特許第6684555号(P6684555)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684555
(24)【登録日】2020年4月1日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】ドレーンチューブの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 27/00 20060101AFI20200413BHJP
   A61M 1/00 20060101ALI20200413BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   A61M27/00
   A61M1/00 160
   A61M25/00 500
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-167861(P2015-167861)
(22)【出願日】2015年8月27日
(65)【公開番号】特開2017-42410(P2017-42410A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】横山 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】中野 勝好
【審査官】 川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04465481(US,A)
【文献】 登録実用新案第3168148(JP,U)
【文献】 特開平03−177682(JP,A)
【文献】 特開昭60−168625(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0065979(US,A1)
【文献】 特表2004−512150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 27/00
A61M 1/00
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端から順に吸引管部、連結管部及び流出管部が一体に形成され、それらの内部に先端から後端まで通じる流路が形成され、
前記吸引管部及び前記連結管部内に、先端から前記連結管部の後端まで延びる仕切り部が設けられ、
前記吸引管部及び前記連結管部の内部には、前記仕切り部によって仕切られた軸方向に延びる複数の流路が形成され、
それら複数の流路は前記連結管部と前記流出管部の境界部分で1つに合流し、
前記吸引管部の外壁には、先端から前記仕切り部で仕切られた流路に沿って延びるスリットが1つ以上形成され、
前記流出管部の硬度が、前記吸引管部の硬度よりも高くなっている、樹脂製のドレーンチューブを、チューブ製造装置を用いて製造する方法であって、
前記チューブ製造装置は、樹脂が筒状に吐出されるダイと、前記ダイに樹脂組成物(A)を供給する第1押出機と、前記ダイに前記樹脂組成物(A)よりも硬度が高い樹脂組成物(B)を供給する第2押出機と、を備え、
前記第2押出機は、前記ダイにおける前記樹脂組成物(A)が供給される位置よりも上流側に前記樹脂組成物(B)を供給するように設けられ、
前記樹脂組成物(A)と前記樹脂組成物(B)とを用いた押出成形によって、
前記吸引管部を前記樹脂組成物(A)により成形し、
前記連結管部の成形中に、前記第1押出機から前記ダイへの前記樹脂組成物(A)の供給を停止すると同時に、樹脂組成物の総供給量が一定となるように、前記第2押出機から前記ダイへの前記樹脂組成物(B)の供給を開始し、前記樹脂組成物(B)で前記ダイ内部の前記樹脂組成物(A)を押し出し、前記樹脂組成物(A)から前記樹脂組成物(B)に切り替え、
前記流出管部を前記樹脂組成物(B)により成形する、ドレーンチューブの製造方法。
【請求項2】
前記ドレーンチューブを長さ方向に垂直な断面形状が半円状となるように切断し、チューブ内径と同等の大きさの丸棒上に、切断したチューブを被せるように置いた状態で、GS−779(テックロック社製)にて硬度を測定したとき、
前記流出管部の硬度が60〜70度であり、前記吸引管部の硬度が40〜50度である、請求項1に記載のドレーンチューブの製造方法。
【請求項3】
チューブ製造装置が、前記ダイと前記第1押出機との間に第1ギアポンプを備え、前記ダイと前記第2押出機との間に第2ギアポンプを備える、請求項1又は2に記載のドレーンチューブの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレーンチューブの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、術後等に患部に溜まった血液等の体液を体外に排出する外科用医療用具として、ドレンと流出管とがコネクタにより連結された傷部ドレンカテーテルが用いられていた(例えば、特許文献1)。該傷部ドレンカテーテルのドレンにおいては、円筒状の外壁内に先端から後端まで延びる断面十字状の仕切り部が設けられて軸方向に延びる4つの流路が形成され、かつ外壁にそれら4つの流路のそれぞれに沿って延びるスリットが形成されている。
【0003】
前記傷部ドレンカテーテルを使用する際には、例えば、ドレン及びコネクタの部分を体内に挿入してドレンを患部に留置し、流出管における後端側の部分を体外に出して吸引機等に接続する。これにより、患部に溜まった血液等がドレンのスリット部分から流路内に入り、流出管を通じて体外に排出される。
しかし、このようなコネクタによってドレンと流出管を接続するものは、接続作業が必要になり製造が煩雑になる。また、体内から引き抜く際に、コネクタからドレンが外れて体内に残ったり、流出管がコネクタから外れてドレンとコネクタが体内に残ったりするおそれがある。
【0004】
近年では、血液等の体液を体外に排出する外科用医療用具として、例えば、先端から順に吸引管部、連結管部及び流出管部が一体に形成され、それらの内部に先端から後端まで通じる流路が形成されたドレーンチューブが広く用いられている。該ドレーンチューブにおいては、吸引管部及び連結管部内に、吸引管部の先端から連結管部の後端まで延びる断面十字状の仕切り部が設けられている。これにより、吸引管部及び連結管部の内部に、該仕切り部によって仕切られた軸方向に延びる4つの流路が形成されている。それら複数の流路は連結管部と流出管部の境界部分で1つに合流している。また、吸引管部の外壁には、4つの流路のそれぞれに対応するように、吸引管部の先端から後端まで各流路に沿って延びる4つのスリットが形成されている。連結管部にはスリットが形成されていない。
【0005】
該ドレーンチューブを使用する際には、吸引管部及び連結管部を体内に挿入して吸引管部を患部に留置し、流出管部における後端側の部分を体外に出して吸引機等に接続する。ドレーンチューブは、吸引管部、連結管部及び流出管部が一体に形成されているため、体内から引き抜く際に吸引管部が連結管部から外れるおそれがない。また、ドレーンチューブは押出成形により簡便に製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4465481号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなドレーンチューブにおいては、使用時に体外に位置する流出管部に折れや捩れ等のいわゆるキンクが生じることを抑制することが重要である。キンクの発生を抑制する方法としては、例えば、ドレーンチューブの硬度を高くすることが考えられる。しかし、ドレーンチューブの硬度を高くすると吸引管部の柔軟性が低下するため、吸引管部を体内の目的の位置に留置することが困難になる。
【0008】
本発明は、流出管部のキンク抑制と吸引管部の体内の目的位置への留置容易性とを両立できるドレーンチューブ及びその製造方法、並びに該ドレーンチューブの製造に使用できるチューブ製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の構成を有する。
[1]先端から順に吸引管部、連結管部及び流出管部が一体に形成され、それらの内部に先端から後端まで通じる流路が形成された樹脂製のドレーンチューブであって、前記吸引管部及び前記連結管部内に、先端から前記連結管部の後端まで延びる仕切り部が設けられ、前記吸引管部及び前記連結管部の内部には、前記仕切り部によって仕切られた軸方向に延びる複数の流路が形成され、それら複数の流路は前記連結管部と前記流出管部の境界部分で1つに合流し、前記吸引管部の外壁には、先端から前記仕切り部で仕切られた流路に沿って延びるスリットが1つ以上形成され、前記流出管部の硬度が、前記吸引管部の硬度よりも高くなっている、ドレーンチューブ。
[2]前記流出管部の硬度が60〜70度であり、前記吸引管部の硬度が40〜50度である、[1]に記載のドレーンチューブ。
[3]前記[1]又は[2]に記載のドレーンチューブの製造方法であって、樹脂組成物(A)と、前記樹脂組成物(A)よりも硬度が高い樹脂組成物(B)とを用いた押出成形によって、前記吸引管部を前記樹脂組成物(A)により成形し、前記連結管部の成形中に前記樹脂組成物(A)から前記樹脂組成物(B)に切り替え、前記流出管部を前記樹脂組成物(B)により成形する、ドレーンチューブの製造方法。
[4]樹脂が筒状に吐出されるダイと、前記ダイに樹脂組成物(A)を供給する第1押出機と、前記ダイに前記樹脂組成物(A)よりも硬度が高い樹脂組成物(B)を供給する第2押出機と、を備える、チューブ製造装置。
[5]前記第2押出機が、前記ダイにおける前記樹脂組成物(A)が供給される位置よりも上流側に前記樹脂組成物(B)を供給するように設けられている、[4]に記載のチューブ製造装置。
[6]さらに、前記ダイと前記第1押出機との間に第1ギアポンプを備え、前記ダイと前記第2押出機との間に第2ギアポンプを備える、[4]又は[5]に記載のチューブ製造装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明のドレーンチューブは、流出管部のキンク抑制と吸引管部の体内の目的位置への留置容易性とが両立されている。
本発明のドレーンチューブの製造方法によれば、流出管部のキンク抑制と吸引管部の体内の目的位置への留置容易性とが両立されたドレーンチューブを製造することができる。
本発明のチューブ製造装置を用いれば、流出管部のキンク抑制と吸引管部の体内の目的位置への留置容易性とが両立されたドレーンチューブ等の長さ方向において硬度が変化するチューブを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のドレーンチューブの一例を示した斜視図である。
図2図1のドレーンチューブにおける吸引管部の先端側を拡大した斜視図である。
図3図1のドレーンチューブにおける連結管部の周辺を拡大した側面図である。
図4図1のドレーンチューブのA−A断面図である。
図5図1のドレーンチューブのB−B断面図である。
図6図1のドレーンチューブのC−C断面図である。
図7】本発明のドレーンチューブの他の例を示した断面図である。
図8】本発明のドレーンチューブの他の例を示した断面図である。
図9】本発明のチューブ製造装置の一例を示した概略図である。
図10】本発明のチューブ製造装置におけるダイを示した斜視図である。
図11図10のダイのそれぞれの構成部材を別々に示した斜視図である。
図12図10のダイにおける吸引管部の形成時の状態を示した斜視図である。
図13図10のダイにおける連結管部の形成時の状態を示した斜視図である。
図14図10のダイにおける流出管部の形成時の状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において、吸引管部とは、ドレーンチューブの先端側に位置し、外壁の内部に仕切り部によって複数の流路が形成され、かつ先端からそれら流路の1つ以上に沿って外壁にスリットが形成されている部分を意味する。
流出管部とは、ドレーンチューブの後端側に位置し、外壁の内部に仕切り部を有さず、かつスリットも形成されていない部分を意味する。
連結管部とは、ドレーンチューブにおける吸引管部と流出管部の間に位置し、外壁の内部に仕切り部によって複数の流路が形成され、かつスリットが形成されていない部分を意味する。吸引管部と連結管部との境界は、ドレーンチューブの外壁に先端から延びるように形成されたスリットのうち、最も長いスリットの後端の位置と一致する。連結管部と流出管部との境界は、仕切り部の後端の位置と一致する。
【0013】
[ドレーンチューブ]
以下、本発明のドレーンチューブの一例を示して説明する。
本実施形態のドレーンチューブ1は、図1に示すように、先端1aから順に吸引管部2、連結管部3及び流出管部4が一体に形成された樹脂製のチューブである。吸引管部2、連結管部3及び流出管部4は、円筒状の可撓性を有する外壁10を備えており、外壁10の内部に先端1aから後端1bまで通じる流路が形成されている。
【0014】
本発明においては、外壁の厚みは、ドレーンチューブの柔軟性、体内に挿入した際の潰れにくさ、ミルキング操作の際の切れにくさ等を考慮し、ドレーンチューブの外径、材料等に応じて適宜設定すればよい。外壁の厚みは、例えば、0.4〜2.0mmとすることができる。
【0015】
吸引管部2及び連結管部3内には、図1〜5に示すように、先端1aから連結管部3の後端3aまで延びる仕切り部12が設けられている。
この例の仕切り部12は、吸引管部2及び連結管部3の内部において中心軸に沿って延びる棒状の芯部14と、芯部14から外壁10の内面まで延び、かつ吸引管部2及び連結管部3の軸方向に延びるように形成された4つの帯状の仕切り板16と、を備える。
【0016】
4つの仕切り板16は、ドレーンチューブ1の軸方向に垂直な方向に切断した断面において、軸周りに90度間隔で芯部14から放射状に形成されている。これにより、吸引管部2及び連結管部3の内部には、仕切り部12によって中心軸回りに仕切られた4つの流路20が形成されている。図3及び図6に示すように、吸引管部2及び連結管部3の内部に形成された4つの流路は、連結管部3と流出管部4の境界部分で合流し、流出管部4内において1つの流路22になっている。
【0017】
仕切り板の厚みは、特に限定されず、該仕切り板によって仕切られる流路の広さ、体内に挿入した際の吸引管部及び連結管部の潰れにくさ等を考量して適宜設定すればよい。仕切り板の厚みは、例えば、0.4〜1.0mmとすることができる。
仕切り板の厚みは、芯部から外壁まで一定であってもよく、変化していてもよい。仕切り板が屈曲して吸引管部及び連結管部が潰れることを抑制しやすい点では、仕切り板の厚みは芯部から外壁まで一定であることが好ましい。
【0018】
本発明では、吸引管部及び連結管部の内部に形成される流路の数は、4には限定されず、3以下であってもよく、5以上であってもよい。例えば、ドレーンチューブの軸方向に垂直な方向に切断した断面において、吸引管部及び連結管部の内に、軸周りに120度間隔で芯部から放射状に3つの仕切り板が形成された仕切り部を備え、吸引管部及び連結管部の内部に該仕切り部によって中心軸周りに3つの流路が形成された態様であってもよい。
【0019】
流路の数が増えるほど仕切り部の仕切り板の数が増えるため、吸引管部の柔軟性が低下し、吸引管部を体内の目的の位置に留置しにくくなる傾向がある。さらに、流路が狭くなって吸引量が低下する傾向があり、また体内に挿入したときに吸引管部及び連結管部が潰れにくくなる傾向がある。吸引管部の目的位置への留置しやすさ、流路の広さ、及び体内に挿入したときの吸引管部及び連結管部の潰れにくさのバランスの点では、吸引管部及び連結管部の内部に形成される流路の数は、2〜4が好ましく、4が特に好ましい。
【0020】
吸引管部2の外壁10には、図1〜4に示すように、仕切り部12で仕切られた4つの流路20のそれぞれに沿って延びる4つスリット18が、先端1aから吸引管部2の後端2aまで形成されている。すなわち、吸引管部2の外壁10には、4つの流路20のそれぞれに対応する位置に、先端1aから吸引管部2の後端2aまで延びるスリット18が形成されている。
吸引管部2の外壁10にスリット18が形成されていることで、吸引管部2の外周部分からスリット18を通じて流路20内に体液を吸引することができる。これにより、スリットが無い場合に比べて体内のより広い範囲から体液を吸い出すことが可能となる。
【0021】
本発明においては、吸引管部に形成されるスリットは、ドレーンチューブの軸方向に沿って延びており、またその先端はドレーンチューブの先端に達している。これにより、吸引管部を体内に留置している際に体内組織がスリット部分に入り込むように成長しても、吸引管部を体外に引き抜くときに該体内組織がスリットに沿って吸引管部の先端まで移動して抜けることができる。そのため、吸引管部を体外に引き抜くときにスリット部分に入り込んだ体内組織が引き裂かれることを抑制することができる。
【0022】
スリットの幅は、吸引管部の外径、体液の吸引量等を考量して、ドレーンチューブの外径等に応じて適宜決定すればよい。スリットの幅は、例えば、0.4〜1.2mmとすることができる。
【0023】
本発明においては、スリットの数は、4には限定されず、3以下であってもよく、5以上であってもよい。また、吸引管部の外壁に形成されるスリットの数は、吸引管部の内部に形成される流路の数と同じであってもよく、異なっていてもよい。
例えば、ドレーンチューブ1のように吸引管部の内部に4つの流路が形成されている場合、吸引管部の外壁における3つの流路にそれぞれに対応する位置に、先端から3つの流路が形成されている態様であってもよい。
【0024】
吸引管部の外壁にスリットを複数形成する場合、それらスリットの長さは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
吸引管部の軸方向の長さは、特に限定されず、ドレーンチューブを体内に留置する位置を考慮して適宜決定すればよい。
【0025】
本発明においては、連結管部の軸方向の長さは、30〜150mmが好ましく、50〜100mmがより好ましい。連結管部の軸方向の長さが下限値以上であれば、ドレーンチューブの製造がより容易になる。連結管部の軸方向の長さが上限値以下であれば、連結管部における流動抵抗がより小さくなり、吸引機による吸引が強くなくても吸引量を充分に高くすることが容易になる。そのため、体内に溜まった体液を短期間に排出することが容易になり、また流路が詰まりにくくなる。
【0026】
流出管部4は、使用時において少なくとも後端側の一部が体外に露出した状態とされる部分である。ドレーンチューブ1の使用時においては、流出管部4の後端は吸引機等に接続される。
流出管部4においては、外壁10内に仕切り部12が設けられておらず、内部が1つの流路22となっている。
流出管部4の長さは、特に限定されず、適宜設定することができる。
【0027】
ドレーンチューブの外径は、特に限定されず、用途に応じて適宜設定すればよい。ドレーンチューブの外径は、例えば、2〜10mmとすることができる。
吸引管部、連結管部及び流出管部の外径は、体内への挿入及び体内からの引き抜きが容易な点から、同じであることが好ましい。なお、本発明の効果、体内への挿入性及び対外への引き抜き性を損なわない範囲であれば、吸引管部、連結管部及び流出管部の外径は異なっていてもよい。
【0028】
本発明のドレーンチューブにおいては、流出管部の硬度が、吸引管部の硬度よりも高くなっている。これにより、流出管部におけるキンクの発生を抑制しつつ、吸引管部の柔軟性を確保することができ、吸引管部を体内の目的位置に留置することが容易になる。
【0029】
流出管部の硬度は、60〜70度が好ましく、60〜67度がより好ましい。流出管部の硬度が下限値以上であれば、使用時において流出管部にキンクが発生することを抑制することが容易になる。流出管部の硬度が上限値以下であれば、ポンプ接続が容易である。流出管部の硬度が高すぎると、ポンプに接続する際にチューブが広がりにくく差し込みにくくなる。
なお、流出管部の硬度は、チューブを長さ方向に垂直な断面形状が半円状となるように切断し、チューブ内径と同等の大きさの丸棒上に、切断したチューブを被せるように置いた状態で、GS−779(テックロック社製)にて測定することができる。
【0030】
吸引管部の硬度は、40〜50度が好ましく、45〜50度がより好ましい。吸引管部の硬度が下限値以上であれば、体内に挿入したときに吸引管部が潰れて流路が閉塞することを抑制しやすい。吸引管部の硬度が上限値以下であれば、吸引管部の柔軟性が充分に高くなりやすく、吸引管部を体内の目的位置に留置することが容易になる。
なお、吸引管部の硬度は、吸引管部をカッター等で切断し、仕切り板又は外壁について流出管部と同様にGS−779にて測定される。
【0031】
連結管部の硬度は、特に限定されないが、後述するように押出成形により吸引管部、連結管部及び流出管部を一体に連続して製造する場合、吸引管部の硬度と流出管部の硬度の間の硬度となる。
連結管部の硬度は、長さ方向において一定になっていてもよく、徐々に変化していてもよく、段階的に変化していてもよい。
【0032】
本発明のドレーンチューブを形成する材料としては、シリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムは、軟質ポリウレタン等に比べて柔軟である。そのため、ドレーンチューブをシリコーンゴムで形成することで、吸引管部を体内の目的の位置に留置させることが容易になる。
本発明においては、例えば、硬度の異なる2種以上のシリコーンゴムを使用して吸引管部と流出管部を形成することで、吸引管部の硬度よりも流出管部の硬度を高くすることができる。
【0033】
ドレーンチューブには、造影剤を配合して、X線を用いた造影を可能とすることが好ましい。特にドレーンチューブにおいて体内に挿入される部分である吸引管部及び連結管部に造影剤を配合することが好ましい。これにより、吸引管部が体内の目的の位置に留置されたかどうかの確認が可能となる。また、チューブを引き抜く際に吸引管部や連結管部が万が一切れたとしても、体内に存在する切断部分を確認できるため、予期せずチューブが体内に取り残されることを防ぐことができる。
【0034】
造影剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、硫酸バリウム、酸化チタン等が挙げられる。
造影剤としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0035】
ドレーンチューブへの造影剤の配合量が多いほど、ドレーンチューブの強度が低下して切れやすくなったり、体内へ挿入した際に潰れやすくなったりする傾向がある。そのため、ドレーンチューブに造影剤を配合する場合は、ドレーンチューブにおける特定の部位に部分的に造影剤を配合することが好ましい。
具体的には、例えば、ドレーンチューブ1の場合、仕切り部12における4つの仕切り板16のうちの1つにその先端から後端まで造影剤を配合することができる。
【0036】
ドレーンチューブ1を使用する際には、吸引管部2及び連結管部3を体内に挿入して吸引管部2を患部に留置し、流出管部4における後端側の部分を体外に出して吸引機等に接続する。この状態で吸引機等によって吸引することで、患部に溜まった血液等がドレーンチューブ1のスリット18部分から流路20内に入り、連結管部3及び流出管部4を通じて体外に排出される。
【0037】
以上説明した本発明のドレーンチューブにおいては、流出管部の硬度が吸引管部の硬度よりも高くなっているため、流出管部にキンクが生じることを抑制しつつ、吸引管部の柔軟性を充分に高めることができる。そのため、流出管部のキンク抑制と吸引管部の体内の目的位置への留置容易性とを両立させることができる。
【0038】
なお、本発明のドレーンチューブは、流出管部の硬度が吸引管部の硬度よりも高くなっていれば、前記したドレーンチューブ1には限定されない。
本発明のドレーンチューブは、図7及び図8に例示したドレーンチューブ6であってもよい。図7及び図8において図4及び図5と同じ部分は同符号を付して説明を省略する。
ドレーンチューブ6は、円筒状の外壁10の代わりに楕円筒状の外壁10Aを備え、吸引管部2及び連結管部3に仕切り部12の代わりに仕切り部12Aを備える以外は、ドレーンチューブ1と同じである。
【0039】
仕切り部12Aは、ドレーンチューブ6の先端から連結管部3の後端まで延びる、3つの帯状の第1仕切り板24、第2仕切り板26及び第3仕切り板28を備える。第1仕切り板24及び第2仕切り板26は、外壁10Aにおける長軸方向の両方の先端寄りにおいて、短軸方向に延びて外壁10A内を仕切るように設けられている。第3仕切り板28は、第1仕切り板24及び第2仕切り板26の長さ方向の中間部同士を繋ぐように延び、外壁10A内における第1仕切り板24及び第2仕切り板26の間を仕切るように設けられている。
【0040】
吸引管部2及び連結管部3の内部には、仕切り部12Aによって中心軸回りに仕切られた4つの流路20Aが形成されている。吸引管部2及び連結管部3の内部に形成された4つの流路20Aは、連結管部3と流出管部の境界部分で合流し、流出管部内において1つの流路になっている。
【0041】
吸引管部2の外壁10Aには、仕切り部12Aで仕切られた4つの流路20Aのそれぞれに沿って延びる4つスリット18が、先端から吸引管部2の後端まで形成されている。すなわち、吸引管部2の外壁10Aには、4つの流路20Aのそれぞれに対応する位置に、先端から吸引管部2の後端まで延びるスリット18が形成されている。
【0042】
ドレーンチューブ6においても、ドレーンチューブ1と同様に、流出管部の硬度が吸引管部の硬度よりも高くなっていることで、流出管部のキンク抑制と吸引管部の体内の目的位置への留置容易性とを両立させることができる。
また、ドレーンチューブ6は、楕円筒状の外壁10Aを備えるために円筒状の外壁10を備えるドレーンチューブ1に比べて扁平状であり、厚みを薄くすることができるため、体内において臓器の裏側等の狭い部分に吸引管部2を留置することが容易である。このように、ドレーンチューブ6は、臓器の裏側等の狭い場所の体液を排出する際に好適に使用される。
【0043】
また、ドレーンチューブ6は、臓器の裏側等に留置するため、X線によっても位置を確認することが困難になる可能性がある。そのため、ドレーンチューブ6のような扁平形状のドレーンチューブに造影剤を配合する場合は、吸引管部及び連結管部の全体に造影剤を配合することが好ましい。
【0044】
また、本発明のドレーンチューブは、吸引管部及び連結管部内において、仕切り部によって中心軸回りに仕切られた複数の流路が形成された態様には限定されない。例えば、本発明のドレーンチューブは、吸引管部及び連結管部内が軸方向に並行して延びる仕切り板によって仕切られ、軸方向に延びる複数の流路が幅方向に並ぶように形成された態様であってもよい。
【0045】
[チューブ製造装置]
本発明のチューブ製造装置は、長さ方向に硬度が変化するチューブを製造するための装置である。本発明のチューブ製造装置は、本発明のドレーンチューブの製造に好適に使用できる。以下、本発明のチューブ製造装置の一例として、ドレーンチューブ1を製造するためのチューブ製造装置を示して説明する。
本実施態様のチューブ製造装置100は、図9に示すように、ダイ110と、第1押出機120と、第1ギアポンプ122と、第2押出機130と、第2ギアポンプ132と、を備える。
【0046】
第1押出機120は、ダイ110に樹脂組成物(A)を供給するものである。第2押出機130は、ダイ110に樹脂組成物(A)よりも硬度が高い樹脂組成物(B)を供給するものである。
第1押出機120及び第2押出機130としては、特に限定されず、公知の押出機を採用することができる。
【0047】
本発明のチューブ製造装置においては、チューブの後端側部分を形成するための樹脂組成物をダイに供給する押出機が、チューブの先端側部分を形成するための樹脂組成物をダイに供給する押出機よりも、ダイにおける上流側に位置していることが好ましい。例えば、チューブ製造装置100においては、ドレーンチューブ1の先端側部分を形成する樹脂組成物(A)を供給する第1押出機120が、ダイ110の先端寄りの位置に設けられている。そして、ドレーンチューブ1の後端側部分を形成する樹脂組成物(B)を供給する第2押出機130が、ダイ110における樹脂組成物(A)が供給される位置よりも上流側に樹脂組成物(B)を供給するように設けられている。
これにより、押出成形中に、ダイの下流側(先端側)に樹脂組成物を供給している状態からダイの上流側(後端側)に樹脂組成物を供給する状態に切り替えたときに、既にダイの下流側に供給されてダイ内部に存在している樹脂組成物が速やかに押し出される。そのため、押出成形中の樹脂組成物がより短時間で効率的に入れ替わる。特に本発明のドレーンチューブを製造する場合には、連結管部の成形中に樹脂組成物の切り替えを短時間で効率良く行えることで、連結管部の長さをより短くすることができる。これにより、連結管部における流動抵抗が低く、吸引機による吸引が強くなくても充分な吸引量を確保でき、より短時間で体液を体外に排出できるドレーンチューブが得られやすくなる。
【0048】
第1ギアポンプ122は、ダイ110と第1押出機120の間に設けられている。第2ギアポンプ132は、ダイ110と第2押出機130の間に設けられている。本発明においては、このようにダイと押出機の間にギアポンプが設けられていることが好ましい。これにより、押出機からダイへの樹脂組成物の供給量を容易に制御することができる。
第1ギアポンプ122及び第2ギアポンプ132としては、特に限定されず、公知のギアポンプを採用することができる。
【0049】
ダイ110は、樹脂を筒状に吐出する部材である。
この例のダイ110は、図10及び図11に示すように、円筒状のアウトダイ112と、アウトダイ112の内部に挿入される第1インナーコアダイ114、第2インナーコアダイ116及び第3インナーコアダイ118と、を備える。
【0050】
アウトダイ112は、円筒状の外壁112aを備えている。外壁112aには、その軸方向に延びる4つの開口部112bが周方向に90度間隔で形成されている。第1押出機120から供給される樹脂組成物(A)と、第2押出機130から供給される樹脂組成物(B)は、4つの開口部112bからアウトダイ112の内部に流入するようになっている。
【0051】
第1インナーコアダイ114は、先端面の形状が中心角90度の扇状である4つの柱状のコア部114aを備えている。4つのコア部114aは、互いの角部を向かい合わせるように、かつ先端側から見た正面視で互いの間に十字状の空間ができるように離間して配置されている。
第1インナーコアダイ114は、アウトダイ112内において、4つのコア部114aがいずれもアウトダイ112の内面から離間するように配置されている。
【0052】
第2インナーコアダイ116は、先端面の形状が十字状の柱状部材である。第2インナーコアダイ116は、第1インナーコアダイ114における4つのコア部114aの間に形成された十字状の空間に嵌まり込んだ状態で軸方向に前進又は後退できるようになっている。
【0053】
第3インナーコアダイ118は、第1インナーコアダイ114の4つのコア部114aのそれぞれの外周側に配置された4つの柱状のコア部118aを備えている。コア部118aの内側面形状は、第1インナーコアダイ114のコア部114aの外周面に沿うように湾曲している。コア部118aの外側面形状は、アウトダイ112の内面に沿うように湾曲している。
第3インナーコアダイ118は、4つのコア部118aの内側面が第1インナーコアダイ114の4つのコア部114aのそれぞれの外周面に接し、4つのコア部118aの外側面がアウトダイ112の内面に接した状態で、軸方向に前進又は後退できるようになっている。
【0054】
図12に示すように、第1インナーコアダイ114の先端と第3インナーコアダイ118の先端をアウトダイ112の先端に合わせ、第2インナーコアダイ116を軸方向に後退させた状態とする。この状態で、開口部112bからアウトダイ112の内部に樹脂組成物を供給することで、ダイ110の先端からは該樹脂組成物が吸引管部2の形状に吐出される。
具体的には、アウトダイ112の内面と第1インナーコアダイ114の4つのコア部114aの外側面との間の空間によって吸引管部2の外壁10が形成される。また、第3インナーコアダイ118の4つのコア部118aにより、外壁10に4つのスリット18が形成される。第1インナーコアダイ114の4つのコア部114aの互いの間に形成される十字状の空間により、吸引管部2の仕切り部12が形成される。
【0055】
図13に示すように、第1インナーコアダイ114の先端のみをアウトダイ112の先端に合わせ、第2インナーコアダイ116と第3インナーコアダイ118をいずれも軸方向に後退させた状態とする。この状態で、開口部112bからアウトダイ112の内部に樹脂組成物を供給することで、ダイ110の先端からは該樹脂組成物が連結管部3の形状に吐出される。
具体的には、アウトダイ112の内面と第1インナーコアダイ114の4つのコア部114aの外側面との間の空間によって連結管部3の外壁10が形成される。第1インナーコアダイ114の4つのコア部114aの互いの間に形成される十字状の空間により、連結管部3の仕切り部12が形成される。
【0056】
図14に示すように、第1インナーコアダイ114の先端と第2インナーコアダイ116の先端をアウトダイ112の先端に合わせるか、又は第2インナーコアダイ116の先端を112の先端から5mmまで突出させる。第3インナーコアダイ118は後退させた状態とする。この状態で、開口部112bからアウトダイ112の内部に樹脂組成物を供給することで、ダイ110の先端からは該樹脂組成物が流出管部4の形状に吐出される。
具体的には、アウトダイ112の内面と第1インナーコアダイ114及び第2インナーコアダイ116の外側面との間の空間によって、円環状の流出管部4の外壁10が形成される。
【0057】
このように、チューブ製造装置100においては、ダイ110に樹脂組成物を連続的に供給しつつ、第2インナーコアダイ116及び第3インナーコアダイ118を軸方向に前進又は後退させることで、吸引管部2、連結管部3及び流出管部4を一体に押出成形してドレーンチューブ1を得ることができる。
【0058】
また、吸引管部2の成形時には第1押出機120からダイ110に樹脂組成物(A)を供給する。次いで、連結管部3の成形中に、第1押出機120からダイ110に樹脂組成物(A)を供給している状態から、第2押出機130からダイ110に樹脂組成物(B)を供給する状態へと切り替える。そして、流出管部4の成形時には第2押出機130からダイ110に樹脂組成物(B)を供給する。これにより、流出管部4の硬度が吸引管部2の硬度よりも高いドレーンチューブ1が得られる。連結管部3には樹脂組成物(A)と樹脂組成物(B)が混在するため、連結管部3の硬度は吸引管部2の硬度と流出管部4の硬度の間の硬度となる。
【0059】
以上説明した本発明のチューブ製造装置においては、第1押出機からダイに樹脂組成物(A)を供給して押出成形を開始し、途中で樹脂組成物(A)の供給から樹脂組成物(B)の供給に切り替えて連続的にチューブを押出成形することができる。そのため、流出管部の硬度が吸引管部の硬度よりも高いドレーンチューブ等、長さ方向において硬度が変化するチューブを製造することができる。
本発明のチューブ製造装置は、流出管部のキンク抑制と吸引管部の体内の目的位置への留置容易性とを両立できる本発明のドレーンチューブの製造に特に有効である。
【0060】
なお、本発明のチューブ製造装置は、前述したチューブ製造装置100には限定されない。
例えば、本発明のチューブ製造装置におけるダイの態様は、特に限定されず、目的とするチューブ形状に応じて適宜設計することができる。具体的には、本発明のチューブ製造装置は、ダイ110の代わりに、ドレーンチューブ6を成形するためのダイを備えるチューブ製造装置であってもよい。また、先端から後端まで仕切り部やスリットのないチューブを製造するためのダイを備えたチューブ製造装置であってもよい。
【0061】
[ドレーンチューブの製造方法]
本発明のドレーンチューブの製造方法は、押出成形により、前述した本発明のドレーンチューブを製造する方法である。
本発明のドレーンチューブの製造方法においては、樹脂組成物(A)と、樹脂組成物(A)よりも硬度が高い樹脂組成物(B)とを用いて押出成形を行うことで、吸引管部、連結管部及び流出管部を一体に成形してドレーンチューブを製造する。具体的には、押出成形によって、吸引管部を樹脂組成物(A)により成形し、連結管部の成形中に樹脂組成物(A)から樹脂組成物(B)に切り替え、流出管部を樹脂組成物(B)により成形する。このように、押出成形によって吸引管部、連結管部及び流出管部を一体に連続的に製造する際、連結管部の成形中にチューブを形成する樹脂組成物を樹脂組成物(A)から樹脂組成物(B)へと切り替える。
【0062】
樹脂組成物(A)としては、シリコーンゴム等の樹脂を必須成分として含み、必要に応じて造影剤や添加剤(C−25A、C−25B 信越化学工業社製等)等を含む樹脂組成物が挙げられる。
樹脂組成物(A)の具体例としては、例えば、シリコーンゴムコンパウンド100質量部に、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(商品名「C−25B」、信越化学工業社製)2.0質量部、白金系触媒(商品名「C−25A」、信越化学工業社製)0.5質量部を配合し、ミキシングロールで混練した付加反応型シリコーンゴム組成物が挙げられる。
樹脂組成物(A)の硬度は、40〜50度が好ましく、45〜50度がより好ましい。
【0063】
樹脂組成物(B)としては、樹脂組成物(A)で使用する樹脂よりも硬度が高いシリコーンゴム等の樹脂を必須成分として含み、必要に応じて添加剤等を含む樹脂組成物が挙げられる。
樹脂組成物(B)の具体例としては、例えば、樹脂組成物(A)より硬度が高いシリコーンゴムコンパウンド100質量部に、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(商品名「C−25B」、信越化学工業社製)2.0質量部、白金系触媒(商品名「C−25A」、信越化学工業社製)0.5質量部を配合し、ミキシングロールで混練した付加反応型シリコーンゴム組成物が挙げられる。
【0064】
樹脂組成物(B)の硬度は、60〜70度が好ましく、60〜67度がより好ましい。
なお、樹脂組成物の硬度は、得られたドレーンチューブにおいて該樹脂組成物によって形成された吸引管部、連結管部、流出管部等を前述した方法で測定することで測定できる。
【0065】
以下、本発明のドレーンチューブの製造方法の一例として、前記したチューブ製造装置100を用いる方法について説明する。
まず図12に示すように、第1インナーコアダイ114の先端と第3インナーコアダイ118の先端をアウトダイ112の先端に合わせ、第2インナーコアダイ116を軸方向に後退させた状態とする。この状態で、第1ギアポンプ122により供給量を制御しつつ、第1押出機120からダイ110に樹脂組成物(A)を供給する。供給された樹脂組成物(A)は、開口部112bからアウトダイ112の内部に流入し、ダイ110の先端から吸引管部2の形状に吐出される。
【0066】
次いで、図13に示すように、ダイ110に樹脂組成物(A)を供給しながら第3インナーコアダイ118を軸方向に後退させた状態とする。この状態で、第1ギアポンプ122及び第2ギアポンプ132によって制御しつつ、第1押出機120から樹脂組成物(A)を供給している状態から、第2押出機130から樹脂組成物(B)を供給する状態へと切り替える。この状態で供給されている樹脂組成物(A)と樹脂組成物(B)は、ダイ110から連結管部3の形状に吐出される。
【0067】
ダイ110に樹脂組成物(A)を供給している状態から樹脂組成物(B)を供給する状態に切り替える態様は、ダイ110からの樹脂組成物の吐出が途切れない範囲であれば特に限定されない。例えば、第1押出機120からダイ110への樹脂組成物(A)の供給量を徐々に減少させつつ、ダイ110への樹脂組成物の総供給量が一定となるように、第2押出機130からダイ110への樹脂組成物(B)の供給量を徐々に増加させてもよい。また、第1押出機120からダイ110への樹脂組成物(A)の供給を停止すると同時に、樹脂組成物の総供給量が一定となるように、第2押出機130からダイ110への樹脂組成物(B)の供給を開始してもよい。
いずれの態様であっても、形成される連結管部3には樹脂組成物(A)と樹脂組成物(B)が混在するため、連結管部3の硬度は吸引管部2の硬度と流出管部4の硬度の間の硬度となる。また、連結管部3の長さ方向においては、吸引管部2寄りの部分よりも流出管部4寄りの部分の方が樹脂組成物(B)の割合が高くなるため、流出管部4寄りの部分の硬度が吸引管部2寄りの部分の硬度よりも高くなる。
【0068】
ダイ110から吐出される樹脂組成物における樹脂組成物(B)の割合が充分に高くなった後に、図14に示すように、第3インナーコアダイ118を後退させた状態のまま、第2インナーコアダイ116を軸方向に前進させ、第1インナーコアダイ114の先端と第2インナーコアダイ116の先端をアウトダイ112の先端に合わせた状態とする。この状態で供給されている樹脂組成物(B)は、ダイ110の先端から流出管部4の形状に吐出される。これにより、吸引管部2、連結管部3及び流出管部4が一体に形成されたドレーンチューブ1が得られる。
【0069】
以上のように、吸引管部2、連結管部3及び流出管部4を連続的に押出成形する際、連結管部3の成形中にチューブを形成する樹脂組成物を樹脂組成物(A)から樹脂組成物(B)へと切り替えることで、流出管部4の硬度が吸引管部2の硬度よりも高くなる。そのため、得られるドレーンチューブ1においては、流出管部4のキンク抑制と吸引管部2の体内の目的位置への留置容易性とが両立される。
【0070】
以上説明した本発明のドレーンチューブの製造方法によれば、流出管部の硬度が吸引管部の硬度よりも高いドレーンチューブが得られる。そのため、本発明の製造方法によって得られたドレーンチューブにおいては、流出管部のキンク抑制と吸引管部の体内の目的位置への留置容易性とが両立される。
【0071】
なお、本発明のドレーンチューブの製造方法は、前記チューブ製造装置100を製造する方法には限定されない。例えば、本発明のドレーンチューブの製造方法は、ドレーンチューブ6等の他の形状のドレーンチューブを製造する方法であってもよい。
【符号の説明】
【0072】
1,6 ドレーンチューブ
2 吸引管部
3 連結管部
4 流出管部
10,10A 外壁
12 仕切り部
14 芯部
16 仕切り板
18 スリット
20,20A,22 流路
24 第1仕切り板
26 第2仕切り板
28 第3仕切り板
100 チューブ製造装置
110 ダイ
112 アウトダイ
114 第1インナーコアダイ
116 第2インナーコアダイ
118 第3インナーコアダイ
120 第1押出機
122 第1ギアポンプ
130 第2押出機
132 第2ギアポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14