特許第6684350号(P6684350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684350
(24)【登録日】2020年3月31日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】短い合成ペプチド及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/06 20060101AFI20200413BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20200413BHJP
   A61K 38/10 20060101ALI20200413BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20200413BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20200413BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20200413BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20200413BHJP
【FI】
   C07K7/06ZNA
   A61K38/08
   A61K38/10
   A61P27/02
   A61P17/06
   A61P35/00
   !C12N15/11 Z
【請求項の数】2
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-526257(P2018-526257)
(86)(22)【出願日】2016年12月12日
(65)【公表番号】特表2019-501129(P2019-501129A)
(43)【公表日】2019年1月17日
(86)【国際出願番号】CN2016109504
(87)【国際公開番号】WO2017101748
(87)【国際公開日】20170622
【審査請求日】2018年7月6日
(31)【優先権主張番号】62/267,269
(32)【優先日】2015年12月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517296318
【氏名又は名称】ツァウ、イェウ−ピン
【氏名又は名称原語表記】TSAO, Yeou−Ping
(73)【特許権者】
【識別番号】517296307
【氏名又は名称】ホ、ツン−チュアン
【氏名又は名称原語表記】HO, Tsung−Chuan
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ツァウ、イェウ−ピン
(72)【発明者】
【氏名】ホ、ツン−チュアン
【審査官】 竹内 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/114539(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0135518(US,A1)
【文献】 Br. J. Cancer, 2002, 86(7), pp.1169-1173
【文献】 J. Biol. Chem., 1997, 272(51), pp.32198-32205
【文献】 Peptide Science 1999, 2000, pp.201-204
【文献】 Int. J. Biochem. Cell Biol., 2008, 40(12), pp.2771-2780
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
C07K 1/00−19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ITYXRLKX(配列番号:1)で示されるアミノ酸配列から構成される合成ペプチドであって、
前記アミノ酸配列は、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:7、及び配列番号:11のアミノ酸配列からなる群より選択され、
前記配列番号:2において、がD型であり、他のアミノ酸残基が全てL型である、合成ペプチド。
【請求項2】
ドライアイ症候群、尋常性乾癬、又は多発性骨髄腫を治療するための医薬組成物であって、
有効量の合成ペプチド及び薬学的に許容される担体を含み、
前記合成ペプチドは、XITYXRLKX(配列番号:1)で示されるアミノ酸配列から構成され、前記アミノ酸配列は、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:7、配列番号:11、及び配列番号:12のアミノ酸配列からなる群より選択され、前記配列番号:2において、XがL型又はD型であり、他のアミノ酸残基が全てL型である、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、短い合成ペプチドの発見、及びドライアイ症候群、尋常性乾癬、又は多発性骨髄腫に関連する疾患及び/又は病状の治療及び/又は予防における該合成ペプチドの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライアイ症候群は、「ドライアイ」とも呼ばれ、一般的に涙液産生の異常に起因する眼の病状である。涙液産生の異常は、例えば、涙液産生の減少、過度の涙蒸発、又は正常な眼球表面を覆う涙液膜のムチン又は脂質成分の異常である。ドライアイ症候群の典型的な症状には、乾燥、ころころ感(grittiness)、刺痛感、長期間の読書の困難さ、灼熱感、さらに涙液不足による涙液の過度分泌又は湿潤が含まれる。重度の場合、患者は異常に光に敏感になり、目に深刻な痛みを感じ、視力の低下に気付き始めることがある。ドライアイの従来の治療では、病因ではなく、症状の治療のみに重視されている。例えば、人工涙液及び眼科用潤滑剤の使用は、一般的な治療法である。人工涙液は一時的な軽減効果を奏することができるが、単に症状を緩和するだけである。さらに、人工涙液に使用される防腐剤は実際に病状を悪化させ、角膜細胞を殺すことさえある。これまで、ドライアイ症候群に関するすべての問題に対処するのに有効なドライアイ障害の治療法はほとんどなかった。
【0003】
乾癬は、銀色の鱗屑で覆われたピンク色又は赤色の病変を特徴とする。 これらの病変は、主に肘、膝、頭皮、及び生殖腺領域に見られる。この病状は、皮膚の表皮層の加速された代謝回転による表皮の肥厚を特徴とする。正常な表皮代謝回転は25〜30日ごとに起こるが、乾癬性皮膚においてはほぼ3〜4日ごとに起こる。このレートでは、皮膚の色が影響を受けて色素沈着が多すぎたり少なすぎたりする場合が多い。尋常性乾癬の持続時間は可変である。乾癬性病変は一生続く可能性があるが、短期間で消える可能性もある。尋常性乾癬を治療するために、多くの試みがなされてきた。この病状を治療するための最初の試みは、サリチル酸を有効成分として含有する外用剤によるものであった。しかしながら、サリチル酸は刺激性であるため、その使用により病状を悪化させることがある。別の常用外用剤の有効成分はヒドロコルチゾンのようなコルチコステロイドである。コルチコステロイドは、乾癬を顕著に抑制し得る。しかし、コルチコステロイドも局所萎縮及び全身性吸収などの多くの副作用を引き起こす。また、使用を中止すると再発のリスクがある。他の治療法としては、紫外線への曝露が試みられたが、成功率が低かった。紫外線とコールタール製剤の併用療法は、紫外線単独よりも効果的であるが、コールタールが患部に塗られて病状が悪化する場合がある。他の全身治療には、細胞増殖抑制療法及びビタミンA及びC治療が含まれる。 しかし、これらの治療の効果は依然として疑わしい。今まで、尋常性乾癬に対する成功した治療法が見つけられず、これまでの治療法には効果がないか、望ましくない副作用を伴う。
【0004】
多発性骨髄腫は、単一のクローンに由来する形質細胞の悪性増殖である。近年、多発性骨髄腫を治療するために新型な抗癌剤の開発が進展しているが、この西洋世界で2番目に一般的に診断された血液悪性腫瘍に対する有効な治療法はまだ存在しない。従って、抗多発性骨髄腫活性を有する新しい治療剤の開発が切望されている
【0005】
ドライアイ症候群、尋常性乾癬、又は多発性骨髄腫疾患に関連する及び/又は病状を治療及び/又は予防するための医薬品及び/又は方法を改善する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
一般に、本開示は、ドライアイ症候群、尋常性乾癬、又は多発性骨髄腫に関連する疾患及び/又は病状を治療するための新規化合物及び/又は方法の開発に関する。
【0007】
従って、本開示の第1の態様は、ドライアイ症候群、尋常性乾癬、又は多発性骨髄腫に関連する疾患及び/又は病状を治療可能な短い合成ペプチドを提供することを目的とする。該短い合成ペプチドは、X1ITYX2RLKX3(配列番号:1)で示されるアミノ酸配列から構成され、
X1、X2及びX3が互いに独立して任意のアミノ酸残基であり、
X3がL型又はD型であり、他のアミノ酸残基が全てL型であり、
上記アミノ酸配列のN末端がアセチル化され、上記アミノ酸配列のC末端がアミド化される。
【0008】
好ましい一実施形態によれば、上記合成ペプチドは、配列番号:2のアミノ酸配列(以下、9-mer)を有する。別の好ましい実施形態によれば、上記合成ペプチドは、配列番号: 3, 4, 5又は6のいずれかであるアミノ酸配列を有する。一例では、上記合成ペプチドは、配列番号:3のアミノ酸配列(以下、9-mer Da)を有する。別の例では、上記合成ペプチドは、配列番号:7のアミノ酸配列(以下、9-mer Va)を有する。さらに別の例では、上記合成ペプチドは、配列番号:11のアミノ酸配列(以下、9-mer Fa)を有する。
【0009】
さらなる例では、9-mer合成ペプチドは、そのN末端の上流に3つの追加アミノ酸残基をさらに含むことで、配列番号:6の連続ペプチド(以下、12-mer)を生じる。
【0010】
さらなる例では、アルギニン(R)及び配列番号:1のX3が互いに独立してL型又はD型であり、他のアミノ酸残基が全てL型である。一例では、9-merのアルギニンがD型(以下、9-mer DR)である。別の例では、9-merのフェニルアラニン(F)がD型(以下、9-mer DF)である。
【0011】
本開示の第2の態様は、ドライアイ症候群、尋常性乾癬、又は多発性骨髄腫に関連する疾患及び/又は病状の治療に適した医薬品及び/又は組成物を提供することを目的とする。該医薬品又は組成物は、有効量の上記合成ペプチド、及び薬学的に許容される担体を含む。
【0012】
いくつかの好ましい実施形態によれば、上記合成ペプチドは、配列番号:2(9-mer)のアミノ酸配列を有する。別の好ましい実施形態によれば、上記合成ペプチドは、配列番号: 3, 7, 11又は12のいずれかであるアミノ酸配列を有する。一例では、上記合成ペプチドは、配列番号:3のアミノ酸配列(以下、9-mer Da)を有する。別の例では、上記合成ペプチドは、配列番号:7のアミノ酸配列(以下、9-mer Va)を有する。さらに別の例では、上記合成ペプチドは、配列番号:11のアミノ酸配列(以下、9-mer Fa)を有する。
【0013】
さらなる例では、9-mer合成ペプチドは、そのN末端の上流にさらに3つの追加アミノ酸残基を含むことで、配列番号:12の連続ペプチド(以下、12-mer)を生じる。
【0014】
本発明の医薬品又は組成物によって治療可能な血管新生に関連する疾患及び/又は病状は、ドライアイ症候群、尋常性乾癬、又は多発性骨髄腫である。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、本発明の医薬品又は組成物は、眼疾患、例えば、ドライアイ症候群の治療に適している。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、本発明の医薬品又は組成物は、皮膚炎、特に尋常性乾癬の治療に適している。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、本発明の医薬品又は組成物は、腫瘍、特に多発性骨髄腫の治療に適している。
【0018】
本開示の医薬品又は組成物は、血管内送達(例えば、注射又は輸液)、経口、経腸、経直腸、経肺(例えば、吸入)、経鼻、局所(経皮、頬及び舌下を含む)、膀胱内、硝子体内、腹腔内、膣、脳内送達(例えば、脳室内及び脳内)、CNS送達(例えば、髄腔内、傍脊椎及び脊椎内)、非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、及び皮内)、経粘膜投与若しくはインプラントを介した投与、又は当技術分野で公知の他の送達経路により被験体に投与され得る。
【0019】
本開示の第3の態様は、ドライアイ症候群、尋常性乾癬、又は多発性骨髄腫に関連する疾患及び/又は病状に罹患している被験体を治療する方法に関する。該方法は、ドライアイ症候群、尋常性乾癬、又は多発性骨髄腫に関連する疾患及び/又は病状を改善又は緩和するための本開示の上記医薬品又は組成物を被験体に投与するステップを含む。
【0020】
すべての実施形態において、上記被験体はヒトである。
【0021】
好ましい実施形態において、本開示の合成ペプチドは、0.01-100mg/Kgの用量で被験体に投与される。
【0022】
以下、本発明の1つ以上の実施形態の詳細を説明する。本発明の他の特徴及び利点は、詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
特許又は出願書類には、少なくとも1つのカラー図面が含まれる。この特許又は特許出願の刊行物のカラー図面の写しは、請求及び必要な手数料の支払いがあった場合に庁によって提供される。本説明は、添付の図面に照らして以下の詳細な説明を読むとよりよく理解されるであろう。
【0024】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る、RPMI8226細胞の生存率に対する9-merペプチド及びそのアラニン置換類似体の影響を示す。
図2図2は、本開示の別の実施形態に係る、RPMI8226細胞の生存率に対する9-merペプチド及びそのD型アミノ酸置換類似体の影響を示す。
図3図3は、本開示の一実施形態に係る、フルオレセイン染色により確定された乾燥による角膜表面損傷に対する9-merペプチドの影響を示す。同図において、Aは、角膜損傷を評価するための角膜フルオレセイン染色の画像であり;Bは、角膜損傷を示すための角膜フルオレセイン染色の平均スコアである(*P < 0.0002 vs. 0日目)。
図4図4は、本開示の一実施形態に係る、フェノールレッド綿糸試験により確定された涙液産生に対する9-merペプチドの影響を示す。
図5図5は、本開示の一実施形態に係る、ヒト多発性骨髄腫細胞に対する9-merペプチドの影響を示す。同図において、Aは、トリパンブルーにより染色されたRPMI8226とU266細胞の位相コントラスト写真であり;Bは、パネルAの定量結果を示す棒グラフであり;データは、3つの独立した試験の平均±S.D.として示される(*P < 0.005 vs. 溶媒処理細胞)。
図6図6は、本開示の一実施形態に係る、RPMI8226細胞に対する9-merペプチド誘発アポトーシスである。同図において、Aは、3つの独立した分析から得られたアネキシンV vs. ヨウ化プロピジウムのコンタープロットであり、Bは、パネルAの定量結果を示す棒グラフであり、ここで、データは、アポトーシス細胞のパーセンテージの平均値±S.Dである(*P < 0.002 vs. 溶媒処理細胞)。
図7図7は、本開示の一実施形態に係る、IMQ誘発性尋常性乾癬様皮膚炎及び落屑形成に対する9-merペプチドの影響を示すマウスの写真である。同図において、Aは、治療6日後のマウスの背部皮膚の表現形態であり、ここで、この背部皮膚が高倍率ライトフィールドカメラで撮影されたものであり;Bは、6日目に、マイクロメーターを用いて右耳の厚さを二重に測定した結果を示す図であり、耳の平均厚さ(mm)でIMQ誘発性皮膚炎を示す( #P < 0.0001 vs. 未処理正常マウス;*P < 0.0001 vs. IMQ/ビヒクル処理マウス)。
図8図8は、本開示の一実施形態に係る、IMO誘発性角化細胞増殖に対する9-merペプチドの影響を示す。同図において、Aは、9-merペプチドの存在下又は非存在下でのIMQ処理マウスの背部皮膚切片のH&E染色の写真であり;Bは、IMQ処理マウスから得られた皮膚切片の表皮厚さ(μm)に対する9-merペプチド又はその類似体の影響を示す棒グラフである(*P < 0.0005 vs. IMQ対照)。
図9図9は、本開示の一実施形態に係る、表皮におけるBrdU陽性細胞の数で決定される、IMO誘発性角化細胞増殖に対する9-merペプチド及びその類似体の影響を示す。同図において、Aは、IMQ処理後6日目の細胞複製の組織学的分析を示し;Bは、表皮におけるBrdU陽性細胞の定量結果であり、標識指数(%)は、HPF(200倍の高倍率場)あたりの標識細胞の数として計算され、データは、各群において10-16 HPFで表示される(*P < 0.0001 vs. IMQ対照)。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付の図面に関連して以下に提供される詳細な説明は、本実施例の説明として意図されており、本実施例が構築又は利用され得る唯一の形態を表すものではない。この説明は、この実施例の機能と、この実施例を構成し動作させるための一連のステップを示す。しかし、同じ又は同等の機能及び順序は、異なる実施例によって達成されてもよい。
【0026】
1. 定義
【0027】
便宜上、本開示の文脈で使用される特定の用語がここに集められる。別途規定されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0028】
ここで使用される用語「ペプチド」とは、アミノ酸残基のポリマーを意味する。ここで使用される「合成ペプチド」は、天然に存在するタンパク質分子全体を含まないペプチドを意味する。このペプチドは、化学合成、組換え遺伝子技術、又は抗原全体の断片化などの技術を用いたヒトの介入によって産生され得る点で「合成品」である。本開示の全体を通して、ペプチド内の任意の特定のアミノ酸残基の位置は、ペプチドのN末端から番号が付けられる。アミノ酸がD-アミノ酸又はL-アミノ酸のいずれかとして指定されない場合、アミノ酸は、文脈が特定の異性体を必要としない限り、L-アミノ酸又はD-又はL-アミノ酸のいずれかであり得る。 さらに、ポリペプチドのアミノ酸残基について本明細書で使用される表記は、当該分野で一般的に使用される略語である。
【0029】
本明細書で論じるように、タンパク質/ペプチドのアミノ酸配列のわずかな変異は、いずれも本発明で開示され、請求されている概念に含まれる。変異されたアミノ酸配列は、少なくとも、例えば、70%、71%、72%、73%、75%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%及び99%の類似性を維持する。本発明の合成ペプチドについて、特異的に修飾することにより、その生理的活性に影響を及ぼすことなく、ペプチドの特徴を変更し得る。例えば、この研究におけるペプチドの生理的活性(即ち、血管新生関連の疾患及び/又は病状を治療する能力)に影響を及ぼすことなく、特定のアミノ酸を変更及び/又は欠失させることができる。特に、保存的アミノ酸置換が考えられる。保存的置換は、側鎖に関連するアミノ酸ファミリー内で発生する置換である。遺伝的にコードされたアミノ酸は、一般に、(1)酸性=アスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性=リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性=アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;及び(4)非荷電極性=グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、チロシンに分けられる。より好ましい分類は以下の通りである。即ち、セリン及びトレオニンは脂肪族ヒドロキシ基アミノ酸であり、アスパラギン及びグルタミンはアミド含有アミノ酸であり、アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシンは脂肪族アミノ酸であり、フェニルアラニン、トリプトファン、及びチロシンは芳香族アミノ酸である。例えば、イソロイシン若しくはバリンでのロイシンの置換、グルタミン酸でのアスパラギン酸の置換、セリンでのトレオニンの置換、又は構造的に関連するアミノ酸でのアミノ酸の同様の置換は、特に置換がフレームワーク部位のアミノ酸に及ばない場合、得られた分子の結合又は特性に大きな影響を与えないことを期待することは合理的である。アミノ酸変化が機能性ペプチドをもたらすかどうかは、ペプチド誘導体の比活性を分析することにより容易に確定することができる。タンパク質/ペプチドのフラグメント又は類似体は、当業者にとって容易に調製され得るものである。フラグメント又は類似体の好ましいアミノ末端及びカルボキシ末端は、機能的ドメインの境界付近で生じる。一例では、本発明の合成ペプチドの1つのアミノ酸残基(例えば、アスパラギン酸、バリン、又はフェニルアラニン)は、非極性アミノ酸残基(例えば、アラニン)に保存的に置換される。他の例では、本発明の合成ペプチドの1つのアミノ酸残基は、そのD型アミノ酸残基に保存的に置換され、例えば、L型アルギニン及びL型フェニルアラニンは、それぞれ対応するD型残基に置換される。
【0030】
本明細書で用いられる用語「治療」は、所望の薬理学的及び/又は生理的効果、例えば、がんの増殖、又は角膜表面(例えば、ドライアイ症候群)若しくは皮膚(例えば、尋常性乾癬)に対する虚血性傷害を遅延又は阻害する効果を得ることを意味することを意図する。効果は、疾患又はその症状の発生を完全に又は部分的に予防又は阻害する観点から防止的であってもよく、及び/又は、疾患及び/又は疾患に起因する副作用を部分的に又は完全に治癒する観点から治療的であってもよい。本明細書で用いられる「治療」は、哺乳動物(特にヒト)の疾患の予防(例えば、防止)、治癒又は一時的に軽くする治療を含み、そして、(1)疾患の傾向にあるが、まだ診断されていない個人で生じる疾患又は状態(例えば、がん又は心不全)の予防(例えば、防止)、治癒又は一時的に軽くする治療、(2)(例えば、疾患の発症を抑制することによって)疾患を阻害すること、又は(3)疾患を緩和する(例えば、疾患と関連した症状を低減する)こと、を含む。
【0031】
用語「投与される」、「投与する」又は「投与」は、本願明細書において互いに置換可能に用いており、限定するものではないが、静脈内、筋肉内、腹膜内、動脈内、頭蓋内又は皮下に本発明の薬剤(例えば、化合物又は組成物)を投与することを含む送達モードを指す。いくつかの実施形態において、本開示の合成ペプチド及び/又はその類似体は、角膜表面に直接適用するために点眼剤に製剤化される。他の実施形態において、本開示の合成ペプチド及び/又はその類似体は、皮膚に直接適用するために、皮膚軟膏又はローションに製剤化される。別の実施形態において、本開示の合成ペプチド及び/又はその類似体は、粉剤に製剤化され、使用(例えば、静脈内注射)前に適切な担体(例えば、緩衝液)と混合される。
【0032】
本明細書で用いられる「有効量」という用語は、疾患の治療に関する所望の結果を成し遂げるために必要な期間及び用量での有効量を指す。例えば、ドライアイ疾患の治療において、ドライアイ疾患の任意の症状を低減、阻害、予防、遅延又は抑制する薬剤(即ち、化合物、合成ペプチド又は治療ペプチドをエンコードしている核酸)は、有効である。同様に、尋常性乾癬の治療において、乾癬皮膚の任意の症状を低減、阻害、予防、遅延又は抑制する薬剤(即ち、化合物、合成ペプチド又は治療ペプチドをエンコードしている核酸)は、有効である。薬剤の有効量は、疾患又は状態の治癒に必須ではなく、疾患又は状態の発病が遅延、妨害又は予防されるように、又は、疾患又は状態の症状を改善するように疾患又は状態を治療するだろう。有効量は、指定期間全体にわたって1、2又は3回以上で投与される適切な形態で1、2又は3以上の用量に分けてもよい。
【0033】
用語「被験体」及び「患者」は、本明細書では互換的に使用され、本発明の合成ペプチド及び/又は方法によって治療可能な人類を含む哺乳動物を意味する。用語「哺乳動物」は、ヒト、霊長類、家畜、及び、農場動物、例えば、ウサギ、ブタ、ヒツジ又は牛;動物園、スポーツ又はペット動物;及びマウス及びラットのようなげっ歯類を含む哺乳綱のすべてのメンバーを指す。さらに、用語「被験体」又は「患者」は、1つの性別が特定されていない限り、オスとメスの両方の性別を指すことが意図される。従って、用語「被験体」又は「患者」は、本開示の治療方法から利益を得ることができる任意の哺乳動物を含む。「被験体」又は「患者」の例は、ヒト、ラット、マウス、モルモット、サル、ブタ、ヤギ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、トリ及びニワトリを含むがこれらに限定されない。例示的な実施形態において、患者はヒトである。
【0034】
本発明の広い範囲を示す数値範囲及びパラメーターが近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に示された数値は可能な限り正確に報告される。しかし、いずれの数値も本質的に、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を含む。また、本明細書で使用する「約」という用語は、一般に、所与の値又は範囲の10%、5%、1%又は0.5%以内を意味する。或いは、用語「約」は、当業者によって考慮される場合、平均の許容可能な標準誤差内にあることを意味する。操作例/実施例以外で、又は特に明記しない限り、本明細書中に開示される材料の量、時間、温度、操作条件、量の比などについての、数値範囲、量、値及びパーセンテージの全てが、すべての場合において、用語「約」により修飾されているものと理解されるべきである。したがって、反対のことが示されない限り、本開示及び添付の請求項に記載される数値パラメーターは、所望に応じて変化することのできる近似値である。少なくとも、各数値パラメーターは、報告された有効数字の数に照らして、及び通常の丸め技法を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。
【0035】
文脈で別途明記示されない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は複数の言及を含む。
【0036】
2. 好ましい実施形態の詳細な説明
【0037】
本開示は、血管新生に関連する疾患又は病状を発症しないように、被験体を治療及び/又は予防することができる短い合成ペプチドの発見に少なくとも部分的に基づいている。従って、本発明は、血管新生に関連する疾患又は病状を治療及び/又は予防するための新たに同定された合成ペプチドを含む方法及び組成物を提供する。
【0038】
2.1 本発明の合成ペプチド
【0039】
本開示の短い合成ペプチドは、X1ITYX2RLKX3で示されるアミノ酸配列(配列番号:1)から構成され、
X1、X2及びX3は、互いに独立して任意のアミノ酸残基であり、
R及びX3は、互いに独立してL型又はD型であり、他のアミノ酸残基は、全てL型であり、
上記アミノ酸配列のN末端がアセチル化され、上記アミノ酸配列のC末端がアミド化される。
【0040】
好ましい一実施形態によれば、本開示の合成ペプチドは、DITYVRLKFのアミノ酸配列(配列番号:2、9-mer)を有する。
【0041】
他の実施形態によれば、9-mer合成ペプチドは、保存的置換基を含むことで、配列番号: 3、7又は11のいずれかであるアミノ酸配列を有する類似体を生じることができる。
【0042】
別の好ましい実施形態によれば、9-mer合成ペプチドは、そのN末端の上流に3つの追加アミノ酸残基をさらに含むことで、KAFDITYVRLKFの連続ペプチド(配列番号:12;以下、「12-mer」)を生じる。
【0043】
さらに別の例では、9-mer合成ペプチドは、少なくとも1つのD型アミノ酸残基を含むことで、そのD型類似体を生じることができる。
【0044】
本発明の合成ペプチドは、以下の表1に詳細に記載されている。
【0045】
表1: 本発明の合成ペプチド
上記配列における太字は、特定のアミノ酸がD型であることを示す。
【0046】
好ましい実施形態によれば、配列番号:1のイソロイシン(I)、トレオニン(T)、チロシン(Y)、アルギニン(R)、ロイシン(L)、及びリジン(K)残基が他のアミノ酸残基に置換されてはならず、そうでなければ、合成ペプチドはドライアイ症候群、尋常性乾癬及び/又は多発性骨髄腫に対する生物活性を失う。また、配列番号:1のX1、X2及びX3は、互いに独立して任意のアミノ酸残基であり得る。一実施形態において、X1はアラニン(A)、X2はバリン(V)、X3はフェニルアラニンであり、合成ペプチドは、配列番号:3つのアミノ酸配列(以下、「9-mer Da」)を有する。別の実施形態において、X1はアスパラギン酸、X2はアラニン(A)であり、合成ペプチドは、配列番号:7のアミノ酸配列(以下、「9-mer Va」)を有する。さらに別の実施形態において、X1はアスパラギン酸、X2はバリン(V)、X3はアラニン(A)であり、合成ペプチドは、配列番号:11のアミノ酸配列(以下、「9-mer Fa」)を有する。
【0047】
さらなる実施形態によれば、少なくとも1つのD型アミノ酸残基が9-mer合成ペプチド、特に9位のアミノ酸残基に含まれ、それによって、上記表1に示される9-merのD型類似体を生じる。一具体例では、9-mer合成ペプチドのフェニルアラニン(F)はD型であり、他のアミノ酸残基はL型である。
【0048】
本発明の合成ペプチドは、当該技術分野における任意の標準ペプチド合成プロトコルに従って合成することができる。一実施形態において、本発明の合成ペプチドは、製造者のプロトコルに従って固相ペプチド合成機(ABI433A ペプチドシンセサイザー, Applied Biosystems Inc., Life Technologies Corp., Foster City, CA, USA)を用いて合成された。
【0049】
或いは、本発明の合成ペプチドは、組換え技術を用いて調製することができる。例えば、発現ベクターにおいて、本発明のペプチドをコードする核酸をクローニングすることができ、ここで、核酸が宿主細胞で本発明のペプチドを発現させるのに適した調節配列に作動可能に結合される。次いで、上記ベクターを適切な宿主細胞に導入して、ペプチドを発現させることができる。発現された組換えポリペプチドは、硫酸アンモニウム沈殿法及び分取カラムクロマトグラフィー等の方法により宿主細胞から精製することができる。このようにして調製されたペプチドは、以下の実施例に記載の方法に従ってその活性を試験することができる。
【0050】
前記核酸又はポリヌクレオチドは、当該分野で公知のポリマー、生分解性微粒子若しくはマイクロカプセル送達装置の使用によって送達され得る。宿主中での核酸の取り込みを達成するための別の方法は、標準的な方法によって調製されたリポソームを使用することである。ポリヌクレオチドは、単独で、又は組織特異的抗体と一緒にこれらの送達ビヒクルに導入することができる。或いは、静電気力若しくは共有結合力によってポリ-L-リジンに結合したプラスミド又は他のベクターから構成される分子複合体を調製することができる。或いは、組織特異的標的化は、当技術分野で公知の組織特異的転写調節エレメントの使用によって達成することができる。筋肉内、皮内、又は皮下部位への「裸のDNA」(即ち、送達ビヒクルなし)の送達は、インビボ発現を達成するための別の手段である。
【0051】
本発明の合成ペプチドは、そのN末端又はC末端が修飾されてもよい。N末端修飾の例として、N-グリコシル化、N-アルキル化及びN-アセチル化アミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。末端修飾はペグ化を含むことができる。C末端修飾の例は、C末端アミド化アミノ酸である。或いは、1つ以上のペプチド結合は非ペプチジル結合で置換されてもよく、個々のアミノ酸部分は選択された側鎖又は末端残基と反応可能な薬剤で処理することにより修飾されてもよい。
【0052】
様々な官能基を化学修飾が実施されやすい合成ペプチドの様々な部位に導入してもよい。官能基をペプチドの末端に導入してもよい。いくつかの実施形態において、官能基は、ペプチドの1つ以上の特性に関する活性を改善する。例えば、合成ペプチドの安定性、有効性、又は選択性の改善;合成ペプチドの細胞膜及び/又は組織バリアへの透過性の改善;組織の局在化の改善;毒性又はクリアランスの低減;及び細胞ポンプによる排除に対する耐性の改善等がある。適切な官能基の非限定的な例は、該官能基に結合したペプチドを細胞に輸送することを促進するものである。例えば、ペプチドの親水性を減少させ、親油性を増加させることによって、これらの官能基は、任意に好ましくは、インビボで切断される。例えば、細胞内で加水分解又は酵素的に切断され得る。ヒドロキシ保護基には、エステル、カーボネート及びカルバメート保護基が含まれる。アミン保護基には、アルコキシ及びアリールオキシカルボニル基が含まれる。カルボン酸保護基には、脂肪族、ベンジル及びアリールエステルが含まれる。任意のいくつかの実施形態において、本発明の合成ペプチドのアスパラギン酸(D)の側鎖にあるカルボン酸基は、メチル、エチル、ベンジル又は置換ベンジルエステルによって保護されることが好ましい。
【0053】
保存的及び非保存的置換の両方により、「ペプチド模倣有機部分」で本発明の合成ペプチドのアミノ酸残基を任意に置換することができる。該ペプチド模倣有機部分は、任意に好ましくは、立体的、置換されたアミノ酸に類似した電子的又は立体配置特性を有し、このようなペプチド模倣体は、必須位置のアミノ酸を置換するために使用され、保存的置換と考えられる。ペプチド模倣体は、任意に、酵素によるペプチドの分解、又は他の分解プロセスを阻害するために使用され得る。ペプチド模倣体は、任意に好ましくは、有機合成技術によって製造することができる。適切なペプチド模倣物の非限定的な例には、アミド結合の同配体、3-アミノ-2-プロペニドン-6-カルボン酸、ヒドロキシル-1、2、3、4-テトラヒドロ-イソキノリン-3-カルボキシレート、1、2、3、4-テトラヒドロ-イソキノリン-3-カルボキシレート、及びヒスチジンイソキノロンカルボン酸が含まれる。
【0054】
合成ペプチドの任意の部分は、官能基の導入などによって任意に化学的に修飾することができる。この修飾は、本発明のペプチドの合成中に任意に実施することができる。修飾の非限定的な例示的なタイプには、カルボキシメチル化、アシル化、リン酸化、グリコシル化又は脂肪酸アシル化が含まれる。エーテル結合は、セリン又はトレオニンヒドロキシルを糖のヒドロキシル基に結合させるために任意に使用することができる。アミド結合は、グルタメート又はアスパラギン酸カルボキシ基を糖のアミノ基に結合させるために任意に使用することができる。アセタール及びケタール結合は、アミノ酸と炭素水和物との間に任意に形成することもできる。
【0055】
2.2 ドライアイ症候群、尋常性乾癬、又は多発性骨髄腫に関連する疾患及び/又は病状を治療及び/又は予防するための組成物
【0056】
本発明の合成ペプチドは、ドライアイ症候群、尋常性乾癬、又は多発性骨髄腫に関連する疾患及び/又は病状に罹患している被験体の治療、又はドライアイ症候群、尋常性乾癬、又は多発性骨髄腫に関連する疾患及び/又は病状の発症の防止に適している。
【0057】
従って、本開示のさらなる態様は、ドライアイ症候群、尋常性乾癬、又は多発性骨髄腫に関連する疾患及び/又は病状を治療するための本発明の合成ペプチド医薬品を提供する。
【0058】
一実施形態において、上記医薬品は、腫瘍、特に多発性骨髄腫を治療するものである。治療後、腫瘍の体積、増殖速度、及び/又は転移が低減又は減少する。
【0059】
別の実施形態において、上記医薬品は、眼疾患、特にドライアイ症候群を治療するものである。
【0060】
さらに別の実施形態において、上記医薬品は、皮膚疾患、特に尋常性乾癬を治療するものである。
【0061】
上記医薬品は、適切な量の本発明の合成ペプチドを、薬学的に許容される担体、賦形剤又は安定剤と共に組成物に混合することによって製造される。特定の実施形態では、合成ペプチドは、上記のペプチドから選択され、 9-mer、9-mer Da、9-mer Va、9-mer Fa、9-mer DF, 12-mer及びそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
【0062】
上記医薬品又は組成物中に存在するペプチドの量は、使用されるペプチドに依存する。ペプチドは、典型的には組成物中に約0.001重量%〜約10重量%で存在する。例えば、0.001重量%、0.005重量%、0.01重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2.重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.9重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、5.0重量%、5.1重量%、5.2重量%、5.3重量%、5.4重量%、5.5重量%、5.6重量%、5.7重量%、5.8重量%、5.9重量%、6.0重量%、6.1重量%、6.2重量%、6.3重量%、6.4重量%、6.5重量%、6.6重量%、6.7重量%、6.8重量%、6.9重量%、7.0重量%、7.1重量%、7.2重量%、7.3重量%、7.4重量%、7.5重量%、7.6重量%、7.7重量%、7.8重量%、7.9重量%、8.0重量%、8.1重量%、8.2重量%、8.3重量%、8.4重量%、8.5重量%、8.6重量%、8.7重量%、8.8重量%、8.9重量%、9.0重量%、9.1重量%、9.2重量%、9.3重量%、9.4重量%、9.5重量%、9.6重量%、9.7重量%、9.8重量%、9.9重量%、及び10.0%である。特に約0.01%〜約5重量%で存在する。例えば0.01重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1.0重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、2.0重量%、2.1重量%、2.2.重量%、2.3重量%、2.4重量%、2.5重量%、2.6重量%、2.7重量%、2.8重量%、2.9重量%、3.9重量%、3.1重量%、3.2重量%、3.3重量%、3.4重量%、3.5重量%、3.6重量%、3.7重量%、3.8重量%、3.9重量%、4.0重量%、4.1重量%、4.2重量%、4.3重量%、4.4重量%、4.5重量%、4.6重量%、4.7重量%、4.8重量%、4.9重量%、及び5.0重量%である。
【0063】
合成ペプチドと併用する薬学的に許容される担体、賦形剤又は安定剤は、関連技術分野において周知であり、非毒性不活性固体、半固体若しくは液体充填剤、希釈剤、カプセル化剤又は製剤補助剤を含むが、これらに限られない。典型的な薬学的に許容される担体は、水又は生理食塩水である。薬学的に許容される担体の例には、糖類(例えば、ラクトース、グルコース、及びスクロース)、デンプン(例えば、コーンスターチ)、セルロース及びその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及び酢酸セルロース)、トラガカント粉末、麦芽、ゼラチン、タルク、賦形剤(例えば、ココアバター及び座剤用ワックス)、油類(例えば、ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、大豆油)、グリコール類(例えば、プロピレングリコール)、エステル類(例えば、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル)、寒天、緩衝剤(例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム)、アルギン酸、及び他の薬剤、例えば無毒の潤滑剤(例えば、ラウリル硫酸塩及びステアリン酸マグネシウム)、着色剤、離型剤、香味剤、防腐剤及び酸化防止剤を含むが、これらに限られない。この組成物には、抗生物質又は抗真菌剤がさらに含まれてもよい。
【0064】
本発明の医薬品又は組成物の適切な投与経路は、血管内送達(例えば、注射又は輸液)、経口、経腸、経直腸、経肺(例えば、吸入)、経鼻、局所(経皮、頬及び舌下を含む)、膀胱内、硝子体内、腹腔内、膣、脳内送達(例えば、脳室内及び脳内)、CNS送達(例えば、髄腔内、傍脊椎及び脊椎内)、非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、及び皮内)、経粘膜投与若しくはインプラントを介した投与、又は当技術分野で公知の他の送達経路である。
【0065】
経口投与に適した医薬組成物は、別個の投与単位、例えば、丸薬、錠剤、トローチ剤、硬質若しくは軟質カプセル;分散性粉末若しくは顆粒;溶液若しくは懸濁液、例えば、水性若しくは油性懸濁液、エマルション、シロップ、エリキシル;又は経腸製剤に製剤化することができる。好ましい一例では、この医薬組成物は点眼剤である。上記組成物は、密封バイアル若しくはアンプルのような単回投与又は複数回投与の容器で提供することができ、使用前に滅菌液体担体(例えば、水又は生理食塩水)の添加を必要とする凍結乾燥状態で保存することができる。
【0066】
非経口投与に適した医薬組成物は、本合成ペプチドを、水、リンゲル液、生理食塩水、1,3-ブタンジオール、アルコールなどの滅菌溶媒と混合又は分散させることによって、水性又は非水性滅菌注射剤に調製され得る。或いは、固定油、脂肪酸又は合成モノ若しくはジグリセリドを溶媒として使用することができる。上記組成物は、フィルターでろ過することにより滅菌されることができる。
【0067】
局所又は経皮投与のために、医薬組成物は、一般に、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、パッチ又はスプレーに調製される。眼科用製剤、点耳剤及び点眼剤も、本発明の範囲内に含まれる。いくつかの実施形態によれば、本発明の組成物は、眼に局所的に投与される。他の実施形態によれば、上記医薬組成物は、皮膚に適用される軟膏である。 疾患のタイプ及び重症度に応じて、約1μg/kg〜約100mg/kg(例えば、0.1〜50mg/kg)の本発明の合成ペプチドを患者に投与する。例えば、1, 5, 10, 20, 30, 40, 50, 60, 70, 80, 90, 100, 110, 120, 130, 140, 150, 160, 170, 180, 190, 200, 210, 220, 230, 240, 250, 260, 270, 280, 290, 300, 310, 320, 330, 340, 350, 360, 370, 380, 390, 400, 410, 420, 430, 440, 450, 460, 470, 480, 490, 500, 510, 520, 530, 540, 550, 560, 570, 580, 590, 600, 610, 620, 630, 640, 650, 660, 670, 680, 690, 700, 710, 720, 730, 740, 750, 760, 770, 780, 790, 800, 810, 820, 830, 840, 850, 860, 870, 880, 900, 910, 920, 930, 940, 950, 960, 970, 980, 990若しくは1,000 μg/kg、又は2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31, 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40, 41, 42, 43, 44, 45, 46, 47, 48, 49, 50, 51, 52, 53, 54, 55, 56, 57, 58, 59, 60, 61, 62, 63, 64, 65, 66, 67, 68, 69, 70, 71, 72, 73, 74, 75, 76, 77, 78, 79, 80, 81, 82, 83, 84, 85, 86, 87, 88, 89, 90, 91, 92, 93, 94, 95, 96, 97, 98, 99若しくは100 mg/kgである。典型的な1日又は1週間の投与量は、約0.1 mg/kg〜約50 mg/kg又はそれ以上であり得る。例えば、0.1, 0.2, 0.3, 0.4, 0.5, 0.6, 0.7, 0.8, 0.9, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20, , 21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31, 32, 33, 34, 35, 36, 37, 38, 39, 40, 41, 42, 43, 44, 45, 46, 47, 48, 49又は50 mg/Kgである。局所投与の上記目的のいずれかに利用される用量は、一般に、1日に1回〜数回、例えば4回、6回、8回又はそれ以上投与される。
【0068】
肺投与に適した医薬組成物は、定量噴霧式エアゾール、噴霧器又は吸入器によって生成できる粉塵又はミストに調製され得る。
【0069】
本発明によって提供される医薬組成物は、キットの形態であることが好ましい。本発明において、「キット」は、本発明により提供される合成ペプチド及び/又はパッケージングされた組成物を形成する追加の治療化合物を含有することで、その輸送、保存、及び、同時又は連続投与が可能である製品として理解される。したがって、本発明のキットは、本発明の合成ペプチドをそれぞれ含む1つ以上の密封アンプルを含むことができ、それにより単回投与又は複数回投与で調製され得る。このキットは、必要に応じて、合成ペプチドを可溶化するのに適したビヒクル、例えば、水性媒体(例えば、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース及び塩化ナトリウム)、水溶性媒体(例えば、アルコール、ポリエチレングリコール、プロピルエチレングリコール)、及び水不溶性ビヒクルをさらに含み得る。キットに存在し得る別の成分は、本発明の組成物を所定限界内に維持することを可能にするパッケージである。そのようなパッケージを製造するのに適した材料には、ガラス、プラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなど)、ボトル、バイアル、紙、サッシェなどが含まれる。
【0070】
本発明のキットは、キットに存在する異なる製剤の同時、連続的な又は別々の投与のための説明書をさらに含むことができる。したがって、本発明のキットは、異なる成分の同時、連続的又は別々の投与のための説明書をさらに含むことができる。上記説明書は、被印刷物の形態であってもよく、又は被験者が読むことができるように該説明書を格納可能な電子的支持体の形態、例えば、電子記憶媒体(磁気ディスク、テープ等)、光学媒体(CD-ROM, DVD)等であってもよい。該媒体は、上記説明書を提供するインターネットウェブページを追加的又は代替的に含むことができる。
【0071】
2.3 ドライアイ症候群、尋常性乾癬、又は多発性骨髄腫に関連する疾患及び/又は病状を治療及び/又は予防する方法
【0072】
上記のように、本発明に記載の知見は、ドライアイ症候群、尋常性乾癬、又は多発性骨髄腫に関連する疾患及び/又は病状の予防及び/又は治療に有用である。
【0073】
従って、本発明は、ドライアイ症候群、尋常性乾癬、又は多発性骨髄腫に関連する疾患及び/又は病状を予防及び/又は治療する方法に関する。該予防及び/又は治療を必要とする被験体に上記の医薬品又は組成物を投与することを含む。上記の医薬品又は組成物は、X1ITYX2RLKX3で示されるアミノ酸配列(配列番号:1)から構成される合成ペプチド及び薬学的に許容される担体を含み、
X1、X2及びX3は、互いに独立して任意のアミノ酸残基であり、
X3はL型又はD型であり、他のアミノ酸残基は全てL型である。
【0074】
上記医薬品及び/又は組成物は、被験体に投与されると、ドライアイ症候群、尋常性乾癬、又は多発性骨髄腫に関連する疾患及び/又は病状を改善又は緩和することができる。
【0075】
特定の実施形態において、上記合成ペプチドは、上記ペプチドから選択され、9-mer、9-mer Da、9-mer Va、9-mer Fa、9-mer DF、12-mer、及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0076】
一実施形態によれば、本発明は、腫瘍、特に多発性骨髄腫の治療方法に関する。該方法は、この治療を必要とする被験体に本発明の医薬品又は組成物を投与することを含む。
【0077】
別の実施形態によれば、本発明は、眼疾患、特にドライアイ症候群の治療方法に関する。該方法は、この治療を必要とする被験体に本発明の医薬品又は組成物を投与することを含む。
【0078】
別の実施形態によれば、本発明は、尋常性乾癬の治療方法に関する。該方法は、この治療を必要とする被験体に本発明の医薬品又は組成物を投与することを含む。
【0079】
上記方法は、治療を必要とする被験体に本発明の医薬品又は組成物を投与するステップを含む。
【0080】
必要に応じて、上記方法は、被験体にドライアイ症候群、尋常性乾癬、又は多発性骨髄腫に関連する疾患及び/又は病状を治療するための有効量の薬剤を投与することをさらに含み得る。該薬剤は、抗炎症剤、抗がん剤、抗生物質からなる群から選択される。
【0081】
いくつかの例において、上記抗炎症剤は、シクロスポリンであり得る。上記抗がん剤は、アルキル化剤、抗微小管剤、トポイソメラーゼ阻害剤、又は細胞傷害剤であり得る。上記抗生物質は、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルミシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、テイコプラニン、バンコマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、ナフシリン、ペニシリン、ピペラシリン、チカルシリン、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンB、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、マフェニド、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファサラジン、スルフィドオキサゾール、トリメトプリム、コトリモキサゾール、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、及びテトラサイクリンからなる群から選択される。上記ニコチン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ピロカルピン、アトロピン、ニコチン、エピバチジン、ロブリン、又はイミダクロプリドのいずれかであり得る。
【0082】
全ての実施形態において、治療に適した被験体はヒトである。
【0083】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0084】
実施例
材料及び方法
材料
RPMI1640培地、トリプシン-EDTA、ウシ胎仔血清(FBS)、抗生物質-抗真菌溶液、及びトリプシンは、Invitrogen(Carlsbad、CA、USA)から購入した。カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及び5-ブロモ-2'-デオキシウリジン(BrdU)は、全てSigma-Aldrich(St. Louis, MO)から入手した。3-(4、5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2、5-ジフェニルテトラゾリウムブロマイド(MTT)は、Merck(カタログ番号:1.11714.0001)から入手した。抗BrdU抗体は、GeneTex(San Antonio, Tex, USA)から入手した。12-mer(KAFDITYVRLKF)、9-mer(DITYVRLKF)、8-mer(ITYVRLFK)、アラニン置換ペプチド、及びD-ペプチドを含む短い合成ペプチド(GenScript(Piscataway, NJ)から購入)は合成され、安定性のためにNH2末端でのアセチル化及びCOOH末端でのアミド化によって修飾され、質量分析法(> 90%純度)により特徴付けた。全てのペプチドは、GenScript(Piscataway, NJ, USA)により合成されたものである。各ペプチドについて、NH2末端でのアセチル化及びCOOH末端でのアミド化によって修飾されることで、その安定性を改善し、続いて質量分析法(> 95%純度)を採用して特徴付けた。
【0085】
細胞培養
多発性骨髄腫細胞株RPMI8226又はラットRaw264.7マクロファージを、37℃、5%CO2の雰囲気で、10%(vol/vol)熱不活性化ウシ胎児血清(Invitrogen)、50μg/mLのペニシリン、50μg/mLのストレプトマイシン、及び2mMのL-グルタミンを添加した複合培地(RPMI1640)で培養した。
【0086】
MTT分析
RPMI8226細胞又はU266細胞を無血清RPMI1640培地で24時間培養した後、48ウェル培養プレート(3×105個の細胞/ウェル)に接種し、その後、20μMのペプチドを含有する0.5mlの新鮮な無血清RPMI1640培地でさらに24時間培養した。MTT分析により細胞生存率を測定した。
【0087】
50μLのMTTストック溶液(1mlの滅菌PBSが5mgのMTTに溶解された)を各ウェルに添加した。さらに、500μLの培地に50μLのMTTストック溶液を陰性対照として添加した。各サンプルを37℃で4時間インキュベートした。各サンプルからアリコート(450μl)を採取し、新しい48ウェル培養プレートのウェルに入れた後、100μLのDMSOを添加し、ピペットを用いて完全に混合し、37℃で20分間反応させ、570nmで吸光度を測定した。
【0088】
トリパンブルー排除法
細胞を血球計数器を用いて顕微鏡下で検査した。具体的には、0.1mLのトリパンブルーストック溶液(0.4%トリパンブルー溶液を含有する等張性塩緩衝液;pH7.2)を1mLの細胞懸濁液に添加し、血球計数器に入れた。青色染色細胞(非活性と考えられる細胞)の数及び総細胞数をそれぞれ数えた。健常な対数期培養の細胞について、細胞生存率は少なくとも95%であるべきである。
【0089】
アポトーシスの評価
製造業者のガイドライン(Annexin V-FITC Apoptosis Detection kit; Roche)に従って、フローサイトメトリーによりアネキシンV/ヨウ化プロピジウム(PI)染色を行った。簡単に言えば、Ca2+又はMg2+を含まない氷冷PBS(Life Technologies)中で0.5 × 106個の細胞を洗浄した。次いで、細胞を100μlの結合緩衝液に再懸濁し、5.0μlのPI及び2.0μlのアネキシンV-フルオレセインイソチオシアネートで室温、暗所で15分間インキュベートした。直ちに、FACScalibur Instrument(Becton Dickinson)を用いてフローサイトメトリー分析を行った。
【0090】
ドライアイ動物モデル
動物
モデルシステムにおいて、C57BL/6マウス(7-8週齢、それぞれ約18〜25gの重さ)を使用した。すべてのマウスは、Mackay Memorial Hospital Review Board(Taiwan, R.O.C. )に承認された手順に従って、動物施設で飼育されていた。すべての動物実験手順は、眼科及び視覚研究における動物の使用に関するARVO宣言に従って行われた。
【0091】
ドライアイ誘導
マウスを制御された環境チャンバー(CEC)に14日間置き、Barabinoら(IVOS(2005)46(8), 2766-2771)によって記述された手順に従ってドライアイを誘導した。CECに置かれたマウスは、相対湿度(RH)<25%、温度20〜22℃、空気流量15L /分の環境に1日当たり12時間曝露された。対照マウスは、同じ期間、通常環境(RH> 50%、気流なし、温度20〜22℃)で飼育された。
【0092】
処理
1%のカルボキシメチルセルロース(CMC)を平衡塩溶液(BSS)に溶解した一般的な人工涙液製剤をペプチドビヒクルとして使用した。ペプチド(50μM)又は1% CMCビヒクルを1日3回で眼に4日間局所投与した。
【0093】
眼フルオレセイン染色試験による角膜損傷検出
局所的なフルオレセイン(100mg/ml又は10%; FLUORESCITETM, Alcon Laboratories)で染色することによって角膜表皮損傷を確定した。投薬では、局所フルオレセイン(片眼に対して0.5%のフルオレセインナトリウム(4.4 μLのBSSに溶解)0.6 μL)を、マイクロピペットを介して外眼角に適用して15秒間染色した。角膜フルオレセイン染色は、スリットランプ生体顕微鏡によりコバルト青色光下で検査し、デジタルカメラで撮影した。データは、平均値±SDとして示される。角膜染色は、盲検法で以下のように評価した。即ち、点状染色がない場合を0点、角膜の3分の1未満が染色された場合を1点、3分の2以下が染色された場合を2点、3分の2超えが染色された場合を3点と評価した。
【0094】
涙液産生量の測定
フェノールレッド含浸綿糸(Zone-Quick; Oasis, Glendora, CA)により涙液産生量を測定した。マウスについてのこの試験の有効性は、先行技術文献(Dursun;IVOS(2002)43, 632-638)の記載従って実施された。宝飾鉗子で糸を挟んで、60秒間外眼角に置いた。涙液産生量は、涙液で濡れられ、且つ赤色に変わった糸のミリメートルで表された。
【0095】
実験的尋常性乾癬様皮膚炎モデル
このモデルシステムでは、BALB/cマウス(8週齢、雌性; n=42)を使用した。イミキモド(IMQ)でマウス皮膚を処理することにより、尋常性乾癬様皮膚炎を引き起こすことが実証されている(van der Fits et al., J Immunol. 2009;182:5836-45)。従って、このモデルにおいて、各BALB/cマウスの剃毛した背中及び右耳に市販のIMQクリーム(イミキモドクリーム 5% w/w, Aldara(商標))(毎日の局所用量:62.5mg)を6日間(n=6)連続して毎日局所投与する一方、対照マウス(正常群)を対照クレーム(n=6)で処理した。治療群では、濃度が25μMで各試験ペプチドをIMQクレームと混合した(n=6/群)。BrdU取り込みにより角化細胞増殖を測定した。BrdU(Sigma-Aldrich)をDMSOに加えてストック溶液(80mM)を調製した。10μlのBrdUを90μlのPBSと混合したものを各マウスに腹腔内注射し、24時間後、マウスを安楽死させた。
【0096】
組織学、免疫組織化学及び定量
マウスの背部皮膚を4%パラホルムアルデヒドで一晩固定し、段階的エタノールシリーズで脱水し、パラフィンに包埋した。固定されたサンプルをキシレン中で脱パラフィンし、段階的エタノールシリーズで再水和させた。組織を5μm切片にスライスした。ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)(Merck, Rayway, NJ, USA)により一般的な組織学的検査を行った。
【0097】
スライドを10%ヤギ血清で60分間ブロックし、次いでBrdU(1:50希釈; GTX42641)に対する一次抗体で室温で3時間インキュベートした。次いで、スライドをペルオキシダーゼ標識ロバ免疫グロブリンで30分間インキュベートし、次に色素原基質(3,3'-ジアミノベンジジン)で2分間インキュベートした後、ヘマトキシリンで対比染色した。Nikon Eclipse 80i光学顕微鏡を用いて撮影した高品質画像(1208×960ピクセルバッファー)に基づいて定量を行った。
【0098】
統計
結果は、平均±標準誤差(SEM)として表された。統計的比較に一元配置分散分析(1-way ANOVA)を使用した。P<0.05を有意とみなした。
【0099】
実施例1 細胞生存率に対する9-mer及びその類似体の影響
この実施例では、骨髄腫RPMI 8226の細胞生存率に対する本発明の9-mer(DITYVRLKF, 配列番号:2)ペプチド及びその類似体の影響を測定した。4つのタイプの9-mer類似体を調製した。第1タイプの類似体は、9-mer Da、9-mer Ia、9-mer Ta、9-mer Ya、9-mer Va、9-mer Ra、9-mer La、9-mer Ka及び9-mer Faペプチド(配列番号: 3〜11)を含み、9-merの特定のアミノ酸をそれぞれアラニンで置換することにより調製された。例えば、9-mer Daで表される9-mer類似体では、アスパラギン酸(D)残基がアラニン(A)で置換された。同様に、9-mer Ia、9-mer Ta、9-mer Ya、9-mer Va、9-mer Ra、9-mer La、9-mer Ka及び9-mer Faペプチドで表される9-mer類似体では、9-merのイソロイシン(I)、トレオニン(T)、チロシン(Y)、バリン(V)、アルギニン(R)、ロイシン(L)、リジン(K)及びフェニルアラニン(F)残基がそれぞれアラニンで置換された。第2タイプの類似体は、9-mer DD、9-mer DI、9-mer DT、9-mer DY、9-mer DV、9-mer DR、9-mer DL、9-mer DK及び9-mer DFを含み、9-merの特定のアミノ酸をそれぞれ対応するD型アミノ酸で置換することにより調製された。例えば、DDで表される9-mer類似体では、アスパラギン酸(D)残基がD型アスパラギン酸で置換された。同様に、9-mer DI、9-mer DT、9-mer DY、9-mer DV、9-mer DR、9-mer DL、9-mer DK及び9-mer DFで表される9-mer類似体では、9-merのイソロイシン(I)、トレオニン(T)、チロシン(Y)、バリン(V)、アルギニン(R)、ロイシン(L)、リジン(K)及びフェニルアラニン(F)残基がそれぞれ対応するD型アミノ酸残基で置換された。第3タイプの9-mer類似体は、9-merのN末端に3つの追加アミノ酸残基を導入した12-merペプチド(KAFDITYVRLKF, 配列番号:12)である。第4タイプの9-mer類似体は、9-merのアスパラギン酸(D)残基を削除した8-merペプチド(ITYVRLKF, 配列番号:13)である。
【0100】
MTT分析により細胞生存率に対する9-mer及びその類似体の影響を確定した結果を図1〜2に示した。
【0101】
図1に示されるデータから分かるように、12-mer及び9-merは、共に骨髄腫RPMI 8226の細胞生存率を効果的に抑制した一方、2, 3, 4, 6, 7, 8位の9-mer残基に対するアラニン置換(即ち、9-mer Ia、9-mer Ta、9-mer Ya、9-mer Ra、9-mer La及び9-mer Kaペプチド)により、9-merの抑制活性の喪失を引き起こし、これらの位置のいずれかのアミノ酸残基が9-merの生物活性に必須であることを示している。特に、1, 5及び9位の9-mer残基に対するアラニン置換(即ち、9-mer Da、9-mer Va及び9-mer Faペプチド)は、9-merの抑制活性の一部を維持することができ、これらの3つの部位にあるアミノ酸残基が9-merの抑制機能に必須ではないことを示している。
【0102】
一方、D型アミノ酸置換により得られた9-mer類似体では、意外に、1〜8位の9-mer残基が9-merの生物活性の喪失を引き起こすことが発見された。特に、9-mer DFペプチド(即ち、9位の9-mer残基に対するD型アミノ酸置換)は、9-merと類似する活性を有し、D型置換がペプチド活性を維持し得ることを示している(図2)。
【0103】
まとめると、上記結果は、9-mer及び12-merが共に骨髄腫細胞生存率の抑制に有効であり、12-merが低用量でより効果的であることを示している。また、9-merペプチドの1、5及び9位のアミノ酸残基は、他のアミノ酸残基に置換されてもよく、9-merの9位のアミノ酸残基は、L型又はD型のいずれかであってもよい一方、他のアミノ酸残基は、9-merの生物活性を維持するためにL型でなければならないことを示している。
【0104】
実施例2 乾燥誘発性ドライアイ症候群に対する9-merの治療効果
この実施例において、「材料及び方法」の項に記載された手順に従って構築されたマウスドライアイモデルを使用して9-mer及びその類似体の治療効果を評価した。
【0105】
簡単に言えば、マウスを乾燥状態で14日間飼育してドライアイ症候群を誘発し、フルオレセイン染色によりドライアイの典型的な症状である角膜潰瘍を確認し、次いで、所定の時間及び投与量で治療を行った。結果を図3に示す。
【0106】
対照点眼剤又は9-merペプチドを含む点眼剤で処理した眼球の写真を図3のパネルAに示した。9-mer処理を4日間受けたマウスでは、角膜のフルオレセイン染色が顕著に減少し、9-merはドライアイに対して治療機能を有することを示している。同様に、12-mer、9-mer、9-mer DF又は9-merアラニン類似体(9-mer Da、9-mer Va又は9-mer Fa)で4日間処理したドライアイはすべて、ビヒクル処理対照マウス(FIG 3、パネル B)と比べて、角膜フルオレセイン染色の平均スコアが3倍減少したことを示している。また、対照8-merペプチドは、そのような効果はなかった。さらに、12-mer、9-mer、9-mer DF及び9-mer アラニン類似体(9-mer Da、9-mer Va及び9-mer Fa)で4日間処理した眼では、涙液量が顕著に増加した(P < 0.01 vs. ビヒクル処理)(FIG 4)。
【0107】
実施例3 ヒト多発性骨髄腫細胞に対する9-merの治療効果
この実施例では、RPMI8226細胞及びU266細胞を含むヒト骨髄腫細胞の増殖に対する9-merの細胞毒性効果を調べた。結果を図5、6に示す。
【0108】
トリパンブルー分析によりヒト多発性骨髄腫細胞の増殖に対する9-merの細胞毒性効果を調べた。その結果は、9-mer溶媒(DMSO)処理と比べて、9-merは、RPMI8226細胞(7.5±1.3 vs 59.7±4.5)及びU266細胞(8.7±1.1 vs 47.0±4.6)の細胞生存率をそれぞれ顕著に低下させた(FIG 5)。アネキシンV染色により、9-merのこの抑制効果は、これらのがん細胞のアポトーシスを誘導することにより達成されることが確認された。24時間の9-mer処理により、骨髄腫細胞の約54%がアポトーシス性ホスファチジルセリン露出を示したのに対して、対照群の未処理細胞では、アポトーシスを示す細胞が15%未満であった(図6)。
【0109】
実施例4 IMQ誘発性尋常性乾癬様皮膚炎に対する9-merの治療効果
この実施例において、「材料及び方法」の項に記載された手順に従って構築されたマウス尋常性乾癬様皮膚炎を用いて9-mer及びその類似体の治療効果を評価した。
【0110】
簡単に言えば、BALB/cマウスに対して、9-mer及び/又はその類似体(即ち、12-mer、9-mer DF、9-mer Da、9-mer Va又は9-mer Fa)の存在又は非存在下で、 剃毛した背中及び右耳にIMQを6日間連続して毎日局所投与した。この間に、IMQ単独で処理したマウスは、尋常性乾癬様皮膚炎及び落屑形成を発症したのに対し、IMQ及び9-mer(25μM)の局所投与を受けたマウスは、背部皮膚炎及び落屑の症状が軽減された(図7)。
【0111】
IMQ処理マウスの皮膚切片に対する顕微鏡検査により、アカントーシス(表皮肥厚)、落屑及び皮膚浸潤のような尋常性乾癬病変の特徴的変化が確認された(H&E染色;図8、パネル A)。それに対し、IMQ処理皮膚切片と比較して、9-mer処理を受けた皮膚切片は、アカントーシスの軽減及び落屑の減少を示した。同様に、12-mer、9-mer、9-mer DFペプチドで処理した尋常性乾癬様皮膚炎を有するマウスは、IMQ対照群と比較して、アカントーシスの顕著な軽減を示した(35.3±4.1、39.2±2.7及び35.7±4.2 vs. 122±10.5;図8、パネルB)。
【0112】
これらの皮膚切片のいずれかの角化細胞の過剰増殖もBrdU取り込みによりをモニターされた。IMQ処理マウスでは、図9のパネルAに示すように、BrdUが表皮の各層にある角化細胞(褐色)内のDNAに取り込まれ、調節不全による増殖を反映した。それに対して、IMQ + 9-mer処理マウスでは、陽性BrdU細胞が表皮の基底層にしか存在しなかった。同様に、12-mer、9-mer又は 9-mer DFで処理したマウスでは、IMQ/9-mer DDと比較して、角化細胞の過剰増殖が顕著に軽減された(8.5±1.4、8.3±1.4、6.3±1.2 vs. 24.5±2.0、23.3±2.5;図9、パネルB)。
【0113】
以上より、上記の実施例に示された結果は、本開示の短い合成ペプチドがドライアイ症候群、尋常性乾癬、又は多発性骨髄腫に関連する疾患又は病状の治療及び/又は予防に適用され得ることを実証した。
【0114】
実施形態の上記の説明が単なる例として与えられており、当業者によって様々な変更がなされ得ることが理解されるだろう。上記の明細書、実施例及びデータは、本発明の例示的な実施形態の構造及び使用の完全な説明を提供する。本発明の様々な実施形態が、ある程度具体的に、又は1又は複数の個々の実施形態を参照して、上述されているが、当業者は、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に多数の変更を行うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]