(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車体側に組付けられる組付け部材と、所定機能を有した機能部材と、を有し、前記組付け部材には、前記機能部材の係合部に対し係合して前記機能部材を抜け止め状態とする抜け止め係合部が設けられている組付け型車両部品であって、
前記機能部材は、前記係合部として、前記抜け止め係合部に向かって所定方向に接近させた際にその所定方向に直交する方向側への弾性変形を伴う形で前記抜け止め係合部を乗り越え、乗り越えた先で弾性復帰して前記抜け止め係合部と係合し、前記組付け部材に対する前記抜け止め状態を形成する弾性係合部を備える一方で、前記弾性係合部の前記弾性変形が第一の弾性変形方向側である第一の機能部材と、前記第一の弾性変形方向側とは逆の第二の弾性変形方向側である第二の機能部材と、を有しており、それら第一の機能部材と第二の機能部材とをそれぞれ前記組付け部材に対して前記抜け止め状態とすることが可能であり、
前記組付け部材は、前記第二の弾性変形方向側に突出し、前記抜け止め状態となった前記第一の機能部材を前記第二の弾性変形方向に押し付ける第一のガタ防止用突出部と、前記第一の弾性変形方向側に突出し、前記抜け止め状態となった前記第二の機能部材を前記第一の弾性変形方向へと押し付ける第二のガタ防止用突出部と、を備え、
前記第一の機能部材は、前記組付け部材に対し前記抜け止め状態となった際に、前記第二のガタ防止用突出部を、自身への押し付けが生じないよう受け入れる第一の受入れ部を備え、
前記第二の機能部材は、前記組付け部材に対し前記抜け止め状態となった際に、前記第一のガタ防止用突出部を、自身への押し付けが生じないよう受け入れる第二の受入れ部を備えることを特徴とする組付け型車両部品。
前記第一の機能部材及び前記第二の機能部材は、それぞれの前記弾性係合部における前記所定方向及び前記弾性変形方向に直交する直交方向の両側に空隙を有しており、当該空隙をそれぞれの前記受入れ部としている請求項1に記載の組付け型車両部品。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした組付け型の車両部品では、組付け部材と機能部材とを嵌合組付けするにあたって、高い摺動抵抗を生じないよう、それらの部材において互いに近接する部位の間にわずかな空隙が介在するよう設計されている。ところが、こうした空隙が原因となって双方の部材の間でガタツキが生じ、車両の走行振動等で異音が生じてしまう。
【0005】
本発明の課題は、複数の機能部材に対して共通の組付け部材を組付け可能とする組付け型車両部品において、組付け状態時にガタツキが生じないようにすることにある。
【0006】
上記課題を解決する組付け型車両部品は、
車体側に組付けられる組付け部材と、所定機能を有した機能部材と、を有し、前記組付け部材には、前記機能部材の係合部に対し係合して前記機能部材を抜け止め状態とする抜け止め係合部が設けられている組付け型車両部品であって、
前記機能部材は、前記係合部として、前記抜け止め係合部に向かって所定方向に接近させた際にその所定方向に直交する方向側への弾性変形を伴う形で前記抜け止め係合部を乗り越え、乗り越えた先で弾性復帰して前記抜け止め係合部と係合し、前記組付け部材に対する前記抜け止め状態を形成する弾性係合部を備える一方で、前記弾性係合部の前記弾性変形が第一の弾性変形方向側である第一の機能部材と、前記第一の弾性変形方向側とは逆の第二の弾性変形方向側である第二の機能部材と、を有しており、それら第一の機能部材と第二の機能部材とをそれぞれ前記組付け部材に対して前記抜け止め状態とすることが可能であり、
前記組付け部材は、前記第二の弾性変形方向側に突出し、前記抜け止め状態となった前記第一の機能部材を前記第二の弾性変形方向に押し付ける第一のガタ防止用突出部と、前記第一の弾性変形方向側に突出し、前記抜け止め状態となった前記第二の機能部材を前記第一の弾性変形方向へと押し付ける第二のガタ防止用突出部と、を備え、
前記第一の機能部材は、前記組付け部材に対し前記抜け止め状態となった際に、前記第二のガタ防止用突出部を、自身への押し付けが生じないよう受け入れる第一の受入れ部を備え、
前記第二の機能部材は、前記組付け部材に対し前記抜け止め状態となった際に、前記第一のガタ防止用突出部を、自身への押し付けが生じないよう受け入れる第二の受入れ部を備えることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、組付け部材には、組付けられた機能部材の弾性係合部の弾性変形方向とは逆方向側に突出して、当該機能部材の弾性係合部を押し付けるガタ防止用突出部が設けられる。このため、機能部材は、組付け部材に対し組付けられると、ガタ防止用突出部の押し付けにより弾性変形状態となる。そして、機能部材は、その押し付けにより生じた弾性変形の弾性復帰力によって、弾性係合部とガタ防止用突出部との間で挟圧された状態となる。これにより、機能部材と組付け部材との間に生じるガタツキを防止できる。
【0008】
ところが、上記構成においては、組付け部材に対し、組付け時の弾性係合部の弾性変形方向が異なる2種類の機能部材を組付けることが可能とされている。このため、組付け部材には、それら2種類の機能部材に対応するように、2つのガタ防止用突出部が設けられている。そして、それら機能部材には、組付け部材に対し組付けられた際に、対応するガタ防止用突出部のみが効いて、対応しないガタ防止用突出部が効かないよう、対応しないガタ防止用突出部による押付力を逃がす構成、即ち、対応しないガタ防止用突出部を受け入れる受入れ部が設けられている。これにより、2つのガタ防止用突出部の双方が効いて、組付け時に要する力が増大することを防いでいる。
【0009】
上記構成における第一の機能部材及び第二の機能部材は、それぞれの前記弾性係合部における前記所定方向及び前記弾性変形方向に直交する直交方向の両側に空隙を有しており、当該空隙をそれぞれの前記受入れ部とすることができる。第一の機能部材及び第二の機能部材の弾性係合部は、自身の弾性変形を可能とするために、突出先端が自由端となる形状が必要であり、そのためには、その突出方向の先端側において、その突出方向に直交する両側に空隙が必要となる。この空隙を、ガタ防止用突出部の受入れ部とすることで、受入れ部を新たに形成するという無駄がなくなる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態につき図面に示す実施例を参照して説明する。
【0012】
本実施例の組付け型車両部品1A、1Bは、
図1及び
図2に示すように、車体側に組付けられる組付け部材2に対し、所定機能を有した機能部材3A又は機能部材3Bを組付けた形で使用される。
【0013】
組付け部材2は、
図3に示すように、車体100のパネル101に設けられた取付穴100Hに対し挿通され、その挿通方向とは逆向きに抜け止めされた状態に組付けられる車体組付け部200を有する。ここでの車体組付け部200は、上方向2z1に延出する軸部201と、軸部201の先端部(即ち、上端)からその基端側(即ち、下側)に向かうほど軸部201から離間するよう拡がる弾性係止片202、202と、それら弾性係止片202、202の先端側で対向する当接部203を有する。弾性係止片202、202は、軸部201との連結部分を起点としてその先端側が、軸部201に接近する形で窄む弾性変形が可能とされている。当接部203は、軸部201の基端部から先端側に向かうほど軸部201から離間するように広がるフランジ部である。
【0014】
組付け部材2を車体100側の取付穴100Hに取り付けるには、まずは、弾性係止片202、202を軸部201に接近するよう窄めた弾性変形状態とし、その状態で車体組付け部200を車体100側の取付穴100Hに挿通していく。そして、挿通した先で弾性係止片202、202を弾性復帰させる。この弾性復帰により、窄んだ状態で取付穴100Hの裏側に回り込んだ弾性係止片202、202が外に拡がり、取付穴100Hの周辺部100Aに対し裏側から当接する。他方、取付穴100Hの表側では、取付穴100Hの周辺部100Aに対し当接部203が当接する。これら表裏両側からの当接により、組付け部材2は、取付穴100Hの周辺部100Aを挟む形で、車体100に対し抜け止め状態で組付けられる。一方で、組付け部材2は、機能部材3A、3Bを組付けることができる。これにより、組付け部材2に組付けられた機能部材3A、3Bを取付穴100Hに取り付ける、即ち、機能部材3A、3Bを車体100側に組付けることができる。
【0015】
なお、車体組付け部200は、車体100側に組付けられる形状であればよく、他の形状であってもよい。
【0016】
機能部材3A、3Bには、
図8及び
図10に示すように、第一の機能部材3Aと、第二の機能部材3Bとの2種類が存在する。組付け部材2は、それら第一の機能部材3Aと第二の機能部材3Bとのそれぞれを組付けることが可能である。なお、本発明における機能部材は、2種類以上であってもよい。
【0017】
ここで、組付け部材2と、それら第一の機能部材3A及び第二の機能部材3Bとの組付け構造について説明する。
【0018】
組付け部材2は、
図4〜
図7に示すように、上述の車体組付け部200と共に、嵌合部20と、抜け止め係合部21と、を備える。ここでの組付け部材2は、車体組付け部200の下側に嵌合部20を有する。
【0019】
嵌合部20は、第一の機能部材3A及び第二の機能部材3Bのうちの一つに対し嵌合して組付け状態となる。ただし、嵌合部20は、第一の機能部材3A及び第二の機能部材3Bの双方と嵌合可能である。
【0020】
ここでの嵌合部20は、
図4に示すように、第一の機能部材3Aあるいは第二の機能部材を組付け部材2に組付ける際の所定の組付け方向2X(
図7参照:本発明の所定方向)に対し直交する方向2Y(
図6参照:以下、対向方向ともいう)において互いに対向する対向壁部20P、20Pを有する。また、嵌合部20は、
図4〜
図7に示すように、対向壁部20P、20Pの上側に位置する上側壁部20Qと、その下側に位置する下側対向部20R、20Rと、を有する。上側壁部20Qは、車体組付け部200に対しその下側で接続し、上下方向2Z(
図6及び
図7参照:高さ方向ともいえる)に対し直交する面内を、組付け方向2Xに長く延びる形で四角形状に拡がる。対向壁部20P、20Pは、対向方向2Yにおいて対向する形で、それぞれが上側壁部20Qの下面から下方向に延出する。ここでの対向壁部20P、20Pは、
図17及び
図23に示すように、組付け方向2Xの奥側(図中の右側)に偏って形成されている。下側対向部20R、20Rは、それら対向壁部20P、20Pの下端から、それぞれ対向方向2Yの外向きに拡がる。
【0021】
上側壁部20Q及び下側対向部20R、20Rは、
図6に示すように、対向壁部20P、20Pに対し対向方向2Yの外向きに突出し、対向壁部20P、20Pの対向方向2Yの外側で上下方向2Zにおいて対向する。嵌合部20は、このような対向形状によって凹部を形成しており、組付け部材2に第一の機能部材3A及び第二の機能部材3Bを組付ける際に、その組付けをガイドするガイド部(即ち、組付け部材側ガイド凹部)として機能する。
【0022】
抜け止め係合部21は、第一の機能部材3Aあるいは第二の機能部材3Bの係合部31A、31Bに対し係合し、係合した機能部材3A、3Bを抜け止め状態とする。ここでの抜け止め係合部21は、
図5及び
図6に示すように、対向壁部20P、20Pの下端側でそれらを連結する連結壁部として設けられている。また、抜け止め係合部21は、
図17及び
図23に示すように、機能部材3A、3Bの組付け方向2Xの手前側が先細る形状をなしている。ここでの嵌合部20は、対向壁部20P、20Pの対向間、かつ抜け止め係合部21と上側壁部20Qとの対向間に、筒状空間を形成している。
【0023】
機能部材3A、3Bは、
図8〜
図11に示すように、嵌合部30A、30Bと、弾性係合部31A、31Bと、所定機能部をなすコネクタ部300A、300Bと、を備える。
【0024】
なお、第一の機能部材のコネクタ部300Aと、第二の機能部材のコネクタ部300Bとでは、相手コネクタとの接続形状が異なるだけでなく、上下方向2Zにおける高さが異なっている。また、コネクタ部300A、300Bにおける相手コネクタ(図示無し)との接続用開口部301A、301Bは、その内部に係合爪等のような相手コネクタとの組付け構造を有しているが、各種図面にいては詳細構造を省略し、簡略的に記載している。接続用開口部301A、301Bは、相手コネクタと接続可能な周知の開口形状を有していればよい。
【0025】
第一の機能部材3Aの嵌合部30Aは、対向壁部30AP、30APと、上側対向部30AQ、30AQと、コネクタ部300Aの上端部302Aと、を有する。他方、第二の機能部材3Bの嵌合部30Bは、対向壁部30BP、30BPと、上側対向部30BQ、30BQと、を有する。対向壁部30AP、30AP及び対向壁部30BP、30BPは、
図12及び
図18それぞれ組付け方向2Xに延びる壁部であって、コネクタ部300A、300Bの上端部302A、302Bにおける対向方向2Yの両側から上方に立ち上がる壁部である。
【0026】
第一の機能部材3Aの上側対向部30AQ、30AQは、
図8及び
図9に示すように、対向壁部30AP、30APの先端側(即ち、上端側)で、対向方向2Yの内向きに延出する屈曲先端部である。一方で、対向壁部30AP、30APは、コネクタ部300Aの上端部302Aから上方に立ち上がる下側対向壁部30AP2と、上側対向部30AQに続く上側対向壁部30AP1と、を有する。下側対向壁部30AP2は、上側対向壁部30AP1に対し、対向方向2Yにおいて内側に膨出する形状をなしており、その上面が上下方向2Zにおいて上側対向部30AQ、30AQと対向する。下側対向壁部30AP2、30AP2の対向間は、弾性係合部31Aが下方に弾性変形した際にこれを収容する収容空間をなす。第一の機能部材3Aの嵌合部30Aは、このような対向形状によって凹部を形成しており、組付け部材2に第一の機能部材3Aを組付ける際に、その組付けをガイドするガイド部(即ち、機能部材側ガイド凹部)として機能する。
【0027】
第二の機能部材3Bの上側対向部30BQ、30BQは、
図10及び
図11に示すように、それら対向壁部30BP、30BPの先端側(即ち、上端側)で、それら対向壁部30BP、30BPの対向方向2Yの内向きに延出する屈曲先端部である。そして、上側対向部30BQ、30BQは、コネクタ部300Bの上端部302Bの上面に対し上下方向2Zにおいて対向する。第二の機能部材3Bの嵌合部30Bは、このような対向形状によって凹部を形成しており、組付け部材2に第一の機能部材3Bを組付ける際に、その組付けをガイドするガイド部(即ち、機能部材側ガイド凹部)として機能する。
【0028】
第一の機能部材3Aの弾性係合部31Aは、
図15に示すように、組付け方向2Xの奥側で対向壁部30AP、30APを連結しつつ、対向壁部30AP、30APとの間に空隙を挟む形で、組付け方向2Xの手前側に向かって延出する弾性壁部である。弾性係合部31A(即ち、第一の弾性係合部)は、その先端側に上方向2z1(
図17参照)に突出する係合爪部31PAを有する。
【0029】
第二の機能部材3Bの弾性係合部31Bも同様に、
図21に示すように、組付け方向2Xの奥側で対向壁部30BP、30BPを連結しつつ、対向壁部30BP、30BPとの間に空隙を挟む形で、組付け方向2Xの手前側に向かって延出する弾性壁部である。弾性係合部31B(即ち、第二の弾性係合部)は、その先端側に下方向2z2(
図23参照)に突出する係合爪部31PBを有する。
【0030】
ここで、組付け部材2に対し、機能部材3A、3Bを組付ける組付け方法について、主に
図17及び
図23を用いて説明する。
【0031】
まずは、
図17及び
図23の上図に示すように、弾性係合部31A、31Bが抜け止め係合部21に向かって所定の組付け方向2Xに接近するように、機能部材3A、3Bを組付け部材2に対し接近させていく。
【0032】
このとき、
図14及び
図20に示すように、組付け部材2の下側対向部20R、20Rを、機能部材3A、3Bの嵌合部30A、30Bが形成する対向空間内に進入させていく。
【0033】
具体的にいえば、第一の機能部材3Aの場合は、
図17に示すように、組付け部材2の下側対向部20R、20Rを、上側対向部30AQと下側対向壁部30AP2との間の空間に進入させていく。第二の機能部材3Bの場合は、
図23に示すように、組付け部材2の下側対向部20R、20Rを、上側対向部30BQとコネクタ部300Bの上端部302Bとの間の空間に進入させていく。これにより、機能部材3A、3Bは、嵌合部30A、30Bからガイドを受ける形で組付け方向2Xの奥へと所定の姿勢で進入し、機能部材3A、3B(即ち、嵌合部30A、30B)と組付け部材2(即ち、下側対向部20R、20R)とが嵌合していく。
【0034】
また、このとき、
図14及び
図20に示すように、機能部材3A、3Bの上側対向部30AQ、30BQも、組付け部材2の嵌合部20が形成する対向空間内に進入させていく。
【0035】
具体的にいえば、第一の機能部材3Aの場合は、
図17に示すように、上側対向部30AQ、30AQを、組付け部材2の上側壁部20Qと下側対向部20R、20Rとの間の空間に進入させていく。第二の機能部材3Bの場合は、
図23に示すように、上側対向部30BQ、30BQを、組付け部材2の上側壁部20Qと下側対向部20R、20Rとの間の空間に進入させていく。これにより、機能部材3A、3Bは、嵌合部20からガイドを受ける形で組付け方向2Xの奥へと所定の姿勢で進入し、機能部材3A、3B(即ち、上側対向部30AQ、30BQ)と組付け部材2(即ち、嵌合部20)とが嵌合していく。
【0036】
このようにして機能部材3A、3Bと組付け部材2との嵌合を進めて、それら機能部材3A、3Bと組付け部材2とを接近させていくと、機能部材3A、3Bの弾性係合部31A、31Bの先端部をなす係合爪部31PA、31PBが、組付け部材2の抜け止め係合部21に対し当接する。
【0037】
係合爪部31PAの抜け止め係合部21との当接面31aは、
図17に示すように、弾性係合部31Aの下方向(即ち、第一の弾性変形方向)2z2への弾性変形を促すよう、組付け方向2Xの先端からその逆方向に向かって(即ち、
図17の左方向に向かって)上り傾斜となる傾斜面として形成されている。
【0038】
他方、係合爪部31PBの抜け止め係合部21との当接面31bは、
図23に示すように、弾性係合部31Bの上方向(即ち、第二の弾性変形方向)2z1への弾性変形を促すよう、組付け方向2Xの先端からその逆方向に向かって(即ち、
図23の左方向に向かって)下り傾斜となる傾斜面として形成されている。
【0039】
この当接状態から、機能部材3A、3Bを組付け部材2に対しさらに接近させていくと、
図17及び
図23の中央図に示すように、弾性係合部31A、31Bは、弾性変形を生じる。ここでの弾性変形は、弾性係合部31Aの場合は下方向2z2に、弾性係合部31Bの場合は上方向2z1に生じる。弾性係合部31A、31Bは、当該弾性変形を伴う形で組付け方向2Xのさらに奥へと進入し、抜け止め係合部21を乗り越える。抜け止め係合部21を乗り越えた先で、弾性係合部31A、31Bは、
図17及び
図23の下図に示すように、弾性復帰して抜け止め係合部21と係合する。具体的にいえば、弾性係合部31A、31Bの係合爪部31PA、31PBが、抜け止め係合部21の組付け方向2Xの奥側に進入して、抜け止め係合部21に対して組付け方向2Xの逆向きに係止された状態となる。つまり、機能部材3A、3Bが組付け部材2に対し抜け止めされた抜け止め状態となる。
【0040】
ところが、このように抜け止め状態に組付けられた機能部材3A、3Bと、組付け部材2とには、このままではガタツキが生じてしまう。即ち、機能部材3A、3Bの嵌合部30A、30Bと、組付け部材2の下側対向部20R、20Rとの間には、通常、嵌合が容易となるようわずかな空隙が介在する。同様に、機能部材3A、3Bの上側対向部30AQ、30BQと、組付け部材2の嵌合部20との間にも、嵌合が容易となるようわずかな空隙が介在する。これにより、上述のように抜け止め状態とされた後、そのわずかな空隙の存在によって、機能部材3A、3Bと、組付け部材2との間でガタツキが生じる。
【0041】
これに対し本実施例の組付け部材2は、上方向2z1(即ち、第二の弾性変形方向)側に突出する第一のガタ防止用突出部25Uと、下方向2z2(即ち、第一の弾性変形方向)側に突出する第二のガタ防止用突出部25Dと、を備える。そして、これら突出部25U、25Dによって、組付け部材2が機能部材3A、3Bを押し付けた状態となることにより、ガタツキを防ぐことができる。
【0042】
ここでの第一のガタ防止用突出部25Uは、
図7に示すように、下側対向部20R、20Rの上面から上方向2z1に突出する形で、組付け方向2Xに延出形成されたリブである。また、ここでの第二のガタ防止用突出部25Dは、
図5に示すように、下側対向部20R、20Rの下面から下方向2z2に突出する形で組付け方向2Xに延出形成され、突出先端側が湾曲面(ここでは半円柱状)をなすリブである。
【0043】
また、ここでの対向壁部20P、20Pは、
図17及び
図23に示すように、組付け方向2Xの奥側(図中の右側)に偏って形成されており、
図5に示すように、その奥側の奥側壁部20P1、20P1と、奥側壁部20P1、20P1から、対向方向2Yの内側に偏った形で組付け方向2Xの手前側に突出する突出壁部20P2、20P2を有する。第一のガタ防止用突出部25Uをなすリブは、突出壁部20P2、20P2の対向方向2Yの外側を奥側壁部20P1、20P1に向かって形成され、奥側壁部20P1、20P1に接続するとともに、突出先端側が湾曲面(ここでは半円柱状)をなすリブである。
【0044】
組付け部材2に対し第一の機能部材3Aが組付けられている場合、第一のガタ防止用突出部25Uは、
図16に示すように、上記抜け止め状態において上方向2z1側で対向して位置する第一の機能部材3Aの上側対向部30AQに対し接触しており、第一の機能部材3Aを上方向2z1に押し付ける形でつぶれている。この押し付けにより、上記抜け止め状態の第一の機能部材3Aの上側対向部30AQは、その先端側が上方向2z1に押し付けられて弾性変形を生じている。この弾性変形により生じる弾性復帰力により、組付け部材2は、下側対後壁部30AP2と上側対向部30AQとにより挟圧された状態となっている。この挟圧状態によって、組付け部材2と、第一の機能部材3Aとの間に生じるガタツキが防止される。
【0045】
他方、組付け部材2に対し第二の機能部材3Bが組付けられている場合、第二のガタ防止用突出部25Dは、
図22に示すように、上記抜け止め状態において下方向2z2側で対向して位置する第二の機能部材3Bのコネクタ部300Bの上端部302Bに対し接触しており、第二の機能部材3Bを下方向2z2に押し付ける形でつぶれている。この押し付けにより、上記抜け止め状態の第二の機能部材3Bの上側対向部30BQは、その先端側が上方向2z1に押し付けられて弾性変形を生じている。この弾性変形により生じる弾性復帰力により、組付け部材2は、コネクタ部300Bの上端部302Bと上側対向部30BQとにより挟圧された状態となっている。この挟圧状態によって、組付け部材2と、第二の機能部材3Bとの間に生じるガタツキが防止される。
【0046】
なお、ガタ防止用突出部25U、25Dによる押し付けは、組付け部材2と機能部材3A、3Bとが嵌合していく際、弾性係合部31A、31Bが弾性変形を開始した後に発生する。これにより、弾性係合部31A、31Bが弾性変形と、ガタ防止用突出部25U、25Dによる押し付けとが同時に発生して、組付けの荷重が急に増大することを防ぎ、嵌合しやすくしている。また、ガタ防止用突出部25U、25Dは、組付け方向2Xの手前側ほどその突出量が減じられる傾斜部として形成されている。これにより、組付け部材2と機能部材3A、3Bとが嵌合していく際、ガタ防止用突出部25U、25Dの押し付けが開始される地点から、組付けの荷重が急に増大することを防ぎ、嵌合をしやすくしている。
【0047】
ここでの第一の機能部材3Aは、第一のガタ防止用突出部25Uと接触して押し付けられる接触部35Aを、当該ガタ防止用突出部25Uに向かって突出する突出部35Aとして有する。他方、第二の機能部材3Bは、第二のガタ防止用突出部25Dと接触して押し付けられる接触部35Bを、当該ガタ防止用突出部25Dに向かって突出する突出部35Bとして設けられている。つまり、ガタ防止用突出部25U、25Dは、面に対して接触してこれを押し付けるのではなく、自身と同様の突出部35A、35Bに対し点ないし線接触のような形で押し付けられる構造となっていることで、組付け部材2と機能部材3A、3Bとを嵌合していく際の摺動抵抗を減じて、組付けを容易にしている。なお、ここでの突出部35A、35Bは、接触するガタ防止用突出部25U、25Dと同方向に延出形成され、突出先端側が湾曲面(ここでは半円柱状)をなすリブである。
【0048】
また、ここでの第一の機能部材3Aは、組付け部材2に対し抜け止め状態となった際に、第二のガタ防止用突出部25Dを、自身への押し付けが生じないよう受け入れる第一の受入れ部36Aを備える。他方、第二の機能部材3Bは、組付け部材2に対し抜け止め状態となった際に、第一のガタ防止用突出部25Uを、自身への押し付けが生じないよう受け入れる第二の受入れ部36Bを備える。これらの受入れ部36A、36Bが存在することにより、上下に突出するガタ防止用突出部25U、25Dとの双方が効くのではなく、それらのうちの一方のみが効いてガタツキを防止するから、組付け部材2と機能部材3A、3Bとを嵌合していく際の摺動抵抗の増加を抑えて、組付けを容易にしている。
【0049】
ここでの受入れ部36A、36Bは、第一の機能部材3A及び第二の機能部材3Bの弾性係合部31A、31Bと、その両側(即ち、組付け方向2X及び上下方向(弾性変形方向ともいえる)2Zに直交する直交方向2Yにおける弾性係合部31A、31Bの両側)で対向して位置する対向部30AP2、30BQ(即ち、下側対向壁部30AP2、上側対向部30BQ)と、によって構成され、それらの対向間に受入れ空間となる空隙37A、37Bを形成している。弾性係合部31A、31Bの両側の空隙37A、37Bは、弾性係合部31A、31Bの組付け方向2Xの奥側を起点にしてその手前側を上下方向2Zに弾性変形させるべく、弾性係合部31A、31Bの先端側から基端側に向かって設けられた切り欠き部によって形成されている。ここでの空隙37A、37Bは、上下方向2Zにおいて貫通し、組付け方向2X側に解放される空隙である。つまり、空隙37A、37Bは、弾性係合部31A、31Bに弾性変形を生じさせる上で必須な構造であり、ここではこの必須な構造を受入れ部36A、36Bとしても利用している。
【0050】
以上、本発明の第一実施例を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、追加及び省略等の種々の変更が可能である。