(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
圃場への給水または圃場からの排水を制御するための変位機構を有する給水装置または排水装置に取り付けられて、前記変位機構を作動させる圃場用電動アクチュエータであって、
制御部、駆動部および蓄電池が内蔵されたアクチュエータ本体、および
太陽電池パネルと、前記太陽電池パネルを保持する保持体と、前記保持体に設けられる支柱と、前記保持体の内部または前記支柱の内部に配置されるアンテナとを有し、前記アクチュエータ本体に電力を供給する太陽電池ユニットを備え、
前記太陽電池ユニットは、前記アクチュータ本体に対して着脱可能かつ回転可能に取り付けられ、
前記アクチュエータ本体は、前記給水装置または前記排水装置に対して取付アダプタを介して取り付けられる、圃場用電動アクチュエータ。
前記保持体または前記支柱に取り付けられる、水位センサ、温度センサ、圧力センサおよび土壌水分センサの少なくとも1つを含むセンサを制御可能なセンサ制御ユニットをさらに備える、請求項1または2記載の圃場用電動アクチュエータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の排水装置では、アクチュエータ本体が洪水時に水没してしまうことを防止するため、支柱および操作ロッドの長さを1〜2mに設定して、アクチュエータ本体を高い位置に設置し、さらにその上に、太陽電池パネルを設置するようにしている。
【0005】
しかしながら、電動アクチュエータのような重量物を高い位置に設置すると、不安定になって支柱が折れてしまう危険があるので、支柱の強度を予め大きくする必要が生じる。一方で、太陽電池パネルが低い位置に固定して設置されていると、稲穂などの障害物に日射が遮られて、太陽光パネルが適切に受光できない場合がある。
【0006】
また、アクチュエータ本体に対して太陽電池パネルが固定的に設置されていると、太陽電池パネルを真南などの太陽側に向けて設置した場合、アクチュエータ本体に設けられる制御盤および操作部などの向きは、太陽電池パネルの向きに対応した或る決まった方向になる。したがって、圃場によっては、操作し易い方向に制御盤および操作部などを向けることができない場合がある。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な
、圃場用電動アクチュエータを提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、圃場の状況に応じた設置態様をとることが可能であり、太陽電池パネルが良好に受光できる
、圃場用電動アクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、圃場への給水または圃場からの排水を制御するための変位機構を有する給水装置または排水装置に取り付けられて、変位機構を作動させる圃場用電動アクチュエータであって、制御部、駆動部および蓄電池が内蔵されたアクチュエータ本体、および太陽電池パネルと、太陽電池パネルを保持する保持体と、保持体に設けられる支柱と
、保持体の内部または支柱の内部に配置されるアンテナとを有し、アクチュエータ本体に電力を供給する太陽電池ユニットを備え、太陽電池ユニットは、アクチュータ本体に対して着脱可能かつ回転可能に取り付けられ、アクチュエータ本体は、給水装置または排水装置に対して取付アダプタを介し
て取り付け
られる、圃場用電動アクチュエータである。
【0011】
第1の発明によれば、太陽電池ユニットがアクチュエータ本体に対して着脱可能かつ回転可能に取り付けられるので、設置される圃場の状況に柔軟に対応でき、太陽電池パネルの良好な日射確保が可能とな
る。
【0014】
また、第1の発明によれば、保持部または支柱によってアンテナが保護されるので、アンテナが破損したり、土などの汚れが付着して通信不良が生じたりすることを防止できる。また、圃場の状況に応じて、太陽電池ユニットと共にアンテナを電波状況の良い場所に別置きできるので、適切に通信を確保できる。
【0015】
第
2の発明は、第
1の発明に従属し、支柱に対して長さ調整用支柱を継ぎ足し可能である。
【0016】
第
2の発明によれば、太陽電池パネルの設置高さを任意に設定できるので、より柔軟に圃場の状況に対応可能となり、太陽電池パネルの良好な日射確保が可能となる。
【0017】
第
3の発明は、第1
または第2の発明に従属し、保持体または支柱に取り付けられる、水位センサ、温度センサ、圧力センサおよび土壌水分センサの少なくとも1つを含むセンサを制御可能なセンサ制御ユニットをさらに備える。
【0018】
第
3の発明では、保持体または支柱に取り付けられるセンサ制御ユニットをさらに備える。センサ制御ユニットは、たとえば、圃場水位を検出する超音波センサ等の水位センサ、気温を検出する温度センサ、気圧を検出する圧力センサ、および土壌水分を検出する土壌水分センサ等と接続されて、これらセンサを制御する。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、太陽電池ユニットが圃場電装装置の本体に対して着脱可能かつ回転可能に取り付けられるので、設置される圃場の状況に柔軟に対応でき、太陽電池パネルの良好な日射確保が可能となる。
【0023】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1を参照して、この発明の一実施例である圃場用電動アクチュエータ10(以下、単に「アクチュエータ10」と言う。)は、圃場電装装置の一例であり、圃場102に設置される給水バルブ等の給水装置104または落水口などの排水装置106に取り付けられて、給水装置104または排水装置106が有する変位機構を作動させる装置である。詳細は後述するように、アクチュエータ10は、制御部、駆動部および蓄電池などが内蔵されるアクチュエータ本体12と、このアクチュエータ本体12に電力を供給する圃場電装装置用太陽電池ユニット14(以下、単に「太陽電池ユニット14」と言う。)とを備える。そして、アクチュエータ本体12に対して太陽電池ユニット14が着脱可能および回転可能に取り付けられる。
【0026】
この実施例では、アクチュエータ10は、圃場用給排水システム100(以下、単に「システム100」と言う。)に用いられ、給水装置104および排水装置106の双方に取り付けられる。すなわち、給水装置104が備える変位機構を作動させる第1電動アクチュエータ、および排水装置106が備える変位機構を作動させる第2電動アクチュエータとして、共にアクチュエータ10が用いられる。
【0027】
先ず、システム100について説明する。
図1に示すように、システム100は、圃場102の水管理を遠隔操作または予め記憶されたプログラムに基づく自動制御などによって行うための圃場用設備であり、給水装置104および排水装置106が設置される水田などの圃場102に適用される。なお、圃場102は、畦畔によって複数の耕作区に区画されており、給水装置104および排水装置106は、各耕作区に対して設置される。
【0028】
給水装置104は、耕作区(圃場102)への給水を制御するための装置であって、弁体または仕切体などを含む変位機構(第1変位機構)を有する。この実施例では、給水装置104として、一般的に広く普及しているR&R方式(軸回転に伴い軸が上下動する方式)のアルファルファ形の給水バルブを用いている。
【0029】
図1および
図6を参照して簡単に説明すると、給水装置104は、円筒状の弁箱120を備える。弁箱120の上半部は、ドーム状のキャップ122によって覆われており、弁箱120の側壁上部には、複数の出水窓124が周方向に並ぶように形成される。また、弁箱120の上端部には、内周面に雌ねじが形成された軸受126が設けられ、この軸受126には、キャップ122を貫通するように、外周面に雄ねじが形成された弁軸128が螺合されている。この弁軸128の下端には、下面に止水ゴム130aを有する円板状の弁体130が設けられる。また、弁箱120内の略中央部には、通水口132aを有する弁座132が設けられる。そして、弁軸128に対して軸線回りの回転力が加えられると、送りねじ機構によって弁軸128および弁体130が上下動し、弁座132の通水口132aが開閉される。すなわち、この実施例の給水装置104は、弁軸(支持棒)128の回転に伴い上下動する弁体130を含む変位機構を備える。
【0030】
このような給水装置104は、たとえば給水桝108内に配置され、用水パイプライン110または用水路などから分岐する分岐管112の下流側端部に取り付けられる。そして、給水装置104には、取付アダプタ60を介してアクチュエータ10が取り付けられ、このアクチュエータ10によって給水装置104の変位機構(弁軸128および弁体130)が作動される。
【0031】
一方、排水装置106は、圃場102からの排水を制御するための装置であって、弁体または仕切体などを含む変位機構(第2変位機構)を有する。この実施例では、排水装置106として仕切体140を備える落水口を用いている。排水装置106は、たとえば排水桝114内に配置され、排水路116まで延びる排水管118の上流側端部に取り付けられる。そして、この排水装置106に対しても、取付アダプタ70を介してアクチュエータ10が取り付けられ、このアクチュエータ10によって排水装置106の変位機構(仕切体140)が作動される。
【0032】
続いて、
図2−
図5を参照して、アクチュエータ10の構成について具合的に説明する。上述のように、アクチュエータ10は、制御部、モータ38およびメインギア40等の駆動部、並びに蓄電池36などが内蔵されるアクチュエータ本体12と、このアクチュエータ本体12に電力を供給する太陽電池ユニット14とを備える。ただし、以下に説明するアクチュエータ10の具体的構成(構造)は、単なる一例であり、適宜変更可能であることを予め指摘しておく。
【0033】
図2および
図3に示すように、アクチュエータ本体12は、硬質ポリ塩化ビニル等の合成樹脂、またはアルミ合金およびステンレス等の金属などによって形成される本体ケース20を備える。この本体ケース20は、円筒状の側壁22と側壁22の上端部を封止する天壁24とを含む。側壁22の下端部は、段差状に縮径されており、この縮径部分が後述する第1アダプタ60または第2アダプタ70の上部開口に嵌入される嵌合部26となる。本体ケース20の高さ寸法は、たとえば250mmであり、本体ケース20の外径は、たとえば200mmである。
【0034】
また、側壁22の下端部には、側壁22から横方向に分岐して上方に向かって延びる円筒状の接続部28が一体的に形成される。そして、この接続部28の上端部には、Oリング30を介して太陽電池ユニット14が取り付けられる。
【0035】
太陽電池ユニット14は、圃場で利用される圃場電装装置(この実施例では電動アクチュエータ10)に電力を供給する装置であり、太陽電池パネル90と、太陽電池パネル90を保持する保持体92と、保持体92に設けられる支柱94とを含む。
【0036】
太陽電池パネル90は、複数の太陽電池セルが強化ガラスおよび封止材などによって方形状にパッケージ化されたものである。保持体92は、金属または樹脂などによって形成され、たとえば、太陽電池パネル90の周囲を覆うように設けられる方形枠状のフレーム92aと、フレーム92aの下面に設けられて、所定角度で屈曲する支持板92bと、支持板92bの下面に設けられる箱状の取付部92cとを含む。取付部92cには、下面側に開口する嵌合穴が形成されており、この取付部92cの嵌合穴に対して、支柱94の上端部が嵌め込まれて連結される。支柱94は、円筒形状を有し、硬質塩化ビニル等の合成樹脂によって形成される。支柱94の長さは、たとえば400mmである。ただし、保持体92の具体的な形状ないし構成は適宜変更可能である。
【0037】
太陽電池ユニット14をアクチュエータ本体12に取り付けるときには、支柱94の下端部を本体ケース20の接続部28に嵌め込むようにして連結し、この支柱94の外周面と接続部28の内周面との間には、Oリング30を設けておく。これによって、支柱94と本体ケース20の接続部28とが気密的に連結されると共に、接続部28に対して支柱94(つまりアクチュエータ本体12に対して太陽電池ユニット14)が着脱可能であってかつ回転可能に連結される。なお、支柱94と保持体92とを着脱可能および回転可能に接続しておいてもよい。
【0038】
このように、アクチュエータ本体12に対して太陽電池ユニット14を着脱可能に設けておくことで、
図5(A)に示すように、太陽電池ユニット14をアクチュエータ本体12から取り外して日当たりの良い場所などに別置きできるようになる。太陽電池ユニット14を別置きするときには、支柱94の下端部を畦畔などにそのまま突き刺して立設するようにしてもよいし、台座などを別途用意してその台座に支柱94を立設するようにしてもよい。
【0039】
また、
図5(B)に示すように、アクチュエータ本体12に対して太陽電池ユニット14を回転可能としておくことで、太陽電池パネル90の向きを任意の方向に設定できるようになる。これによって、太陽電池パネル90を真南などの太陽側に向けて設置しつつ、アクチュエータ本体12に設けられる制御盤34または操作パネル等を操作し易い方向に配置可能となる。
【0040】
すなわち、アクチュエータ本体12に対して太陽電池ユニット14を着脱可能であってかつ回転可能に設けておくことで、障害物の有無などの設置される圃場102の状況に柔軟に対応できるようになり、太陽電池パネル90の良好な日射確保が可能となる。
【0041】
さらに、
図5(C)に示すように、アクチュエータ本体12に対して太陽電池ユニット14を着脱可能に設けておくことで、支柱94に対して長さ調整用の支柱98を後付けで継ぎ足すことが可能となり、容易に支柱の長さを変更できるようになる。すなわち、太陽電池パネル90の設置高さを任意に設定できるので、より柔軟に圃場102の状況に対応可能となる。
【0042】
また、
図3に示すように、この実施例では、支柱94内に通信用のアンテナ32が配置される。この際、アンテナ32は、接続部28に載置するように取り付けてもよいし、保持体92からぶら下げるように取り付けてもよい。これにより、アンテナ32が支柱94によって保護されるので、アンテナ32が破損したり、土などの汚れが付着して通信不良が生じたりすることを防止できる。また、太陽電池ユニット14がアクチュエータ本体12に対して着脱可能であることから、障害物の有無などの圃場102の状況に応じて、太陽電池ユニット14と共にアンテナ32を電波状況の良い場所に別置きできる。つまり、アンテナ32の設置位置を変更できるので、適切に通信を確保できる。
【0043】
なお、アンテナ32は、保持体92の内部、たとえばフレーム92a内や取付部92c内に配置することもできる。これによっても、アンテナ32を支柱94内に配置することと同様の作用効果を得られる。ただし、アンテナ32は、外部に露出するように配置することもできるし、本体ケース20内に配置することもできる。
【0044】
また、
図2および
図3に示すように、太陽電池ユニット14の保持体92には、圃場に設置されるセンサを制御するためのセンサ制御ユニット96が設けられる。センサ制御ユニット96には、圃場水位を検出する超音波センサ等の水位センサ、気温を検出する温度センサ、気圧を検出する圧力センサ、および土壌水分を検出する土壌水分センサ等が接続される。各センサからセンサ制御ユニット96に入力された圃場水位や気温などのセンサ情報は、後述する制御部に入力される。ただし、センサ制御ユニット96に接続されるセンサの種類は、適宜変更可能であり、水位センサ、温度センサ、圧力センサおよび土壌水分センサの少なくも1つが接続されるだけでもよいし、他のセンサが接続されてもよい。また、水位センサ、温度センサおよび圧力センサ等は、センサ自体がセンサ制御ユニット96内に配置されてもよい。なお、このようなセンサ制御ユニット96は、支柱94に設けることもできる。このように、太陽電池ユニット14にセンサ制御ユニット96を設けておくことによって、アクチュエータ10を用いたシステム100全体として、コンパクト化を図ることができる。
【0045】
アクチュエータ本体12の説明に戻って、
図3および
図4に示すように、本体ケース20の内部には、制御盤34、蓄電池36、モータ38およびメインギア40等の駆動部などが収容される。
【0046】
制御盤34には、図示は省略するが、CPUおよびメモリ等を含む制御部、他の機器と無線通信を行うための無線通信部、および主電源などのスイッチ等が配設される。制御部のCPUは、アクチュエータ10の全体制御を司り、メモリに記憶された制御プログラムに基づいて、モータ38等の駆動を制御する。無線通信部は、アンテナ32を介して、上述のようにユーザが所有する遠隔操作端末および他のアクチュエータ10等の外部機器と無線通信を行う。
【0047】
蓄電池36は、太陽電池パネル90によって発電された電力を蓄電するものである。モータ38は、蓄電池36に蓄えられた電力、つまり太陽電池パネル90によって発電された電力によって駆動される。このモータ38の出力軸38aの先端部には、小ギア42が設けられており、メインギア40は、この小ギア42と連結されることで、モータ38からの駆動力を受けて軸線回りに回転する。
【0048】
この実施例では、モータ38としてエンコーダ付きのモータが用いられる。モータ38のエンコーダは、出力軸38aの回転方向および回転数に応じたパルス信号を制御部のCPUに出力する。制御部のCPUは、エンコーダから入力されたパルス信号、つまり出力軸38aの回転方向および回転数に基づいて、給水装置104の弁体130または排水装置106の仕切体142などの位置を算出する。すなわち、エンコーダは、弁体130または仕切体142などの位置を検出する位置検出部として用いられる。ただし、位置検出部として機能するエンコーダは、必ずしもモータ38に設けられる必要はなく、エンコーダをメインギア40に設けて、メインギア40の回転方向および回転数に基づいて、弁体130または仕切体142などの位置を算出することもできる。さらに、制御盤32には、モータ電流値を検出する電流センサ(カレントトランス)等の電流値検出部が設けられており、電流値検出部における検出データは、制御部のCPUに入力される。
【0049】
メインギア40は、両ボス型のギアであり、上下方向に延びる円筒状の軸部(ボス部)40aと、外周面にギア歯が形成される円板状のギア部40bとを有する。本体ケース20の側壁22の下端部には、本体ケース20の底壁にもなる円板状の第1軸受44が設けられており、また、第1軸受44の上方には、複数の支持部46によって支持される円板状の第2軸受48が設けられている。そして、メインギア40の軸部40aの両端部は、これら第1軸受44および第2軸受48によって回転可能に保持される。
【0050】
メインギア40の軸部40aには、略円柱状の回転軸50が挿通される。つまり、回転軸50は、メインギア40の軸中心を貫通するように設けられる。この回転軸50の下端部には、給水装置104の弁軸128または後述する第2アダプタ70の連結軸80の上端部などと回転不可に連結されるカップリング部50aが形成される。また、メインギア40の軸部40aの内周面には、軸方向に沿って延びるキー溝40cが形成され、回転軸50の外周面には、キー溝40cと嵌合される滑りキー50bが軸方向に沿って延びるように形成される。これによって、回転軸50は、メインギア40が回転すると共に回転し、かつメインギア40の軸部40aに対して軸方向に摺動可能となる。さらに、メインギア40のギア部40bの上面と第2軸受48の下面との間、およびメインギア40のギア部40bの下面と第1軸受44の上面との間には、それぞれスラストベアリング52が設けられる。
【0051】
このようなアクチュエータ10が取り付けられた給水装置104では、たとえば、ユーザがスマートフォン等の遠隔操作端末を用いてアクチュエータ10に対して全閉、全開または任意の開度などを示す操作指示(制御信号)を送信すると、アクチュエータ10の制御部(CPU)は、操作指示に応じてモータ38を駆動させる。このモータ38の駆動力は、メインギア40に伝達されて、メインギア40が回転すると共に、回転軸50が回転する。これにより、回転軸50に固定的に連結された弁軸128に対して、回転力が付与される。回転力が加えられた弁軸128は、自身と軸受126との送りねじ機構によって上下動され、弁体130が全開位置および全閉位置などに移動される。
【0052】
一方、排水装置106においても同様に、たとえば、ユーザが遠隔操作端末を用いてアクチュエータ10に対して仕切体142の高さ位置を変更する操作指示を送信すると、アクチュエータ10の制御部は、操作指示に応じてモータ38を駆動させ、仕切体142を所定の高さ位置に移動させる。
【0053】
以上のように、この実施例によれば、アクチュエータ本体12に対して太陽電池ユニット14が着脱可能かつ回転可能に設けられるので、太陽電池ユニット14をアクチュエータ本体12から取り外して別置きすることができ、また、太陽電池パネル90の向きを任意の方向に設定できる。したがって、障害物の有無などの設置される圃場102の状況に柔軟に対応でき、太陽電池パネル90の良好な日射確保が可能となる。
【0054】
また、支柱94に対して長さ調整用の支柱98を継ぎ足し可能であるので、太陽電池パネル90の設置高さを任意に設定できる。したがって、より柔軟に圃場102の状況に対応可能となり、太陽電池パネル90の良好な日射確保が可能となる。
【0055】
さらに、太陽電池ユニット14が備える支柱94内にアンテナ32が配置されるので、アンテナ32が破損したり、土などの汚れが付着して通信不良が生じたりすることを防止できる。また、太陽電池ユニット14と共にアンテナ32を電波状況の良い場所に別置きできるので、適切に通信を確保できる。
【0056】
なお、上述の実施例では、給水装置104として、R&R方式のアルファルファ形の給水バルブを例示し、排水装置106として、落水口を例示しているが、これに限定されない。アクチュエータ10は、玉形弁、仕切弁および水門などの各種の給水装置104または排水装置106に取り付けることができる。
【0057】
また、アクチュエータ10の他の実施例として、
図7に示すように、本体ケース20の側壁22に対して内方に窪む凹部を形成して、その凹部内を通るように接続部28および支柱94を設けることもできる。これによって、アクチュエータ10を小型化できる。
【0058】
さらに、図示は省略するが、太陽電池ユニット14を取り付けるための接続部28は、本体ケース20の天壁24に形成してもよい。
【0059】
さらにまた、上述の実施例では、圃場に設置される圃場電装装置として、電動アクチュエータ10を例示したが、これに限定されない。太陽電池ユニット14が電力を供給する圃場電装装置は、たとえば、搭載されたセンサによって圃場の状態を計測する環境データ計測器であってもよい。環境データ計測器は、たとえば、水位センサ、温度センサ、圧力センサおよび土壌水分センサ等の少なくとも1つが設けられた装置本体を備える。そして、太陽電池ユニット14は、この装置本体に対して着脱可能かつ回転可能に設けられる。このように、環境データ計測器が太陽電池ユニット14を備える場合でも、電動アクチュエータ10が太陽電池ユニット14を備える場合と同様の作用効果を奏する。
【0060】
なお、上で挙げた寸法などの具体的数値および具体的形状などは、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。