(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、工場等では、複数の流体圧シリンダが用いられている。これら流体圧シリンダを駆動させるためのシリンダ駆動装置は、切換弁、チェック弁、絞り弁をそれぞれ複数備えることがある。一般的に、このような弁部材は互いに配管で接続されるが、この場合、配管の数が多いため、部品点数が増加するとともに複数の流体圧シリンダにシリンダ駆動装置を組み込む際の組立作業(配管接続作業等)が煩雑になるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、部品点数を削減することができるとともに組立作業を容易に行うことができるシリンダ駆動用マニホールド装置及びシリンダ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るシリンダ駆動用マニホールド装置は、複数の流体圧シリンダを駆動させるためのシリンダ駆動用マニホールド装置であって、複数の流体圧シリンダの駆動に用いられる流体が流通する複数の孔が形成されたブロック状のマニホールドを備え、前記マニホールドは、各前記流体圧シリンダのピストンによって区画された第1シリンダ室と第2シリンダ室とに交互に流体を供給するための複数の切換弁が装着可能に構成されており、前記マニホールドの複数の前記孔には、複数のチェック弁と複数の絞り弁とが組み込まれていることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、マニホールドの複数の孔に複数のチェック弁が組み込まれているため、切換弁とチェック弁とを互いに繋ぐための配管が不要になる。また、マニホールドの複数の孔に複数の絞り弁が組み込まれているため、切換弁と絞り弁とを互いに繋ぐための配管が不要になる。従って、シリンダ駆動用マニホールド装置の部品点数を削減することができるとともに組立作業を容易に行うことができる。
【0008】
上記のシリンダ駆動用マニホールド装置において、前記マニホールドの複数の前記孔は、各前記切換弁に流体を導く複数の導入ポートと、各前記切換弁から流体が導かれる複数の導出ポートと、各前記流体圧シリンダの前記第1シリンダ室と各前記切換弁とを互いに連通させるための複数の第1接続ポートと、各前記流体圧シリンダの前記第2シリンダ室と各前記切換弁とを互いに連通させるための複数の第2接続ポートと、各前記第1接続ポートと各前記切換弁とを互いに繋ぐ複数の第3接続ポートと、を含み、各前記第3接続ポートには、前記第1接続ポートから前記切換弁に向かう方向の流体の流れを許可するとともに前記切換弁から前記第1接続ポートに向かう方向の流体の流れを阻止する前記チェック弁が設けられ、各前記導出ポートには、前記絞り弁が設けられ、各前記切換弁は、前記導入ポート及び前記第1接続ポートの間、前記第1接続ポート及び前記導出ポートの間、前記導出ポート及び前記第2接続ポートの間、前記第2接続ポート及び前記第3接続ポートの間のそれぞれを連通状態と遮断状態とに切り換え可能であり、前記切換弁の第1位置において、前記導入ポートと前記第1接続ポートとが互いに連通するとともに前記導出ポートと前記第2接続ポートとが互いに連通し、且つ前記第1接続ポートと前記導出ポートとの連通が遮断されるとともに前記第2接続ポートと前記第3接続ポートとの連通が遮断され、前記切換弁の第2位置において、前記第1接続ポートと前記導出ポートとが互いに連通するとともに前記第2接続ポートと前記第3接続ポートとが互いに連通し、且つ前記導入ポートと前記第1接続ポートとの連通が遮断されるとともに前記導出ポートと前記第2接続ポートとの連通が遮断されていてもよい。
【0009】
このような構成によれば、切換弁の第2位置において、流体圧シリンダの第1シリンダ室内の流体が第1接続ポート、第3接続ポート、第2接続ポートを介して第2シリンダ室に向けて供給されると同時に導出ポートに排出される。これにより、第2シリンダ室の流体圧が増加するとともに、第1シリンダ室の流体圧が急速に減少するため、流体圧シリンダを駆動させるための流体消費量を削減することができる。よって、複数の流体圧シリンダの駆動の省エネルギー化を図ることができる。
【0010】
上記のシリンダ駆動用マニホールド装置において、各前記第1接続ポート及び各前記第3接続ポートは、前記第1接続ポートのうち前記第1シリンダ室に連通する配管が接続可能なコネクタが装着可能な開口部から前記チェック弁までの流体流路が直線状に延在するように形成されていてもよい。
【0011】
このような構成によれば、第1接続ポートの開口部からチェック弁までの流体流路が曲がっている場合と比較して流体と流路の壁面との間の摩擦抵抗を小さくすることができる。これにより、第1シリンダ室内の流体を第2シリンダ室内に効率的に導くことができる。
【0012】
上記のシリンダ駆動用マニホールド装置において、各前記絞り弁は、各前記チェック弁よりも前記マニホールドにおける複数の前記切換弁の装着部位に近い箇所に設けられた可変絞り弁であってもよい。
【0013】
このような構成によれば、切換弁から可変絞り弁までの流路長を比較的短くすることができる。すなわち、切換弁から可変絞り弁までの流体の容積を比較的小さくすることができる。そのため、可変絞り弁の絞り開度を変更することにより、第1接続ポートから第3接続ポートに導かれる流体の流量(圧力)を容易に調整することができる。
【0014】
上記のシリンダ駆動用マニホールド装置において、前記マニホールドには、各前記導入ポートに連通して流体供給源からの流体が供給される1つの供給ポートが形成されていてもよい。
【0015】
このような構成によれば、複数の流体圧シリンダを駆動する場合であっても流体供給源とマニホールドとを接続するための配管の数を少なくすることができる。
【0016】
上記のシリンダ駆動用マニホールド装置において、前記マニホールドには、各前記導出ポートに連通して前記マニホールドの外部に流体を排出するための1つの排出ポートが形成され、前記排出ポートには、流体の排出音を低減するための1つのサイレンサが設けられていてもよい。
【0017】
このような構成によれば、複数の流体圧シリンダを駆動する場合であってもサイレンサを1つにすることができる。
【0018】
本発明に係るシリンダ駆動装置は、上述したシリンダ駆動用マニホールド装置と、複数の前記切換弁と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、マニホールドの複数の孔に複数のチェック弁と複数の絞り弁とが組み込まれているため、部品点数を削減することができるとともに組立作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るシリンダ駆動用マニホールド装置及びシリンダ駆動装置について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
【0022】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るシリンダ駆動装置12は、複数の流体圧シリンダ14を駆動させるためのものである。流体圧シリンダ14は、例えば、エアシリンダとして構成されており、シリンダ部16の内部を第1シリンダ室18と第2シリンダ室20とに区画して流体圧の作用によってシリンダ部16の内部を往復摺動可能なピストン22を有する。一端部がピストン22に連結されたピストンロッド24の他端部は、シリンダ部16から外部に延びる。
【0023】
流体圧シリンダ14は、ピストンロッド24の押し出し時(伸長時)に図示しないワークの位置決め等の仕事を行い、ピストンロッド24の引き込み時には仕事をしない。第1シリンダ室18はピストンロッド24と反対側に位置する駆動用圧力室(ヘッド側シリンダ室)であり、第2シリンダ室20はピストンロッド24側に位置する復帰側圧力室(ロッド側シリンダ室)である。
【0024】
図1〜
図6に示すように、シリンダ駆動装置12は、流体供給源26と、シリンダ駆動用マニホールド装置(以下、「マニホールド装置10」という。)と、複数の切換弁28とを備える。流体供給源26は、高圧の流体を供給するものであって、例えば、エアコンプレッサとして構成されている(
図1参照)。
【0025】
マニホールド装置10は、複数の切換弁28が連設可能なブロック状の1つのマニホールド30と、マニホールド30に組み込まれた複数のチェック弁32と複数の絞り弁34とを備える。切換弁28、チェック弁32、絞り弁34のそれぞれは、流体圧シリンダ14と同数設けられている。
図2A及び
図2Bの例では、切換弁28、チェック弁32、絞り弁34がそれぞれ5つずつ設けられているが、これら弁部材及び流体圧シリンダ14の数は任意に変更可能である。
【0026】
図2A〜
図6に示すように、マニホールド30は、例えば、アルミニウム等の金属材料によってブロック状に一体的に構成されている。ただし、マニホールド30の構成材料は、金属材料に限定されず、硬質樹脂等の任意の材料を採用し得る。
【0027】
マニホールド30は、直方体状に構成されている。つまり、マニホールド30は、第1外面30a、第2外面30b、第3外面30c、第4外面30d、第5外面30e、第6外面30fを有する。第1外面30aと第2外面30bとは、マニホールド30の高さ方向(矢印A方向)に互いに離間して位置する。第1外面30aは、マニホールド30を図示しない固定台に設置する際に当該固定台に接触する設置面である。第2外面30bは、第1外面30aの裏側に位置し、複数の切換弁28が装着可能な装着面である。第3外面30cと第4外面30dとは、マニホールド30の長手方向(矢印B方向)に互いに離間して位置する側面である。第5外面30eと第6外面30fとは、マニホールド30の短手方向(矢印C方向)に互いに離間して位置する側面である。
【0028】
図3〜
図6に示すように、マニホールド30には、複数の流体圧シリンダ14の駆動に用いられる流体が流通する複数の孔が形成されている。すなわち、マニホールド30には、1つの供給ポート36、1つの排出ポート38、複数の導入ポート40、複数の第1接続ポート42、複数の第2接続ポート44、複数の第3接続ポート46及び複数の導出ポート48が形成されている。なお、導入ポート40、第1接続ポート42、第2接続ポート44及び第3接続ポート46のそれぞれは、切換弁28と同数設けられている。
【0029】
図3に示すように、供給ポート36は、各導入ポート40に連通して流体供給源26からの流体が供給される孔(通路)である(
図4参照)。供給ポート36は、矢印B方向に沿って直線状に延在した貫通孔であって、第3外面30cと第4外面30dとのそれぞれに開口している。供給ポート36の第3外面30c側の端部には、閉塞部材51が設けられている。供給ポート36の第4外面30d側の開口部には、流体供給源26に接続された供給配管50を接続するためのコネクタ52が装着される(
図1参照)。この場合、供給ポート36の片側の開口部にのみコネクタ52を介して供給配管50が接続されるため、供給ポート36の両側の開口部にコネクタ52を介して供給配管50を接続する場合と比較して部品点数(供給配管50の一部及びコネクタ52)を削減することができる。ただし、流体圧シリンダ14及びシリンダ駆動装置12の仕様に応じて、供給ポート36の両側の開口部にコネクタ52を介して供給配管50を接続して供給ポート36への流体の供給量を増加させるようにしてもよい。
【0030】
排出ポート38は、各導出ポート48に連通してマニホールド30の外部に流体を排出するための孔(通路)である。排出ポート38は、矢印B方向に沿って直線状に延在した貫通孔であって、第3外面30cと第4外面30dとのそれぞれに開口している。排出ポート38の第3外面30c側の端部には、閉塞部材54が設けられている。排出ポート38の第4外面30d側の端部には、流体の排出音(排気音)を低減するための1つのサイレンサ56が設けられている。排出ポート38の第4外面30d側の開口部は、排出口58として機能する(
図1参照)。供給ポート36と排出ポート38とは、矢印C方向に並設されている。ただし、流体圧シリンダ14及びシリンダ駆動装置12の仕様に応じて、閉塞部材54を省略するとともに排出ポート38の両側の開口部にサイレンサ56を設けてもよい。この場合、排出ポート38内の流体をより円滑にマニホールド30の外部に排出することができる。
【0031】
図4に示すように、導入ポート40は、各切換弁28に流体を導くための孔(通路)である。導入ポート40は、供給ポート36から第2外面30bまで矢印A方向に沿って直線状に延在している。
【0032】
第1接続ポート42は、各流体圧シリンダ14の第1シリンダ室18と各切換弁28とを互いに連通させるための孔(通路)である。第1接続ポート42は、第2外面30bと第5外面30eとに開口している。具体的には、第1接続ポート42は、第1孔42a及び第2孔42bを含む。第1孔42aは、第5外面30eから第6外面30fに向かって矢印C方向に沿って直線状にマニホールド30の幅方向中央よりも若干第5外面30e側にずれた位置まで延在している。第1孔42aは、供給ポート36及び排出ポート38よりも第1外面30a側に位置している。第2孔42bは、第1孔42aのうち第6外面30f側の端部から第2外面30bまで矢印A方向に沿って延在している。第2孔42bは、供給ポート36と排出ポート38との間に位置している。第1接続ポート42の第1孔42aにおける第5外面30eに対する開口部には、流体圧シリンダ14の第1シリンダ室18に連通する第1接続配管60が接続可能なコネクタ62(
図1参照)が設けられている。
【0033】
図5に示すように、第2接続ポート44は、各流体圧シリンダ14の第2シリンダ室20と各切換弁28とを互いに連通させるための孔(通路)である。第2接続ポート44は、第3孔44a及び第4孔44bを含む。第3孔44aは、第5外面30eから第6外面30fに向かって矢印C方向に沿って直線状にマニホールド30の幅方向中央よりも若干第6外面30f側にずれた位置まで延在している。
【0034】
第4孔44bは、第3孔44aのうち第6外面30f側の端部から第2外面30bまで矢印A方向に沿って直線状に延在している。第2接続ポート44の第5外面30eに対する開口部は、第1接続ポート42の第5外面30eに対する開口部よりも第2外面30b側(切換弁28側)に位置している。第2接続ポート44の第3孔44aにおける第5外面30eに対する開口部には、流体圧シリンダ14の第2シリンダ室20に連通する第2接続配管64が接続可能なコネクタ66(
図1参照)が設けられている。
【0035】
図1において、第2接続配管64には、タンク68が設けられている。タンク68は、第1シリンダ室18から第2シリンダ室20に向けて供給される流体を蓄積するためのものであって、エアタンクとして構成されている。タンク68を設けることで、第2シリンダ室20の容積を実質的に大きくすることができる。
【0036】
図4に示すように、第3接続ポート46は、各第1接続ポート42と各切換弁28とを互いに繋ぐための孔(通路)である。第3接続ポート46は、第5孔46a及び第6孔46bを含む。第5孔46aは、第1孔42aにおける第6外面30f側の端部から第2外面30bまで矢印C方向に沿って直線状に延在している。第6孔46bは、第5孔46aから第2外面30bまで矢印A方向に沿って直線状に延在している。
【0037】
第3接続ポート46の第5孔46aには、第1接続ポート42の第1孔42aから切換弁28に向かう方向の流体の流れを許可するとともに切換弁28から第1接続ポート42に向かう方向の流体の流れを阻止するチェック弁32が設けられている。第1接続ポート42の第1孔42aと第3接続ポート46の第5孔46aとは、第1孔42aにおける第5外面30eに対する開口部からチェック弁32までの流体流路が矢印C方向に沿って直線状に延在するように形成されている。
【0038】
図6に示すように、導出ポート48は、各切換弁28から流体が導かれる孔(通路)である。導出ポート48は、第2外面30bから排出ポート38まで延在している。具体的には、導出ポート48は、第1導出孔48a、第2導出孔48b、第3導出孔48c及び第4導出孔48dを含む。第1導出孔48aは、第2外面30bから第1外面30aに向かって矢印A方向に沿って直線状に延在している。第2導出孔48bは、第1導出孔48aから第6外面30fまで矢印C方向に沿って直線状に延在している。第2導出孔48bは、第3接続ポート46の第5孔46aよりも第2外面30b側に位置している。
【0039】
第3導出孔48cは、第2外面30bから第2導出孔48bを貫通するように第1外面30aに向かって矢印A方向に沿って直線状に延在している。第3導出孔48cのうち第2導出孔48bよりも第2外面30b側には、例えば、鋼球等で構成された閉塞部材67が気密に設けられている。第4導出孔48dは、第3導出孔48cのうち第1外面30a側の端部から矢印C方向に沿って直線状に延在している。第4導出孔48dは、排出ポート38を構成する壁面と第6外面30fとに開口している。第4導出孔48dのうち第3導出孔48cよりも第6外面30f側には、例えば、鋼球等で構成された閉塞部材69が気密に設けられている。
【0040】
導出ポート48の第2導出孔48bには、絞り弁34が設けられている。絞り弁34は、チェック弁32よりもマニホールド30における複数の切換弁28の装着部位に近い箇所(第2外面30b側)に設けられた可変絞り弁である。すなわち、絞り弁34は、導出ポート48の流路断面積を変更可能に構成されている。ユーザは、マイナスドライバ等の工具によって絞り弁34を回転させて進退させることによって、導出ポート48の流路断面積を変更することができる。
【0041】
図4〜
図6において、マニホールド30のうち複数の切換弁28が装着可能な第2外面30bには、導入ポート40、第1接続ポート42、導出ポート48、第2接続ポート44、第3接続ポート46のそれぞれの開口部が矢印C方向に沿ってこの順番で位置している。
【0042】
図1、
図4及び
図5に示すように、複数の切換弁28は、各流体圧シリンダ14のピストン22によって区画された第1シリンダ室18と第2シリンダ室20とに交互に流体を供給するためのものである。各切換弁28は、いわゆる5ポートのパイロット式の電磁弁であって、弁本体70と、弁本体70に設けられたパイロット弁機構72とを備える。弁本体70は、第1〜第5ポート74a〜74eが形成されたボディ76と、ボディ76の弁室78内に変位可能に配設されたスプール80とを備える。
【0043】
ボディ76には、第1ポート74a、第2ポート74b、第5ポート74e、第3ポート74c、第4ポート74dが矢印C方向に沿ってこの順番で位置している。第1ポート74aは、導入ポート40に連通している。第2ポート74bは、第1接続ポート42の第2孔42bに連通している。第3ポート74cは、第2接続ポート44の第4孔44bに連通している。第4ポート74dは、第3接続ポート46の第6孔46bに連通している。第5ポート74eは、導出ポート48の第1導出孔48aに連通している。
【0044】
スプール80は、第1〜第4大径部82a〜82dを有する。第1大径部82aは、弁室78を構成する壁面に接触することにより第1ポート74aと第2ポート74bとの連通を遮断可能である。第2大径部82bは、弁室78を構成する壁面に接触することにより第2ポート74bと第5ポート74eとの連通を遮断可能である。第3大径部82cは、弁室78を構成する壁面に接触することにより第5ポート74eと第3ポート74cとの連通を遮断可能である。第4大径部82dは、弁室78を構成する壁面に接触することにより第3ポート74cと第4ポート74dとの連通を遮断可能である。
【0045】
つまり、切換弁28は、スプール80を変位させることによって、導入ポート40及び第1接続ポート42の間、第1接続ポート42及び導出ポート48の間、導出ポート48及び第2接続ポート44の間、第2接続ポート44及び第3接続ポート46の間のそれぞれを連通状態と遮断状態とに切り換え可能である。
【0046】
具体的には、
図7〜
図9に示すように、切換弁28の第1位置において、導入ポート40と第1接続ポート42とが互いに連通するとともに導出ポート48と第2接続ポート44とが互いに連通する。また、この第1位置では、第1接続ポート42と導出ポート48との連通が遮断されるとともに第2接続ポート44と第3接続ポート46との連通が遮断される。
【0047】
図1、
図4及び
図5に示すように、切換弁28の第2位置において、第1接続ポート42と導出ポート48とが互いに連通するとともに第2接続ポート44と第3接続ポート46とが互いに連通する。また、この第2位置では、導入ポート40と第1接続ポート42との連通が遮断されるとともに導出ポート48と第2接続ポート44との連通が遮断される。
【0048】
切換弁28は、非通電時にばね84(
図1参照)の付勢力によりが第2位置に保持され、通電時にパイロット弁機構72の作用により第2位置から第1位置に切り換わる。なお、切換弁28に対する通電は、図示しない上位装置であるPLC(Programmable Logic Controller)から切換弁28への通電指令の出力によって行われる。切換弁28に対する非通電は、PLCから切換弁28への非通電指令の出力によって行われる。
【0049】
本実施形態に係るシリンダ駆動装置12は、基本的には以上のように構成されるものであって、次に、その動作(使用方法)について説明する。初期状態において、
図1に示すように、流体圧シリンダ14のピストン22は、ピストンロッド24とは反対側のストロークエンドに位置し、切換弁28は第2位置に位置している。
【0050】
シリンダ駆動装置12において、ピストンロッド24を伸長させる駆動工程を行う場合、
図7に示すように、切換弁28を第2位置から第1位置に切り換える。そうすると、
図3及び
図8において、流体供給源26から供給配管50を介して供給ポート36に導かれた高圧の流体(圧縮空気)は、複数の導入ポート40に分岐する。そして、
図8において、各導入ポート40に分岐した流体は、第1ポート74a、第2ポート74b、第1接続ポート42、第1接続配管60を介して各流体圧シリンダ14の第1シリンダ室18に流入する。これにより、ピストン22がピストンロッド24側に変位してピストンロッド24が伸長する。この際、第2接続ポート44と第3接続ポート46との連通が切換弁28によって遮断されているため、流体供給源26の流体は第1シリンダ室18内に効率的に供給される。
【0051】
また、
図9及び
図10に示すように、各流体圧シリンダ14の第2シリンダ室20内の流体は、第2接続配管64(タンク68)、第2接続ポート44、第3ポート74c、第5ポート74eを介して導出ポート48に導かれて絞り弁34を通った後、排出ポート38で流入する(
図7、
図9及び
図10参照)。そして、複数の導出ポート48から排出ポート38に流入した流体は、サイレンサ56を通り排出口58から大気に排出される(
図3参照)。
【0052】
次いで、ピストンロッド24を引き込む復帰工程を行う場合、
図1に示すように、切換弁28を第1位置から第2位置に切り替える。そうすると、流体供給源26から第1シリンダ室18内への流体の供給が停止される。そして、
図4及び
図6に示すように、第1シリンダ室18内の流体は、第1接続配管60、第1接続ポート42の第1孔42aに導かれて第2孔42bと第3接続ポート46とに分岐する。第2孔42bに流れた流体は、第2ポート74b、第5ポート74eを介して導出ポート48に導かれて絞り弁34を通った後、排出ポート38に流入する。
【0053】
図4及び
図5において、第3接続ポート46に流れた流体は、第4ポート74d、第3ポート74c、第2接続ポート44、第2接続配管64を介して第2シリンダ室20内に流入する。なお、絞り弁34の絞り開度(流路断面積)を変更することにより、第1孔42aから第3接続ポート46に導かれる流体の流量と第1孔42aから第2孔42bに導かれる流体の流量との割合が調整される。第2シリンダ室20内に流体が流入すると、ピストン22がピストンロッド24とは反対側に変位してピストンロッド24が引き込まれる。
【0054】
復帰工程では、第1シリンダ室18内から排出された流体を用いてピストン22を変位させている。そのため、流体供給源26から第2シリンダ室20内に流体を供給する必要がなく、流体供給源26の消費電力及び空気消費量が抑えられるため、シリンダ駆動装置12の省エネルギー化が図られる。
【0055】
次に、本実施形態の効果について以下に説明する。
【0056】
シリンダ駆動装置12を構成するマニホールド装置10は、複数の流体圧シリンダ14を駆動させるためのものである。このマニホールド装置10は、複数の流体圧シリンダ14の駆動に用いられる流体が流通する複数の孔(供給ポート36、排出ポート38、導入ポート40、第1接続ポート42、第2接続ポート44、第3接続ポート46、導出ポート48)が形成されたブロック状のマニホールド30を備える。マニホールド30は、各流体圧シリンダ14のピストン22によって区画された第1シリンダ室18と第2シリンダ室20とに交互に流体を供給するための複数の切換弁28が装着可能に構成されている。マニホールド30の複数の孔には、複数のチェック弁32と複数の絞り弁34とが組み込まれている。
【0057】
このように、マニホールド装置10では、マニホールド30の複数の孔に複数のチェック弁32が組み込まれているため、切換弁28とチェック弁32とを互いに繋ぐための配管が不要になる。また、マニホールド30の複数の孔に複数の絞り弁34が組み込まれているため、切換弁28と絞り弁34とを互いに繋ぐための配管が不要になる。従って、シリンダ駆動用マニホールド装置10の部品点数を削減することができるとともに組立作業を容易に行うことができる。
【0058】
マニホールド30の複数の孔は、各切換弁28に流体を導く複数の導入ポート40と、各切換弁28から流体が導かれる複数の導出ポート48と、各流体圧シリンダ14の第1シリンダ室18と各切換弁28とを互いに連通させるための複数の第1接続ポート42と、各流体圧シリンダ14の第2シリンダ室20と各切換弁28とを互いに連通させるための複数の第2接続ポート44と、各第1接続ポート42と各切換弁28とを互いに繋ぐ複数の第3接続ポート46とを含む。
【0059】
各第3接続ポート46には、第1接続ポート42から切換弁28に向かう方向の流体の流れを許可するとともに切換弁28から第1接続ポート42に向かう方向の流体の流れを阻止するチェック弁32が設けられている。各導出ポート48には、絞り弁34が設けられている。
【0060】
各切換弁28は、導入ポート40及び第1接続ポート42の間、第1接続ポート42及び導出ポート48の間、導出ポート48及び第2接続ポート44の間、第2接続ポート44及び第3接続ポート46の間のそれぞれを連通状態と遮断状態とに切り換え可能である。
【0061】
切換弁28の第1位置において、導入ポート40と第1接続ポート42とが互いに連通するとともに導出ポート48と第2接続ポート44とが互いに連通し、且つ第1接続ポート42と導出ポート48との連通が遮断されるとともに第2接続ポート44と第3接続ポート46との連通が遮断される(
図8参照)。
【0062】
切換弁28の第2位置において、第1接続ポート42と導出ポート48とが互いに連通するとともに第2接続ポート44と第3接続ポート46とが互いに連通し、且つ導入ポート40と第1接続ポート42との連通が遮断されるとともに導出ポート48と第2接続ポート44との連通が遮断される(
図4参照)。
【0063】
この場合、切換弁28の第2位置において、流体圧シリンダ14の第1シリンダ室18内の流体が第1接続ポート42、第3接続ポート46、第2接続ポート44を介して第2シリンダ室20に向けて供給されると同時に導出ポート48に排出される(
図4〜
図6参照)。これにより、第2シリンダ室20の流体圧が増加するとともに、第1シリンダ室18の流体圧が急速に減少するため、流体圧シリンダ14を駆動させるための流体消費量を削減することができる。よって、複数の流体圧シリンダ14の駆動の省エネルギー化を図ることができる。
【0064】
各第1接続ポート42及び各第3接続ポート46は、第1接続ポート42のうち第1シリンダ室18に連通する配管が接続可能なコネクタ62が装着可能な開口部からチェック弁32までの流体流路が直線状に延在するように形成されている。
【0065】
これにより、第1接続ポート42の開口部からチェック弁32までの流体流路が曲がっている場合と比較して流体と流路の壁面との間の摩擦抵抗を小さくすることができる。よって、第1シリンダ室18内の流体を第2シリンダ室20内に効率的に導くことができる。
【0066】
各絞り弁34は、各チェック弁32よりもマニホールド30における複数の切換弁28の装着部位に近い箇所に設けられた可変絞り弁である。そのため、切換弁28から絞り弁34までの流路長を比較的短くすることができる。すなわち、切換弁28から絞り弁34までの流体の容積を比較的小さくすることができる。よって、絞り弁34の絞り開度を変更することにより、第1接続ポート42から第3接続ポート46に導かれる流体の流量(圧力)を容易に調整することができる。
【0067】
マニホールド30には、各導入ポート40に連通して流体供給源26からの流体が供給される1つの供給ポート36が形成されている。これにより、複数の流体圧シリンダ14を駆動する場合であっても流体供給源26とマニホールド30とを接続するための配管の数を少なくすることができる。
【0068】
マニホールド30には、各導出ポート48に連通してマニホールド30の外部に流体を排出するための1つの排出ポート38が形成されている。そして、排出ポート38には、流体の排出音を低減するための1つのサイレンサ56が設けられている。そのため、複数の流体圧シリンダ14を駆動する場合であってもサイレンサ56を1つにすることができる。
【0069】
本実施形態に係るシリンダ駆動用マニホールド装置及びシリンダ駆動装置は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。