(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684670
(24)【登録日】2020年4月1日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/302 20060101AFI20200413BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20200413BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20200413BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20200413BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
G09F9/302 C
G09F9/302 Z
H05B33/14 A
H05B33/12 B
H05B33/14 Z
G09F9/30 365
G09F9/30 338
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-135144(P2016-135144)
(22)【出願日】2016年7月7日
(65)【公開番号】特開2018-5111(P2018-5111A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】足立 昌哉
【審査官】
小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−230797(JP,A)
【文献】
特開2011−175962(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0035799(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0013260(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0279271(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0163318(US,A1)
【文献】
国際公開第2014/162798(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0280215(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0111487(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00−46
G02F 1/13−1/1335
1/13363−1/141
H01L 27/32
51/50
H05B 33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光色が少なくとも3色に分かれる複数の発光領域からそれぞれの画素が構成される複数の画素と、
複数の光透過領域と、
第1方向に延びる複数の第1配線と、
前記第1方向に交差する第2方向に延びる複数の第2配線と、
を有し、
前記複数の画素及び前記複数の光透過領域は、前記第1方向で最も近い2つの前記画素の間に少なくとも1つの前記光透過領域が位置し、前記第2方向で最も近い2つの前記画素の間に少なくとも1つの前記光透過領域が位置するように、交互に配列され、
前記複数の光透過領域のそれぞれは、前記複数の第1配線及び前記複数の第2配線のうち少なくとも1つの配線によって、複数の区画領域に区画され、
前記複数の区画領域は、前記第1方向及び前記第2方向の少なくとも一方の方向における幅が互いに異なる第1の領域と第2の領域とを含むことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載した表示装置において、
前記複数の画素は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれで千鳥状に配列され、
前記複数の光透過領域は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれで千鳥状に配列されることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載した表示装置において、
前記複数の画素及び前記複数の光透過領域は、前記第1方向で最も近い2つの前記画素の間に1つの前記光透過領域が位置し、前記第1方向で最も近い2つの前記光透過領域の間に1つの前記画素が位置し、前記第2方向で最も近い2つの前記画素の間に1つの前記光透過領域が位置し、前記第2方向で最も近い2つの前記光透過領域の間に1つの前記画素が位置するように、交互に配列されることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載した表示装置において、
前記複数の発光領域は、前記第1方向に隣り合って並び、
前記複数の区画領域は、前記第1方向に隣り合って並ぶことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載した表示装置において、
前記複数の画素は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれで千鳥状に配列され、
前記複数の光透過領域は、前記複数の画素のそれぞれの前記第1方向の両側及び前記第2方向の両側にそれぞれに隣り合って並ぶことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載した表示装置において、
前記複数の発光領域は、前記第1方向に並ぶ一対の発光領域と、前記一対の発光領域の両方に対して前記第2方向に隣り合う1つの発光領域と、を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載した表示装置において、
前記複数の画素のそれぞれに対して前記第1方向に隣り合う前記光透過領域は、前記複数の区画領域が前記第2方向に隣り合って並ぶように区画されることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか1項に記載した表示装置において、
前記複数の画素のそれぞれに対して前記第2方向に隣り合う前記光透過領域は、前記複数の区画領域が前記第1方向及び前記第2方向の両方に隣り合って並ぶように区画されることを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載した表示装置において、
前記複数の画素のそれぞれに対応して設けられた複数のトランジスタをさらに含み、
前記複数のトランジスタは、対応する前記画素を構成する全ての前記発光領域に共通に使用されるトランジスタを含むことを特徴とする表示装置。
【請求項10】
複数のサブ画素をそれぞれが備える第1の画素と、第2の画素と、第3の画素と、
光が透過する第1の光透過領域と第2の光透過領域と第3の光透過領域と、
第1方向と交差する第2方向に延びる複数の配線と、を有し、
前記第1の画素と前記第1の光透過領域と前記第2の画素とは、前記第1方向にこの順に並び、
前記第2の光透過領域と前記第3の画素と前記第3の光透過領域とは、前記第1方向にこの順に並び、
前記第1の画素と前記第2の光透過領域とが前記第2方向に並び、
前記第1の光透過領域と前記第2の光透過領域と前記第3の光透過領域との各々は、前記複数の配線によって、少なくとも第1区画領域と第2区画領域とを含む複数の区画領域に区画され、
前記第1区画領域は前記第1方向の第1の幅を有し、
前記第2区画領域は前記第1方向の第2の幅を有し、
前記第1の幅と前記第2の幅とは、互いに異なることを特徴とする表示装置。
【請求項11】
請求項10に記載した表示装置において、
前記複数の配線は、データ線と電源線の何れかを含むことを特徴とする表示装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載した表示装置において、
前記複数のサブ画素は、前記第1方向に並ぶ第1のサブ画素と第2のサブ画素と第3のサブ画素とからなり、
前記第1の光透過領域と前記第2の光透過領域と前記第3の光透過領域との各々は、一つの前記第1区画領域と二つの前記第2区画領域とを有し、
前記第1のサブ画素は、前記第1区画領域と前記第2方向で隣接し、
前記第2のサブ画素と前記第3のサブ画素との各々は、前記二つの前記第2区画領域の各々と前記第2方向で隣接することを特徴とする表示装置。
【請求項13】
請求項10又は11に記載した表示装置において、
前記第1の画素と前記第1の光透過領域との間、及び前記第2の光透過領域と前記第3の画素との間、を含み、前記第2方向へ延びる第4の光透過領域と、
前記第2の画素と前記第1の光透過領域との間、及び前記第3の光透過領域と前記第3の画素との間、を含み、前記第2方向へ延びる第5の光透過領域と、
前記第1方向に延びる複数の第2配線と、を更に有し、
前記第4の光透過領域と前記第5の光透過領域との各々は、前記複数の第2配線によって、複数の区画領域に区画されていることを特徴とする表示装置。
【請求項14】
請求項13に記載した表示装置において、
前記複数のサブ画素は、前記第1方向に並ぶ第1のサブ画素と第2のサブ画素と、前記第1のサブ画素と前記第2のサブ画素との両方と、前記第2方向に並ぶ第3のサブ画素とからなることを特徴とする表示装置。
【請求項15】
複数のサブ画素をそれぞれが備える第1の画素と、第2の画素と、第3の画素と、
光が透過する第1の光透過領域と第2の光透過領域と第3の光透過領域と第4の光透過領域と第5の光透過領域と、
第1方向と交差する第2方向に延びる複数の第1配線と、
前記第1方向の延びる複数の第2配線と、を有し
前記第1の画素と前記第1の光透過領域と前記第2の画素とは、前記第1方向にこの順に並び、
前記第2の光透過領域と前記第3の画素と前記第3の光透過領域とは、前記第1方向にこの順に並び、
前記第1の画素と前記第2の光透過領域とが前記第2方向に並び、
前記第1の光透過領域と前記第3の画素とが前記第2方向に並び、
前記第2の画素と前記第3の光透過領域とが前記第2方向に並び、
前記第4の光透過領域は、前記第1の画素と前記第1の光透過領域との間、及び前記第2の光透過領域と前記第3の画素との間、を含み、前記第2方向へ延び、
前記第5の光透過領域は、前記第2の画素と前記第1の光透過領域との間、及び前記第3の光透過領域と前記第3の画素との間、を含み、前記第2方向へ延び、
前記第1の光透過領域と前記第2の光透過領域と前記第3の光透過領域との各々は、前記複数の配線によって、複数の第3区画領域に区画され、
前記第4の光透過領域と前記第5の光透過領域との各々は、前記複数の第2配線によって、複数の第4区画領域に区画され、
前記第4区画領域の前記第1方向の幅と、前記第3区画領域の前記第1方向の幅とは、互いに異なることを特徴とする表示装置。
【請求項16】
請求項15に記載した表示装置において、
前記複数のサブ画素は、前記第1方向に並ぶ第1のサブ画素と第2のサブ画素と、前記第1のサブ画素と前記第2のサブ画素との両方と、前記第2方向に並ぶ第3のサブ画素とからなることを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示部に画像を表示しつつ、その表示部の向こう側が透けて見える構造である、いわゆる透明表示装置が知られている。特許文献1には、隣り合う赤色サブ画素、緑色サブ画素、及び青色サブ画素の3つのサブ画素が1つの画素(ピクセル)を構成し、その画素に隣接するように透明領域(光透過領域)が設けられる透明表示装置が開示されている(特許文献1の
図14(b)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−238544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、透明表示装置においては、更なる透過性の向上が期待されている。
【0005】
本発明は、光透過領域を有する表示装置において、透過性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の表示装置は、発光色が少なくとも3色に分かれる複数の発光領域からそれぞれの画素が構成される複数の画素と、複数の光透過領域と、第1方向に延びる複数の第1配線と、前記第1方向に交差する第2方向に延びる複数の第2配線と、を有し、前記複数の画素及び前記複数の光透過領域は、前記第1方向で最も近い2つの前記画素の間に少なくとも1つの前記光透過領域が位置し、前記第2方向で最も近い2つの前記画素の間に少なくとも前記1つの前記光透過領域が位置するように、交互に配列され、前記複数の光透過領域のそれぞれは、前記複数の第1配線及び前記複数の第2配線のうち少なくとも1つの配線によって、複数の区画領域に区画され、前記複数の区画領域は、前記第1方向及び前記第2方向の少なくとも一方の方向における幅が互いに異なる第1の領域と第2の領域とを含むことを特徴とする。
【0007】
本発明の他の態様の表示装置は、複数のサブ画素をそれぞれが備える第1の画素と、第2の画素と、第3の画素と、光が透過する第1の光透過領域と第2の光透過領域と第3の光透過領域と、第1方向と交差する第2方向に延びる複数の配線と、を有し、前記第1の画素と前記第1の光透過領域と前記第2の画素とは、前記第1方向にこの順に並び、前記第2の光透過領域と前記第3の画素と前記第3の光透過領域とは、前記第1方向にこの順に並び、前記第1の画素と前記第2の光透過領域とが前記第2方向に並び、前記第1の光透過領域と前記第2の光透過領域と前記第3の光透過領域との各々は、前記複数の配線によって、少なくとも第1区画領域と第2区画領域とを含む複数の区画領域に区画され、前記第1区画領域は前記第1方向の第1の幅を有し、前記第2区画領域は前記第1方向の第2の幅を有し、前記第1の幅と前記第2の幅とは、互いに異なることを特徴とする。
【0008】
本発明の他の態様の表示装置は、複数のサブ画素をそれぞれが備える第1の画素と、第2の画素と、第3の画素と、光が透過する第1の光透過領域と第2の光透過領域と第3の光透過領域と第4の光透過領域と第5の光透過領域と、第1方向と交差する第2方向に延びる複数の第1配線と、前記第1方向の延びる複数の第2配線と、を有し前記第1の画素と前記第1の光透過領域と前記第2の画素とは、前記第1方向にこの順に並び、前記第2の光透過領域と前記第3の画素と前記第3の光透過領域とは、前記第1方向にこの順に並び、前記第1の画素と前記第2の光透過領域とが前記第2方向に並び、前記第1の光透過領域と前記第3の画素とが前記第2方向に並び、前記第2の画素と前記第3の光透過領域とが前記第2方向に並び、前記第4の光透過領域は、前記第1の画素と前記第1の光透過領域との間、及び前記第2の光透過領域と前記第3の画素との間、を含み、前記第2方向へ延び、前記第5の光透過領域は、前記第2の画素と前記第1の光透過領域との間、及び前記第3の光透過領域と前記第3の画素との間、を含み、前記第2方向へ延び、前記第1の光透過領域と前記第2の光透過領域と前記第3の光透過領域との各々は、前記複数の配線によって、複数の第3区画領域に区画され、前記第4の光透過領域と前記第5の光透過領域との各々は、前記複数の第2配線によって、複数の第4区画領域に区画され、前記第4区画領域の前記第1方向の幅と、前記第3区画領域の前記第1方向の幅とは、互いに異なることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る表示装置の画素スイッチトランジスタ付近の断面を模式的に示す模式断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る表示装置の配線構造を模式的に示す模式図である。
【
図3】第1実施形態に係る表示装置の表示部を構成するアクティブマトリクスの1サブ画素当たりの等価回路図である。
【
図4】第1実施形態に係る表示装置における発光領域及び光透過領域を示す模式図である。
【
図5】第2実施形態に係る表示装置の配線構造を模式的に示す模式図である。
【
図6】第2実施形態に係る表示装置における発光領域及び光透過領域を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0011】
さらに、実施形態において、ある構成物と他の構成物の位置関係を規定する際、「上に」「下に」とは、ある構成物の直上あるいは直下に位置する場合のみでなく、特に断りの無い限りは、間にさらに他の構成物を介在する場合を含むものとする。
【0012】
図1は、第1実施形態に係る表示装置の画素スイッチトランジスタ付近の断面を模式的に示す模式断面図である。表示装置100は、表示部A(
図2参照)に画像を表示しつつ、その表示部Aの向こう側が透けて見える構造である、いわゆる透明表示装置である。また、表示装置100は、有機発光ダイオード30から、基板10とは反対方向(
図1中矢印R方向)から光を取り出す、いわゆるトップエミッション型であって、アクティブ駆動型のOLED(Organic Light Emitting Diode)表示装置である。
【0013】
図1に示すように、表示装置100は、基板10と、画素スイッチトランジスタSSTと、有機発光ダイオード30と、封止材40と、充填材50と、対向基板60とを有し、それらを積層した構造となっている。なお、第1実施形態においては、発光素子として有機発光ダイオード30を用いる構成としたが、これに限られるものではなく、例えば量子ドット発光素子を用いた構成としてもよい。
【0014】
画素スイッチトランジスタSSTは、ソースドレイン領域21、22及びチャネル領域23を有するポリシリコン層、ゲート線層25、ソースドレイン電極27を有する。また、チャネル領域23上には第1層間絶縁膜24が設けられ、ソースドレイン電極27上には第2層間絶縁膜28が設けられている。基板10と画素スイッチトランジスタSSTの間には、基板10からチャネル領域23及びゲート線層25へのナトリウムやカリウムなどのイオンの混入を防ぐため、SiNx(窒化ケイ素)などからなる第1下地膜70が設けられる。また、第1下地膜70とチャネル領域23の間には、SiOx(酸化ケイ素)などからなる第2下地膜71が設けられる。また、第2下地膜71の上には絶縁膜80が設けられる。
【0015】
有機発光ダイオード30は、有機EL(Electro Luminescence)層31と、有機EL層31の下に設けられる下部電極32と、有機EL層31の上に設けられる上部電極33とを有する。これら下部電極32と上部電極33は一方が陽極として機能し、他方が陰極として機能する。
【0016】
下部電極32は、発光する領域において有機EL層31に覆われ、第2層間絶縁膜28を貫通する孔を通じてソースドレイン電極27の一方に接続される。また、発光する領域以外の領域においては、有機EL層31と下部電極32とが離間するように第3層間絶縁膜(バンク)90が形成されている。上部電極33は、有機EL層31全域を覆うように設けられる。
【0017】
ここで、有機EL層31の構成について説明するが、有機EL層31の構成は周知技術であるため、
図1においては簡略化して図示する。有機EL層31は、陰極側から陽極側に向けて順に、電子輸送層、発光層、ホール輸送層を積層配置して構成される。また、陽極と発光層との間には、ホール輸送層の他に、ホール注入層やホールブロッキング層を配置してもよい。また、陰極と発光層との間には、電子輸送層の他に、電子注入層や電子ブロッキング層を設けてもよい。なお、発光層と電子輸送層は、それらの機能を兼用できる材料からなる一つの層としてもよい。
【0018】
下部電極32と上部電極33とに直流電圧が印加されると、陽極側から注入されたホールがホール輸送層を経由し、一方、陰極側から注入された電子が電子輸送層を経由して、それぞれ発光層に到達し、電子とホールが再結合をする。このような電子とホールの再結合により、有機発光ダイオード30は、所定の波長の発光を行う。なお、発光層から放射した光の利用効率向上のため、下部電極32は光の反射率が高い材料から構成されることが好ましい。下部電極32は、例えばITO(Indium Tin Oxide)から成る透明導電膜と、例えば銀から成る反射膜との積層構造にしてもよい。
【0019】
封止材40は、上部電極33を覆うように形成される。封止材40は、水分等が有機発光ダイオード30に侵入しないようにするためガスバリア性が高く、可視光に対して透明であることが好ましい。例えば、封止材40としては、窒化ケイ素のような緻密な無機層や、無機層と有機層による積層膜を用いるとよい。対向基板60は、高分子材料からなる透明の充填材50を介して、封止材40上に形成される。
【0020】
対向基板60は、カラーフィルタ61と、カラーフィルタ61の周辺に設けられるブラックマトリクスBMと、カラーフィルタ61の上に設けられる透明基板62とを有する。また、基板10としてガラス基板を用いたが、それに限られるものではなく、絶縁性を有するものであれば樹脂基板などでもよい。
【0021】
次に、
図2、
図3を参照して、第1実施形態に係る表示装置の回路構成の概要について説明する。
図2は、第1実施形態に係る表示装置の配線構造を模式的に示す模式図である。
図3は、第1実施形態に係る表示装置のサブ画素を構成するアクティブマトリクスの1サブ画素当たりの等価回路図である。
【0022】
図2中の基板10上における破線に囲まれた領域は画像を表示する表示部Aを示す。表示部Aには、複数のサブ画素SPが配置される。
図2に示すように、表示部Aの周辺には、データ線Dに対して画像信号を出力するデータ駆動回路110と、ゲート線Gに対して走査信号を出力する走査駆動回路120と、出力スイッチトランジスタBCTを駆動する出力駆動回路130とが配置される。出力駆動回路130には、
図2中のX方向に並ぶサブ画素SPで共通に使用されるリセットスイッチトランジスタRST(
図3参照)が設けられている。また、詳細については後述するが、出力スイッチトランジスタBCTは、
図2に示すように、X方向に隣接する3つのサブ画素SPで共通に使用されるように設けられる。
【0023】
図3に示すように、各サブ画素SPは、画素スイッチトランジスタSSTと、有機発光ダイオード30と、蓄積容量Csと、画素容量Cadと、ドライバトランジスタDRTとを有する。蓄積容量Cs及び画素容量Cadはキャパシタである。画素容量Cadは発光電流量を調整するために設けられる素子であり、場合によっては不要である。画素スイッチトランジスタSSTは、ゲート電極がゲート線Gに接続され、ソースドレイン電極の一方がデータ線Dに接続され、ソースドレイン電極の他方が蓄積容量Csに接続されている。ドライバトランジスタDRTは、ゲート電極が蓄積容量Csに接続され、ソース電極が出力スイッチトランジスタBCTを介して電位配線E(
図2参照)に接続され、ドレイン電極が有機発光ダイオード30の一方の電極に接続される。また、有機発光ダイオード30の他方の電極は、全サブ画素SP共通の電流供給線S1、S2(
図2参照)に接続されて所定の電位に保たれる。なお、画素スイッチトランジスタSST、ドライバトランジスタDRT、出力スイッチトランジスタBCT、及びリセットトランジスタRSTは、同一導電型、例えばNチャネル型の薄膜トランジスタにより構成される。
【0024】
図3に示すサブ画素SPの画素回路において、ドライバトランジスタDRT及び出力スイッチトランジスタBCTは、高位電源線SLa(単に電源線ともいう)と低位電位電源SLb(単に電源線ともいう)との間で有機発光ダイオード30と直列に接続されており、ゲート電極が走査線Sgaに接続されている。ドライバトランジスタDRTは有機発光ダイオード30に接続されたソース電極と、リセット配線Sgrに接続されたドレイン電極と、ゲート電極を有す。出力スイッチトランジスタBCTは高電位電源線SLa及びドライバトランジスタDRTのドレイン電極間を導通状態または非導通状態に切り替える。
【0025】
画素スイッチトランジスタSSTは、データ線D及びドライバトランジスタDRTのゲート電極間に接続され、データ線Dを介して伝えられる映像信号VsigをドライバトランジスタDRTのゲート電極に取り込むかどうかを切り替える。取り込まれた信号は蓄積容量Csに蓄えられる。
【0026】
X方向に隣合う3つのサブ画素SPは出力スイッチトランジスタBCTを共用する(
図2参照)。各サブ画素SPに出力スイッチトランジスタBCTを1個ずつ設ける場合に比べ、出力スイッチトランジスタBCTの個数を1/3に減らすことができて遮光される面積が小さくなるためより透過率の高い表示装置を提供することが可能になる。
【0027】
この様なサブ画素回路構成において公知の駆動方法によって表示を行うと、有機発光ダイオードに与えられる出力電流はドライバトランジスタDRTの閾値電圧に依存しない値となる。さらにドラバトランジスタDRTの移動度の影響も補償できる。このため、ドライバトランジスタDRTの特性ばらつきを原因とする表示不良、スジむら、ザラツキ感の発生を抑制し、高品位な画像表示を一サブ画素当りのトランジスタ数が3個未満の少ない数で可能となる。このとき、トランジスタの数が少ないことで、トランジスタ及びその周囲の配線により遮光される面積が小さくなるため、より透過率の高い表示装置を提供することが可能になる。
【0028】
図4は、第1実施形態に係る表示装置における発光領域及び光透過領域を示す模式図である。表示装置100は、表示部Aに、発光領域L及び光透過領域Mを有する。なお、いずれの発光領域か区別して説明する必要がある場合は、発光領域を示すローマ字「L」に色を示すローマ字(G、R、B)を添えて記載するが、区別して説明する必要がない場合は、単に発光領域Lとする。また、画素P、光透過領域M、配線W、及び区画領域Dについても同様に、区別して説明する必要がある場合にのみ適宜数字を添えて記載する。
【0029】
1つの画素Pは、発光色が少なくとも3色に分かれる複数の発光領域Lから構成される。第1実施形態においては、
図4に示すように、1つの画素Pは、発光色が緑の発光領域LG、発光色が赤の発光領域LR、発光色が青の発光領域LBの3つの発光領域から構成される。各発光領域LG、LR、LBは、それら発光領域にそれぞれ対応して配置されるサブ画素SP(
図2参照)それぞれで輝度が制御されて発光する領域である。なお、
図4においては、サブ画素を示す符号SPは省略して図示する。なお、後述する第2実施形態を示す
図6においても同様に符号SPは省略する。
【0030】
なお、第1実施形態においては、全発光領域Lが同じ色(例えば白)で発光し、対向基板60に設けたカラーフィルタ61を介して、各発光領域Lにおいて所定の波長の光のみを透過させるカラーフィルタ方式を採用した。しかし、これに限られるものではなく、各発光領域Lの発光色に応じた色で発光するように有機EL層31を塗り分ける塗り分け方式を採用してもよい。
【0031】
発光領域Lは、複数の配線Wにより区画される領域であって、サブ画素SPが配置される領域である。光透過領域Mは、複数の配線Wにより区画される領域であって、表示部Aの向こう側が透けて見える開口した領域である。なお、
図4に示す配線Wは、
図2、
図3を参照して説明したゲート線G、データ線D等であるが、配線の種類は問わないため、X方向(第1方向)に延びる配線を配線WX(第1配線)、X方向に交差するY方向(第2方向)に延びる配線を配線WY(第2配線)と称することとする。
図4に示すように、配線WXは、Y方向に並んでn本(nは任意の整数)設けられ、配線WYは、X方向に並んでm本(mは任意の整数)設けられる。
【0032】
第1実施形態においては、1つの画素Pは、発光色が緑色の発光領域LG、発光色が赤色の発光領域LR、及び発光色が青色の発光領域LBから構成され、それら発光領域LG、LR、LBは、X方向に隣り合って並んで配置される。具体的には、発光領域LGのX方向に隣り合うように発光領域LRが配置され、発光領域LRのX方向に隣り合うように発光領域LBが配置される。
【0033】
また、複数の画素P及び複数の光透過領域Mは、X方向で最も近い2つの画素Pの間に1つの光透過領域Mが位置し、X方向で最も近い2つの光透過領域Mの間に1つの画素Pが位置し、Y方向で最も近い2つの画素Pの間に1つの光透過領域Mが位置し、Y方向で最も近い2つの光透過領域Mの間に1つの画素Pが位置するように、交互に配列されている。例えば、
図4に示すように、X方向で最も近い2つの画素である画素P1と画素P3の間には、光透過領域M1が位置し、X方向で最も近い2つの光透過領域Mである光透過領域M2と光透過領域M3の間には、画素P4が位置する。また、Y方向で最も近い2つの画素である画素P1と画素P2の間には、光透過領域M2が位置し、Y方向で最も近い2つの光透過領域である光透過領域M1と光透過領域M4の間には、画素P4が位置する。このように配列されることにより、複数の画素Pは、X方向及びY方向のそれぞれで千鳥状に配列され、複数の光透過領域Mは、X方向及びY方向のそれぞれで千鳥状に配列されることとなっている。
【0034】
また、光透過領域Mは、配線WX及び配線WYによって複数の区画領域Dに区画されている。具体的には、例えば、光透過領域M1は、配線WY9、配線WY10によって、X方向に隣り合って並ぶ3つの区画領域D1〜D3に区画されている。他の光透過領域Mにおいても同様に、2本の配線WYによってX方向に隣り合って並ぶ3つの区画領域D1〜D3に区画されている。
【0035】
ここで、光透過領域Mにおいて、配線WX、WYのエッジの影響により、光の回折が生じる場合がある。特に、配線WX、WYにより区画される領域が等間隔である場合、つまり、一定の周期(整数倍)で配線WX、WYが配列される場合、光の回折が強くなる。光の回折が強くなると、光が散乱して透過性が低下し、表示装置から透けて見える背面の状況が人の目にはぼやけて見えてしまう。そこで、第1実施形態においては、光透過領域Mを幅の異なる複数の区画領域Dに区画し、複数の異なる周期が混在するように構成した。
【0036】
具体的には、区画領域D1(第1の領域)のX方向の幅をl1、区画領域D2(第1の領域)のX方向の幅をl2、区画領域D3(第2の領域)のX方向の幅をl3とした場合に、l1=l2<l3となるように構成した。光透過領域M2,M3等、他の光透過領域Mにおける区画領域Dおいても同様に構成した。このように、l1及びl2と、l3との幅を異ならせることにより、光の回折が強まるのを抑制することができる。なお、これに限られるものではなく、例えば、l1とl2の幅も異ならせることで、光の回折が強まることをさらに抑制することができる。なお、本実施形態においては、l3が、l1及びl2の整数倍とならないように、l1及びl2の1倍より大きく、2倍より小さくなるように構成した。
【0037】
なお、第1実施形態においては、
図4に示すように、各区間領域DのY方向の幅h1は全て等しくした。ただし、これに限られるものではなく、例えば、光透過領域M1の区間領域DのY方向の幅と、光透過領域M2の区間領域DのY方向の幅を異なる幅とすることで、光の回折が強まることをさらに抑制することができる。
【0038】
ここで、光透過領域Mは表示部Aの向こう側が透けて見えるようにする必要があるため、各サブ画素SPに設けられるトランジスタが発光領域Lからはみ出して光透過領域Mに設けられることを避けるよう、トランジスタの配置に工夫をすることが好ましい。
【0039】
そこで、第1実施形態においては、
図2に示すように、出力スイッチトランジスタBCTが3つのサブ画素SPに共通に使用されるように構成した。具体的には、出力スイッチトランジスタBCTが、発光領域LG、発光領域LR、及び発光領域LBにそれぞれ対応して配置されるサブ画素SPで共通に使用されるように構成した。すなわち、第2実施形態においては、出力スイッチトランジスタBCTが、1つの画素Pを構成する全てのサブ画素SPに対応する発光領域Lに共通に使用されるよう構成した。このような構成とすることで、1つの画素Pに設けられるトランジスタの数を削減することができるため、トランジスタを発光領域L内に収めることができ、光透過領域Mにおける透過性を確保することができる。なお、共通に使用されるトランジスタは、3つに限られるものではなく、2つでもよい。
【0040】
以上説明したように、第1実施形態においては、X方向の幅が互いに異なる区間領域Dを設けたことにより、光の回折が強まるのを抑制し、光透過領域Mにおける透過性を向上することができる。また、出力スイッチトランジスタBCTを2つのサブ画素SPに共通に使用されるよう構成したことにより、トランジスタを発光領域L内に収めることができ、光透過領域Mにおける透過性を確保することができる。
【0041】
次に、
図5、
図6を参照して、第2実施形態に係る表示装置100について説明する。
図5は、第2実施形態に係る表示装置の配線構造を模式的に示す模式図である。
図6は、第2実施形態に係る表示装置における発光領域及び光透過領域を示す模式図である。なお、第1実施形態と同様の構成についてはその説明は省略する。
【0042】
図6に示すように、第2実施形態においては、1つの画素Pは、3色に分かれる3つの発光領域LG、LR、LBから構成される。具体的には、1つの画素Pは、X方向に並ぶ一対の発光領域である発光色が緑の発光領域LG及び発光色が赤の発光領域LRと、それら発光領域LG、LRの両方に対してY方向で隣り合う発光色が青の発光領域LBとで構成される。
【0043】
また、第2実施形態においては、第1実施形態と同様に、表示部Aにおいて、複数の画素Pが、X方向及びY方向のそれぞれで千鳥状に配列される。また、光透過領域Mは、画素PのX方向の両側及びY方向の両側にそれぞれ隣り合って並ぶように設けられる。
【0044】
例えば、
図6に示す画素P1のX方向の両側に隣り合って並ぶように、光透過領域M11及び光透過領域M12がそれぞれ配置され、画素P1のY方向の両側に隣り合って並ぶように、光透過領域M13及び光透過領域M14がそれぞれ配置される。
【0045】
また、例えば、光透過領域M11は、配線WX5によって、Y方向に隣り合って並ぶ2つの区画領域D11、D12に区画されている。光透過領域M12等、画素PのX方向に隣り合って並ぶ他の光透過領域Mにおいても同様である。
【0046】
また、例えば、光透過領域M13は、配線WX3及び配線WY6によって、X方向に隣り合って並ぶ区画領域D13及び区画領域D14と、それら区画領域D13、D14にY方向に隣り合うように、X方向に隣り合って並ぶ区画領域D15及び区画領域D16と、の4つの区画領域に区画されている。光透過領域M14等、画素PのY方向に隣り合って並ぶ他の光透過領域Mにおいても同様である。
【0047】
また、区画領域D11のX方向の幅をl4とし、区画領域D15のX方向の幅をl5、区画領域D16のX方向の幅をl6とした場合において、l4>l5=l6の関係となるように構成した。このように、l5及びl6と、l4とを異ならせることにより、光の回折が強まるのを抑制することができる。なお、これに限られるものではなく、例えば、l5とl6も異ならせることで、光の回折が強まることをさらに抑制することができる。なお、第2実施形態においては、l4が、l5及びl6の整数倍とならないように、l5及びl6の2倍より大きく、3倍より小さくなるように構成した。
【0048】
また、第2実施形態においては、第1実施形態と同様に、出力スイッチトランジスタBCTが複数のサブ画素SPに共通に使用されるように構成した。具体的には、出力スイッチトランジスタBCTが、発光領域LG、発光領域LR、及び発光領域LBにそれぞれ対応して配置される3つのサブ画素SPで共通に使用されるように構成した。すなわち、第2実施形態においては、出力スイッチトランジスタBCTが、1つの画素Pを構成する全てのサブ画素SPに対応する発光領域Lに共通に使用されるよう構成した。このような構成とすることで、1つの画素Pに設けられるトランジスタの数を削減することができるため、トランジスタを発光領域L内に収めることができ、光透過領域Mにおける透過性を確保することができる。
【0049】
以上説明したように、第2実施形態においては、複数の光透過領域Mが、複数の画素PのそれぞれのX方向の両側及びY方向の両側にそれぞれ隣り合って並ぶ構成を採用したことにより、表示部Aにおける光透過領域Mの占める割合を大きくすることができ、透過性の向上を図ることができる。また、X方向の幅が互いに異なる区間領域Dを設けたことにより、光の回折が強まるのを抑制し、光透過領域Mにおける透過性をさらに向上することができる。また、出力スイッチトランジスタBCTを3つのサブ画素SPに共通に使用されるよう構成したことにより、トランジスタを発光領域L内に収めることができ、光透過領域Mをより広くできるため、より高い透過性を確保することができる。
【0050】
なお、1つの画素Pにおいて、複数の発光領域Lの色の組み合わせや配列は
図4、
図6に示したものに限られるものではなく、少なくとも、視感度の高い色の発光領域Lが含まれていればよい。緑、赤、青の中で最も視感度の高い色は、緑であり、第1実施形態で説明した画素Pは、いずれも発光色が緑の発光領域Lを含んでいる。なお、視感度とは、人が明るさを感じる度合いであって、波長約550nmが視感度の高い光として知られている。また、
図4、
図6で示したように、1つの画素Pにおける3色の中で青の発光領域LBの占める割合を、緑の発光領域LG及び赤の発光領域LRの占める割合よりも大きくすることが好ましい。これは、現状の有機ELでは一般的に青色の発光効率が緑色及び赤色と比較して著しく低いため、消費電力を下げるのに有効なためである。
【符号の説明】
【0051】
10 基板、21,22 ソースドレイン領域、23 チャネル領域、24 第1層間絶縁膜、25 ゲート線層、27 ソースドレイン電極、28 第2層間絶縁膜、30 有機発光ダイオード、31 有機膜、32 下部電極、33 上部電極、40 封止材、50 充填材、60 対向基板、61 カラーフィルタ、62 透明基板、70 第1下地膜、71 第2下地膜、80 絶縁膜、90 第3層間絶縁膜、100 表示装置、110 データ駆動回路、120 走査駆動回路、130 出力駆動回路、BCT 出力スイッチトランジスタ、RST リセットトランジスタ、SST 画素スイッチトランジスタ、DRT ドライバトランジスタ、Cs 蓄積容量、Cad 画素容量、P 画素、SP サブ画素、D データ線、G ゲート線、S1,S2 電流供給線、W 配線、L 発光領域、M 光透過領域。