(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684718
(24)【登録日】2020年4月1日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】ブリスターパック用積層体、それを用いたブリスターパック、及びブリスターパック包装体、並びにその積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/26 20060101AFI20200413BHJP
B65D 75/36 20060101ALI20200413BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20200413BHJP
B32B 7/12 20060101ALI20200413BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20200413BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20200413BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20200413BHJP
B32B 15/20 20060101ALI20200413BHJP
B32B 1/02 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
B65D81/26 J
B65D75/36
B65D65/40 D
B32B7/12
B32B27/18 Z
B32B27/32 Z
B32B15/08 N
B32B15/20
B32B1/02
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-555416(P2016-555416)
(86)(22)【出願日】2015年10月23日
(86)【国際出願番号】JP2015080019
(87)【国際公開番号】WO2016063987
(87)【国際公開日】20160428
【審査請求日】2017年9月5日
(31)【優先権主張番号】特願2014-216560(P2014-216560)
(32)【優先日】2014年10月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000162113
【氏名又は名称】共同印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 晋久
(72)【発明者】
【氏名】加藤 みどり
(72)【発明者】
【氏名】小川 達也
(72)【発明者】
【氏名】細井 雅之
【審査官】
矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/140821(WO,A1)
【文献】
特開2012−203985(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/029899(WO,A1)
【文献】
登録実用新案第3141708(JP,U)
【文献】
特開2006−123222(JP,A)
【文献】
特表2005−523188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/26
B32B 1/00−43/00
B65D 65/40
B65D 75/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルム、30μm超100μm以下の厚みを有する接着樹脂層、並びに吸収フィルムをこの順で有し、
前記吸収フィルムが、熱可塑性樹脂及び無機吸収剤を含む吸収層を含み、かつ
前記接着樹脂層が、サンドラミネートによって形成されている、
ブリスターパック用の積層体。
【請求項2】
前記接着樹脂層が、ポリオレフィン系樹脂を含む、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記接着樹脂層が、30μm超50μm以下の厚みを有する、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記吸収フィルムが、前記接着樹脂層側の外スキン層、前記吸収層、及び内スキン層を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項5】
前記吸収フィルムの前記外スキン層、前記吸収層、及び前記内スキン層が、共押出されている、請求項4に記載の積層体。
【請求項6】
以下の層で構成される、ブリスターパック用の積層体:
12〜25μmの厚みを有し、かつポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、飽和又は不飽和ポリエステル、ポリアミド、及びポリアクリロニトリルからなる群から選択される樹脂を含む、基材層;
7〜45μmの厚みを有する、アルミニウム層;
8〜60μmの厚みを有し、かつポリ塩化ビニル、飽和又は不飽和ポリエステル、及ポリアミドからなる群から選択される樹脂を含む、補強層;
30μm超50μm以下の厚みを有し、ポリオレフィン系樹脂を含み、かつサンドラミネートによって形成されている、接着樹脂層;
10〜30μmの厚みを有し、かつポリオレフィン系樹脂を含む、外スキン層;
10〜200μmの厚みを有し、かつポリオレフィン系樹脂及び5〜70体積%のゼオライトを含む、吸収層;並びに
10〜30μmの厚みを有し、かつポリオレフィン系樹脂を含む、内スキン層。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体、並びにヒートシール層及びアルミニウム層を有する蓋材を含み、前記積層体と前記蓋材とが少なくとも部分的に接着しており、かつ前記積層体にポケット部が形成されて前記積層体と前記蓋材との間に内容物が収納可能になっている、ブリスターパック。
【請求項8】
請求項7に記載のブリスターパックと、前記ポケット部に収納された内容物とを有するブリスターパック包装体。
【請求項9】
以下の工程を含む、ブリスターパック用積層体の製造方法:
基材フィルムを与える工程;
熱可塑性樹脂及び無機吸収剤を含む吸収層を含む吸収フィルムを与える工程;
前記吸収フィルムと前記基材フィルムとの間に、又は前記吸収フィルム上若しくは前記基材フィルム上に、30μm超100μm以下の厚みを有する接着樹脂層をサンドラミネートによって形成し、前記吸収フィルムと前記基材フィルムとを接着する工程。
【請求項10】
前記基材フィルムが、基材層、アルミニウム層、及び補強層をこの順で含み、
前記吸収フィルムが、前記吸収層を挟んで外スキン層及び内スキン層を含み、かつ
前記接着樹脂層が、前記吸収フィルムの前記外スキン層と前記基材フィルムの前記補強層との間に、又は前記吸収フィルムの前記外スキン層上若しくは前記基材フィルムの前記補強層上に形成される、
請求項9に記載のブリスターパック用積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリスターパック用積層体、その積層体を用いたブリスターパック、及びブリスターパック包装体に関する。特に、本発明は、大きな薬剤等を包装するために深さのあるポケット部を成形しても成形不良を発生させないブリスターパック用積層体、それを用いたブリスターパック、及びブリスターパック包装体、並びにその積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉状の薬剤は、薄手の紙袋又はフィルム製袋等に封入されるが、錠剤又はカプセル剤等の薬剤は、PTP(プレススルーパック)と呼ばれるブリスターパックに封入される。ブリスターパックに封入されている薬剤を指で押し込むことによって、シート状の蓋材を破り、そして薬剤を取り出すことができる。
【0003】
薬剤は水分を吸収することで、薬効成分が変質することがある。そのため、従来は、ブリスターパックを封入する外装袋内にシリカゲル等の乾燥剤を封入していた。しかし、外装袋内に乾燥剤を投入する作業は手間がかかり、またこれを誤飲又は誤食される恐れもあった。また、外装袋の開封後は、ブリスターパック内を低湿度に保つことができず、薬剤の劣化が進行する問題もあった。さらに薬剤によっては、酸化分解しやすいもの、特有のにおいを発するもの等があるので、ブリスターパック内の酸素、におい等のガスを吸収したいという要望もある。
【0004】
それに対し、特許文献1は、ブリスターパックの内部に吸着剤を有する吸着層を積層することによって、薬剤の長期安定性を向上させる技術を開示している。ここではまず、基材フィルムと吸着層を含む吸収フィルムとをドライラミネートした積層体に、ドーム状のポケット部分を成形する。そして、そのポケット部分に錠剤である薬剤を入れて、これを蓋材で封止している。この技術によれば、外装袋に乾燥剤等を同梱しなくても、乾燥状態の維持、酸化の防止、及び臭気の効率的な除去が可能となると考えられる。
【0005】
また、薬剤の中には、紫外線に弱いものもあり、包装容器が透明であると、薬効成分が劣化するおそれがある。これに対して、特許文献1ではさらに、ブリスターパックの裏側の蓋材だけではなく、表側のブリスターパック用積層体にもアルミニウム層を形成する技術、いわゆるアルミブリスター包装を開示している。この技術によれば、ブリスターパックにアルミニウム層を形成するので薬剤は視認できないが、紫外線を遮断し、バリア性をさらに高めることができる。
【0006】
上記の2つの技術を単純に組み合わせた態様では、ブリスターパック用積層体にドーム状のポケットを成形する際に、ドームの天井部分が破れたり、裾の部分又は肩の部分に亀裂が発生したりする成形上の問題が発生するが、特許文献2はこれに対処するために、特定のポリマーを用いたコシのある補強層をアルミニウム層の吸収フィルム側に積層した基材フィルムと、吸収フィルムとをドライラミネートしている。特許文献2では、コシのある補強層を設けることで積層体全体の強度を向上させて、成形不良を低減している。
【0007】
特許文献3は、吸収層と基材層とを、厚さ20μmの接着樹脂層によってサンドラミネートしたブリスターパックを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2006/115264号
【特許文献2】国際公開第2012/029323号
【特許文献3】国際公開第2013/140821号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
成形不良を低減している特許文献2に記載の積層体であっても、直径10mm、深さ3.3mmを超える、相対的に深いポケットを成形しようとした場合、依然として成形不良となるものが多く、十分なものではなかった。本発明者らは、特許文献1及び特許文献2に記載の積層体に対して、そのような深いポケットを成形する場合に発生する成形不良を低減させようと検討したところ、この成形不良が、基材フィルムと吸収フィルムとが一部はく離する、いわゆるラミ浮きに起因していることを見出した。
【0010】
すなわち、特許文献2に記載の積層体の場合、吸収フィルムと補強層との間でラミ浮きが発生する場合があり、これによりポケット成形時に成形体に均一に力が伝わらず、一部に応力が集中して成形不良となっていることが分かった。このラミ浮きについて、さらに原因を調査したところ、吸収フィルムがスキン層を有していたとしても、無機吸収剤の存在に起因して、吸収フィルムの表面に細かな凹凸が発生し、表面粗さが高くなっていることが判明し、これによって吸収フィルムと補強層との間でなされるドライラミネートによる接着が、一部で不良となっていた。
【0011】
また、特許文献3は、特許文献1及び特許文献2に記載の積層体に比べて多少改善されていたが、深いポケットを成形しようとする場合には、依然として成形不良となるものが多く、十分なものではなかった。
【0012】
本発明は、大きな薬剤等の内容物を包装するためにポケットを一定の深さまで成形しても成形不良が発生しにくいブリスターパック用の積層体、それを用いたブリスターパック、及びブリスターパック包装体、並びにその積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、本発明者らは、吸収フィルムと隣接して、吸収フィルムの表面粗さを緩衝させる樹脂層を比較的厚めに存在させることによって、吸収フィルムと基材フィルムとのラミ浮きを防止でき、そして成形不良の発生を低減できる本発明の積層体を完成させた。
【0014】
すなわち、本発明者らは、以下の態様を有する本発明によって、上記課題を解決できることを見出した。
《態様1》
基材フィルム、25〜100μmの厚みを有する接着樹脂層、並びに吸収フィルムをこの順で有し、
前記吸収フィルムが、熱可塑性樹脂及び無機吸収剤を含む吸収層を含む、
ブリスターパック用の積層体。
《態様2》
前記接着樹脂層が、ポリオレフィン系樹脂を含む、態様1に記載の積層体。
《態様3》
前記接着樹脂層が、サンドラミネートによって形成されている、態様1又は2に記載の積層体。
《態様4》
前記接着樹脂層が、25〜50μmの厚みを有する、態様1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
《態様5》
前記吸収フィルムが、前記接着樹脂層側の外スキン層、前記吸収層、及び内スキン層を有する、態様1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
《態様6》
前記吸収フィルムの前記外スキン層、前記吸収層、及び前記内スキン層が、共押出されている、態様5に記載の積層体。
《態様7》
以下の層で構成される、ブリスターパック用の積層体:
12〜25μmの厚みを有し、かつポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、飽和又は不飽和ポリエステル、ポリアミド、及びポリアクリロニトリルからなる群から選択される樹脂を含む、基材層;
7〜45μmの厚みを有する、アルミニウム層;
8〜60μmの厚みを有し、かつポリ塩化ビニル、飽和又は不飽和ポリエステル、及ポリアミドからなる群から選択される樹脂を含む、補強層;
25〜50μmの厚みを有し、ポリオレフィン系樹脂を含み、かつサンドラミネートによって形成されている、接着樹脂層;
10〜30μmの厚みを有し、かつポリオレフィン系樹脂を含む、外スキン層;
10〜200μmの厚みを有し、かつポリオレフィン系樹脂及び5〜70体積%のゼオライトを含む、吸収層;並びに
10〜30μmの厚みを有し、かつポリオレフィン系樹脂を含む、内スキン層。
《態様8》
態様1〜7のいずれか一項に記載の積層体、並びにヒートシール層及びアルミニウム層を有する蓋材を含み、前記積層体と前記蓋材とが少なくとも部分的に接着しており、かつ前記積層体にポケット部が形成されて前記積層体と前記蓋材との間に内容物が収納可能になっている、ブリスターパック。
《態様9》
態様8に記載のブリスターパックと、前記ポケット部に収納された内容物とを有するブリスターパック包装体。
《態様10》
以下の工程を含む、ブリスターパック用積層体の製造方法:
基材フィルムを与える工程;
熱可塑性樹脂及び無機吸収剤を含む吸収層を含む吸収フィルムを与える工程;
前記吸収フィルムと前記基材フィルムとの間に、又は前記吸収フィルム上若しくは前記基材フィルム上に、25〜100μmの厚みを有する接着樹脂層を形成し、前記吸収フィルムと前記基材フィルムとを接着する工程。
《態様11》
前記基材フィルムが、基材層、アルミニウム層、及び補強層をこの順で含み、
前記吸収フィルムが、前記吸収層を挟んで外スキン層及び内スキン層を含み、かつ
前記接着樹脂層が、前記吸収フィルムの前記外スキン層と前記基材フィルムの前記補強層との間に、又は前記吸収フィルムの前記外スキン層上若しくは前記基材フィルムの前記補強層上に形成される、
態様10に記載のブリスターパック用積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、深さのあるポケットを有する吸収層付きブリスターパックを、成形不良の発生を最小限にして生産することができる。このようなブリスターパックを用いることによって、比較的大きな内容物を長期間安定した状態で保管することができる。
【0016】
この基材フィルムと吸収フィルムとの間に比較的厚みのある接着樹脂層を存在させることによって、成形不良の発生を低減できるという本発明の効果は、上記の特許文献2において、吸収フィルムとアルミニウム層との間に軟らかい樹脂からなる補強層を用いると成形不良が発生していた事実(例えば、特許文献2の比較例4)、及びブリスターパック用積層体全体の厚みを増すと一般的に成形性が低下するという傾向を考慮すれば、予想外であった。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】本発明のブリスターパックの層構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
《ブリスターパック用積層体及びその製造方法》
本発明のブリスターパック用の積層体は、基材フィルム、吸収フィルム、及びこれらを接着させる接着樹脂層を有する。基材フィルムは、少なくとも基材層を有し、好ましくはアルミニウム層と補強層とをこの順で吸収フィルム側にさらに有する。また、吸収フィルムは、熱可塑性樹脂及び無機吸収剤を含む吸収層を有し、さらに内スキン層及び外スキン層を有する。好ましくは、本発明のブリスターパック用の積層体は、最外層の基材層、アルミニウム層、補強層、接着樹脂層、外スキン層、吸収層、及び蓋材と接触する内スキン層をこの順で含み、又はこの順で構成される。
【0019】
本発明の積層体の厚さは、積層体の強度、コシ、ブリスターパック包装体に成形した際のプッシュスルー性、バリア性等の観点から、例えば500μm以下、400μm以下、300μm以下、250μm以下、200μm以下、150μm以下、100μm以下、90μm以下、85μm以下、又は80μm以下とすることができ、また50μm以上、60μm、又は70μm以上とすることができる。
【0020】
なお、本明細書において、「A層及びB層で構成される積層体」とは、本質的にはA層とB層のみを含む積層体を意味しているが、A層及びB層の他に、本発明の有利な効果が得られる範囲又は有利な効果が失われない範囲で他の層を含んでもよいことを意味している。例えば、A層とB層との間にアンカーコート層等を含んでいたとしても、「A層及びB層で構成される積層体」と表現する場合がある。
【0021】
〈基材フィルム〉
基材フィルムは、吸収フィルムを外部環境と隔離し、積層体全体に適切なコシ、強度等を与える。基材フィルムは、基材層を含み、さらにアルミニウム層、及び補強層をこの順で含んでもよい。この場合、基材層は、ブリスターパック用積層体の最外層を構成してもよい。
【0022】
基材フィルムの厚さは、バリア性を維持し、かつ本発明の積層体全体に強度等を与える観点から、例えば150μm以下、又は100μm以下とすることができ、また20μm以上、30μm、又は50μm以上とすることができる。
【0023】
基材層は、熱可塑性樹脂を含み、その熱可塑性樹脂としては、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、飽和又は不飽和ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート)、ポリアミド(例えば、ナイロン(登録商標)、ナイロン6、ナイロンMXD6)、ポリアクリロニトリル(PAN)を挙げることができ、これらのフィルムを単層又は複数層組合せて基材層として用いることができる。
【0024】
ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、メタロセン触媒を用いて重合したポリエチレン、プロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、メタロセン触媒を用いて重合したポリプロピレン、塩素化ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、カルボン酸変性ポリエチレン、カルボン酸変性ポリプロピレン、カルボン酸変性エチレン−酢酸ビニル共重合体が挙げられる。
【0025】
基材層の厚さは、例えば8μm以上、10μm以上、又は12μm以上とすることができ、50μm以下、又は25μm以下とすることができる。
【0026】
アルミニウム層は、純アルミニウム(Al)箔、アルミニウム合金箔を含む層であってもよい。その他、アルミニウム層として、アルミニウム蒸着膜等を有する樹脂層を挙げることができ、これらの蒸着膜を堆積させる樹脂層として、ポリオレフィン系樹脂(特に、延伸又は無延伸ポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル、飽和ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート)、ポリアミド(例えば、ナイロン(登録商標)、ナイロン6、ナイロンMXD6)を挙げることができる。
【0027】
アルミニウム層の厚さは、例えば7μm以上、10μm以上、又は12μm以上とすることができ、50μm以下、45μm以下、又は30μm以下とすることができる。
【0028】
補強層としては、基材層として用いることができる樹脂層を用いることもできる。補強層としては、適度なコシを与えるために、ポリアミド、飽和又は不飽和ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート)、及びポリ塩化ビニルを好ましくは含む。特に、補強層としては、特許文献2に開示されている補強層が好ましい。
【0029】
補強層の厚さは、例えば8μm以上、10μm以上、又は12μm以上とすることができ、80μm以下、60μm以下、50μm以下、又は25μ以下とすることができる。
【0030】
基材フィルムの各層のラミネートの方法としては、ドライラミネート、押出ラミネートなど、公知のラミネート方法を用いることができる。
【0031】
〈接着樹脂層〉
接着樹脂層は、25〜100μmの厚みを有し、基材フィルムと吸収フィルムとを接着する。
【0032】
接着樹脂層は、吸収フィルムの凹凸を緩衝できるような層であれば、特に限定されないが、有効な効果を発揮するために、25μm以上、26μm以上、30μm以上、35μm以上、又は40μm以上とすることができ、また100μm以下、80μm以下、60μm以下、又は50μm以下とすることができる。50μm以下の場合には、基材フィルムと吸収フィルムとのサンドラミネートによる接着樹脂層の形成が容易であるため好ましい。サンドラミネートで形成される接着樹脂層は、通常は10〜15μm程度であるため、本発明で用いる接着樹脂層は、比較的厚みがあるといえる。
【0033】
接着樹脂層は、例えばポリオレフィン系樹脂を含むことができ、ポリオレフィン系樹脂の中でも特に、低密度ポリエチレン(LDPE)が好ましい。
【0034】
接着樹脂層は、吸収フィルムと基材フィルムとの間に、接着樹脂層となる溶融樹脂を押し出して、これらを接着させるサンドラミネートによって形成される。
【0035】
〈吸収フィルム〉
吸収フィルムは、無機吸収剤及び熱可塑性樹脂を含む吸収層を含む。好ましくは、吸収層の吸収速度及び表面粗さを調整する等の目的で、吸収フィルムは、吸収層の少なくとも片面に熱可塑性樹脂を含むスキン層を含む。さらに好ましくは、吸収フィルムは、基材フィルム側に位置する外スキン層、吸収層、及び内スキン層をこの順で有する。この場合、好ましくは内スキン層は、蓋材との間でヒートシール性を有する。すなわち、内スキン層は、基材フィルム又は基材層とは反対側のブリスターパック用積層体の最外層を構成してもよい。
【0036】
吸収層、外スキン層、及び内スキン層は、熱可塑性樹脂を含み、これらの樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、飽和又は不飽和ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、及びこれらの混合物も挙げられ、好ましくはポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
【0037】
吸収層は、無機吸収剤を含有するため、液体及び気体の少なくとも一方を吸収することができる。吸収対象としては、特に水分、有機及び無機のガス、例えば二酸化炭素、アンモニア、硫化水素、酸素、塩素、塩化水素等を挙げることができる。無機吸収剤が、外スキン層及び/又は内スキン層に含まれていてもよい。
【0038】
無機吸収剤としては、酸化カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、五酸化二リン、過塩素酸マグネシウム、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等の化学吸着剤、及びアルミナ、酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、生石灰、シリカゲル、無機の分子篩等の物理吸着剤を挙げることができる。無機の分子篩の例としては、限定されないが、アルミノケイ酸塩鉱物、クレー、多孔質ガラス、微細孔性活性炭、ゼオライト、活性炭、又は水等の小分子を拡散させることが可能な開口構造をもつ化合物を挙げることができ、これらを単独または複数組み合わせて使用することができる。
【0039】
また、無機吸収剤として、鉄粉(例えば、還元鉄粉、噴霧鉄粉、活性鉄粉等)、酸化第一鉄、第一鉄塩等の鉄系酸素吸収剤、ハロゲン化金属(例えば、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化バリウム等)、酸素欠乏酸化セリウム、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、亜ニチオン酸塩等の脱酸素剤を挙げることもできる。
【0040】
これらの中でも特に、無機吸収剤としてゼオライトが好ましい。ゼオライトとしては、天然ゼオライト、人工ゼオライト、合成ゼオライトを使用することができる。ゼオライトは、分子の大きさの違いによって物質を分離するのに用いられる多孔質の粒状物質であり、均一な細孔をもつ構造であって、細孔の空洞に入る小さな分子を吸収して一種の篩の作用を有するため、水(水蒸気)、有機ガス等を吸収することができる。合成ゼオライトの一例としてはモレキュラーシーブ(ユニオン昭和株式会社)があり、この中でも特に細孔(吸収口)径が0.3nm〜1nmのモレキュラーシーブを使用することができる。例えば、細孔径が0.3nm、0.4nm、0.5nm、1nmのモレキュラーシーブとしては、それぞれモレキュラーシーブ3A、モレキュラーシーブ4A、モレキュラーシーブ5A、モレキュラーシーブ13Xを使用することができる。
【0041】
無機吸収剤の平均粒子径(レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径)は、特に限定されるものではないが、例えば体積基準メジアン径(d50)が100nm以上、500nm以上、1μm以上、又は5μm以上であってもよく、又は100μm以下、50μm以下、30μm以下、又は15μm以下のものであってもよい。本発明では、被吸収物質、内容物の性質、吸収フィルムの表面粗さ、目的の吸収速度等に合わせて、上記の無機吸収剤を適宜使い分けることができる。
【0042】
無機吸収剤は、吸収能力の観点から、吸収層の重量に対して、5重量%以上、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、又は50重量%以上の範囲で吸収層に含まれることができ、また熱可塑性樹脂への分散性及び成形性の観点から90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、又は60重量%以下の範囲で吸収層に含まれることができる。
【0043】
また、無機吸収剤を、5体積%以上、10体積%以上、20体積%以上、又は30体積%以上とすることができ、70体積%以下、65体積%以下、60体積%以下、55体積%以下、又は50体積%以下とすることができる。
【0044】
なお、層中に含まれる無機吸収剤の体積%を計算する場合に、無機吸収剤の比重が不明確な場合には、その層の比重を測定によって求め、その測定値と、無機吸収剤及び熱可塑性樹脂の添加重量と、熱可塑性樹脂の比重から無機吸収剤の体積%を求めてもよい。例えば、無機吸収剤50gと、比重0.9g/cm
3の熱可塑性樹脂50gとを用いて成形した層の比重が1.1g/cm
3であった場合には、その層に含まれている無機吸収剤は、比重が1.41g/cm
3と計算することができ、その層中で38.9体積%存在しているといえる。
【0045】
無機吸収剤は、内スキン層及び/又は外スキン層に含まれていてもよいが、それらの層の成形性、他の層との貼り合せの容易性等を考慮して、外スキン層での無機吸収剤の含有量は、10体積%以下、7体積%以下又は5体積%以下であり、内スキン層での無機吸収剤の含有量は、40体積%以下、30体積%以下、28.8体積%以下、20体積%以下、10体積%以下、7体積%以下又は5体積%以下であることが好ましい。
【0046】
吸収フィルムの厚さは、例えば300μm以下、200μm以下、150μm以下、又は130μm以下であり、また30μm以上、40μm、又は50μm以上である。特に、150μm以下であれば、プッシュスルー性が良好なので、好ましい。
【0047】
吸収層の厚みは、例えば200μm以下、150μm以下、又は100μm以下であり、また20μm以上、30μm以上、又は40μm以上である。
【0048】
内スキン層及び外スキン層の厚さは、例えば30μm以下、20μm以下、又は15μm以下であり、また5μm以上、8μm以上、又は10μm以上である。
【0049】
吸収層単層の吸収フィルムを、無機吸収剤と熱可塑性樹脂とをインフレーション法、Tダイ法、カレンダー法、キャスティング法、プレス成形、押出成形又は射出成形することにより成形することができる。
【0050】
外スキン層、吸収層及び内スキン層を含む吸収フィルムを、多層インフレーション法によって製造することができる。これは複数の押出機によって同時に複数の樹脂をチューブ状に押出して、この中に空気を送って膨らませて、多層フィルムを製造する方法である。このようにして、吸収層とスキン層とを共押出して成形して、吸収フィルムを得ることができる。
【0051】
インフレーション法によって、吸収フィルムを製造する前には、好ましくは熱可塑性樹脂と無機吸収剤とを二軸混練機で加熱混練した後に、ペレット状に加工することで、吸収層用の樹脂組成物(ペレット)を作製する。さらに、上記ペレットと、熱可塑性樹脂のペレットとをドライブレンドすることで、無機吸収剤の含有率を希釈調整してもよい。そして、吸収層用のペレットと、スキン層用の熱可塑性樹脂のペレットを用いて、多層インフレーション法により多層製膜を行うことで吸収フィルムを製造する。吸収層をインフレーション法により製造した後、別途製造したスキン層を熱圧着等によってラミネートして、吸収フィルムを得てもよい。
【0052】
吸収層単層の吸収フィルムをTダイ法によって製造する場合にも、事前に無機吸収剤と熱可塑性樹脂を含むペレットを作製してから、フィルムを成形することができる。この際に、吸収層の一方又は両方の面にスキン層を共押出して、吸収層及びスキン層を含む吸収フィルムを得てもよい。
【0053】
吸収層及びスキン層を、インフレーション法、Tダイ法、カレンダー法、キャスティング法、プレス成形、押出成形又は射出成形することにより、それぞれフィルム状又はシート状に成形し、それらを公知の方法でラミネートすることによって、吸収フィルムを得てもよい。
【0054】
吸収層及びスキン層を含む吸収フィルムを、多層Tダイ法又は多層インフレーション法によって、共押出して成形した場合には、スキン層が溶融した状態で吸収層に接着するため、特に吸収層に起因する表面粗さが吸収フィルムの表面に反映されやすい。したがって、接着樹脂層によって、吸収フィルムの表面粗さを緩衝させる本発明では、共押出によって成形した吸収フィルムを用いた場合に、特に有利となる。
【0055】
〈その他〉
本発明のブリスターパック用の積層体は、上記の層の他に、任意の2つの層の間に、印刷層、2層間の接着を高めるためのアンカーコート層、プライマー層等をさらに有してもよい。
【0056】
《ブリスターパック、及びブリスターパック包装体》
本発明のブリスターパックは、上記のブリスターパック用積層体、及び蓋材を有する。ブリスターパック用積層体と蓋材は、少なくとも部分的に接着する。ブリスターパック用積層体に、錠剤等の内容物を収納するためのポケット部の成形をした後に薬剤をポケット部に収容し、蓋材を接着させて、ブリスターパックのポケット部に内容物を収納したブリスターパック包装体を作製することができる。
【0057】
〈内容物〉
本発明のブリスターパックの内容物としては、外気との接触によって劣化しうる物であれば限定されるものではなく、薬剤の他、食品、化粧品、医療機器、電子部品等を挙げることができる。また、薬剤としては、医薬品製剤の他、洗浄剤、農薬等を含む。
【0058】
〈蓋材〉
蓋材は、ヒートシール層とアルミニウム層とを含む。そのヒートシール層としては、上記のスキン層に使用できる熱可塑性樹脂を用いることができ、好ましくはポリプロピレンを用いることができる。蓋材のヒートシール層と、ブリスターパック用積層体の蓋材と接着する層とは、接着性を高める観点から、互いの樹脂を適宜選択することができる。
【0059】
蓋材のアルミニウム層としては、基材フィルムに関して上述したアルミニウム層と同様のものを使用することができる。好ましくは、蓋材は、アルミニウム箔にヒートシール層であるポリプロピレンがコーティングされた形態である。
【0060】
蓋材を、アルミニウム箔にポリオレフィン系ポリマーアロイ等のイージーピール性樹脂がコーティングされた形態、又はイージーピールフィルムが積層された形態とすることもできる。この場合、ブリスターパックと蓋材とを、接着界面で剥離させることで、内容物を容易に取り出すことができる。
【0061】
図1は、ブリスターパック包装体Aの概略図である。ここでは、順に基材フィルム10、接着樹脂層20及び吸収フィルム30が積層してなるブリスターパック用積層体Bに、蓋材40が接着されており、積層体Bに形成されたドーム状のポケット部に、内容物100が内包されている。
【0062】
図2は、本発明のブリスターパック包装体Aの層構造の概略図である。この図においては、ブリスターパック包装体Aのポケット部が形成されていない端部を示しており、順に、基材層11、アルミニウム層12及び補強層13を含む基材フィルム10、接着樹脂層20、並びに吸収フィルム30が積層されてなるブリスターパック用積層体Bに、蓋材40が接着されている。吸収フィルム30は、外スキン層31、第2の吸収層32、及び内スキン層33から構成され、また蓋材40はヒートシール層41及びアルミニウム層42から構成される。
【実施例】
【0063】
《ブリスターパック用積層体の作製》
〈基材フィルムの作製〉
基材層である25μmのナイロン(Ny)フィルム及びアルミニウム層である40μmのアルミニウム(Al)箔の積層体(AL/AL基材、株式会社UACJ製箔)に、補強層である12μmのポリエチレンテレフタレート(ルミラー12S10、東レ株式会社)を、ドライラミネーター(INVEXパイロットコーター、株式会社テクノスマート)を用いて積層し、基材フィルムを得た。ここで、ドライラミネートの接着剤として、主剤(タケラック(商標)XA1151、三井化学株式会社)と硬化剤(タケネート(商標)A12、三井化学株式会社)とを含むポリウレタン系接着剤を用いて、引取速度10m/minで、厚さ5μmの接着層を形成した。
【0064】
〈吸収フィルムの作製〉
無機吸収剤のゼオライト(モレキュラーシーブ4A、ユニオン昭和株式会社)と、熱可塑性樹脂のLDPE(ペトロセン202、東ソー株式会社)のペレットとを、二軸押出機(PCM70、株式会社池貝)を使用して、混練・ペレット化することで、吸収層用のゼオライト含有率47重量%のペレットを得た。
【0065】
内スキン層及び外スキン層用の樹脂として、LLDPE(エボリューSP2520、株式会社プライムポリマー)のペレットを用意し、上記の吸収層用のペレットと共に、170℃で、引取速度10m/minで、空冷方式インフレーションによる共押出成形によって、吸収フィルムを得た。ここでは、三層インフレーション成形機(TUL−600R、株式会社プラコー)を用いた。また、吸収層の厚さを90μmとし、内スキン層及び外スキン層の厚さを20μmとした。
【0066】
〈接着樹脂層による基材フィルムと吸収フィルムとの接着〉
・比較例1の積層体
基材フィルムの補強層と吸収フィルムの外スキン層とを、ドライラミネートによって接着した。ここでは、ドライラミネーター(INVEXパイロットコーター、株式会社テクノスマート)及び、主剤(タケラック(商標)XA1151、三井化学株式会社)と硬化剤(タケネート(商標)A12、三井化学株式会社)とを含むポリウレタン系接着剤を用いて、引取速度10m/minとして、厚さ5μmの接着層を形成し、比較例1の積層体を得た。
【0067】
・比較例2〜3及び実施例1〜3の積層体
基材フィルムの補強層と吸収フィルムの外スキン層とを、サンドラミネートによって接着樹脂層の厚みを変えて形成して、比較例2〜3及び実施例1〜3の積層体を得た。ここでは、サンドラミネーター(TP45.45 P46010、株式会社プラコー)を用いて、接着樹脂層用のLDPE(サンテック−LD L1850K、旭化成ケミカルズ株式会社)を300℃で溶融させて押し出して、引き取り速度30〜45m/minで積層体を得た。なお、これらを接着させる前には、基材フィルムの補強層にアンカーコート剤(主剤:タケラック(商標)XA1151、三井化学株式会社)/硬化剤:タケネート(商標)A12、三井化学株式会社)を、厚さ1μmで塗布した。
【0068】
《評価》
このようにして得た積層体に、ブリスター成形機で内容物を収容するためのポケット部を成形し、成形不良の発生率を調べた。
【0069】
具体的には、上記の積層体に、室温で深さ5.75mmのポケット部を成形した。成形機は、日本オートマチックマシン株式会社のハイスピード油圧プレス(HYP505H)を用いた。プラグ材質は、(粘度平均分子量550万の超高分子量ポリエチレン樹脂、ニューライト(商標)、作新工業株式会社)であり、プラグ径は13mm、成形速度は200mm/sとした。この試験を10回繰り返して、成形したポケット部に割れやキズ等の外観不良が目視で発生していなかった場合を合格品とし、その個数を調べた。
【0070】
結果を以下に示す。
【表1】
【0071】
この結果から明らかなように、接着樹脂層の厚みを増していくと成形不良の発生が減少し、40μmの厚みで接着樹脂層を用いれば、5.75mmの深さのポケット部を成形しても成形不良の発生がなくなることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の吸収層を用いたブリスターパック用積層体には、深いポケットを成形することができ、それを用いたブリスターパックは、比較的大きな内容物を、長期間安定(変質を抑制)した状態で保管することができる。
【符号の説明】
【0073】
10 基材フィルム
11 基材層
12 アルミニウム層
13 補強層
20 接着樹脂層
30 吸収フィルム
31 外スキン層
32 吸収層
33 スキン層
40 蓋材
41 ヒートシール層
42 アルミニウム層
100 内容物
A ブリスターパック包装体
B ブリスターパック用積層体