(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記排気ガス後処理装置は前記粒子フィルタであり、前記低温再生トリガーは、前記粒子フィルタの煤負荷が前記粒子フィルタの目標最大煤負荷になっているとの決定であることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
前記粒子フィルタの煤負荷が前記安全高温再生レベルを下回るとの前記決定は、前記排気ガスの温度が前記第1の温度範囲内に維持される時間の長さの作用であることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
前記排気ガス後処理装置が、ディーゼル酸化触媒、及び前記粒子フィルタの少なくとも一つの触媒された部分のうち、少なくとも一つを有することを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
前記排気後処理システム中の排気ガス後処理装置の再生の必要性を示すトリガーイベントに応じて前記粒子フィルタにおける前記排気ガスの該温度を第1の温度範囲内に上昇させ始めるためにトリガー信号を前記コントローラに提供する手段を有していることを特徴とする請求項8に記載の内燃エンジン装置。
前記コントローラは、前記粒子フィルタにおける該温度を前記第1の温度範囲から前記第2の温度範囲に制御する前記加熱手段を制御するために配置されていることを特徴とする請求項8に記載の内燃エンジン装置。
【背景技術】
【0001】
本発明は概して排気後処理装置を再生する方法及び装置に関し、より具体的には、2段再生を使用して排気後処理装置を再生する方法及び装置に関する。
【0002】
環境規制により内燃エンジン用の排気後処理システム(EATS)での各種排気後処理装置の補強が必要とされてきている。例えば、ディーゼルエンジンにおいては、そのEATSに粒子フィルタ(通常は、ディーゼル粒子フィルタ又はDPFと呼ぶ)が含まれているのが一般的である。燃料を燃焼室に直接噴射するガソリンエンジン、特に直噴式ガソリンエンジンも将来はこのようなフィルタを備えるであろう。EATSはNOx還元デバイスのような他の構成部分を含んでいてもよい。ディーゼルエンジンの場合、NOx還元触媒(通常、選択接触還元触媒(SCR))は通常、粒子フィルタ及びそのフィルタの上流にあるか、又はそのフィルタの一部を形成する酸化触媒(ディーゼル酸化触媒(DOC)と呼ぶこともある)の下流に用いられる。酸化触媒はエンジン排気中のCO及びNOを酸化し、それらをCO2とNO2に転換する。酸化触媒を備えるための別の装置の中には無コーティングのDPF付きDOC(いわゆる、CRTシステム)と、コーティングしたDPF付きDOC(いわゆる、cCRTシステム)と、コーティングしたDPFと、が含まれている。
【0003】
エンジンからの排気は通常約250〜350℃の温度であり、これらの温度で粒子フィルタ29のいわゆる「受動的」NO2再生の一定量が発生し、そこで、以下の反応を通して、粒子フィルタの上流又は粒子フィルタ上の酸化触媒により促進される時は特に、集められた煤が酸化され、そのフィルタから除去されるようになる。
(1) C + 2NO2 → CO2 + 2NO
及び/又は
(2) C + NO2 → CO + NO
【0004】
低温(<300℃)ではNO2による煤酸化はかなり低い速度を示すので、その粒子フィルタの煤負荷は、排気ガスの温度が200℃より低い(低温無負荷サイクル)という極度負荷サイクルの場合にはかなり急激に増加するようになる。粒子フィルタ上の過度の煤は粒子フィルタやエンジンの機能性を悪くする。粒子フィルタに集められた煤が、受動的再生によって酸化される速度とほぼ同じ速度で焼失され、それによりその粒子フィルタにおける煤負荷が許容レベル内に維持される、という均衡に達することが、所定の負荷サイクルにわたりしばしば起きる。しかし、ある負荷サイクルにおいて、煤負荷が大きくなりすぎ、特定の能動的再生手順を通して粒子フィルタを再生することが必要となる。
【0005】
従来は、いわゆる「能動的」O2再生による再生を行うことが一般的であった。能動的O2再生は以下の反応を通して生じる。
(3) C + O2 → CO2
及び/又は
(4) 2C + O2 → 2CO
【0006】
能動的O2系再生システムは、O2/煤反応を達成し、持続させるために、種々の方法を通して反応物の温度を上昇させる。能動的O2系再生時において、実質的に全ての煤がO2との反応を通して除去されると思われる。
【0007】
O2再生での問題はその再生が触媒される粒子フィルタに対して通常約600〜625℃という高温で行われるということである。その反応が高発熱であり、粒子フィルタの煤負荷レベルが高すぎる場合には、「暴走」といった容認できない危険性、又は550℃を上回る温度での非制御再生が生じてしまうと一般的に考えられている。所定の装置に対して、高温再生が安全であると想定されるレベルよりも低い安全高温再生煤負荷レベルを決定することができる。その後、粒子フィルタがその安全高温煤負荷レベルより大きいレベルで負荷された場合に高温再生を行う工程には非制御再生の危険性があると考えられる。頻繁に使用されるEATS装置においては、その安全高温煤負荷レベルがフィルタのリットル当り約2〜8グラムの煤を上回ると考えられる(ここでは、gC/l filterと表現される)。(特定の負荷レベルはフィルタタイプ等の種々の因子により変動する。)従って、上記これらの煤負荷レベルにおける非制御再生の危険性のために、粒子フィルタや他の構成部分がさらにより高い煤負荷レベルで適切に動作できていたとしても、煤負荷レベルがそのレベルに近づいた時に能動的O2再生が行われる。各O2再生はフィルタ又はその粒子フィルタにおける排気ガスの温度を約600〜625℃以上に循環させる工程を含んでいる。この循環は粒子フィルタの摩耗を増加させる傾向があり、排気ガス又はフィルタを加熱するエネルギーの実質的な使用を含む傾向もある。
【0008】
その粒子フィルタの再生に加えて、酸化触媒又はNOx還元触媒等のEATS構成部分を「脱被毒」したり、又はいわゆるNOxトラップ等の他のNOx還元デバイスさえも脱被毒することが必要であることもある。触媒の被毒は通常、高熱処理を加えることで除去される。いくつかの具体的な場合(S被毒として)において、その再生(「脱被毒」と呼ぶこともある)には、例えばCu−ゼオライトSCR触媒に対して約600℃というかなりの高温が必要である。粒子フィルタの下流にあるSCR付きの後処理システムにおいて、そのSCRで600℃に達するのは、その粒子フィルタで温度が600℃より高い場合のみ可能である。その温度で、SCRが脱硫酸化されながら、フィルタも(煤から)再生される。その温度での再生は能動的O2再生であるので、粒子フィルタの最大煤負荷に特別な注意を払うことが更に必要である。O2再生を行おうとする場合、煤負荷が、非制御再生が起きるレベルより低いレベルで維持されることが必要であったので、フィルタ中での高発熱効果を妨げるため、粒子フィルタの再生及び/又はSCRの脱硫酸化がかなり頻繁となっていると思われる。この頻繁な再生がより高い燃料ペナルティや触媒の経年劣化を引き起こした。
【0009】
煤負荷レベルが、非制御再生の容認できない危険性があると考えられる安全高温煤負荷レベルを上回る時や、たとえ煤負荷レベルがそのレベルを下回る時であっても、非制御再生の危険性のため、O2再生は通常、車両の駐車時の車載エンジン装置上でのみ行われる。これは、O2再生を行うために一定期間ごとに車両が運転休止となってしまうことを意味する。
【0010】
受動的NO2再生が起きる傾向がある標準排気温度範囲と、約420〜550℃の範囲の温度等の能動的O2再生の温度範囲との間の中温域で、強化された有効NO2供給付きNO2再生(以後、「強化されたNO2再生」と呼ぶ)が起きるということが最近発見された。煤の残りのほとんどがNO2と反応すると思われるが、450〜550℃の温度において、煤の3分の2、或いはその半分以下はO2との反応により除去されるということが、参照により含まれる特許文献1及び特許文献2中で理論化されている。
【0011】
NO2/NO比ひいては平衡制限型のNO2供給が減少しても、通常のNO2系再生中に予想される有効性に比べてその煤除去有効性が高められるように有効供給が強化されるという「有効NO2供給」の概念が、特許文献1及び特許文献2により取り入れられている。有効NO2供給は煤酸化に関与しているNO2量として定義された。その関与するNO2は、平衡制限型のNO2供給から、触媒作用DPF中で酸化したNOから、又はNO再循環から直接やってきてもよい。NO2反応物の煤除去容量の概念についても取り入れられている。強化されたNO2再生により平衡制限型のNO2供給を減少させることができたとしても、同時に有効NO2供給を大きく増加させることができるので、それによってその平衡制限型のNO2供給の煤除去容量が増加し、結果として著しく高い煤酸化速度になる。諸条件を制御することができ、その結果、従来の条件下の量よりも少ないNO2量が粒子フィルタに供給されたとしても、NOがNO2に転換してDPF内部でNO2が煤と反応する速度は、通常より多くのNO2平衡制限量がそのDPFに供給されていたであろうと思われる従来の条件下の速度よりも大きくなる。そのNOは、順々に煤と反応しNO2を形成する触媒反応を通して、通常2回以上効果的に「再循環」され、再び触媒反応されるNOを形成すること等が理論化されている。従って、強化されたNO2再生の条件下で、エンジン排気中のNOxの特定量は、平衡制限型のNO2供給よりも多い煤を酸化させるのに効果的である。
【0012】
NO2系再生テストにおいて、NO2とCの反応化学量論に関連するNO2効率の測定が取り入れられ、特定の方法の有効性の評価が特許文献1及び特許文献2により説明されている。NO2効率は、DPFから除去されたCの質量をそのDPFに供給されたNO2の質量で割った値として明確に定義され、実質的に満杯のDPFの効果的な再生に要する時間に対して有意であるがこれを超えない時間にわたって決定される。従来のNO2系再生についての従来の知識では、NO2効率が12.01gC/46.01gNO2=
〜0.26gC/gNO2を大きく超えないとされている。単位「gC」はDPFから除去した煤の質量であり、単位「gNO2」は累積の平衡制限型のNO2供給の質量である。それでも、(NO−NO2転換の平坦部の近く、又はその平坦部を少し超える)高い温度では、徐々に減少する平衡制限的NO2供給物がその温度上昇を利用できないために、全体のNO2系煤酸化活動が大きく低下すると推定された。換言すれば、温度上昇は単純にNO2供給を低くし、結果としてより拡散制限的な反応となり、それによって反応速度を低下させ、煤除去全体の低下となる。実質的に満杯のDPFの効果的な再生に要する時間に対して有意であるがこれを超えない時間にわたり、従来の受動的NO2系再生は0.52gC/gNO2よりもかなり低い効率、より一般的には0.26gC/gNO2よりも低い効率を示す。
【0013】
能動的に反応物温度を上昇させることにより、0.52gC/gNO2よりかなり上回るNO2効率、通常は何倍も上回る効率を有するNO2系再生の従来の技術での結果よりもかなり良い煤除去の結果が達成されることが、特許文献1及び特許文献2により説明されている。これは、有効NO2供給(平衡制限型のNO2供給が必要とは限らない)を強化する目的で、そのNO2の煤除去容量を増加させることにより達成される。理論に束縛されるものではないが、そのNO2の煤除去容量を増加させる機構はNO再循環機構であるということが信じられている。十分長い滞留時間と十分な高温を与えられた触媒作用DPF内で、煤と反応してNO分子を生成したNO2分子は、その後、再循環されてNO2となり、次いで別の煤酸化反応に関与することができる。このプロセスは、滞留時間、煤酸化及びNO酸化作用の動的反応速度、煤の可用性、酸素の可用性、及び触媒の可用性から可能となる回数だけ繰り返される。
【発明の概要】
【0015】
本発明の一態様によると、内燃エンジンの排気ラインに組み込むのに適した排気ガス後処理装置を再生するプロセスが提供され、その排気ガス後処理装置は粒子フィルタ及び/又はNOx還元触媒の一つであり、そのプロセスは、
a)その粒子フィルタにおける排気ガスの温度を420℃と550℃の間に好ましくは含まれる第1の温度範囲内に設定するステップと、
b)第1の期間中、その粒子フィルタにおけるその排気ガスのその温度を第1の温度範囲に維持するステップと、
c)その第1の期間の後、更に、その粒子フィルタにおけるその温度を550℃を超える第2の温度範囲に徐々に上昇させるステップと、を有することを特徴とする。
【0016】
もし高温での能動的O2再生が行われようとしても、とりわけ、能動的NO2再生工程と呼ばれる第1段が非制御再生の実質的危険性が存在する温度よりも低い中温で行われる中で、2段再生を行うことにより、DPFの最大煤負荷レベルを、安全高温再生煤負荷レベルが粒子フィルタの能動的O2再生を行うのにもはや安全でないと思われるレベルよりも上回るように増加させることができることを、本発明者等は発見した。例えば、いくつかのフィルタとエンジン装置は、粒子フィルタの煤負荷レベルでその安全高温再生煤負荷レベルより約1.5から2倍の高いレベルまで適切に動作し続けるが、しかし最高負荷レベルは種々の異なる因子のため変動すると考えられる。例えば、再生プロセスのこの第1段は、頻繁な再生を少なくすることや、エンジンやEATSを含む車両の使用の度重なる中断を少なくすることを容易にする。それにもかかわらず、第2段において、通常550℃より高い、好ましくは600℃より高い高温で行われる再生プロセスは、限られた時間中に粒子フィルタの残存煤を実質的に完全に除去する能動的O2再生プロセスを含んでいる。NOx還元触媒のようなNOx還元デバイスが粒子フィルタの下流に位置している場合、そのプロセスの第2段は、NOx還元デバイスの同時脱被毒を可能にする。よって、本発明による2段プロセスは、煤負荷レベルが最低レベルに戻される粒子フィルタが実質的な完全再生に到達するに要する時間を最適化しながらも、頻繁な再生を減じることを可能にする。
【0017】
本発明の他の態様によると、
−ステップc)の間、粒子フィルタ中の過量の煤の非制御酸化が原因である暴走反応の危険性から更に守ることにより再生の安全性を更に増加させるように、制御された経時温度上昇速度で粒子フィルタにおける温度を上昇させることができる。粒子フィルタの温度が時間と共に増加するので、制御された経時温度上昇速度を考えること、又は制御された温度上昇速度がその温度それ自体に伴って増加すると考えることは同等である。
−ステップc)の間、粒子フィルタにおける温度は制御された経時温度上昇速度で上昇し、その速度は、再生の安全性とその期間との間でより良い妥協点に到達できるように、粒子フィルタの煤負荷決定の作用として制御される。特に、粒子フィルタにおける温度が、時間及び/又は粒子フィルタにおける瞬間温度に伴って減少する経時昇温速度によって上昇するかを選択することができる。
−ステップc)の間、粒子フィルタにおける温度が可変の経時温度上昇速度で上昇してもよく、例えば、第1の期間の最後にはその速度の変動が粒子フィルタの煤負荷決定の作用として制御される。これは、安全/期間の妥協点の最適化を更に可能にしている。例えば、ステップc)の間、少なくとも2つのサブステップにおいて粒子フィルタにおける温度を上昇させてもよく、これらのサブステップは、
−第1の経時温度上昇速度での第1のサブステップc1)と、
−第2の経時温度上昇速度での第2のサブステップc2)と、を含み、上記第2の温度上昇速度は上記第1の温度上昇速度よりも低いことが好ましい。
−いくつかの実施形態では、第2のサブステップc2)の間、粒子フィルタの煤負荷がより低い値に推定される場合、可変の経時温度上昇速度の実施として、上記第2の温度上昇速度はより高い値に調整される。
−いくつかの実施形態では、例えば、粒子フィルタに煤負荷モデルを使うことにより、その粒子フィルタの煤負荷を推定煤負荷とすることができるが、その理由は、作動環境中で実行するには、煤負荷の正確な測定が困難及び/又は高価であると考えられるからである。煤負荷を推定する一つのパラメータは、ステップb)の第1の期間の持続時間であってもよい。より正確な推定のために、その煤負荷はステップb)の第1の期間の持続時間及びステップa)での推定煤負荷により推定してもよい。代案又は組み合わせとして、その煤負荷は、粒子フィルタの吸気口と排気口との間の測定圧力差によって推定してもよい。代案又は組み合わせとして、その煤負荷は、エンジンにより排出される煤をエンジン作動パラメータの作用として推定するエンジン煤排出モデル及び粒子フィルタでの作動条件を基にその粒子フィルタ中の煤酸化を推定する煤再生モデルを使用して推定してもよい。このようなモデルにより煤負荷のより正確な推定が導かれる。
−いくつかの実施形態では、再生プロセスは、NOx還元デバイスを脱被毒するために使用してもよい。このプロセスは、ステップa)に先立って再生トリガーを検出するステップを有し、このステップは前述のNOx還元デバイスが被毒されていることを推定する工程を含んでいる。
−いくつかの実施形態では、好ましい第1の温度範囲は450℃と510℃の間であってもよい。
−いくつかの実施形態では、粒子フィルタにおける温度を第2の温度範囲へ徐々に上昇させるステップは600℃を超えるまで、例えば、約620℃から625℃まで、又は640℃を超えるまでの、その粒子フィルタにおける温度に上昇させる工程を含んでもよい。
−いくつかの実施形態では、第2の期間の間、その粒子フィルタにおける温度は前述の第2の範囲内に維持されてもよい。
【0018】
本発明の他の態様によると、内燃エンジン装置の、粒子フィルタを含む排気ライン中の排気ガス後処理装置を再生するプロセスが提供され、そのプロセスはその排気ガス後処理装置の再生の必要性を示すトリガーイベントを検出するステップと、その粒子フィルタの煤負荷が安全高温再生レベルを超えていることを決定するステップと、所定の期間が経過するまで、及び、その粒子フィルタの煤負荷が前記安全高温再生レベルを下回っていることを決定するまでの、少なくとも一つまで、第1の期間の間、第1の温度範囲内にその粒子フィルタにおける温度を設定並びに維持するステップと、前述の第1の期間の後、その粒子フィルタにおける温度を前述の第1の温度範囲より高い第2の温度範囲内に上昇させるステップと、を有している。
【0019】
本発明の他の態様によると、内燃エンジン装置の、粒子フィルタを含む排気ライン中の排気ガス後処理装置を再生するプロセスが提供され、そのプロセスは第1の期間の間、前記粒子フィルタにおける排気ガスの温度を第1の温度範囲内に維持するステップと、
その第1の期間の後、その粒子フィルタにおける前記排気ガスの温度をその第1の温度範囲より高い第2の温度範囲内に上昇させるステップと、を含み、
前述の第1の期間の後、その粒子フィルタにおける温度を前述の第1の温度範囲より高い第2の温度範囲内に上昇させるステップはその粒子フィルタにおけるその排気ガスの温度の上昇速度を前述の第1の温度範囲から前述の第2の温度範囲に制御する工程を有している。
【0020】
本発明の他の態様によると、内燃エンジン装置が提供され、
その内燃エンジン装置は内燃エンジンと、そのエンジンから排気ガスを集め、大気に向けてその排気ガスを排出する排気ラインと、
その排気ライン中の、少なくとも一つの粒子フィルタを有する排気後処理システムと、
その粒子フィルタにおける温度を上げるために配置された加熱手段と、
その加熱手段を制御するコントローラとを有し、前述のコントローラが上記記載の再生プロセスを行うために配置されている。
【0021】
本発明の更に他の態様によると、上記特徴のいずれかを有する内燃エンジン装置を有し及び/又は上記で定義された方法に従い再生プロセスを行うために配置された車両が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一態様による内燃エンジン装置21を
図1に示す。その内燃エンジン装置21はエンジンから排気ガスを集め、少なくとも大半の排気ガスを大気に導く排気ライン25を含む内燃エンジン23を有している。排気後処理システム(EATS)27は、排気ライン25を通って大気に導かれる排気ガスが、大気に排出される前にEATS27の各種構成部分を通過するように、排気ライン25に取り付けられている。EATS27は粒子フィルタ29を含んでいる。粒子フィルタ29の温度を上昇させるために、加熱手段を前述の装置に備えている。通常、そのような加熱手段は、粒子フィルタにおける排気ガスの温度を上げるために配置されたヒータ31を含み得る。EATS27は粒子フィルタ29の下流のNOx還元デバイス33(通常、いわゆる選択接触還元触媒(SCR)又はNOxトラップ等のNOx還元触媒)を有し得る。このEATSはそのフィルタの上流にある、又はそのフィルタの部分を形成する酸化触媒35を有してもよい。
【0025】
本発明は主に、内燃エンジン23としてのディーゼルエンジンとの応用に関連付けて記載されているが、しかし、ディーゼルエンジン以外の内燃エンジンが提供されているのが理解されよう。粒子フィルタ29(ディーゼルエンジン装置において、通常、ディーゼル粒子フィルタ(DPF)と呼ぶ)の上流の酸化触媒35(ディーゼルエンジン装置において、通常、ディーゼル酸化触媒(DOC)と呼ぶ)を備えるのに代って、又は加えて、その粒子フィルタはCOとNOを酸化し、これらのCOとNOをCO2とNO2に転換する触媒を含み得る(ここではコーティングしたDPFと呼ぶ)。酸化触媒を備えるための別の装置の中には無コーティングのDPF付きDOC(いわゆる、CRTシステム)と、コーティングしたDPF付きDOC(いわゆる、cCRTシステム)と、コーティングしたDPFと、が含まれている。一般的には、少なくともコーティングしたDPFが好まれる。
【0026】
議論のために、以下に記載される装置と関連付けて本発明を説明する。
・ 暖機ディーゼルエンジンを刺激する排気ガスの温度は、一般的には約250〜350℃の範囲である。このような温度で、NOとCO2を形成するためにNO2とCとの間の反応を大部分含みながら、特にDOC又は触媒された粒子フィルタを活用することで、粒子フィルタの「受動的」NO2再生が起こり得る。通常、著しい反応速度(2NO2+C=CO2+2NO)を有するためには、最低250℃とNOx/煤が20(好ましくは50)は要求される。平均排気温度は、一般的にはその応用タイプに依存する。例えば、市内中心部でのバスの排気温度は200℃を下回っていると思われるが、通常、長距離輸送トラックの排気温度は300℃を上回っている。温度を250〜350℃の範囲内にするために、エンジンは「ヒートモード」で作動されることもあり得るが、一般的には、エンジンヒートモードは、常に使用されていない。概して、排気ガスの温度が250℃を下回る場合、受動的再生が非常に低く、また、その排気ガスの温度が200℃を下回る場合、受動的再生は実質的に存在しない。
・ より急速な「能動的」NO2再生は、約420〜550℃の範囲内の温度、好ましくは450〜510℃の間の温度等の、概してより高い温度で起こる。参照することにより組み込まれた特許文献1及び特許文献2中で理論化された「強化された」NO2再生は、能動的NO2再生のより上位のファミリーを形成していると思われている。一般的には、本発明による「能動的」NO2再生は、触媒コーティングした粒子フィルタの使用の有無にかかわらず達成すると思われている。それにもかかわらず、その温度範囲で、本発明中で定義された「能動的」NO2再生には、煤とNO2との反応速度を増加させることによって、触媒コーティングしたフィルタの使用が大いに役に立っており、それによって再生効率が大幅に増加していると思われている。最適化された再生温度は、排気の加熱に要するエネルギーが作り出される方法を考慮して選択され得る。発熱の生成にDOC中の炭化水素酸化を使用する場合、その時に、NO2生成が、酸化した炭化水素量に大きく依存する効果により影響を受けるかもしれない(DOCへのNO酸化と炭化水素酸化の間の競り合い)。よって、一般的には、再生温度、NO2形成、及び炭素酸化の観点でトレードオフをする必要がある。エンジンで生じたNOx量については、エンジン作動条件の変動なしで、本発明による能動的NO2再生を行うことができるとも言える。もちろん、能動的NO2再生を、特にエンジンでのNOx生成の増加を考慮して、それでも尚、変動したエンジン作動条件とともに実行してもよい。
・ O2との反応で全ての煤を実質的に除去する一層急速な「能動的」O2再生が、約600℃を上回る温度、一般的には600〜625℃の間の温度で起こる。その時、急速イベントで全ての煤を除去することが必要な、又は好ましい場合、通常600℃を上回る温度を必要とする。しかし、約550℃から開始すると、触媒されたフィルタを使用する場合、強化される酸素による著しい炭素酸化速度になる傾向がある。O2再生が通常、特に、短期間イベントで全ての煤を除去するために、550℃より高い温度でのO2再生の著しい上昇速度、及び、T>600℃での最終温度を伴い、500℃より高い温度で開始する(能動的NO2再生も起こっている一方で)。
・ 特に、フィルタの煤負荷が安全高温再生レベルよりも高くなる時、約550℃より高い温度で、また、500℃等のより低い温度でさえも、フィルタの非制御再生又は「暴走」再生の実質的危険性がある。従って、例えば、前述のエンジン装置を備えた車両の駐車中には、安全高温再生レベルを上回る煤負荷での能動的再生を行わないこと、又は高度に制御された条件でのみ行うことが好ましい。
・ 通常の粒子フィルタは、安全高温再生レベルの約1.5〜2倍の煤負荷レベルで適切に動作を続ける。
【0027】
当然のことながら、上述の特定温度と煤負荷レベルは単に例示であり、ここでは、議論のために使用されている。強調されるべきは、煤負荷レベルは単に、非制御再生の危険性がO2再生のために、又は全てのフィルタとは限らないが、いくつかのフィルタに対する最大負荷のために、高くなりすぎている負荷レベルの近似であり、しかも特定のフィルタの実測値は実質的に異なっていてもよく、そのフィルタが作られる材料(コーディエライト、炭化ケイ素等)のような因子に依存してもよく、又、応用に依存してもよい。異なるエンジン装置とEATSにより受動的再生と、能動的再生と、異なる温度範囲での能動的再生とを行ってもよく、また、暴走再生の実質的な危険性があると考えられる煤負荷レベル、又は粒子フィルタの性能が損なわれる煤負荷レベルは異なっていてもよいと理解されよう。
【0028】
内燃エンジン装置21は又、加熱手段又はヒータ31を制御するために配置されるコントローラ37を含んでいる。ヒータ31は、以下に記載のような多くの異なる構造タイプ又は構造と方法との組み合わせで適するものであれば何でも含められる。ただし、以下に記載のものに限定されない。
・ 燃焼室(不図示)に燃料を噴射するが、熱再生で燃料を酸化させる燃焼室と酸化触媒(例えば、DOC又はコーティングした触媒付きの粒子フィルタ)で燃料が燃焼しない、又は全て燃焼しないように、エンジンの排気行程の間、又は動力行程に遅れて燃料を噴射するように制御される正規の燃料噴射装置(不図示)。
・ エンジン23の燃焼室(不図示)からのガスの温度を上昇させるための吸気絞りや噴射タイミング等についての特定エンジン作動パラメータの制御。
これら上記の場合において、ヒータ又は加熱手段が内燃エンジンそれ自体と直接連結している。以下に記載の他の場合において、そのヒータ又は加熱手段はEATSの構成部分であってよく、以下のものを含んでもよい。
・ 排気ラインと熱再生で燃料を酸化させる酸化触媒(DOC又はコーティングした触媒付きの粒子フィルタ)中の専用の燃料噴射装置(不図示)(「後処理炭化水素噴射装置」(AHI)、「第7噴射装置」、又は「燃料投与装置」と呼ばれることもある)。
・ 火炎を生成するために燃料と空気を導く排気ライン中の燃料バーナ。
・ 粒子フィルタの前及び/又は粒子フィルタのまわり及び/又は粒子フィルタ中の電気ヒータ。
・ 粒子フィルタにマイクロ波を向けるマイクロ波装置。
そのヒータ又は加熱手段は上述の構造及び方法のいくつかの組み合わせを含んでいてもよい。
【0029】
例示目的のために、ヒータ31が、酸化触媒35と粒子フィルタ29の上流の排気ラインに配置されている個別構成部分として例示されているが、そのヒータは共同作用するいくつかの構成部分を含んでもよく、また、構造を又は例示されたもの以外の位置に配置された構造を伴ってもよいことが理解されよう。
【0030】
コントローラ37は通常、電子制御ユニットの一部であり、電子制御ユニット(ECUs)上のもの又はいくつかの電子制御ユニットが含まれる。そのコントローラは加熱手段専用或いはエンジン装置の他の構成部分を制御する制御部であってもよく、又は物理的実体の間で分離され得る。このコントローラは開ループコントローラであってもよく、又は好ましくは温度センサーでのフィードバックを有する閉ループコントローラであってもよい。
【0031】
通常、エンジン装置21が作動し、それで、エンジン23からの排気が約250〜350℃の温度となり、上流の酸化触媒35又は粒子フィルタ上の酸化触媒35により、通常促進される粒子フィルタ29の受動的再生が起こる。低温(<300℃)ではNO2による煤酸化はかなり低い速度を示すので、煤負荷は極度負荷サイクルの場合にはかなり急激に増加すると思われる(低温無負荷サイクル)。
【0032】
作動温度又は負荷サイクルに対して煤負荷は安定化されてもよく、すなわち、均衡点に到達してもよい。これは作動温度に大きく依存し、その煤負荷は多かれ少なかれ高くなり得る。
図2の線Aで分かるように、この均衡又は平衡レベルは、粒子フィルタの能動的O2再生を行うのに安全と考えられるレベルを下回る煤負荷レベルであってよく、すなわち、安全高温再生レベルSL SHTであってよい。エンジン装置のいくつかの負荷サイクルにおいて、煤負荷は所定の時間であっても単なる受動的NO2再生によって減少し得る、及び/又は高温再生を行うために、例えば、その安全レベルよりも下に留まりながら変動し得る。しかし、
図2の線Bと線Cで分かるように、作動期間の後、粒子フィルタの煤負荷は、少なくとも高温再生を行う前述の安全レベルSL SHT、すなわち、粒子フィルタの能動的O2再生を行うのに安全と考えられる煤負荷レベルよりも上に上昇することがしばしばある。
【0033】
線Bで分かるような場合では、煤負荷レベルが高温再生を行う前述の安全レベルSL SHTよりも高いレベルに上昇し、その後、時間に伴って集められた煤量が受動的再生で除去される煤量に多かれ少なかれ等しくなるように安定する。これらの場合においては、NOx還元触媒33等の構成部分の「脱被毒」等の他の目的のためにEATS27の温度上昇が必要ない限り、粒子フィルタの能動的再生を行うことは不必要であり得る。
【0034】
線Cで分かるような他の場合では、煤負荷が上昇し続ける。すなわち、平衡又は均衡に達しないか、又は粒子フィルタが目標最大煤負荷SL MAX(一般的には、安全高温再生レベルより1.5〜2倍高い)に達し、その目標最大煤負荷のポイントで、煤集積が煤負荷の増加によるフィルタの損傷の危険性が相当大きいと考えられるようなレベルに達し、又は高まる背圧のエンジンに与える影響が大きくなり始める。もし受動的再生が、このレベルよりも低い煤負荷を保つことができない場合、その煤を除去するための能動的措置が必要となる。
【0035】
以前は、高温再生を行う前述の安全レベルSL SHTを上回る煤負荷レベルでの非制御再生の危険性のために、煤負荷レベルがそのレベルに近づいた時は能動的O2再生がなされたと考えられる。これは、粒子フィルタが適切に動作していたとしても、また、EATSにおける温度を、受け入れ難い非制御再生の危険性での温度よりも高く上昇させるという現在の要求がなかったとしても、それでもなお、O2再生をしばしば行うことが必要だったことを意味している。これは、
図2の線Dで示されている。各O2再生は、フィルタ又は粒子フィルタにおける排気ガスの温度を約600〜625℃以上に循環する工程を伴っていた。この循環は粒子フィルタの摩耗を増加させ、また、排気ガス又はフィルタを加熱する実質的エネルギー使用を伴う傾向もあった。
【0036】
本発明の一態様によると、頻繁なO2再生の要求を減らす、又は避けることができ、そのフィルタを再生する唯一の方法がO2再生経由であるならば、煤負荷レベルを妥当なレベルよりも実質的に高いレベルで維持できる。本発明のこの態様によると、粒子フィルタ29の煤負荷が所定のレベルを超える場合、特に、受け入れ難い非制御再生の危険性があると考えられるレベルを特定してもよい。このレベルを超えた後、受動的再生を超えるレベルが要求されるなら、コントローラ37がヒータ31を制御して、粒子フィルタにおける温度を第1の温度範囲内に維持するために配置され、すなわち、能動的NO2再生が起こる温度範囲で、発明者等が記載のエンジン装置の実施例における約420〜550℃、好ましくは450〜510℃と考える温度範囲である。これはもちろん、その第1範囲まで温度を上昇させる第1の工程を伴っている。コントローラ37は、粒子フィルタ29の煤負荷が、高温再生を行うため、安全レベルを下回るという決定がなされるまで、この第1の温度範囲を維持するようにヒータ31を制御する。特に注釈のない限り、「粒子フィルタにおける温度」又は「フィルタにおける排気ガスの温度」という表現への言及は、ヒータが排気ガスよりむしろ粒子フィルタを加熱する場合等における排気ガスの温度にかかわらず、通常粒子フィルタへの入口での排気ガスの温度の意味としてのみならず、とりわけ粒子フィルタそれ自体の温度をカバーするために更に広く解釈されるべき意味としても、ここでは明確に定義されている。温度はその温度の入り口で測定され得るが、或いはフィルタ又はそのフィルタを通過するガスの平均温度として考え得る。
【0037】
そのフィルタでの温度が第1の温度範囲内に維持され、(受け入れ難い非制御再生の危険性があると考えられるレベルを、煤負荷が下回る)第2の決定をした後、コントローラ37はその後、例えば、排気ガスの温度を第1の温度範囲より高い第2の温度範囲、すなわち、O2再生が起こる温度範囲内に上げるために、粒子フィルタ29における温度を更に上昇させるようにヒータを制御する。発明者等は第2の温度範囲が550℃を上回る温度であると考える。通常、この範囲の上限は、種々のEATS構成部分の安全作動温度範囲の一般的な上限である。この第2温度範囲では、実質的に煤負荷がなくなるまで、粒子フィルタ29の再生ができ、また普通に行われる。実質的に煤負荷がなくなるまで再生を行うのに加えて、又は代案として、特にディーゼル酸化触媒35及び/又はNOx還元触媒33の脱被毒は、他のEATS構成部分の再生を行うように、ヒータ31を制御して第2の温度範囲を維持するためにコントローラ37が配置され得る。
【0038】
通常、受動的再生以上のものが要求されたり、又は必要とされたりする場合、何らかの形のトリガー信号がコントローラ31に提供される。排気後処理システムにおける排気ガス後処理装置の再生のための必要性を暗示するトリガーイベントに応答して、そのトリガー信号をコントローラ31に提供し、排気ガスの温度の第1の温度範囲内への上昇を開始するために、種々の手段を提供し得る。そのトリガーイベントは、例えば、粒子フィルタが目標最大煤負荷に到達しているという決定であってもよい。代替的に又は付随して、トリガーイベントは、酸化触媒35及び/又はNOx還元デバイス33が被毒しているという決定であってもよい。代替的に又は付随して、そのトリガーイベントは、エンジン装置21を作動するある所定期間が経過してしまっているというような、前の再生後の累積エンジン作動パラメータが閾値を超えたという決定であってもよい。
【0039】
そのトリガーイベントは、NOx還元デバイス33が被毒している場合は特に、煤負荷レベルが受け入れ難い非制御再生の危険性があると考えられる安全高温再生レベルを超えているか否かについて特定の決定をすることは興味深いかもしれない。もし煤負荷がそのレベルを上回る場合、その時は、コントローラが能動的NO2再生に続いて、排気ガスが粒子フィルタにおいて好ましくは600℃を上回るレベルになる高温再生を伴って、2段能動的再生で上記のように進む。この第2段において、NOx還元デバイスで受け取られるガスは、そのNOx還元デバイスを脱被毒するのに十分高い温度であるべきである。同時に、粒子フィルタ中の残留煤も酸化される。もしそのトリガーイベントで、粒子フィルタにおける煤負荷レベルが、その安全高温煤負荷レベルよりも低いという決定である場合、その時は、制御された方法によるのが好ましいのであるが、温度を直接第2の範囲に上昇させることにより、上記の第2段の再生のみを直接的に行うように、コントローラはヒータを制御することができると思われる。
【0040】
煤負荷の決定、特に、その煤負荷が安全高温再生煤負荷レベルを上回っている、又はその安全高温再生煤負荷レベルを超えたという決定、すなわち、受け入れ難い非制御再生の危険性があると考えられるレベルは、例えば、モデリングによる推定であり得る。通常、モデルは、値を実測することなく(ここでは、粒子フィルタの煤負荷)推定値を算出するための一連の式、マップ、チャートや、表を含んでいる。モデルは、通常、計算されたものを基に、センサーを通して測定できる、又はモデルにより獲得することもできるエンジン装置の作動パラメータのような多くの変数をインプットとして受け取る。好ましいモデルは、エンジンスピード、トルク、温度のような因子の作用として、エンジンが排出する煤を予測するエンジン煤排出モデルを基にし得る(エンジン運転)。加えて、これらのエンジン作動ポイント(温度、流量)のために受動的及び/又は能動的NO2再生及び/又はO2再生を考慮することができる。このようにして、煤負荷はエンジン煤排出のために上昇する傾向があり、煤NO2酸化(及び、500℃を上回る温度でのO2酸化)のために減少する傾向がある。このようなモデルにより、任意のエンジン作動ポイントで、フィルタにどのように負荷が掛かっているかと、時間のあるポイントでの粒子フィルタの煤負荷とは何なのかについての理論予測として煤負荷が決定される。このような煤モデルを前の再生からDPF、燃料消費、及び/又は時間を隔てた差圧を基にしたモデルのような他のトリガー/パラメータと組み合わせ得る。その煤モデルは、また、最大煤負荷に到達しているべき時に決定でき、その時か、又は類似の決定時に、第1段の再生、すなわち能動的NO2再生と呼ばれるものをトリガーすることができる。O2再生を行うのに安全と考えられるレベルよりも低い煤負荷レベルに到達しているべきであるという煤モデルでの決定は、その後、第2段の再生、すなわちO2再生と呼ばれるものをトリガーすることができる。
【0041】
代案として、単純モデルは、最後の完全再生、最後の再生後の作動経過時間、及び/又は粒子フィルタ29中の圧力低下、及び/又はこれらの組み合わせの後、全燃料消費量のみを含んでもよい。例えば、粒子フィルタ中の圧力低下を基にしたモデルのようなモデリングにより、煤負荷が目標最大煤負荷であるか、又はそれを上回っているという決定がなされる。もう一つの実施例として、粒子フィルタにおける排気ガスの温度を能動的NO2再生が起こる第1の温度範囲に維持した後、粒子フィルタ29における煤負荷が受け入れ難い非制御再生の危険性があると考えられる所定レベルよりも下に落ちたという決定を、温度がその温度範囲内に維持される時間の長さを基にしたモデル等のモデリングにより、行われる。より複雑なモデルもまた提供されるかもしれないが、しかし、前述のものは異なる目的で煤負荷を決定するために使用されると思われるモデル形態の例示にすぎない。
【0042】
また、粒子フィルタの煤荷重を決定するモデルは、エンジン装置の他の構成部分の作用、例えば、DOCの作用を考慮することができた。例えば、煤モデルは、(例えば、もしAHIが使用される場合、DOCの加熱のために)NO2形成で排出された炭化水素量の影響のような更なる因子を考慮した特別な方程式/マップを導入することにより、更に改良されるかもしれない。(発熱性の)炭化水素酸化と、NO2へのNO酸化がDOC中で競り合っている。これは、低温サイクル(低排気温度)がある場合、高温に到達するためには、高温を形成するのにより多くの炭化水素をDOCに噴射する必要があることを意味する。よって、より少ないNO2が形成され、これが低効率のNO2能動的再生につながるので、4の地点でより高い煤負荷を引き起こす。このHCの影響は、特にAHI及び第7噴射装置等の燃料投与装置が使用される時は、煤モデルをより正確化できる。つまり、その煤負荷を、粒子フィルタの上流の触媒中でNOがNO2に転換する速度及び/又は効率を考慮して推定してもよい。
【0043】
特定の温度範囲へ排気ガスの温度を上昇するため、又は特定の温度範囲でそのガス温度を維持するためのヒータ31の制御に加えて、第1の温度範囲から第2の温度範囲への排気ガスの温度の上昇速度を制御するヒータを制御するように、コントローラ37を配置してもよい。これは、O2再生中の燃料消費率の最適化を可能にするのに、また非制御再生の危険性を減じるのに有用である。例えば、
図3で分かるように、排気ガスを、例えば、受動的NO2再生が起きうる標準排気温度でありうる温度TpNO2から受動的NO2再生が起きる温度TaNO2へ加熱するようヒータ31を制御した後、能動的O2再生が最初の再生機構である温度TO2にまで排気ガスを加熱するヒータを制御するように、コントローラ37を配置してもよい。単に温度目標への到達を試みるのでは、TaNO2からTO2への加熱を制御できない可能性があるが、一方では、コントローラが、例えば、粒子フィルタにおける時間に伴う温度が所定の線又は曲線に従っているか、又はそのような線又は曲線周辺の特定の境界内に少なくとも留まっているのを確かめることにより、その粒子フィルタにおける経時温度上昇速度を制御することができるのが好ましい。単純な形態においては、コントローラは、例えば、直線、すなわち、温度対時間の直線的増加を表す直線に沿う所定の速度で粒子フィルタにおける温度の上昇を制御してもよい。
【0044】
好ましくは、コントローラ37は、温度上昇速度を粒子フィルタ29の煤負荷の作用として制御する。例えば、上記のように第1段再生の最後に決定されるように温度上昇速度を粒子フィルタ29の煤負荷の作用として制御するようそのコントローラを配置してもよい。例えば、もしその粒子フィルタの煤負荷が安全高温煤負荷レベルより下回っているが、その安全高温煤負荷レベル付近である場合、その決定が、第1段の最後において、より低い煤負荷を認めた場合よりも、全体的により低速で、粒子フィルタにおける温度上昇速度を制御するよう、コントローラを配置してもよい。
【0045】
加えて、又は上記との組み合わせにおいて、経時温度上昇速度で粒子フィルタにおける温度を上昇させ、その速度が粒子フィルタにおいて時間及び/又は瞬間温度と共に減少するように、例えば、ヒータ31を制御して、排気ガスの温度上昇速度を制御するようコントローラ37を配置してもよい。例えば、まず第1に、第1の上昇速度(速度R1)で排気ガスの温度を過渡的温度Tt、例えば570℃まで上昇させた後、続いて前述の第1の上昇速度とは異なる第2の上昇速度(速度R2)で排気ガスの温度を上昇させるようにコントローラを配置してもよく、そこで、第2の上昇速度は第1の上昇速度より低いことが特徴である。二つの連続的な直線的増加を示す第1の速度と第2の速度の各々は定数、又はそれぞれ時間と共に変化する可能性がある。上昇速度は、例えば、更に高い過渡的温度Tt’、例えば600℃で、上昇速度を、第2の上昇速度より低い速度(破線で示した速度R3)へ更に低下させることにより、複数回変化させてもよく、或いはその上昇速度は、その温度が温度上昇工程の少なくとも一部に沿って曲線をたどるように連続的に変化させてもよい。
【0046】
現在、O2再生がより効率的になるよう、例えば約550℃を上回る温度において、より高温に至り非制御再生の危険性を減少させるべく、温度上昇速度を低下させることが通常望ましいと考えられている。しかし、ヒータ31を制御し、TO2への温度上昇の後続部分における第2の上昇速度(破線で示した速度R2’)よりも低速の第1の上昇速度(速度R1)で排気ガスの温度上昇速度を増加させるように、コントローラ37を配置することもありうる。例えば、特に非制御再生の危険性が最小であるような煤負荷が十分低い時は、より急速に温度上昇させて燃料節約を達成することが可能であると思われる。
図3は、温度が直線に沿って増加しているのを示しているが、温度上昇は直線に沿っている必要がない。言い換えれば、温度が、一つの温度レベルから次のレベルへの下降速度(又は、必要なら上昇速度)で増加するように、前述の線が曲がっていてもよいということが理解されよう。又、反制御プロセスのように、実測温度は理論上の制御目標から少々ずれがあると思われる。
【0047】
制御された経時温度上昇速度で、第1の範囲から制御された経時温度上昇速度における第2段の温度へ粒子フィルタにおける温度を上昇させることが好ましい。その粒子フィルタにおける温度が時間と共に上昇するので、温度制御速度が時間と共に増加すること、又はその温度制御速度が温度それ自体と共に増加すると言うことは同等である。例えば第1段の再生の最後に、粒子フィルタの煤負荷決定の作用として前述の制御速度を制御することが好ましい。前述の速度が、時間と共に及び/又は粒子フィルタにおける瞬間温度と共に低下することが好ましい。
【0048】
本発明の方法と装置はそれら自体、多様な煤削減の方策に適している。
図4Aに例示されている本発明の一態様による第1の方策によると、例えば、ヒータ31を制御し、通常420℃〜550℃の範囲、好ましくは450℃〜510℃間、例えば490℃における、ここで第1段再生とも呼ばれる能動的NO2再生(ポイント1)のため、フィルタにおける排気ガスの温度を温度範囲TaNO2へ上昇させるようにコントローラ37を誘因する適切な煤モデルにより最大煤負荷レベルを決定することができる。その煤モデルは煤負荷の評価を継続してもよく、煤負荷が低下して第2のトリガーに到達したということを決定する場合、煤負荷レベルが能動的O2再生(例えば、2〜8gC/l filter)を行うのに安全と考えられるレベルを下回ることが好ましく、その後、能動的NO2再生のための温度範囲への加熱が終了する(ポイント2)。ポイント2では、コントローラ37は、ここで第2段再生とも呼ばれる能動的O2再生のために、フィルタにおける温度を温度範囲TO2へ上昇させるように、ヒータ31を制御する。言い換えれば、TO2>600℃での第2段とともに、550℃より高い温度での、増加しつつある又は実質的に増加した能動的O2再生である。第1フェーズでは、温度上昇速度R1(0.4℃/秒〜5℃/秒の温度上昇のような急速な温度上昇)を使用してもよく、温度が、好ましくは550℃〜600℃の間、例えば、570℃の、非制御再生の危険性が増加している(フィルタの保全性に対する危険性が増加している)Tt’より高い、過渡的温度域に入る時、温度上昇速度はR2に変化する(第1の速度R1よりも2〜20倍、好ましくは5〜15倍低速の温度上昇)。それから、温度上昇勾配R2を、通常TO2>600℃の平坦部に達するまで使用し、所定の期間のそのレベル又は第2段で保持してもよい。そして、第2段再生が終了し、その再生が成功したと考えられる。
【0049】
例えば、燃料の節約及び/又は長すぎる再生の回避のために、第1段の最大期間を設定することができる(
図4Aのポイント3)。もしポイント3がポイント2に先立って到達する場合、ポイント2、すなわち煤負荷が能動的O2再生を行うのに安全と考えられるレベルよりも下回っているポイントに先立って第1段再生の最大期間に達するということを意味し、フィルタにおける煤負荷が、おそらく、能動的O2再生を行うのに安全と考えられるレベルより高いということを意味する。もしそれが生じ、第2段への加熱が始まり、R1とR2の加熱速度上昇勾配が使用されている場合、フィルタのひび割れの実質的な危険性が存在する。フィルタの保全性を維持するために再生は中断され、失敗に終わった再生とみなされる。この場合の煤モデルは、フィルタを損傷から保護するための第2段能動的O2再生の実行を防止する。
【0050】
一つの変形として、第1の温度範囲TaNO2から第2の温度範囲TO2に変換する基準は十分に長い第1段の最大期間に設定することもでき、その結果、確率的に、もしその期間に達する場合、粒子フィルタにおける煤負荷レベルが安全高温煤負荷レベルを下回るということを、更なる推定なしで決定することができる。このような場合には、再生は、この最大期間に達したという事実だけを基にして第2段の再生に移ることができる。
【0051】
本発明の一態様による第2の方策は、前述の第1の方策を改良したものであり、
図4Aに例示されている。中止した再生は、一般的に、第1段、すなわち、能動的NO2再生のみならず促進エージングをもそれぞれ実行する、再生の試行を繰り返すことにより燃料損失を導き、駐車中の再生も必要となる可能性がある。第1の方策での再生を中止する代わりに、第2の方策によると、もしポイント3に達し(第1段の再生の最大期間)、しかも煤負荷が、O2再生を行うのに安全と考えられるレベル(ポイント2)に減じられたと決定されない場合、その再生は継続するが、別の勾配を使って低速で温度を上昇させる。例えば、その温度を通常の再生中での勾配R1(破線)に沿って、第1の速度で上昇させてもよいが、温度は勾配R’2(破線)に沿って、より高い温度での低速で上昇させられる。ただし、R’2は、もし煤負荷が、O2再生を行うのに安全と考えられるレベル、又はそのレベルを下回るレベルに降下していたとの決定があったと考えられる場合に使用していた、速度R2を下回っている。異なる温度上昇速度R’2は、ポイント3に達したとき、煤負荷決定の作用として設定される場合がある。
【0052】
粒子フィルタにおける温度は、可変の経時温度上昇速度で上昇させてもよく、その変動はその粒子フィルタの煤負荷決定の作用として制御される。第1の期間の最後、すなわち、再生の第1段の最後にこの決定がなされてもよい。その上昇速度の変動のため、温度が第1の範囲から第2の範囲に上昇する時、直線的でない経時温度上昇となる。
【0053】
この第2の方策においては、第2段でのO2再生の温度範囲に達するのに要する時間がより長いが、最後には、成功した再生とみなされ、第1段に沿った能動的NO2再生の繰り返し実行を避けることができる。
【0054】
第2の方策は、SCRの遅延のない脱被毒(脱硫)の場合に、言い換えれば、再生用のトリガーイベントが、NOx還元デバイスの被毒を推定する工程を含んでいる再生トリガーである時に特に有用である。その脱被毒が、T>600℃を通常必要とする時、第2段での再生が必須である。もし方策1を使用した場合、脱硫の遅れによりSCRには相当の効率低下を持ち始めるという危険性があるので、車両の不動が要求される駐車中の再生又は点検再生が必要となる可能性がある。
【0055】
第3の方策によると、
図4Bに例示のように、第1段の能動的NO2再生のための固定期間を提供してもよい。煤モデルが、最大煤負荷等のトリガーに達しているということを決定する時、その後、能動的NO2再生を行うために温度をTaNO2に上昇させるか、又は第1段の再生がスタートする(ポイント1)。能動的NO2再生は、
図4B中のポイント4に相当する固定期間である。(固定期間の後)ポイント4に達する時、その後、その煤モデルはフィルタにおける煤負荷を算出することができる。ポイント4で決定した煤負荷に基づき、異なる勾配に沿って能動的O2再生又は第2段再生のために温度をTO2まで上昇させることができる。言い換えれば、異なる温度上昇速度を使用することができる。初期温度上昇速度R1は、煤負荷にかかわらず過渡的温度Ttまで同じ速度で保たれると思われる(例えば、
図3aの速度R1と同じ)が、しかしTO2までのその後の温度上昇速度は異なる値R2又はR’2又はR”2を持ってもよい。例えば、もし煤負荷がポイント4で低い場合、次に高い温度上昇速度が使用されると思われる(R2)。もし煤負荷がポイント4で高い場合、次に低速の温度上昇速度を使うことが望ましい(R’2又はR”2)。もちろん、R1の後、異なる数の任意の温度上昇速度を提供してもよい。また、もちろん、第一部分速度R1を含め、TaNO2からTO2までの全体の勾配に、煤負荷の作用として、異なった勾配をつけてもよい。この第3の方策によると、通常、再生が最後まで行われるために、燃料消費を最適化し、エージングを最小化することができる。フィルタの保全性を改善することができ、しかも煤負荷の如何なる特別なレベルにも対応するように温度上昇速度の勾配を発展させることができる。
【0056】
排気ライン中の排気ガス後処理装置を再生するプロセスにおけるステップは、
図5に示され、
図1の内燃エンジン装置21と関連付けて記載される。その後処理装置は、粒子フィルタ29、NOx還元触媒33、及び/又は酸化触媒35のようなデバイスであってもよい。
【0057】
再生トリガーイベントがNOx還元デバイスの脱被毒に関連付けられている時に使用することが可能な本方法のオプションステップ200によると、粒子フィルタ29の煤負荷が所定レベル、通常、非制御再生の容認できない危険性があると考えられるレベル、通常約2〜8gC/l filterを上回っているということを決定することができる。
【0058】
ステップ200を実行し、粒子フィルタの煤負荷が所定のレベルを上回っているということを決定する場合、コントローラ37は、ステップ400で、粒子フィルタの煤負荷が所定のレベルを下回っているということを決定するまで、粒子フィルタにおける排気ガスの温度を第1段(
図3)又は温度範囲内、通常、能動的NO2再生が起きる(ステップ300)420℃〜550℃の間の温度で維持するようにヒータ31を制御してもよい。排気ガスの温度が第1の温度範囲内に維持され、しかも粒子フィルタ29の煤負荷が所定レベルを下回っていると決定された後、コントローラ37は、粒子フィルタにおける排気ガスの温度を第1の温度範囲を上回る第2の温度範囲、通常、ステップ500で、能動的O2再生が起きる550℃を上回る範囲内の第2段(
図3)へ上昇させるようにヒータ37を制御する。
【0059】
もしEATS27中のNOx還元デバイス等の後処理装置を再生することが望まれ、煤負荷が安全高温再生レベルを下回っているということをステップ200で決定する場合、コントローラ37は、粒子フィルタにおける排気ガスの温度を直接、能動的O2再生が起きる温度、言い換えれば、ステップ200からステップ500に直接飛ばして550℃を上回る温度に上昇させるようにヒータ31を制御することができる。
【0060】
排気ガスの温度は、排気ガス後処理装置の再生のための必要性を示すトリガーイベント、ステップ100に応じて第1の温度範囲内に上昇させることができる。粒子フィルタ29における排気ガスの温度を、通常では、一般的な排気の温度範囲、受動的再生が起こると思われる温度である通常約250〜350℃から上昇させる。トリガーイベントは、粒子フィルタ29の煤負荷が、その粒子フィルタの再生が余儀なくされる、目標最大煤負荷であるか、又はそれを上回るということの決定であってもよい。代替的に又は追加的に、トリガーイベントは、NOx還元触媒33又は酸化触媒35が被毒しているとの決定であってもよい。そのトリガーイベントは、前の再生からの累積エンジン作動パラメータが、前の再生からの時間の長さ又は前の再生からの燃料消費量等の閾値を超えたという決定であってもよい。
【0061】
スピードやトルク等の作用としてエンジンが排出する煤を予測し、しかも受動的又は能動的NO2再生、或いはO2再生等によって消費される煤を予測するモデルのようなモデリングにより、煤負荷が所定のレベルを上回っているという決定をしてもよい。他のより単純なモデルは燃料消費量、最後の再生からの時間、又は粒子フィルタ29中の圧力低下のような因子を基にしてもよい。同じように、上記のようなモデルによって、又は粒子フィルタにおける排気ガスの温度が第1の範囲内に維持された時間の長さを基にしたモデルを経たモデルによって、粒子フィルタ29の煤負荷が所定のレベルよりも低下したという決定をしてもよい。
【0062】
ステップ300からステップ500に温度を上昇させる時、コントローラ37は、第1の温度範囲から第2の温度範囲に排気ガスの温度上昇速度を制御するように、ヒータ31を制御することができる。排気ガスの温度の温度上昇速度を、非制御再生の危険性を最小化するなどのため、例えば、粒子フィルタの煤負荷の作用として制御することができる。上昇速度は、選択的又は追加的に、燃料消費を最適化するために制御してもよい。
【0063】
粒子フィルタ29におけるガスの温度を、第1の上昇部分の第1速度(
図3の速度1)で、そして第2の上昇部分の第2の低速(
図3の速度2)で上昇させてもよい。ただし、第1速度及び第2速度は直線又は曲線に相当してもよく、言い換えれば、時間に伴う直線的上昇又は非直線的上昇に相当してもよい。他の状況では、第1の上昇部分では第1速度(速度1)で上昇させ、次いで第2の上昇部分では第2の高速で上昇させてもよく、その上昇は直線又は曲線に沿っていてもよい。上昇速度を第2速度(速度R2)等を下回る速度(速度R3)に更に減じること等により、第1の温度範囲から第2の温度範囲への上昇速度は複数回変更してもよく、或いは第1の温度範囲から第2の温度範囲に上昇させる時間又はその時間の一部の間、その上昇速度を連続的に変更してもよい。
【0064】
上記の方法は、典型的には、内燃エンジン装置、特に車両搭載用エンジン装置中において行う。本発明による2段再生プロセスを、車両の走行時に行うことができ、再生プロセスの開始時の初期煤負荷が安全高温煤負荷レベルを超えている時でさえも行うことができる。
【0065】
本願において、“including(を含む)”のような用語の使用については非限定的であることを意味し、“comprising(を包含する)”のような用語と同様の意味を持つが、他の構造、材料、又は作用の存在を排除するものではない。同様に、“can”又は“may”のような用語の使用については非限定的であることと、構造、材料、又は作用が必要でないことを表すことを意図している。しかし、このような用語を使用しなくても、構造、材料、又は作用が必須であることを表すことを意図しない。構造、材料、又は作用が現時点で必須であると考えられる限り、それらはそのように明記される。
【0066】
本発明は、好適な実施形態に従って例示及び説明したが、請求項に提示される本発明から逸脱することなしに、変形や変更を行ってもよいと認められる。