(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684539
(24)【登録日】2020年4月1日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】酸性ガスを処理するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/14 20060101AFI20200413BHJP
B01D 53/18 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
B01D53/14 200
B01D53/14 210
B01D53/18 110
B01D53/18 120
B01D53/18 130
B01D53/18 170
【請求項の数】31
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-222876(P2014-222876)
(22)【出願日】2014年10月31日
(65)【公開番号】特開2015-150559(P2015-150559A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2017年10月2日
(31)【優先権主張番号】201410046348.4
(32)【優先日】2014年2月10日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】509020424
【氏名又は名称】中國石油化工股▲フン▼有限公司撫順石油化工研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】彭徳強
(72)【発明者】
【氏名】左澤軍
(72)【発明者】
【氏名】斉慧敏
(72)【発明者】
【氏名】王▲ろ▼▲よう▼
(72)【発明者】
【氏名】孟凡飛
(72)【発明者】
【氏名】陳建兵
(72)【発明者】
【氏名】陳新
【審査官】
青木 太一
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭50−010269(JP,A)
【文献】
特開昭58−150415(JP,A)
【文献】
特表2010−536549(JP,A)
【文献】
特開昭50−026171(JP,A)
【文献】
特開昭49−125279(JP,A)
【文献】
米国特許第03969081(US,A)
【文献】
独国特許出願公開第02063367(DE,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102007039926(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/14−18
B01D 53/34−85
B01D 53/92
B01D 53/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性ガスを処理するための方法であって、
酸性ガスを受け取り、処理することによって処理後に気相ストリーム1及び液相ストリーム2を得て、上記ストリーム2を、部分的にまたは完全に第一処理装置に再循環させる、第一処理装置の使用と、
第一処理装置からのストリーム1を処理することによって気相ストリーム3及び液相ストリーム4を得て、ストリーム4をストリーム41、ストリーム42及びストリーム43の3つのサブストリームに分離させ、そのうちのストリーム41を、上記酸性ガスを処理するために使用される処理液として、上記第一処理装置に戻し、上記ストリーム42を第二処理装置に再循環させる、第二処理装置の使用と、
第二処理装置からのストリーム3を処理することによって気相ストリーム5及び液相ストリーム6を得て、ストリーム6をストリーム61及びストリーム62の2つのサブストリームに分離させ、そのうちのストリーム61を処理剤と混合してから、上記ストリーム1を処理するために使用される処理液として、上記第二処理装置に戻し、上記ストリーム62を第三処理装置に再循環させる、第三処理装置の使用と、
上記第二処理装置からの上記ストリーム43を受け取り、ストリーム43を処理液として上記第三処理装置からのストリーム5を処理することによって気相ストリーム7及び液相ストリーム8を得て、ストリーム8をトリーム81およびストリーム82の2つのサブストリームに分離させ、そのうちのストリーム81を処理剤と混合してから、処理液として、上記第三処理装置に戻し、上記ストリーム82を第四処理装置に再循環させる、第四処理装置の使用と、を含み、
上記処理剤はアルカリを含有する溶液である、方法。
【請求項2】
上記酸性ガスは、硫化水素および二酸化炭素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記第三処理装置は、1つ以上のリアクタを含み得る、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
上記処理剤は、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液およびアンモニア水溶液からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
上記第二処理装置に添加される処理剤と、上記第三処理装置に添加される処理剤との体積流量比は、1:1から3:1である、請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
上記第二処理装置に添加される処理剤と、上記第三処理装置に添加される処理剤との体積流量比は、3:2から5:2である、請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
上記第一処理装置、上記第二処理装置、上記第三処理装置、および上記第四処理装置は、各々独立に、気泡カラムリアクタ、充填カラムリアクタ、衝突流リアクタ、回転床リアクタ、およびベンチュリリアクタからなる群から選択される、請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
上記第一処理装置および上記第二処理装置は、各々、ベンチュリリアクタであって、上記第三処理装置および上記第四処理装置は、各々、回転床リアクタである、請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
上記回転床リアクタの回転速度は、50rpmから5000rpmに制御される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
上記回転床リアクタの回転速度は、150rpmから2000rpmに制御される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
上記第一処理装置および上記第二処理装置は、各々、
液相ストリームを受け取り、蓄えるための、ベンチュリリアクタの上部に位置する液相貯蔵タンクと、
供給部の上部が上記液相貯蔵タンク内に伸び、スリーブ構造を形成する、ベンチュリリアクタの中部に位置する直線反応管と、
上記直線反応管の排出部の下部が接続されている、ベンチュリリアクタの下部に位置するガス液体分離管と、
をそれぞれ含むベンチュリリアクタであり、
上記液相貯蔵タンクは、処理されるガスを受け取るための気相注入口が備えられており、上記気相注入口の位置は、上記直線反応管の上記供給部の上部注入口よりも高く、
上記液相貯蔵タンクの側壁上に、再循環された液体を受け取るための循環液注入口が備えられており、これにより、上記循環液注入口に入る液相ストリームは、最初に、液相貯蔵タンクにおける上記直線反応管の上記供給部の上記上部注入口よりも低くなっている空間に保存され、液体が上記供給部の上部注入口に達すると、液体がそれ以上に入ると溢れるので、直線反応管の内壁上に液体フィルムが形成されることによって、上記直線反応管の内壁上において材料の結晶が形成され詰まりが発生することが防止される、
請求項7〜10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
上記ベンチュリリアクタの直線反応管は、その管壁上に、処理液としての液相ストリームを受け取るための液相ストリーム注入口が備えられており、上記液相ストリーム注入口は、液相貯蔵タンクと上記直線反応管の接続部に隣接した位置に配置されており、ガス液体分離管は、気相排出口および液相排出口が備えられている、請求項7〜11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
上記ベンチュリリアクタの液相ストリーム注入口は、1〜10個の液相分配器に接続されており、当該液相分配器は、上記直線反応管の中心線に配置されており、上方から下方に吸収液を噴射することができる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
上記ベンチュリリアクタの液相ストリーム注入口は、4〜6個の液相分配器に接続されており、当該液相分配器は、上記直線反応管の中心線に配置されており、上方から下方に吸収液を噴射することができる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
上記ベンチュリリアクタの供給部の上端には、歯形溝が開設されており、当該歯形溝の構造は、扇形歯形溝、四角形歯形溝、および三角形歯形溝からなる群から選択される一種である、請求項12〜14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
第一処理装置として上記ベンチュリリアクタが使用される時、第一処理装置に再循環させる全ての又は一部のストリーム2は、上記第一処理装置の循環液注入口および吸収液注入口の各々を経由して第一処理装置に入り、循環液注入口を経由して第一処理装置に入るストリームと、吸収液注入口を経由して第一処理装置に入るストリームとの体積流量比は、1:6から1:2である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
第一処理装置として上記ベンチュリリアクタが使用される時、第一処理装置に再循環させる全ての又は一部のストリーム2は、上記第一処理装置の循環液注入口および吸収液注入口の各々を経由して第一処理装置に入り、循環液注入口を経由して第一処理装置に入るストリームと、吸収液注入口を経由して第一処理装置に入るストリームとの体積流量比は、1:4から1:3である、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
第二処理装置として上記ベンチュリリアクタが使用される時、第二処理装置に再循環させるストリーム42は、第二処理装置の循環液注入口および吸収液注入口の各々を経由して第二処理装置に入り、循環液注入口を経由して第二処理装置に入るストリームと、吸収液注入口を経由して第二処理装置に入るストリームとの体積流量比は、1:6から1:2である、請求項12〜17の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
第二処理装置として上記ベンチュリリアクタが使用される時、第二処理装置に再循環させるストリーム42は、第二処理装置の循環液注入口および吸収液注入口の各々を経由して第二処理装置に入り、循環液注入口を経由して第二処理装置に入るストリームと、吸収液注入口を経由して第二処理装置に入るストリームとの体積流量比は、1:4から1:3である、請求項12〜17の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
上記第一処理装置および上記第二処理装置における処理温度は、70℃から100℃である、請求項1〜19の何れか一項に記載の方法。
【請求項21】
上記第一処理装置および上記第二処理装置における処理温度は、80℃から95℃である、請求項1〜19の何れか一項に記載の方法。
【請求項22】
上記第三処理装置および上記第四処理装置における処理温度は、60℃から90℃である、請求項1〜21の何れか一項に記載の方法。
【請求項23】
上記第三処理装置および上記第四処理装置における処理温度は、65℃から80℃である、請求項1〜21の何れか一項に記載の方法。
【請求項24】
酸性ガスを処理するための装置であって、
酸性ガスを受け取り処理することによって処理後に気相ストリーム1及び液相ストリーム2を得て、上記ストリーム2を、部分的にまたは完全に第一処理装置に再循環させる、第一処理装置と、
上記第一処理装置に接続され、第一処理装置からのストリーム1を処理することによって気相ストリーム3及び液相ストリーム4を得て、ストリーム4をストリーム41、ストリーム42及びストリーム43の3つのサブストリームに分離させ、そのうちのストリーム41を、上記酸性ガスを処理するために使用される処理液として、上記第一処理装置に戻し、上記ストリーム42を第二処理装置に再循環させる、第二処理装置と、
上記第二処理装置に接続され、上記第二処理装置からのストリーム3を処理することによって気相ストリーム5及び液相ストリーム6を得て、ストリーム6をストリーム61及びストリーム62の2つのサブストリームに分離させ、そのうちのストリーム61を処理剤と混合してから、上記ストリーム1を処理するために使用される処理液として、上記第二処理装置に戻し、上記ストリーム62を第三処理装置に再循環させる、第三処理装置と、
上記第二処理装置と第三処理装置にそれぞれ接続され、上記第二処理装置からのストリーム43を受け取り、上記ストリーム43を処理液として上記第三処理装置からのストリーム5を処理することによって気相ストリーム7及び液相ストリーム8を得て、ストリーム8をトリーム81およびストリーム82の2つのサブストリームに分離させ、そのうちのストリーム81を処理剤と混合してから、処理液として、上記第三処理装置に戻し、上記ストリーム82を第四処理装置に再循環させる、第四処理装置と、を含み、
上記処理剤はアルカリを含有する溶液である、装置。
【請求項25】
上記第一処理装置、上記第二処理装置、上記第三処理装置、および上記第四処理装置は、各々独立に、気泡カラムリアクタ、充填カラムリアクタ、衝突流リアクタ、回転床リアクタ、およびベンチュリリアクタからなる群から選択される、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
上記第一処理装置および上記第二処理装置は、各々、ベンチュリリアクタであって、上記第三処理装置および上記第四処理装置は、各々、回転床リアクタである、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
上記ベンチュリリアクタは、
液相ストリームを受け取り、蓄えるための、ベンチュリリアクタの上部に位置する液相貯蔵タンクと、
供給部の上部が上記液相貯蔵タンク内に伸び、スリーブ構造を形成する、ベンチュリリアクタの中部に位置する直線反応管と、
上記直線反応管の排出部の下部が接続されている、ベンチュリリアクタの下部に位置するガス液体分離管と、
を備え、
上記液相貯蔵タンクは、処理されるガスを受け取るための気相注入口が備えられており、上記気相注入口の位置は、上記直線反応管の上記供給部の上部注入口よりも高く、
上記液相貯蔵タンクの側壁上に、再循環された液体を受け取るための循環液注入口が備えられており、これにより、上記循環液注入口に入る液相ストリームは、最初に、液相貯蔵タンクにおける上記直線反応管の上記供給部の上記上部注入口よりも低くなっている空間に保存され、液体が上記供給部の上部注入口に達すると、液体がそれ以上に入ると溢れるので、直線反応管の内壁上に液体フィルムが形成されることによって、上記直線反応管の内壁上において材料の結晶が形成され詰まりが発生することが防止される、
請求項25または26に記載の装置。
【請求項28】
上記ベンチュリリアクタの上記直線反応管は、その管壁上に、処理液としての液相ストリームを受け取るための液相ストリーム注入口が備えられており、当該液相ストリーム注入口は、上記液相貯蔵タンクと上記直線反応管の接続部に隣接した位置に配置されており、上記ガス液体分離管は、気相排出口および液相排出口が備えられている、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
上記ベンチュリリアクタの上記液相ストリーム注入口は、1〜10個の液相分配器に接続されており、当該液相分配器は、上記直線反応管の中心線に配置されており、上方から下方に吸収液を噴射することができる、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
上記ベンチュリリアクタの液相ストリーム注入口は、4〜6個の液相分配器に接続されており、当該4〜6個の液相分配器は、上記直線反応管の中心線に配置されており、上方から下方に吸収液を噴射することができる、請求項28に記載の装置。
【請求項31】
上記ベンチュリリアクタの上記供給部の上端には、歯形溝が開設されており、当該歯形溝の構造は、扇形歯形溝、四角形歯形溝、および三角形歯形溝からなる群から選択される一種である、請求項27〜30の何れか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本開示は、酸性ガス浄化の分野に関する、酸性ガスを処理するための方法、およびこれの装置を提供する。本開示は、特に、水硫化物を含む酸性ガスを浄化およびリサイクルするための方法、ならびに、これの装置に関する。
【0002】
〔背景技術〕
精油所における、実質的にH
2SおよびCO
2を含む酸性ガスは、主に酸性水ストリッパー、再生水素脱硫装置、乾燥ガス脱硫装置などから生じる。一般的に、ほとんどの小規模精油所における酸性ガスは、基本的に、燃焼された後、排出される。この方法は、一方では、資源の無駄であって、他方では、環境保護に甚大なプレッシャーをもたらし、ビジネスの発展に影響を与える。環境を保護し、資源の十分な利用を確保するために、小規模精油所における酸性ガスリサイクルは、かなり必須である。
【0003】
中規模および大規模精油所において、酸性ガスは、主に、硫黄を調製するために使用される。硫黄の調製は、一般的に、2つの工程を経由し、すなわち、1つは、溶媒吸収工程に加えて、二次的クラウス工程、排気水素付加工程を含み、もう1つは、Merichem Companyによって開発された、ガステクノロジーに焦点をおいたLO−CAT工程を採用している。
【0004】
溶媒吸収工程を加えた、二次的クラウス工程、排気水素付加工程は、工程成熟、安定した作業、および、硫黄の安定した製品品質によって特徴づけられる。しかし、長い工程手順および大きい投資のため、クラウス工程は、高濃度酸性ガスの処理のために使用され得るのみである。作業の難しさは、ガス中のH
2Sの体積分率が20%より低い場合に発生する。結果として、クラウス工程は、5000tより多い硫黄年間排出量を有する装置に適している。
【0005】
LO−CAT工程は、99.9%を超えるH
2Sの除去率で、直接、H
2Sを硫黄元素に変換させるために、マルチキレート化された鉄触媒を使用する。LO−CAT工程は、酸性ガスの大量な変動、および0%から100%の範囲におけるH
2Sの濃度変動などの、種々の作業条件に適応させ得る。それゆえ、LO−CAT工程は、種々の条件における種々のソースを処理することに、実用的に使用され得る。加えて、LO−CAT液体酸化還元工程は、有毒化学物質を使用せず、有害な副産物も生じないだろう。さらに、環境的に安全な触媒は、工程において、絶えず再生され得る。しかし、LO−CAT工程は、高い作業コスト、クラウス工程において達成し得る硫黄よりも劣った硫黄の純度および色、および、生産工程において生じる硫黄粒子によるブロッケージの発生、が生じやすい。それゆえ、LO−CAT工程は、5000tを下回る年間硫黄生産の装置において、より低い経済効率を伴う(溶媒吸収工程に加えて、二次的クラウス工程、排気水素付加工程による達成よりも)。
【0006】
小規模精油所は、比較的少ない量の酸性ガスを生じるため、ここでの、溶媒吸収工程を加えた、二次的クラウス工程、排気水素付加工程は、長い工程手順、複雑化した作業、大きな投資、および乏しい規模利益の問題を生じやすい。そして、また、小規模精油所におけるLO−CAT工程の使用は、一回限りの大きな投資、触媒および特許ライセンス料の高いコストなどの問題に至る。それゆえ、少ない量の酸性ガスを生じる小規模精油所は、H
2Sを再生し、亜硫酸を調製する、より少ない投資を必要とする、新しい脱硫工程を採用し得る。新しい工程において、酸性ガスは、最初に、燃焼させられ、SO
2を生じ、次いで、これは、硫酸溶液を生成するために、化学的吸収のための吸着カラムに注がれる。その後、分離、乾燥および他の手順を通して固体亜硫酸生成物が調製され得る形態である亜硫酸の液体または結晶生成物を生産するために、溶液は、塩基性吸着剤と反応させられる。新しい工程は、短い手順、単純な反応、および柔軟性のある作業によって、特徴づけられ、小規模精油所における酸性ガスの変動によって製造工程に課せられる影響に適応され得る。固体または液体生成物は、異なる手順を選択することにより、製造され得て、異なる吸収剤は、異なるタイプの亜硫酸を製造し得る。排気排出基準は、排気ガスを浄化する目的を達成するように、3つの段階の吸収を通して、達成し得る。しかし、実際の製造過程においては、深刻な装置の腐食、および高いメンテナンスコストの問題が存在する。
【0007】
CN101143714Aは、高い濃度の炭化水素とともに、酸性ガスにより、硫酸を調製するための方法を開示している。酸性ガスである硫化水素は、各々、燃焼に応じて、第一硫化水素燃焼炉および第二硫化水素燃焼炉に入る。第一燃焼炉から排出する高温の炉頂ガスは、最初に、炉頂ガス冷却機を通して、空気により一定の温度まで冷却され、次いで、炉頂ガス中の硫化水素および残留空気を含む追加酸性ガスと燃焼させるために、第二燃焼炉に入る。第二燃焼炉から排出する高温炉頂ガスは、蓄熱のための廃熱ボイラに入り、次いで、従来の酸生成のための浄化部、変換部、および乾燥吸収部に入る。この方法は、工業用硫酸の98%を生産することが可能なだけで、より高価値の発煙硫酸を生成することができない。一方、硫酸の運搬および貯蔵の難しさは、発展に重要な、精油所の近隣において、安定したマーケットを要求する。
【0008】
CN1836767Aは、精油所からの酸性ガスを処理するための方法を開示している。酸性ガスは、セメント工場の立窯において、燃料として使用される。窯の中の酸性ガスの燃焼中に、ここでのH
2S成分は、CaSO
4を生成するために、セメント材料と反応させられ、一方、他の有害な成分は、焼結され、その上、変換される。この方法は、セメント工場に燃料を提供し、環境を保護する、および燃料を提供するという二重の目的を達成する一方、酸性ガス処理の問題を根本的に解決する。ところが、この方法は、促進されるのにまた多少の限界があり、難しい。
【0009】
CN101337661Aは、水硫化ナトリウムを調製するための方法を開示する。カセイソーダおよび石灰クリームは、各々、中間溶液を生成するH
2SおよびCO
2を含む酸性ガスを吸収するために使用され、次いで、上記の2つの中間溶液は、低含有量の炭酸イオンを有する水流化ナトリウム生成物を得るために、一定の比で、混合される。この方法は、酸性ガス中で、高濃度のH
2Sを必要としないが、ここでの手順は、かなり長く、オートメーション化段階の低いものである。
【0010】
“Industrial technology of preparing sodium sulfide from absorption of hydrogen sulfide with sodium hydroxide solution”(Shang Fangyu, Inorganic Chemicals Industry, vol.44(2)、2012年2月)では、硫化ナトリウムを調製するための、水酸化ナトリウム溶液により硫化水素を吸収する工程を開示しており、ここでは、380g/Lから420g/Lの範囲にある濃度の水酸化ナトリウム溶液が、充填されたカラム中で、硫化水素を吸収するために使用される。反応の終わりでの、硫化ナトリウムの質量濃度は、95%から98%の範囲にある硫化水素の吸収速度で、330g/Lから350g/Lの範囲内にコントロールされる。この工程は、環境保護の効果的な方法を提供するだけでなく、会社のために利益を生み出す。しかし、工程における硫化ナトリウムは、簡単に変質しやすく、保管されるのが難しい。
【0011】
上記に基づいて、現在、小規模精油所は、酸性ガスを処理するための、包括的に良い(安全、環境に優しい、経済的な、等)工程の差し迫った必要性がある。
【0012】
〔発明の概要〕
従来技術における課題を解決するため、本開示は、酸性ガスを処理するための方法およびこれの装置を提供する。従来技術と比較して、酸性ガスを処理するための本開示の方法および装置は、酸性ガスが、要求された基準で排出されることを可能にし、所望のNaHS生成物を生産し、それゆえ、酸性ガス浄化および排気ガスの再利用の二重の目的を達成する。
【0013】
本開示の第一実施形態は、酸性ガスを処理するための方法に関し、下記を含む:
気相ストリーム1および液相ストリーム2を得るために、上記酸性ガスを受け取り、処理するための第一処理装置を使用することであって、上記ストリーム2は、部分的にまたは完全に、上記第一処理装置に再循環させられる、第一処理装置を使用すること、
気相ストリーム3、ならびにストリーム41、ストリーム42、およびストリーム43を含む3つのサブストリームに分離させられる液相ストリーム4を得るために、上記第一処理装置からの上記ストリーム1を処理するために第二処理装置を使用することであって、上記ストリーム41は、上記酸性ガスを処理するために使用される処理溶液として、上記第一処理装置に戻され、上記ストリーム42は、上記第二処理装置に再循環させられる、第二処理装置を使用すること、
気相ストリーム5、ならびにストリーム61およびストリーム62を含む2つのサブストリームに分離させられる液相ストリーム6を得るために、上記第二処理装置からの上記ストリーム3を処理するための第三処理装置を使用することであって、上記ストリーム61は、上記ストリーム1を処理するために使用される処理溶液として、上記第二処理装置に戻され、上記ストリーム62は、上記第三処理装置に再循環させられる、第三処理装置を使用すること、および、
気相ストリーム7、ならびにストリーム81およびストリーム82を含む2つのサブストリームに分離させられ得る液相ストリーム8を得るために、上記第二処理装置からの上記ストリーム43を受け取り、かつ上記第三処理装置からの上記ストリーム5を処理するための処理溶液として上記ストリーム43を使用するための第四処理装置を使用することであって、上記ストリーム81は、処理溶液として、上記第三処理装置に戻され、上記ストリーム82は上記第四処理装置に再循環させられる、第四処理装置を使用すること。
【0014】
本開示の方法の、好ましい一実施形態において、上記酸性ガスは、硫化水素および二酸化炭素を含む。
【0015】
本開示の方法の、別の好ましい実施形態によると、処理剤は、上記第二処理装置および上記第三処理装置のそれぞれにおいて酸性ガスを処理するために、上記第二処理装置および上記第三処理装置に添加される。
【0016】
具体的に、本開示の方法のさらに好ましい実施形態において、上記第三処理装置において得られる上記ストリーム61は、上記処理剤と混合され、次いで、処理溶液として使用されるために、上記第二処理装置に送られる。
【0017】
本開示の方法の、別の好ましい実施形態において、上記第四処理装置において得られる上記ストリーム81は、上記処理剤と混合され、次いで、処理溶液として使用されるために、上記第三処理装置に送られる。
【0018】
本開示の方法の、別の好ましい実施形態において、上記第三処理装置は、1つ以上のリアクタを含み得る。すなわち、上記第三処理装置における上記酸性ガスが、多段階で処理され得る。
【0019】
本開示の方法の、別の好ましい実施形態において、上記処理剤は、アルカリを含む溶液、好ましくは、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、およびアンモニア水溶液からなる群から選択される少なくとも1つ、そして、より好ましくは水酸化ナトリウム溶液である。具体的に、本開示の上記酸性ガス吸着工程は、上記酸性ガスを処理し、NaHSを生成するために、主に、吸着溶液として、NaOH溶液を使用する。
【0020】
本開示のいくつかの好ましい実施形態において、上記第一処理装置は、NaHS溶液を排出しながら、制御され、これは、適格であるかを分析され、検査されたあと、連続的に、生成物ポンプ経由で、上記装置から汲み出される。
【0021】
本開示のいくつかの好ましい実施形態において、上記酸性ガスは、硫化水素を含み、H
2Sを含む種々のソースの酸性ガスであり得て、ここで、上記酸性ガス中のCO
2の体積分率は、7%未満、好ましくは、5%未満である。NaOH溶液の質量濃度は、20%から60%、好ましくは、32%から38%の範囲にある。
【0022】
本開示において、使用されるNaOH溶液量は、上記酸性ガス中のH
2SおよびCO
2の含有量により決定される、一定の設計値である。上記酸性ガスの量に基づいて、NaOH溶液の必要量は、酸性ガス中における、H
2SおよびCO
2の完全な反応を可能にするように計算される。上記NaOH溶液の設計値は、ここでの必要量の80%から99%、好ましくは、85%から95%である。
【0023】
本開示の方法において、上記NaOH溶液の添加量は、上記第四処理装置において処理された後の上記酸性ガス中の、5mg/Nm
3から30mg/Nm
3の範囲(排出基準の範囲内)にあるH
2S含有量を確保するように、制御バルブ経由で、上記第四処理装置において処理された後の上記酸性ガス中のH
2S含有量に従って、上記NaOH溶液の過剰な使用もなく、調製され得る。
【0024】
本開示の方法の好ましい一実施形態において、上記第一処理装置、上記第二処理装置、上記第三処理装置、および上記第四処理装置は、各々独立に、気泡カラムリアクタ、充填カラムリアクタ、衝突流リアクタ、回転床リアクタ、およびベンチュリリアクタからなる群から選択される。さらに好ましい実施形態において、上記第一処理装置および上記第二処理装置は、各々、ベンチュリリアクタであって、上記第三処理装置および上記第四処理装置は、各々、回転床リアクタである。さらに好ましい実施形態では、上記回転床リアクタの回転速度は、50rpmから5000rpm、好ましくは、150rpmから2000rpmの範囲内で、制御される。
【0025】
本開示の方法の好ましい一実施形態において、上記第一処理装置および上記第二処理装置における処理温度は、70℃から100℃、好ましくは80℃から95℃の範囲にある。
【0026】
本開示の方法の一実施形態において、上記第三処理装置および上記第四処理装置における処理温度は、60℃から90℃、好ましくは65℃から80℃の範囲にある。
【0027】
さらに好ましい実施形態において、上記ベンチュリリアクタは、液体ストリームを受け取り、蓄えるための上部液体貯蔵タンク、中間直線反応管、上記液体貯蔵タンクに伸び、スリーブ構造を形成する上部部分を有する供給部、および上記直線反応管の排出部の下部部分を経由して、上記直線反応管に接続されている下部ガス液体分離管を含む。上記液体貯蔵タンクは、処理されるガスを受け取るための気相注入口が備えられており、上記気相注入口は、上記直線反応管の上記供給部の上部注入口の上に配置されている。そして、上記液体貯蔵タンクは、側壁上に、再循環された液体を受け取るための循環液注入口が備えられており、これにより、上記循環液注入口に入る液体ストリームは、最初に、上記直線反応管の上記供給部の上部注入口下の空間にある上記液体貯蔵タンク中で保存され、上記液体が上記供給部上端のレベルにある場合には、溢れることになり、それゆえ、上記循環液注入口に入る液体ストリームは、さもなければ詰まりの原因になる上記直線反応管の上記内壁上における材料の結晶形成を防止するように、これの内壁上に液体フィルムを形成する。例えば、上記酸性ガスは、上記気相注入口を通って上記直線反応管に入り、上記処理溶液と反応し得て、直線反応管の上記壁上に吸収され得る結晶を生成する。
【0028】
さらに好ましくは、ベンチュリリアクタの上記直線反応管は、その管壁上に、処理溶液として液体ストリームを受け取るための液体ストリーム注入口が備えられており、ここで、上記液体ストリーム注入口は、上記液体貯蔵タンクおよび上記直線反応管の接続部分に隣接した位置に配置されており、上記ガス液体分離管は、気相排出口および液相排出口が備えられている。
【0029】
本開示の上記ベンチュリリアクタの、さらに好ましい実施形態において、上記ベンチュリリアクタの上記供給部は、歯形上端を有し、これは、扇歯形上端、四角歯形上端、および三角歯形上端からなる群から選択されるものであって、好ましくは、三角歯形上端である。
【0030】
本開示の上記ベンチュリリアクタの、さらに好ましい実施形態において、上記ベンチュリリアクタの上記液体ストリーム注入口は、液相分配器に接続されており、これは、上記直線反応管の上記中央ラインに備えられており、下方に、吸収液を注入することができ、ここで、液相分配器は、1対10、好ましくは4対6に調節し得る。
【0031】
本開示のいくつかの好ましい実施形態において、上記第一処理装置に戻される上記ストリーム2の一部の量と上記ストリーム1の全量との流量比は、1:3から9:10、好ましくは、5:6から8:9の範囲にある。
【0032】
本開示の、いくつかのさらに好ましい実施形態において、
図3に示された上記ベンチュリリアクタは、上記第一処理装置として使用され、上記第一処理装置に再循環させられる上記ストリーム1は、完全にまたは部分的に、上記循環液注入口および吸収液注入口の各々を経由して、上記第一処理装置(ベンチュリリアクタ)に入り、ここで、循環液注入口を経由して上記第一処理装置に入る上記ストリームと上記吸収液注入口を経由して上記第一処理装置に入るストリームとの流量比は、1:6から1:2、好ましくは1:4から1:3の範囲にある。
【0033】
本開示の、いくつかの好ましい実施形態において、上記第二処理装置に戻される上記ストリーム42の量と上記ストリーム4の量との流量比は、1:3から9:10、好ましくは、5:6から8:9の範囲にある。
【0034】
本開示の、さらに好ましい実施形態において、
図3に示された上記ベンチュリリアクタは、上記第二処理装置として使用され、上記第二処理装置に再循環させられる上記ストリーム42は、循環液注入口および吸収液注入口の各々を経由して、上記第二処理装置(ベンチュリリアクタ)に入り、ここで、上記循環液注入口を経由して、上記第二処理装置に入るストリームと、上記吸収液注入口を経由して、上記第二処理装置に入るストリームとの流量比は、1:6から1:2、好ましくは1:4から1:3の範囲にある。
【0035】
本開示の、いくつかの好ましい実施形態において、吸収液として上記第四処理装置に入る上記ストリーム43と上記ストリーム4との流量比は、1:4から1:2、好ましくは1:3から2:5の範囲にある。
【0036】
本開示の、いくつかの好ましい実施形態において、上記第三処理装置に戻される上記ストリーム62と上記ストリーム6との流量比は、1:3から9:10、好ましくは5:6から8:9の範囲にある。
【0037】
本開示の、いくつかの好ましい実施形態において、上記第四処理装置に戻される上記ストリーム82と上記ストリーム8との流量比は、1:3から9:10の範囲にあり、好ましくは5:6から8:9である。本開示のいくつかの好ましい実施形態において、上記第二処理装置に添加される処理剤(好ましくは、NaOH溶液)と、上記第三処理装置に添加される処理剤との流量比は、1:1から3:1、好ましくは3:2から5:2の範囲にある。
【0038】
本開示の工程において、上記第四処理装置において処理された後の酸性ガスは、排出される前に、コアレッサを通して、さらに曇りを取り除かれる。
【0039】
本開示の第二実施形態によると、これは、下記を含む、酸性ガスを処理するための装置に関する:
気相ストリーム1および液相ストリーム2を得るために、酸性ガスを受け取り、処理するための第一処理装置であって、上記ストリーム1が、部分的にまたは完全に、上記第一処理装置に再循環させられる、第一処理装置、
上記第一処理装置に接続されている第二処理装置であって、気相ストリーム3、ならびにストリーム41、ストリーム42およびストリーム43を含む3つのサブストリームに分離させられる液相ストリーム4を得るために、上記第一処理装置からの上記ストリーム1を処理するために使用される上記第二処理装置であり、当該ストリーム41は、酸性ガスを処理するために使用される処理溶液として、上記第一処理装置に戻され、当該ストリーム42は、上記第二処理装置に再循環させられる、第二処理装置、
上記第二処理装置に接続されている第三処理装置であって、気相ストリーム5、ならびにストリーム61およびストリーム62を含む2つのサブストリームに分離させられる液相ストリーム6を得るために、上記第二処理装置からの上記ストリーム3を処理するために使用される上記第三処理装置であり、当該ストリーム61は、上記ストリーム1を処理するために使用される処理溶液として、上記第二処理装置に戻され、当該ストリーム62は、上記第三処理装置に再循環させられる、第三処理装置、
上記第二処理装置および上記第三処理装置それぞれに接続されている第四処理装置であって、気相ストリーム7ならびに、ストリーム81およびストリーム82を含む2つのサブストリームに分離させられ得る液相ストリーム8を得るために、上記第二処理装置からの上記ストリーム43を受け取るために、かつ上記第三処理装置からの上記ストリーム5を、処理溶液として、上記ストリーム43で処理するために使用される上記第四処理装置であり、当該ストリーム81は、処理溶液として、上記第三処理装置に戻され、当該ストリーム82は、上記第四処理装置に再循環させられる、第四処理装置。
【0040】
本開示の装置の、好ましい一実施形態において、上記第一処理装置、上記第二処理装置、上記第三処理装置、および上記第四処理装置は、各々独立に、気泡カラムリアクタ、充填カラムリアクタ、衝突流リアクタ、回転床リアクタ、およびベンチュリリアクタからなる群から選択される。
【0041】
本開示の装置の好ましい一実施形態において、上記第一処理装置および上記第二処理装置は、各々、ベンチュリリアクタであって、上記第三処理装置および上記第四処理装置は、各々、回転床リアクタである。さらに好ましい実施形態において、上記回転床リアクタの回転速度は、50rpmから5000rpm、好ましくは150rpmから2000rpmの範囲内で制御される。
【0042】
本開示の装置の、好ましい一実施形態において、上記ベンチュリリアクタは、液体ストリームを受け取り、蓄えるための上部液体貯蔵タンク、中間直線反応管、上記液体貯蔵タンクに伸び、スリーブ構造を形成する上部部分を有する供給部、および上記直線反応管の排出部分の下部部分を経由して、上記直線反応管に接続されている下部ガス液体分離管を備える。上記液体貯蔵タンクは、処理されるガスを受け取るための気相注入口が備えられており、上記気相注入口は、上記直線反応管の上記供給部の上部注入口の上に配置されている。そして、上記液体貯蔵タンクは、側壁上に、再循環された液体を受け取るための上記循環液注入口が備えられており、上記循環液注入口は、上記直線反応管の上記供給部の上記上部注入口の下に配置され、これにより、上記循環液注入口に入る液体ストリームは、最初に、上記直線反応管の上記供給部の上部注入口下の空間にある上記液体貯蔵タンク中で保存され、上記液体が上記供給部上端のレベルにある場合に、溢れることになり、それゆえ、循環液注入口に入る液体ストリームは、さもなければ詰まりの原因になる上記直線反応管の上記内壁上における原料の結晶形成を防止するように、これの内壁上に液体フィルムを形成する。例えば、上記酸性ガスは、上記気相注入口を通って上記直線反応管に入り、上記処理溶液と反応し得て、直線反応管の上記壁上に吸収され得る結晶を生成する。
【0043】
さらに好ましい実施形態において、上記ベンチュリリアクタの上記直線反応管は、その管壁上に、処理溶液として液体ストリームを受け取るための液体ストリーム注入口が備えられており、ここで、上記液体ストリーム注入口は、上記液体貯蔵タンクおよび上記直線反応管の接続部分に隣接した位置に配置されている。
【0044】
本開示の上記ベンチュリリアクタの、さらに好ましい実施形態において、上記ベンチュリリアクタの上記供給部は、歯形上端を有し、これは、扇歯形上端、四角歯形上端、および三角歯形上端からなる群から選択されるものであって、好ましくは、三角歯形上端である。
【0045】
本開示の上記ベンチュリリアクタの、さらに好ましい実施形態において、上記ベンチュリリアクタの上記液体ストリーム注入口は、液相分配器に接続されており、これは、上記直線反応管の上記中央ラインに備えられており、下方に、吸収液を注入することができ、液相分配器は、1対10、好ましくは4対6に調節し得る。
【0046】
本開示の酸性ガスを処理するための上記装置において、コアレッサは、上記第四処理装置の上記気相排出口およびこれの排出口パイプラインの間に備えられる。上記コアレッサは、これの上部ヘッド、下部ヘッド、および円筒形スクリーンが備えられている、円筒形バレルの形状である。上記コアレッサは、最終浄化ガスを得るために、上記第四処理装置によって処理された上記酸性ガスを、さらに処理するために使用される。
【0047】
本開示の酸性ガスを処理するための上記装置において、上記ベンチュリリアクタの上記ガス液体分離管は、どんな中間生成物の結晶形成でも防げるように、85℃から120℃、好ましくは90℃から95℃の範囲内で温度を調節するための温度調節装置が備えられている。
【0048】
従来技術と比較して、本開示の酸性ガスを処理するための上記方法および上記装置は、次の効果を有する。
【0049】
始めに、本開示の酸性ガスを処理する上記方法は、四段階ガス液体二相逆流吸収反応の工程を採用しており、ここで、ストリームの自己循環および再吸収手順が、提供され、それゆえ、反応を改善し、上記ストリームおよび上記酸性ガス間の十分な接触を可能にする。結果として、液相生成物のNaHSは、4%未満のNa
2S含有量により、国際品質基準が保証される。上記ストリームの上記循環は、上記塩基性溶液が上記酸性ガスと十分に接触することを可能にし、上記浄化ガス中における、30mg/Nm
3未満のH
2S含有量に結果としてなり、酸性ガス処理が行われた後の上記排気ガスが排出基準に達し得るという目的の達成を確実にする。
【0050】
次に、本開示の酸性ガスを処理するための上記方法において、各々の上記段階(上記第二処理装置および上記第三処理装置)における、上記NaOH溶液を添加することによる、異なる段階における反応強度の調節、および、反応熱へのピークロードシフト処理は、処理装置の異なる段階における温度が適切な範囲内にコントロールされることを確実にする。それゆえ、さもなければ、部分結晶化および、これによる反応停止を生じるであろうホットスポットの形成を、防ぐことができる。
【0051】
その上、本開示の酸性ガスを処理するための上記方法において、CO
2およびH
2Sを含む上記ガスの処理において、吸収液として上記第四処理装置中への、Na
2CO
3を多く含む上記第二処理装置中で得られる上記ストリームの循環は、CO
2の交換のためにH
2Sを吸収する目的を実現する。それゆえ、上記酸性ガス中のCO
2含有量は減少させられ、ゆえに、液体生成物中に形成されるNa
2CO
3含有量およびNaHCO
3含有量を減少させる。そのため、結晶の沈殿を防ぐことができ、これにより、上記装置の長期間の運転を確実にする。
【0052】
さらに、本開示の上記ベンチュリリアクタが、上記第一処理装置または上記第二処理装置として使用される場合、上記ストリームは、上記ベンチュリリアクタの上記循環液注入口を通って、上記リアクタの上記液体貯蔵タンクに入る。上記循環液の高さが、上記供給部の上記注入口の上にある場合、上記循環ストリームは溢れ、壁流の形態で、上記リアクタの上記壁全体にわたって、散布される。それゆえ、同種の液体フィルムは、上記リアクタの上記内壁上に形成され、セパレーターとして働き、これは、リアクタの内壁に付着する結晶の沈殿を防ぐだけでなく、反応熱を吸収する熱吸着媒体にもなり、それゆえ、効果的に、上記ストリームの過剰な蒸発を防ぐ。
【0053】
さらに、本開示の酸性ガスを処理するための上記装置は、物質移動および反応効率を改善し得る、ガス液体リアクタとして、回転充填床を用いる。効率的な物質移動装置として、上記回転床リアクタは、高速反応、より少ない副反応、および生成物中の不純物のより低い含有量を確実にする。一方、回転床リアクタの物質移動効率は、通常の塔リアクタの数百倍であるため、上記リアクタの規模は、著しく縮小し得る。Na
2CO
3の微(nano)結晶は、上記液体の運搬において、Na
2CO
3結晶によるパイプの詰まりを防ぐように、上記酸性ガス中のCO
2およびNaOHの間の反応において、形成される。高速回転床におけるストリームは、ストリームの向上した混合を達成するため、上記回転床の内壁上に、激しく衝突する。床を通って流れる場合、上記ストリームは、連続的に、上記床によって、液滴、液体スレッド、または液体フィルムに、カットされ、表面のリニューアルおよび上記高粘度ストリームの混合を大いに達成し、これの濃度差を取り除き、Na
2CO
3の微(nano)結晶を形成する。
【0054】
加えて、本開示の上記方法および上記装置は、特に、小規模精油所における、酸性ガスを処理することに適している。従来技術と比較して、本開示の装置は、印刷および染色、製紙などの産業において使用するために、簡単に運搬され得るNaHS製品を生産するのに、小規模、低エネルギー消費、および低い運転コストである。それゆえ、本開示の上記方法および上記装置は、確実なマーケットバリューを有する。
【0055】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、本開示の酸性ガスを処理するための方法および装置の略図である。
【0056】
図2は、本開示の酸性ガスを処理するための別の方法および装置の略図である。
【0057】
図3は、本開示の酸性ガスを処理するための方法および装置におけるベンチュリリアクタの略図である。
【0058】
図4は、比較例4における、50時間の運転後の第一リアクタの内部を示す。
【0059】
図5は、実施例2における、600時間の運転後の第一ベンチュリリアクタの内部を示す。
【0060】
図において、同一の参照番号が、各々、同一の装置のために使用される。
【0061】
〔発明を実施するための形態〕
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を記載する目的のためだけであって、本発明を限定する意図はない。本明細書で使用される場合、単数の形態、“a”、“an”および“the”は、文脈が明らかに他の方法で示していないかぎり、複数の形態も含む。用語“含む”および/または“含んでいる”は、本明細書で使用される場合、言及された特徴、整数値、工程、操作、要素、および/または成分の存在を明記しているが、1以上の別の特徴、整数値、工程、操作、要素の群、成分、および/もしくはこれらの群の存在または追加を排除しないことはさらに理解されるだろう。
【0062】
“含んでいる(including)”、“備えている(comprising)”、“有する(having)”、“含んでいる(containing)”または“含んでいる(involve)”、およびこれらの変化は、広範囲であって、列挙されてない同義語および追加対象と同様に、これ以降に列挙された対象を含有することを意図している。さらに、組成物、要素の群、工程または手順、または別の任意の表現は、移行句である“備えている”、“含んでいる(including)”または“含んでいる(containing)”によって前置きされる場合はいつでも、移行句である“本質的に〜からなる”、“からなる”または“からなる群から選択される”を伴った同一の組成物、要素の群、工程または手順または別の任意の表現は、組成物の列挙、要素の群、工程または手順または別の任意の表現に先立つことを、本明細書において、意図されることも理解される。
【0063】
対応する構造、材料、行為、および本請求項における機能要素を加えたすべての手段または工程の同義語は、適用できる場合、任意の構造、材料、または詳細に請求された、別の請求された要素と組み合わせた機能を実行するための行為を含むことを意図している。本発明の記載は、例証および説明の目的のために与えられているが、網羅することまたは開示された形態における発明に限定することは意図していない。多くの改良および変更は、本発明の範囲および精神から外れることがなければ、当業者には明白だろう。本明細書に記載された本実施形態は、本発明および実践的な応用の原理をもっとも好ましく説明するために、そして意図した特定の使用に適した種々の改良を有する種々の実施形態のための本発明を、別の当業者が理解することを可能にするために、選択され、記述された。従って、本発明が実施形態に関して記述されているかぎり、当業者は、本発明が、改良を伴って、そして添付された特許請求の範囲の精神および範囲において、実施され得ることを理解するだろう。
【0064】
次の例は、より詳細に本開示を説明するために使用されるが、本開示の範囲を制限するためではない。
【0065】
本開示の方法は、吸収溶液として、NaOHで、溶液精油所において生成される酸性ガスを処理し、NaHS生成物を生産するために使用され、ここで、四段階のガス液体二相逆流吸収反応工程が使用される。
【0066】
図1は、本開示の酸性ガスを処理するための装置の第一実施形態を図示しており、当該装置は、第一処理装置3、第二処理装置4、第三処理装置6、第四処理装置8、第三中間タンク7、第四中間タンク9、およびコアレッサ2を含む。第一処理装置3、第二処理装置4、第三処理装置6、および第四処理装置8は、各々、気相注入口、気相排出口、液相注入口、および液相排出口がそれぞれ配置されている。酸性ガス注入口ライン1は、第一処理装置3の上端に備えられた気相注入口に接続されている。第一処理装置3の気相排出口は、第二処理装置4の気相注入口に接続されている。第四処理装置4の気相排出口は、第三処理装置6の気相注入口に接続されている。第三処理装置6の気相排出口は、第四処理装置8の気相注入口に接続されている。第四処理装置8の気相排出口は、硫化水素含有量検出装置5が備えられている浄化ガス排出口ライン11に接続されている。第二処理装置4および第三処理装置6の液相注入口は、ライン13および14を経由して、各々、塩基性溶液注入口ライン10に接続されている。第四処理装置8の液相排出口は、第四中間タンク9を経由して、2つの支流に分離されており、第一支流17は第三処理装置6の液相注入口に接続され、第二支流16は第四処理装置8の液相注入口に接続されている。第三処理装置6の液相排出口は、第三中間タンク7を経由して、2つの支流に分離されており、第一支流18は第三処理装置6の液相注入口に接続され、第二支流19は第二処理装置4の液相注入口に接続されている。第二処理装置4の液相排出口は、3つの支流に分離されており、第一支流20は第二処理装置4の液相注入口に接続され、第二支流21は第一処理装置3の液相注入口に接続され、第三支流15は第四処理装置8の液相注入口に接続されている。第一処理装置3の液相排出口は、2つの支流に分離されており、第一支流22は第一処理装置3の液相注入口に接続され、第二支流12は生成物排出ラインに接続されている。
【0067】
本開示の酸性ガスを処理するための方法は、最初に、酸性気相注入口ライン1から第一処理装置3に、酸性ガス(H
2SおよびCO
2を含む)を供給することを含み、ここで酸性ガスは、第二処理装置4からの生成液と接触し、反応して、2つの支流に分離される液体を生成する。当該支流の第一支流22は第一処理装置3の液相注入口に接続され、第二支流12は生成物排出ラインに接続されている。第一処理装置3において処理された後の酸性ガスは、第二処理装置4に入り、第三処理装置6からの生成液およびこの中のNaOH溶液と接触し、反応して、3つの支流に分離される液体を生成する。この支流の第一支流第二生成液21は、液相注入口を経由して、吸収液として第一処理装置3に入り、第二支流第二生成液20は、第二処理装置4に入り、そして第三支流第二生成液15は、吸収液として第四処理装置8に入る。第二処理装置4において処理された後の酸性ガスは、第三処理装置6に入り、第四処理装置8からの生成液およびこの中のNaOH溶液と反応し、第三中間タンク7に入る液体を生成し、次いで、2つの支流に分離される。この支流の第一支流19は、ラインを経由して、吸収液として第二処理装置4に入り、第二支流18は、ラインを経由して、第三処理装置6に再循環させられる。第三処理装置6において処理された後の酸性ガスは、第四処理装置8に入り、第二処理装置4からの第三支流第二生成液15と反応する。反応させられた後の酸性ガスは、さらに、コアレッサ2を経由して、曇りを取り除かれ、次いで、排出基準が満たされた状態で、浄化ガス排出口ライン11を経由して排出される。次いで、生成液は、第四中間タンク9に入り、2つの支流に分離され、この支流の第一支流17は、第三処理装置6に吸収液として入り、第二支流16は、ラインを経由して、第四処理装置8に再循環させられる。
【0068】
図2は、酸性ガスを処理するための装置の第二実施形態を示す。当該装置は、第一処理装置3、第二処理装置4、第三処理装置6、第四処理装置8、第三中間タンク7、第四中間タンク9、およびコアレッサ2を含み、ここで、第一処理装置および第二処理装置の両方ともが、
図3に示されたベンチュリリアクタを使用している。
【0069】
ベンチュリリアクタは、3つの部分:液体ストリームを受け取り、蓄えるための上部液体貯蔵タンク34;供給部33、収縮部37、スロートパイプ部38、拡張部39および排出部40を含む中間直線反応管30、液体貯蔵タンク34に伸び、スリーブ構造を形成する上部部分を有する直線反応管30の供給部33;および、直線反応管30の排出部40の下部部分を経由して、直線反応管30に接続されている下部ガス液体分離管41を含む。液体貯蔵タンク34は、気相注入口31が備えられており、気相注入口は、供給部33の上部注入口の上に配置されている。そして、液体貯蔵タンク34は、これの側壁上に循環液注入口32が備えられている。直線反応管30は、これの管壁上に、吸収液注入口35が備えられており、ここで、吸収液注入口35は、スロートパイプ部38の上に備えられ、液相分配器36に接続されている。ガス液体分離管41は、気相排出口42および液相排出口43が備えられている。
【0070】
第三処理装置6および第四処理装置8は、各々、気相注入口、気相排出口、吸収液注入口、および液相排出口が配列されている。酸性ガス注入口ライン1は、第三処理装置3の気相注入口に接続されている。第一処理装置3の気相排出口は、第二処理装置4の気相注入口に接続されている。第二処理装置4の気相排出口は、第三処理装置6の気相注入口に接続されている。第三処理装置6の気相排出口は、第四処理装置8の気相注入口に接続されている。第四処理装置8の気相排出口は、硫化水素含有量検出装置5が備えられている浄化ガス排出口ライン11に接続されている。第二処理装置4および第三処理装置6の液相注入口は、ライン13および14を経由して、各々、塩基性溶液注入口ライン10に接続されている。第四処理装置8の液相排出口は、第四中間タンク9を経由して、2つの支流に分離されており、この支流の第一支流17は第三処理装置6の吸収液注入口に接続され、第二支流16は第四処理装置8の吸収液注入口に接続されている。第三処理装置6の液相排出口は、第三中間タンク7を経由して、2つの支流に分離されており、第一支流18は第三処理装置6の吸収液注入口に接続され、第二支流19は第二処理装置4の液相注入口に接続されている。第二処理装置4の液相排出口は、4つの支流に分離されており、第一支流20は第二処理装置4の吸収液注入口に接続され、第二支流21は第一処理装置3の吸収液注入口に接続され、第三支流24は第二処理装置4の循環液注入口に接続され、第四支流15は、第四処理装置8の吸収液注入口に接続されている。第一処理装置3の液相排出口は、3つの支流に分離され、この支流の第一支流22は、第一処理装置3の吸収液注入口に接続され、第二支流12は、生成物排出ラインに接続され、第三支流23は、第一処理装置3の循環液注入口に接続されている。
【0071】
本開示の酸性ガスを処理するための方法は、最初に、酸性ガス注入口から第一処理装置3へ酸性ガスを供給することを含み、ここで、酸性ガスは、第二処理装置4からの生成液と接触し、反応して、3つの支流に分離される液体を生成する。当該支流の第一支流22は、第一処理装置3の液相注入口に接続され、第二支流は、生成物排出ラインに接続され、第三支流23は、第一処理装置のベンチュリリアクタの循環液注入口32を経由して、液体貯蔵タンク34に入る。液体貯蔵タンク中の循環液の高さが、供給部33の注入口より上にある場合、循環生成液は、溢れ、壁流の形態で、当該処理装置の直線反応管30の壁全体にわたって散布される。それゆえ、同種の液体フィルムは、当該処理装置の直線反応管30の内壁上に形成され、セパレーターとして働き、これは、当該処理装置の直線反応管30の内壁に付着する結晶の沈殿を防ぐだけでなく、反応熱を吸収する熱吸着媒体にもなり、それゆえ、結晶を形成する生成液の過剰な蒸発を効果的に防ぐ。第一処理装置3において処理された後の酸性ガスは、第二処理装置4に入り、第三処理装置6からの生成液およびNaOH溶液と接触し、反応して、4つの支流に分離される液体を生成する。この支流の第一支流生成液21は、液相注入口を経由して、吸収液として第一処理装置3に入り、第二支流生成液20は、第二処理装置4に入り、第三支流生成液24は、循環液注入口を経由して、第二処理装置4に入り、そして第四支流15は、第四処理装置8の吸収液注入口に接続されている。第一処理装置3における場合のように、循環液は、第二処理装置4において、溢れ、壁流の形態で、第二処理装置4の直線反応管の壁全体にわたって散布される。それゆえ、同種の液体フィルムは、当該処理装置の内壁上に形成され、セパレーターとして働き、これは、当該処理装置の内壁に付着する結晶の沈殿を防ぐだけでなく、反応熱を吸収する熱吸着媒体にもなり、それゆえ、結晶を形成する当該ストリームの過剰な蒸発を効果的に防ぐ。第二処理装置4において処理された後の酸性ガスは、第三処理装置6に入り、第四処理装置8からの生成液およびこの中のNaOH溶液と反応し、第三中間タンク7に入り、次いで2つの支流に分離される液体を生成し、この支流の第一支流19は、ラインを経由して、吸収液として第二処理装置4に入り、第二支流18は、ラインを経由して、第三処理装置6に再循環させられる。第三処理装置6において処理された後の酸性ガスは、第四処理装置8に入り、第二生成液の第四支流15と反応する。反応させられた後の酸性ガスは、さらに、コアレッサ2を経由して、曇りを取り除かれ、排出基準が満たされた状態で、浄化ガス排出口ライン11を経由して排出される。これの生成液は、第四中間タンク9に入り、2つの支流に分離され、この支流の第一支流17は、第三処理装置6に、吸収液として入り、第二支流16は、当該ラインを経由して、第四処理装置8に再循環させられる。
【0072】
本開示の酸性ガスを処理するための方法は、次の4つのステップを含む。
【0073】
(1)第一処理装置3における反応
第一処理装置3における主な反応は次の通りである。処理された酸性ガスは、第二生成液(Na
2S、Na
2CO
3およびNaHCO
3を含む混合液)と反応させられる。第二生成液中のNa
2CO
3、NaHCO
3およびNa
2Sは、過剰な量のH
2Sと反応させられ、各々、第一処理装置において、2つの支流に分離させられるNaHS溶液を生成し、この支流の第一支流は、最終生成物タンクに供給され、第二支流は、第一処理装置3に供給される。
【0074】
(2)第二処理装置4における反応
第二処理装置4における主な反応は、次の通りである。排出基準をまだ満たしていないが、減少した濃度のH
2Sを有する第一反応排出ガス(第二反応の気相)は、第三処理装置6の生成液およびNaOH溶液(第二ステージ反応の液相処理剤)と反応させられる。これによって、当該気相は、浄化させられ、一定濃度のNa
2S溶液が作られる。Na
2S溶液は、さらなる反応のために、第一処理装置3に、吸収液として部分的に運ばれ、第二処理装置4に、部分的に再循環させられ、第四処理装置8に、吸収液として部分的に入る。
【0075】
(3)第三処理装置6における反応
第三処理装置6における主な反応は、次の通りである。排出基準をまだ満たしていないが、著しく減少した濃度のH
2Sを有する第二反応排出ガス(第三反応の気相)は、第四反応からの生成液およびNaOH溶液(第三反応の処理剤)と反応させられる。NaOHおよびNa
2Sの混合溶液は、少し過剰な量のH
2Sと反応させられ、Na
2SおよびNaHSを生じる。第三処理装置において得られた生成液は、吸収液の深い吸着および熱循環を達成するように、二つの支流に分離させられ、この支流の第一支流は、吸収液として、第二処理装置4に入り、第二支流は、循環のために第三処理装置6に入る。
【0076】
(4)第四処理装置8における反応
第四処理装置8における主な反応は、次の通りである。排出基準に実質的に到達した、きわめて低濃度のH
2Sを有する第三反応の排出ガス(第四反応の気相)は、Na
2CO
3を多く含む、第二反応の生成液(第四反応の処理剤)と反応させられる。Na
2CO
3は、H
2Sの吸収を実現してCO
2と交換するように、少量のH
2Sと反応させられ、少量のNa
2Sを生成する。従って、酸性ガス中のCO
2量は、液相生成物中で生成されたNa
2CO
3およびNaHCO
3の量を減少するように、減少させられる。それゆえ、結晶が、沈殿させられることを妨げられ得て、装置の長期間運転は保証され得る。第四処理装置において得られた生成液は、吸収液の深い吸着および熱循環を達成して、浄化ガスの排出基準を満たすことを確実にするように、2つの支流に分離され、この支流の第一支流は、第三処理装置に、吸収液として入り、第二支流は、循環のために、中間タンクを経由して、第四処理装置に入る。
【0077】
本開示の効果は、具体的な実施例に関して、詳細に、説明されるだろう。
【0078】
〔実施例1〕
酸性ガスは、
図1に示された方法および装置を使用して、NaOH溶液と反応させられた。酸性ガス中のCO
2、H
2Sおよび炭化水素の体積分率は、各々、7%、92%、および1%であった。NaOH溶液の質量濃度は、38%であった。
【0079】
この実施例において、第一処理装置3および第二処理装置4は、ベンチュリリアクタであって、一方、第三処理装置6および第四処理装置8は回転床リアクタであった。
【0080】
この実施例において、第一処理装置3から来て、第一処理装置3に再循環させられた第二支流生成液22と、第一処理装置において生成させられた生成液の全量との流量比は、5:6であった。第二処理装置4から来て、第二処理装置に再循環させられた第二支流生成液20と、第二処理装置において生成させられた生成液の全量との流量比は、2:6であった。第四処理装置8に入る第二生成液と、第二処理装置4において生成させられた生成液の全量との流量比は、1.5:6であった。第三処理装置6から来て、第三処理装置6に再循環させられた第二支流生成液18と、第三処理装置において生成させられた生成液の全量との流量比は、5:6であった。第四処理装置8から来て、第四処理装置8に再循環させられた第二支流生成液16と、第四処理装置において生成させられた生成液の全量との流量比は、5:6であった。
【0081】
この実施例において、第二処理装置4に添加されたアルカリと、第三処理装置6に添加されたアルカリとの流量比は、2:1であった。
【0082】
第一処理装置3における反応温度、および第二処理装置4における反応温度は、それぞれ、80℃であった。第三処理装置6における反応温度、および第四処理装置8における反応温度は、それぞれ、75℃であった。第三処理装置6における回転床の回転速度、および第四処理装置8における回転床の回転速度は、それぞれ、1500rpmであった。第三処理装置6における反応ストリームの滞留時間、および第四処理装置8における反応ストリームの滞留時間は、それぞれ、10秒間であった。反応結果は、表1に示された通りである。
【0083】
〔実施例2〕
図2に示された方法および装置が使用された。この実施例において、第一処理装置3および第二処理装置4は、
図3に示されたベンチュリリアクタであって、一方、第三処理装置6および第四処理装置8は、回転床リアクタであった。
【0084】
この実施例において、吸収液注入口を経由して、第一処理装置3から来て、第一処理装置3に再循環させられた生成液と、第一処理装置3において生成させられた生成液の全量との流量比は、5:8であった。そして、循環液注入口32を経由して、第一処理装置3から来て、第一処理装置3に再循環させられた生成液と、第一処理装置3において生成させられた生成液の全量との流量比は、5:24であった。
【0085】
吸収液注入口を経由して、第二処理装置4から来て、第二処理装置4に再循環させられた生成液21と、第二処理装置4において生成させられた生成液の全量との流量比は、5:8であった。循環液注入口を経由して、第二処理装置4から来て、第二処理装置4に再循環させられた生成液24と、第二処理装置4において生成させられた生成液の全量との流量比は、5:24であった。そして、第二処理装置4から来て、第四処理装置8に入った第二生成液15と、第二処理装置4において生成させられた生成液の全量との流量比は、1:12であった。
【0086】
第三処理装置6から来て、第三処理装置6に再循環させられた第二支流生成液18と、第三処理装置6において生成させられた生成液の全量との流量比は、5:6であった。そして、第四処理装置8に再循環させられた第二支流生成液16と、第四処理装置8において生成させられた生成液の全量との流量比は、5:6であった。
【0087】
この実施例において、第二処理装置4に添加されたアルカリと第三処理装置6に添加されたアルカリとの流量比は、2:1であった。
【0088】
第一処理装置3における反応温度、および第二処理装置4における反応温度は、それぞれ、80℃であった。第三処理装置6における反応温度、および第四処理装置8における反応温度は、それぞれ、75℃であった。第三処理装置6における回転床の回転速度、および第四処理装置8における回転床の回転速度は、それぞれ、1500rpmであった。第三処理装置6における反応ストリームの滞留時間、および第四処理装置8における反応ストリームの滞留時間は、それぞれ、10秒間であった。反応結果は、表1に示された通りである。
【0089】
〔比較例1〕
NaOH溶液が異なるステージで添加される代わりに、第四処理装置8において全部添加された以外は、実施例1のステップが同一の条件下で繰り返された。結果は、表1に示されている。
【0090】
〔比較例2〕
NaOH溶液が異なるステージで添加される代わりに、第四処理装置8において全部添加された以外は、実施例2のステップが同一の条件下で、繰り返された。結果は、表1に示されている。
【0091】
〔比較例3〕
第四反応の吸収液である第二生成液を入れなかった(cancelled)以外は、実施例1のステップが同一の条件下で、繰り返された。結果は、表1に示されている。
【0092】
〔比較例4〕
NaOH溶液が異なるステージで添加される代わりに、第四処理装置8において全部添加され、かつ、第四反応の吸収液である第二生成液を入れなかった(cancelled)以外は、実施例1のステップが同一の条件下で、繰り返された。結果は、表1に示されている。
【0094】
表1の結果は、比較例の方法および装置により、本開示の方法および装置により得られるのと大体同じH
2S含有量を含む浄化ガスが得られ、すなわち、両方とも、H
2Sの良好な処理効果を達成し得る一方で、本開示の方法および装置は、より長い運転周期を有することを示している。
【0095】
さらに、本開示の効果を説明するために、
図4および5は、各々、比較例4における50時間の運転後の第一リアクタの内部、および実施例2における600時間の運転後の第一リアクタの内部を示すために与えられている。
図4および5から、本開示の
図3に示されたベンチュリリアクタを使用した実施例2の第一リアクタは、600時間の運転後において、少しも結晶または汚れがなく、なめらかで、きれいな内壁を有していることが見られ、これは、装置の長期間の安定な運転を確実にしている。しかし、液体貯蔵タンクを使用しなかった比較例4の第一リアクタは、たった50時間の運転後においても、その内壁において、結晶形成の兆しがあった。
【0096】
当業者には認識されるであろうが、上記の機能および/または工程は、システム、方法またはコンピュータープログラム製品として、形態を与えられてもよい。例えば、機能および/または工程は、コンピュータープロセッサーにより検索され実行される場合、本明細書に記載された実施例の機能および/または工程を実行するために、計算システムを制御する、コンピューターが読み込み可能な記憶装置に記録されたコンピューターが実行可能なプログラム命令として、実行されてもよい。一実施形態において、コンピューターシステムは、1以上の中央処理装置、コンピューターメモリ(例えば、読取専用メモリ、ランダムアクセスメモリ)、およびデータ記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ)を含み得る。コンピューターが実行可能な命令は、任意の適したコンピュータープログラム言語(例えば、C++、JAVA(登録商標)など)を使用して、エンコードされ得る。従って、本発明の態様は、完全なソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなど)、またはソフトウェアおよびハードウェアの態様を兼ね備えている実施形態を採ってもよい。
【0097】
上記の実施例は、どのような意味においても、本開示を限定するものではなく、説明するために使用されるのみであることに注意すべきである。本開示は、好ましい実施例を参照して論じられてきたが、採用された用語および表現は、本開示を限定するものではなく、記述し、説明するためのものであると理解されるべきである。本開示は、特許請求の範囲内で、変更され得て、本開示の範囲または意図から外れることなく、補正され得る。本開示は、特定の方法、材料、および実施例で記載されているが、本明細書の本開示の範囲は、上記の詳しく開示された実施例によって、限定されるべきではなく、同様の機能を有する別の方法および使用に拡張され得る。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【
図1】
図1は、本開示の酸性ガスを処理するための方法および装置の略図である。
【
図2】
図2は、本開示の酸性ガスを処理するための別の方法および装置の略図である。
【
図3】
図3は、本開示の酸性ガスを処理するための方法および装置におけるベンチュリリアクタの略図である。
【
図4】
図4は、比較例4における、50時間の運転後の第一リアクタの内部を示す。
【
図5】
図5は、実施例2における、600時間の運転後の第一ベンチュリリアクタの内部を示す。