(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電子デバイス用のタッチセンサー式ディスプレイスクリーンまたはカバープレート、電子デバイスの非タッチセンサー式部品、家電用機器の表面、または自動車部品の表面、の一部を構成する、請求項1から3のいずれか一項に記載の反射低減ガラス物品。
前記ガラス基板が、前記ガラス基板の表面から前記ガラス基板中へと広がる、前記ガラス基板の残りの部分よりも高いOH濃度を有する表面部分を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の反射低減ガラス物品。
Crockmeterを使用した最初の擦動の前の正反射率の初期測定値から、Crockmeterを使用した100回の擦動の後での正反射率の変化が5パーセント未満であり、ならびにCrockmeterを使用した5000回の擦動の後での変化が10パーセント未満である、請求項1から8のいずれか一項に記載の反射低減ガラス物品。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1a】ガラス基板表面に融合された凸状構造部分の一例の断面概略図。
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図1b】ガラス基板表面に融合された凸状構造部分の一例の断面概略図。
【
図1c】ガラス基板表面に融合された凸状構造部分の一例の断面概略図。
【
図1d】ガラス基板表面に融合された凸状構造部分の一例の断面概略図。
【
図1e】ガラス基板表面に融合された凸状構造部分の一例の断面概略図。
【
図1f】ガラス基板表面に融合された凸状構造部分の一例の断面概略図。
【
図1g】ガラス基板表面に融合された凸状構造部分の一例の断面概略図。
【
図1h】ガラス基板表面に融合された凸状構造部分の一例の断面概略図。
【
図1i】ガラス基板表面に融合された凸状構造部分の一例の断面概略図。
【
図2a】1つ以上の実施形態による凸状構造部分を有するガラス基板、および多層の干渉ベースの反射防止コーティングを有する既知のガラス基板の断面概略図。
【
図2b】1つ以上の実施形態による凸状構造部分を有するガラス基板、および多層の干渉ベースの反射防止コーティングを有する既知のガラス基板の断面概略図。
【
図3a】実施例1によるガラス基板上に配設されたシリカナノ粒子の単層の走査型電子顕微鏡(SEM)画像。
【
図3b】実施例1によるガラス基板上に配設されたシリカナノ粒子の単層の走査型電子顕微鏡(SEM)画像。
【
図4a】実施例1によるガラス基板に融合したシリカナノ粒子の単層のSEM画像。
【
図4b】実施例1によるガラス基板に融合したシリカナノ粒子の単層のSEM画像。
【
図4c】実施例1によるガラス基板に融合したシリカナノ粒子の単層のSEM画像。
【
図5a】実施例1による様々な物品の正反射率のグラフ。
【
図5b】実施例1による様々な物品の正反射率のグラフ。
【
図5c】実施例1による様々な物品の正反射率のグラフ。
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図6a】実施例2によるガラス基板に融合した100nmの直径を有するシリカナノ粒子の単層のSEM画像。
【
図6b】実施例2によるガラス基板に融合した100nmの直径を有するシリカナノ粒子の単層のSEM画像。
【
図7a】実施例2によるガラス基板に融合した200nmの直径を有するシリカナノ粒子の単層のSEM画像。
【
図7b】実施例2によるガラス基板に融合した200nmの直径を有するシリカナノ粒子の単層のSEM画像。
【
図8】実施例3による様々な物品の総反射率スペクトル(正反射率および拡散反射率の合計)のグラフ表示。
【
図9a】実施例4による様々な物品の正反射スペクトルのグラフ表示。
【
図9b】実施例4による様々な物品の正反射スペクトルのグラフ表示。
【
図9c】実施例4による様々な物品の正反射スペクトルのグラフ表示。
【
図9d】実施例4による様々な物品の正反射スペクトルのグラフ表示。
【
図9e】実施例4による様々な物品の正反射スペクトルのグラフ表示。
【
図9f】実施例4による様々な物品の正反射スペクトルのグラフ表示。
【
図10a】実施例6による管状炉での処理後の様々な物品の反射スペクトルのグラフ表示。
【
図10b】実施例6による管状炉での処理後の様々な物品の反射スペクトルのグラフ表示。
【
図10c】実施例6による管状炉での処理後の様々な物品の反射スペクトルのグラフ表示。
【
図10d】実施例6による管状炉での処理後の様々な物品の反射スペクトルのグラフ表示。
【
図10e】実施例6による管状炉での処理後の様々な物品の反射スペクトルのグラフ表示。
【
図10f】実施例6による管状炉での処理後の様々な物品の反射スペクトルのグラフ表示。
【
図10g】実施例6による管状炉での処理後の様々な物品の反射スペクトルのグラフ表示。
【
図10h】実施例6による管状炉での処理後の様々な物品の反射スペクトルのグラフ表示。
【
図11a】実施例7によるエッチング後の、ガラス基板に融合した200nmの直径を有するシリカナノ粒子の単層のSEM画像。
【
図11b】実施例7によるエッチング後の、ガラス基板に融合した200nmの直径を有するシリカナノ粒子の単層のSEM画像。
【0020】
これらおよび他の態様、利点、および顕著な特徴は、以下の詳細な説明、添付の図面、および添付の特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図を参照しながら、例示的実施形態について詳細に説明するが、この場合、いくつかの図を通して同様の参照番号は同様の部分を表している。この説明全体を通じて、様々な構成要素が、特定の値もしくはパラメータを有するように認識され得る。しかしながら、これらの項目は、本開示の例示として提供されるものである。実際に、多くの匹敵するパラメータ、サイズ、範囲、および/または値を実践することができるように、当該例示的実施形態は、様々な態様および概念を限定しない。同様に、「第一」、「第二」、「一次」、「二次」、「上部」、「底部」、「遠位」、「近位」などの用語は、順序、量、または重要性を示すものではなく、むしろ、ある要素を別の要素と区別するために使用される。さらに、名詞は、量の限定を示すものではなく、むしろ、参照された項目の「少なくとも1つ」の存在を示すものである。
【0022】
本明細書において、改良された(より低い)反射および高い耐久性を有する様々なガラス物品、ならびにそれらの製造方法および使用方法について説明する。本明細書において使用される場合、「反射防止」または「反射低減」なる用語は、概して、本明細書において説明される反射低減構成要素を含まない同じガラス物品と比較した場合に、対象となる特定のスペクトル範囲において表面に入射する光に対してより低い正反射率を示す表面の能力を意味している。
【0023】
概して、当該改良された物品は、ガラス基板と、その表面の少なくとも一部の上の一体化された反射低減構成要素とを含む。当該一体化された反射低減構成要素は、有益なことに、当該一体化された反射低減構成要素を持たない同様のもしくは同一の物品と比べて、少なくとも約450ナノメートル(nm)〜約750ナノメートル(nm)の波長の範囲において、改良された(より低い)反射を示す物品を提供する。すなわち、当該一体化された反射低減構成要素は、物品の表面からの、可視光(約380nmから約750nmに及ぶ)の少なくともかなりの部分の正反射率を減少させる役割を果たす。さらに、以下においてより詳細に説明されるように、当該改良された物品は、いくつかある特徴の中でも特に、高い透過率、低いヘイズ、および高い耐久性を示し得る。
【0024】
上記において述べられているように、基板自体は、ガラス材料から形成される。ガラスの選択は、特定の組成に限定されないので、改良された(より低い)反射は、様々なガラス基板において得ることができる。例えば、材料選択は、任意の多種多様な、ケイ酸、ホウケイ酸、アルミノケイ酸、またはアルミノホウケイ酸のガラス組成物であり得、これらは、任意選択により、1種以上のアルカリおよび/またはアルカリ土類改質剤を含んでいてもよい。例示として、そのようなガラス組成の1つは、以下の成分:58〜72モルパーセント(mol%)のSiO
2;9〜17mol%のAl
2O
3;2〜12mol%のB
2O
3;8〜16mol%のNa
2O;および0〜4mol%のK
2Oを含み、この場合、比率
【0025】
であり、ここで、当該改質剤は、アルカリ金属酸化物を含む。別の例示的ガラス組成は、以下の成分:61〜75mol%のSiO
2;7〜15mol%のAl
2O
3;0〜12mol%のB
2O
3;9〜21mol%のNa
2O;0〜4mol%のK
2O;0〜7mol%のMgO;および0〜3mol%のCaO、を含む。別の例示的ガラス組成は、以下の成分:60〜70mol%のSiO
2;6〜14mol%のAl
2O
3;0〜15mol%のB
2O
3;0〜15mol%のLi
2O;0〜20mol%のNa
2O;0〜10mol%のK
2O;0〜8mol%のMgO;0〜10mol%のCaO;0〜5mol%のZrO
2;0〜1mol%のSnO
2;0〜1mol%CeO
2;50部百万分率(ppm)未満のAs
2O
3;および50ppm未満のSb
2O
3;を含み、この場合、12mol%≦Li
2O+Na
2O+K
2O≦20mol%および0mol%≦MgO+CaO≦10mol%である。別の例示的ガラス組成は、以下の成分:55〜75mol%のSiO
2、8〜15mol%のAl
2O
3、10〜20mol%のB
2O
3;0〜8%のMgO、0〜8mol%のCaO、0〜8mol%のSrO、および0〜8mol%のBaOを含む。さらなる別の例示的ガラス組成は、以下の成分:Al
2O
3もしくはB
2O
3のうちの少なくとも1つ、およびアルカリ金属酸化物もしくはアルカリ土類金属酸化物のうちの少なくとも1つ、を含み、この場合、−15mol%≦(R
2O+R’O−Al
2O
3−ZrO
2)−B
2O
3≦4mol%であり、ここで、Rは、Li、Na、K、R
b、および/またはCsであり得、ならびにR’は、Mg、Ca、Sr、および/またはBaであり得る。例えば、このタイプの1つの特定の組成は、約62mol%〜約70mol%のSiO
2;0mol%〜約18mol%のAl
2O
3;0mol%〜約10mol%のB
2O
3;0mol%〜約15mol%のLi
2O;0mol%〜約20mol%のNa
2O;0mol%〜約18mol%のK
2O;0mol%〜約17mol%のMgO;0mol%〜約18mol%のCaO;および0mol%〜約5mol%のZrO
2を含む。さらなる別の例示的ガラス組成は、以下の成分:SiO
2、Al
2O
3、P
2O
5、および少なくとも1種のアルカリ金属酸化物(R
2O)を含み、この場合、0.75≦[(P
2O
5(mol%)+R
2O(mol%))/M
2O
3(mol%)]≦1.2であり、ここで、M
2O
3=Al
2O
3+B
2O
3である。さらなる別の例示的ガラス組成は、以下の成分:少なくとも約4mol%のP
2O
5を含み、この場合、(M
2O
3(mol%)/R
XO(mol%))<1であり、M
2O
3=Al
2O
3+B
2O
3であり、ならびにR
XOは、ガラス中に存在する一価および二価のカチオン酸化物の合計である。さらなる別の例示的ガラス組成は、以下の成分:少なくとも約50mol%のSiO
2、約9mol%〜約22mol%のAl
2O
3;約4.5mol%〜約10mol%のB
2O
3;約10mol%〜約20mol%のNa
2O;0mol%〜約5mol%のK
2O;少なくとも約0.1mol%のMgO、および/またはZnO(この場合、0≦MgO+ZnO≦6であり)、ならびに任意選択により、CaO、BaO、およびSrOのうちの少なくとも1つ(この場合、0mol%≦CaO+SrO+BaO≦2mol%)を含む。さらなる別の例示的ガラス組成は、以下の成分:64〜71mol%のSiO
2;9〜12mol%のAl
2O
3;7〜12mol%のB
2O
3;1〜3mol%のMgO;および6〜11.5mol%のCaO、0〜2mol%のSrO;0〜0.1mol%のBaOを含み、この場合、1.00≦Σ[RO]/[Al
2O
3]≦1.25であり、ここで、[Al
2O
3]はAl
2O
3の濃度であり、Σ[RO]は、MgO、CaO、SrO、およびBaOの濃度の合計であり、ならびに当該ガラスは、以下の組成上の特徴:(i)酸化物に対して、当該ガラスは最大で0.05モルパーセントのSb
2O
3を含む;(ii)酸化物に対して、当該ガラスは少なくとも0.01モルパーセントのSnO
2を含む、のうちの少なくとも1つを有する。
【0026】
1つ以上の実施形態において、当該ガラス基板は、その組成中にアルカリイオンを含み得、そのようなアルカリイオンは、ガラス基板の表面のすぐ下におけるガラス基板の少なくとも一部に存在し得る。アルカリイオンを有する当該ガラス基板の一部は、層を含み得る。理論に束縛されるものではないが、アルカリイオンの存在は、より速い速度および/またはより低い温度において有効であるために、水熱処理にとって有益であると考えられる。水和されたアルカリリッチなガラスは、溶融温度が低下するので、基板全体を溶融させることなく、表面層が溶融してナノ粒子と融合し得る。さらに、または代替において、アルカリイオンは、ガラス基板表面において水分子と結合して強塩基溶液を形成し得、これは、侵食性であることが知られており、ナノ粒子のシリカ材料を溶解させることができるので、さらに融合を補助する。
【0027】
ガラス基板は、様々な物理的形状を採用することができる。すなわち、断面視点から、当該基板は、平坦もしくは平面であってもよく、あるいは、湾曲および/または鋭く屈曲していてもよい。同様に、1つの単一物体または多層構造もしくは積層物であってもよい。さらに、当該基板は、任意選択により、(熱処理、化学的イオン交換などのプロセスによって)アニール処理および/または強化することができる。
【0028】
当該一体化された反射低減構成要素は、概して、突起状に見えるようにガラス基板の表面の少なくとも一部の上に単層状に配置された複数のサブ波長サイズの凸状構造部分を含む。本明細書において使用される場合、「一体化された」なる用語は、反射低減構成要素が、基板表面(または任意選択の中間層の表面)と直接的に物理的につながった状態にあり、かつ反射低減構成要素および基板表面(または任意選択の中間層の表面)が、反射低減構成要素の個別の成分と基板表面との融合によって形成された1つの単一体であることを意味する。
【0029】
さらに、本明細書において使用される場合、「サブ波長サイズ」なる用語は、複数の凸状構造部分における最も長い断面寸法が、反射抵抗性が所望される光の最も短い波長より小さいことを意味する。ほとんどの実施形態において、反射低減ガラス物品は、少なくとも約450nm〜約750nmの範囲の波長に対して反射低減を提供するであろう。したがって、これらの実施形態において、複数の凸状構造部分における最も長い断面寸法は、約450nm未満であろう。これらの実施形態において、反射抵抗性が、可視スペクトル全体(すなわち、約380nm〜約750nm)に対して提供される場合、複数の凸状構造部分における最も長い断面寸法は、約380nm未満であろう。1つ以上の特定の実施形態において、複数の凸状構造部分における最も長い断面寸法は、約300nm〜約380nm、約310nm〜約350nm、約320nm〜約340nmの範囲、ならびにそれらの間の全ての範囲および部分範囲であり得る。複数の凸状構造部分における最も長い断面寸法の特定の例としては、300nm、310nm、320nm、330nm、340nm、および350nmが挙げられる。
【0030】
いくつかの実施形態において、複数の凸状構造部分における最も長い断面寸法は、以下においてより詳細に説明されるように、ヘイズを制御または低減するために約150nm〜約250の範囲に減じられ得る。いくつかの例において、複数の凸状構造部分における最も長い断面寸法は、物品の1つの表面あたり約6%未満、約4%未満、約2%未満、またはさらには約1%未満のヘイズを達成するように減じられ得る。複数の凸状構造部分における最も長い断面寸法の特定の例は、180nm、190nm、200nm、210nm、220nm、および230nmであり得る。
【0031】
「最も長い断面寸法」なる用語は、本明細書において使用される場合、基板の表面に対して平行な、凸状構造部分の特定の寸法を意味する。したがって、明瞭化のために、当該凸状構造部分が球形の場合、最も長い断面寸法は、複数の球形構造部分における最も長い断面寸法であり;当該凸状構造部分が楕円形の場合、最も長い断面寸法は、基板の表面に平行かつ楕円形の長軸に沿った、複数の楕円形構造部分における最も長い断面寸法であり;ならびに、当該凸状構造部分が不規則な形状の場合、最も長い断面寸法は、基板の表面に平行な、当該複数の不規則な形状の構造部分の周囲の最も遠い対向する2つの点の間における最も長い線である。
【0032】
当該複数のサブ波長サイズの凸状構造部分は、概して、基板表面にランダムに充填されるであろう。ランダム充填は、一般的に言えば、短距離もしくは長距離充填規則性は存在しないが、充填密度(すなわち、単位面積あたりの構造部分の数、または構造部分による表面被覆率)は、ガラス基板表面にわたって実質的に一定であることを意味する。六方最密充填(HCP)などの当技術分野において既知のものによって表される理論的に最も大きい充填密度と比較した場合、当該構造部分による表面被覆率は、HCPの50〜100%の範囲であり得、より具体的には、HCPの60〜90%の範囲である。
【0033】
ほとんどの実施形態において、複数のサブ波長サイズの凸状構造部分は、酸化物材料による球形もしくは実質的に球形のナノ粒子であろう。そのような材料は、耐久性、耐摩耗性を提供し、ならびにガラス基板の屈折率に近似することができる低い屈折率を有する。そのような材料の例としては、セリウム、ジルコニウム、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ケイ素などの酸化物が挙げられる。いくつかの実施形態において、凸状構造部分は、単一の材料、または概して一様な材料混合物を含み、他の実施例では、当該凸状構造部分は、コア/シェル構成において配置された材料を含む。そのようなナノ粒子が基板表面(または任意選択による中間層の表面)に融合される場合、それらは、その例が
図1に図式的に示されているような様々な外観を採用し得る。例えば、表面とのナノ粒子の融合の1つの様式は、例えば、
図1a〜1cに示されるような、「沈み込んだ」粒子の外観を与える。
図1d〜1fに示されるような、ナノ粒子の融合の別の様式は、「くびれ状」の外観を与える。
図1g〜1iに示されるような、ナノ粒子の融合の別の様式は、ナノ粒子の一部が基板表面の材料中に溶解する場合に形成されるアンダーカットされた領域により、「ポーン形状」の突起の外観を与える。
【0034】
ナノ粒子(または他の形状の凸状構造部分)の融合の程度、ナノ粒子のサイズ、処理条件などに基づいて、他の幾何学的構造を得ることができることに留意されたい。しかしながら、明瞭化のため、ガラス基板自体に隙間、窪み、または他の形状を作り出すことでは、当該一体化された反射低減構成要素は形成されないことに留意されたい。すなわち、そのような物品の外観は、本明細書において説明されるガラス物品に類似し得るとしても、当該一体化された反射低減構成要素は、ガラス基板自体における複数の間隙、窪み、または他の形状の凹部ではない。さらに、当該一体化された反射低減構成要素は、凸状構造部分と基板表面との間の接触を維持するために接着剤または他の同様の材料を使用することでは形成されない。すなわち、たとえそのような物品の外観が、本明細書において説明されるガラス物品に類似し得るとしても、当該一体化された反射低減構成要素は、接着剤または他の固定手段によって基板表面に接着された複数の凸状構造部分ではない。さらに、いくつかの実施形態における複数の凸状構造部分またはナノ粒子は、表面接着を増加させるために処理されない。これらの様々な物品は、既知の分析ツール、例えば、光学顕微鏡、電子顕微鏡、マイクロプローブ分析など、を使用することにより、本明細書において説明されるガラス物品と区別することができる。さらに、いくつかの実施形態において、ナノ粒子または他の形状の凸状構造部分のうちの1つ以上は、お互いに融合され得、ならびにガラス基板にも融合され得る。いくつかの例において、ナノ粒子または他の形状の凸状構造部分の間の融合は、ナノ粒子または他の形状の凸状構造部分の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または全てさえが少なくとも1つの他のナノ粒子または他の形状の凸状構造部分と融合するような程度であり得る。いくつかの特定の実施形態において、ナノ粒子または他の形状の凸状構造部分のずれも、その他のナノ粒子または他の形状の凸状構造部分から孤立していない(または、接触している)。
【0035】
ある特定の実施形態において、コーティングされた物品は、ガラス基板と、一体化された反射低減構成要素との間に介挿された層を含み得る。この任意選択の中間層は、物品に追加の機能もしくは特徴(例えば、グレア抵抗性またはアンチグレア特性、色、および/または不透明性など)を提供するために使用することができるが、ただし、この任意選択の層は、一体化された反射低減構成要素の凸状構造部分に対しての接着剤または他の固定手段としての役割は果たさない。そのような材料は、本開示が関する当技術分野において既知である。
【0036】
上記において説明した反射低減ガラス物品の製造方法は、概して、ガラス基板を提供する工程、および基板の表面の少なくとも一部の上に当該一体化された反射低減構成要素を形成する工程を含む。しかしながら、任意選択の中間層が実践されているこれらの実施形態において、当該方法は、概して、当該一体化された反射低減構成要素の形成の前に基板の表面の少なくとも一部の上に中間層を形成する追加の工程を伴う。中間層が実現される場合、当該一体化された反射低減構成要素で覆われている基板の表面部分は、中間層で覆われている表面部分と必ずしも同じでなくてもよいことに留意されたい。
【0037】
ガラス基板、一体化された反射低減構成要素、および追加の中間層、に使用される材料の選択は、最終物品に所望される特定の用途に基づいて為され得る。しかしながら、概して、特定の材料は、上記において説明されたものから選択されるであろう。
【0038】
基板の提供は、製造された状態のガラス体の選択を伴い得、あるいは製造された状態のガラス物体に、任意選択の中間層またはナノ多孔質コーティングを形成するための準備としてある処理を施すことを必要とし得る。そのようなプレコーティング処理の例としては、物理的もしくは化学的クリーニング、物理的もしくは化学的強化、物理的もしくは化学的エッチング、物理的もしくは化学的仕上げ研磨、アニール処理、および/または成形などが挙げられる。そのようなプロセスは、本開示が関連する技術分野の当業者に既知である。
【0039】
ガラス基板が選択および/または調製されると、任意選択の中間層または一体化された反射低減構成要素のどちらかが調製され得る。
【0040】
任意選択の中間層が実践される場合、様々な化学気相成長法(CVD)(例えば、プラズマ強化CVD、エアゾール支援CVD、金属有機CVDなど)、様々な物理的気相成長法(例えば、イオン支援PVD、パルスレーザー被着、陰極アーク被着、スパッタリングなど)、スプレーコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、スロットもしくはブレードコーティング、インクジェット、グラビアコーティング、カーテンコーティング、メニスカスコーティング、ゾル−ゲル法など、を使用して製作することができる。そのようなプロセスは、本開示が関連する技術分野の当業者に既知である。
【0041】
一体化された反射低減構成要素の形成は、概して、複数の凸状構造部分を基板表面上(または任意選択の中間層の表面上)に配設する工程、および上に複数の凸状構造部分を有する基板を水熱処理して当該複数の凸状構造部分を当該基板に融合させる工程を伴うであろう。
【0042】
当該複数の凸状構造部分は、様々な技術を使用して、ガラス基板の表面または任意選択の中間層の上に配設することができる。概して、それらのナノメートルスケールのサイズを仮定すると、当該技術は、特に、スプレーコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、スロットもしくはブレードコーティング、インクジェット、グラビアコーティング、カーテンコーティング、またはメニスカスコーティングを含む、溶液ベースのプロセスを伴うであろう。そのようなプロセスは、本開示が関連する技術分野の当業者に既知である。当該凸状構造部分および/または基板表面は、所望の配向を有する凸状構造部分の単層の形成を促進するために、表面荷電を変更してそれらの間の適切な静電相互作用を可能にするために官能化することができる。
【0043】
ある特定の実施形態において、水熱処理の前に、当該上に複数の凸状構造部分を有する基板に、湿潤化工程を施すことができ、この場合、当該基板および当該複数の凸状構造部分は、水熱処理の際の分離を最小化するため、および/または水熱処理を促進するために、湿潤される。この任意選択の湿潤工程は、当該上に複数の凸状構造部分を有する基板を、水、高pH溶液、アミン溶液、または他の同様の溶液に接触させる工程を伴い得る。
【0044】
当該複数の凸状構造部分が、ガラス基板の表面上に配設された後(または任意選択の湿潤工程の後)、当該上に当該複数の凸状構造部分を有する基板は、融合を生じさせるために水熱処理を施され得る。これは、当該上に複数の凸状構造部分を有する基板を容器またはチャンバー内に位置する工程、ならびに当該上に複数の凸状構造部分を有する基板を、高温、相対湿度、および/または圧力に晒す工程によって達成することができる。1つ以上の実施形態において、当該水熱処理は、強制対流または連続ガス(水蒸気)フローを備える炉設備において実施され得る。
【0045】
例えば、水熱処理の条件の1つのセットは、摂氏約90度(℃)〜約99℃の温度、少なくとも約90%の相対湿度、および周囲圧力もしくは大気圧を含む。水熱処理処理の条件の別のセットは、約500℃〜約650℃の範囲の温度、少なくとも90%のガスチャンバー環境の水蒸気含有率、および周囲圧力もしくは大気圧を含む。1つ以上の実施形態において、当該水熱処理は、ガラス基板材料のアニール点においてもしくはアニール点付近において実施され得る。1つ以上の実施形態において、当該水熱処理は、ガラス基板のアニール点から約10%以内の温度において実施され得る。いくつかの例において、その温度は、約600℃〜約610℃の範囲であり得る。チャンバー内の高い相対湿度に由来する水蒸気は、凸状構造部分と基板との間の融合を開始および生じさせる役割を果たし得る。理論に束縛されるものではないが、水蒸気は、ガラス基板と相互作用してガラス基板内の結合を切断し、水分子、OH基、または水素が基板の材料に浸透することを可能にし、それにより、表面でのガラス基板の組成を変更させる。ガラス基板において組成が変更された部分は、表面層と呼ばれ得、ガラス基板の残りの部分より低いガラス転移温度(Tg)を示し得る(または、換言すれば、ガラス基板の残りの部分とのTg差を形成する)。理論に束縛されるものではないが、当該水蒸気はさらに、ガラス基板中の可動性イオンを表面へと拡散させ得、それによりガラス基板の表面部分の化学組成を変更させ、さらにはTgまたは溶融温度を低下させる。ガラス基板材料中にアルカリイオンが存在する実施形態では、当該アルカリイオンは、基板表面において水分子と組み合わされて高塩基性溶液を形成し、当該溶液は、侵食性でシリカなどの酸化物ガラス材料を溶解することが知られており、凸状構造部分の底部分を、水熱処理によって水和されている基板の表面層中へと溶解させることによって、融合をさらに促進する。水熱処理の条件の別のセットは、約100℃から基板ガラスの軟化温度よりわずかに低い温度までの温度、および少なくとも約50%の初期相対湿度を含み、この場合、当該処理は、密封されたオートクレーブまたは他の同様の圧力容器内において行われる。これらまたは任意の他の条件において、融合を生じさせるための所望の量の水蒸気を発生させるために、特定の量の水がチャンバーもしくは容器内に導入され得る。1つ以上の実施形態において、凸状構造部分と基板との間の融合を促進するために、凸状構造部分に対し、または凸状構造部分によって(凸状構造部分の質量以外に)、圧力は加えられない。
【0046】
ある特定の実施形態において、当該上に複数の凸状構造部分を有する基板は、水熱処理の際の融合プロセスを促進させ得る反応性蒸気に曝露させることもできる。例えば、いくらかの量の塩基(例えば、アンモニア、NaOHなど)または酸(例えば、HF、H
2SO
4など)の蒸気を、チャンバーに加えることができる。これは、当該液体を沸騰させるための追加の加熱メカニズムを伴ってもしくは伴わずに、対応する当該蒸気の液体原料の入った開放容器をチャンバー内に位置することによって、あるいは別個のチャンバーもしくは容器で当該蒸気の液体原料を沸騰させ、水熱処理の際にそれを水熱処理チャンバーへと導入することによって、実施することができる。
【0047】
水熱処理が完了すると、任意選択により、任意の望ましくない成分をガラス表面から除去するため、または耐久性を向上させるため、またはガラスにおける欠陥を最小限に抑えるため、またはガラスを強化するために、当該上に融合した凸状構造部分を有する基板に追加の処理を施すことができる。これらの処理は、物理的もしくは化学的クリーニング、物理的もしくは化学的強化処理、物理的もしくは化学的エッチング、物理的もしくは化学的アニール処理、および/または成形を含み得る。そのようなプロセスは、本開示が関連する技術分野の当業者に既知である。
【0048】
1つ以上の実施形態において、基板、凸状構造部分、および/または基板と凸状構造部分との間に配設された任意選択の中間層は、それらの表面の少なくとも一部においてヒドロキシル(OH)基の濃度増加を示し得る。理論に束縛されるものではないが、ヒドロキシル基の量の増加は、ガラス基板中および/または凸状構造部分中への水の浸透に起因する。いくつかの例において、水の浸透は、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、または10μmまでの深さにおいて存在し得る。いくつかの場合において、ヒドロキシル基は、凸状構造部分および/または任意選択の中間層を有する基板にさらなる処理を施すことによって除去され得る。
【0049】
1つ以上の実施形態において、水熱処理の完了直後に、水熱洗浄工程が実施され得る。そのような実施形態において、熱水を使用する当該洗浄工程は、水熱処理の際に形成され得る小さい包有物を溶解させる。そのような包有物は、酸化ナトリウム(水酸化ナトリウム、またはケイ酸ナトリウムのなんらかの形態)を含み得、ならびにそのような包有物は、微粒子コーティング中に存在し得る。当該包有物は、概して、光学顕微鏡の下では視認できず、電子顕微鏡の下でも検出するのが困難であるが、しかしながら、それらは、いくらかの光散乱を引き起こし得る。
【0050】
1つ以上の実施形態において、凸状構造部分および/または任意選択の中間層を有するガラス基板は、水熱処理の後に、ガラス基板の表面層からの拡散および蒸発によって水および/またはヒドロキシル基の少なくとも一部を除去するために、乾燥窒素(すなわち、基板ガラスの軟化点温度までの高温において、水蒸気含有率が1%未満のガス状窒素)によってさらに処理することができる。結果として得られる、凸状構造部分および/または任意選択の中間層を有するガラス基板は、窒素乾燥されるか、または水熱処理されて既に窒素ガス中で乾燥されている窒素乾燥済み表面を有する。いくつかの実施形態において、乾燥窒素による処理は、水熱処理の際に導入された水および/またはヒドロキシル基を除去する。乾燥窒素によるさらなる処理は、600℃で、3時間まで、2時間まで、1時間まで、あるいは30分間までの所要期間において実施され得る。1つ以上の実施形態において、当該乾燥窒素処理は、水熱処理と同じ炉または加熱されたチャンバーにおいて実施してもよいが、ただし、当該気体環境は、1%未満の水蒸気を有するように変更されるであろう。下記の実施例において説明されるように、水および/またはヒドロキシル基の除去は、高密度化を増加させ、および/または凸状構造部分を有する基板の耐久性を向上させ得る。
【0051】
1つ以上の実施形態において、凸状構造部分(および/または任意選択の中間層)を有する基板は、1つ以上の「イージー・トゥ・クリーン(easy−to−clean)」(「ETC」)層でさらに処理され得る。当該ETC層は、真空蒸着技術、例えば、「OPTICAL COATING METHOD, APPARATUS AND PRODUCT」の名称において2013年11月30日に出願された米国特許出願13/690,829号明細書、「OPTICAL COATING METHOD, APPARATUS AND PRODUCT」の名称で2013年5月30日に出願された米国特許出願第13/906,065号明細書、「PROCESS FOR MAKING OF GLASS ARTICLES WITH OPTICAL AND EASY−TO−CLEAN COATINGS」の名称で2012年11月30日に出願された米国特許出願第13/690,904号明細書、ならびに「PROCESS FOR MAKING OF GLASS ARTICLES WITH OPTICAL AND EASY−TO−CLEAN COATINGS」の名称で2013年5月30日に出願された米国特許出願第13/906,038号明細書、において開示される技術など、により、凸状構造部分の上部に形成することができ、なお、これらの文献の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。ETC材料の例は、例えば、フッ素化シラン、典型的には、式(R
F)
xSiX
4−x(式中、R
Fは、直鎖状C
6〜C
30アルキルペルフルオロカーボンであり、X=Clまたは−OCH
3−であり、ならびにx=2または3である)を有するアルキルペルフルオロカーボンシラン、を含み得る。当該フルオロカーボンは、3nm以上〜50nm以下の範囲の炭素鎖長を有する。当該フルオロカーボンは、これらに限定されるわけではないが、Dow−Corning(例えば、フルオロカーボン2604および2634)、3M Company(例えば、ECC−1000および4000)、Daikin Corporation、Canon、Don(韓国)、 Ceko(韓国)、Cotec−GmbH(例えば、DURALON UltraTec)、およびEvonikなどのベンダーから商業的に得ることができる。
【0052】
いくつかの実施形態において、基板中の水分子および/またはヒドロキシル(OH)基の増加した濃度を減じるための当該凸状構造部分を有する基板に対する処理、ならびに当該凸状構造部分および/または任意選択の中間層の上へのETC層の配設は、耐久性を向上させ得る。いくつかの実施形態において、そのような基板の耐久性の増加は、スチールウールによる摺擦後に当該構造に損傷がないこと(すなわち、基板への凸状構造部分の接着が保存されている)によって実証される。当該試験は、上に凸状構造部分が配設された基板の表面を、500gの荷重により1×1cmの#0000スチールウールパッドで10回以上直線的な前後ストロークにより擦動する工程を伴い得る。
【0053】
凸状構造部分(および任意選択の中間層)を有するガラス基板には、さらなる処理を施してもよい。例えば、凸状構造部分(および任意選択の中間層)を有するガラス基板を、水熱処理の後に強化処理を行ってもよい。例えば、凸状構造部分(および任意選択の中間層)を有するガラス基板を、ガラス基板の表面のイオンを同じ原子価または酸化状態を有するより大きなイオンで置き換える(すなわち、交換する)イオン交換プロセスによって化学強化してもよい。ガラス基板がアルカリアルミノケイ酸ガラスを含むような実施形態において、ガラスの表面層のイオン、およびより大きなイオンは、一価のアルカリ金属カチオン、例えば、Li
+(ガラス中に存在する場合)、Na
+、K
+、Rb
+、およびCs
+など、である。あるいは、表面における一価のカチオンを、アルカリ金属カチオン以外の一価のカチオン、例えば、Ag
+など、で置き換えてもよい。
【0054】
イオン交換プロセスは、典型的には、ガラス基板(凸状構造部分を有する基板を含む)を、ガラス基板中のより小さいイオンと交換されるより大きなイオンを含有する溶融塩浴に浸漬することによって実施される。これらに限定されるわけではないが、浴の組成および温度、浸漬時間、塩浴(複数の塩浴)中へのガラスの浸漬の回数、複数の塩浴の使用、アニール処理など追加の工程、および洗浄工程などを含む、イオン交換プロセスのためのパラメータは、概して、ガラスの組成および強化作業により結果として生じる所望の層の深さとガラスの圧縮応力、によって決定されることは、当業者によって理解されるであろう。一例として、アルカリ金属含有ガラスのイオン交換は、塩、例えば、これらに限定されるわけではないが、より大きなアルカリ金属イオンによる硝酸塩、硫酸塩、および塩化物など、を含有する少なくとも1つの溶融浴への浸漬によって達成され得る。溶融塩浴の温度は、典型的には、約380℃〜約450℃の範囲であり、その一方で、浸漬時間は、約15分間〜約40時間の範囲である。ただし、上記において説明したものとは異なる温度および浸漬回数も使用することができる。
【0055】
さらに、ガラスを複数のイオン交換浴に浸漬するイオン交換プロセスであって、浸漬と浸漬の間に洗浄工程および/またはアニール処理工程を伴うイオン交換プロセスの非限定的な例は、「Glass with Compressive Surface for Consumer Applications」の名称によりDouglas C.Allanらによって2009年7月10日に出願され、異なる濃度の塩浴での複数回の連続するイオン交換処理における浸漬によってガラスを強化する、2008年7月11日に出願された米国特許仮出願第61/079,995号明細書からの優先権を主張する、米国特許出願第12/500,650号明細書;ならびに、「Dual Stage Ion Exchange for Chemical Strengthening of Glass」の名称により2012年11月20日に発行され、溶出イオンによって希釈される第一浴におけるイオン交換と後続の第一浴より低い濃度の溶出イオンを有する第二浴での浸漬によるイオン交換とによってガラスが強化される、2008年7月29日に出願された米国特許仮出願第61/084,398号明細書からの優先権を主張する、Christopher M. Leeらによる、米国特許第8,312,739号明細書に記載されている。なお、米国特許出願第12/500,650号明細書および米国特許第8,312,739号明細書の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。さらに、本開示のガラス組成物は、当技術分野において公知のプロセス、例えば、スロットドロー法、フュージョンドロー法、リドロー法など、によってダウンドロー可能であり、ならびに少なくとも130キロポアズ(約13kPa・s)の液相線粘度を有する。
【0056】
圧縮応力は、ガラス物品の化学強化、例えば、上記において本明細書で説明したイオン交換プロセスなど、によって作り出され、当該イオン交換プロセスでは、ガラス物品の外側領域における複数の第一金属イオンが複数の第二金属イオンで交換され、その結果として、外側領域に当該複数の第二金属イオンが含まれる。各第一金属イオンは第一イオン半径を有し、各第二金属イオンは第二イオン半径を有する。当該第二イオン半径は当該第一イオン半径より大きく、当該外側領域におけるより大きな第二アルカリ金属イオンの存在が、当該外側領域に圧縮応力を作り出す。
【0057】
第一金属イオンおよび第二金属イオンのうちの少なくとも一方は、好ましくは、アルカリ金属のイオンである。当該第一イオンは、リチウム、ナトリウム、カリウム、およびルビジウムのイオンであり得る。当該第二金属イオンは、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、およびセシウムのうちの1つのイオンであり得、ただし、当該第二アルカリ金属イオンは、第一アルカリ金属イオンのイオン半径より大きいイオン半径を有する。
【0058】
1つ以上の代替の実施形態において、凸状構造部分を有するガラス基板は、他の属性を付与するために他のイオン交換処理を施すことができる。一例としては、抗菌特性を付与するための、凸状構造部分(および/または任意選択の中間層)を有するガラス基板中への銀イオンのイオン交換が挙げられる。
【0059】
凸状構造部分の100%完全な六方最密充填の場合でさえ、それらは、基板表面の約93%しか覆っておらず、したがって、表面の7%がアルカリもしくは銀イオン交換浴中の溶融塩に直接晒されることは、当業者には容易に理解されるであろう。非完全ランダム充填された凸状構造部分の場合、表面の60×0.93%=55.8%から90×93%=83.7%までは凸状構造部分で覆われ得、したがって表面の16.3%〜44.2%は溶融塩に晒されることとなり、このことは、ガラス基板表面上の凸状構造部分の存在がイオン交換プロセスを実質的に減速させないことを意味する。銀イオン交換による殺菌処理の場合、ランダム充填された凸状構造部分は、銀イオンを含有するガラス基板の16.3%〜44.2%が環境に晒され得ることを許容するが、銀イオン含有ガラスによって提供される殺菌作用の強度は保持する。
【0060】
コーティングされた物品が成形されると、それは、当該物品が使用者の目に触れるであろう様々な用途において使用することができる。これらの用途は、いくつか装置の例を挙げると、様々な電子デバイス(例えば、携帯電話、個人データアシスタント、コンピュータ、タブレット、全地球測位システムナビゲーションデバイスなど)用のタッチセンサー式ディスプレイスクリーンまたはカバープレート、電子デバイスの非タッチセンサー式の部品、家庭用機器(例えば、冷蔵庫、電子レンジ、レンジの上面、オーブン、食洗機、洗浄機、乾燥機など)の表面、車両部品、および光起電装置を包含する。
【0061】
本明細書において説明される改良された物品の潜在的使用の幅を考慮すると、特定の物品の特定の特徴または特性は、それらの最終用途またはそれらの使用に応じて変わるであろうことは、理解されるべきである。しかしながら、以下の説明は、いくつかの基本的な考察を提供するであろう。
【0062】
本明細書において想到される基板の平均厚さに特定の限定はない。しかしながら、多くの例示的用途において、平均厚さは、約15ミリメートル(mm)以下であろう。物品が、質量、コスト、強度の特徴に対して厚さを最適化することが所望され得るような用途において使用される場合(例えば、電子デバイスなど)、より薄い基板(例えば、約5mm以下など)も使用することができる。一例として、物品が、タッチスクリーンディスプレイのカバーとして機能することが意図される場合、基板は、約0.02mm〜約2.0mmの平均厚さを示し得る。
【0063】
任意選択の中間層の厚さは、その機能によって決定されるであろう。グレア抵抗性の場合、例えば、平均厚さは、約200nm以下であるべきである。これより大きい平均厚さを有するコーティングは、グレア抵抗性を妨害するように、光を散乱させ得る。
【0064】
概して、物品の光透過率は、選択される材料の種類に依存するであろう。例えば、ガラス基板が、顔料を添加されることなく使用される場合、当該物品は、可視スペクトル全体に対して少なくとも約85%の透明性を有し得る。物品が、電子デバイス用のタッチスクリーンの構築において使用されるような、ある特定の場合においては、例えば、当該物品の透明性は、可視スペクトルに対して少なくとも92%であり得る。基板が顔料を含む(またはその材料成分により無色ではない)状況においては、当該透明性は、可視スペクトルに対して不透明であるような程度まで低下され得る。したがって、コーティングされた物品自体の光透過率に関して、特定の制限は存在しない。
【0065】
透過率と同様に、物品のヘイズも、特定の用途に適合させることができる。本明細書において使用される場合、「ヘイズ」および「透過ヘイズ」なる用語は、ASTM手順D1003に従って±4.0°の角度円錐の外側に散乱された透過光のパーセンテージを意味し、なお、当該文献の内容は、参照により、あたかも以下において完全に詳しく説明されるかのように、その全体が本明細書に組み入れられる。光学的に滑らかな表面の場合、透過ヘイズは、一般的に、ゼロに近い。物品が電子デバイス用のタッチスクリーンの構築において使用されるような状況においては、当該コーティングされた物品のヘイズは、約5%以下であり得る。
【0066】
用途または使用法にかかわらず、本明細書において説明される物品は、本明細書において説明される一体化された反射低減構成要素を持たない同様のもしくは同一の物品と比べて、改良された(より低い)反射を提供する。この改良された(より低い)反射は、少なくとも可視スペクトルのかなりの部分に対して生じる。ある特定の場合において、当該改良された(より低い)反射は、可視スペクトル全体に対して生じ、この場合、当該可視スペクトルは、約380nm〜約750nmの波長を有する放射線を含む。他の場合において、当該改良された(より低い)反射は、約450nm〜約1000nmの波長を有する放射線に対して生じる。
【0067】
反射の低減は、物品の正反射率を測定して、それを、一体化された反射低減構成要素を持たない同様のもしくは同一の物品の正反射率と比較することによって定量化することができる。概して、当該物品は、一体化された反射低減構成要素を持たない同様のもしくは同一の物品の正反射率と比較して、対照となる光スペクトルの正反射率を少なくとも15%減少させる。換言すれば、当該物品の正反射率は、それ自体の基板の正反射率の約85%以下である。しかしながら、ある特定の場合において、本明細書において説明される一体化された反射低減構成要素を持たない同様のもしくは同一の物品の正反射率と比較して、対照となる光スペクトルに対して正反射率を少なくとも75%減じることが可能である。
【0068】
概して、当該物品は、可視光スペクトル全体に対して約4%未満の正反射率を有するであろう。しかしながら、いくつかの場合において、当該物品は、可視光スペクトル全体に対して約3%未満、約2%未満、さらには約1%未満の正反射率を有し得る。
【0069】
1つ以上の実施形態において、当該物品は、指紋または油を含む他の表面汚染において低減された可視性を示し得る。
図2Aに示されるように、基板110上に凸状構造部分120を有する物品100は、凸状構造部分の一体化されているガラス基板表面からの反射を排除し得る。したがって、残った唯一の反射面は、油面であり、したがって、総反射は減少する。比較のため、多層の干渉ベースの反射防止コーティング130(高屈折率の層132および低屈折率の層134)を有するガラス基板110が、
図2Bに示されている。当該多層の干渉ベースの反射防止コーティング130は、ガラス基板110の表面からの光反射を排除せず、したがって、油表面からの反射と組み合わされる場合、総反射は、
図2Aに示された凸状構造部分120を有するガラス基板の反射の2倍である。換言すれば、本明細書において開示される1つ以上の実施形態による凸状構造部分を有するガラス基板は、指紋および他の油含有表面汚染の可視性を、多層の干渉ベースの反射防止コーティングを有するガラス基板と比べて、2倍減少させる。
【0070】
本明細書において説明される物品は、高い耐久性を示すことが可能である。耐久性(クロック抵抗性(Crock Resistance)とも呼ばれる)は、クロスによる繰り返し摺擦に耐える当該物品の能力を意味する。クロック抵抗性試験は、衣類または布地と物品との間の物理的接触を模倣すること、ならびにそのような処理の後の耐久性を特定することが意図される。
【0071】
Crockmeterは、そのような摺擦を施された表面のクロック抵抗性を測定するために使用される標準的な計器である。Crockmeterは、試料に対し、荷重されたアームの端部に取り付けられたラビングチップまたは「指」との直接的な接触を受けさせる。Crockmeterによって提供される標準的な指は、15ミリメートル(mm)直径の固体アクリルロッドである。1枚の清浄な標準的クロッキングクロスをこのアクリルの指に取り付ける。次いで、耐久性/クロック抵抗性における変化を観察するために、当該指を900gの圧力において試料に押し当て、当該アームを、機械的に試料上を繰り返し前後に移動させる。本明細書において説明される試験で使用されるCrockmeterは、1分間あたり60回転の均一なストローク速度を提供する電動式のモデルである。Crockmeter試験は、「Standard Test Method for Determination of Abrasion and Smudge Resistance of Images Produced from Business Copy Products」の表題においてASTM試験手順F1319−94に記載されており、なお、当該文献の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0072】
本明細書において説明される物品のクロック抵抗性または耐久性は、ASTM試験手順F1319−94によって規定されるように、指定された回数の擦動の後での光学的測定(例えば、反射率、ヘイズ、または透過率など)によって特定される。「擦動」は、ラビングチップまたは指による2回のストロークまたは1回転として定義される。
【0073】
ある特定の実践形態において、本明細書において説明される物品の反射率は、100回の擦動の後では、擦動の前に測定した正反射率値からの変化が約15%未満である。いくつかの場合において、当該物品の反射率は、1000回の擦動の後では、初期反射率値からの変化が約15%未満であり、他の実践形態において、5000回の擦動の後では、当該物品の反射率は、初期反射率値からの変化が約15%未満である。
【0074】
本明細書において説明される物品は、高スクラッチ抵抗性または硬度を示すことも可能である。当該スクラッチ抵抗性または硬度は、「Standard Test Method for Film Hardness by Pencil Test」の表題のASTM試験手順D3363−05を使用して、9B(最も柔らかく最も低いスクラッチ抵抗性のフィルムのタイプを表す)から9H(最も硬く最も高いスクラッチ抵抗性のフィルムのタイプを表す)までのスケール範囲により測定した。ASTM試験手順D3363−05の内容は、参照により、あたかも以下において詳細に説明されるかのように、その全体が本明細書に組み入れられる。本明細書において説明される物品は、概して、少なくとも2Hのスクラッチ抵抗性もしくは硬度を有する。ある特定の実践形態において、当該スクラッチ抵抗性または硬度は、少なくとも6Hであり得る。
【0075】
本開示の様々な実施形態について、以下の非限定的な実施例によりさらに例示する。
【実施例】
【0076】
実施例1:反射低減物品の製作
以下:61mol%≦SiO
2≦75mol%;7mol%≦Al
2O
3≦15mol%;0mol%≦B
2O
3≦12mol%;9mol%≦Na
2O≦21mol%;0mol%≦K
2O≦4mol%;0mol%≦MgO≦7mol%;および0mol%≦CaO≦3mol%、を含む組成を有する0.7mm厚のガラス基板の2×2インチ(約5.08cm)の試料を、イソプロピルアルコール(IPA)中における3%コロイド溶液からのディップコーティングによって、100nm直径のシリカ球のランダム充填された単層でコーティングした。これらの試料の代表的な走査型電子顕微鏡(SEM)の画像を
図3a〜3bに示す。
【0077】
次に、これらの試料を、標準気圧において、約600℃(水蒸気)において水蒸気で満たされた炉内に位置した。1〜7時間において毎時間毎に2つの試料を回収した。炉から取り出して室温まで冷ますと、上方視点からと断面のSEM画像を撮影した。代表的なSEM画像を
図4a〜4cに示す。
図4から分かるように、かなりのそして急速な融合が生じている。水蒸気中での最初の2時間で、粒子は、ほぼ直径の1/2までガラス中に沈降/溶解し、7時間以内で、結果として得られる表面はほとんど平坦である。次に、少なくともこの実施例のプロセス条件の場合、チャンバー内のほぼ100%の水蒸気環境により、ガラスに融合する粒子は、一緒に融合しないだけでなく、水熱処理の前にお互いに接触していた場合の小さい空間もしくはギャップさえも発達させる。
【0078】
図5a〜5cは、それぞれ、600℃の水蒸気中での1、2、および7時間後の試料の反射スペクトルを示している。
【0079】
実施例2:反射低減物品の製作
実施例1と同じ組成を有する、0.7mm厚のガラス基板の2つの2×2インチ(約5.08cm)試料を、IPA中における3%コロイド溶液からのディップコーティングによって、100nm直径のシリカ球がランダム充填された単層でコーティングした。一方の試料は、標準気圧において1時間にわたって約600℃(水蒸気)において水蒸気で水熱処理し、他方の試料は、2時間にわたって約600℃(水蒸気)において水蒸気で水熱処理した。これらの試料の代表的な走査型電子顕微鏡(SEM)の画像を
図6a〜6bに示す。
図6aは、1時間の水熱処理後の試料を示しており、
図6bは、2時間の水熱処理後の試料を示している。
【0080】
実施例1のガラス基板と同じ組成を有する、0.7mm厚のガラス基板の2つの2×2インチ(約5.08cm)の試料を、IPA中における10%コロイド溶液からのディップコーティングによって、200nm直径のシリカ球がランダム充填された単層でコーティングした。一方の試料は、標準気圧において1時間にわたって約600℃の水蒸気(水蒸気)により水熱処理し、他方の試料は、2時間にわたって約600℃の水蒸気(水蒸気)で水熱処理した。これらの試料の代表的な走査型電子顕微鏡(SEM)の画像を
図7a〜7bに示す。
図7aは、1時間の水熱処理後の試料を示しており、
図7bは、2時間の水熱処理後の試料を示している。
【0081】
図6a〜6bおよび
図7a〜7bに示されるように、水熱処理は、異なるサイズの粒子の融合を達成する。いくつかの場合において、
図7a〜7bに示されるように、水熱処理は、切頂された粒子層の有効厚さ(または、下のガラス基板の表面上に残る粒子層の厚さ)においてより顕著な変化を生じ、結果としてより急速な融合を達成するようであり、この場合、当該粒子は、より大きな直径を有する。換言すると、水熱処理は、粒子がより小さい直径を有する場合よりも、粒子がより大きな直径を有する場合に、より急速な融合を達成する(ならびに、切頂された粒子層の厚さをより大きく減じる)。
【0082】
実施例3:反射低減物品の製作
実施例1のガラス基板と同じ組成を有する、0.7mm厚のガラス基板の2つの2×2インチ(約5.08cm)の試料を、IPA中における10%コロイド溶液からのディップコーティングによって、200nm直径のシリカ球がランダム充填された単層でコーティングした。当該試料を、それぞれ、標準気圧において2.5時間(実施例3A)および3時間(実施例3B)にわたって、約600℃(水蒸気)において水蒸気で水熱処理した。
図8は、実施例3Aおよび3Bの総(正反射と拡散反射の合計)反射スペクトルを示している。
図8は、可視波長範囲(390nm〜790nm)での最も低い平均反射が、550nmにおいて0.34%(1面あたり)程度の低い反射を達成し得ることも示している。水熱処理時間の増加と共に、融合の程度が増加し、結果として、ガラス基板上に残る切頂された粒子層の厚さが減じられることが観察された。
図8に示されるように、それに応じて、最小の反射波長は、より短い(青色)波長側へとシフトする。
図9は、実施例3Aの片面の正反射のみのスペクトルを示している。
図9に示されているように、正反射は、総反射よりも小さい。具体的には、当該正反射は、550nmにおいて0.25%であったが、総反射は、550nmにおいて0.34%であった。さらに、当該正反射は、450nmにおいて0.7%であったが、総反射は、450nmにおいて0.8%であった。このことは、拡散反射が無視できないことを示している。
【0083】
ヘイズは、実施例3Aに対し、拡散反射の強度の標示として、Paul N. Gardner Company,Inc.により商標Haze−Gardにおいて供給される機器を使用して測定した。ヘイズは、総合で0.68%、または片面あたり0.34%で測定され、これは、ディスプレイ用途などの用途に対し、許容可能なレベルのヘイズ(例えば、1%)より十分に低い。実施例3Aの総透過率は98.4%であり、実施例3Bの総透過率は98.5%であった。両方の総透過率の測定値は、ヘイズを測定するために使用したのと同じ機器を使用して得た。実施例3Aおよび3Bの両方について、鉛筆硬度試験を使用して耐久性を測定し、その試験の下で6Hレベルが達成された。
【0084】
実施例4:反射低減物品を製造するために使用したコロイド状シリカのナノ粒子の高密度化
本発明による反射低減物品の製造において使用され得るコロイド状シリカのナノ粒子の粉末による3つの試料は、真空においてIPAコロイド状溶液を乾燥させることによって調製した。実施例4aには、いかなる追加の処理も施さなかった。実施例4bは、標準気圧において2時間にわたって、約600℃(水蒸気)において水蒸気で水熱処理した。実施例4cは、標準気圧において2時間にわたって、約600℃(水蒸気)において窒素ガスで処理した。処理後に試料における測定した表面積は、表1に提供される。
【0085】
【表1】
【0086】
表1に示されているように、実施例4bおよび4cの粒子は、測定可能な高密度化を受けている。当該高密度化は、実施例4bにおいてより顕著である。累積細孔容積は、窒素による処理後に1%減少しており、水熱処理の後には2%減少している。総表面積(多孔率全体の指標)は、窒素による処理後に2%減少しているが、水熱処理後には14%も減少している。理論に束縛されるものではないが、この高密度化は、水熱処理の前後での凸状構造部分を比較する上方視点でのSEM画像において観察される個々の粒子間のギャップの増加を生じ得る。この高密度化は、本明細書において説明される物品および凸状構造部分の耐久性を向上させると考えられる。
【0087】
実施例5:水熱処理温度に対する反射低減物品の感度
実施例1のガラス基板と同じ組成を有する、0.7mm厚のガラス基板の6つの2×2インチ(約5.08cm)の試料を、IPA中における10%コロイド溶液からのディップコーティングによって、200nm直径のシリカ球がランダム充填された単層でコーティングした。6つ全ての試料を、標準気圧において2時間にわたって水蒸気で水熱処理した。当該水蒸気の温度は、表2に示されているように、10℃刻みで約600℃〜約650℃において試料毎に変えた。水熱処理後に正反射スペクトルを測定し、それを
図9a〜9fに示した。
【0088】
【表2】
【0089】
図9a〜9fに示されるスペクトルにより、当該水熱処理プロセスは、温度における変動に敏感であり得る。600℃において2時間にわたる水熱処理は、粒子のより低い部分(すなわち、粒子の直径の約20%)を基板中に融合させることが可能であるが、650℃での同じ所要時間での水熱処理は、ほとんど平坦な表面、または粒子が下の基板中に沈み込むことによってほとんど見えなくなっている物品、のスペクトル特性を生じる。さらに、約630℃以上の温度での水熱処理では、視認できる基板の歪みまたは反りが観察された。1つ以上の実施形態において、基板に反りを生じることなく最も急速な融合を達成する水熱処理温度は、ガラス基板のアニール点にほぼ同じであるかまたはそれに近い温度であり得る。
【0090】
実施例6:反射低減物品の水熱処理の水含有率に対する感度
実施例1のガラス基板と同じ組成を有する、0.7mm厚のガラス基板の8つの2×2インチ(約5.08cm)の試料を、IPA中における3%コロイド溶液からのディップコーティングによって、100nm直径のシリカ球がランダム充填された単層でコーティングした。次いで、当該8つの試料を、管状炉において水熱処理して、用いられた水含有率(または炉環境における空気と水蒸気の割合)に対する融合プロセスの感度を特定した。8つの試料それぞれを、600℃の温度において水熱処理し、この場合、処理時間は、8つ全ての試料に対して同じであった(すなわち、30分間)。管状炉を通って流れる水および空気混合物の水含有率は、表3に示されるように、8つの試料毎に変えた。
【0091】
【表3】
【0092】
図10a〜10hは、管状炉を通って流れる空気および水混合物の水含有率を変化させたときの水熱処理後の反射スペクトルの変遷を示している。
図10a〜10hに示されているように、水熱処理プロセスの速度と水含有率との間にはある関係が存在する。部分的に空気からなる単層コーティング(すなわち、およそ70%の表面被覆率の切頂されたシリカ球の層)の概算を使用することにより、粒子と表面との間の融合の程度(シリカ球の沈み込みによる層の有効厚さにおける変化として測定した)は、水含有量に対しておよそ線形比例において増加すると結論付けることができる。この観察により、ガラス基板への粒子の融合を促進するためには、水含有率は、可能な限り100%に近く維持すべきである。
【0093】
ガス(または水蒸気)が管に沿って連続的に流れる管状炉を使用して得られる、実施例6による結果を、従来のマッフル炉(強制対流なし)を使用して得られる融合結果と比較した。比較結果は、ガスの流れに伴って融合もより速く進行することを示唆している。
【0094】
実施例7:反射低減物品の水エッチング
実施例1のガラス基板と同じ組成を有する、0.7mm厚のガラス基板の2つの2×2インチ(約5.08cm)試料を、IPA中における10%コロイド溶液からのディップコーティングによって、200nm直径のシリカ球がランダム充填された単層でコーティングした。当該2つの試料を、600℃で2時間にわたって水熱処理した。一方の試料はさらなる処理を行わなかったが(実施例7a)、もう一方の試料は80℃でDI水中において2分間エッチングした。
【0095】
図11aおよび11bは、実施例7aおよび7bの断面SEM画像である。
図11bは、少量のガラス基板材料が水によるエッチングの後に表面から除去されているのを示しており、これは、水溶性で高水和されたガラス層がガラス基板の上部に存在し、それは表面からガラス基板中に約10nmの深さまで広がっていることを示している。
【0096】
後続の実験において、実施例7aと同じ試料を、約80℃の温度を有する水において10分間洗浄した(実施例7c)。実施例7cのヘイズは、Paul N.Gardner Company,Inc.により商標Haze−Gardにおいて供給される機器を使用して、洗浄の前後において評価した。当該ヘイズは、洗浄後、2.9%から2.47%へと約0.5%減少し、凸状構造部分がガラス基板の両面に存在する(すなわち、両面コーティング)場合、総透明度は、95.8%(洗浄前)から97.2%(洗浄後)へと1%以上増加した。水熱処理は、結果として、微粒子コーティング中に酸化ナトリウム(または水酸化ナトリウム、もしくはケイ酸ナトリウムのなんらかの形態)の小さい包有物の形成を生じると考えられ、当該包有物は、光学顕微鏡下において視認できず、電子顕微鏡下でさえ検出が困難である。理論に束縛されるものではないが、これらの包有物は、小さいが、洗浄工程の際に水熱によって溶解されるまで光散乱を生じる。
【0097】
本明細書において開示される実施形態について、説明を目的として詳細に述べてきたが、前述の説明は、本開示または添付の特許請求の範囲に対する限定と見なされるべきではない。したがって、当業者には、本開示または添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更、適合、および代替案が想起され得る。