受信すると、当該宛先情報を宛先とし、当該トークンを含む第3メッセージを、移動通信ネットワークを介して送信する送信手段と、
前記第3メッセージを送信したことの応答として、前記ユーザ装置から第4メッセージを受信すると、前記第3メッセージを前記ユーザ装置に送信する際に使用された前記移動通信ネットワークの基地局を判定する第1判定手段と、
前記第1判定手段が判定した基地局の設置位置に関する位置情報を取得する取得手段と、
前記位置情報を前記アプリケーションサーバに提供する提供処理を行う提供手段と、
を備えていることを特徴とする位置情報提供装置。
【請求項2】
前記提供手段は、前記位置情報を共通鍵で暗号化し、暗号化された前記位置情報を前記アプリケーションサーバに提供することを特徴とする請求項1に記載の位置情報提供装置。
【請求項3】
前記共通鍵は、前記ユーザ装置と鍵交換アルゴリズムを実行することで生成され、
前記第3メッセージは、前記鍵交換アルゴリズムにおいて前記ユーザ装置に通知する情報を含み、
前記第4メッセージは、前記鍵交換アルゴリズムにおいて前記位置情報提供装置が前記ユーザ装置から通知される情報を含み、
前記提供手段は、前記提供処理において、前記共通鍵を前記アプリケーションサーバに送信することを特徴とする請求項2に記載の位置情報提供装置。
【請求項4】
前記共通鍵は、前記アプリケーションサーバと鍵交換アルゴリズムを実行することで生成され、
前記第2メッセージは、前記鍵交換アルゴリズムにおいて前記アプリケーションサーバから通知される情報を含み、
前記提供手段は、前記提供処理において、前記鍵交換アルゴリズムにおいて前記アプリケーションサーバに通知する情報を送信することを特徴とする請求項2に記載の位置情報提供装置。
【請求項5】
前記提供手段は、前記提供処理において、前記位置情報提供装置内、或いは、外部のサーバに前記暗号化された前記位置情報を格納し、前記位置情報提供装置内、或いは、前記外部のサーバに格納された前記位置情報にアクセスするための情報を前記アプリケーションサーバに通知することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の位置情報提供装置。
【請求項6】
前記第1判定手段は、前記第3メッセージの送信時刻及び前記ユーザ装置の電話番号に基づき、前記移動通信ネットワークが送信した第3メッセージの履歴情報を検索することで前記第3メッセージを前記ユーザ装置に送信する際に使用された前記移動通信ネットワークの基地局を判定することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の位置情報提供装置。
【請求項7】
前記宛先情報は、前記ユーザ装置の電話番号であり、
前記第3メッセージは、SMSによるメッセージであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の位置情報提供装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の位置情報提供装置としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
ユーザ装置が、トークン及び当該ユーザ装置の宛先情報を含む第1メッセージをアプリケーションサーバに送信することと、
前記アプリケーションサーバが、前記第1メッセージに含まれる前記トークン及び前記ユーザ装置の宛先情報を含む第2メッセージを位置情報提供装置に送信することと、
前記位置情報提供装置が、前記第2メッセージに含まれる前記宛先情報を宛先とし、前記第2メッセージに含まれる前記トークンを含む第3メッセージを、移動通信ネットワークを介して送信することと、
前記ユーザ装置が、前記第3メッセージの受信の応答として、第4メッセージを前記位置情報提供装置に送信することと、
前記位置情報提供装置が、前記第4メッセージを受信すると、前記第3メッセージを前記ユーザ装置に送信する際に使用された前記移動通信ネットワークの基地局を判定することと、
前記位置情報提供装置が、前記判定した基地局の設置位置に関する位置情報を取得することと、
前記位置情報提供装置が、前記位置情報を前記アプリケーションサーバに提供する提供処理を行うことと、
を含むことを特徴とする位置情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ装置の位置情報を他の装置に提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、インターネットに接続するアプリケーションサーバが、携帯端末等のユーザ装置の位置に関連するサービスを提供することが行われている。例えば、ユーザ装置は、GPSといった測位システムでその位置情報を取得し、この位置情報をアプリケーションサーバに送信することで、アプリケーションサーバから位置に基づくサービスの提供を受ける。
【0003】
スマートフォン等においてはGPS受信機の実装が一般的となっているが、IOT(Internet Of Things)等で使用される小型デバイスでは、GPS受信機の実装は一般的ではない。また、GPS衛星からの信号は、屋内や地下などでは受信できない。また、GPS等の測位システムで使用される電波を模擬する装置により、ユーザ装置が取得する位置情報が、実際の位置とは異なるものとなることも考えられる。
【0004】
非特許文献1は、緊急機関への通話の際に発信者の位置情報を通知するために利用されるNETLOC(Network−Provided Lоcation Information)を開示している。NTELOCでは、発信者と接続している基地局の位置情報に基づき発信者の位置を特定している。
【0005】
また、非特許文献2及び3は、оAuthと呼ばれる認可情報を委譲する仕組みを開示している。例えば、оAuthを利用することで、SNSサービスに加入し、当該SNSサービスのアカウントを有している利用者は、当該SNSサービスとは異なる写真共有サービスに、SNSサービスのアカウントによりアクセスすることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】[оnline],3GPP,[平成29年2月28日検索]、インターネット<URL:http://www.3gpp.org/DynaReport/FeatureOrStudyItemFile−480038.htm>
【非特許文献2】RFC6749,IETF,2012年10月
【非特許文献3】RFC6750,IETF,2012年10月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ユーザ装置の正しい位置を、常に、アプリケーションサーバに提供するため、NETLOCにより取得できる位置情報をоAuthの仕組みによりアプリケーションサーバに提供することが考えられる。しかしながら、NETLOCは、緊急機関への位置通知の仕組みであるため、ユーザ装置を使用しているユーザの意思に拘らず、位置情報が外部のアプリケーションサーバに提供され得る。これを防ぐためには、NETLOCの仕様の変更が必要になる。
【0008】
また、оAuthにおいては、まず、権限移譲元(位置情報の提供元であり、この場合は通信事業者)から権限移譲先(位置情報の利用側であり、この場合はアプリケーションサーバ)に対してアクセストークンを発行する。そして、当該アクセストークンを有している権限移譲先は、権限委譲元が有する位置情報へのアクセスが許可される。したがって、アクセストークンに期限を設けない限り、権限移譲先は、常に、ユーザ装置の位置を取得できることになり好ましくない。このため、アクセストークンによる位置情報へのアクセスを1回限りに限定することが考えられるが、アクセストークンの発行には、多くの処理が必要であるため、アプリケーションサーバが位置情報を取得する必要が生じる度にアクセストークンの発行処理を行うと、権限移譲元、つまり、移動通信ネットワークの負荷が増大する。
【0009】
本発明は、移動通信ネットワークの負荷を増大させることなく、正当な位置情報を提供できる位置情報提供装置、プログラム及び方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によると、位置情報提供装置は、ユーザ装置がアプリケーションサーバに送信した第1メッセージに含まれるトークン及び当該ユーザ装置の宛先情報を含む、第2メッセージを当該アプリケーションサーバから受信すると、当該宛先情報を宛先とし、当該トークンを含む第3メッセージを、移動通信ネットワークを介して送信する送信手段と、前記第3メッセージを送信したことの応答として、前記ユーザ装置から第4メッセージを受信すると、前記第3メッセージを前記ユーザ装置に送信する際に使用された前記移動通信ネットワークの基地局を判定する第1判定手段と、前記第1判定手段が判定した基地局の設置位置に関する位置情報を取得する取得手段と、前記位置情報を前記アプリケーションサーバに提供する提供処理を行う提供手段と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、移動通信ネットワークの負荷を増大させることなく、正当な位置情報を提供できすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態によるシステム構成図。
図2】一実施形態による位置情報提供処理のシーケンス図。
図3】一実施形態による位置情報提供装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態は例示であり、本発明を実施形態の内容に限定するものではない。また、以下の各図においては、実施形態の説明に必要ではない構成要素については図から省略する。
【0014】
図1は、本実施形態によるシステム構成を示している。移動通信ネットワーク1は、例えば、3GPP標準に従うネットワークであり、その基地局13は、無線により、ユーザ装置4と通信する。また、移動通信ネットワーク1は、インターネット2と接続し、インターネット2には、アプリケーションサーバ3が接続している。ユーザ装置4は、基地局13を介してアプリケーションサーバ3と通信できる。
【0015】
本発明の説明に必要な移動通信ネットワーク1の装置として、位置情報提供装置10と、SMSサーバ11と、管理サーバ12が図1には示されている。SMSサーバ11は、SMS(ショートメッセージサービス)のメッセージ(以下、SMSメッセージ)を処理するサーバである。また、管理サーバ12には、移動通信ネットワーク1の各基地局13の設置位置と、各基地局13の識別子とを示す基地局情報と、SMSサーバ11により送信されたSMSメッセージの送信先及び送信時刻と、SMSメッセージの送信を処理した基地局13の識別子とを示す、SMS送信履歴が格納される。管理サーバ12は、1つの装置であっても、ネットワークを介して接続される複数の装置であっても良い、管理サーバ12を複数の装置で構成する場合、上記情報は、分散して保存され得る。なお、ユーザ装置4が、例えば、Wifiインタフェースをさらに有する場合、ユーザ装置4は、移動通信ネットワーク1を介することなく、図示しないWifiアクセスポイントを介してアプリケーションサーバ3と通信することもできる。図1の構成において、ユーザ装置4は、アプリケーションサーバ3からのサービス提供を受けるため、ユーザ装置4の位置情報をアプリケーションサーバ3に提供する必要があるものとする。
【0016】
図2は、ユーザ装置4の位置情報をアプリケーションサーバ3に提供する処理のシーケンス図である。S1において、ユーザ装置4は、アプリケーションサーバ3が提供するサービスを受けるため、アプリケーションサーバ3にサービス要求メッセージを送信する。サービス要求メッセージには、ユーザ装置4の電話番号と、ユーザ装置4がランダムに生成したトークンを含める。また、アプリケーションサーバ3によるユーザ装置4の認証が必要であると、サービス要求メッセージにユーザ装置4の認証情報を含めることができる。なお、アプリケーションサーバ3によるユーザ装置4の認証は、サービス要求メッセージの送信前に行う構成であっても良い。アプリケーションサーバ3は、サービス要求メッセージを受信すると、S2で、位置情報提供装置10に、位置要求メッセージを送信する。位置要求メッセージには、ユーザ装置4から受信した電話番号と、トークンと、アプリケーションサーバ3が生成した識別子#1を含める。なお、位置情報提供装置10によるアプリケーションサーバ3の認証が必要な場合には、位置要求メッセージにアプリケーションサーバ3の認証情報を含めることができる。なお、位置情報提供装置10によるアプリケーションサーバ3の認証を事前に行う構成であっても良い。
【0017】
位置情報提供装置10は、位置要求メッセージを受信すると、S3で、位置要求メッセージに含まれるユーザ装置4の電話番号を宛先としたSMSメッセージをSMSサーバ11に送信し、SMSサーバ11は、宛先電話番号に基づき、このSMSメッセージをユーザ装置4に送信する。このSMSメッセージには、位置要求メッセージに含まれる、ユーザ装置4が生成したトークンと、SMSメッセージの送信時刻と、位置情報提供装置10が生成した識別子#2と、ユーザ装置4と共通鍵を生成するための鍵生成情報と、位置情報提供装置10と通信するための通信情報、例えば、位置情報提供装置10のIPアドレス及び通信に使用するポート番号を含める。なお、共通鍵の生成には、Deffie−Helman鍵交換アルゴリズム等の任意の鍵交換アルゴリズムを使用でき、鍵生成情報は、使用する鍵交換アルゴリズムに従う。
【0018】
ユーザ装置4は、SMSメッセージを受信すると、SMSメッセージに含まれるトークンに基づき、どのサービス要求メッセージの応答であるかを判定する。受信したSMSメッセージが、どのサービス要求メッセージに対する応答であるかを判定できると、ユーザ装置4は、S4で、SMSメッセージに含まれる鍵生成情報に基づき共通鍵を生成する。そして、S5で、受信したSMSメッセージに対する応答メッセージを位置情報提供装置10に送信する。この送信のために、ユーザ装置4は、SMSメッセージに含まれる通信情報を使用する。応答メッセージには、SMSメッセージに含まれる識別子#2と、送信時刻が含められる。さらに、応答メッセージには、S4でユーザ装置が生成した共通鍵を、位置情報提供装置10に生成させるための鍵生成情報が含まれる。なお、S4及びS5の処理は、S3でユーザ装置4がSMSメッセージを受信することに応答して、ユーザ装置4が自動的に行うことができる。或いは、S3でユーザ装置4がSMSメッセージを受信すると、位置情報が提供されることを示すメッセージをユーザ装置4のディスプレイに表示し、ユーザ装置4のユーザが位置情報の提供に同意する操作をユーザ装置4に対して行った場合にのみS4及びS5の処理を実行する構成とすることができる。位置情報提供装置10は、ユーザ装置4からS5で応答メッセージを受信すると、応答メッセージに含まれる識別子#2に基づき、どのSMSメッセージに対する応答かを判定し、S6で、応答メッセージに含まれる鍵生成情報に基づき、ユーザ装置4と同じ共通鍵を生成する。
【0019】
続いて、位置情報提供装置10は、S7で、管理サーバ12との間で位置情報取得処理を行う。本実施形態では、ユーザ装置4の位置情報を、S3で、SMSメッセージをユーザ装置4に送信した基地局13の位置とする。基地局13がカバーするエリア、つまり、セルの範囲は、例えば、数百メートルから数キロメートルであり、本実施形態ではセルの粒度でユーザ装置4の位置を特定するものとする。このため、位置情報提供装置10は、S3で送信したSMSメッセージの宛先であるユーザ装置4の電話番号と、送信時刻をキーとして、管理サーバが有するSMS履歴情報を検索し、S3でユーザ装置4に送信したSMSメッセージを処理した基地局13の識別子を判定し、さらに、基地局情報に基づき、当該基地局13の位置を判定する。上述した様に、この基地局13の位置をユーザ装置4の位置とする。
【0020】
続いて、位置情報提供装置10は、S8で、提供情報格納処理を行う。具体的には、S3のSMSメッセージの送信時刻と、ユーザ装置4の電話番号と、ユーザ装置4の位置情報に対する電子署名を生成する。なお、電子署名は、位置情報提供装置10の秘密鍵を使用して行う。そして、SMSメッセージの送信時刻と、ユーザ装置4の電話番号と、ユーザ装置の位置情報と、電子署名とを、共通鍵で暗号化して提供情報を生成する。そして、位置情報提供装置10は、この提供情報を、位置情報提供装置10内、或いは、図示しないサーバ装置に格納する。位置情報提供装置10は、S9で、位置応答メッセージをアプリケーションサーバ3に送信する。この位置応答メッセージには、提供情報にアクセスするためのURLと、提供情報を復号するのに必要な共通鍵と、識別子#1を含める。アプリケーションサーバ3は、識別子#1に基づき、どの位置要求メッセージの応答であるかを判定し、位置応答メッセージに含まれるURLにアクセスして提供情報を取得し、提供情報に含まれる共通鍵により提供情報を復号する。そして、提供情報に含まれる電子署名により、送信時刻、電話番号、位置情報が改竄されていないかを確認し、改竄されていなければ、当該送信時刻に当該電話番号のユーザ装置4が当該位置情報が示す位置にいたと判定して、位置に基づくサービスをユーザ装置4に提供する。なお、S9での位置応答メッセージは、共通鍵を含んでいるため、位置応答メッセージにはSSL等の安全な通信を使用する。
【0021】
以上、本実施形態では、ユーザ装置4が、S5の処理を行って初めて位置情報がアプリケーションサーバ3に提供される。S5の処理は、S1でユーザ装置4が生成したトークンと同じトークンを含むSMSメッセージを位置情報提供装置か10ら受信して行われるため、ユーザ装置4のユーザが意図せずに、ユーザ装置4の位置情報がアプリケーションサーバ3に提供されることを防ぐことができる。また、アプリケーションサーバ3が取得できるのは、ユーザ装置4がS1でアプリケーションサーバ3に対してサービス要求を行ったときの位置のみであり、ユーザ装置4がアプリケーションサーバ3からサービス提供を受けた後の位置をアプリケーションサーバ3が取得することを防ぐことができる。なお、これを確実にするため、ユーザ装置4が、S1でサービス要求メッセージを送信したのち、S3でSMSメッセージを受信するまでの期間が所定値を超えると、ユーザ装置4は、S4及びS5の処理を行わない構成とすることもできる。
【0022】
また、本実施形態において、アプリケーションサーバ3に提供されるユーザ装置4の位置情報は、ユーザ装置4がS1でサービス要求を行った時点においてユーザ装置4と通信できる基地局13の位置であり、ユーザ装置4の位置の正当性が保証される。また、本実施形態では、複雑なアクセストークンの発行処理を行う必要はなく、移動通信ネットワーク1の処理負荷は重くない。
【0023】
また本実施形態では、S3とS5の処理により共通鍵を生成し、この共通鍵をS9でアプリケーションサーバ3に通知していた。しかしながら、S2とS9の処理で共通鍵を生成する構成であっても良い。この場合、位置情報提供装置10は、S2で、アプリケーションサーバ3から鍵生成情報を受信して共通鍵を生成し、当該共通鍵で提供情報を生成する。また、位置情報提供装置10は、S9で、当該共通鍵をアプリケーションサーバ3に生成させるための鍵生成情報を送信する。したがって、この場合、S3からS6における共通鍵の生成に関する処理は必要ではない。また、位置情報提供装置10とアプリケーションサーバ3に対して事前に共通鍵を格納しておく構成であっても良い。したがって、この場合には図2の共通鍵の生成に関する処理は必要ではない。
【0024】
また、本実施形態では、提供情報を位置情報提供装置10内、或いは、図示しないサーバ装置に格納し、S9において、位置情報提供装置10は、提供情報にアクセスするための情報、つまり、URLをアプリケーションサーバ3に送信していた。しかしながら、提供情報を、直接、アプリケーションサーバ3に送信する構成であっても良い。さらに、共通鍵により位置情報等を暗号化するのではなく、安全な通信路を使用する構成であっても良い。つまり、例えば、位置情報提供装置10は、平文のまま提供情報を格納するが、アプリケーションサーバ3が提供情報にアクセスする際にはセキュアな通信プロトコルを使用させる構成とすることもできる。或いは、位置情報提供装置10は、セキュアな通信プロトコルにより平文の提供情報をアプリケーションサーバ3に送信する構成であっても良い。これらの場合には、共通鍵の生成に関する処理は省略できる。
【0025】
図3は、位置情報提供装置10の構成図である。送受信部104は、図2に示す各メッセージの送受信を行う。メッセージ処理部101は、送信するメッセージの生成処理と、受信するメッセージの解析と、当該受信したメッセージに応じた処理を行う。例えば、メッセージ処理部101は、位置要求メッセージを受信すると、当該位置要求メッセージに基づきSMSメッセージを生成して、送受信部104を介して送信する。また、応答メッセージを受信すると、共通鍵生成部102に共通鍵を生成させ、かつ、管理サーバ12との間で位置情報取得のためのメッセージの生成と送受信を行う。さらに、管理サーバ12から位置情報を取得すると、提供処理部103に提供情報格納処理を行わせ、提供情報格納処理が完了すると、位置応答メッセージを生成して、送受信部104を介して送信する。
【0026】
なお、本発明による位置情報提供装置10は、コンピュータを上記位置情報提供装置10として動作させるプログラムにより実現することができる。これらコンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶されて、又は、ネットワーク経由で配布が可能なものである。
【符号の説明】
【0027】
101:メッセージ処理部、102:共通鍵生成部、103:提供処理部、104:送受信部
図1
図2
図3