(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記ガスバーナに供給されるガス量と、前記ガスバーナでの燃焼時間とに基づき、前記中和器が前記第一の残量低下状態となっているかの判断及び前記第二の残量低下状態となっているかの判断を行う請求項1に記載の給湯システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術は、ガス電磁弁やセンサー類が故障した場合など、使用者が即時の対応を行うべき場合に緊急性の高い音声報知を行う技術である。このような音声報知は、即時の使用中止など、使用者に強制対応を求める場合には有効であるものの、使用者が即時の対応を行わなくても良い場合や、使用者に判断を委ねるべき場合にまで同様の報知を適用してしまうと、使用者の煩わしさが増大するという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、音声報知回数が増加することに起因する煩わしさを抑制しつつ、所定の時期に使用者がシステムの状態を意識する可能性を高め得る給湯システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の給湯システムは、
ガスバーナを備えた給湯装置と、
少なくともエラー情報の表示による報知を行う表示報知部と、音声による報知を行う音声報知部とを有するリモートコントローラと、
前記表示報知部及び前記音声報知部の制御を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、所定の予備報知条件が成立した場合に前記表示報知部による報知及び前記音声報知部による報知のうち前記表示報知部による報知のみを行う予備報知制御を実行し、前記予備報知制御の実行後、所定の本報知条件が成立するまで時間をあけてから、前記表示報知部による報知及び前記音声報知部による報知をいずれも行う本報知制御を実行する。
【0007】
本発明は、所定の予備報知条件が成立した場合に、制御部が、表示報知部による報知を行う予備報知制御を実行する。このように、本報知制御の前段階で予備報知制御を行うようにすれば、給湯システムの状態を意識しておくことがより望ましい時期に、使用者にシステムの状態を意識するきっかけを与えやすくなる。しかも、予備報知制御は、表示による報知及び音声による報知のうちの表示による報知のみを行う制御であるため、音声報知回数が増加することに起因する煩わしさを抑制しつつ、使用者がシステムの状態を意識する可能性を高めることができる。
【0008】
本発明において、給湯装置は、ガスバーナでの燃焼によって生じる燃焼排気から顕熱及び潜熱を回収し、潜熱の回収に伴って生じるドレンを中和剤が収容された中和器によって中和する潜熱回収型の給湯器であってもよい。制御部は、中和器が第一の残量低下状態となった場合に予備報知制御を実行し、第一の残量低下状態よりも中和剤の残量が低下した状態である第二の残量低下状態となった場合に本報知制御を実行する構成であってもよい。
【0009】
この構成によれば、中和剤の残量がある程度低下した状態(第一の残量低下状態)で表示による報知(予備報知制御)を行い、より早期に使用者に対応を促すことができる。これにより、使用者は、中和剤に関する対処時期(例えば、補充や交換などを行う時期)が近いことを把握しやすくなるとともに、この時期には、音声報知が強制されることによる煩わしさを防ぐことができる。一方、緊急性が高まった第二の残量低下状態では、表示による報知に加えて、音声による報知も併用するため、残量低下状態をより強く使用者に認識させることができ、速やかな対応を促すことができる。
【0010】
本発明において、制御部は、ガスバーナに供給されるガス量と、ガスバーナでの燃焼時間とに基づき、中和器が第一の残量低下状態となっているかの判断及び第二の残量低下状態となっているかの判断を行う構成であってもよい。
【0011】
ガスバーナに供給されるガス量及びガスバーナでの燃焼時間は、給湯システムの動作に伴って生じるドレンの量と相関が高いため、これらに基づいて中和器での第一の残量低下状態及び第二の残量低下状態を判断することで、より適切な時期にそれぞれの報知を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施例1>
以下、発明の一例を示す実施例1について、図面を参照して説明する。
(基本構成)
図1で示す給湯システム1は、浴槽60への給湯機能と浴槽60内の水の加熱機能とを備えた風呂・給湯システムとして構成され、主として、給湯装置1Aとリモートコントローラ80とによって構成され、給湯装置1Aは、給湯側回路2と風呂側回路3とを備える。給湯側回路2は、入水管12、出湯管10、ガスバーナ4(給湯側バーナ)、熱交換器6(給湯側熱交換器)などを備え、外部から供給された水道水を加熱し出湯させる経路として機能する。風呂側回路3は、ガスバーナ54(風呂側バーナ)、熱交換器56(風呂側熱交換器)、配管66、循環ポンプ62、サーミスタ64,65などを備え、自動湯張りの際の循環加熱、風呂の追い炊き等に利用される。
【0014】
給湯側回路2では、入水管12、伝熱管8a、配管20、伝熱管7a、出湯管10によって構成される管路が給湯側通水路として機能する。入水管12は、水入口16からの水が流れ込む経路として構成され、出湯管10は、出湯口18へ湯を送り出す経路として構成される。ガスバーナ4は、燃焼ガスを燃焼させて燃焼排気を発生させる部分である。熱交換器6は、給湯側通水路(入水管12、伝熱管8a、配管20、伝熱管7a、出湯管10によって構成される管路)を通る水にガスバーナ4で生じた熱を伝達して湯を沸かす部分であり、給湯側通水路の途中の位置に設けられ、給湯側通水路の内部を通る水に対してガスバーナ4での燃焼によって生じた熱を伝えるように機能する。熱交換器6は、一次熱交換器7及び二次熱交換器8を備え、一次熱交換器7は、給湯燃焼室90内においてガスバーナ4の燃焼排気経路の上流側に配置され、二次熱交換器8は、給湯燃焼室90内において燃焼排気経路の下流側に配置されている。
【0015】
給湯側回路2において、二次熱交換器8の入口には、水道水を供給する構成で入水管12が接続されている。入水管12には、入水管12を通る水の温度(即ち、通水管における熱交換器よりも上流側の位置の水温)を検出する水温検出部としてのサーミスタ25と、入水管12内の通水量(即ち、通水管を流れる水の量)を検出する水量検出部としての水量センサ34とが設けられている。入水管12の下流側には、二次熱交換器8の伝熱管8aが接続され、更にその下流側には、二次熱交換器8の伝熱管8aと一次熱交換器7の伝熱管7aとを連結する配管20が接続される。この配管20に連結された構成で一次熱交換器7の伝熱管7aが接続され、一次熱交換器7の出口には、一次熱交換器7で加熱された湯を出湯する構成で出湯管10が接続されている。出湯管10には、出湯管10内の水の温度を検出するサーミスタ26が設けられている。
【0016】
熱交換器6は、一次熱交換器7によって燃焼排気の顕熱を回収した後、二次熱交換器8によって潜熱を回収するように機能する。具体的には、一次熱交換器7は、一次熱交換器7内の通水経路となる伝熱管7aを備えており、伝熱管7a内を通る水に対してガスバーナ4で発生した燃焼排気に含まれる燃焼熱を伝熱し、顕熱の熱エネルギーを通水に伝達する形で熱交換する。また、二次熱交換器8は、二次熱交換器8内の通水経路となる伝熱管8aを備えており、伝熱管8a内を通る水に対し、ガスバーナ4で発生した燃焼排気が一次熱交換器7を通過した後の燃焼熱を伝熱し、潜熱の熱エネルギーを通水に伝達するように熱交換する。
【0017】
入水管12と出湯管10との間をバイパスする通水経路として、熱交換器6とは異なる通水経路として構成されたバイパス路14が設けられている。バイパス路14には、バイパス路14の通水を遮断した閉塞状態と、この閉塞状態よりも開度を増大させた開放状態とに移行可能なバイパス弁32が設けられている。入水管12において、バイパス路14が連結する分岐位置よりも上流側には、通水量制御弁33が設けられている。通水量制御弁33は、コントローラ22からの指示を受けて駆動軸の回転角度が制御されるモータを備え、入水管12を閉塞状態と全開状態との間で様々な開度に連続的に変更できる構成となっている。
【0018】
ガスバーナ4へのガスの供給を行うガス管40には、上流側からガス元電磁弁42、給湯ガス比例制御弁44、各ガスバーナ4への分岐管ごとの給湯切替電磁弁46,46・・が夫々設けられている。また、給湯燃焼室90の下方には、燃焼用空気を各ガスバーナ4(給湯バーナ)及びガスバーナ54(風呂バーナ)へ供給するファン48が設けられている。ガスバーナ54(風呂バーナ)に接続されるガス管からの分岐管には、切替電磁弁53が設けられている。給湯ガス比例制御弁44、給湯切替電磁弁46は、ガスバーナ4へのガス量を調整するように機能する。
【0019】
風呂側回路3において、配管66は、浴槽60側からの水を熱交換器56側へと導くための往き配管67と、熱交換器56側からの水を浴槽60側へと導くための戻り配管68と、往き配管67と戻り配管68とに連結されて熱交換器56内を通る中間配管69とを備える。配管66は、一端側及び他端側が浴槽60内に連通するとともに浴槽60から出た水を通過させて浴槽60内に戻す経路として構成される。この配管66は、例えば追い炊き動作時や沸かしあげ動作時に浴槽60から引き込まれる水を往き配管67によって熱交換器56に導き、この熱交換器56を通過した水を戻り配管68によって浴槽60に導くように循環させる経路となっている。熱交換器56は、風呂一次熱交換器57と風呂二次熱交換器58とを備え、配管66(循環路)を通る水にガスバーナ54(風呂側バーナ)で生じた熱を伝達するように機能する。
【0020】
往き配管67は、浴槽60と風呂二次熱交換器58との間に配置されており、この往き配管67には、循環ポンプ62と往き配管67を通る水の温度を検出するサーミスタ64(風呂サーミスタ)が設けられている。サーミスタ64は、浴槽60から排出される水の水温(即ち、浴槽60内の水温)を検出するように機能する。循環ポンプ62は、配管66内の水を流動させる装置であり、浴槽60側から水を引き込み、引き込んだ水を熱交換器56側に向けて排出するように機能する。
【0021】
戻り配管68は、風呂一次熱交換器57と浴槽60との間に配置される。戻り配管68には、出湯管10から分岐された落とし込み管70が接続され、落とし込み管70には、給湯用電磁弁72及び落とし込み水量センサ74が設けられている。そして、落とし込み管70に設けられた給湯用電磁弁72を開弁させることで、給湯側回路2で加熱された湯を浴槽60へ供給することが可能となっている。水量センサ74は、落とし込み管70を介して浴槽60へと供給される供給水量を検出する機能を有する。
【0022】
落とし込み管70は、給湯側回路2の給湯側通水路から風呂側回路3の配管66(循環路)へと湯を通す経路となっている。具体的には、落とし込み管70は、出湯管10より分岐するとともに往き配管67に連通し、給湯側通水路を通って熱交換器6で加熱された水を浴槽60に導くように機能する。
【0023】
二次熱交換器8,58では、相応に相対湿度が高い排気から更に熱を奪うため、排気中の水蒸気が凝縮してドレン(凝縮水)が発生する。そのため、このドレンを排出するためにドレン排水管76が設けられ、ドレン排水管76の下流端には中和器78が設けられている。中和器78は、窒素酸化物や硫黄酸化物を含有する酸性のドレンを中和するために設けられたもので、中和器78の内部には、ドレンを中和させる中和剤(例えば、炭酸カルシウム)が充填されている。このように、給湯装置1Aは、ガスバーナ4,54での燃焼によって生じる燃焼排気から顕熱及び潜熱を回収し、潜熱の回収に伴って生じるドレンを中和剤が収容された中和器78によって中和する潜熱回収型の給湯器となっている。
【0024】
給湯システム1には、
図1、
図2で示すコントローラ22が設けられる。
図2で示すコントローラ22は、例えば、公知のマイクロコンピュータ等として構成される制御回路22Aと、公知の半導体メモリ等として構成されるメモリ22Bと、外部との通信を行うためのインタフェースとして構成される通信部22Cとを備える。コントローラ22は、給湯側回路2や風呂側回路3に設けられた様々なセンサからの信号を取得可能に構成され、給湯側回路2や風呂側回路3に設けられた様々なアクチュエータを制御し得る。例えば、コントローラ22は、通水量制御弁33、給湯ガス比例制御弁44、給湯切替電磁弁46、切替電磁弁53などを制御する機能を有する。
【0025】
図2のように、複数のリモートコントローラ80は、コントローラ22と通信し得る構成で配置される。
図1、
図2の例では、複数のリモートコントローラ80として、浴室内に設けられる第1リモートコントローラ81と、浴室とは異なる場所(例えば台所等)に設けられる第2リモートコントローラ82とが設けられる。
【0026】
図2のように、第1リモートコントローラ81は、公知のマイクロコンピュータ等として構成される制御回路81Aと、液晶表示装置等として構成される表示部81Bと、押圧ボタン等の公知のスイッチが複数設けられてなる操作部81Cと、コントローラ22や第2リモートコントローラ82と通信を行う通信部81Dと、音声を出力するスピーカなどからなる音声出力部81Eとを備える。操作部81Cは,例えば、設定温度(給湯温度)を指示する入力操作、所定の省エネルギーモードを指示する入力操作、浴槽60への自動湯張りを指示する入力操作などに用いられる複数の操作部によって構成されている。
【0027】
第2リモートコントローラ82も同様であり、公知のマイクロコンピュータ等として構成される制御回路82Aと、液晶表示装置等として構成される表示部82Bと、押圧ボタン等の公知のスイッチが複数設けられてなる操作部82Cと、リモートコントローラ82で生成された信号等をコントローラ22に伝達するための通信部82Dと、音声を出力するスピーカなどからなる音声出力部82Eとを備える。第2リモートコントローラ82は第1リモートコントローラ81と同様の構成、或いは簡略化された構成をなし、第1リモートコントローラ81と同様の設定が可能である。両リモートコントローラ80において、一方で設定された内容は、相互に反映される。また、両リモートコントローラ80で設定された情報(設定温度、ふろ温度、ふろ湯量など)は、コントローラ22のメモリ22Bに記憶される。
【0028】
本構成では、表示部81B,82Bが、少なくともエラー情報の表示による報知を行う表示報知部の一例に相当する。そして、音声出力部81E,82Eは、音声による報知を行う音声報知部の一例に相当する。
【0029】
(報知制御)
次に、
図3を参照して報知制御について説明する。
図3の報知制御は、例えば、所定の開始条件の成立時(例えば、コントローラ22に電源が投入された時)に制御回路22Aによって実行される制御であり、この報知制御が開始されると、まず、予備報知条件が成立したか否かを判断する(S1)。
【0030】
本構成では、中和器78が第一の残量低下状態となった時を「予備報知条件が成立した時」としている。具体的には、ガスバーナ4,54に供給されるガス量と、ガスバーナ4,54での燃焼時間とに基づき、ガスバーナ4,54に送ったガス量の積算値(累積値)を計算する。ガス元電磁弁42の開放時には、単位時間当たりのガス流量は、給湯ガス比例制御弁44の開度と、給湯切替電磁弁46及び切替電磁弁53の総開口面積とによって定まる。例えば、給湯ガス比例制御弁44の開度と、給湯切替電磁弁46及び切替電磁弁53の総開口面積との組合せがある状態で保たれた場合、その組み合わせによって単位時間当たりのガス流量が定まる。そして、その組み合わせのまま一定時間経過した場合、その組み合わせでの単位時間当たりのガス流量に経過時間(経過時間)を乗じることでガス消費量が定まる。このような演算を、単位時間当たりのガス流量が変化する毎に行い、各々の演算で得られるガス消費量(積算値)を累積することで、給湯システム1での累積ガス消費量を求めることができる。
【0031】
このように、給湯システム1では、コントローラ22によって給湯システム1での累積ガス消費量を継続的に算出しており、この累積ガス消費量の算出結果は、メモリ22Bを構成する不揮発性メモリに記憶し、ガス消費に応じて更新している。累積ガス消費量とドレンの発生量は高い正の相関があり、累積ガス消費量と中和剤の残量は高い負の相関がある。つまり、累積ガス消費量が増大するほど、中和剤の残量は減少することになる。このような関係を利用し、
図3のS1では、「予備報知条件が成立したか否か」の判断として、具体的には、「メモリ22Bに記憶された累積ガス消費量が第1の値に達したか否か」を判断する。第1の値は、中和器78に収容される中和剤が0よりも大きい所定残量となることが想定される累積ガス消費量である。このように、制御回路22Aは、S1にて、中和器78が第一の残量低下状態(第1の値の累積ガス消費量に相当する残量低下状態)となっているかの判断を行う。
【0032】
メモリ22Bに記憶された累積ガス消費量が第1の値に達していない場合には、S1にてNoに進み、S1の判断を繰り返す。つまり、給湯システム1では、メモリ22Bに記憶された累積ガス消費量が第1の値に達するまで、定期的にS1の判断処理が繰り返されることになる。
【0033】
メモリ22Bに記憶された累積ガス消費量が第1の値に達した場合には、S1にてYesに進み、S2にて予備報知を行う。このS2の処理は、表示報知部による報知及び音声報知部による報知のうち表示報知部による報知のみを行う処理である。具体的には、コントローラ22の制御回路22Aから第1リモートコントローラ81及び第2リモートコントローラ82に対して予備報知の指令を送信する。制御回路22Aから送信された予備報知の指令を第1リモートコントローラ81及び第2リモートコントローラ82が受信した場合、制御回路81Aは、表示部81Bに所定の予備報知情報を表示させ、制御回路82Aは、表示部82Bに所定の予備報知情報を表示させる。この予備報知情報は、例えばエラーコード(中和剤が少なくなったことを示すエラーコード等)であってもよく、「中和剤の残量が少なくなってきました」など、中和剤の残量が減少している旨、或いは中和剤の交換又は補充時期が近づいている旨のメッセージ表示などであってもよい。
【0034】
S2にて予備報知を行った後には、本報知条件が成立したか否かを判断する(S3)。具体的には、「メモリ22Bに記憶された累積ガス消費量が第2の値に達したか否か」を判断する。第2の値は、中和器78に収容される中和剤が0又は0に近い残量となることが想定される累積ガス消費量であり、第1の値よりも大きい値である。このように、制御回路22Aは、S3にて、中和器78が第二の残量低下状態(第2の値の累積ガス消費量に相当する残量低下状態)となっているかの判断を行う。
【0035】
メモリ22Bに記憶された累積ガス消費量が第2の値に達していない場合には、S3にてNoに進み、S3の判断を繰り返す。つまり、給湯システム1では、S2で予備報知を行った後、メモリ22Bに記憶された累積ガス消費量が第2の値に達するまで、定期的にS3の判断処理が繰り返されることになる。
【0036】
メモリ22Bに記憶された累積ガス消費量が第2の値に達した場合には、S3にてYesに進み、S4にて本報知を行う。このS4の処理は、表示報知部による報知及び音声報知部による報知をいずれも行う処理であり、具体的には、コントローラ22の制御回路22Aから第1リモートコントローラ81及び第2リモートコントローラ82に対して本報知の指令を送信する。制御回路22Aから送信された本報知の指令を第1リモートコントローラ81及び第2リモートコントローラ82が受信した場合、制御回路81Aは、表示部81Bに所定の本報知情報を表示させ、且つ音声出力部81Eに所定の本報知音声を発生させる。同様に、制御回路82Aは、表示部82Bに所定の本報知情報を表示させ、音声出力部82Eに所定の本報知音声を発生させる。
【0037】
S4で表示する本報知情報は、予備報知情報と同じ情報であってもよく、異なっていてもよい。例えば本報知情報は、予備報知情報と異なるエラーコード(中和剤が無くなったことを示すエラーコード等)であってもよく、「中和剤が無くなりました」など、中和剤が無くなった旨、或いは中和剤の交換又は補充時期がとなった旨のメッセージ表示などであってもよい。また、S4で発する本報知音声は、「中和剤が無くなりました」など、中和剤が無くなった旨、或いは中和剤の交換又は補充時期がとなった旨のメッセージ音声などであってもよく、中和剤が無くなったことを示す所定のブザー音、アラーム音などであってもよい。このような本報知音声は、S4の実行開始後、一定時間継続して発するようにしてもよく、所定の解除条件が成立するまでの間、定期的に或いは所定条件成立時(例えば、給湯動作の開始時)に発するようにしてもよい。所定の開始条件は、例えば、コントローラ80の操作部に対する所定のリセット操作などであってもよく、コントローラ22に対する所定の操作などであってもよい。
【0038】
このように、本構成では、制御回路22A,81A,82Aが制御部の一例に相当し、表示報知部及び音声報知部の制御を行うように機能し、具体的には、制御部は、所定の予備報知条件が成立した場合に表示報知部による報知及び音声報知部による報知のうち表示報知部による報知のみを行う予備報知制御を実行し、予備報知制御の実行後、所定の本報知条件が成立するまで時間をあけてから、表示報知部による報知及び音声報知部による報知をいずれも行う本報知制御を実行するように機能する。具体的には、これら制御回路22A,81A,82Aは、中和器78が第一の残量低下状態となった場合に予備報知制御を実行し、第一の残量低下状態よりも中和剤の残量が低下した状態である第二の残量低下状態となった場合に本報知制御を実行するように機能する。
【0039】
以上のように、本構成の給湯システム1は、所定の予備報知条件が成立した場合に、制御部が、表示部81B,82B(表示報知部)による報知を行う予備報知制御を実行する。このように、本報知制御の前段階で予備報知制御を行うようにすれば、給湯システムの状態を意識しておくことがより望ましい時期に、使用者にシステムの状態を意識するきっかけを与えやすくなる。しかも、予備報知制御は、表示による報知及び音声による報知のうちの表示による報知のみを行う制御であるため、音声報知回数が増加することに起因する煩わしさを抑制しつつ、使用者がシステムの状態を意識する可能性を高めることができる。
【0040】
本構成では、給湯装置1Aは、ガスバーナ4,54での燃焼によって生じる燃焼排気から顕熱及び潜熱を回収し、潜熱の回収に伴って生じるドレンを中和剤が収容された中和器78によって中和する潜熱回収型の給湯器となっている。そして、制御回路22A,81A,82A(制御部)は、中和器78が第一の残量低下状態となった場合に予備報知制御を実行し、第一の残量低下状態よりも中和剤の残量が低下した状態である第二の残量低下状態となった場合に本報知制御を実行する構成となっている。この構成によれば、中和剤の残量がある程度低下した状態(第一の残量低下状態)で表示による報知(予備報知制御)を行い、より早期に使用者に対応を促すことができる。これにより、使用者は、中和剤に関する対処時期(例えば、補充や交換などを行う時期)が近いことを把握しやすくなるとともに、この時期には、音声報知が強制されることによる煩わしさを防ぐことができる。一方、緊急性が高まった第二の残量低下状態では、表示による報知に加えて、音声による報知も併用するため、残量低下状態をより強く使用者に認識させることができ、速やかな対応を促すことができる。
【0041】
本構成では、制御回路22A,81A,82A(制御部)は、ガスバーナ4,54に供給されるガス量と、ガスバーナ4,54での燃焼時間とに基づき、中和器78が第一の残量低下状態となっているかの判断及び第二の残量低下状態となっているかの判断を行う構成となっている。ガスバーナ4,54に供給されるガス量及びガスバーナ4,54での燃焼時間は、給湯システム1の動作に伴って生じるドレンの量と相関が高いため、これらに基づいて中和器78での第一の残量低下状態及び第二の残量低下状態を判断することで、より適切な時期にそれぞれの報知を行うことができる。
【0042】
<他の実施例>
上述した実施例には、様々な変更を加えてもよく、様々な構成を付加してもよい。以下、他の実施例を簡単に説明する。
【0043】
上述した実施例では、風呂側回路3を備えた給湯システム1を例示したが、風呂側回路が設けられない給湯システムに適用してもよい。
【0044】
上述した実施例では、2つのリモートコントローラを備えた給湯システム1を例示したが、リモートコントローラの数は1つであってもよく、3以上であってもよい。
【0045】
上述した実施例では、複数のリモートコントローラを備えた給湯システム1において、両リモートコントローラで予備報知制御及び本報知制御を行う例を示したが、いずれか1つのリモートコントローラで予備報知制御及び本報知制御を行うようにしてもよい。あるいは、予備報知制御については、いずれかのリモートコントローラのみで行い、本報知制御については全てのリモートコントローラで行うようにしてもよい。
【0046】
上述した実施例では、中和剤の残量によって予備報知制御と本報知制御とを使い分けていたが、これ以外の例であってもよい。
例えば、給湯システムそのものの使用年数によって予備報知制御と本報知制御とを行うようにしてもよい。具体的には、給湯システムの使用開始から第1の時間が経過した場合(予備報知条件が成立した場合)に予備報知制御を行い、第1の時間よりも長い時間である第2の時間(例えば、耐用年数)が経過した場合(本報知条件が成立した場合)に本報知制御を行うようにしてもよい。
或いは、給湯システムにおいて第1の異常状態が生じた場合(予備報知条件が成立した場合)に予備報知制御を行い、第1の異常状態がより進行して第2の異常状態となった場合(本報知条件が成立した場合)に本報知制御を行うようにしてもよい。例えば、自動湯張りの開始を行ってから、設定温度の自動湯張りが完了するまでの時間が想定される時間よりも長い第1の基準時間を超えるような場合(予備報知条件が成立した場合)に予備報知制御を行い、第1の基準時間よりも長い第2の基準時間を超えるような場合(本報知条件が成立した場合)に本報知制御を行うようにしてもよい。別例として、所定期間当たり(例えば1日当たり)のエラー回数が第1の所定回数を超えるような第1の異常状態が生じた場合(予備報知条件が成立した場合)に予備報知制御を行い、所定期間当たり(例えば1日当たり)のエラー回数が第1の所定回数よりも大きい第2の所定回数を超えるような第2の異常状態となった場合(本報知条件が成立した場合)に本報知制御を行うようにしてもよい。
【0047】
中和剤の残量を検出する方法は、上述した例に限られない。例えば、中和器内において中和剤が終了される所定領域の重量を検知するセンサを設け、このセンサによる検知重量が第1の重量以下に低下した場合に予備報知を行い、第1の重量よりも小さい第2の重量以下に低下した場合の本報知を行うようにしてもよい。