【文献】
各種センサで自動監視 インフラの“健康”を把握,日経エレクトロニクス,日本,日経BP社,2013年 4月15日,第1106号,pp.30-39
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、複数の構造物を一括で管理するための被災情報管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0010】
[適用例1]
本適用例に係る被災情報管理システムは、
複数の構造物のそれぞれに設置された地震センサと、
前記複数の構造物のそれぞれに予め設定された判定基準を
設定する設定部と、
前記判定基準を記憶する記憶部と、
前記地震センサの検出値が、当該地震センサが設置された構造物に対応する前記判定基準を超えているかどうかを判定する判定部と、
前記判定部における前記複数の構造物ごとの判定結果を管理者に出力する出力部と、
前記複数の構造物のそれぞれに設置された通知部と、
を含み、
前記設定部は、前記複数の構造物のそれぞれに設定されたフラジリティカーブを用いて所定の損壊確率を設定することで前記判定基準を設定し、
前記記憶部は、前記複数の構造物のいずれかが大規模地震に遭って固有周期が伸びた場合に、当該大規模地震後の固有周期に合わせて再度応答計算して修正された前記フラジリティカーブを上書き保存し、
前記出力部は、管理者にメールで判定結果を出力
し、
前記構造物が橋梁であり、前記通知部が道路を横断するシャッターである場合に、前記通知部は、前記出力部から出力された判定結果に応じて、前記橋梁の利用者に対して当該橋梁の利用態様の変更を前記シャッターで前記橋梁を封鎖することにより通知することを特徴とする。
【0011】
本適用例によれば、構造物ごとの地震センサと判定基準とに基づいて判定された判定結果を用いて、複数の構造物を一括で管理することができる。また、このように一括管理することで、管理者が各構造物における利用者の安全を図ることができる。本適用例によれば、耐震化されていない構造物を多数管理するような場合に特に有利である。本適用例によれば、管理者が所定の管理室等に不在の場合でも判定結果を把握することができる。本適用例によれば、管理者のみならず、各構造物の利用者に対しても利用態様の変更を通知
することができる。
本適用例によれば、想定される損壊状況に応じて判定基準を設定することができる。
【0012】
[適用例
2]
本適用例に係る被災情報管理システムにおいて、
前記地震センサは、構造物計測震度、最大加速度、及び最大速度の少なくともいずれか1つの検出値を出力し、
前記判定基準は、前記検出値に対応する、構造物計測震度、最大加速度、及び最大速度の少なくともいずれか1つの基準値であり、
前記判定部は、前記検出値と当該検出値に対応する前記基準値とを比較して、前記検出値が前記基準値を超えているかどうかを判定することができる。
【0013】
本適用例によれば、地震センサが出力する検出値に対応した基準値とすることで、管理者の構造物に対する管理が容易になる。
【0018】
[適用例
3]
本適用例に係る被災情報管理システムにおいて、
前記複数の構造物のそれぞれに設置された撮影手段をさらに含み、
前記出力部は、前記撮影手段からの映像を前記管理者に出力することができる。
【0019】
本適用例によれば、管理者は判定結果と共に映像を利用することで各構造物の被災状況を判断することができる。
【0020】
[適用例
4]
本適用例に係る被災情報管理システムにおいて、
前記記憶部、前記判定部及び前記出力部は、前記複数の構造物から独立した建物内にあるデータ処理装置に設けられてもよい。
【0021】
本適用例によれば、構造物が耐震化されていない場合には損壊する可能性があるため、判定部等の損傷を防止することができる。
【0022】
[適用例
5]
本適用例に係る被災情報管理システムにおいて、
前記記憶部、前記判定部及び前記出力部は、前記複数の構造物のそれぞれに設置してもよい。
【0023】
本適用例によれば、判定部等の処理負担が小さくなり、迅速に判定し、出力することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0028】
1.被災情報管理システム
図1及び
図2を用いて、被災情報管理システム1について説明する。
図1は一実施形態に係る被災情報管理システム1の構成を示す図であり、
図2は第1データ処理装置の構成を示す図である。
【0029】
本実施形態に係る被災情報管理システム1は、複数の構造物(10,20,30)のそれぞれに設置された地震センサ(12,22,32)と、複数の構造物(10,20,30)のそれぞれに予め設定された判定基準を記憶する記憶部52と、地震センサ(12,22,32)の検出値が、当該地震センサ(12,22,32)が設置された構造物(10,20,30)に対応する判定基準を超えているかどうかを判定する判定部54と、判定部54における複数の構造物(10,20,30)ごとの判定結果を管理者に出力する
出力部56と、を含むことを特徴とする。
【0030】
図1に示す被災情報管理システム1は、複数の構造物(ここでは、第1構造物10、第2構造物20、第3構造物30)からの情報をインターネット回線40を介してデータ処理装置50に送信し、データ処理装置50における判定結果を災害管理室60の管理者が直ちに確認できるシステムである。
【0031】
被災情報管理システム1は、複数の構造物(10,20,30)を管理する管理者が導入するシステムである。管理者は、例えば市役所、区役所などの地方公共団体や日本国の行政機関などである。管理者が民間事業者であってもよいが、大規模地震における複数の構造物の安全を一括で管理する者であることが好ましい。
【0032】
構造物(10,20,30)は、例えば、道路、港湾施設、空港施設、学校施設、公民館、体育館、医療機関、博物館、美術館及び図書館などの公共施設を挙げることができる。被災情報管理システム1の対象となる構造物(10,20,30)としては、近年耐震化が推進されつつある学校施設や道路施設(橋梁)を挙げることができ、特に、「耐震性がない」(耐震診断されていない)学校施設、橋梁である。「耐震性がない」とされている施設の方が損壊するリスクが高いからである。耐震性の有無は、昭和56年の「新耐震設計基準」を満たす建物であるかどうかで判断することができる。複数の構造物10,20,30は、
図1において第1構造物10、第2構造物20、第3構造物30の3つの構造物として示したが、これに限らず、例えば2つの構造物であってもよいし、4つ以上の構造物を含んでもよい。又、第1構造物10、第2構造物20及び第3構造物30は基本的に同じ構成要素を含むものであるので、以下の説明では第1構造物10のみについて説明する場合があるが、他の構造物にも同様に又は適宜変更して適用可能である。
【0033】
地震センサ(12,22,32)は、複数の構造物(10,20,30)のそれぞれに設置される。
図1では構造物ごとに、地震センサを第1センサ12、第2センサ22、第3センサ32として示している。各構造物(10,20,30)における実際の構造物計測震度は、その構造物が設置されている地盤や地形などに大きく影響されるため、各構造物(10,20,30)に設置された地震センサ(12,22,32)によって計測することが好ましい。各地震センサ(12,22,32)は同じ構成を採用し得るので、ここでは第1センサ12について説明する。
【0034】
第1センサ12は、構造物計測震度、最大加速度、及び最大速度の少なくともいずれか1つの検出値を出力する。第1センサ12は、例えば、加速度計、変位計、速度計を用いることができる。構造物計測震度は、構造物(10,20,30)の揺れの大きさを気象庁が定める震度と同様の計算方法により計測震度相当値に換算したものである。
図1では第1構造物10に1つの第1センサ12を設置しているが、複数台の地震センサを設置してもよい。
【0035】
第1センサ12は、内部にCPU及びメモリを有し、図示しないルータに接続されている。第1センサ12の計測値をCPU及びメモリを用いて分析し、その分析結果を震度等の検出値としてルータからインターネット回線40を介してデータ処理装置50へと送られる。
【0036】
データ処理装置50は、インターネット回線40に接続し、記憶部52、判定部54、出力部56、及び設定部58を含む。
【0037】
記憶部52は、複数の構造物(10,20,30)のそれぞれに予め設定された判定基準を記憶する。判定基準は、データ処理装置50以外の場所で設定されたものであっても
よいが、ここでは設定部58で設定される。設定部58については「2.判定基準の設定」で説明する。記憶部52及び設定部58は、判定部54に接続される。
【0038】
判定部54は、地震センサ(12,22,32)の検出値が、当該地震センサ(12,22,32)が設置された構造物(10,20,30)に対応する判定基準を超えているかどうかを判定する。すなわち、第1構造物10であれば、第1センサ12の検出値が、第1構造物10に対応する判定基準を超えているかどうかを判定する。判定基準は、地震センサ(12,22,32)の検出値に対応する、構造物計測震度、最大加速度、及び最大速度の少なくともいずれか1つの基準値であり、判定部54は、検出値と当該検出値に対応する基準値とを比較して、検出値が基準値を超えているかどうかを判定する。第1センサ12の検出値が第1構造物10の構造物計測震度であれば、判定基準値も構造物計測震度となる。このように、検出値が構造物計測震度の場合、基準値も構造物計測震度であれば管理が容易になるからである。基準値は、第1構造物10に対して1つであってもよいし、複数設定してもよい。基準値については「2.判定基準の設定」において説明する。
【0039】
出力部56は、判定部54に接続し、判定部54における複数の構造物(10,20,30)ごとの判定結果を管理者に出力する。
図1では例えば区役所等の災害管理室60内にデータ処理装置50を設置しているため、管理者に対して音声、文字表示、図形表示などで判定結果を直接出力することができる。また、出力部56は、災害管理室60にいない不在管理者70,72に対して、インターネット回線40を介してメールを送信することで判定結果を出力してもよい。
【0040】
このように、本実施形態によれば、第1、第2、第3構造物10,20,30ごとの第1、第2、第3センサ12,22,32と判定基準とに基づいて判定された判定結果を用いて、第1、第2、第3構造物10,20,30を一括で管理することができる。また、このように一括管理することで、管理者が第1、第2、第3構造物10,20,30の利用者の安全を図ることができる。本実施形態によれば、耐震化されていない構造物を多数管理するような場合に特に有利である。
【0041】
図1に示すように、被災情報管理システム1は、第1、第2、第3構造物10,20,30のそれぞれに設置された撮影手段(14,24,34)をさらに含むことが好ましい。
図1では構造物(10,20,30)ごとの撮影手段を第1カメラ14、第2カメラ24、第3カメラ34として示した。各撮影手段(14,24,34)は同じ構成を採用し得るので、ここでは第1カメラ14について説明する。第1カメラ14は、静止画撮影手段であっても動画撮影手段であってもよい。出力部56は、第1カメラ14からの映像を管理者に出力することができる。第1カメラ14が静止画撮影手段であれば、判定基準を超えた時点の静止画を出力してもよいし、判定基準を超えた時点の前後の所定期間における複数の静止画を出力してもよい。第1カメラ14が動画撮影手段であれば、比較的短い時間の動画データを出力してもよいし、Webカメラとして継続的に動画データを出力してもよい。管理者は判定結果と共に映像を利用することで第1構造物10の被災状況をより確実に判断することができる。
【0042】
図1では災害管理室60にデータ処理装置50が配置されているので、記憶部52、判定部54及び出力部56は、第1、第2、第3構造物10,20,30から独立した建物内にある。このようにすることで、第1、第2、第3構造物10,20,30が耐震化されていない場合には損壊する可能性があるため、判定部54等の損傷を防止するためである。データ処理装置50は、災害管理室60とは異なる場所、例えば電気通信事業者の設備内に設置されてもよい。
【0043】
図2に示すように、第1構造物10は、第1データ処理装置11を有してもよい。第1データ処理装置11は、上述した第1センサ12及び第1カメラ14を含み、第1センサ12及び第1カメラ14に接続した第1通知部13及び第1ルータ15と、各構成要素へ電力を供給する第1UPS(「UPS」は無停電電源装置である)16と、を含む。第1データ処理装置11は、第1ルータ15を介してインターネット回線40に接続している。図示しないが、第2、第3構造物20,30も
図2の第1データ処理装置11と同様の構成をそれぞれに含んでもよい。
【0044】
第1通知部13は、出力部56から出力された判定結果に応じて、第1構造物10の利用者に対して第1構造物10の利用態様の変更を通知することができる。より具体的には、第1構造物10が学校である場合、第1通知部13は放送設備であり、判定結果に応じて全校放送を行うことができる。判定結果が「避難指示」であれば、第1通知部13は、例えば「地震が発生しました。生徒の皆さんは担任の先生の指示に従い避難場所へ速やかに移動してください。」と放送することができる。判定結果が判定基準を超えない場合には「待機」と判断して、第1通知部13は、例えば「地震が発生しました。生徒の皆さんはそのまま校内に待機してください。」と放送することができる。
【0045】
また、第1構造物10が橋梁である場合、第1通知部13は通行禁止の案内表示や道路を横断するシャッターである。判定結果が「通行禁止」であれば、第1通知部13は、例えば「通行禁止」と文字表示すると共に、シャッターが下りて橋の両端を閉鎖することができる。判定結果が「通行可」であれば、第1通知部13は、例えば「通行可」と文字表示することができる。
【0046】
このように第1構造物10に第1通知部13を有することで、管理者のみならず、第1構造物10の利用者に対しても利用態様の変更を通知することができる点で有利である。
【0047】
2.判定基準の設定
図1に示す設定部58は、複数の構造物(10,20,30)のそれぞれに設定されたフラジリティカーブを用いて所定の損壊確率を定めることで判定基準を設定することができる。「所定の損壊確率」は、各構造物(10,20,30)が安全に使用できるかという点に基づいて管理者が定めることができる。
【0048】
図3及び
図4を用いて、第1構造物10における判定基準を設定する手順について説明する。
図3は第1フラジリティカーブ580を説明する図であり、
図4は判断基準データベース520を説明する図である。
【0049】
図3は、縦軸を一部損壊率(%)、横軸を構造物計測震度とした第1構造物10における第1フラジリティカーブ580を示す。フラジリティカーブ(Seismic Fragility Curve)とは、損傷度確率曲線であり、構造物毎に設定される。
図3では縦軸を一部損壊率(%)としているが、半壊率(損傷大)(%)や全壊率(%)としてもよい。また、
図3では横軸を構造物計測震度としたが、第1センサ12の検出値に応じて、計測最大加速度又は計測最大速度としてもよい。
【0050】
第1フラジリティカーブ580は、例えば、構造物が1981年以前に建てられた建物であるか、1982年以降に立てられた建物であるかによって設定することができる。第1フラジリティカーブ580は、阪神・淡路大震災における建物の被災状況データから得ることができる。すなわち、どの年代の構造物であれば、どの程度の構造物計測震度であれば、どの程度の一部損壊建物が発生するかが判っている。このデータを用いて、所定のラインを定めて第1フラジリティカーブ580が設定される。さらに、第1フラジリティカーブ580は、第1構造物10のIs値に応じて修正されたものでもよい。被災予測の
正確性を向上するためである。
【0051】
設定部58は、記憶部52に保存された第1構造物10の第1フラジリティカーブ580を用いて、例えば、一部損壊率が10%となる構造物計測震度6.0を基準値に設定する。設定した基準値は記憶部52に第1構造物10の判定基準として保存する。この場合、地震が発生して第1センサ12の検出値が構造物計測震度6.0以上を出力すると、基準値に達しているので、判定部54が直ちに判定基準を超えていることを管理者に通知することになる。設定部58において一部損壊率をどの程度に設定するかは任意であり、施設の利用者に与える影響等を考慮して設定することができる。
【0052】
なお、
図3において、構造物計測震度6.0未満であれば基準値に達していないので、管理者には通知されないか、又は安全であると判定したことが通知される。
【0053】
このように第1フラジリティカーブ580を用いて、第1構造物10において想定される損壊状況に応じて判定基準を設定することができる。
【0054】
又、設定部58は、第2、第3構造物20,30についても同様に、記憶部52に保存された対象となる構造物のフラジリティカーブを読み出して、一部損壊率が所定の値になる構造物計測震度等を基準値に設定し、記憶部52に各判定基準として保存する。
【0055】
図4に示すように、設定部58によって設定された判断基準データベース520が記憶部52に保存される。この例では、第1構造物10の基準値は最大構造物計測震度が6.0であり、第2構造物20の基準値は最大構造物計測震度が5.0であり、第3構造物30の基準値は最大構造物計測震度が6.5に設定されている。
【0056】
又、第1フラジリティカーブ580は、縦軸を一部損壊率としたが、これとは別に例えば半壊率や全壊率を縦軸としたフラジリティカーブを用いて別の判定基準を設けてもよい。複数の判定基準に対応した対処が可能となるからである。
【0057】
又、第1構造物10が大規模地震に遭って構造躯体の損傷等で構造物自身の固有周期が伸びた場合には、大規模地震後の固有周期に合わせて再度応答計算して第1フラジリティカーブ580を修正し、記憶部52に上書き保存する。このように第1構造物10の耐震性能に合わせて第1フラジリティカーブ580を修正することで、より正確な損壊を想定することができる。
【0058】
3.出力部
出力部56は、管理者に対して各種の方法で各構造物(10,20,30)の判定結果を出力する。管理者は、その出力を確認して、適切な対応を各構造物の利用者又は各構造物に配置された責任者に連絡することができる。
【0059】
例えば、出力部56は管理者に対して「地震が発生しました。各構造物の判定結果は・・・。」と音声で出力してもよいし、パソコンのディスプレイに「地震が発生しました。第1構造物10の判定結果は・・・。第2構造物20の判定結果は・・・。第3構造物30の判定結果は・・・。」と表示してもよい。なお、「・・・」の部分には所定の判定結果が入る。又、出力部56は、災害管理室60にいる管理者に判定結果を確認するように促すサイン、例えば回転灯を点灯させる等のサインを出してもよい。
【0060】
図5は、地震発生時の災害管理室60にある管理者用のパソコンの表示部62を示す図である。このように、表示部62に管理者が管理する範囲の地図を表示し、対象となっている構造物の判定結果を表示する。
【0061】
図5では、第1構造物10と第2構造物20は建物であり、第3構造物30は橋梁である。さらに、第4構造物100の建物と第5構造物300の橋梁も管理している例について表示している。
図5において、斜線で示した構造物は「使用中止」と判定されている。地図上での構造物の判定結果を示す方法は、斜線でなくてもよく、例えば、「使用中止」の構造物を「黄色」で示し、「使用中止」にならなかった構造物を「青色」で示してもよい。さらに、半壊する構造物計測震度に達している構造物を「赤色」で示してもよい。
【0062】
図5のように地図上に管理対象の構造物の判定結果が目視できるように表示されれば、例えば、第1構造物10と第4構造物100の利用者を、「使用中止」と判定されていない第2構造物20へ避難するように管理者が指示することができる。又、第3構造物30が「使用中止」と判定されていれば、第5構造物300を利用して避難するように管理者が案内することもできる。さらに管理する構造物が多くなれば、避難経路を地図上に表示してもよく、これによって利用者の安全を確保しつつ、各構造物の利用者を誘導することも可能となる。
【0063】
又、
図1に示すように、出力部56は、管理者にメールで判定結果を出力することができる。この場合、出力部56は、インターネット回線40に接続しており、自動でメールを管理者のアドレスに配信する。管理者が災害管理室60に不在の場合でも判定結果を把握することができる。メールには、対象構造物の判定結果と共に、対象構造物を撮影した写真データを添付して送ってもよい。
【0064】
4.変形例
図6を用いて、被災情報管理システム2について説明する。
図6は、変形例に係る被災情報管理システム2の構成を示す図である。
図1と同じ機能を有する部分には同じ符号と同じ名称を用いて表示し、重複する説明は省略する。
【0065】
変形例に係る被災情報管理システム2は、記憶部52a〜52c、判定部54a〜54c及び出力部56a〜56cを、第1、第2、第3構造物10,20,30のそれぞれに設置してもよい。このようにすることで、
図1における判定部54等の処理負担が小さくなり、迅速に判定し、出力することができる。
【0066】
また、大地震時にインターネット回線40が切断された場合には、判定部54a〜54c等が災害管理室60から独立してしまうが、個々の構造物(10,20,30)ごとに使用中止の判断を行うことができる。大きな地震ほど本震の後に来る余震が大きくなるため、このように個々の構造物(10,20,30)ごとに判断できるようにすることで、数多くの災害ケースに対応させることができる。
【0067】
次に、
図6の被災情報管理システム2における例えば第1構造物10のデータ処理装置50aの処理の一例について
図7を用いて説明する。
図7は、変形例におけるデータ処理装置50aの処理を説明するフローチャートである。
【0068】
第1構造物10に設置された第1センサ12は、地震を常に監視している。
【0069】
地震が発生すると、第1構造物10に設置された第1センサ12が構造物計測震度を検出し、データ処理装置50aの処理を開始する。
【0070】
判定部54aは、第1センサ12が検出した構造物計測震度と記憶部52aに予め記憶された第1判定基準とを比較する(S1)。第1判定基準は、後述する第2判定基準より小さな構造物計測震度であるが、地震に遭ったことで第1構造物10の躯体の損傷等で固
有周期に影響が発生する程度に設定される。過去に受けた地震の記録に基づいて、構造躯体の固有周期の変化を予測することができるからである。また、第1判定基準は、第1構造物10の固有周期に影響が発生しない程度の構造物計測震度、例えば地震履歴の記録を残す程度の目的でより小さい値としてもよい。このような場合には、第1判定基準は、記録部25aに記録された地震履歴を管理者が管理しやすい値に設定すればよい。
【0071】
第1センサ12が検出した構造物計測震度が第1判定基準以上であれば、その地震の情報について記憶部52aに記録を開始する(S2)。地震の情報には、少なくとも時刻と構造物計測震度が含まれる。
【0072】
判定部54aは、第1センサ12が検出した構造物計測震度と記憶部52aに予め記憶された第2判定基準とを比較する(S3)。第2判定基準は、上記「2.判定基準の設定」で説明した判定基準である。
【0073】
第1センサ12が検出した構造物計測震度が第2判定基準以上であれば、その地震の情報についてメール(a)を配信する(S4)。メール(a)は、インターネット回線40を介して直ちに災害管理室60へ送られる。メール(a)の情報がこの場合第1構造物10の判定結果であるので、災害管理室60の管理者は、メール(a)を確認して、適切な対応を第1構造物10の利用者や責任者に連絡することができる。判定結果には、対象物(第1構造物10)、時刻、構造物計測震度、判定結果、対処方法等が含まれてもよい。
【0074】
第1センサ12が検出した構造物計測震度が第3判定基準以下になれば(S5)、記憶部52aにおける地震の情報の記録を終了し(S6)、記録開始から記録終了までの地震の情報をメール(b)で配信し(S7)、処理を終了する。第3判定基準は、第1判定基準より小さな構造物計測震度とすることができる。ステップ6(S6)を設けない場合は、地震は通常数秒間続くので、所定時間計測後に記録終了し、メール(b)を配信してもよい。メール(b)の情報を蓄積することにより、第1構造物10の固有周期の変化を計算することができる。
【0075】
このような処理を各構造物において行うことができる。又、
図1における災害管理室60のデータ処理装置50において同様の処理を行ってもよい。
【0076】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。