特許第6684592号(P6684592)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684592
(24)【登録日】2020年4月1日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】防水シート固定具
(51)【国際特許分類】
   E04D 5/14 20060101AFI20200413BHJP
   E04D 11/00 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   E04D5/14 J
   E04D11/00 J
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-1100(P2016-1100)
(22)【出願日】2016年1月6日
(65)【公開番号】特開2017-122330(P2017-122330A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2018年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000178619
【氏名又は名称】アーキヤマデ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】橋本 雅史
(72)【発明者】
【氏名】野元 裕正
(72)【発明者】
【氏名】大西 裕之
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0017529(US,A1)
【文献】 特開平07−259271(JP,A)
【文献】 特開2015−200112(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0033780(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 5/14
E04D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水シートが固定される接着部が上面に設けられ、防水下地に敷設された断熱層に載置される金属製の板状部材と、
前記板状部材に相対回転可能に当接した状態で前記断熱層に嵌入され、締結具によって前記防水下地に固定される樹脂製の取付部材と、が備えられ、
前記取付部材に、前記締結具が挿通される筒状の本体部と、前記本体部の上端に設けられ、前記本体部の外径よりも大径に形成された鍔状部と、前記本体部の内部下端に設けられ、前記締結具の頭部が係止可能な座繰り部と、が備えられ、
前記板状部材のうち前記接着部よりも内周側に、前記本体部の外径よりも大径かつ前記鍔状部の外径よりも小径に形成され、前記本体部が貫通される挿通孔が備えられ、
前記板状部材における前記挿通孔の周囲に、前記防水下地側に凹入され、前記鍔状部が収容される凹入部が備えられ、
前記凹入部の上面に、前記凹入部の周方向に間隔を空けた状態で並ぶとともに前記防水下地とは反対側に突出する複数の突出部が備えられ、
前記複数の突出部の上面に前記鍔状部の下面が当接して、前記複数の突出部と前記鍔状部との間で前記相対回転が可能であり、かつ、前記鍔状部と前記凹入部との間における隣接する前記突出部の間に前記突出部の高さに相当する空間が形成されている防水シート固定具。
【請求項2】
前記複数の突出部は、前記凹入部の内周部から放射状に延びる状態で備えられている請求項1に記載の防水シート固定具。
【請求項3】
前記凹入部のうち前記複数の突出部よりも内周側に、前記挿通孔に沿った状態で周方向に連続する平坦面が備えられている請求項2に記載の防水シート固定具。
【請求項4】
前記板状部材のうち前記凹入部の外周側に隣り合う位置に、前記凹入部から前記防水下地とは反対側に膨出する環状のリブ部が備えられ、
前記突出部の外周側端部は、前記リブ部と連続している請求項2または3に記載の防水シート固定具。
【請求項5】
前記本体部の外周部に、径方向外側に突出する抜止突起が備えられ、
前記抜止突起の突出長は、前記挿通孔の外径と前記本体部の外径との差よりも大きく、
前記抜止突起は、圧嵌めによって前記挿通孔を乗り越えている請求項1〜4の何れか一項に記載のシート固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、防水下地の表面に沿って設けられた断熱層の上に、防水シートを敷設するにあたり、防水シートを防水下地に固定する防水シート固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の防水シート固定具としては、中央に挿通孔が形成された円板形状の板状部材と、板状部材の挿通孔に挿通自在な筒状の取付部材とを備えたものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
板状部材は、その上面部に、防水シートの下面が接着される接着部が設けられ、挿通孔の周囲には、取付部材の上縁部の全周にわたる鍔状部が収容される凹入部が、設けられている。
また、取付部材は、筒状の本体部の上縁部に上述の鍔状部が設けられ、本体部の筒内部の下端には、ビス(締結具に相当)の頭部が係止可能な座繰り部が設けられている。
【0004】
そして、防水シート固定具を防水下地(例えば、折板屋根での折板)に取り付けるには、防水下地に備えられた断熱パネル(断熱層に相当)上の所定位置に、板状部材を載置し、板状部材の挿通孔に取付部材を下端部から挿通させて断熱パネルに貫入させ、取付部材の内空部にビスを挿通して防水下地に締め込むことで実施できる。
【0005】
即ち、ビスを締め込むことで、取付部材が防水下地側へ近接し、取付部材の鍔状部と板状部材の凹入部とが全周にわたって上下に重なるから、板状部材が浮き上がらない状態に位置固定することができる。
【0006】
そして、防水下地に取り付けた各防水シート固定具の上から防水シートを敷き並べ、板状部材の接着部に接着することで、防水シートを防水下地に定着させることができる。
【0007】
また、板状部材と取付部材とは、凹入部と鍔状部とが上下に当接した状態で、縦軸心周りに相対回転することが許容されている。それによって、板状部材に作用する回転力で、取付部材やそれを防水下地に固定しているビスが供回りして緩むのを防止できる。
因みに、板状部材の回転は、例えば、風による揚力が防水シートに加わり、その影響が防水シートから板状部材に伝わることで生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−136892号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
当該防水シート固定具を使用して防水下地上に防水シートを固定した状態においては、防水シートと防水下地とで挟まれた範囲は、密閉された環境となる。従って、密閉環境内においては、昼夜の外気温度の高低差による結露が発生し易い状況にある。
【0010】
上述した従来の防水シート固定具によれば、板状部材と取付部材とが、凹入部と鍔状部とで全周に亘って当接しているから、毛細管現象によって当接面間に結露水を引き入れ易い状況となっている。
また、一度、当接面間に浸入した結露水は、空間に解放され難いから蒸散できずに、長期にわたって介在し続ける虞がある。従って、長期間介在する水によって、凹入部と鍔状部との化学変化等が助長され、素材の劣化を進行させたり、当接面どうしが付着して相対回転の障害となる問題点がある。
【0011】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、防水シートと防水下地との間に発生する結露水が溜まったままになり難く、結露水による素材の劣化や付着が生じ難い防水シート固定具を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の特徴は、防水シートが固定される接着部が上面に設けられ、防水下地に敷設された断熱層に載置される金属製の板状部材と、前記板状部材に相対回転可能に当接した状態で前記断熱層に嵌入され、締結具によって前記防水下地に固定される樹脂製の取付部材と、が備えられ、前記取付部材に、前記締結具が挿通される筒状の本体部と、前記本体部の上端に設けられ、前記本体部の外径よりも大径に形成された鍔状部と、前記本体部の内部下端に設けられ、前記締結具の頭部が係止可能な座繰り部と、が備えられ、前記板状部材のうち前記接着部よりも内周側に、前記本体部の外径よりも大径かつ前記鍔状部の外径よりも小径に形成され、前記本体部が貫通される挿通孔が備えられ、前記板状部材における前記挿通孔の周囲に、前記防水下地側に凹入され、前記鍔状部が収容される凹入部が備えられ、前記凹入部の上面に、前記凹入部の周方向に間隔を空けた状態で並ぶとともに前記防水下地とは反対側に突出する複数の突出部が備えられ、前記複数の突出部の上面に前記鍔状部の下面が当接して、前記複数の突出部と前記鍔状部との間で前記相対回転が可能であり、かつ、前記鍔状部と前記凹入部との間における隣接する前記突出部の間に前記突出部の高さに相当する空間が形成されているところにある。
【0013】
本発明によれば、凹入部の上面に、防水下地とは反対側に突出する複数の突出部が備えられ、複数の突出部の上面に鍔状部の下面が当接するから、隣接する突出部間には、周囲に連通して開放された空間を確保することができる。
【0014】
従って、結露水が凹入部と鍔状部の間に浸入したとしても開放側へ抜け易く、また、蒸散が促進され、長期にわたって結露水が介在し続けるのを防止できる。
その結果、結露水が、凹入部と鍔状部との当接面間に溜まったままになり難く、結露水による凹入部や鍔状部の素材の劣化や、付着による相対回転障害等を、防止することができる。
【0015】
また、凹入部に突出部を備えていることで、凹入部の断面係数が増大し、凹入部としての部材強度の向上を図れる。その結果、防水シート固定具として、高い固定強度を発揮できるようになる。また、各突出部は、凹入部の周方向に間隔を空けた状態で備えられているから、各突出部間にできる空間も、凹入部の内周部から放射状に延びる状態に形成できる。従って、空間の延び方向での両端側(又は、何れか一端側)を開口させて、より水抜け性を向上させることができる。
【0016】
本発明においては、前記複数の突出部は、前記凹入部の内周部から放射状に延びる状態で備えられていると好適である。
【0017】
本構成によれば、突出部が、凹入部の内周部からそれぞれ放射状に延びる補強リブとなるから、凹入部における放射方向(径方向)での曲げ剛性の向上を図ることができる
【0018】
本発明においては、前記凹入部のうち前記複数の突出部よりも内周側に、前記挿通孔に沿った状態で周方向に連続する平坦面が備えられていると好適である。
【0019】
本構成によれば、平坦面が、突出部より内周側で周方向に連続していることで、リング状の構造を形成でき、各突出部どうしを平坦面で一体的に連結できることで、凹入部における周方向での曲げ剛性の向上を図ることができる。従って、突出部を折り目として板状部材が折れ曲がるのを防止できる。
【0020】
本発明においては、前記板状部材のうち前記凹入部の外周側に隣り合う位置に、前記凹入部から前記防水下地とは反対側に膨出する環状のリブ部が備えられ、前記突出部の外周側端部は、前記リブ部と連続していると好適である。
【0021】
本構成によれば、環状のリブ部による板状部材の周方向に沿った曲げ剛性の向上と、突出部による放射方向での曲げ剛性の向上とを、両方、備えることができる。
更には、突出部とリブ部とが連続していることで、互いの曲げ剛性を相乗的に補完でき、強度の高い防水シート固定具を提供できるようになる。
【0022】
本発明においては、前記本体部の外周部に、径方向外側に突出する抜止突起が備えられ、前記抜止突起の突出長は、前記挿通孔の外径と前記本体部の外径との差よりも大きく、前記抜止突起は、圧嵌めによって前記挿通孔を乗り越えていると好適である。
【0023】
本構成によれば、板状部材と取付部材とを嵌合させて、抜止突起が挿通孔内縁を乗り越える状態に圧嵌めすることで、互いの部材が離脱しないように一体化できる。
よって、部材の取扱時に、板状部材と取付部材とを個別に取り扱うのではなく、一緒にしたまま取り扱うことができ、取扱性が向上する。その結果、防水下地へ当該防水シート固定具を取り付ける時に、効率よく作業を進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】屋根における防水シート固定具の設置状況を表す一部切欠き斜視図である。
図2】防水シート固定具の分解斜視図である。
図3】一体化された防水シート固定具を示す斜視図である。
図4】板状部材の平面図である。
図5】屋根における防水シート固定具の設置状況を示す要部断面図である。
図6】板状部材と取付部材との嵌合状況を示す要部断面図である。
図7】別実施形態の板状部材の平面図である。
図8】別実施形態の板状部材の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、屋根Rの表面に、当該発明の防水シート固定具の一実施形態品(以後、単にシート固定具Dという)を使用して防水シート1が設置してある状況を示している。
【0027】
屋根Rは、屋根下地(防水下地の一例)R1の表面側に断熱板(断熱層に相当)R2を敷き詰めて構成されている。
屋根下地R1は、当該実施形態においては、金属製折板を並設した金属屋根(折板屋根)で構成されている。
尚、屋根下地R1そのものは、折板屋根に限るものではなく、例えば、デッキプレートやキーストンプレート等の金属製下地で形成してあったり、鉄筋コンクリート造や、コンクリート版等を使用した下地であってもよい。
【0028】
断熱板R2は、ウレタンフォーム(他にポリスチレンやポリプロピレンやポリエチレン等の発泡成形品でもよく、硬さも自由に設定可能)からなり、屋根下地R1への固定は、当該シート固定具Dによって行われている。
【0029】
防水シート1は、例えば、塩化ビニル系等の合成樹脂製シートで構成されている。
【0030】
シート固定具Dは、図2〜5に示すように、円板状の板状部材D1と、板状部材D1に挿通自在でビス(締結具の一例)2によって屋根下地R1に固定される筒状の取付部材D2とを備えている。
【0031】
板状部材D1は、金属板をプレス加工によって成形してあり、円板の中央部分に、取付部材D2を挿通自在な挿通孔3が設けられ、その挿通孔3の外周側の部分が上方に膨出しており、その上面部分に、防水シート1が固定される接着部4が設けられている。
因みに、挿通孔3は、取付部材D2の本体部20(後述)の外径よりも大径に、且つ、取付部材D2の鍔状部21(後述)の外径よりも小径に形成され、本体部20が貫通できるように形成されている。
【0032】
因みに、接着部4は、当該実施形態においては、ホットメルト接着材によって構成されている。従って、設置したシート固定具Dの上に、防水シート1を敷設し、その上から、電磁誘導加熱によって金属である板状部材D1を加熱すれば、接着部4(ホットメルト接着材)が融けてシート固定具Dに防水シート1を接着することができる。
【0033】
また、板状部材D1の最外縁部は、接着部4より下段に位置して、断熱板R2の上面に当接自在な環状の接地部5として構成されている。
【0034】
板状部材D1における挿通孔3の周囲は、全周にわたって屋根下地R1側に凹入された凹入部6が形成され、その凹入部6と接着部4との間には、凹入部6より屋根下地R1とは反対側に膨出する環状のリブ部7が形成されている。
【0035】
凹入部6には、屋根下地R1とは反対側に膨出する複数の突出部8が備えられている。
突出部8は、凹入部6の内周部から放射状に延びる状態、かつ、凹入部6の周方向に間隔を空けた状態で備えられている。
【0036】
また、突出部8の内周側端部8aは、凹入部6の内縁部より若干外周側に位置している。従って、突出部8よりも内周側の部分は、挿通孔3の周方向に連続する平坦面6aとして構成され、他の凹入部6と同一平面上に位置している。
また、突出部8の外周側端部8bは、前記リブ部7と交差状態で連続している。
【0037】
挿通孔3に、取付部材D2を挿通させていくに伴って、上端に備えた鍔状部21は、凹入部6に収納された状態となる。この収納状態においては、鍔状部21の下面が、各突出部8の上面に当接している。従って、凹入部6と鍔状部21との間において、隣接する突出部8の間には、突出部8の高さに相当する空間Vが形成される。
【0038】
この空間Vも、突出部8と同様に、凹入部6の内周部から放射状に延びる状態で、かつ、凹入部6の周方向に間隔を空けた状態に形成される。図6に示すように、空間Vは、延び方向での両端側で解放される。
従って、防水シート1と屋根下地R1との間の範囲で結露した水が、空間Vに浸入しても、上述のように解放されていることで抜け易い。
【0039】
取付部材D2は、合成樹脂によって形成してあり、図5に示すように、ビス2が挿通される筒状の本体部20と、本体部20の上端に設けられ、本体部20の外径よりも大径に形成された鍔状部21と、本体部20の内部下端に設けられ、ビス2の頭部が係止可能な座繰り部22と、を備えている。
取付部材D2は、板状部材D1の挿通孔3に挿通したセット状態において、板状部材D1と縦軸心周りに相対回転自在である。
【0040】
本体部20は、下端部が窄まった外形に形成してあり、断熱板R2に対して、進入させ易く構成されている。
また、本体部20の外周部における鍔状部21側の部分には、径方向外側に突出する抜止突起20aが、周方向に間隔をあけて複数設けられている。
抜止突起20aの突出長Lは、抜け止めを発揮できる長さに設定してあり、当該実施形態においては、挿通孔3の半径(外径の一例)L1と本体部20の半径(外径の一例)L2との差よりも大きく設定してある(図6参照)。
従って、板状部材D1と取付部材D2との合体状態においては、抜止突起20aは、圧嵌めによって挿通孔3を乗り越えている。
【0041】
次に、当該シート固定具Dの設置手順の一例について説明する。
[1] 予め、板状部材D1と取付部材D2とを合体させておく(図3参照)。
但し、板状部材D1を断熱板R2の上に載置した状態で取付部材D2を断熱板R2に挿入しながら合体させるものであってもよい。
【0042】
[2] 屋根Rの所定の平面位置に、シート固定具Dを設置する。設置にあたっては、取付部材D2の下端部を断熱板R2に突き刺し、取付部材D2の内空部に挿入したビス2を螺進させる。
但し、断熱板R2の対応部に、予め、取付部材D2を挿入する穴を形成しておいてもよい。
【0043】
[3] ビス2の螺進の度合いは、板状部材D1が縦軸心周りに回転できる状態で、且つ、鍔状部21が、凹入部6に納まるまで行う。
以上の工程でシート固定具Dを設置でき、他の箇所にもシート固定具Dを設置した後、それらの上から防水シート1を被せ、接着部4に接着すれば、防水シート1の固定が完了する。
【0044】
当該実施形態で説明したシート固定具Dによれば、屋根Rに設置した状態で、鍔状部21と凹入部6との間に、上述の空間Vを確保できることで、結露水が鍔状部21と凹入部6との間に溜まり難く、素材の化学変化や、劣化や、付着等を防止できる。従って、耐久性が向上すると共に、板状部材D1と取付部材D2とが、長期にわたって相対回転できる構造を維持できる。
また、突出部の設け方を工夫してあることで、板状部材D1の強度アップを図れ、防水シート1の固定強度の高いシート固定具Dを提供できるようになる。
【0045】
〔別実施例〕
以下に別実施例を説明する。
〈1〉 防水下地R1は、先の実施形態で説明した屋根下地に限るものではなく、例えば、傾斜屋根や、壁等であってもよく、また、それらの構造は、例えば、木造や、鉄筋コンクリートや、鉄骨、折板、デッキプレート等、特に限定されるものではない。
【0046】
〈2〉 防水シート1は、先の実施形態で説明した塩化ビニル系等の合成樹脂製シート材に限るものではなく、公知の他の材料を使用したものであってもよい。
【0047】
〈3〉 接着部4は、先の実施形態で説明したホットメルト接着材で構成することに限るものではなく、公知の他の接着材で構成するものであってもよい。
また、板状部材D1における接着部4の位置は、先の実施形態で説明したものに限るものではない。
【0048】
〈4〉 突出部8は、先の実施形態で説明した形状や数量や配置に限るものではなく、適宜変更が可能である。
突出部8は、凹入部6の内周部から放射状に延びるものに替えて、例えば、図7に示すように、凹入部6の周方向に延びるものであってもよい。この場合、図に示すように、凹入部6の周方向に間隔を空けて突出部8を設けることが、水抜け性の向上の意味から好ましい。
また、別の形態として、突出部8は、凹入部6に点状に配置された突起であってもよい。
【0049】
また、突出部8の形成に当たっては、先の実施形態で説明したように、板状部材D1を構成する金属板の対象部を膨出させて形成することに限らず、例えば、図8に示すように、板状部材D1に別の部材を一体化させて突出部8を形成するものであってもよい。
図の形態は、例えば、半田等を盛って突出部8を形成してある。
【0050】
また、突出部8の内周側端部8aに隣接する部分を、先の実施形態で説明した平坦面6aとして構成することに限定されるものではなく、平坦面6aを設けないものであってもよい。
【0051】
尚、特許請求の範囲の項に、図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
当該防水シート固定具は、屋根以外の防水下地にも設置することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 防水シート
2 ビス(締結具の一例)
3 挿通孔
4 接着部
6 凹入部
6a 平坦面
7 リブ部
8 突出部
8b 外周側端部
20 本体部
20a 抜止突起
21 鍔状部
22 座繰り部
D1 板状部材
D2 取付部材
L 突出長
L1 挿通孔3の半径(外径の一例)
L2 本体部20の半径(外径の一例)
R1 屋根下地(防水下地の一例)
R2 断熱板(断熱層に相当)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8