【0045】
本実施形態に利用可能な(C)有機過酸化物としては、例えば、下記のものが挙げられる。各物質について、括弧内に10時間半減期温度を示す。
t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(T10=95℃)
t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート(T10=97℃)
t−ブチルパーオキシラウレート(T10=98℃)
t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(T10=99℃)
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(T10=99℃)
t−ヘキシルパーオキシベンゾエート(T10=99℃)
2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(T10=100℃)
t−ブチルパーオキシアセテート(T10=102℃)
2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン(T10=103℃)
t−ブチルパーオキシベンゾエート(T10=104℃)
n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート(T10=105℃)
ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(T10=119℃)
ジクミルパーオキサイド(T10=116℃)
ジ−t−ヘキシルパーオキサイド(T10=116℃)
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(T10=118℃)
t−ブチルクミルパーオキサイド(T10=120℃)
ジ−t−ブチルパーオキサイド(T10=124℃)
【実施例】
【0049】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【0050】
<エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物>
[エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物の製造]
製造例1−1〜1−13及び比較製造例1−1〜1−3について、表1に示す組成でエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物を製造した。この一例として、製造例1−1に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物の製造プロセスを以下に示す。なお、他の製造例及び比較製造例に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物も、製造例1−1と同様のプロセスで製造した。
【0051】
[製造例1−1に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物の製造]
内容積5Lのステンレス製オートクレーブに、純水2500gを入れ、更に懸濁剤としてポリビニルアルコール2.5gを溶解させた。この中に、エチレン−酢酸ビニル共重合体(商品名「ウルトラセン510」、東ソー株式会社製、VAc含有量6%、MFR=2.5(g/10min)700gを入れ、攪拌して分散させた。
【0052】
これとは別に、4.0gのラジカル重合開始剤、9.0gのラジカル(共)重合性有機過酸化物、及び3.5gの架橋剤を、210gのスチレン(St)及び90gのメタクリル酸グリシジル(GMA)に溶解させた溶液を生成し、この溶液をオートクレーブ中に投入し攪拌した。
【0053】
ラジカル重合開始剤としてはジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(商品名「パーロイル355」、10時間半減期温度=59℃、日油株式会社製)を用い、ラジカル(共)重合性有機過酸化物としてはt−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート(MEC)を用い、架橋剤としては2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(商品名「パーヘキサ25B」、10時間半減期温度=118℃、日油株式会社製)を用いた。
【0054】
そして、オートクレーブを60〜65℃に昇温し、3時間攪拌することによって、ラジカル重合開始剤及びラジカル(共)重合性有機過酸化物を含む単量体組成物をエチレン−酢酸ビニル共重合体中に含浸させた。
【0055】
その後、オートクレーブを80〜85℃に昇温し、当該温度で7時間保持して重合させ、水洗及び乾燥することにより、(B)ビニル共重合体であるポリ(St/GMA/MEC)共重合体と、(C)有機過酸化物である2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンと、が(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体に含浸されたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物を得た。
【0056】
得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からポリ(St/GMA/MEC)共重合体を酢酸エチルで抽出した。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定の結果、ポリ(St/GMA/MEC)共重合体の重量平均分子量は40万であることがわかった。
【0057】
[比較製造例1−1〜1−3の説明]
比較製造例1−1に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物では、上記実施形態とは異なり、(C)有機過酸化物を添加せず、主鎖同士の架橋反応が行われていない。
【0058】
比較製造例1−2に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物では、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体における酢酸ビニルの含有量が32重量%であり、MFRが30(g/10min)と、製造例1−1〜1−13に比べて高い。
【0059】
比較製造例1−3に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物では、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の代わりに低密度ポリエチレンが用いられている。
【0060】
【表1】
【0061】
表1中の各略称の意味は以下のとおりである。
EVA:エチレン−酢酸ビニル共重合体(各実施例及び各比較例では、適宜、以下の3種類のうちいずれか1つを用いている。)
(I)「ウルトラセン510」、東ソー株式会社製、VAc含有量6%、MFR=2.5(g/10min)
(II)「ウルトラセン537」、東ソー株式会社製、VAc含有量15%、MFR=3.0(g/10min)
(III)「ウルトラセン750」、東ソー株式会社製、VAc含有量32%、MFR=30(g/10min)
LDPE:低密度ポリエチレン(「スミカセンG401」住友化学株式会社製、密度=0.926g/cm
3)
St:スチレン
GMA:メタクリル酸グリシジル
AN:アクリロニトリル
MEC:t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート
R355:ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド
BW:ベンゾイルパーオキサイド(「ナイパーBW」、10時間半減期温度=74℃、日油株式会社製)
25B:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
BuE:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(「パーブチルE」、10時間半減期温度=99℃、日油株式会社製)
【0062】
<(Y)グラフト共重合体>
[(Y)グラフト共重合体の製造]
製造例2−1〜2−13及び比較製造例2−1〜2−3について、表2に示すように、それぞれ製造例1−1〜1−13及び比較製造例1−1〜1−3に係るエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物を用いて(Y)グラフト共重合体を製造した。この一例として、製造例2−1に係る(Y)グラフト共重合体の製造プロセスを以下に示す。なお、他の製造例及び比較製造例に係る(Y)グラフト共重合体も、製造例2−1と同様のプロセスで製造した。
【0063】
[製造例2−1に係る(Y)グラフト共重合体の製造]
まず、製造例1−1で得られたエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物をラボプラストミル一軸押出機(株式会社東洋精機製作所製)で200℃にて溶融混練し、グラフト化反応させることにより主鎖がエチレン−酢酸ビニル共重合体から成り、側鎖がポリ(St/GMA)から成る(Y)グラフト共重合体を得た。
【0064】
得られた(Y)グラフト共重合体のMFR(220℃/10kgf)を測定したところ、0.6(g/10min)であり、グラフト化反応及びエチレン−酢酸ビニル共重合体の架橋反応が進行していることを確認した。また、得られた(Y)グラフト共重合体を走査型電子顕微鏡(「JEOL JSM T300」、日本電子株式会社製)で観察したところ、粒径0.1〜0.2μmの真球状樹脂が均一に分散していることが確認された。
【0065】
【表2】
【0066】
表2から明らかなように、製造例2−1〜2−13では、グラフト化反応及び(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の架橋反応が進行することにより、(Y)グラフト共重合体のMFRが0.1以上1.1以下の値となり、適切な流動性が得られた。
【0067】
これに対し、比較製造例2−1では、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の主鎖同士の架橋反応が進行せず、(Y)グラフト共重合体のMFRが4.5(g/10min)と製造例2−1と比較して高い値を示した。
【0068】
比較製造例2−2では、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体のMFRが高いため得られた(Y)グラフト共重合体のMFRが12.8(g/10min)と製造例2−1と比較して高い値を示した。
【0069】
比較製造例2−3では、(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の代わりに低密度ポリエチレンが用いられているために、主鎖同士の架橋反応が進行しにくく、(Y)グラフト共重合体のMFRが2.6(g/10min)と製造例2−1と比較して高い値を示した。
【0070】
<ABS樹脂組成物>
[ABS樹脂組成物の製造]
実施例1−1〜1−15及び比較例1−1〜1−5について、表3に示す配合割合で、(X)ABS樹脂(商品名「トヨラック700−314」、標準グレード、東レ株式会社製、表3中で「ABS1」と示す)と、に対して、上記の(Y)グラフト共重合体を適宜所定量ドライブレンドし、240℃に設定した二軸押出機にて溶融混練し、ABS樹脂組成物を得た。
【0071】
実施例1−1,1−4〜1−15では、それぞれ製造例2−1〜2−13で得られた(Y)グラフト共重合体の含有量が10重量部((X)を100重量部とした場合)であるABS樹脂組成物を製造した。
【0072】
また、実施例1−2、1−3では、それぞれ製造例2−1で得られた(Y)グラフト共重合体の含有量が1重量部、15重量部((X)を100重量部とした場合)であるABS樹脂組成物を製造した。
【0073】
比較例1−1に係るABS樹脂組成物は、(Y)グラフト共重合体を用いずに、(X)ABS樹脂のみにより製造した。比較例1−2では、製造例2−1で得られた(Y)グラフト共重合体の含有量が30重量部((X)を100重量部とした場合)であるABS樹脂組成物を製造した。比較例1−3〜1−5では、比較製造例2−1〜2−3で得られた(Y)グラフト共重合体の含有量が10重量部((X)を100重量部とした場合)であるABS樹脂組成物を製造した。
【0074】
実施例2−1及び比較例2−1について、表3に示す配合割合で、(X)ABS樹脂(商品名「Absolac300」、標準グレード、Styrolution製、表3中で「ABS2」と示す)に対して、上記の(Y)グラフト共重合体を適宜所定量ドライブレンドし、240℃に設定した二軸押出機にて溶融混練し、ABS樹脂組成物を得た。
【0075】
実施例2−1では、製造例2−1で得られた(Y)グラフト共重合体の含有量が10重量部((X)を100重量部とした場合)であるABS樹脂組成物を製造した。
比較例2−1に係るABS樹脂組成物は、(Y)グラフト共重合体を用いずに、(X)ABS樹脂のみにより製造した。
【0076】
実施例2−1及び比較例2−1について、評価材の作製及び評価方法は、上記の実施例1−1〜1−15及び比較例1−1〜1−5と同様である。
【0077】
[評価材の作製]
実施例1−1〜1−15及び比較例1−1〜1−5で得られたABS樹脂組成物を射出成形機によって成形することにより、実施例1−1〜1−15及び比較例1−1〜1−5で得られた評価材を作製した。射出成形の条件としては、バレル温度を245℃とし、金型温度を80℃とした。
【0078】
[評価方法]
・引張り強さ
JIS K−7113に準拠し、試験速度50mm/minとして行った。引張り強さの目標値は、(X)ABS樹脂の種類に応じて決定され、40MPa以上とした。
【0079】
・曲げ弾性率
JIS K−7203に準拠し、試験速度2mm/minとして行った。曲げ弾性率の目標値は、(X)ABS樹脂の種類に応じて決定され、2.0GPa以上とした。
【0080】
・摺動性評価(スラスト式摩擦摩耗試験)
試験機:オリエンテック株式会社製 摩擦摩耗試験機 EFM−III−F
評価材:内径20mm、外径25.6mmの円筒材
評価材材質:表3に示す組成のABS樹脂組成物
相手材:内径20mm、外径25.6mmの円筒材
相手材材質:(1)炭素鋼(S45C)、(2)ニートABS樹脂
試験条件(相手材材質が(1)の場合):荷重50N、線速度10cm/sec
試験条件(相手材材質が(2)の場合):荷重20N、線速度10cm/sec
試験時間:100分間
本試験では、各相手材材質(1)(2)について、それぞれ各評価材の摩耗量(mg)及び動摩擦係数を求めた。
摩耗量及び動摩擦係数の目標値は、(X)ABS樹脂の種類に応じて決定される。本実施例及び比較例では、相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合において、摩耗量の目標値を5.0mg以下とし、動摩擦係数の目標値を0.25以下とした。また、相手材が(2)ニートABSである場合において、摩耗量の目標値を5.0mg以下とし、動摩擦係数の目標値を0.25以下とした。なお、ここでいうニートABS樹脂とは、グラフト共重合体を添加していないABS樹脂である。
【0081】
・軋み音の評価
得られた評価材を、軋み音評価試験用のプレート(60mm×100mm×2mm)と、擦り合わせる相手材用としてニートABS樹脂プレート(50mm×25mm×2mm)と、に切り出してバリ取りを行った後、温度25℃、湿度50%でそれぞれ12時間状態調整した。また、相手材用のプレート(50mm×25mm×2mm)として、ステンレス製のプレートも準備した。
【0082】
軋み音評価試験用のプレートと、相手材としての各プレートをZiegler社のスティックスリップ測定装置SSP−02に固定し、荷重=40N、速度=1mm/sの条件でそれぞれ擦り合わせた時の軋み音リスク値の測定を行った。なお、軋み音リスク値は、値が小さいほど軋み音発生のリスクが低いことを示す。軋み音リスク値の判断基準は以下に示す通りである。
【0083】
軋み音リスク値1〜3:軋み音発生のリスクが低い
軋み音リスク値4〜5:軋み音発生のリスクがやや高い
軋み音リスク値6〜10:軋み音発生のリスクが高い
【0084】
軋み音リスク値の目標値は、(X)ABS樹脂の種類に応じて決定される。本実施例及び比較例では、相手材が(1)炭素鋼(S45C)の場合における軋み音リスク値の目標値を3以下とし、相手材が(2)ニートABS樹脂である場合における軋み音リスク値の目標値を3以下とした。
【0085】
表3は、実施例1−1〜1−15、実施例2−1及び比較例1−1〜1−5、比較例2−1に係る評価材について、相手材材質に(1)炭素鋼(S45C)及び(2)ニートABS樹脂を用いたときのスラスト式摩擦摩耗試験の摺動性評価及び軋み音評価の結果を示す。
【0086】
【表3】
【0087】
表3中の各略称の意味は以下のとおりである。
ABS1:「トヨラック700−314」、標準グレード、東レ株式会社製
ABS2:「Absolac300」、Styrolution製
【0088】
[評価結果]
(実施例について)
・機械物性
実施例1−1〜1−15及び実施例2−1に係る評価材ではいずれも、引張り強さが40MPa以上の大きい値であり、曲げ弾性率が2.0GPa以上の高い値であった。
【0089】
・摺動性評価
実施例1−1〜1−15及び実施例2−1に係る評価材ではいずれも、相手材を(1)炭素鋼(S45C)とするスラスト式摩擦摩耗試験において、摩耗量が5.0mg以下、動摩擦係数が0.25以下の低い値が得られた。
【0090】
実施例1−1〜1−15及び実施例2−1に係る評価材ではいずれも、相手材を(2)ニートABS樹脂とするスラスト式摩擦摩耗試験においても、摩耗量が5.0mg以下、動摩擦係数が0.25以下の低い値であった。
【0091】
・軋み音評価
実施例1−1〜1−15及び実施例2−1に係る評価材ではいずれも、相手材を(1)炭素鋼(S45C)及び(2)ニートABS樹脂とした場合の摺動時の軋み音リスク値が3以下の小さい値であった。
【0092】
(比較例について)
(X)ABS樹脂のみを用いる比較例1−1では、相手材を(1)炭素鋼(S45C)とするスラスト式摩擦摩耗試験において、摩耗量が5.0(mg)、動摩擦係数が0.25を上回っていた。また、比較例1−1では、相手材を(2)ニートABS樹脂とするスラスト式摩擦摩耗試験において、摩耗量が5.0(mg)、動摩擦係数が0.25を上回っていた。更に、比較例1−1では、相手材を(1)炭素鋼(S45C)及び(2)ニートABS樹脂とした場合の摺動時の軋み音リスク値が3を上回っていた。
【0093】
製造例2−1に係る(Y)グラフト共重合体の含有量が30重量部((X)が100重量部とした場合)である比較例1−2では、引張り強さが40MPa以下及び曲げ弾性率が2.0GPa以下の低い値であった。
【0094】
(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の主鎖同士が架橋していない比較例1−3では、相手材を(1)炭素鋼(S45C)とするスラスト式摩擦摩耗試験において、摩耗量が5.0(mg)を上回っていた。また、比較例1−3では、相手材を(2)ニートABS樹脂とするスラスト式摩擦摩耗試験において、摩耗量が5.0(mg)を上回っていた。
【0095】
(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体における酢酸ビニルの含有量が多く、(Y)グラフト共重合体のMFRが高い値を示した比較例1−4では、相手材を(1)炭素鋼(S45C)とするスラスト式摩擦摩耗試験において、摩耗量が5.0(mg)、動摩擦係数が0.25を上回っていた。また、比較例1−4では、相手材を(2)ニートABS樹脂とするスラスト式摩擦摩耗試験において、摩耗量が5.0(mg)、動摩擦係数が0.25を上回っていた。
【0096】
(A)エチレン−酢酸ビニル共重合体の代わりに低密度ポリエチレンを用いた比較例1−5では、相手材を(2)ニートABS樹脂とした場合の軋み音リスク値が3を上回っていた。
【0097】
(X)ABS樹脂のみを用いる比較例2−1では、相手材を(1)炭素鋼(S45C)とするスラスト式摩擦摩耗試験において、摩耗量が5.0(mg)、動摩擦係数が0.25を上回っていた。また、比較例2−1では、相手材を(2)ニートABS樹脂とするスラスト式摩擦摩耗試験において、摩耗量が5.0(mg)、動摩擦係数が0.25を上回っていた。更に、比較例2−1では、相手材を(1)炭素鋼(S45C)及び(2)ニートABS樹脂とした場合の軋み音リスク値が3を上回っていた。
【0098】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。