(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも特定のセンサ(7)の各々は、反応チャンバ(6)中の増幅、配列決定、及び/又はハイブリダイゼーションの2以上を検出するように構成自在である、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
前記流体輸送システム(5)の少なくとも一部はカートリッジ(1)に設けられ、該カートリッジ(1)は、流体輸送システム(5)、又は該流体輸送システム(5)の一部を、外部流体供給源及び流体排出部に接続するために流体入口及び流体出口を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
前記反応チャンバ(6)の少なくとも幾つか、及び関連するセンサ(7)は、アッセイパネルのセットを実装するように構成され、反応チャンバ(6)、及びパネルセットの与えられたパネルのセンサ(7)は、同じ反応タイプを実装及び検出するように構成される、ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1つに記載の装置。
前記流体輸送システム(5)は、所望の反応チャンバ(6)に流体を方向付けるために、前記コントローラ(4)の制御下で、1以上の流体フロー制御ゲートを含む、ことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1つに記載の装置。
前記流体輸送を制御及び/又は方向付ける工程は、手動で流体輸送制御の工程を行うようにユーザに命令を与えることを含む、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
前記流体輸送を制御及び/又は方向付ける工程は、同じ反応チャンバの中で連続して行われる、増幅、配列決定、及びハイブリダイゼーションの2以上を引き起こすように、流体輸送を制御及び/又は方向付けることを含む、ことを特徴とする請求項12乃至14の何れか1つに記載の方法。
前記センサを使用する工程は、閾値レベルより上で増幅産物の生成を検出することにより増幅を検出することを含む、ことを特徴とする請求項12乃至15の何れか1つに記載の方法。
【背景技術】
【0002】
生物アッセイの発達には重大な躍進があった。そのようなアッセイは、免疫測定、DNA配列決定、分析化学、及び電量分析を含む。このようなアッセイの幾つかは、診断のための機器として開発されてきた。このようなアッセイの多くはかなり複雑であり、操作及び解釈には専門の知識を要する。
【0003】
遺伝学の分野内では、全ゲノム配列決定、デノボ配列決定(de novo sequencing)、遺伝子発現分析、及び一塩基多型(SNP)の検出のための用途がある。このような試験の各々は、試験の異なるレベルの情報及び複雑性を示す。特定の場合、このような試験が1つ以上必要とされ、どのように進行するかは臨床医により決められる。
【0004】
大半の検査のワークフローは3つの主な態様:サンプル調製、検出、及び結果の解釈を有する。遺伝学に関する合成技術による配列決定は、このような態様の各々のために多くの工程を持つ複合プロセスの例である。
【0005】
調製段階は、提供されるサンプルからの鋳型核酸の抽出から始まり、その後、精製、核酸の加工自在な長さへの断片化、鋳型断片のクローン増幅、プライマー/プローブへのハイブリダイゼーション/ライゲーション、及び表面又はビードへのライゲーション/固定が行われる。それ自体の合成工程による配列決定は、鋳型クローンにわたり異なるヌクレオチド型(dNTP)を流すことを必要とし、ここでヌクレオチドは鋳型核酸を組み込まれるようになる。
【0006】
検出段階は、電気泳動、化学発光、及び光学カメラなどの様々な技術を利用し、電極インピーダンス/静電容量の変化の測定、固定されたDNA固有電荷の変化の測定、又は、イオン感受性電界効果トランジスタ(ISFET)によるプロトン濃度の監視を行うこともある。
【0007】
解釈段階は、検出結果からの情報の分析及び抽出である。例えば、これは以下を含むことがある:各断片から検出されたヌクレオチドの組み込みの配列を判定すること;全ゲノムを形成するためにそれらの位置合わせ/再構築を判定すること;又は、それらを既知の配列と比較すること。その結果は、補完製品の処理又は示唆を誘導することもあるが、最終結果は最初のサンプル収集の数日後に出ることもある。
【0008】
上記で確認された検出工程のうち、最も興味を引くものの1つは、ISFET及び他の化学FET(ChemFET)の使用を含む。DNA及びDNA断片(RNA及びRNAの断片も同様に)を配列決定するためのISFETの使用は、例えばWO03/073088に記載される。この成果は、反応の副産物としてイオン濃度中の変動を測定するためにISFETを使用することにより、DNA鎖の拡張中のヌクレオチド(A、T、C、G)の組み込みを監視することができることを実証した。ヌクレオチドはDNA鎖を拡張する場合、加水分解され且つH+イオンを生成するピロリン酸塩を放出して、pHを下げる。同様の方法で、ISFETはハイブリダイゼーションを検出するためにも使用され得、それにより、ハイブリダイゼーションプローブはDNA鎖の上の整合配列に付く。
【0009】
非常に大規模なFETアレイを用いたこの方法の拡張は、US2009/0026082に記載されており、大規模並列分析を提供する。平行して多数のDNA断片を分析し、次に位置合わせを行い、そしてその結果を共に「合わせる(stitching)」ことにより、DNAの長いセクションは比較的短時間で配列決定されることがある。
【0010】
ISFETベースのアッセイの場合、1つ又は一連の予め定めたアッセイを行うためにISFETチップが設計及び製造される。例えば、ISFETチップは、DNAの配列における一連のSNPの存在を検出するように構成される。サンプルは先ず、実験台で調製される。これは、細胞以外の材料を取り除くためにサンプルを豊富化すること(enriching)、DNAを放出するために豊富化された細胞を溶解すること、及び1以上のDNA配列上で増幅を行なうことを含む場合がある。このプロセスの間、又はその後に、増幅したDNA配列はマイクロビードに付けられる。その後、これらのビードはチップに導入される。これは、例えば各ウェルに1つのビードを導入するために磁気ビーズを用いて、個々のISFETの上に形成されるウェルにビーズを置くことを含む場合がある。その後、配列決定が行なわれる場合、チップは機器に挿入され得る。この機器により、異なるヌクレオチド(A、T、C、G)が、各ヌクレオチドのフロー間の洗浄工程を伴って、チップを通って循環的に流される。鎖の拡張を表わす電気信号が検出される。機器により提供される結果は、各ISFETの鎖拡張配列である。その後、このデータは、それらの普及による結果を量るために、例えば解析器に接続されたデスクトップPCを用いて分析される。高い普及を持つ配列は有効な配列として記録され、一方で比較的低い普及を持つ配列はノイズによるものであると記録される。その後、有効な配列は、分析されたサンプル中のSNP(複数)の存在の有無を判定するために使用されてもよい。もちろん、他のワークフロー及び分析手順も可能である。
【0011】
このような本質的に研究所に結びついたアッセイのプロセスに加えて、ポイントオブケアのアッセイ手順及びシステムが開発されてきた。例えば、DNA Electronics(London, UK)は、上述のものなどの手順が、ポイントオブケア又はポイントオブスケールで本質的に当業者でない人々により行われるのを可能にする、遺伝子検査キットを開発した。多くの場合、ISFETベースのアッセイを用いた試験は、当業者により辿られるワークフローにおいてほんの1つの部分しか形成しない。ISFETベースのアッセイの結果に基づき、決定は更なる検査に関して行われる必要があり、このような試験は、例えば更なるISFETベースのアッセイを用いて行われる必要がある。
【0012】
WO2011/034790とUS2012/0109531は、ある程度の自動化及び柔軟性を提供する、典型的な生物学的且つ生理学的なアッセイのスキーム及び機器を提示する。しかし、それらは核酸の取り扱いに直接適用することはできない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<説明>
ほんの一例として、試験要素(又は「細胞」)の集積アレイが様々なアッセイを行うように再構成され、且つ中間の結果に依存してアッセイの実行中に再構成も行われる、システム及びプロセスが提案される。言い換えれば、中間の決定点はアッセイに従うワークフローに導入され、この決定点の各々で行われる決定は、ワークフローがその点からどのように進行するかを判定し、従って試験要素が構成される。そのような構成は、例えば、適切なプライマー及びハイブリダイゼーションプローブを導入するため、及び/又は、既に置かれたプライマー又はハイブリダイゼーションプローブを活性化するために、試験要素への流体の流れを制御することを含む場合がある。
【0018】
典型的なシステムにおいて、チップは、例えばISFETといった試験要素の集積アレイを含み、試験要素の異なる群は異なるタスクを行うように配置される。例えば、ISFETの第1の群は、試験領域内に結合されたハイブリダイゼーションプローブに対する、分析されているDNAの配列の類似性を測定するために、ハイブリダイゼーションを行なうように配置されてもよい。ISFETの更なる群は、分析中のDNAの異なるセクションそれぞれにおいて配列決定を行うように配置されてもよい。ワークフローに組み込まれる決定点は、遺伝子型決定プロセスの結果に基づきDNAのどのセクションを配列決定するかに関する決定を行う。
【0019】
例示的な状況において、病院に収容される患者は、外傷、心臓発作、局部感染、又は敗血症を示し得る症状を示す。医師は、これらの中でどれが正確であるかを決定し、適切な処置を施さねばならない。
図1を参照すると、水平軸は、特定のサンプル上で結果として生じるワークフローに関する例示的なスケジュールを表わす。血液サンプルは、ISFETベースのアッセイチップを組み込む試験機器のサンプル進入ポートに導入される。この機器は、受け取ったサンプルをチップの適切な部分に方向付けるために、微小流体チャネル及び流体ゲートと共に、ポンプ及びバルブを含むことがある。
【0020】
ワークフローの第1段階として、敗血症、局部感染、外傷、又は急性心筋梗塞(AMI)などの疾病の間で診断が行われる。この例における結果は敗血症の診断である。
【0021】
ここでは、感染症の原因である病原体のファミリーを識別すること(敗血症種及び耐性遺伝子を識別すること)が望ましい。これは、10のPCRパネルのセットに抽出されたDNAを適用することにより実行される。これらは敗血症診断の結果として選択される。幾つかの実施形態において、利用可能なモジュールの全てが1つのチップに集積され、一方で他の実施形態において、モジュールは異なるチップに設けられる。如何なる場合も、選択されたモジュールの10のPCRパネルの各々は、病原体の異なるファミリーに相当する、異なる標的化されたDNA配列上でPCRを行なうように構成される。各PCRパネルは、各々がISFETセンサ上に位置する1以上のウェルを含むことがある。増幅プライマーが、各パネルに関する異なる増幅プライマーと共に、各ウェルの土台又は溶液中に固定されてもよい。流体制御システムは、全部で4つのヌクレオチド(A、T、C、G)を包含する流体を、パネルの各々を通って流すように操作される。加熱及び温度感知要素が、PCR増幅が行われるのを可能にするようにシステムに組み込まれる。示される例において、陽性の結果がPanel3により提供され(即ち、増幅産物が、幾つかの閾値レベルより上で、Panel3によってのみ生成される)、それにより病原体のファミリーを識別する。代替的な配置において、増幅プライマーは、ウェル内に固定されるのではなく、例えばヌクレオチドと共に、流体制御システムを介してパネルに導入されてもよい。
【0022】
代替的な構造において、一般的なモジュールは、PCRアッセイの異なるセットを行うように利用可能な複数のモジュールを持つのではなく且つトリアージ診断に基づきこれらの1つを選択するのではなく、これらを介して特異的な増幅プライマーを流すことにより「プログラム」されるパネルと共に設けられてもよく、その結果、パネル内(又はむしろパネルの壁内)での所望のプライマーの固定をもたらす。
【0023】
ワークフローの第3の段階は、識別されたファミリーの中から病原体の特定の種を識別することである。この実施形態において、これは、6つの異なるモジュールにより行われる一連のハイブリダイゼーション検査を用いるが、これは増幅又は配列決定の検出により代替的に行われ、そしてハイブリダイゼーション段階は省略されることもある。各モジュールは、各々がISFET上に位置する1以上のウェルを含む。ハイブリダイゼーションプローブは、異なるモジュールのために異なるプローブと共に、各ウェルの土台に固定される。サンプルは調製後、流体制御システムの適切な操作によりモジュールに運搬される。加熱及び温度感知要素が、ハイブリダイゼーションサイクルが繰り返し行われるのを可能にするようにシステムに組み込まれる。この例において、陽性の結果は、種の2つの試験(Species 2 test)によってのみ生成される。代替的な配置において、ハイブリダイゼーションプローブは、流体制御システムを用いてモジュールに運搬されてもよい。
【0024】
PCRモジュールのように、ハイブリダイゼーションモジュールは、より多くの利用可能なモジュールから選択されてもよく、又は、適切なウェルに適切なハイブリダイゼーションプライマーを固定するように一般的なモジュールのセットをプログラムすることにより得られてもよく、或いは、予めプログラムされてもよい。
【0025】
更に第2(増幅/PCR)段階及び第3(ハイブリダイゼーション)段階を考慮すると、記載されるように、これらは別々の増幅及びハイブリダイゼーションモジュールにより行われてもよい。しかし、代替的な方法は、同じモジュール内でこれら段階を行なうことである。これは、例えば与えられたモジュール内で増幅を実行及び検出して、その後、ハイブリダイゼーションが実行及び検出されるのを可能にするようにモジュール内で既に固定されたハイブリダイゼーションプライマーを活性化又は利用することにより、達成され得る。活性化プロセスは、基礎をなすハイブリダイゼーションプライマーを晒すためにモジュールのウェル内のワックスの層を加熱及び取り除くことを含み、又は、ハイブリダイゼーションは、ハイブリダイゼーションを容易にするように温度を調節することにより活性化され、或いは、ハイブリダイゼーションは増幅段階中に生じてもよい。
【0026】
ワークフローの第4及び最終段階は、再度チップの適切なモジュールを用いて、DNAの関連するセクションを随意に配列決定することである。配列決定は先ず、配列決定されるDNAセグメントが増幅されたことを要求する。増幅は、例えばPCRを用いて、配列決定チャンバと流体連通下にあるプレチャンバにおいて実行され得る。代替的に、増幅は配列決定チャンバ自体において実行されてもよい。増幅は、ワークフローの第2段階に関して上述されるように進行する。配列決定チャンバは各ISFET上で1以上のウェルを包含し、配列決定プライマーはウェルの土台に固定される。再度、流体制御システムは、調製した血液サンプルをモジュールに流すために操作される。その後、ヌクレオチド(A、T、C、G)は、モジュールを通って順に流される。DNAの異なるセグメントの配列決定は平行して行われてもよく、結果のデータは位置合わせされ且つ共に合わせられる。
【0027】
幾つかの実施形態において、配列決定は、第2段階の増幅及び第3段階のハイブリダイゼーションを行うために使用される同じモジュール内で行われてもよい。
【0028】
その後、検出された配列は、データベースに加えられ、病原体が分かっているか否かを判定するために、既知の病原体と比較され得る。処置のための推奨は最終的な完了後に与えられてもよく、それは、薬理遺伝子の関係を持つ薬物の使用を含み得る。オーダーメイドの薬物に関して遺伝子型決定試験を行なうための選択肢が利用可能である。
【0029】
各段階でのサンプルの識別は、複数の更なる同一性などを持つ別のアッセイに通じる。ワークフローにおける各段階の後、後のワークフロー決定が下される。中間結果も、処置決定を通知するために使用され得る。例えば、第1段階の結果が敗血症を示す場合、そのための予備的処置が始まる場合がある。第2段階アッセイは、どの形態の敗血症が存在するか(ウィルス、細菌、菌類など)を識別する。第2段階が細菌の存在を識別する場合、広スペクトル抗生物質による処置が推奨される場合がある。ワークフローが進行するにつれ、更なる中間処置の決定が下され得る。
【0030】
更に、特定のアッセイ段階中に、アッセイに関する決定が下されるかもしれないことが認識される。例えば、第4段階での核酸の配列決定中、更なる識別のために配列決定を継続する、配列決定を中止する、又は核酸を特定の順序で流すのかを判定するために、各塩基の識別が使用されることがある。
【0031】
増幅を行なうモジュールの場合、反応容積全てをモニタリングすることにより、増幅を示さない任意のチャンバについて任意の下流プロセスを切る又は無視することが可能となる。増幅を示すそのようなチャンバに関して、前記プロセスの次の段階に進むか否かに関する決定が必要とされる。例えば、耐性遺伝子が識別される場合、これにより、この耐性遺伝子に特異的な処置、及び故にサンプルがこの段階で終了するワークフローを調整することを、医師に推奨するのに十分な情報が提供される。しかし、結果として生じる増幅が未だに不明瞭であり、又は更なる分析を要する場合、ハイブリダイゼーション及び配列決定に進行するための決定が行われ得る。増幅モードと同様に、このようなモードのモニタリングにより、進行するか否か、下流事象のモニタリングを継続するか否かの決定が行われることを可能にし、決定は完全な試験の中止、及び処置の推奨を行うことを含む。
【0032】
診断されている外傷又はAMIの何れかの場合、例えば、ワルファリン又はPLAVIXなど薬物に関する遺伝子型を確立する、薬物相互作用情報のために患者を選別するための機会が存在する。このような場合の両方において、遺伝子型決定は、トリアージ(量の患者の細胞及びDNAを包含する)中に集めたサンプル上で行われ得る。遺伝子型決定は、システムの第1のモダリティ、即ちPCR又は等温増幅及び検出を用いて判定され得る。この段階を飛び越えて進行する必要は恐らくない。
【0033】
図2は、上述のプロセスに使用するのに適切な、ISFETベースのチップのモジュールを示す。このモジュールは、少なくともその物理的構造に関して、(例えば、
図1を参照した上記の議論により例証されるような)機器により行われる異なるアッセイのタイプ、例えば、増幅、ハイブリダイゼーション、及び配列決定の全てに一般的な場合がある。場合によっては、このモジュールは、増幅、配列決定、及びハイブリダイゼーションの2以上を行なうように構成されてもよい。図の左側には、後の遺伝子分析のためにサンプルを調製するように構成された、「前置増幅」段階が示される。この段階は、例えば、血液サンプル中の細胞を単離して、細胞からDNAを抽出する場合がある。その後、前置増幅段階は、各々ISFETセンサに供される5つのウェルを含む反応チャンバに、豊富化されたサンプルを供給する。図の右手側の挿入は、センサの列の1つを介する側断面図を示す。反応チャンバの各々は、侵入及び放出の流体ポート、及び多くの流体を保持する中央空間を含む。ISFETセンサはウェルの土台上に配置される。加えて、モジュールは、チャンバ中の流体を加熱するためにヒータ及び温度センサを含む場合がある。
【0034】
行なわれるアッセイに依存して、増幅及び配列決定のプライマー、並びにハイブリダイゼーションプローブは、モジュールのウェル内に固定されてもよい。特定の例として、増幅(PCR)、その後配列決定を行なうようにモジュールが構成される場合が考慮され得る。この場合、抽出され且つ断片化されたDNAを包含する、調製されたサンプルは、増幅プライマー及びヌクレオチドと共にモジュールのチャンバに流されてもよい。その後、PCR増幅を行なうために温度が循環される。配列決定プライマーは各ウェル内に固定される。その後、配列決定は増幅産物上で行われ、結果はISFETから読み取られる。
【0035】
マルチモードのワークフローを達成する1つの方法は、特定のチップに各モードを割り当てること、及び、各チップをモード間で切り換えることが可能な能力又は要件を持たずにカートリッジが必要なモード全てを持つように、カートリッジにチップを組み込むことである。この設計は、熱の適合性及び機能化などの予期される障害を克服するが、流体の取り扱い及び制御などのためにより複雑な設計をもたらす。
【0036】
代替的な方法において、試験カートリッジのポートフォリオが利用可能であり、その各々が特異的な機能を持ち又は標的疾患に利用可能であり、これらは、初期の工程の結果に依存して選択され得る。下流試験(カートリッジ)の選択は、自動プロセスであるか、又は、ユーザ介入(例えば、共に2つのカートリッジに栓をすること)を含むプロセスであり得る。全てがサンプル豊富化を含むトリアージシステムの出発点を使用する、幾つかの例は以下の通りである:
外傷:外傷の診断時に、適切な下流試験は、薬物相互作用情報のために患者の薬理ゲノミクス特性を測定することであり得る。外傷の診断を行うために使用されるトリアージカートリッジは、効果的にサンプル調製モジュールとなり、且つ、実行される後の遺伝子型決定反応のために適切な外傷のカートリッジに栓をされ得る/差し込まれ得る。
敗血症:適切な下流試験は、特異的な種又は株を識別すること、個体に存在する任意の耐性遺伝子を識別することでも有り得る。トリアージ構成要素から豊富化されたサンプルは、敗血症のカートリッジに栓をされ得、下流分析が後続する。処方された処置が考慮すべき遺伝因子を持つ可能性があり、個体における遺伝子型に対する選択肢がある。再度、何れかのトリアージサンプルが、遺伝子型決定試験(又は、これらは独立型の迅速試験であり得る)を実行するために使用され得る。
局部感染:適切な試験は、試験の適切なパネルを選択するために、医師の観察を含む、提供される他の情報を使用して判定される。感染の部位及び/又は発作の原因が、行われる試験に影響を及ぼすので、(病院環境内の全ての潜在的な感染を包含するための1つのカートリッジを有することに対して)利用可能な多くの異なるカートリッジを描写することが合理的である。システムを最適化すると、様々な因子及びデータにより影響を受ける、関連する試験カートリッジに栓をする必要性がある。
【0037】
ここで
図3を考慮すると、これは、DNAのサンプルを分析するためのプロセスの例を示す。チップ内の既知の領域/ウェルに特異的なプライマーを堆積することにより、チップに機能性が割り当てられたと仮定される。先天的に何が堆積されたかが知られていれば、プライマーに使用される配列に基づいて何が増幅されたのかを判定することができる。この例において、増幅の初期のモードで使用されるプライマーは、サンプルから対応する配列により修飾され、ワークフローにおいて後に配列決定される生成物を生成するために最終的に使用される。
【0038】
サンプルは反応チャンバに侵入し、増幅が生じ(リアルタイム検出により)、プリントされたプライマーは標的配列を反映するために修飾される。増幅モードが完了した後、溶液相プライマーは洗い流され、配列決定プライマーにより置換される。ハイブリダイゼーション事象を検出することが可能なことで、付加的な配列情報を提供することができる。その後、配列決定は、反応チャンバにわたり1以上のヌクレオチドを流した後に行われ得る。
【0039】
このシステムは、他の方法と比較してあまり精巧でない流体の取り扱い及び制御システムを必要とするが、異なるモードが互いに追従するのを可能にするように追加の機械的作動を要求する場合がある。
【0040】
原則として、このシステムは、増幅モードを行なうための性能を持ち、生じる任意の増幅を検出し、そして次の段階に進むか否かを決定することができる。増幅が無い例において、システムは、任意の下流反応をモニタリングしないこと、又は任意の更なる反応が生じるのを止めることを決定することができる。同様に、後のモードについて、ハイブリダイゼーションを検出しないことで、下流の配列決定モードを切ることができ、一方でハイブリダイゼーションの検出は、進行するか否かの決定を可能にすることができる。
【0041】
上述のチップ/モジュールを含む、又はそれらと共に使用される機器は、機器の構成要素をインターフェース接続するための操作システムを含み、機器を構成又は再構成するためにデータを受け取るように配置される。特定の実施形態において、この機器は、サンプルに関する生体データを表示するリアルタイムデータを受け取るように配置され、操作システムは、サンプルの試験のワークフローを再構成するか、又は機器の構成要素を再プログラム化することができる。この意味では、最適な方法で機器を操作するための、機器に対する試験データのフィードバックが存在する。特定の実施形態において、機器は、外部ソース、又は操作システム上で実行するアプリケーションからデータを受け取るように配置され、操作システムは、カスタマイズされた方法で動物実験を実行するように機器を構成することができる。
【0042】
図4は、上述のようなチップを含む機器を非常に高レベルで示し、操作システムとアプリケーション層(1以上のアプリケーションを含む)の両方を含む。前記機器は、様々なソースから、自動化され得る入力、又は手動入力を受け取る。
図4は3つのソース:アプリケーション医療データベース、病院規則、及び臨床医による入力を示唆する。前記機器は、出力として診断を、及び/又は推奨される処置レジメンを提供する。
【0043】
生物学的な機器の物理構成要素は、使用されるアッセイのタイプ及び技術に依存する。
図5は、好ましい実施形態に従った機器の概念的要素のブロック図である。
・サンプル調製デバイス;
・カートリッジは、検出される複合体を作り出すための生物−化学反応のためにサンプルと試薬を組み合わせる手段を含む;
・微小流体ネットワークは、制御された方法で構成要素から構成要素へとサンプルと試薬が方向付けられるのを確実にする;
・試薬は、パイピングとポンプに接続された機器内に保存され、そこではバルブ及びソレノイドが試薬の流れを制御する;
・カートリッジに近接した、又はそれに集積されるセンサ、又はセンサのアレイは、複合体の特性から信号を検出する。
・インターフェース回路が、センサから電気信号を読み取るためにセンサに繋げられる。
・以下を含む制御盤
・信号プロセッサ
・CPU/コントローラ
・メモリ
・OS
・アプリケーション層
【0044】
OSの特定の実施形態がELISAなどの適度に複雑なアッセイと共に使用される場合がある一方で、より好ましい実施形態が、より長くて柔軟なワークフローにより複雑な機器とともに使用され、それはデータのより深い深度をもたらす。遺伝子シーケンサなどの複雑な機器及びアッセイは、OSにフィードバックされ得る大量のデータストリームを提供し、そしてワークフローを変更又は異なるアッセイを選択するための多くの決定点を提供する。
【0045】
例示的な機器において:
・アッセイはDNA配列決定である;
・センサカートリッジは大量のISFETのアレイを持つ半導体チップである;
・サンプル調製は、鋳型上でエマルジョンPCRを含み、ISFETに近接したウェルに設けられる別個のビードに結合する;
・試薬dATP、dTTP、dCTP、dGTP、及び洗浄剤(wash)は、ポンプによりウェルに提供される;
・ISFETシグナルは、アナログ・デジタル変換器(ADC)の多重アレイに対し一度に1列ずつ読み取られる;
・シグナルプロセッサは、大量のメモリに保存されるヌクレオチド組み込み事象をフィルタ処理し、且つ決定する。
【0046】
操作システムはこのような構成要素とワークフローを制御する。
【0047】
前記機器の好ましい実施形態は、血液、唾液、排便、粘液など、患者からの特定の生体サンプルを受けるように設計されてもよい。
【0048】
操作システムは、機器のハードウェアと、機器を実行する1セットの命令を包含するアプリケーション層との間にインターフェースを設ける。OSは、BIOS(基本入出力システム)とパーソナルコンピュータの従来の操作システムとの組み合わせに類似すると考慮され得る。OSは、機器の構成要素をオン/オフに切り換え、又はそれらの特性を設定できるように、機器の構成要素へのアクセス、及びそのコントロールを持つ。OSは、どのようにして命令が、機器に影響を及ぼすか、及び高レベルの命令を構成要素の低レベルの制御に翻訳する原因となるのかを画定する。OSはまた、例えば機器の順序が論理的であり又は要求されるパラメータが設計の制限内にあることを確実にすることにより、機器を保護するように設計されてもよい。
【0049】
OSはハードウェア及びソフトウェアの態様を含む。ハードウェアは、プロセッサ、メモリ、データバス、及び構成要素ドライバを持つ制御盤を含む場合がある。制御盤は、感知チップなどの機器の更なるハードウェア要素に電気接続され、又は、そのような更なるハードウェア要素と制御盤を共有する場合がある。ソフトウェアの態様は、不揮発性メモリへと、好ましくは制御盤上でコード化され、OSハードウェアの操作を決定する。様々なOSシステムが、機器使用を制御するためのシグナル及び命令を受け取り且つ処理するための周知の構造を使用して設計される一方で、例示的な実施形態は
図6に示され且つ以下に記載される。
【0050】
OSコードでプログラムされた不揮発性メモリは、OSファームウェア(30)を形成する。このコードがCPU(31)により読まれる場合、制御盤は機器を操作することができる。カスタマイズされた方法で機器を制御するための機械命令を与えるために、1以上のアプリケーションがメモリ(32)に保存される場合がある。CPUは、機器を制御するための命令を作成するためにOSにより解釈される、アプリケーションメモリ(32)からコードを読み取る。CPUは、データバス(36)上の外部ソースからデータを受け取る。データは、生体サンプルに関するセンサデータ、機器ハードウェアに関するデータ、及び制御フィードバックデータであり得る。このデータは、制御チップがアナログ・デジタル変換器も含む場合には、デジタルデータ又はアナログデータであり得る。データはデータメモリ(33)に保存されてもよい。プロセッサ(38)は、構成要素を操作するための信号を提供する、複数のドライバ(34)に繋げられる。例えば、ドライバは、試薬バルブを開放又は閉鎖するか(デジタル制御)、又はヒータの温度を制御(アナログ又はPWM制御)する場合がある。制御盤はまた、外部デバイスと通信するためのトランシーバ及びデータポートを含む場合がある。
【0051】
コンピュータ科学用語において、OSは、アプリケーションから名づけられる場合があるコードブロックを提供する、Dynamically Linked Libraries(DLL)を含む場合がある。それらは、共有され且つ再使用可能なリソースである。DLLの利点は、共通して用いられるコードの提供、各アプリケーションによる再プログラムの保存、及び特定の機能性が強健であることの確保である。例えば、遺伝子機器において、DLLはカートリッジ上でサンプルのPCRを実施する場合がある。擬似コードにおいて、アプリケーションはPCR(number_cycles)を単に命令する場合がある。OSは、変性温度、ハイブリダイゼーション温度、及び工程間の適切な遅延による拡張温度にカートリッジの温度を設定するようにヒータを起動するコードのセットを実装し、且つ、パラメータ「number_cycles」に基づいてこのサイクルを繰り返す。前記アプリケーションは、このコードの書き換えから保存され、温度は設計の制限を超過しない。
【0052】
図6の制御盤と同等に、単一の大きな集積半導体チップは、メモリ、プロセッサ、ドライバ、及びデータ入力/出力接続を組み込んで作成されてもよい。
【0053】
代替的に、前記機器はデータポートを有してもよく、該データポートは、機器の構成要素に繋げられ、且つ、制御シグナルを受信してデータポートを介しデータをリモートコンピュータに送信するように配置される。リモートコンピュータは、プロセッサ及びOSを含み、そして、機器からデータを受け取り、アプリケーションを実行し、且つ機器に制御シグナルを送信するように配置される。このシナリオにおいて、機器のシステムは、機器の構成要素及びリモートコンピュータを含む。
【0054】
概念的に、前記命令は、別個のアプリケーション層によりOSに提供されるか、又は、制御チップのメモリ部分において保持される場合がある。本発明は、OSに命令を与える構造により制限されると意図されていない。
【0055】
本明細書で提示される方法は、試験を要求するユーザの行動と試験結果の生成との間でシステムが構成及び/又は再構成される、異なるレベルを考慮する。必要とされる試験及び受け取られるデータに依存して、操作システムは、ハードウェア構成要素のワークフロー又は操作に対して変更を行う場合がある。前記機器は故に、各試験を最適化することができ、2つの試験が機器を実行しないことが考慮される。
【0056】
単一の機器がシステムと称される場合、機器及び周辺ハードウェアの群は、スーパーシステム(super−system)と呼ばれる場合がある。機器の構成要素はサブシステムと呼ばれる場合がある。周辺ハードウェアの例は、サンプル調製デバイス、バイオインフォマティクスコンピュータなどを含む。機器の構成要素の例は、試薬送達ユニット、センサ、カートリッジなどを含む。
【0057】
スーパーシステムのレベルで、機器及び/又は周辺機器の組み合わせは、処理用の複数の機器又は周辺機器に流すためにサンプルが配置されるように、接続自在である。例えば、OSは、サンプルのタイプ(血液、唾液など)に関するデータを受け取り、特定のサンプル調製デバイスを選択し、条件を実行する場合がある。別の例において、OSは、より迅速でより完全な結果を得るために、複数の機器上でサンプルを平行して試験することを決定する場合がある。
【0058】
前記システムのレベルで、OSは、試験の形態、又は特定のタイプの試験カートリッジ(I相又はII相試験のためのルートと共に、敗血症/腫瘍(onco)のチップを選択する)を入力する場合がある。
【0059】
サブシステムのレベルで、チップ上の回路は、センサ、ヒータ、ノイズフィルタ、及びデータ収集要素をオン又はオフに切り換えるように構成される場合がある。
【0060】
再構成可能性の更なる例は以下に提供される。
【0061】
スーパーシステムのレベルで、OSは、過去の試験データを受け取り、風土的な院内感染があることを判定して、感染症アッセイを用いて全てのサンプル上でスクリーニングを行うように全ての機器を整える。OSは、ユーザにより選択されたアッセイに加えてこのようなアッセイを選択する。OSは、全ての患者が同じ局部疾患を持つと仮定することにより、及び、一旦OAが感染の存在を確認した場合に深いDNA配列決定を止めることにより、後の試験のために感染変異の判定を通常は必要とする、ワークフローを変更する場合がある。その後OSは、病院又は政府の健康機関に風土的な感染症を報告するために、外部デバイスと通信することができる。
【0062】
センサチップのレベルで、データ処理は、高いバックグラウンドノイズを示唆する初期のセンサシグナルの質に基づき異なる回路パラメータを修正又は選択することにより、改善され得る。OSは、後日に全体のデータセットを捨てる必要があるのではなく、リアルタイムのシグナルの改善を可能にするために、特定のノイズを拒絶するフィルタを介して生センサシグナルを再度方向付けることができる。
【0063】
GSICレベルで、OSは、それらの反応においてDNAを十分に増幅するために1以上のGSICを方向付けることができる。各GSICは、ヒータ温度、基準電極電圧、センサ電圧を設定し、準拠するのに必要とされるように試薬を受ける。OSが特定のウェルにおける乏しいコピー数を示すセンサデータを受け取る場合、OSは、各GSICに、そのウェルの中でDNAを更に増幅するよう再度命令することができる。
【0064】
機器の構成要素のOS制御は、単純又は複雑なレベルであるかもしれない。例えば、高レベルで、OSは、機能を行なう又は設定を達成することを構成要素に単に命令することができ、ここで、ローカル回路はコンプライアンスを保証する。複雑なレベルで、OSは、機能又は設定を達成するように構成要素を絶えずモニタリング及び制御することができる。
【0065】
試験中に機器の構成要素又はワークフローの再構築を提供するために、OSは、機器からリアルタイムのデータを受け取るように配置される。データは、生体サンプルに関するセンサデータであり得る。データは、試験実行中にセンサにより生成されるという意味ではリアルタイムであり、与えられた瞬間に生成されるデータに限定されない。
【0066】
CPUは、事象又は重要なシグナルを捕捉するための専用ポートを持つ場合がある。これにより、OSは、事象駆動され(event driven)、事象が生じるにつれて及び事象が生じる場合に機器を再構成することに関する決定を行うことが可能となる。代替的に、CPUは、決定点がワークフローにおいて到達される場合などで、OS又はアプリケーションにより判定される点でメモリ(33)からデータを取り込む場合がある。後者は、大きなデータのストリームが存在し、且つOSが決定を行うのに最良な時間を判定する場合に適切である。例えば、遺伝子アッセイにより、OSは、事象が受け取られて、配列決定を行うかどうかを決定する前に遺伝子特異的増幅が終了したことを示すまで、待機する場合がある。その後OSは、いつ配列決定を止めるかを決定するために、特定のウェルの配列についてメモリからデータを定期的に回収する場合がある。
【0067】
アプリケーション層は、OS層とインターフェース接続するように設けられてもよい。特異的な方法で機器を操作するようOSに機械命令を与えるために、1以上のアプリケーションがメモリにロードされる場合がある。アプリケーションは、操作システムにより読み取り自在な1セットの機械命令である。アプリケーションは、機器により予めインストールされるか、又はユーザによりロードされてもよい。このプログラムは、特異的なワークフロー(1つのプロセスの反復、又は別のプロセスの飛び越しなど)に従い、特定のユーザ(病院など)が特異的な遺伝子検査(血液サンプルから感染症を検出するなど)を実行するためにカスタマイズされてもよい。
【0068】
好ましい実施形態において、アプリケーションは、機器のハードウェア及びワークフローを構成又は再構成する役割がある。例えば、特定の病院に設置されたアプリケーションは、特定のウィルスが検出されたことを検出する場合、サンプルのより深い配列決定を命令する場合がある。病院は、将来の試験がユーザにより要求されたものに加えて再構成されるようになるように、現在は病棟に風土的であるこの特定のウィルス株について全てのサンプルを確認するための方針を持つ場合がある。
【0069】
アプリケーションは、機器に対するインターフェースをユーザに提供する場合がある。異なるアプリケーションは、単一のスタートボタンから、柔軟性を提供する選択肢の複雑なアレイへと、それらのユーザに異なる選択肢を提供する場合がある。OSは、アプリケーションの命令を解釈するが、機器の全体的な制御及び責任を維持する。例えば、プログラムは、試薬のフローを指示するが、OSは、ポンプとバルブをより直接的に制御して、一旦消費されると試薬をポンプで組み込むという要求を無視する場合がある。
【0070】
更なる実施形態において、アプリケーションはロードされ、コンピュータ外部から機器まで操作自在である。このリモートコンピュータは、サーバ、タブレット、クラウドコンピュータ、又はスマートフォンであり、他のコンピュータに恐らく接続自在である。機器は、好ましくは制御盤上のポートを介して、このリモートコンピュータに接続自在である。この接続は、リモートコンピュータが機器から生物試験データを受け取り、OSに命令を送ることを可能にする。リモートコンピュータは、サンプルを提供する患者に関する医療データのデータベースを含むか、又はそれにアクセスすることが可能であってもよい。このリモートアプリケーションは、アプリケーションが機器をどのように構成するかに関する知的な決定を行うために医療データを使用できるように、事例ベース推論(case−base−reasoning)、医学的意思決定のためのヒューリスティックス、又は機械学習を実装し得る。これは、特定のワークフローを使用し、構成要素の設定を設定し、及び/又は特定のアッセイを実行することを機器のOSに命令することを含む場合がある。リモートアプリケーションは、その決定を修正し且つ機器を再構成するために、OSからリアルタイムデータを受け取る場合がある。
【0071】
例えば、リモートアプリケーションを使用する医師は、患者に関する試験を要求する。リモートアプリケーションは、患者の病歴及び生理学的結果をリコールして、これらを、既知の癌バイオマーカーの存在を検出するための遺伝子検査を推奨するために同様の医療事象と比較する。アプリケーションは、OSに腫瘍学アッセイカートリッジをロードするよう命令する。アプリケーションは、どの塩基がこれらの遺伝子に優勢であるかを分かっている、配列決定ワークフローを最適化することができる。特定の遺伝子に関して機器からリアルタイムデータを受け取ると、アプリケーションは、更なる配列決定を止めるよう機器に命令する。その後アプリケーションは、患者の特定の処置に対する反応について試験するためのアッセイをロードするよう機器に命令する。アプリケーションは最終の遺伝子結果を受け取り、医療データベースにそれらを加えて、医師に治療上の推奨を出力する。アプリケーションは、将来同様の事例が機器に対してより精錬された方法で試験されるように、その事例ベース推論を更新するために遺伝子結果と医療データベースとの間に相関性を構築し続ける。
【0072】
機器が特に柔軟であり且つカスタマイズ自在となるのを可能にするために、機器は、1以上のアプリケーションを受けてメモリにインストールするように配置される。このようなアプリケーションは、機器の操作を最適化し、又は特定のプロトコルを実装することを所望する第三者により書かれる場合がある。これは、第三者が機器のワークフロー及び構成要素で実験を行い、且つそれらを最適化することを可能にする。代替的に、特定のユーザは、特異的なニーズを持ち、特定の好ましいサンプルのタイプを提供し、又は、特異的な医療プロトコル又は医療保険を実施することが必要な場合がある。アプリケーションは、試験を始める前に機器を構成するよう、及び/又はOSからリアルタイムデータを受け取った後に機器を再構成するよう命令を与える。
【0073】
例えば、特定の病院は血液サンプルのみを使用し、要求される任意の試験に加えて大腸菌に関して各サンプルを試験することを所望し、特定のバイオマーカーに関して90%の信頼区間を達成する。アプリケーションは、患者及び微生物の構成要素を捕捉し、次に細菌アッセイカートリッジとヒト遺伝子型カートリッジの両方を実行するように最適化された、特定の方法でサンプルを生成するよう機器に命令する。単純な存在/不在の試験のみが細菌カートリッジのために要求され、一方でより深い配列決定がヒト遺伝子型カートリッジのために要求される。OSは、リアルタイムデータを受信してアプリケーションに送信し、それは、特定の細菌が存在し且つ患者のデータが抗生物質に対する困難を示す場合に抗生物質耐性を判定するため、又は、結果が90%未満の信頼性としてOSにより識別される場合に試験に戻るために、抗体DNAを更に配列決定することをOSに要求する。
【0074】
OSは、「機械コード」を受け取り、アッセイを制御する出力信号へとこれらを翻訳するように設計される。機械コードは通常、C++などの高レベルのプログラミング言語で書かれたコードからコンパイルされたバイナリ列である。OSの実装に依存して、機械コードは、単純化され高レベルの命令、又は、よりカスタマイズ自在であり低レベルの命令を与える場合がある。一例として、擬似コードにおける命令は以下を含む場合がある。
【0075】
高レベルの命令:
サンプル調製の実行
サンプルの精製
溶解の操作
腫瘍学的スクリーン試験の実行
敗血症試験の実行
ライフスタイル試験の実行
保険者へのデータの送信
患者の特性の読み取り
配列決定試験の実行
遺伝子のタイプの読み取り
遺伝子型のクラウドへの出力
配列の再組立て
医療関連(Medical_association)(遺伝子型)
薬物関連(Drug_association)(遺伝子型)
DNAの定量化
【0076】
低レベルの命令:
ヌクレオチド(A、T、C、G)を流す
PCR(temp1、period1、temp2、period2、temp3、period3、サイクル)の実行
アッセイの洗浄
ウェル(x、y)へのビード(z)の充填
GSIC(x、y)に関する結果の読み取り
プライマー(ATCCGGTTA)の合成
ウェルの加熱(54℃)
フィルタデータ(フィルタ型、パラメータ)
ADC(パラメータ)
【0077】
アプリケーションは、アッセイからの出力される生体データと比較され得る、遺伝子型、抗体、SNP、微生物種などの生体値のデータベースへのアクセスを含むか、又はそれを有する場合がある。データベース中の各データエントリーは、1以上の関連する診断、医療、又は薬物のパラメータを有し得る。データベース中の各データエントリーは、1セットの命令に関連する場合がある。アプリケーションはアッセイからデータを受け取り、且つ、種又は変異体を判定し、推奨される薬物又は治療を見出し、又は1セットの命令を実行するために、これをデータベースと比較する。これは、データを受け取り且つ有意な出力を提供することから、手順を促進する。例えば、データ出力が鋳型核酸上の塩基のストリームであるDNA配列決定アッセイにおいて、アプリケーションは、各塩基又はデータベース中の塩基の部分配列を調べる。これらの幾つかは有用な関連性を返さず、それについてアプリケーションは何もしない。これら塩基の幾つかはサンプル中の微生物の種を識別し、データベースは、特定の変異を判定するために配列決定を継続するための命令を包含する場合がある。
【0078】
図7は、アプリケーション層、操作システム、及び1セットのプリミティブ並びにリソースを含む、更なる例示的な機器の機能的且つ構造的な特徴を概略的に示す。
図7は、特に、操作システムが増幅やサンプル調製などを含む1セットのアッセイプロセスをアプリケーションに対して利用可能にすることを示す。
【0079】
図8は、核酸又はその断片を分析するプロセスを示すフローチャートである。フローにおける様々な点で、検出された出力は、ワークフロー決定を通知するために設けられ、ワークフロー制御決定が受け取られる。
【0080】
図9は、この分析を行なうのに適切なカートリッジ(1)を概略的に示す。該カートリッジは、流体インターフェース(2)を介してカートリッジに流体を提供し、且つデータインタフェース(3)を介してカートリッジとデータを交換する、機器との使用のために構成される場合がある。カートリッジは、流体インターフェース(2)に流体接続される流体輸送システム(5)を制御するコントローラ(4)を含む。コントローラはまた、各々が1セットのセンサ(7)を含む、1セットの反応チャンバ(6)を制御する。