特許第6684546号(P6684546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6684546顔面付着異物吸引除去装置およびその吸引口具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684546
(24)【登録日】2020年4月1日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】顔面付着異物吸引除去装置およびその吸引口具
(51)【国際特許分類】
   A47K 7/04 20060101AFI20200413BHJP
   B01D 46/02 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   A47K7/04
   B01D46/02 Z
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-100663(P2015-100663)
(22)【出願日】2015年5月18日
(65)【公開番号】特開2016-214428(P2016-214428A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】391061794
【氏名又は名称】三共空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】池田 忠夫
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3086668(JP,U)
【文献】 実開昭54−007764(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 7/04
B01D 46/00−46/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーンルームおよび食品工場等の清浄度が要求される空間に入室する作業者の顔面に付着している抜けた睫毛、抜けた眉毛および塵埃等の異物をエアとともに吸引して除去する顔面付着異物吸引除去装置に使用される吸引口具であって、
下端部に吸引管の先端部に接続される下方に開口した下接続口部を有し、上端部に前方に開口した上接続口部を有し、かつ長さ中間部に把持部を有している縦長中空状のボディと、
ボディの上接続口部に着脱自在に接続されて吸引口を構成するアタッチメントとを備えており、
アタッチメントが、複数の吸引孔があけられたほぼ垂直な円板状の蓋板部と、蓋板部の周縁から前方に突出しかつ先端に向かって次第に径が大きくなるテーパ筒状の口枠部と、蓋板部の周縁付近から後方に突出した横断面環状または欠環状の嵌合部とを備えていて、全体がプラスチック成形品によって一体に形成されており、
ボディの上接続口部の内面の先端部分に、上接続口部の奥に向かって次第に径が小さくなるテーパ面よりなるアタッチメント受け部が設けられており、
嵌合部の外周面は、アタッチメント受け部に嵌め入れられるように後端に向かって次第に径が小さくなるテーパ面となされており、また、嵌合部の外周面に、アタッチメント受け部に押し付けられる1本または複数本の環状凸条が形成されている、顔面付着異物吸引除去装置の吸引口具。
【請求項2】
クリーンルームおよび食品工場等の清浄度が要求される空間に入室する作業者の顔面に付着している抜けた睫毛、抜けた眉毛および塵埃等の異物をエアとともに吸引して除去する顔面付着異物吸引除去装置に使用される吸引口具であって、
下端部に吸引管の先端部に接続される下方に開口した下接続口部を有し、上端部に前方に開口した上接続口部を有し、かつ長さ中間部に把持部を有している縦長中空状のボディと、
ボディの上接続口部に着脱自在に接続されて吸引口を構成するアタッチメントとを備えており、
アタッチメントが、底壁に複数の吸引孔があけられた紙コップよりなり、
ボディの上接続口部の内面に、アタッチメントを構成する紙コップの周壁の底壁側部分が取外し可能に嵌め入れられるテーパ状のアタッチメント受け部が設けられている、顔面付着異物吸引除去装置の吸引口具。
【請求項3】
クリーンルームおよび食品工場等の清浄度が要求される空間に入室する作業者の顔面に付着している抜けた睫毛、抜けた眉毛および塵埃等の異物をエアとともに吸引して除去する顔面付着異物吸引除去装置に使用される吸引口具であって、
下端部に吸引管の先端部に接続される下方に開口した下接続口部を有し、上端部に前方に開口した上接続口部を有し、かつ長さ中間部に把持部を有している縦長中空状のボディと、
ボディの上接続口部に着脱自在に接続されて吸引口を構成するアタッチメントとを備えており、
アタッチメントが、複数の吸引孔があけられた垂直な蓋板部と、蓋板部の周縁から前方に突出した口枠部と、蓋板部の周縁から後方に突出した横断面環状または欠環状の嵌合部とを備えている第1アタッチメント、および、底壁に複数の吸引孔があけられた紙コップよりなる第2アタッチメントのうち任意のいずれか一方のアタッチメントによって選択的に構成されており、
ボディの上接続口部の内面の先端部分に、第1アタッチメントの嵌合部が取外し可能に嵌め入れられる第1アタッチメント受け部が設けられ、ボディの上接続口部の内面における第1アタッチメント受け部の後方部分に、第2アタッチメントを構成する紙コップの周壁の底壁側部分が取外し可能に嵌め入れられるテーパ状の第2アタッチメント受け部が設けられている、顔面付着異物吸引除去装置の吸引口具。
【請求項4】
ボディの上部に、吸引圧を調整するための吸気孔が形成されている、請求項1〜のいずれか1つに記載の顔面付着異物吸引除去装置の吸引口具。
【請求項5】
クリーンルームおよび食品工場等の清浄度が要求される空間に入室する作業者の顔面に付着している抜けた睫毛、抜けた眉毛および塵埃等の異物をエアとともに吸引して除去する顔面付着異物吸引除去装置であって、
内部に集塵室を有するケーシングと、集塵室に出し入れ自在に収容された集塵袋と、ケーシング内に配置されて集塵室内のエアを吸引する送風機と、ケーシングおよび集塵室の壁を貫通して基端部が集塵袋に接続されている吸引管と、吸引管の先端部に接続されている吸引口具とを備えており、
吸引口具が、請求項1〜のいずれか1つに記載の吸引口具よりなる、顔面付着異物吸引除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、クリーンルームや食品工場の出入口等において、作業者の顔面に付着している異物を吸引除去するための装置、および同装置に使用される吸引口具に関する。
なお、この発明を特定する意味において、「顔面」には、顔面そのものの他、顔面に装着したゴーグル・マスク等の装着具の表面が含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
例えばクリーンルームや食品工場といった清浄度が要求される空間においては、これらの空間に塵埃等の異物が持ち込まれるのを回避するため、これらの空間の出入口の手前にエアシャワー装置を設置し、作業者に付着した塵埃等を除去することが一般に行われている。
しかしながら、エアシャワー装置のみでは、作業者の衣服のシワや織目に付着している異物まで完全に除去するのは困難であった。
【0003】
そこで、本出願人は、作業者の衣服に付着した塵埃等の異物をより確実に除去することが可能な衣服用塵埃除去装置を先に提案した(下記の特許文献1参照)。
この装置は、内部に集塵室を有するケーシングと、ケーシング内に配されて集塵室内の空気を集塵室外に排出する送風機と、基端が集塵室内に密に挿入され先端がケーシングから突出させられた可撓性を有する吸引管と、吸引管の基端に着脱自在に取り付けられた集塵袋と、吸引管の先端に設けられたブラシとを備えたものである。
上記装置によれば、クリーンルーム等に入室する作業者が、吸引管先端のブラシを衣服に沿わせて移動させることにより、衣服に付いた塵埃を効果的に除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3086668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、作業者によってクリーンルームに持ち込まれる異物には、衣服に付いた塵埃の他にもあった。すなわち、作業者の顔面には、抜けた睫毛や眉毛が付着していたり、塵埃が付着していたりすることがある。
しかしながら、エアシャワー装置や、上記の衣服用塵埃除去装置によっては、作業者の顔面に付着している抜けた睫毛・眉毛や塵埃等の異物を効果的に除去することができなかった。
また、作業者の顔面に付着した異物を吸引除去する場合、吸引口を顔面に当てる必要があるが、上記の衣服用塵埃除去装置のブラシは、構造上、顔面の吸引には適していない。さらに、顔面を吸引する場合、複数の作業者が同じ吸引口を共用するのは、衛生上好ましくないと考えられる。
【0006】
この発明の目的は、クリーンルーム等に入室する作業者の顔面に付着している異物を確実に吸引除去することができ、また、衛生的に使用することができる顔面付着異物吸引除去装置およびその吸引口具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の目的を達成するため、以下の態様からなる。
【0008】
1)下端部に吸引管の先端部に接続される下方に開口した下接続口部を有し、上端部に前方に開口した上接続口部を有し、かつ長さ中間部に把持部を有している縦長中空状のボディと、ボディの上接続口部に着脱自在に接続されて吸引口を構成するアタッチメントとを備えている、顔面付着異物吸引除去装置の吸引口具。
【0009】
2)アタッチメントが、複数の吸引孔があけられたほぼ垂直な蓋板部と、蓋板部の周縁から前方に突出した口枠部と、蓋板部の周縁付近から後方に突出した横断面環状または欠環状の嵌合部とを備えており、ボディの上接続口部の内面の先端部分に、アタッチメントの嵌合部が取外し可能に嵌め入れられるアタッチメント受け部が設けられている、上記1)の顔面付着異物吸引除去装置の吸引口具。
【0010】
3)アタッチメントが、底壁に複数の吸引孔があけられた紙コップよりなり、ボディの上接続口部の内面に、アタッチメントを構成する紙コップの周壁の底壁側部分が取外し可能に嵌め入れられるテーパ状のアタッチメント受け部が設けられている、上記1)の顔面付着異物吸引除去装置の吸引口具。
【0011】
4)アタッチメントが、複数の吸引孔があけられた垂直な蓋板部と、蓋板部の周縁から前方に突出した口枠部と、蓋板部の周縁から後方に突出した横断面環状または欠環状の嵌合部とを備えている第1アタッチメント、および、底壁に複数の吸引孔があけられた紙コップよりなる第2アタッチメントのうち任意のいずれか一方のアタッチメントによって選択的に構成され、ボディの上接続口部の内面の先端部分に、第1アタッチメントの嵌合部が取外し可能に嵌め入れられる第1アタッチメント受け部が設けられ、ボディの上接続口部の内面における第1アタッチメント受け部の後方部分に、第2アタッチメントを構成する紙コップの周壁の底壁側部分が取外し可能に嵌め入れられるテーパ状の第2アタッチメント受け部が設けられている、上記1)の顔面付着異物吸引除去装置の吸引口具。
【0012】
5)内部に集塵室を有するケーシングと、集塵室に出し入れ自在に収容された集塵袋と、ケーシング内に配置されて集塵室内のエアを吸引する送風機と、ケーシングおよび集塵室の壁を貫通して基端部が集塵袋に接続されている吸引管と、吸引管の先端部に接続されている吸引口具とを備えており、吸引口具が、上記1)〜4)のいずれか1つの吸引口具よりなる、顔面付着異物吸引除去装置。
【発明の効果】
【0013】
上記1)の顔面付着異物吸引除去装置の吸引口具によれば、作業者の顔面に触れる吸引口が、ボディの上接続口部に着脱自在に接続されるアタッチメントによって構成されているので、例えば作業者ごとに専用のアタッチメントを用意するか、あるいは、使い捨てのアタッチメントを用意しておき、使用の際に各作業者が同アタッチメントをボディの上接続口部に接続することにより、顔面に付着した異物の吸引除去を衛生的に行うことができ、各作業者も抵抗感なく使用することができる。
【0014】
上記2)の顔面付着異物吸引除去装置の吸引口具によれば、アタッチメントの嵌合部をボディの上接続口部の内面のアタッチメント受け部に嵌め入れるだけで、アタッチメントが上接続口部に接続され、また、アタッチメントを外す場合には、その嵌合部をアタッチメント受け部から抜き出せばよいので、アタッチメントの着脱操作を容易に行うことができ、使い勝手が良い。
また、上記2)の顔面付着異物吸引除去装置の吸引口具によれば、アタッチメントの蓋板部にあけられる吸引孔の大きさ、形状、数、配置等を適宜設定することにより、顔面に付着した異物の吸引除去に適した吸引条件が得られるので、その調整が容易となる。
このアタッチメントは、例えば合成樹脂成形品によって形成し、各作業者が自分専用のアタッチメントとして継続的に使用するのに適している。
【0015】
上記3)の顔面付着異物吸引除去装置の吸引口具によれば、アタッチメントが、底壁に複数の吸引孔があけられた紙コップよりなるので、低コストで大量に用意することができ、使い捨てに適している。
また、上記3)の顔面付着異物吸引除去装置の吸引口具によれば、アタッチメントを構成する紙コップの周壁の底壁側部分を、ボディの上接続口部の内面のアタッチメント受け部に嵌め入れることにより、アタッチメントが上接続口部に接続され、また、アタッチメントを外す場合には、紙コップの前記部分をアタッチメント受け部から抜き出せばよいので、アタッチメントの着脱操作を容易に行うことができ、使い勝手が良い。
さらに、上記3)の顔面付着異物吸引除去装置の吸引口具によれば、アタッチメントを構成する紙コップの底壁にあけられる吸引孔の大きさ、形状、数、配置等を適宜設定することにより、顔面に付着した異物の吸引除去に適した吸引条件が得られるので、その調整が容易となる。
【0016】
上記4)の顔面付着異物吸引除去装置の吸引口具によれば、上記2)の吸引口具のアタッチメントと同一である第1アタッチメント、および、上記3)の吸引口具のアタッチメントと同一である第2アタッチメントのうち任意の一方を選択して、ボディの上接続口部に接続すればよいので、設置場所の状況、目的、作業者の希望等に応じた選択的な使用が可能となり、より利便性が高められる。
【0017】
上記5)の顔面付着異物吸引除去装置によれば、送風機を作動させ、作業者が吸引口具の把持部を持って、吸引口を構成するアタッチメントの先端部を顔面に当てることにより、顔面に付着している異物を効果的にかつ確実に吸引除去することができる。
しかも、上記5)の顔面付着異物吸引除去装置によれば、吸引口具が上記1)〜4)のいずれか1つの吸引口具よりなるので、吸引除去を衛生的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の実施形態に係る顔面付着異物吸引除去装置の全体概略を示す部分切欠き正面図である。
図2】上記装置に使用される第1の態様の吸引口具であって、ボディと第1アタッチメントとを分離して示す斜視図である。
図3】ボディの上接続口部に第1アタッチメントを接続した状態の吸引口具を示す左側面図である。
図4図3のIV−IV線に沿う吸引口具の水平横断面図である。
図5図3のV−V線に沿う吸引口具の水平横断面図である。
図6図3のVI−VI線に沿う吸引口具の水平横断面図である。
図7】吸引口具の上部を拡大して示す垂直縦断面図である。
図8】上記装置に使用される第2の態様の吸引口具であって、ボディと第2アタッチメントとを分離して示す斜視図である。
図9】ボディの上接続口部に第2アタッチメントを接続した状態の吸引口具を示す左側面図である。
図10】上記装置の使用状態を示す斜視図である。
図11】上記吸引口具のボディから上接続口部を取り外して、吸引用ヘアーブラシを取り付ける工程を示す斜視図である。
図12】上記吸引口具のボディに吸引用ヘアーブラシを取り付けた状態を示す垂直縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の実施形態を、図1〜12を参照して説明する。
なお、以下の説明において、図3,7,9,12の各右を「前」、同左を「後」、同上下を「上下」といい、また、「左右」は前から見た場合の左右をいうものとする。
【0020】
図1に示すように、この発明の顔面付着異
物吸引除去装置(1)は、内部に集塵室(21)を有するケーシング(2)と、集塵室(21)に出し入れ自在に収容された集塵袋(3)と、ケーシング(2)内における集塵室(21)の下方に配置されて集塵室(21)内のエアを吸引する吸引ファン(送風機)(4)と、ケーシング(2)および集塵室(21)の壁を貫通して基端部が集塵袋(3)に接続されている吸引管(5)と、吸引管(5)の先端部に接続されている吸引口具(6)とを備えてなる。
吸引管(5)は、ケーシング(2)と吸引口具(6)との間の部分が、可撓性を有するフレキシブルホース等によって構成され、ケーシング(2)内に配された部分が、合成樹脂パイプ等によって構成されている。吸引管(5)の基端部は、ケーシング(2)の頂壁部および集塵室(21)の天井壁を貫通して集塵室(21)内に配されており、同基端部に集塵袋(3)の口部が着脱自在に接続されている。
ケーシング(2)の前面には、集塵袋(3)の交換を行うための扉(22)が設けられている。
ケーシング(2)の頂壁部には、吸引口具(6)を使用しない際に掛け止めておくためのU字状のフック(23)が設けられている。
【0021】
図2〜9は、吸引口具(6)の詳細を示したものである。
吸引口具(6)は、下端部に吸引管(5)の先端部に接続される下方に開口した下接続口部(71)を有し、上端部に前方に開口した上接続口部(72)を有し、かつ長さ中間部に把持部(73)を有している縦長中空状のボディ(7)と、ボディ(7)の上接続口部(72)に着脱自在に接続されて吸引口を構成するアタッチメント(8A)(8B)とを備えている。
アタッチメントは、第1アタッチメント(8A)(図2〜7参照)および第2アタッチメント(8B)(図8,9参照)のうち任意のいずれか一方によって、選択的に構成されている。
【0022】
ボディ(7)は、略垂直筒状のものであって、メインボディ(70a)と、メインボディ(70a)の上部前面に着脱自在に取り付けられた上接続口部材(70b)とで構成されている。メインボディ(70a)および上接続口部材(70b)は、それぞれプラスチック成形品よりなる。なお、ボディは、全体が一体のものであっても構わない。
【0023】
下接続口部(71)を構成するメインボディ(70a)の下端部は、大径の円筒状をしている。吸引管(5)の先端部が、この下接続口部(71)に差し込まれて、図示しない取付金具によって取り付けられるようになっている。
把持部(73)を構成するメインボディ(70a)の長さ中間部は、略垂直筒状のものであって、前側部が平坦な略D形の横断面を有している(図2,5等参照)。
メインボディ(70a)の上部は、前後方向から見て縦長楕円形の輪郭を有しているとともに、左右方向から見て後側部が上方に向かって次第に前方に傾斜した先細り状となされており、前面が大きく開口させられている。
メインボディ(70a)の上部内には、前方開口周縁部(74)の上側約3分の1の高さ位置付近から把持部(73)の上端付近に向かって斜め後方にのびる傾斜誘導板(751)と、傾斜誘導板(751)前面の左右幅中央部から前方に突出した側面よりみて略三角形の垂直誘導板(752)とが設けられている(図4,7参照)。これらの誘導板(751)(752)によって、上接続口部(72)からボディ(7)内に吸引された顔面付着異物およびエアの流れが、把持部(73)内へ誘導されるようになっている。
メインボディ(70a)の上部における前方開口周縁部(74)の外面には、横断面L形の嵌合用切欠部(741)が全周にわたって形成されている。嵌合用切欠部(741)の上端には、係合用凹部(742)が形成されている(図7参照)。
メインボディ(70a)の把持部(73)における前側面の上端部分には、上接続口部着脱用スライドボタン(76)が、上下スライド可能に取り付けられている。スライドボタン(76)は、スプリング(9)によって下向きに付勢されている。スライドボタン(76)の上端部には、先端が下方を向いた係合爪部(761)が形成されている。
【0024】
上接続口部材(70b)は、メインボディ(70a)上部の前方開口を覆うように前方開口周縁部(741)に取り付けられる縦長楕円形のカバー部(77)と、カバー部(77)の中心部分にあけられた円形の孔(771)の縁から前方に突出した略水平筒状の口部(78)とを備えている。
カバー部(77)の周縁部は、後方に短く屈曲させられており、この屈曲周縁部(772)がメインボディ(70a)の嵌合用切欠部(741)に嵌め合わせられている。
カバー部(77)の屈曲周縁部(772)には、その内面の上端部に、メインボディ(70a)の係合凹部(742)に係合させられる係合凸部(773)が設けられている。
また、カバー部(77)の屈曲周縁部(772)内面の下端部には、左右方向にのびかつ上方に短く突出した係合凸条(774)が形成されている。この係合凸条(774)に、スライドボタン(76)の係合爪部(761)が係り止められ、両者(774)(761)の係合状態がスプリング(9)の付勢力により保持されるようになっている。
カバー部(77)における円形孔(771)の上下両側の部分には、吸引圧を調整するための複数の吸気孔(775)が形成されている。
口部(78)の内面には、その先端部分に、第1アタッチメント受け部(781)が設けられているとともに、第1アタッチメント受け部(781)の後方部分に、第2アタッチメント受け部(782)が設けられている。
第1アタッチメント受け部(781)は、口部(78)の奥(後方)に向かって次第に径が小さくなるテーパ面によって構成されている。
第2アタッチメント受け部(782)は、前向きの環状段差(783)を介して、第1アタッチメント受け部(781)の後端に連なっている。第2アタッチメント受け部(782)の前後長さは、第1アタッチメント受け部(781)の前後長さの約2倍程度となされている。第2アタッチメント受け部(782)も、口部(78)の奥に向かって次第に径が小さくなるテーパ面によって構成されている。
【0025】
図2〜7に示すように、第1アタッチメント(8A)は、複数の吸引孔(811)があけられた垂直な蓋板部(81)と、蓋板部(81)の周縁から前方に突出した口枠部(82)と、蓋板部(81)の周縁付近から後方に突出した横断面環状の嵌合部(83)とを備えており、プラスチック成形品によって全体が一体に形成されている。
蓋板部(81)は、垂直円板状のものであって、ボディ(7)の上接続口部(72)の前方開口を塞ぎうる大きさを有している。吸引孔(811)は、図示のものは四角形であるが、その他の形状であっても勿論よい。また、吸引孔(811)のサイズ、数、配置についても、図示のものには限定されない。
口枠部(82)は、先端に向かって次第に径が大きくなるテーパ筒状となされている。口枠部(82)の先端縁は、顔面との接触部を構成するものであり、使用時に顔面を傷つけることがないように、径方向外方に向かってカールさせられている。
嵌合部(83)は、蓋板部(81)の後面における周縁からやや中心に寄った箇所に形成されている。嵌合部(83)の外周面は、ボディ(7)の上接続口部(72)の第1アタッチメント受け部(781)に嵌め入れられるように、後端に向かって次第に径が小さくなるテーパ面となされているとともに、嵌合部(83)が第1アタッチメント受け部(83)から容易に脱落しないように、第1アタッチメント受け部(83)に押し付けられる1本または複数本の環状凸条(831)が形成されている。
【0026】
図8,9に示すように、第2アタッチメント(8B)は、底壁(801)に複数の吸引孔(801a)があけられた紙コップ(800)よりなる。つまり、紙コップ(800)の底壁(801)が、第1アタッチメント(8A)の蓋板部(81)に相当し、紙コップ(800)の周壁(802)の開口側部分が、第1アタッチメント(8A)の口枠部(82)に相当する。
紙コップ(800)の底壁(801)にあけられた吸引孔(801a)は、図示のものは円形であるが、それ以外の形状でも勿論よい。また、吸引孔(801a)のサイズ、数、配置についても、図示のものには限定されない。
第2アタッチメント(8B)は、図9に示すように、その後端側、すなわち、紙コップ(800)の底壁(801)側からボディ(7)の上接続口部(72)内に挿入されて、紙コップ(800)の周壁(802)の底壁(801)側部分が第2アタッチメント受け部(782)に嵌め合せられることにより、上接続口部(72)に着脱自在に取り付けられるようになっている。
第2アタッチメント(8B)の場合、汎用品である紙コップ(800)に簡単な加工を施したものであるため、安価で大量に用意することができ、使い捨てが可能となる。
【0027】
上記の顔面付着異物吸引除去装置(1)は、例えば、クリーンルームの出入口付近に設置され、クリーンルームに入室する作業者によって、以下のように使用される。
ここで、アタッチメントとして第1アタッチメント(8A)を使用する場合、各作業者に対して専用のものを予め用意しておき、それらを各自が所持するか、装置(1)の近くに設置された保管棚等に収容保管しておけばよい。また、アタッチメントとして第2アタッチメント(8B)を使用する場合、装置(1)の近くに、例えば通常の紙コップホルダ等を利用して、多数の第2アタッチメント(8B)を配置しておけばよい。さらに、第1アタッチメント(8A)および第2アタッチメント(8B)を選択的に使用する場合は、両方を用意しておけばよい。
【0028】
作業者は、顔面付着異物吸引除去装置(1)における吸引口具(6)のボディ(7)の把持部(73)を片手で持ち、もう一方の手でボディ(7)の上接続口部(72)に第1アタッチメント(8A)または第2アタッチメント(8B)を嵌め込んで取り付ける。
そして、吸引ファン(4)を図示しないスイッチやセンサ等によって作動させ、図10に示すように、作業者が顔面に吸引口具(6)の第1または第2アタッチメント(8A)(8B)の開口縁部を軽く当てるか近付けると、顔面に付着している抜けた睫毛・眉毛や塵埃等の異物が、第1または第2アタッチメント(8A)(8B)を通じて、エアと共に吸引される。吸引された異物は、吸引口具(6)のボディ(7)および吸引管(5)を経て、集塵袋(3)に集められる。異物の吸引除去は、例えばタイマー(図示略)によって吸引ファン(4)を一定時間作動させる間、行われる。
異物の吸引除去が終わると、吸引口具(6)のボディ(7)の上接続口部(72)から第1または第2アタッチメント(8A)(8B)を取り外す。
こうして、上記装置(1)により、作業者の顔面に付着した異物が簡単にかつ確実に吸引除去される。また、上記装置(1)によれば、各作業者が専用または使い捨てのアタッチメント(8A)(8B)を使用して、衛生的に顔面付着異物の吸引除去を行うことができる。
【0029】
図11,12は、上記の顔面付着異物吸引除去装置(1)を、作業者の抜けた、または、抜けかけの毛髪を吸引除去するための毛髪吸引除去装置として使用する態様を示したものである。
【0030】
この場合、まず、吸引口具(6)のメインボディ(70a)から上接続口部材(70b)を取り外す(図11参照)。この際、スライドスイッチ(76)を上方に押してスライドさせると、スライドスイッチ(76)の係合爪部(761)が上接続口部材(70b)の係合凸条(774)から外れるので、上接続口部材(70b)をメインボディ(70a)から簡単に取り外すことができる。
【0031】
そして、図12に示すように、吸引口具(6)のメインボディ(70a)に吸引用ヘアーブラシ(10)を取り付ける。
吸引用ヘアーブラシ(10)は、メインボディ(70a)上部の前方開口を覆うように前方開口周縁部(74)に取り付けられかつ外周部分に複数の吸引孔(101a)があけられている縦長楕円形のカバー部(101)と、カバー部(101)前面の内周部分に取り付けられた植毛台部(102a)に多数本のブラシ毛(102b)を植設してなるブラシ部(102)とを備えている。
カバー部(101)の周縁部は、後方に短く屈曲させられており、この屈曲周縁部(101b)がメインボディ(70a)の前方開口周縁部(74)の嵌合用切欠部(741)に嵌め合せられるようになっている。
カバー部(101)の屈曲周縁部(101b)には、その内面の上端部に、メインボディ(70a)の係合凹部(742)に係合させられる係合凸部(103)が設けられている。
また、カバー部(101)の屈曲周縁部(101b)内面の下端部には、左右方向にのびかつ上方に短く突出した係合凸条(104)が形成されている。この係合凸条(104)に、スライドボタン(76)の係合爪部(761)が係り止められ、両者(104)(761)の係合状態がスプリング(9)の付勢力により保持されるようになっている。
複数の吸引孔(101a)は、カバー部(101)の外周部分に、その下端付近を除いて、周方向に隣接して並ぶように形成された細長い弧状のものである。
植毛台部(102a)は、例えば合成ゴム等のクッション性を有する材料から形成されている。
ブラシ毛(102b)は、例えば先端が丸い金属製または合成樹脂製のピンによって構成されている。
メインボディ(70a)に吸引用ヘアーブラシ(10)を取り付ける場合、ヘアーブラシ(10)の係合凸部(103)をメインボディ(70a)の係合凹部(742)に係り合わせておいてから、ヘアーブラシ(10)を前方開口周縁部(74)に向かって押すと、ヘアーブラシ(10)の屈曲周縁部(101b)が嵌合用切欠部(741)に嵌め合せられるとともに、スライドボタン(76)の係合爪部(761)が、ヘアーブラシ(10)の係合凸条(104)に押されることによって、スプリング(9)の付勢力に抗して上方に移動させられる。そして、係合爪部(761)は、係合凸条(104)を乗り越えたところで、スプリング(9)の付勢力により下方に移動させられ、係合凸条(104)に係り止められる。したがって、ヘアーブラシ(10)の取付を、きわめて簡単な操作によって確実にかつ短時間で行うことができる。
毛髪吸引除去装置を使用する場合、吸引ファン(4)を作動させ、毛髪を吸引口具(6)のヘアーブラシ(10)でブラッシングすると、抜けた(または抜けかけの)毛髪が、ヘアーブラシ(10)の吸引孔(101a)を通じて、エアと共に吸引される。吸引された毛髪は、吸引口具(6)のボディ(7)および吸引管(5)を経て、集塵袋(3)に集められる。毛髪の吸引除去は、例えばタイマー(図示略)によって吸引ファン(4)を一定時間作動させる間、行われる。
毛髪の吸引除去が終わると、吸引口具(6)のメインボディ(70a)からヘアーブラシ(10)を取り外す。
【0032】
以上の通り、この実施形態の顔面付着異物吸引除去装置(1)によれば、吸引口具(6)の上接続口部材(70b)を取り外し、これに代えて吸引用ヘアーブラシ(10)を取り付けるだけで、毛髪吸引除去装置としても使用することができ、利便性が高い。
【0033】
なお、上記の実施形態の顔面付着異物吸引除去装置(1)では、アタッチメントとして第1アタッチメント(8A)および第2アタッチメント(8b)のうち任意の一方を選択して使用可能とし、そのために吸引口具(6)のボディ(7)の上接続口部(72)(上接続口部材(70b))内に第1アタッチメント受け部(781)および第2アタッチメント受け部(782)を併設しているが、第1アタッチメントおよび第2アタッチメントのうち一方のみを使用するようにして、上接続口部内に第1アタッチメント受け部または第2アタッチメント受け部のみを設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
(1):顔面付着異物吸引除去装置
(2):ケーシング
(21):集塵室
(3):集塵袋
(4):吸引ファン(送風機)
(5):吸引管
(6):吸引口具
(7):ボディ
(71):下接続口部
(72):上接続口部
(73):把持部
(781):第1アタッチメント受け部
(782):第2アタッチメント受け部
(8A):第1アタッチメント
(81):蓋板部
(811):吸引孔
(82):口枠部
(83):嵌合部
(8B):第2アタッチメント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12