特許第6684503号(P6684503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーアイ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6684503-内覧用模造建物 図000002
  • 特許6684503-内覧用模造建物 図000003
  • 特許6684503-内覧用模造建物 図000004
  • 特許6684503-内覧用模造建物 図000005
  • 特許6684503-内覧用模造建物 図000006
  • 特許6684503-内覧用模造建物 図000007
  • 特許6684503-内覧用模造建物 図000008
  • 特許6684503-内覧用模造建物 図000009
  • 特許6684503-内覧用模造建物 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6684503
(24)【登録日】2020年4月1日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】内覧用模造建物
(51)【国際特許分類】
   G09B 25/04 20060101AFI20200413BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20200413BHJP
   G09B 9/00 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   G09B25/04
   E04H1/12 Z
   G09B9/00 K
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-216321(P2018-216321)
(22)【出願日】2018年11月19日
【審査請求日】2019年5月23日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年10月15日株式会社みなと銀行内覧会にて、内覧用模造建物を公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518410696
【氏名又は名称】エーアイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(74)【代理人】
【識別番号】100069578
【弁理士】
【氏名又は名称】藤川 忠司
(72)【発明者】
【氏名】松本 孝博
【審査官】 西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−187800(JP,A)
【文献】 特開2007−171874(JP,A)
【文献】 特開2006−212323(JP,A)
【文献】 特開平8−300546(JP,A)
【文献】 実開平5−21274(JP,U)
【文献】 特開平4−264591(JP,A)
【文献】 実開昭60−189071(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B1/00−9/56,17/00−19/26,
23/00−29/14,
E04H1/00−1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡スチロールによって壁を形成し、予め設計された間取り図に基づき、該壁同士を、連結手段を用いて連結することで原寸大の間取りを構築し、
前記壁は、発泡スチロールによって矩形状に形成され、側周面には、周方向に沿って、スリットが形成されており、
前記連結手段は、パンチングメタルにて形成されると共に、長手方向に向かって延設されている垂直部と、該垂直部と一体的に直交する方向に突設している水平部とで構成されたL字状の金具で形成され、
前記壁同士を並列に立設させるにあたって、まず、前記パンチングメタルによって形成された前記水平部の孔内に釘を挿入することによって、該水平部を床に固定し、もって、前記垂直部を起立させた状態で前記連結手段を前記床に固定し、次いで、前記床に固定された前記連結手段の垂直部の上面から、前記壁の底面に形成されているスリットを挿入することによって、前記壁同士を並列に立設させてなり、さらに、
前記壁同士の一方の壁を水平方向に、他方の壁を垂直方向に配置して、該壁同士を連結するにあたり、まず、前記連結手段を一対用意し、その用意した一対の連結手段同士を連接させ、次いで、その連接させた一対の連結手段の一方の連結手段の垂直部を上から前記一方の壁の上面に形成されているスリットに挿入すると共に、他方の連結手段の垂直部を上から前記他方の壁の上面に形成されているスリットに挿入することによって、前記壁同士の一方の壁を水平方向に、他方の壁を垂直方向に配置して、該壁同士を連結してなる内覧用模造建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡スチロールによって壁を形成することで、原寸大の間取りを構築した内覧用模造建物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータ内に生成した仮想空間をヘッドマウントディスプレイ(Head Mount Display:HMD)等の装置を用いて体験者に表示し、あたかもその空間内に居るかの様な感覚を提供する、いわゆる仮想現実(Virtual Reality:VR)に関する技術が提案されている(例えば、特許文献1,特許文献2参照)。
【0003】
そこで、このような技術を用いて、住宅を施工する前に、図9に示すような予め設計された間取り図MZに基づいて、仮想空間内に生成した住宅モデルの中にHMDを用いて入り込み、マウス等のコントローラを用いて視点位置を変更若しくは体験者の位置をリアルタイムで計測する装置などと連動して視点位置を変更することで仮想住宅内を自由に歩き回り、頭の動きに連動して表示画像を更新することで周りを見回すなどの機能によって、あたかも住宅の中で生活しているような感覚を提供するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−81774号公報
【特許文献2】特開平8−161106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような技術では、実際の距離感が異なっていたり、表示画像で見ていた色と実際の色とが異なっていたりなど、想像していた住宅と、完成した住宅との間に齟齬が生じ、もって、顧客満足を十分に得られていないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑み、想像していた住宅と、完成した住宅との間の齟齬を低減させ、もって、顧客満足を十分に得ることができる内覧用模造建物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0008】
請求項1の内覧用模造建物によれば、発泡スチロールによって壁(2)を形成し、予め設計された間取り図(MZ)に基づき、該壁(2)同士を、連結手段(連結金具3,4A,4B,4C)を用いて連結することで原寸大の間取りを構築し、
前記壁(2)は、発泡スチロールによって矩形状に形成され、側周面(上面20a、底面20b、左側面20c、右側面20d)には、周方向に沿って、スリット(21)が形成されており、
前記連結手段(連結金具3)は、パンチングメタルにて形成されると共に、長手方向に向かって延設されている垂直部(31)と、該垂直部(31)と一体的に直交する方向に突設している水平部(第1水平部32,第2水平部33)とで構成されたL字状の金具で形成され、
前記壁(2)同士を並列に立設させるにあたって、まず、前記パンチングメタルによって形成された前記水平部(第1水平部32,第2水平部33)の孔(30a)内に釘(5)を挿入することによって、該水平部(第1水平部32,第2水平部33)を床(G)に固定し、もって、前記垂直部(31)を起立させた状態で前記連結手段(連結金具3)を前記床(G)に固定し、次いで、前記床(G)に固定された前記連結手段(連結金具3)の垂直部(31)の上面から、前記壁(2)の底面(20b)に形成されているスリット(21)を挿入することによって、前記壁(2)同士を並列に立設させてなり、さらに、
前記壁(2)同士の一方の壁(2)を水平方向に、他方の壁(2)を垂直方向に配置して、該壁(2)同士を連結するにあたり、まず、前記連結手段(連結金具4A,4B,4C)を一対用意し、その用意した一対の連結手段(連結金具4A,4B,4C)同士を連接させ、次いで、その連接させた一対の連結手段(連結金具4A,4B,4C)の一方の連結手段(連結金具4A)の垂直部(42A)を上から前記一方の壁(2)の上面(20a)に形成されているスリット(21)に挿入すると共に、他方の連結手段(連結金具4B,4C)の垂直部(42B,42C)を上から前記他方の壁(2)の上面(20a)に形成されているスリット(21)に挿入することによって、前記壁(2)同士の一方の壁(2)を水平方向に、他方の壁(2)を垂直方向に配置して、該壁(2)同士を連結してなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0012】
請求項1の発明によれば、発泡スチロールによって壁(2)を形成し、予め設計された間取り図(MZ)に基づき、該壁(2)同士を、連結手段(連結金具3,4A,4B,4C)を用いて連結することで原寸大の間取りを構築した内覧用模造建物(1)を構築することができる。これにより、短期間で内覧用模造建物(1)を構築することができると共に、住宅を施工する前に、顧客は、使い勝手をシミュレーションすることができ、もって、実際の大きさや居心地などを現実に体感することができる。
【0013】
しかして、本発明によれば、想像していた住宅と、完成した住宅との間の齟齬を低減させることができ、もって、顧客満足を十分に得ることができる。
【0014】
また、本発明によれば、まず、パンチングメタルにて形成される連結手段(連結金具3)の水平部(第1水平部32,第2水平部33)を、パンチングメタルによって形成された孔(30a)内に釘(5)を挿入することによって、床(G)に固定し、これによって、垂直部(31)を起立させた状態で連結手段(連結金具3)を床(G)に固定する。次いで、床(G)に固定された連結手段(連結金具3)の垂直部(31)の上面から、壁(2)の底面(20b)に形成されているスリット(21)を挿入することによって、壁(2)同士を並列に連結することができるから、簡単容易に壁(2)同士を並列に連結することが可能となる。
そしてさらに、壁(2)同士の一方の壁(2)を水平方向に、他方の壁(2)を垂直方向に配置して、該壁(2)同士を連結するにあたり、まず、連結手段(連結金具4A,4B,4C)を一対用意し、その用意した一対の連結手段(連結金具4A,4B,4C)同士を連接させる。次いで、その連接させた一対の連結手段(連結金具4A,4B,4C)の一方の連結手段(連結金具4A)の垂直部(42A)を上から一方の壁(2)の上面(20a)に形成されているスリット(21)に挿入すると共に、他方の連結手段(連結金具4B,4C)の垂直部(42B,42C)を上から他方の壁(2)の上面(20a)に形成されているスリット(21)に挿入することによって、壁(2)同士の一方の壁(2)を水平方向に、他方の壁(2)を垂直方向に配置して、該壁(2)同士を連結することができる。これにより、簡単容易に壁(2)同士を連結することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る内覧用模造建物を上方から見た場合の斜視図である。
図2】同実施形態に係る内覧用模造建物の一部に実際に人が立ち入って、内覧している状態を上方から見た場合の斜視図である
図3】(a)は、同実施形態に係る内覧用模造建物に実際の家具などを配置している状態を示す斜視図、(b)は、同実施形態に係る内覧用模造建物の原寸大の窓枠や扉枠を実際に人が立ち入って、内覧している状態を示す斜視図である。
図4】(a)は、同実施形態に係る壁を示す斜視図、(b)は、(a)に示すX−X線断面図である。
図5】同実施形態に係る連結金具の斜視図である。
図6】(a)は、図5に示す連結金具を床に固定し、該連結金具に壁の底面に形成されているスリットを挿入した状態の一部を示す斜視図、(b)は、図5に示す連結金具を床に固定し、該連結金具に壁の底面に形成されているスリットを挿入した状態の一部を示す断面図である。
図7】(a)は、T字形に連結している壁の上面に形成されているスリットに図8(b)に示す連結金具が挿入された状態を示し、さらに、L字形に連結している壁の上面に形成されているスリットに図8(c)に示す連結金具が挿入された状態を示す連結金具の一部を省略した斜視図、(b)は、T字形、L字形に連結している壁の上面に板が載置されている状態を示す斜視図である。
図8】(a)は、同実施形態に係るL字状の連結金具の斜視図、(b)は、L字状の連結金具同士を連結した状態を示す一部を省略した斜視図、(c)は、L字状の連結金具同士を(b)とは異なる方法で連結した状態を示す一部を省略した斜視図である。
図9】ある住宅の間取り図を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る内覧用模造建物の一実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0018】
図1に示すように、内覧用模造建物1は、図9に示すような予め設計された間取り図MZに基づき、発泡スチロールによって形成された壁2を複数形成し、これら壁2同士を連結させることにより、原寸大の間取りを構築している。具体的に説明すると、図9に示すように、間取り図MZは、建築業者等によって予め設計されたもので、具体的な寸法や幅が記載され、和室MZ1やリビングダイニングMZ2等の広さや配置、さらに、窓枠MZ1a,MZ2a,MZ2bの寸法等が記載されている。しかるに、このような間取り図MZを見れば、和室MZ1やリビングダイニングMZ2等の広さや配置、さらに、窓枠MZ1a,MZ2a,MZ2bの寸法等が分かることとなる。それゆえ、この間取り図MZに基づき、発泡スチロールによって形成された複数の壁2を連結させていけば、図1に示すように、図9に示す和室MZ1に対応した原寸大の和室10Aや、図9に示すリビングダイニングMZ2に対応した原寸大のリビングダイニング10Bや、図9に示す窓枠MZ1aに対応した原寸大の窓枠10Aaや、図9に示す窓枠MZ2aに対応した原寸大の窓枠10Baや、図9に示す窓枠MZ2bに対応した原寸大の窓枠10Bb等が構築することができ、もって、図1に示すように、原寸大の間取りを構築した内覧用模造建物1を構築できることとなる。
【0019】
しかして、このような内覧用模造建物1を構築できれば、図2に示すように、原寸大のリビングダイニング10B内に、実際に人M1,M2が立ち入って、内覧することができる。それゆえ、住宅を施工する前に、顧客は、使い勝手をシミュレーションすることができ、もって、実際の大きさや居心地などを現実に体感することができる。
【0020】
さらに、図2に示すように、実物のテーブルK1を配置したり、図3(a)に示すように、実物の食器収納棚K2,実物のキッチン収納棚K3,実物のシステムキッチンK4等を配置したりすれば、実際に家具を配置した時の距離感が実感として分かることとなる。さらには、このように実際に家具を配置すれば、家電を配置する場所や、コンセントの位置、さらに、LANケーブル差込口の位置などをシミュレーションすることができる。またさらには、このような家具が配置された床に床材を敷設すれば、どの床材が最適か肉眼で確認できることとなる。
【0021】
また一方、図1に示すように、原寸大の窓枠10Aa,10Ba,10Bbを構築しておけば、図3(b)に示すように、原寸大の窓枠11aを、人M3は、内覧することができる。そしてさらに、図3(b)に示すように、原寸大の扉枠12aを構築しておけば、原寸大の扉枠12aを、人M3は、内覧することができる。そしてこの際、図3(a)に示すように、実際の扉や窓T1を、窓枠や、扉枠に嵌め込むようにすれば、どの扉や窓が最適か肉眼で確認できることとなる。
【0022】
しかして、このようにすれば、住宅を施工する前に、図面や仮想現実では体感できない臨場感をもって、使い勝手をシミュレーションすることができる。それゆえ、顧客は、当初イメージしていたものと異なる箇所があれば、その場で変更等を建築業者等に要求することができ、もって、その要求に応じた間取り図を建築業者等は新たに設計し直すこととなる。しかるに、このようにすれば、完成した住宅において、形成される部屋の大きさやその他の空間に関して、当初のイメージと異なるという事態を低減することができ、もって、顧客満足を十分に得ることができる。
【0023】
ところで、発泡スチロールによって形成された複数の壁2を連結させるにあたっては、以下のようにすることができる。
【0024】
すなわち、発泡スチロールによって形成された壁2は、図4(a)に示すように厚板矩形状に形成された壁本体20を有している。この壁本体20は、図4に示すように、上面20a、底面20b、左側面20c、右側面20dを有しており、この上面20a、底面20b、左側面20c、右側面20dには、それぞれ、周方向に沿って、幅2mm程度のスリット21が形成されている。このスリット21は、図4(b)に示すように、深さDが約6cmに形成されている。しかして、このようなスリット21には、図5及び図8に示すような連結金具3,4A,4B,4Cが挿入できるようになっている。この点は後述することとする。
【0025】
連結金具3は、図5に示すように、複数の孔30aを有するステンレス製のパンチングメタルからなる連結金具本体30を有している。この連結金具本体30は、上面31a,底面31b,左側面31c,右側面31dを備えている横長略矩形状の垂直部31が延設されている。この垂直部31の高さHは、スリット21の深さDよりも低く形成され、約5.8mm程度に形成されている。一方、この連結金具本体30は、垂直部31の右側面31d側の底面31bより垂直部31と直交する方向に第1水平部32が突設されており、さらに、垂直部31の左側面31c側の底面31bより垂直部31と直交する方向で、且つ、第1水平部32と異なる方向に第2水平部33が突設されている。なお、垂直部31と、第1水平部32と、第2水平部33とは、一体的に設けられている。
【0026】
かくして、上記のように構成される連結金具3は、次のように使用される。すなわち、図6(b)に示すように、連結金具3の第1水平部32が複数の釘5(図示では、2個)を用いて、床Gに固定されている。より詳しく説明すると、この釘5は、頭部50と、胴部51と、先端部52と、フランジ部53とで構成されており、胴部51と、先端部52とは、連結金具3の孔30aより若干径小に形成され、フランジ部53は、連結金具3の孔30aより径大に形成されている。なお、頭部50と、胴部51と、先端部52と、フランジ部53とは、一体成型されている。
【0027】
しかして、このように形成される釘5の胴部51と、先端部52とは、連結金具3の第1水平部32に設けられている孔30aより挿入される。そして、図示しない釘打機によって釘5が打設されていくと、フランジ部53が連結金具3の孔30aより径大に形成さているからこれ以上打設できなくなり、もって、図6(b)に示すように、フランジ部53と第1水平部32の面とが接触することとなる。これにより、連結金具3の第1水平部32が複数の釘5(図示では、2個)を用いて、床Gに固定されることとなる。なお、連結金具3の第2水平部33も同様に、釘5を用いて床Gに固定されることとなる。
【0028】
かくして、このように、連結金具3が床Gに固定された状態で、壁本体20の底面20bに形成されているスリット21を連結金具3の垂直部31の上面31aより挿入することにより、図6に示すように、連結金具3の垂直部31に、壁2が立設固定されることとなる。しかるに、このような連結金具3を複数、床Gに固定しておけば、壁本体20の底面20bに形成されているスリット21を連結金具3の垂直部31の上面31aより挿入していくことにより、図1に示すように、複数の壁2を並設することが可能となる。これにより、壁2同士を連結することが可能となる。なお、壁本体20の底面20bに形成されているスリット21を連結金具3の垂直部31の上面31aより挿入した際、図6(b)に示すように、壁本体20の底面20bは、釘5の頭部50に接触することとなる。
【0029】
一方、壁2同士を連結するにあたって、図7(a)に示すように、一方の壁2を垂直方向に配置し、他方の壁2を水平方向に配置しているようなT字形、L字形の配置の場合は、上記のような連結金具3を用いると共に、壁本体20の上面20aに形成されているスリット21に、図8に示すような連結金具4A,4B,4Cが挿入されることとなる。
【0030】
連結金具4Aは、図8(a)に示すように、複数の孔40Aaを有するステンレス製のパンチングメタルからなるL字状の連結金具本体40Aを有している。この連結金具本体40Aは、薄板矩形状の水平部41Aと、薄板矩形状の垂直部42Aと、で構成されている。水平部41Aは、上面41Aaと、底面41Abと、左側面41Acと、右側面41Adと、を有しており、上面41Aa及び左側面41Ac並びに右側面41Adは、凹凸状に形成されている。また、垂直部42Aは、上面42Aaと、底面42Abと、左側面42Acと、右側面42Ad(図8(b)参照)と、を有しており、底面42Ab及び左側面42Ac並びに右側面42Adは、凹凸状に形成されている。そして、この水平部41Aの底面41Abと、垂直部42Aの上面42Aaとが、水平部41Aと垂直部42Aとが直交するように、一体的に連接されている。これにより、L字状の連結金具本体40Aが形成されることとなる。
【0031】
一方、連結金具4Bは、図8(b)に示すように、複数の孔40Baを有するステンレス製のパンチングメタルからなるL字状の連結金具本体40Bを有している。この連結金具本体40Bは、薄板矩形状横長の水平部41Bと、薄板矩形状の垂直部42Bと、で構成されている。水平部41Bは、上面41Baと、底面41Bbと、左側面41Bcと、右側面41Bdと、を有しており、上面41Ba及び底面41Bbの一部並びに左側面41Bc且つ右側面41Bdは、凹凸状に形成されている。また、垂直部42Bは、上面42Baと、底面42Bbと、左側面42Bcと、右側面42Bdと、を有しており、底面42Bb及び左側面42Bc並びに右側面42Bdは、凹凸状に形成されている。そして、この水平部41Bの凹凸状に形成されてない底面41Bbの部分と、垂直部42Bの上面42Baとが、水平部41Bと垂直部42Bとが直交するように、一体的に連接されている。これにより、L字状の連結金具本体40Bが形成されることとなる。
【0032】
かくして、上記のように構成される連結金具4Aと連結金具4Bとは、図8(b)に示すように、連結されている。より具体的に説明すると、図8(b)に示すように、連結金具4Aの水平部41Aの上面41Aa側の面と、連結金具4Bの水平部41Bの左側面41Bc側の面とが重なり合い、その重なり合いによって重なり合った連結金具4Aの孔40Aaと連結金具4Bの孔40Baとにボルト・ナットからなる固定具6が挿通されている。これにより、連結金具4Aと連結金具4Bとは、図8(b)に示すように、連結されることとなる。
【0033】
かくして、このように連結された連結金具4Aと連結金具4Bとは、図7(a)に示すように、一方の壁2を水平方向(図示正面から見て横方向)に配置し、他方の壁2を垂直方向(図示正面からみて縦方向)に配置しているT字形の配置がされている壁本体20の上面20aに形成されているスリット21に挿入されることとなる。より具体的に説明すると、図7(a)に示すように、水平方向(図示正面から見て横方向)に配置している壁本体20の上面20aのスリット21には、連結金具4Bの垂直部42Bが挿入され、垂直方向(図示正面からみて縦方向)に配置している壁本体20の上面20aのスリット21には、連結金具4Aの垂直部42Aが挿入されることとなる。これにより、T字形の配置をしている壁2同士を、連結金具4Aと連結金具4Bとによって、連結することが可能となる。なお、連結金具4Aの垂直部42A、連結金具4Bの垂直部42Bの高さは、スリット21の深さD(図4(b)参照)よりも低く形成され、約5.8mm程度に形成されている。また、図示はしていないが、T字形の配置をしている壁2同士を、より強固に連結したい場合、図6(b)に示す釘5を、連結金具4Aの水平部41Aの孔40Aa、及び/又は、連結金具4Bの水平部41Bの孔40Baに挿通し、壁本体20の上面20aに打設するようにしても良い。
【0034】
一方、連結金具4Cは、図8(c)に示すように、複数の孔40Caを有するステンレス製のパンチングメタルからなるL字状の連結金具本体40Cを有している。この連結金具本体40Cは、薄板矩形状横長の水平部41Cと、薄板矩形状の垂直部42Cと、で構成されている。水平部41Cは、上面41Caと、底面41Cbと、左側面41Ccと、右側面41Cdと、を有しており、上面41Ca及び左側面41Cc並びに右側面41Cdは、凹凸状に形成されている。また、垂直部42Cは、上面42Caと、底面42Cbと、左側面42Ccと、右側面42Cdと、を有しており、底面42Cb及び左側面42Cc並びに右側面42Cdは、凹凸状に形成されている。そして、この水平部41Cの底面41Cbと、垂直部42Cの上面42Caとが、水平部41Cと垂直部42Cとが直交するように一体的に連接されている。これにより、L字状の連結金具本体40Cが形成されることとなる。
【0035】
かくして、上記のように構成される連結金具4Aと連結金具4Cとは、図8(c)に示すように、連結されている。より具体的に説明すると、図8(c)に示すように、連結金具4Aの垂直部42Aの右側面42Adに形成されている凹凸と、連結金具4Cの垂直部42Cの左側面42Ccに形成されている凹凸とが嵌合することにより、連結金具4Aと連結金具4Cとは、連結されている。
【0036】
かくして、このように連結された連結金具4Aと連結金具4Cとは、図7(a)に示すように、一方の壁2を水平方向(図示正面から見て横方向)に配置し、他方の壁2を垂直方向(図示正面から見て縦方向)に配置しているL字形の配置がされている壁本体20の上面20aに形成されているスリット21に挿入されることとなる。より具体的に説明すると、図7(a)に示すように、水平方向(図示正面から見て横方向)に配置している壁本体20の上面20aのスリット21には、連結金具4Cの垂直部42Cが挿入され、垂直方向(図示正面から見て縦方向)に配置している壁本体20の上面20aのスリット21には、連結金具4Aの垂直部42Aが挿入されることとなる。これにより、L字形の配置をしている壁2同士を、連結金具4Aと連結金具4Cとによって、連結することが可能となる。なお、連結金具4Aの垂直部42A、連結金具4Cの垂直部42Cの高さは、スリット21の深さD(図4(b)参照)よりも低く形成され、約5.8mm程度に形成されている。また、図示はしていないが、L字形の配置をしている壁2同士を、より強固に連結したい場合、図6(b)に示す釘5を、連結金具4Aの水平部41Aの孔40Aa、及び/又は、連結金具4Cの水平部41Cの孔40Caに挿通して、壁本体20の上面20aに打設するようにしても良い。
【0037】
かくして、上記説明したような連結金具3,4A,4B,4Cを用いれば、発泡スチロールによって形成された複数の壁2同士を連結させることが可能となる。これにより、図1に示すような原寸大の間取りを構築した内覧用模造建物1を構築できることとなる。
【0038】
しかして、以上説明した本実施形態によれば、発泡スチロールによって壁2を形成し、予め設計された間取り図MZに基づき、該壁2同士を、連結金具3,4A,4B,4Cを用いて連結することで原寸大の間取りを構築した内覧用模造建物1を構築することができる。これにより、短期間で内覧用模造建物1を構築することができると共に、住宅を施工する前に、顧客は、使い勝手をシミュレーションすることができ、もって、実際の大きさや居心地などを現実に体感することができる。
【0039】
しかして、本実施形態によれば、想像していた住宅と、完成した住宅との間の齟齬を低減させることができ、もって、顧客満足を十分に得ることができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、連結金具3の第1水平部32,第2水平部33を釘5によって床Gに固定し、連結金具3の垂直部31に壁2の底面20bに形成されているスリット21を挿入するだけで、壁2同士を連結させることができるから、簡単容易に壁2同士を連結することが可能となる。
【0041】
さらに、本実施形態によれば、壁2同士の一方の壁2を水平方向に、他方の壁2を垂直方向に配置して、該壁2同士を連結するにあたり、壁2の上面20aに形成されているスリット21にL字状の連結金具4A〜4Cを挿入するだけで、壁2同士を連結することができる。これにより、壁2同士の一方の壁2を水平方向に、他方の壁2を垂直方向に配置して、該壁2同士を連結する場合であっても、簡単容易に壁2同士を連結することが可能となる。
【0042】
なお、本実施形態にて示した原寸大の窓枠10Aa,10Ba,10Bb,11a、原寸大の扉枠12aを構築するにあたっては、図4(a)に示す厚板矩形状に形成された壁本体20に所定の穴を切り欠いて、原寸大の窓枠10Aa,10Ba,10Bb,11a、原寸大の扉枠12aを構築するようにすれば良い。
【0043】
ところで、壁2の上面20aには、図7(b)に示すように、ポリ塩化ビニル等で形成された厚板矩形状の板7が、連結された壁2の上面20aに沿って複数載置されている。この板7は赤等で着色されており、図7(a)に示す連結金具4A,4B,4Cを隠蔽する化粧板の役割をすると共に、図1に示すように、内覧用模造建物1を上方から見た際に、和室10Aや、リビングダイニング10B等の境界がどこなのかを判別し易くする役割も担っている。
【0044】
なお、本実施形態において示した形状等はあくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、連結金具3,4A,4B,4Cとして、ステンレス製のパンチングメタルを例示したが、それに限らず、釘5を挿入する箇所だけ孔が開いているものでも良い。また、連結金具3を床Gに固定するにあたって、釘5を用いる例を示したが、それに限らず、どのような釘でも良く、又、釘に限らず、ネジやボルト、ビス等、床Gに固定できるものであればどのようなものでも良い。
【符号の説明】
【0045】
1 内覧用模造建物
2 壁
3 連結金具(連結手段)
4A,4B,4C 連結金具(連結手段)
5 釘(固定手段)
20 壁本体
20a 上面(側周面)
20b 下面(側周面)
20c 左側面(側周面)
20d 右側面(側周面)
21 スリット
31 垂直部
32 第1水平部(水平部)
33 第2水平部(水平部)
G 床
MZ 間取り図

【要約】
【課題】想像していた住宅と、完成した住宅との間の齟齬を低減させ、もって、顧客満足を十分に得ることができる内覧用模造建物を提供することを目的としている。
【解決手段】発泡スチロールによって壁2を形成し、予め設計された間取り図に基づき、該壁2同士を、連結手段を用いて連結することで原寸大の間取りを構築している。これにより、住宅を施工する前に、図面や仮想現実では体感できない臨場感をもって、使い勝手をシミュレーションすることができる。それゆえ、顧客は、当初イメージしていたものと異なる箇所があれば、その場で変更等を建築業者等に要求することができることとなる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9