(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、時間基準取得部と表示部を一体の装置とすることに拘らず、多様な時間の表現を実現することを目的とする。また、現在時刻を表示するだけでなく、スケジュール管理をはじめとする付加的機能を持たせることも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の時間表現ユニットは、
1個以上任意個数の第1サブユニットと、1個以上任意個数の第2サブユニットとから構成される時間表現ユニットであって、
前記の各第1サブユニットは、
現在時刻を取得する時間基準取得手段と、
取得した現在時刻を含む指示情報を前記の各第2サブユニットへ送出する指示手段を備え、
前記の各第2サブユニットは、
前記第1サブユニットから送出される情報を受け付ける指示受信手段と、
前記第1サブユニット以外の外部からの情報の入力を可能とする外部入力手段と、
前記指示受信手段および前記外部入力手段が受け付けた情報に従って、
現在時刻または現在時刻とは異なる時間を示す情報を表現する出力手段と、
前記出力手段によって制御される自走手段を
備えることを特徴とする。
このように、
現在時刻を取得する機能と時間を表現する機能とが別装置によって行われるので、従来の時計よりも多様な時間表示が可能となる。本発明は従来の時計に比べて時間の表示態様が多岐にわたるため、時間の「表示」というよりも時間の「表現」と称するのが適切である
。
「指示情報」として現在時刻等の時間に関する情報は必須である。なぜなら、本発明の時間表現ユニットの第1の役割は時計としての機能の提供であるからである。他に、時間に関する情報の出力の仕方やタイミング、第2サブユニットの移動するべき位置(或は、方向と距離)等も指示情報に含まれる。
【0007】
外部入力手段を備えたことにより、第2サブユニットは、外部から種々の情報の入力ができる入力装置として機能することができ、且つ入力された種々の情報に基づき出力ができる出力装置として機能することもできる。
「第1サブユニット以外の外部からの情報」とは、この時間表現ユニットを使用している者が、第2サブユニットを現在位置から他に移動させたり、第2サブユニットのケースに取り付けられているスイッチ類を操作したり、外部からの通信で入力したりすることに意味づけられている情報である。たとえば、第2サブユニットの出力手段が特定の時刻に匂いを発生させる機能を備え且つ匂いの発生のオン/オフを切り替えるスイッチがある場合、匂いの発生を停止させるための手動によるスイッチのオフや外出時にスマートフォン等の携帯端末から停止コマンドを送信することは「外部からの情報」の一例である。
【0008】
また、
本発明の時間表現ユニットは、
自走手段を備えたことにより、次のような時間表現が可能となる。すなわち、前記第1サブユニットから離れた位置に置いた前記第2サブユニットに目標時刻を設定し、設定した目標時刻が前記第1サブユニットが取得した
現在時刻に近づくに従い、前記第2サブユニットを前記第1サブユニットに向かって自走させ、第1サブユニットと第2サブユニット間の移動に従い減少する距離を
、現在時刻とは異なる時間を示す情報とすることもできる。
【0010】
また、第2サブユニットが2個以上有る場合、前記指示手段は、各々の第2サブユニットの指示受信手段に指示情報を送出し、これらの第2サブユニットが連携して、
現在時刻または現在時刻とは異なる時間を示す情報を表現するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、時間基準取得機能と時間表示機能とを1個の装置で実現するのではなく、時間表示機能を時間基準取得機能から独立させたので、時間の表現の自由度が従来よりも高まる。その結果、単なる時刻の取得ではなくより高次の時間管理・スケジュール管理等が可能となる。さらに、これまでの「時計」の概念を超えて、時間管理を行おうとする利用者のための補助機能(例えば教育用ツールとしての機能、アミューズメント機能、利用者への癒し機能等)を付加させることも可能となるのである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔第1の実施形態〕
本発明の時間表現ユニットの最小限の構成は1個の第1サブユニットと1個の第2サブユニットである。このように最低2個のサブユニットが必要な理由は、本発明の主たる目的が、従来の時計では一体であった時間基準取得部と表示部とを分離する点にあるからである。
図1(1)に示す従来の時計100では、時間基準取得のための脱進機や水晶発振子等が収納されたケース101に表示部102が含まれている。これに対し、本実施形態の時間表現ユニット1は、
図1(2)のように、時間基準取得のための装置類(ケース2に格納されている)と表示部3とが別になっている。
【0015】
図2に示すように、この実施形態の時間表現ユニット1は、1個の第1サブユニットAと1個の第2サブユニットBから構成される。
第1サブユニットAは、時間基準を取得する時間基準取得手段4と、現在時刻等の時間に関する情報を含む指示情報を第2サブユニットBへ送出する指示手段5を備えている。
第2サブユニットBは、第1サブユニットAからの指示情報を受け付ける指示受信手段6と、第1サブユニットA以外の外部からの情報の入力を可能とする外部入力手段7と、時間に関する情報を表現する出力手段8を備えている。また、第2サブユニットBは自走可能であれば、移動手段9も備えている。
【0016】
第1サブユニットAと第2サブユニットBのそれぞれには、図示しない記憶媒体とその読み書き装置、または不揮発性メモリや揮発性メモリ(ROM,RAM等),CPU、DSP,FPGA、CPLD等の演算装置(記憶素子内包型も含める)等がバスで接続されて回路基板(図示せず)上に搭載されている。ROMに記憶されたコンピュータプログラムがCPUによって実行されることにより、第1サブユニットAの時間基準取得手段4、指示手段5及びその他の手段が実現され、第2サブユニットBの指示受信手段6、外部入力手段7、出力手段8およびその他の手段の機能が実現される。
【0017】
第1サブユニットAの時間基準取得手段4は、水晶発振式でも電波時計式でも何でもよい。
指示手段5は、時間基準取得手段4から出力された計時用基準信号に基づいて現在時刻を取得するとともに、この現在時刻と必要な指示情報とを第2サブユニットBに送出する。指示情報の送出は電波でも赤外線でもどのような手段によってもよい。
ここで、第1サブユニットAと第2サブユニットBは、第1サブユニットAの指示手段5からの指示情報が第2サブユニットBの指示受信手段6によって取得可能であれば、何処に配置されてもよい。なお、第1サブユニットAと第2サブユニットBを同一の室内に配置するとは限らない。例えば、第1サブユニットAをビルの管理人室に設置し、第2サブユニットBを大きな液晶画面で形成し、これをビルの屋上に設置するといった実現方法もある。または、複数のビルにまたがってそれらの屋上や壁面に巨大なサブユニットを設置する方法もある。さらに、相対する2棟のビルのそれぞれが第1サブユニットAと第2サブユニットBを備え、各ビルの第2サブユニットBが他方のビルの壁面に時間情報を表示させてもよい。つまりビル間で時間情報を互いに投影しあうのである。
【0018】
第2サブユニットBの指示受信手段6は、電波や赤外線等の可視光を含む遠隔通信手段媒体を受信できるのであれば、どのような構造でもよい。
第2サブユニットBに対して利用者による手動の操作が可能である。第2サブユニットBの外部入力手段7は、配置位置の変更、無線等による信号の受信、外部からの光・音・振動・熱・気圧・湿度を含む刺激が与えられたことにより、ユーザによる動作指示と認識する。そのため、外部入力手段7には、これらを認識するセンサー類等も含まれる。また、外部入力手段7にはスイッチや英数字を入力できるタッチパネル等も適宜含まれる。
【0019】
第2サブユニットBの出力手段8は、時間に関する情報を表現できるのであれば、どのような態様のものでもよい。
指針によって時刻をアナログ表示したり数値等でデジタル表示したりするのは勿論のこと、音や匂い等によって表示してもよい。また、正時等の特定の時間にミストを噴出したり、外部にある紙やカーテン等のシート状のものに文字や図形を投影したりしてもよい。つまり、出力手段8は表示の態様によって、指針であったり、デジタル表示画面であったり、ミスト噴出装置であったり、スピーカであったり、光学的投影器であったりする。あるいは、分針や秒針のかわりとして時間の変化にともない第2サブユニットB自体が場所を移動することで時間を表現する場合は、出力手段8が自走手段9の動作を制御する。このように、第2サブユニットBによって、さまざまな態様の出力手段8を備えうるが、いずれの第2サブユニットBも、指示受信手段6あるいは外部入力手段7によって受け付けられた情報に基づいて、出力手段8が時間表現を行う点で共通する。
【0020】
第1サブユニットAは、家庭用のコンセントからケーブルで給電してもよく、電池を電源としてもよい。これに対し、第2サブユニットBは、室内の任意の場所に置いたり、自走させたりするので、(第2サブユニットBのサイズにもよるが)ケーブルが不要な電池等の使用が望ましい。あるいは、第1サブユニットAが指示情報を電波に乗せて送信する場合、第2サブユニットB側の電波を受信するアンテナ(図示せず)を介して給電してもよい。
【0021】
この実施の形態では、第1サブユニットAと第2サブユニットBとが異なる手段を有するものとして説明した。しかし、1個のサブユニットに、時間基準取得手段4、指示手段5、指示受信手段6、外部入力手段7、および出力手段8をすべて備えさせ、時には第1サブユニットとして機能させたり、時には第2サブユニットとして機能させたりしてもよい。
【0022】
この実施形態の時間表現ユニット1は第2サブユニットを1個備えていた。しかし、2個以上にしたり、複数ある第2サブユニットそれぞれの時刻表示を同一の態様にしたり異なる態様としたりすれば、さらに活用の余地が広がる。第2以下の実施形態で、順次その活用法を説明していく。
【0023】
〔第2の実施形態〕
この実施形態は、
図3に示すように第2サブユニットDが複数個ある。
例えば、第1サブユニットCからの指示情報の届く範囲に5個の第2サブユニットD(D1,D2,D3,D4,D5)が配置されている。これらのサブユニットを何処(天井、壁、床、家具の設置可能面等)にどのように(取付位置、取付方法、取付方向等)置くかは利用者の自由である。例えば、あるサブユニットは柱の天井に近い位置、別のサブユニットは机の上、他のサブユニットは本箱の棚の上といったように3次元空間の任意の位置に配置してもよい。あるいは、フロアやテーブルの上などの2次元平面上の任意の位置や、長いテーブルや棚の上に直線状に配置してもよい。
第1サブユニットCの指示手段5が各第2サブユニットDに現在時刻を送出すると、これを受けて各サブユニットD1〜D5の出力手段8は、それぞれの態様で現在時刻を表示する。
【0024】
例えば、第1サブユニットCから現在時刻午後3時が送られてくると、第2サブユニットD1は、指針を備えた時計のように、アナログ時計風に短針と長針を描画して3時を表示する。午前3時と午後3時を区別するために、午前と午後とで背景色を変えてもよい。
なお、指針を描画する場合、1つの第2サブユニットに時針、分針、秒針がそろっていなくてもよく、いずれか1つ或は2つ有るだけでもよい。
第2サブユニットD2は、英数字でデジタル表示する。
第2サブユニットD3は、音声で時刻を知らせる。
第2サブユニットD4は、近くにあるシート10上に時刻情報を投影表示し、第2サブユニットD5は、光の点で表した時刻情報を床に投影表示する。このとき投影対象はシートや部屋の壁・床・天井のほか、隣接ビルの壁面等何でもよい。なお、第2サブユニットD5は、筒状の筐体の上端近くに等間隔で小孔が設けられ、時刻に応じた個数分の小孔から光を通すものであるが、小孔の形状は円形状でもスリット状でも何でもよい。また、小孔の位置は投影対象を考慮して決めればよい。
また、ミストを噴出して所定の時刻の到来を告げてもよい(図示せず)。例えば、白いミストに時刻を表す数字を投影したり、時刻によってミストの色を変化したりする表現方法がある。これらは癒しの効果も生ずる。
【0025】
第2サブユニットDに対して外部から指示をすることもできる。たとえば、第2サブユニットD3にはスイッチが取り付けられていて、夜間にスイッチをオフにすると、音声出力機能を停止させることができる。
要は、同一の時刻を複数の態様で表現できるということである。ところで、この実施形態であれば、従来の指針を備えたアナログ時計、デジタル時計、匂い時計等を複数配置すれば同様な効果が得られるようにも思う。しかし、複数の時計を配置するのであれば、時計ごとに少しずつ時刻が異なっているかもしれない。しかし、時刻の取得は第1サブユニットCの機能であって、これから複数の第2サブユニットDに通知されるので、複数の第2サブユニットDは同一の時刻を表現できる。
【0026】
第2サブユニットは、何らかの手段で時間に関する情報を出力できればよく、各第2サブユニットは、それぞれ独立して各自の態様で時間を表示する。ある第2サブユニットは音で、別の第2サブユニットは匂いで、といったように1つの部屋の中で複数の方法で時間が表現されると、お化け屋敷のようなアミューズメントの分野でも本発明が利用できる。
さらに、重度の知的障害者を対象とした福祉の分野でも利用できる。知的障害の程度によっては、「1」や「2」といった数字を見ても、それが順序や量を表わしていると認識できないと言われている。したがって、例えば「8:00」と表示されているのを見ても、それが8時という時刻を表しているとは理解できない。そのため、8時に薬を服用させたいとき、時計が「8:00」を表示した時に薬を飲むように言っても分からせることは困難である。もし、時刻毎に異なる動物の絵が表示される第2サブユニットを用意し、8時になるとウサギの絵が表示されるように設定しておけば、ウサギの絵が表れたときに薬を飲むように仕向けることは可能である。
【0027】
〔第3の実施形態〕
上記の実施の形態では、1個の第2サブユニットが単独で時刻を表示していた。この実施の形態では、複数の第2サブユニットが連携し、「時」を表示する第2サブユニットと、「分」を表示する第2サブユニットと、「秒」を表示する第2サブユニットが、それぞれ点滅あるいは位置の移動をすることにより、総体として1個の時刻を表示する。
【0028】
図4では、第1サブユニットEが中央の位置にあり、これを中心とする半径の異なる3つの仮想的な円(R1,R2,R3)がある。最も内側の円周R1上に12個の第2サブユニットFhが等間隔に並んでいる。次の円周R2上には1個の第2サブユニットFmが分針の先端と同様に移動し、最も外側の円周R3上には1個の第2サブユニットFsが秒針の先端と同様に移動する。第2サブユニットFhは現在の時間に該当すると点灯するようにしてもよく、12個を配置する代わりに、1個を円周上を移動させてもよい。
図4は、1時を表すアワーマーカの位置に配置された第2サブユニットFhが点灯され、分針に相当する第2サブユニットFmが10分の位置にあり、秒針に相当する第2サブユニットFsが15秒の位置にあるので、現在時刻は1時10分15秒であることがわかる。これらの第2サブユニットF(Fh,Fm,Fs)の点灯や移動は第1サブユニットEから送出される指示情報に基づいて行われる。そのためには、各第2サブユニットは識別番号を付与されており、例えば、第2サブユニットFmを移動させるためには、第2サブユニットFmの識別番号と移動させる位置とを指示すればよい。
【0029】
この実施形態もさまざまな変形例があり、
図5に示すのもその一つである。
図4では第2サブユニットFを円周上に配置したり移動させたりしていたが、
図5ではアワーマーカに相当する第2サブユニットFhを直線上に配置し、分針・秒針に相当する第2サブユニットFmと第2サブユニットFsを直線上を左から右に向かって移動させている。第2サブユニットFmと第2サブユニットFsは右端に達したなら、ただちに左端に移動する。
【0030】
〔第4の実施形態〕
複数の第2サブユニットが総体として現在時刻を表す場合、第3の実施形態では、各第2サブユニットが円周上或は直線上に配置されていた。
しかし、この実施形態では、所定の時刻が到来すると、任意の位置にあった第2サブユニットのそれぞれを所定の位置に移動させて、これらの第2サブユニットが集合して形成した形状によって現在時刻を表示する。
【0031】
例えば、
図6(1)のように、第2サブユニットHは各自デジタル表示やアナログ表示をしながら、正時以外はばらばらに配置されている。そして、正時(
図6の例では4時)になると、第1サブユニットGは、第2サブユニットHのそれぞれに対して識別番号と移動位置とを送出する。
図6(2)は、ばらばらであった第2サブユニットHが指示された位置まで自走し、整列して数字「4」を形成した状態を示す。所定の時間が経過後、ばらばらの位置に移動し、正時になると整列するという動作を繰り返すことになる。
例えば、専用のボードとともに販売し、床やテーブルの上に置いたボードの上に各サブユニットを適宜配置し、正時がくると整列する幼児用の知育玩具として販売してもよい。これを利用して幼児は時間の感覚を養うとともに数字を覚えることになる。
【0032】
〔第5の実施形態〕
上記の実施形態では、出力手段8は時間に関する情報を可変表示するが、この実施形態では固定表示(例:特定の文字や記号が印刷・刻印等)と可変表示(例:移動)を組み合わせる。
この実施形態では、第2サブユニットJにアワーマーカに相当する数字(1〜12、あるいは1〜24)が1個ずつ刻印されている。
図7(1)は、数字7が表面に刻印された第2サブユニットJを示す。
【0033】
視覚障害者であれば音声で時刻を知ることができる。しかし、視覚障害者であって聴覚障害者でもある場合、触覚や嗅覚に頼ることになる。
図7(2)に示すのは触覚を利用する例である。専用ボード上に1〜12の数字が1個ずつ刻印された第2サブユニットJを12個並べる。例えば7時になったら、数字7が刻印された第2サブユニットJが自走して利用者の手元近くに移動してくる。この例では、第1サブユニットIは、ボードの左上にあるが、何処においてもよい。また、振動によって時刻を知らせることもできるが、これは触覚利用の一態様である。
嗅覚を利用する例として、昼食時の午後12時には餃子の匂い、就寝時刻の午後11時にはラベンダーの匂いといったように匂いで時間を表現する方法等が考えられる。
このように、本発明の時間表現ユニットは視覚や聴覚に障害を持つ人にとっての時間管理用の補助手段としての意義も有する。
【0034】
〔第6の実施形態〕
第1〜第5の実施形態は、本発明の時間表現ユニットを時計として機能させようとするものである。
しかし、時刻を知らせるという時計本来の用途に限らず、時間に関する情報を管理するためのツールとして活用しうる。
この実施形態は、スケジュール管理に活用するものであり、
図8に従い説明する。
【0035】
第1サブユニットKは第2サブユニットLと同様に時間を表示する機能も兼ね備えており、その表示部は現在時刻14:00を表示している。このとき、18:00に外出を予定している利用者は第2サブユニットLの外部入力手段7を介して目標日時である18:00をセットする。そして、第1サブユニットKと距離がS1離れた位置に第2サブユニットLを置く(
図8の(1))。この距離S1と目標までの時間4時間とが対応する。
図8の(2)は、第1サブユニットKが現在時刻16:00を表示している状態を示している。目標まで2時間となったので、距離S2が距離S1の半分になるように第2サブユニットLが移動する。
図8の(3)は、第1サブユニットKが現在時刻18:00を表示している状態を示している。目標時間が来たので、距離S3が0となり、利用者は外出する時間になったことが直ちにわかる。
つまり、スケジュール管理ソフトのアラームに類似した機能である。但し、音声で知らせるのではなく、視覚的に予定の時間になったことを知らせる。
【0036】
ここで第2サブユニットLは、目標時間18:00を入力する入力装置であり、且つ目標時間になるまで第1サブユニットKに向かって移動する出力装置でもある。
このような活用の仕方は、従来の時計の機能にはなかったものである。
なお、この実施形態では、第1サブユニットが取得した
現在時刻を、第2サブユニットがそのまま表示するのではなく、第1サブユニットへ向かっての移動として表現する。この自走動作によって時間の経過に従い変化する距離そのものが、
現在時刻から派生した情報であり、請求項1にいう「
現在時刻とは異なる時間を示す情報」の一例である。
【0037】
〔第7の実施形態〕
この実施形態は、サブユニットのそれぞれが同等の機能を有し、他のサブユニットを制御する第1サブユニットの役割を果たしたり、他のサブユニットによって制御される第2サブユニットの役割を果たしたりする。
このような活用の仕方を、
図9に従い説明する。
【0038】
ある広大な大陸があり、地点P1〜P5は、隣接地点と経度が15度離れており、現在時刻はそれぞれ異なるものとする。地点P2に配置されたサブユニットM2が他のサブユニットの時刻表示を制御している場合、地点P2の現在時刻が3時のとき、他のサブユニットに表示すべき時刻を通知する。例えば、経度が30度東に離れた地点P4に置かれたサブユニットM3には5時を表示するように指示する。
【0039】
次に地点P5に配置されていたサブユニットM4を
図9(2)に示すように地点P3に移動させる。
図9(1)では、地点P5の現在時刻が6時なので、地点P3の現在時刻が6時となり、このサブユニットM4が他のサブユニットの時刻表示を更新させる。地点P3よりも経度が30度西に位置する地点P1の時刻表示は4時に変わる。
従来の世界時計にはない、遊びの要素が加味されている。
【0040】
〔その他の実施形態〕
上記の実施形態は、本発明の活用法の例示にすぎず、さまざまな変形が考えうる。
例えば、従来の時計のアワーマーカは等間隔に並んでいる。しかし、時刻の確認が必要になるのは、夜勤や勉強をしている場合等をのぞき、通常朝6時頃から夜10時頃である。この時間帯だけをサブユニットを増やして細かく表示してもよい。
【0041】
ところで、海外でも現在の日本でも時計は1日を24等分する定時法を採用している。しかし、江戸時代から明治初期にかけての日本では和時計が使用されていた。この和時計は日の出から日の入りの間、ならびに日の入りから日の出までの間をそれぞれ6等分する不定時法を採用していた。季節によって日の出と日の入りの時間は変化するので、昼夜の時間の間隔は一定でない。このような世界でも珍しい不定時法を用いる和時計は、明治初年をもって実用に供されなくなり、今では博物館等でしか見ることが出来なくなった。
本発明の時間表現ユニットは、和時計風に時間を表現することもできる。例えば、サブユニットに組み込んだソフトウェアによって、季節に応じて昼夜の時間を切り替えて変化させるならば時計というよりも和風のインテリア用品となる。サブユニットに切替スイッチ等を設け、定時法と不定時法による時間表現を切替えられるようにしてもよい。本来の和時計は15日ごとに時間の間隔を変えていた。しかし、サブユニットに、毎日の日の出と日の入りの時刻を記憶させておくならば、日の出と日の入りに合わせて昼間と夜間の時間の間隔を毎日変化させることができる。
なお、この和時計風の時間表現は、第1サブユニットが取得した
現在時刻を、第2サブユニットがそのまま表示するのではない。この不定時法に変換された情報は
現在時刻から派生したものであり、請求項1にいう「
現在時刻とは異なる時間を示す情報」の一例である。
【0042】
本発明の時間表現ユニットは、一般家庭や事務所において使用されるだけでなく、さまざまな場所での使用の余地がある。例えば、鉱山などの作業現場でも活用されうる。
鉱山や地下室で長時間作業している人たちにとって、地上の様子がわからない。第2サブユニットを作業場の任意の箇所に配置し、各第2サブユニットを明度に配慮して点灯し、或は消灯し、第2サブユニット全体の照明の具合によって朝なのか夕方なのか夜間なのか視覚的に直感できるようにしてもよい。