(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、車両においては、上記のようなエアバッグの展開制御を含め、シートに着座する乗員の有無に応じて、その制御形態を変更するものが増えている。そして、これにより、その着座センサを用いた乗員検知もまた、より一層、重要なものとなっている。
【0006】
しかしながら、上記のような着座センサには、シートに着座する乗員の姿勢が変化することで、その出力信号(例えば、メンブレンスイッチのような感圧スイッチの場合には、オン/オフ状態)が変化するという特徴がある。このため、実際にはシートに乗員が着座した状態であっても、そのシートの乗員が離席したものと誤判定してしまう可能性が生ずる。特に、シートの内側に空気袋が設けられた構成においては、その拡縮する空気袋に持ち上げられる態様で、シートに着座する乗員の臀部や脚部、或いは背中等が変位することになる。そして、これにより、上記のような誤判定が発生する可能性が高くなるという問題があることから、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、より安定的にシートに着座した乗員を検知することのできる乗員検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する乗員検知装置は、車両のシートに設けられた着座センサの出力信号に基づいて前記シートに対する乗員の着座を検知する着座検知部と、前記着座検知部が前記シートに前記乗員が着座したことを検知した場合に、該シートに前記乗員が着座していることを示す着座履歴を生成する履歴生成部と、前記履歴生成部が生成した前記着座履歴を保持する履歴保持部と、前記履歴保持部に保持された前記着座履歴を消去する履歴消去部と、を備え、前記履歴生成部は、前記履歴保持部に前記着座履歴が保持されていない場合に新たな前記着座履歴を生成し、前記履歴保持部は、前記着座検知部が前記乗員の着座を検知しているか否かに関わらず、前記履歴消去部が前記着座履歴を消去するまで、前記履歴生成部が生成した前記着座履歴を保持する
乗員検知装置であって、前記車両のドアに設けられたドアセンサの出力信号に基づいて前記ドアの開閉状態を検知する開閉検知部を備え、前記履歴消去部は、前記着座検知部が前記シートに対する前記乗員の着座を検知していない状態において、前記シートの側方に位置する前記ドアが開状態から閉状態に変化した場合に、前記着座履歴を消去するものであり、前記着座検知部が前記乗員の着座を検知している状態から前記着座検知部が前記乗員の着座を検知していない状態に変化したことをもって前記着座履歴を消去する条件が成立したとはせず前記履歴消去部が前記着座履歴を消去することを禁止するとともに、前記着座検知部が前記乗員の着座を検知していない状態から前記着座検知部が前記乗員の着座を検知している状態に変化した場合には前記履歴生成部が生成した前記着座履歴の前記履歴保持部への上書きを許可する。
【0009】
上記構成によれば、シートに着座する乗員の姿勢変化に伴い、このシートに設けられた着座センサの出力信号が変化するような状況においても、より安定的に、このシートに着座した乗員を検知することができる。そして、これにより、そのシートの乗員が離席したものと誤判定する可能性を低減することができる。
【0011】
即ち、このような判定条件を満たす場合には、シートに着座していた乗員が、このシートの側方に位置するドアを開けて降車した後、そのドアを閉めたものと推定することができる。従って、上記構成によれば、精度よく、シートの乗員が離席した状態を検知して、そのシートの着座履歴を正しく消去することができる。
【0012】
上記課題を解決する乗員検知装置は、前記車両の施錠状態を検知するドアロック検知部を備え、前記履歴消去部は、前記着座検知部が前記シートに対する前記乗員の着座を検知していない状態において、前記車両が該車両の外側から施錠された場合に、前記着座履歴を消去することが好ましい。
【0013】
即ち、このような判定条件を満たす場合には、車両から乗員が降車した状態にあると推定することができる。また、例えば、車両の後部座席のように、シートの乗員が、このシートの側方に位置するドア(例えば、車両右側面のドア)以外のドア(例えば、車両左側面のドア)から乗り降り可能な構成においても、そのシートの乗員が降車した状態にあることを検知可能という利点がある。従って、上記構成によれば、精度よく、シートの乗員が離席した状態を検知して、そのシートの着座履歴を正しく消去することができる。
【0014】
上記課題を解決する乗員検知装置は、前記履歴消去部は、前記車両のイグニッション信号がオフとなった場合に、前記着座履歴を消去することが好ましい。
即ち、車両がイグニッションオフ状態(非起動状態)となることで、その乗員検知に基づいた各種制御の多くが実行されない状態となる。従って、上記構成によれば、そのシートの着座履歴を正しく消去することができる。
【0015】
上記課題を解決する乗員検知装置は、前記着座センサは、シート表皮の内側に設けられた感圧スイッチであることが好ましい。
即ち、このような感圧スイッチを着座センサに用いる構成においては、シートに着座する乗員の姿勢が変化することで、そのオン/オフ状態が切り替わりやすいという特徴がある。従って、このような構成に上記各構成を適用することで、より顕著な効果を得ることができる。
【0016】
上記課題を解決する乗員検知装置は、前記シートは、該シートの内側で拡縮する
ことによりシート表皮を内側から押圧する空気袋を備えるものであることが好ましい。
即ち、このような構成では、シートの内側で拡縮する空気袋に持ち上げられる態様で、そのシートに着座する乗員の臀部や脚部、或いは背中等に変位が生じやすい。そして、これにより、そのシートの乗員が離席したものと誤判定する可能性が高くなる。従って、このような構成に上記各構成を適用することで、より顕著な効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、より安定的にシートに着座した乗員を検知することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、乗員検知装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の車両1は、その車室内に前後二列のシート10を配置した所謂4ドアセダンとしての構成を有している。即ち、この車両1は、運転席11及び助手席12を構成するフロントシート10a,10bと、後部座席13,14を構成するリアシート10c,10dと、を備えている。そして、この車両は、これら各シート10(10a〜10d)の側方に設けられた4枚のドア15(15a〜15d)を備えている。
【0020】
図2に示すように、各シート10は、シートクッション22と、このシートクッション22の後端部に対して傾動自在に設けられたシートバック23と、このシートバック23の上端に設けられたヘッドレスト24と、を備えている。また、本実施形態の各シート10には、そのシートクッション22の前縁部に当該シート10に着座した乗員が脚部を載置するためのオットマン25が設けられている。そして、本実施形態の各シート10には、それぞれ、これらの各シート要素X(22〜25)を駆動して、その位置調整を可能とする複数のアクチュエータ30(30a〜30d)が設けられている。
【0021】
詳述すると、本実施形態の各シート10には、それぞれ、当該シート10(シートクッション22)の前後位置を調整可能なシートスライドアクチュエータ30a、及びシートバック23の傾倒角度を調整可能なシートリクライニングアクチュエータ30bが設けられている。そして、これらの各シート10には、それぞれ、そのヘッドレスト24の配置を調整可能なヘッドレストアクチュエータ30c、並びにシートクッション22の前縁部に格納されたオットマン25をシート10の前方に展開し、及びそのオットマン25を再び格納可能とするオットマンアクチュエータ30dが設けられている。
【0022】
また、本実施形態の各シート10において、これらの各アクチュエータ30(30a〜30d)は、ECU31によって、その作動が制御されている。具体的には、本実施形態のECU31は、各アクチュエータ30が駆動するシート要素Xについて、それぞれ、その動作位置情報Ix(Ia〜Ib)を検出する。更に、本実施形態のECU31には、各シート10に設けられた操作入力部33に対する操作入力の発生を示す操作入力信号S1が入力される。即ち、ECU31は、この操作入力信号S2に基づいて、その乗員による各シート要素Xの操作要求を検出する。そして、本実施形態のECU31は、その検出された操作要求に基づいて、各シート要素Xの動作位置を変更すべく、駆動源となるモータ(図示略)に対する制御信号Smc(Smc1〜Smc4)を出力することにより、その対応する各アクチュエータ30(30a〜30d)の作動を制御する。
【0023】
更に、本実施形態のECU31には、車内ネットワーク34を介して、車両1の各ドア15に設けられたドアセンサ(カーテシスイッチ)35の出力信号Sdocや、イグニッション信号Sig、ドアロック信号Sdl、及びパーキングブレーキ信号Spbk、或いは車速V等、車両1の制御信号及び車両状態量が入力される。そして、本実施形態のECU31は、これらの制御信号及び車両状態量に基づいて、例えば、車両1に対する乗員の乗降時等、自動的に、その各シート要素Xの動作位置を変更する機能を有している(オート制御機能)。
【0024】
また、
図3に示すように、本実施形態の各シート10には、シートクッション22及びシートバック23の内側で拡縮することにより、そのシート表皮10xを内側から押圧する複数の空気袋36が設けられている。そして、本実施形態の各シート10は、これにより、その各シート10に着座する乗員に対してマッサージ効果(リフレッシュ効果)を付与することが可能となっている。
【0025】
具体的には、本実施形態の各シート10は、シートバック23の背もたれ面23sに沿うように上下方向に並んで設けられた複数の空気袋36b、及びシートクッション22の着座面22sに沿うように前後方向に並んで設けられた複数の空気袋36cを備えている。また、各シート10には、これらの各空気袋36に空気を圧送し、及び当該各空気袋36内の空気を排出する吸排気装置37が設けられている。そして、この吸排気装置37は、制御装置38により、その作動が制御されている。
【0026】
即ち、本実施形態の制御装置38には、図示しない操作スイッチに対する操作入力信号S2が入力される。そして、制御装置38は、この操作入力信号S2に示されるマッサージ要求に基づいて、その吸排気装置37の作動を制御、つまりは、各シート10に設けられた各空気袋36を拡縮させる構成になっている。
【0027】
また、
図2に示すように、本実施形態の車両1において、各シート10には、そのシートクッション22の着座面22sを構成するシート表皮10xの内側に感圧式の着座センサ40(40a〜40d)が設けられている。即ち、これらの着座センサ40は、シートクッション22に印加されるシート荷重に基づいて、その出力信号Smbs(Smbs1〜Smbs4)が変化する。更に、これら各着座センサ40の出力信号Smbsもまた、ECU31に入力される。そして、本実施形態の車両1においては、これにより、その各シート10に着座する乗員を検知可能な乗員検知装置41が形成されている。
【0028】
詳述すると、
図4に示すように、本実施形態の着座センサ40には、スペーサとなる中間フィルム50を挟んで積層(貼り合わせ)された第1フィルム51及び第2フィルム52を備えた周知の構成を有するメンブレンスイッチ55が用いられている。
【0029】
具体的には、このメンブレンスイッチ55を構成する第1フィルム51及び第2フィルム52には、それぞれ、中間フィルム50に形成された連通部(貫通孔)56を介して互いに対向する接点部57(57a,57b)を有した回路パターン58が形成されている。また、このメンブレンスイッチ55は、その第1フィルム51がシートクッション22の上側を向いた状態で、シート表皮10xの内側に配置される。更に、このメンブレンスイッチ55は、シートクッション22にシート荷重が印加されることにより第1フィルム51が下側に撓められる。そして、これにより、その第1フィルム51に形成された上側接点部57aと第2フィルム52に形成された下側接点部57bとが接触する構成になっている。
【0030】
即ち、本実施形態のメンブレンスイッチ55は、これら上下方向に対向配置された第1フィルム51の上側接点部57a及び第2フィルム52の下側接点部57bによって、その感圧スイッチ部(セル)59が構成されている。そして、この感圧スイッチ部59の導通状態に基づいて、そのオン/オフ状態が切り替わる構成になっている。
【0031】
また、
図2に示すように、本実施形態のECU31は、このメンブレンスイッチ55を用いた着座センサ40の出力信号Smbsに基づいて、そのシート10に乗員が着座していることを示す着座履歴Fを生成する。具体的には、本実施形態のECU31は、車室内に設けられたシート10(10a〜10d)毎に、その着座履歴F(Fa〜Fb)を生成する。そして、その生成した着座履歴F(Fa〜Fb)を記憶領域60に保持(記憶)する構成になっている。
【0032】
更に、本実施形態のECU31は、その記憶領域60に保持した着座履歴Fに基づいて、各シート10に着座する乗員に対し、当該シート10に備え付けられたシートベルト(図示略)を装着すべき旨の警告出力を実行する。尚、本実施形態では、この警告出力は、スピーカーやウォーニングランプ等の警告装置48を用いて行われる。また、本実施形態のECU31は、その記憶領域60に着座履歴F(Fa〜Fb)を保持した状態にある場合には、シート10に着座した乗員を検知していることを示す乗員検知信号Scdを車内ネットワーク34に出力する。そして、本実施形態の車両1においては、この乗員検知信号Scdに基づいて、その図示しないエアバッグの展開制御等が行われる構成になっている。
【0033】
さらに詳述すると、
図5のフローチャートに示すように、ECU31は、各シート10に設けられた着座センサ40(の出力信号Smbs)がオフ状態からオン状態に移行した場合(ステップ101:YES)に、この着座センサ40がオン状態となったシート10について、その着座履歴Fを保持しているか否かを判定する(ステップ102)。そして、当該シート10の着座履歴Fを保持していない場合(ステップ102:NO)に、このシート10について新たな着座履歴Fを生成し(ステップ103)、その生成した着座履歴Fを記憶領域60に保持する(ステップ104)。
【0034】
即ち、ECU31は、例えば、助手席12を構成するフロントシート(前席シート)10bに設けられた着座センサ40bがオフ状態からオン状態に移行したとき、このフロントシート10bについて着座履歴Fbを保持していない場合に、そのフロントシート10bの新たな着座履歴Fbを生成して当該着座履歴Fbを記憶領域60に保持する。同様に、例えば、右後部座席13を構成するリアシート(後席シート)10cに設けられた着座センサ40cがオフ状態からオン状態に移行したとき、このリアシート10cについて着座履歴Fcを保持していない場合には、そのリアシート10cについて新たな着座履歴Fcを生成して当該着座履歴Fcを記憶領域60に保持する。そして、例えば、左後部座席14を構成するリアシート10dに設けられた着座センサ40がオフ状態からオン状態に移行した場合において、そのリアシート10dについて着座履歴Fdを保持している場合には、このリアシート10dについて新たな着座履歴Fdを生成することなく、その記憶領域60に保持している着座履歴Fdをそのまま保持する。
【0035】
また、
図6に示すように、本実施形態のECU31は、フロントシート10a,10bに設けられた着座センサ40a,40bについて、その着座履歴Fa,Fbを保持している場合(ステップ201:YES)には、以下に示すステップ202以降の処理を実行する。
【0036】
即ち、ECU31は、先ず、そのフロントシート10a,10bに設けられた着座センサ40(40a,40b)がオフ状態にあるか否かを判定する(ステップ202)。また、ECU31は、その着座センサ40(40a,40b)がオフ状態にある場合(ステップ202:YES)には、続いて、この着座センサ40(40a,40b)がオフ状態にあるシート10(10a,10b)の側方に位置するドア15(15a,15b)が開状態から閉状態に移行したか否かを判定する(ステップ203)。そして、ECU31は、そのシート10の側方に位置するドア15(15a,15b)が閉状態に移行したと判定した場合(ステップ203:YES)に、このシート10(10a,10b)の着座履歴F(Fa,Fb)を記憶領域60から消去する(ステップ204)。
【0037】
つまり、本実施形態のECU31は、例えば、助手席12を構成するフロントシート10bに設けられた着座センサ40bがオフ状態に移行したことのみをもっては、そのフロントシート10bの着座履歴Fbを記憶領域60から消去しない。そして、着座センサ40bがオフ状態であり、且つ、このフロントシート10bの側方に位置するドア15bが開状態から閉状態に移行した場合に、そのフロントシート10bの着座履歴Fbを記憶領域60から消去する構成になっている。
【0038】
更に、本実施形態のECU31は、上記ステップ202において、フロントシート(10a,10b)に設けられた着座センサ40(40a,40b)がオフ状態でないと判定した場合(ステップ202:NO)、車両1のイグニッション信号Sigがオフになったか否かを判定する(ステップ205)。また、ECU31は、上記ステップ203において、その着座センサ40(40a,40b)がオフ状態にあるシート10(10a,10b)側方のドア15(15a,15b)が閉状態に移行していないと判定した場合(ステップ203:NO)にも、ステップ205において、イグニッション信号Sigがオフになったか否かを判定する。そして、このステップ205において、イグニッション信号Sigがオフになった場合にも、上記ステップ204において、そのフロントシート10a,10bの着座履歴Fa,Fbを記憶領域60から消去する構成になっている。
【0039】
また、
図7に示すように、本実施形態のECU31は、リアシート10c,10dに設けられた着座センサ40c,40dについて、その着座履歴Fc,Fdを保持している場合(ステップ301:YES)には、以下に示すステップ302以降の処理を実行する。
【0040】
即ち、ECU31は、先ず、そのリアシート10c,10dに設けられた着座センサ40(40c,40d)がオフ状態にあるか否かを判定する(ステップ302)。また、ECU31は、その着座センサ40(40c,40d)がオフ状態にある場合(ステップ302:YES)には、続いて、この着座センサ40(40c,40d)がオフ状態にあるシート10(10c,10d)の側方に位置するドア15(15c,15d)が開状態から閉状態に移行したか否かを判定する(ステップ303)。そして、ECU31は、そのシート10の側方に位置するドア15(15c,15d)が閉状態に移行したと判定した場合(ステップ303:YES)に、このシート10(10c,10d)の着座履歴F(Fc,Fd)を記憶領域60から消去する(ステップ304)。
【0041】
つまり、本実施形態のECU31は、例えば、左後部座席14を構成するリアシート10dに設けられた着座センサ40dがオフ状態に移行したことのみをもっては、そのリアシート10dの着座履歴Fdを記憶領域60から消去しない。そして、着座センサ40dがオフ状態であり、且つ、このリアシート10dの側方に位置するドア15dが開状態から閉状態に移行した場合に、そのリアシート10dの着座履歴Fdを記憶領域60から消去する構成になっている。
【0042】
また、ECU31は、上記ステップ303において、その着座センサ40(40c,40d)がオフ状態にあるシート10(10c,10d)側方のドア15(15c,15d)が開状態から閉状態に移行していないと判定した場合(ステップ303:NO)、車両1が当該車両1の外側から施錠された否かを判定する(ステップ305)。尚、本実施形態のECU31は、車内ネットワーク34を介して入力されるドアロック信号Sdl(
図2参照)に基づいて、その車両1のドア15(15a〜15d)が外側から施錠(ドアロック)されたこと検知する。そして、本実施形態のECU31は、この場合(ステップ305:YES)においてもまた、上記ステップ304において、そのリアシート10c,10dの着座履歴Fc,Fdを記憶領域60から消去する構成になっている。
【0043】
即ち、例えば、左後部座席14を構成するリアシート10dの乗員が、右後部座席13を構成するリアシート10cに移動し、その後、このリアシート10cの側方に位置するドア15cから降車する状況が想定される。しかしながら、この場合においても、その後、車両1が当該車両1の外側から施錠された場合には、そのリアシート10dには、乗員が着座していないと推定することができる。そして、本実施形態のECU31は、このような場合に、そのリアシート10c,10dの着座履歴Fc,Fdを記憶領域60から消去する構成になっている。
【0044】
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)着座検知部70aとしてのECU31は、車両1のシート10に設けられた着座センサ40の出力信号Smbsに基づいて、そのシート10に対する乗員の着座を検知する。また、ECU31は、シート10に乗員が着座したことを検知した場合に当該シート10に乗員が着座していることを示す着座履歴Fを生成する履歴生成部70b、この着座履歴Fを記憶領域60に保持する履歴保持部70c、及びその着座履歴Fを記憶領域60から消去する履歴消去部70dとしての機能を有する。具体的には、ECU31は、着座履歴Fを記憶領域60に保持していない場合に新たな着座履歴Fを生成する。そして、ECU31は、乗員の着座を検知しているか否かに関わらず、着座履歴Fの消去要件が成立するまで、その着座履歴Fの保持を継続する。
【0045】
上記構成によれば、シート10に着座する乗員の姿勢変化に伴い、このシート10に設けられた着座センサ40の出力信号Smbsが変化するような状況においても、より安定的に、このシート10に着座した乗員を検知することができる。そして、これにより、そのシート10の乗員が離席したものと誤判定する可能性を低減することができる。
【0046】
(2)開閉検知部70eとしてのECU31は、ドアセンサ35の出力信号Sdocに基づいてドア15の開閉状態を検知する。そして、履歴消去部70dとしてのECU31は、シート10に設けられた着座センサ40がオフ状態である場合において、当該シート10の側方に位置するドア15が開状態から閉状態に変化した場合に、このシート10の着座履歴Fを記憶領域60から消去する。
【0047】
即ち、このような判定条件を満たす場合には、シート10に着座していた乗員が、このシート10の側方に位置するドア15を開けて降車した後、そのドア15を閉めたものと推定することができる。従って、上記構成によれば、精度よく、シート10の乗員が離席した状態を検知して、そのシート10の着座履歴Fを正しく消去することができる。
【0048】
(3)ドアロック検知部70fとしてのECU31は、ドアロック信号Sdlに基づいて、車両1の施錠状態を検知する。そして、履歴消去部70dとしてのECU31は、シート10に設けられた着座センサ40がオフ状態である場合において、車両1が、その車両1の外側から施錠された場合に、このシート10(リアシート10c,10d)の着座履歴Fを記憶領域60から消去する。
【0049】
即ち、このような判定条件を満たす場合には、車両1から乗員が降車した状態にあると推定することができる。また、車両1の後部座席13,14のように、シート10(例えば、リアシート10c)の乗員が、このシート10の側方に位置するドア15(15c)以外のドア15(15d)から乗り降り可能な構成においても、そのシート10の乗員が降車した状態にあることを検知可能という利点がある。従って、上記構成によれば、精度よく、シート10の乗員が離席した状態を検知して、そのシート10の着座履歴Fを正しく消去することができる。
【0050】
(4)履歴消去部としてのECU31は、車両1のイグニッション信号Sigがオフとなった場合に、シート10(フロントシート10a,10b)の着座履歴を消去する。
即ち、車両1がイグニッションオフ状態(非起動状態)となることで、その乗員検知に基づいた各種制御の多くが実行されない状態となる。従って、上記構成によれば、そのシート10の着座履歴Fを正しく消去することができる。
【0051】
(5)着座センサ40には、シート表皮10xの内側に設けられたメンブレンスイッチ55が用いられる。
即ち、このような感圧スイッチを着座センサ40に用いる構成においては、シート10に着座する乗員の姿勢が変化することで、そのオン/オフ状態が切り替わりやすいという特徴がある。従って、このような構成に上記(1)〜(4)の構成を適用することで、より顕著な効果を得ることができる。
【0052】
(6)シート10には、そのシート10の内側で拡縮するマッサージ用の空気袋36が設けられる。
即ち、このような構成では、シート10の内側で拡縮する空気袋36に持ち上げられる態様で、そのシート10に着座する乗員の臀部や脚部、或いは背中等に変位が生じやすい。そして、これにより、そのシート10の乗員が離席したものと誤判定する可能性が高くなる。従って、このような構成に上記(1)〜(4)の構成を適用することで、より顕著な効果を得ることができる。
【0053】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、フロントシート10a,10bについては、イグニッション信号Sigがオフになることを、その着座履歴Fa,Fbの消去要件とした(
図6参照)。そして、リアシート10c,10dについては、車両1が車外から施錠されることを、その着座履歴Fc,Fdの消去要件とした。
【0054】
しかし、これに限らず、イグニッション信号Sigがオフになることを、そのリアシート10c,10dの着座履歴Fc,Fdを消去するための判定条件に用いてもよい。また、車両1が車外から施錠されることを、そのフロントシート10a,10bの着座履歴Fa,Fbを消去するための判定条件に用いてもよい。更に、例えば、パーキングブレーキ信号Spbkや車速Vを用いて車両1が駐車状態にあるか否かを判定し、この車両1が駐車状態にあると判定される場合に、そのシート10の着座履歴Fを消去する構成としてもよい。そして、そのシート10毎に、個別の消去要件を設定する構成としてもよい。
【0055】
・また、シート10の着座履歴F(Fa〜Fd)が、そのシート10(10a〜10d)に着座する乗員の属性(大人、子供、荷物等)を含むものに適用するとよい。このような構成を有する乗員検知装置について、その一度生成した着座履歴Fを当該着座履歴Fの消去要件が成立するまで保持する構成を適用することで、より顕著な効果を得ることができる。
【0056】
・更に、例えば、着座履歴Fの内容が「乗員検知」「乗員非検知」の2つのみである構成においては、実質的に、その記憶領域60に着座履歴Fが保持されていない場合にのみ、新たな着座履歴Fが生成される構成であればよい。つまり、「乗員非検知」から「乗員検知」への上書きを許可するとともに、「乗員検知」から「乗員検知」への上書きを許可する。そして、消去要件が成立していない状態における「乗員検知」から「乗員非検知」を禁止する構成であってもよい。
【0057】
・上記実施形態では、シートクッション22の着座面22sを構成するシート表皮10xの内側にメンブレンスイッチ55を配置することにより感圧式の着座センサ40を形成することとした。しかし、これに限らず、メンブレンスイッチ45以外の感圧スイッチを用いる構成としてもよい。また、シートバック23の背もたれ面23sの内側に着座センサ40が配置された構成に適用してもよい。そして、例えば、シート10と当該シート10の支持部材(スライドレール等)との間に設けられた荷重センサ(歪センサ等)を着座センサ40に用いる構成に適用してもよい。
【0058】
・上記実施形態では、シート10の内側にマッサージ用の空気袋36が設けられることとした。しかし、これに限らず、シート10の内側で拡縮する空気袋36は、そのシート10のサポート形状を変更するシートサポート用のものであってもよい。そして、このような空気袋が設けられていないシート10に適用してもよい。
【0059】
・上記実施形態では、ECU31が、その着座検知部70a、履歴生成部70b、履歴保持部70c、履歴消去部70d、開閉検知部70e、及びドアロック検知部70fを構成することとした。しかし、これに限らず、これらの機能制御部が複数の情報処理装置に分散された構成であってもよい。そして、各シート10にECU31を備える構成であっても、一のECU31が複数のシート10を制御する構成であってもよい。
【0060】
次に、以上の実施形態から把握することのできる技術的思想を効果とともに記載する。
(イ)前記車両が駐車状態にあること検知する駐車状態検知部を備え、前記履歴消去部は、前記車両が駐車状態となった場合に、前記着座履歴を消去すること、を特徴とする乗員検知装置。これにより、そのシートの着座履歴を正しく消去することができる。