(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術においては、配置した環状のせん断補強筋に複数の主筋を差し入れる必要がある。しかしながら、主筋は長くて重いため、複数の環状のせん断補強筋に、複数の主筋を差し入れることは難しかった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、先組鉄筋を効率的に組み立てるための鉄筋支持装置及びこれを用いた鉄筋組立方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための鉄筋支持装置は、複数の第1鉄筋に、環状の第2鉄筋を組み合わせた先組鉄筋を組み立てるために、前記第1鉄筋を支持する鉄筋支持装置であって、前記第1鉄筋を載置可能であり、水平方向に
延在し、前記先組鉄筋を組み立てる組立領域を跨ぐ長さの長尺形状を有し、前記組立領域で、前記水平方向に移動可能な第1鉄筋支持部と、
前記組立領域の片側又は両側に配置される複数の昇降柱部とを備え
、前記昇降柱部は、前記第1鉄筋支持部を昇降可能で、かつ前記組立領域外に片寄せ可能に支持する。これにより、まず、複数の鉄筋支持装置を離間して並べて、各鉄筋支持装置の対応する第1鉄筋支持部に渡るように第1鉄筋を支持する。そして、並んだ鉄筋支持装置を、端から操作対象とする。操作対象の架台は、昇降柱部を降下した後、第1鉄筋支持部を水平方向に移動させて、第1鉄筋を支持していた領域において第1鉄筋を宙に浮かす。この場合、第1鉄筋は、他の架台によって支持されているため、この操作対象の架台において、第2鉄筋を容易に通過させることができる。そして、操作対象の架台を端から順番に変更することにより、先に並べた第1鉄筋支持部に対して第2鉄筋を効率的に配置することができ、先組鉄筋を効率的に組み立てることができる。
【0008】
上記鉄筋支持装置においては、前記
複数の昇降柱部は、前記第1鉄筋支持部の一端部側のみを支持しており、前記第1鉄筋支持部が前記昇降柱部に支持された状態において、前記昇降柱部が転倒しない基台を設けることが好ましい。このため、昇降柱部が配置されていない側から、第1鉄筋支持部に第1鉄筋を効率的に配置することができる。
【0009】
上記鉄筋支持装置においては、
前記複数の昇降柱部は、前記先組鉄筋を組み立てる領域の両側にそれぞれ配置され、前記第1鉄筋支持部を支持して昇降可能な第1、第2の昇降柱部を備え
、前記第1の昇降柱部は、前記第1鉄筋支持部を水平方向に移動可能に支持し、前記第2の昇降柱部は、前記水平方向に移動させた前記第1鉄筋支持部が前記組立領域を跨いだ状態において、前記第1鉄筋支持部の端部を支持することが好ましい。これにより、第1鉄筋支持部を、両側において安定して支持することができる。
【0010】
上記鉄筋支持装置においては、前記昇降柱部を水平方向に移動可能な駆動装置と、前記駆動装置を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記先組鉄筋に関する情報を取得し、この先組鉄筋に関する情報に基づいて架台間の間隔を算出し、前記算出した間隔となるように前記駆動装置を制御することが好ましい。これにより、先組鉄筋の構成や自重を考慮して、より適切な位置に架台を配置することができる。
【0011】
上記課題を解決するための鉄筋組立方法は、複数の第1鉄筋に対して、環状の第2鉄筋を組み合わせた先組鉄筋を組み立てる鉄筋組立方法であって、
前記第1鉄筋を載置可能であり、第1水平方向に延在し、前記先組鉄筋を組み立てる組立領域を跨ぐ長さの長尺形状を有し、前記組立領域で、前記第1水平方向に移動可能な第1鉄筋支持部と、前記組立領域の片側又は両側に配置される複数の昇降柱部とを備え、前記昇降柱部は、前記第1鉄筋支持部を昇降可能で、かつ前記組立領域外に片寄せ可能に支持した鉄筋支持装置を用いて、前記第1鉄筋が延在する
第2水平方向に、
前記鉄筋支持装置を複数並べて配置し、前
記第1鉄筋支持部に、前記第1鉄筋を支持させた後、操作対象となる前記鉄筋支持装置
の前記第1鉄筋支持部を下降させて、前記第1鉄筋支持部を
前記第1水平方向に移動させて、この鉄筋支持装置における前記第1鉄筋を宙に浮かせて、前記第2鉄筋を通過させ、前記第2鉄筋が通過した後には、前記第1鉄筋支持部を
前記第1水平方向
の反対側に移動させて、前記昇降柱部を上昇させて、前記操作対象の前記鉄筋支持装置の前記第1鉄筋支持部によって、前記第1鉄筋を再び支持し、前記操作対象の前記鉄筋支持装置を、前記第1鉄筋の延在方向の端から順番に変更する。これにより、操作対象の架台の第1鉄筋支持部を移動させて、この架台の第1鉄筋を支持していた領域において、第1鉄筋を宙に浮かせて、この架台において第2鉄筋を容易に通過させることができる。従って、先に並べた第1鉄筋に対して第2鉄筋を効率的に配置することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、先組鉄筋を効率的に組み立てることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、
図1〜
図5を用いて、鉄筋支持装置を具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、複数の主筋(第1鉄筋)に対して、環状のせん断補強筋(第2鉄筋)を分散させて配置した先組鉄筋を組み立てる場合に用いる鉄筋支持装置を説明する。ここにおいて、せん断補強筋とは、例えばスターラップやフープである。
【0015】
図1(a)及び
図1(b)は、それぞれ本実施形態の鉄筋支持装置の正面図及び右側面図である。
図1(a)に示すように、鉄筋支持装置としての架台10は、基台B1と、この基台B1の右側において基台B1に固定された柱部と、この柱部の一部を昇降させるジャッキ20と、第1鉄筋としての主筋を支持するための複数の主筋支持部30とを備えている。
【0016】
柱部は、2対(4本)の固定柱部11と、各固定柱部11に対応して配置されている昇降柱部12とを備えている。固定柱部11は、基台B1に固定されている。本実施形態では、固定柱部11が転倒しないように、基台B1は補強部材を有している。昇降柱部12は、固定柱部11に対して上下に摺動可能に支持されている。昇降柱部12は、ジャッキ20によって昇降可能にされている。
【0017】
主筋支持部30は、主筋が延在する水平方向(第1方向h1:
図1(a)の紙面に垂直な方向、
図1(b)の左右方向)と直交する水平の方向(第2方向h2:
図1(a)の左右方向)に延在している。本実施形態における主筋支持部30は、第2方向h2の片側(
図1(a)における右側)において、第2方向h2に移動可能に、柱部の昇降柱部12に支持されている。
【0018】
以下、架台10を構成する各構成の詳細について説明する。
図1(a)及び
図1(b)に示すように、架台10の固定柱部11及び昇降柱部12は、水平方向に2つずつ重なるように4つ配置されている。固定柱部11及び昇降柱部12は、溝形鋼によって構成されている。各固定柱部11は、外側(
図1(b)において左右側)が開口する向きで配置されている。各昇降柱部12は、対応する固定柱部11の内側(中心線c1側)に配置されており、外側が開口する向きで配置されている。固定柱部11の上部及び下部には、各昇降柱部12に摺動可能に係合するガイド部材13が取り付けられている。更に、各昇降柱部12には、2列の長孔12a(
図1(a)参照)が鉛直方向に延在するように設けられている。また、各昇降柱部12の下端部は、連結部14の端部に取り付けられることにより、隣接する昇降柱部12の下端部同士は、連結部14を介して連結されている。この結果、4つの連結部14が、全体として四角枠形状となるように設けられている。そして、1つの連結部14の中央部付近には、ジャッキ20のラム(往復運動部)21の先端が固定されている。
【0019】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、4つの昇降柱部12で囲まれた領域の下方には、ジャッキ20が配置されている。このジャッキ20には、両方向に回転可能なハンドル22を備えている。このハンドル22は、固定柱部11よりも外側に配置されている。ハンドル22を回転させることにより、ラム21が伸縮する。このラム21の先端は、連結部14に固定されている。そして、ラム21の伸縮に応じて、各昇降柱部12を同時に昇降させる。
【0020】
図1(b)に示すように、本実施形態では、対向する1対(2つ)の昇降柱部12の間に、保持部材15が設けられている。保持部材15は、昇降柱部12の上部、中央部、下部の3か所に、離間して設けられている。これら保持部材15は、組み立てる先組鉄筋の主筋Raの配置に応じた高さに設定されている。また、第2方向h2において配置された2つの昇降柱部12に取り付けられた保持部材15は、同じ高さで設けられている。
【0021】
図1(c)は、
図1(b)の保持部材15の部分を拡大した拡大図である。
図1(c)に示すように、保持部材15は、上が開口したコ字形状の柱取付部15aと、この柱取付部15aの下方に突出した1対(2つ)の板形状のローラ取付部15bとを有している。柱取付部15aの各側面部は、昇降柱部12の長孔12aと整合し、固定具(ボルト及びナット)を介して、保持部材15を各昇降柱部12に取り付けられている。各ローラ取付部15bには、4つのローラ16が、鉛直方向及び第2方向h2に2つずつ離間して配置されている。上下のローラ16の間隔は、主筋支持部30の載置部30aを挟み込んで支持できる厚みと同じとなっている。
【0022】
主筋支持部30は、略T字形状をした長尺物である。この主筋支持部30は、昇降柱部12の保持部材15のローラ16に挟まれて支持される。これにより、本実施形態の主筋支持部30は、第2方向h2に移動可能に、片持ちで昇降柱部12に支持されている。
【0023】
次に、
図2〜
図5を用いて、上述した架台10を用いて、先組鉄筋の組立方法について説明する。この場合、複数(例えば5個)の架台10を用いる。
図2は、使用状態における架台10の模式図であり、
図2(a)及び
図2(b)は、それぞれ上面図及び右側面図である。
【0024】
図2(a)に示すように、先組鉄筋を組み立てる場合には、作業者は、複数の架台10を、基台B1が平行になるように、離間して一列に並べる。ここでは、中央の架台10間の間隔を、端の架台10の間隔よりも長くして配置する。この場合、ジャッキ20のラム21の先端を高い位置に設定し、架台10の昇降柱部12を高い位置にして配置する。
【0025】
更に、架台10の列の外側(
図2(a)の右端の右側)に、当て板41を備えた主筋係止台40を配置する。この場合、当て板41が、各架台10の主筋支持部30と対向するように、主筋係止台40を配置する。当て板41には、主筋(第1鉄筋)Raの配置に応じた位置に、主筋Raの先端が係止する凹部が形成されている。
【0026】
そして、主筋Raの配置に応じて、各架台10の主筋支持部30の載置部30aに渡るように、主筋Raを配置する。この場合、下の段の主筋支持部30から主筋Raを並べる。具体的には、最上段及び2段目の主筋支持部30を第2方向h2に水平移動させて、最下段の主筋支持部30の上方を開放する。そして、最下段の主筋支持部30の上方を開放した状態で、この主筋支持部30の上に主筋Raを並べる。次に、この最下段の主筋支持部30の上方に、2段目の主筋支持部30を第2方向h2と反対側に水平移動させる。この場合、2段目の主筋支持部30の上方は開放された状態となっている。
【0027】
そして、
図3(a)に示すように、この主筋支持部30の載置部30aの上に主筋Raを並べる。次に、この主筋支持部30の上方に、最上段の主筋支持部30を第2方向h2と反対側に水平移動させる。そして、
図3(b)に示すように、この主筋支持部30の載置部30aの上に、主筋Raを並べて配置する。この場合、
図2(b)に示すすべての架台10において、
図3(b)に示すように、各主筋支持部30の上には、主筋Raが並べられる。
【0028】
次に、端の架台10から順に、以下の操作処理を実行する。この場合、他の架台10の各主筋支持部30は、
図3(b)の状態において、複数の主筋Raをそのまま支持している。
【0029】
まず、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、左端の架台10を操作対象とする。
この場合、
図5(a)に示すように、操作対象の架台10のハンドル22を操作して、ジャッキ20のラム21を降下させて、昇降柱部12を降下させる。これに伴って、昇降柱部12に取り付けられている各主筋支持部30が降下する。
【0030】
次に、
図5(b)に示すように、主筋支持部30を、第2方向h2(昇降柱部12側)に移動させる。この場合、この架台10によって支持されていた領域において、他の架台10によって支持されている主筋Raが宙に浮いた状態になる。従って、
図4(a)、
図4(b)及び
図5(c)に示すように、この主筋支持部30において支持していた箇所に、環状のせん断補強筋Rbを通過させる。
【0031】
そして、
図5(d)に示すように、環状のせん断補強筋Rbを通過させた場合、主筋支持部30を、第2方向h2と反対側(せん断補強筋Rbの配置側)に水平移動させる。更に、ハンドル22を逆方向に回転させてジャッキ20のラム21を伸長し、昇降柱部12を上昇させる。これに伴って、
図5(e)に示すように、昇降柱部12に取り付けられている各主筋支持部30が上昇し、各主筋Raを支持する。
【0032】
このようにして、
図4(a)及び
図4(b)に示す端の架台10を環状のせん断補強筋を通過させる。次に、
図4(c)及び
図4(d)に示すように、この架台10の隣の架台10を操作対象とする。この場合にも、
図5(a)、
図5(b)に示すように、操作対象の架台10の主筋支持部30を、降下させた後、第2方向h2に水平移動させて、この架台10において主筋Raを支持していた領域において、主筋Raを宙に浮かせる。そして、
図5(c)に示すように、せん断補強筋Rbを通過させる。この通過が終了した場合には、
図5(d)、
図5(e)に示すように、主筋支持部30を第2方向h2と反対側に水平移動させて元の位置に戻した後、上昇させて、再び主筋支持部30によって主筋Raを支持する。
以上のように、一列に並んだ架台10を端から順番に操作対象として、操作処理を実行することにより、延在する主筋Raに対して、せん断補強筋Rbを配置して、先組鉄筋を組み立てる。
【0033】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の鉄筋支持装置は、昇降する昇降柱部12と、第2方向h2に移動可能に昇降柱部12に支持された主筋支持部30とを備えた架台10である。この架台10を複数、並べて、並べた架台10の各主筋支持部30に渡るように主筋Raを配置する。そして、並んだ架台10を、端から順次、操作対象とする。操作対象の架台10は、昇降柱部12を降下した後、主筋支持部30を第2方向h2に移動させて、主筋Raを支持していた領域において主筋Raを宙に浮かせる。この場合、主筋Raは、他の架台10によって支持されているため、この操作対象の架台10において、せん断補強筋Rbを容易に通過させることができる。そして、操作対象の架台10を端から順番に変更することにより、先に並べた主筋支持部30に対してせん断補強筋Rbを効率的に配置することができ、先組鉄筋を効率的に組み立てることができる。
【0034】
(2)本実施形態の架台10の主筋支持部30は、片側において昇降柱部12に片持ち支持されている。このため、主筋支持部30を移動させた場合、昇降柱部12の反対側が開放された構成になっている。従って、昇降柱部12の反対側から、主筋支持部30に主筋Raを効率的に配置することができる。
【0035】
(3)本実施形態の架台10は、1対の昇降柱部12に渡って固定された保持部材15を備えている。この保持部材15は、主筋支持部30の載置部30aの間隔をおいて鉛直方向に配置されたローラ16を備えている。このため、簡単な構成で、主筋支持部30を、水平移動可能に昇降柱部12に支持させることができる。
【0036】
(4)本実施形態の各昇降柱部12は、これに対応する固定柱部11に、摺動可能に支持されている。これにより、昇降柱部12を円滑に昇降させることができる。
(5)本実施形態の各昇降柱部12の下端部は、連結部14で連結されており、この連結部14の中央部付近に、ジャッキ20のラム21の先端が固定されている。このため、簡単な構成で、ラム21の昇降に応じて、各昇降柱部12を一斉に昇降することができる。
【0037】
(6)本実施形態の保持部材15は、昇降柱部12に形成した長孔12aに係合するように取り付けられている。このため、長孔12aに対する保持部材15の位置を変更することにより、組み立てる先組鉄筋の構成に応じた主筋Raの配置により適した高さに主筋支持部30を配置することができる。
【0038】
(第2の実施形態)
次に、
図6〜
図8を用いて、鉄筋支持装置の第2の実施形態について説明する。本実施形態では、第1の実施形態において主筋支持部30の片側において支持する代わりに、両端部で支持する構成に変更したのみである。このため、第1実施形態の鉄筋支持装置と同様の部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0039】
図6に示すように、本実施形態の鉄筋支持装置としての架台50は、2対の昇降柱部12が、環状のせん断補強筋Rbの幅よりも大きい間隔をおいて配置されている。そして、主筋支持部30は、2対の昇降柱部12に渡る長さを備えている。従って、主筋支持部30の両端部が、離間した昇降柱部12のそれぞれに支持されている。
【0040】
図7に示すように、本実施形態においても、上記実施形態と同様に、主筋支持部30の基台B1が平行となるように、複数の架台50を離間して一列に並べる。
そして、主筋支持部30の載置部30aの上面に主筋Raを並べる。この場合、上記実施形態と同様に、下の段の主筋支持部30から主筋Raを並べる。
具体的には、
図8(a)に示すように、最下段の主筋支持部30の載置部30aに鉄筋を並べた後、2段目の主筋支持部30の載置部30aに主筋Raを並べる。
【0041】
次に、
図8(b)に示すように、2段目の主筋支持部30の上に覆うように、最上段の主筋支持部30を昇降柱部12に支持し、この主筋支持部30の載置部30aに主筋Raを並べる。
【0042】
そして、
図7に示した複数の架台50を、端の架台50から順番に、上記第1の実施形態と同様に、操作対象とする。
具体的には、
図8(c)に示すように、操作対象の架台50のジャッキ20のラム21を降下させて、昇降柱部12及びこれに支持された主筋支持部30を降下させる。
【0043】
次に、
図8(d)に示すように、この操作対象の架台50のすべての主筋支持部30を第2方向h2に移動させて取り外す。この場合、この架台50において、主筋支持部30によって主筋Raを支持していた領域において主筋Raは宙に浮いた状態になり、この領域においてせん断補強筋Rbを通過させる。
【0044】
次に、
図8(e)に示すように、せん断補強筋Rbを通過させ終わると、取り外していた主筋支持部30を、水平方向に移動させて、両昇降柱部12によって支持させる。
次に、
図8(f)に示すように、ジャッキ20のラム21を上昇させて、昇降柱部12及びこれに支持された主筋支持部30を上昇させる。そして、上昇した主筋支持部30は、主筋Raを再び支持する。
以上の操作処理を、端の架台10から順番に行なうことにより、上記第1の実施形態と同様に、延在する主筋Raに対して、せん断補強筋Rbを配置する。
【0045】
本実施形態によれば、上記(1)、(3)〜(6)に記載の効果と同様の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
【0046】
(7)本実施形態の架台10の主筋支持部30は、環状のせん断補強筋Rbの幅よりも大きい間隔をおいて離間した2対の昇降柱部12に両端支持されている。このため、主筋支持部30を安定して支持することができる。
【0047】
また、上記各実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態の架台10は、載置部30aを備えた主筋支持部30を移動可能に支持した。更に、載置部30aに、主筋Raの位置を係止する係止部を設けてもよい。例えば、載置部30aの上面に、係止部としてのV字形状の溝を設け、この溝に主筋Raを係止させてもよい。
【0048】
・上記各実施形態の架台10には、先組鉄筋の主筋Raの配置に応じた高さに設定された保持部材15を用いて、主筋支持部30を昇降柱部12に支持した。この場合、最下段の主筋支持部30の高さを、組み立てるときの位置よりも所定値だけ高くしてもよい。この場合、架台10において、せん断補強筋Rbを通過させた後、最下段の主筋支持部30を元の位置に戻さずに外したままにし、最下段の主筋Raを、せん断補強筋Rbを介して支持させる。これにより、せん断補強筋Rbの大きさよりも少し内側に主筋Raを配置することにより、主筋Raの間において、せん断補強筋Rbを円滑に配置することができる。
【0049】
・上記実施形態においては、架台10の昇降柱部12に、3つの主筋支持部30を取り付けた。主筋支持部30の数は、これに限定されることなく、先組鉄筋の主筋Raの配置に応じて増減してもよい。
【0050】
・上記各実施形態の主筋支持部30は、昇降柱部12に対して、先組鉄筋の主筋Raの配置に応じた高さに設定された保持部材15によって支持されている。ここで、保持部材15の高さを、先組鉄筋の主筋Raの配置に応じて自動的に設定してもよい。例えば、架台10の各昇降柱部12には、モータ等を有する保持部材移動装置70をそれぞれ設ける。この保持部材移動装置70は、保持部材15を移動させて、所定の位置で保持する。
【0051】
具体的には、
図9(a)に示すように、コンピュータ端末60は、制御部61及び入力部65を備える。ここで、コンピュータ端末60として、タッチパネルディスプレイを備えたタブレット端末等を用いることが可能である。入力部65は、タッチパネルディスプレイを用いて、配筋情報が入力される。この配筋情報には、主筋Ra及びせん断補強筋Rbに関するサイズ情報(重量や各寸法等の大きさ)及び位置情報(配置間隔等)が含まれる。制御部61は、支持部高さ算出部610を備えている。この支持部高さ算出部610は、配筋情報に基づいて、配置する主筋の寸法に応じて各主筋支持部30の配置(高さ)を算出する。そして、支持部高さ算出部610は、保持部材移動装置70を駆動して、各主筋支持部30の配置を調整する。これにより、組み立てる先組鉄筋の配筋情報に応じた主筋の配置に自動的にすることができる。
【0052】
・上記各実施形態においては、架台10を使用する場合には、作業者が、複数の架台10を配置した。これに代えて、架台10の配置を自動的に行なってもよい。例えば、各架台10の下方に4つの車輪を設ける。更に、これら車輪を駆動する駆動制御部を設け、各駆動部を統括する制御部を設ける。そして、制御部が、配筋情報及び架台情報から、適した架台10の間隔を算出し、この間隔に応じて架台を配置する。
【0053】
具体的には、
図9(b)に示すように、各架台には、車輪の駆動を制御する車輪駆動部71が設けられている。更に、コンピュータ端末60は、制御部61及び入力部65を備えている。入力部65には、配筋情報に加えて、使用する架台の台数等に関する架台情報が入力される。制御部61は、反力・撓み算出部611及び架台配置算出部612を備えている。
【0054】
制御部61の反力・撓み算出部611は、入力部65を介して、配筋情報及び架台情報を取得し、これらから各架台の反力及び鉄筋の撓みを算出する。制御部61の架台配置算出部612は、算出した架台の反力及び鉄筋の撓みを小さくする各架台の間隔を算出し、この間隔となるように車輪駆動部71に制御信号を出力する。
【0055】
制御部61は、収納時には、隣接する架台との距離が最小となるように車輪駆動部71を制御する。これにより、不使用時には省スペースで保管できる。また、制御部61は、使用する場合には、入力部65から取得した配筋情報や架台情報に応じて算出した架台の間隔になるように車輪駆動部71を制御する。これにより、鉄筋のサイズや使用する架台の数に適した配置を行なうことができる。
【0056】
・上記各実施形態においては、架台10の昇降柱部12は、ハンドル22を備えたジャッキ20により、手動で昇降させた。昇降柱部12を昇降する機構はこれに限らず、モータ等を備えたジャッキによって昇降柱部12を昇降させてもよい。更に、上記各実施形態においては、4つの昇降柱部12の下端部を連結部14で連結させ、この連結部14の中央部付近にジャッキ20のラム21を取り付けて、1つのジャッキ20で4つの昇降柱部12を一斉に昇降させた。これに代えて、昇降柱部12を2つずつ同期させて昇降させる2つのジャッキを設けてもよいし、各昇降柱部12をそれぞれ同期させて昇降させる複数のジャッキを設けてもよい。更に、ジャッキ以外の他の昇降機構を用いて、昇降柱部12を昇降させてもよい。
【0057】
更に、所定数のせん断補強筋が通過したことに応じて、昇降柱部12の昇降を自動的に行なってもよい。この場合、各架台10において、せん断補強筋が通過したことをカウントするカウントセンサを架台10に取り付ける。そして、制御部は、せん断補強筋及び架台10の配置に応じて各架台10を通過するせん断補強筋の数(通過数)を算出し、この通過数をカウントセンサに設定する。
【0058】
そして、操作対象のジャッキ20が降下された後、設定される通過数のせん断補強筋が通過した後には、制御部は、昇降柱部12を上昇させる。そして、次の操作対象である架台10のジャッキ20を降下させる。これにより、通過したせん断補強筋の数に応じて、各架台の昇降を適切に行なうことができる。
【0059】
・上記各実施形態の鉄筋支持装置は、棒形状の主筋と、環状のせん断補強筋とを用いた先組鉄筋を組み立てるために用いた。この鉄筋支持装置において組み立てる先組鉄筋は、環状のせん断補強筋を用いた場合に限られない。例えば、一部が開口したコ字形状のせん断補強筋やらせん形状のせん断補強筋を用いる場合等、主筋を支持したままでは配置が難しい環状のせん断補強筋を用いた先組鉄筋に適用することができる。