特許第6684723号(P6684723)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684723
(24)【登録日】2020年4月1日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】自律型車両
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/10 20120101AFI20200413BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20200413BHJP
   B60T 7/12 20060101ALN20200413BHJP
   G05D 1/02 20200101ALN20200413BHJP
【FI】
   B60W50/10
   G08G1/00 X
   !B60T7/12 F
   !G05D1/02 H
【請求項の数】11
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-563820(P2016-563820)
(86)(22)【出願日】2015年5月22日
(65)【公表番号】特表2017-529269(P2017-529269A)
(43)【公表日】2017年10月5日
(86)【国際出願番号】US2015032171
(87)【国際公開番号】WO2015179760
(87)【国際公開日】20151126
【審査請求日】2016年12月14日
【審判番号】不服2018-14134(P2018-14134/J1)
【審判請求日】2018年10月25日
(31)【優先権主張番号】14/455,215
(32)【優先日】2014年8月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/002,319
(32)【優先日】2014年5月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317015065
【氏名又は名称】ウェイモ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】ネメック,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】アウラ,アン,クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ルー,デイヴィッド,ツェ−ゾウ
(72)【発明者】
【氏名】カリナン,ブライアン,ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,カルバン,カール
(72)【発明者】
【氏名】シェーン,アルバート
(72)【発明者】
【氏名】ラドウィック,クリストファー,ケネディ
(72)【発明者】
【氏名】アン,ユジョン
【合議体】
【審判長】 金澤 俊郎
【審判官】 水野 治彦
【審判官】 鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−208497(JP,A)
【文献】 特開2003−205807(JP,A)
【文献】 特開2003−195941(JP,A)
【文献】 特開2002−178795(JP,A)
【文献】 特開昭60−202621(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/158347(WO,A1)
【文献】 特開2014−19301(JP,A)
【文献】 特開2011−226441(JP,A)
【文献】 特開平5−77679(JP,A)
【文献】 特開2005−297764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W10/00-50/16
G08G1/00-99/00
B60R16/00-16/08
B62D6/00-6/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客を自律的に目的地に誘導する車両であって、
1つ以上の演算装置と、
前記車両を停止し、前記目的地への走行を開始するリクエストを前記1つ以上の演算装置と通信するように構成されたユーザ入力ボタンのセットとを備え、前記ユーザ入力ボタンのセットは、
前記目的地への走行を開始するリクエストを通信する第1目的と、前記車両を寄せて停止するリクエストを通信する第2目的とを有する二重目的ボタンであって、前記第2目的は、前記二重目的ボタンが第1目的に応じて始動された後に動作可能になる、二重目的ボタンと、
前記二重目的ボタンとは異なる、車両を停止させるように構成された緊急停止ボタンとを備え、
前記二重目的ボタンは、2つのアクティブ状態を有するように構成され、
前記2つのアクティブ状態の1つ目は、前記ボタンが前記第2目的でなく前記第1目的のために動作可能であることを特定する表示情報を含み、前記2つのアクティブ状態の2つ目は、前記ボタンが前記第1目的でなく前記第2目的のために動作可能であることを特定する表示情報を含む、車両。
【請求項2】
前記二重目的ボタンは、前記1つ以上の演算装置が走行開始の準備ができていない時の非アクティブ状態を有するように構成される、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記二重目的ボタンは、前記1つ以上の演算装置が走行開始の準備ができると、前記二重目的ボタンが操作されることなく、前記2つのアクティブ状態の前記1つ目に変わる、請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記1つ以上の演算装置とクライアント演算装置との間で通信するように構成された1つ以上の短距離ワイヤレスネットワーク接続をさらに備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両。
【請求項5】
前記1つ以上の演算装置とサーバ演算装置との間で通信するように構成された1つ以上のワイヤレスネットワーク接続をさらに備え、
前記ワイヤレスネットワーク接続により、前記サーバ演算装置に、クライアント演算装置から受け付けた情報を前記1つ以上の演算装置に中継させる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両。
【請求項6】
ユーザ入力を前記1つ以上の演算装置に提供するように構成されたマイクをさらに備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両。
【請求項7】
前記車両の駆動系は、ハンドル、減速ペダル、又は加速ペダルを含まない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両。
【請求項8】
前記車両は、前記ユーザ入力ボタンのセット以外に、車両の操舵、加速、及び減速のためのユーザ入力を含まない、請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両。
【請求項9】
前記1つ以上の演算装置は、前記車両の走行開始の準備ができていない時、前記二重目的ボタンを非アクティブ状態に維持するように構成される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の車両。
【請求項10】
前記緊急停止ボタンは、乗客に前記緊急停止ボタンを始動させるために、第1位置に移動するように構成されたカバーを備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載の車両。
【請求項11】
前記緊急停止ボタンは、前記カバーが前記第1位置にある時、前記緊急停止ボタンを始動するよう引き上げられるように構成される、請求項10に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2014年5月23日出願の米国仮特許出願第62/002,319号の出願日の優先権を主張する2014年8月8日出願の米国特許出願第14/455,215号の継続出願であり、その開示が参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 1つの場所から他の場所に乗客又は物品を搬送する際の助けとして、人間のドライバを必要としない車両等、自律車両を使用することができる。このような車両は、乗客が目的地等、何らかの初期入力と乗客自身の目的地までの車両誘導とを提供してもよい場合、完全自律モードで動作してもよい。
【発明の概要】
【0003】
[0003] 本開示の一態様は、乗客を目的地まで自律的に誘導する車両を提供する。この車両は、1つ以上の演算装置と、車両を停止し、目的地までの走行を開始するリクエストを1つ以上の演算装置と通信するように構成されたユーザ入力ボタンのセットとを備える。このユーザ入力ボタンのセットは、基本的に、(1)目的地までの走行を開始するリクエストを通信する第1目的と、車両を寄せて停車させるリクエストを通信する第2目的とを有する二重目的ボタンと、(2)二重目的ボタンとは異なる、車両を停止させるように構成された緊急停止ボタンとからなる。
【0004】
[0004] 一例において、この車両は、1つ以上の演算装置とクライアント演算装置との間で通信を行うように構成された1つ以上の短距離ワイヤレスネットワーク接続も備える。他の例において、この車両は、1つ以上の演算装置とサーバ演算装置との間で通信を行う1つ以上のワイヤレスネットワーク接続も備える。ワイヤレスネットワーク接続により、サーバ演算装置に、クライアント演算装置から受け付けた情報を1つ以上の演算装置に中継させる。他の例において、この車両は、1つ以上の演算装置にユーザ入力を提供するように構成されたマイクも備える。他の例において、第2目的は、二重目的ボタンが第1目的に応じて始動された後にのみ利用可能となる。他の例において、この車両は、ハンドル、減速ペダル、又は加速ペダルを含まない駆動系も備える。他の例において、この車両は、ユーザボタンのセット以外に、車両の操舵、加速、及び減速のためのユーザ入力を備えない。他の例において、二重目的ボタンは、1つ以上の演算装置が走行開始の準備ができてない時の非アクティブ状態を有するように構成される。他の例において、二重目的ボタンは、2つのアクティブ状態を有するように構成される。2つのアクティブ状態の1つ目は、ボタンが第2目的でなく第1目的のために動作可能であることを特定する表示情報を含み、2つのアクティブ状態の2つ目は、ボタンが第1目的でなく第2目的のために動作可能であることを特定する表示情報を含む。他の例において、1つ以上の演算装置は、二重目的ボタンを、車両の走行開始の準備ができていない時の非アクティブ状態に維持するように構成される。他の例において、緊急停止ボタンは、乗客に緊急停止ボタンを始動させるため、第1位置に移動されるカバーを備える。この例において、緊急停止ボタンは、カバーが第1位置にある時、緊急停止ボタンを始動するように引き上げられるように構成される。
【0005】
[0005] 本開示の他の態様は、乗客を自律的に目的地に誘導する車両を提供する。この車両は、1つ以上の演算装置と、この車両を停止して目的地への走行を開始するリクエストを1つ以上の演算装置と通信するように構成されるユーザ入力ボタンのセットとを備える。ユーザ入力ボタンのセットは、基本的に、目的地までの走行を開始するリクエストを通信するように構成された第1ボタンと、第1期間内に車両を停止させるリクエストを通信するように構成された第2ボタンと、第1ボタン及び第2ボタンと異なる第3ボタンとからなる。第3ボタンは、第1期間より短い第2期間内に、緊急停止を開始するリクエストを通信するように構成される。
【0006】
[0006] 本例において、第1ボタンは、目的地までの走行を開始するリクエストを通信するアクティブ状態と非アクティブ状態とを有するように構成され、第2ボタンは、第1期間内に車両を停止するリクエストを通信するアクティブ状態と非アクティブ状態とを有するように構成される。第1ボタンのアクティブ状態は、第2ボタンが非アクティブ状態にある時のみ利用可能である。本例において、1つ以上の演算装置は、車両の走行開始の準備ができていない時、第1ボタンを非アクティブ状態に維持するように構成される。追加又は代替として、1つ以上の演算装置は、走行が開始されるまで、第2ボタンを非アクティブ状態に維持するように構成される。他の例において、第2ボタンが始動されると、1つ以上の演算装置は、乗客に車両を停止するリクエストをキャンセルさせるカウントダウンを開始し、カウントダウンが終了すると、第1期間内に車両を停止する位置を特定するように構成される。他の例において、第2ボタンが始動されると、1つ以上の演算装置は、第1期間内に車両を停止し、第1ボタンをアクティブ状態にし、第2ボタンを非アクティブ状態にするように構成される。他の例において、第3ボタンが始動されると、1つ以上の演算装置は、第2期間内に車両を停止し、車両が停止すると、第1ボタン及び第2ボタンの双方を非アクティブ状態にするように構成される。
【0007】
[0007] 本開示のさらに他の態様は、乗客を自律的に目的地に誘導する車両を提供する。この車両は、駆動系と、駆動系を自律的に制御するように構成された1つ以上の演算装置と、1つ以上の演算装置に車両を目的地まで自律的に制御させるリクエストを開始するため、1つ以上の演算装置と通信するように構成されたユーザ入力のセットとを備える。この車両は、乗客が駆動系を介して車両の操舵、加速、又は減速の少なくとも1つを直接制御する駆動モードを可能にするユーザ制御操舵機構、加速制御、又は減速制御を備えない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】[0008] 例示的実施形態に係る車両の一例の機能図である。
図2】[0009] 例示的実施形態に係るシステムの一例の機能図である。
図3】[0010] 本開示の態様に係る図2のシステムの絵図である。
図4A】[0011] 本開示の態様に係る車両の一例の外観図である。
図4B】[0011] 本開示の態様に係る車両の一例の外観図である。
図4C】[0011] 本開示の態様に係る車両の一例の外観図である。
図4D】[0011] 本開示の態様に係る車両の一例の外観図である。
図5】[0012] 本開示の態様に係る車両の一例の内面図である。
図6】[0013] 本開示の態様に係る車両のコンソールの一例である。
図7A】[0014] 本開示の態様に係る車両の緊急停止ボタンの一例である。
図7B】[0014] 本開示の態様に係る車両の緊急停止ボタンの一例である。
図7C】[0014] 本開示の態様に係る車両の緊急停止ボタンの一例である。
図8】[0015] 本開示の態様に係る車両のボタンの3つの異なる状態の一例である。
図9A】[0016] 本開示の態様に係るフロー図の一例である。
図9B】[0016] 本開示の態様に係るフロー図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0017] 本技術は、例えば走行により、乗客を自律的に目的地に誘導する車両に関連する。この車両は、このような走行を開始及び終了するための種々のユーザ入力を備えてもよい。一例において、この車両は、走行を開始し、車両を寄せて停車、又は緊急停止を開始するため、乗客から車両のコンピュータにリクエストを通信するのに使用可能な種々のボタンを備えてもよい。従って、これらのボタンは、ハンドル、ブレーキ又は加速ペダル、若しくは乗客に、車両の駆動系との直接通信と、車両の操舵、加速、又は制動への直接制御を与える入力等、通常の車両入力の必要性を未然に防いでもよい。
【0010】
[0018] 一例において、このボタンは、多目的ボタンを含んでもよい。多目的ボタンは、異なる始動状態を備えた複数の異なる状態を有してもよい。例えば、ドアが開放されている時、又はシートベルトが締められていない時等、車両の走行開始準備ができていない第1状態において、ボタンは機能を有さないか、又は非アクティブであってもよい。一旦車両が走行を始める準備ができると、ボタンは第2状態に切り替わってもよい。この第2状態において、ボタンを使用して、目的地への走行を始めるリクエストを乗客から車両のコンピュータに通信してもよい。一旦走行が始まると、ボタンは第3状態に切り替わってもよい。この第3状態において、ボタンを使用して、車両を寄せて停車するリクエストを乗客から車両のコンピュータに通信してもよい。車両が停止するか、又は寄せられた時、ボタンは、状況に応じて第1状態又は第2状態に復帰してもよい。これらの状態を差別化するために、ボタンは、ボタンの現在の状態を示す情報をユーザに表示してもよい。
【0011】
[0019] 或いは、上述の単一の多目的ボタンの代わりに、異なる始動状態を備えた2つのボタンが使用されてもよい。例えば、双方のボタンは、ドアが開放されている時、又はシートベルトが締められていない時等、車両の走行開始の準備ができていない場合、最初に非アクティブとなってもよい。一旦車両の走行開始準備ができると、ボタンのうちの1つのみ(第1ボタン)は、第1ボタンを使用して、目的地までの走行を開始するリクエストを乗客から車両のコンピュータに通信してもよいアクティブ状態に切り替わってもよい。第2ボタンは、車両が走行を開始するまで、非アクティブのままであってもよい。この時点で、第1ボタンは再び非アクティブとなってもよく、第2ボタンは、第2ボタンを使用して、車両を寄せて停車するリクエストを乗客から車両のコンピュータに通信するアクティブ状態に切り替わってもよい。この点に関して、ボタンのうちの1つのみを乗客によって同時に使用可能とする。車両が停止するか、又は寄せて停車された時、第2ボタンが非アクティブ状態に変化してもよく、第1ボタンが状況に応じてアクティブ状態又は非アクティブ状態に変化してもよい。再び、状態を差別化するために、ボタンは、ボタンの現在の状態を示す情報をユーザに表示してもよい。
【0012】
[0020] 車両のコンピュータは、上述のボタンのいずれかを介した車両を寄せて停車するリクエストに応じて、乗客にリクエストをキャンセルする機会を与えてもよい。例えば、短期間の間に、又は車両が物理的に寄せ始められるまでに、そのボタンを2回押下することにより、リクエストがキャンセルされてもよい。必要なわけでないが、乗客にそれを行う時間を通知するために、カウントダウンが使用されてもよい。カウントダウンが一旦ゼロに達すると、車両のコンピュータは、車両を停止したり、且つ/又は、車両を寄せる合理的な場所を探し始めてもよい。
【0013】
[0021] 車両のコンピュータは、車両を安全に寄せて停車するため、車両を寄せて停車するオープンスペースを探してもよい。10秒前後等の短期間中、又は短距離で利用可能なオープンスペースがなかった場合、車両のコンピュータは、車両を現在の車線又は可能な限り右側に停止させるか、車両が安全でない場所にない限り、必要に応じて車線を変えてもよい。安全でない場所の例として、線路、交差点、混雑した通り等が含まれてもよく、例えば、センサデータと事前に記憶されたマップ情報との組み合わせに基づいて特定されてもよい。車両が安全でない場所にある場合、車両のコンピュータは、短期間を過ぎても車両を寄せて停車するオープンスペースを探し続けてもよい。必要であれば、車両は車線の真ん中に単に停止してもよい。
【0014】
[0022] ボタンには、緊急停止を開始するリクエストを乗客から車両のコンピュータに通信する緊急停止ボタンも含まれてよい。このような停止が開始されると、車両のコンピュータは、車両の速度及び制動力、又は車両の背後の他の対象(他の車両等)の速度及び距離に応じて、3秒前後等の非常に短い期間、車両を停止してもよい。車両のコンピュータは、緊急停止ボタンが始動され、助けが求められたこと(コンシェルジュ又は緊急対応センターのいずれか、例えば、911コールセンター)を示す通知を乗客に表示してもよい。緊急停止ボタンが使用された時、車両のコンピュータは、乗客が、コンシェルジュのアシスタントが全くなく新たに走行を開始することを防いでもよい。従って、車両のコンピュータは、その他のボタンの状態を非アクティブ状態に変更してもよい。
【0015】
[0023] 上述の緊急停止の性質を前提として、緊急停止ボタンは、ボタンの偶発的使用の可能性を減らすように構成されてもよい。例えば、緊急停止ボタンは、単一のプッシュボタン始動でなく、乗客が緊急停止ボタンを引っ張り上げることを必要としてもよい。ボタン間で差別化するため、緊急停止ボタンは、赤等、他のボタンと異なる色であってもよく、乗客に緊急停止ボタンの目的を示すために、「即時停止−緊急」等の警告型テキストを含んでもよい。また緊急停止ボタンは、2名以上の乗客が必要な時にこのボタンを始動するため、配置されてもよい。この点に関して、3名以上の乗客が着席している等、すべての乗客が緊急停止ボタンを使用できるように、1つの車両において2つ以上の緊急停止ボタンが使用されてもよい。
【0016】
[0024] 緊急停止ボタンは、乗客が緊急停止ボタンを始動できるようになる前に、まず取り除かれ、持ち上げられ、変位されなければならないカバーも含んでよい。一例において、カバーは、フリップアップカバーであってもよい。フリップアップカバーは、フリップアップカバーの閉鎖を減速する減衰器を備えたばね負荷カバーであってもよい。他の例として、カバーは、緊急ボタン上からスライドして外されてもよい。カバーは、乗客に緊急停止ボタンを見せて、ボタンのテキストを読ませるように、透明プラスチックで作成されてもよい。フリップアップカバーとプルアップボタンとの組み合わせは簡易で、使用が簡単であるが、緊急停止ボタンの偶発的始動の可能性も低減する。
【0017】
[0025] 上述のボタンに加え、車両は、マイク又はカメラ(コンシェルジュとの通信用)及び/又は1つ以上のワイヤレスネットワーク接続等、ユーザ入力を提供する他の手段も備えてよい。一例において、ワイヤレスネットワーク接続は、乗客のクライアント演算装置と車両のコンピュータとの間の情報の通信を行う短距離ワイヤレスネットワーク接続を備えてもよい。またワイヤレスネットワーク接続により、車両のコンピュータとサーバ演算装置との間の通信を可能にしてもよい。この点に関して、サーバ演算装置は、乗客のクライアント演算装置から受け付けた情報を車両のコンピュータに中継してもよい。
【0018】
[0026] 図1に示す通り、本開示の一態様に係る車両100は、種々の要素を備える。本開示の特定の態様は、特定種別の車両とともに特に有用であり、車両は、乗用車、トラック、バイク、バス、レジャー用車両等を含むがこれに限定されない任意の種別の車両であってもよい。車両は、1つ以上のプロセッサ120、メモリ130、及び汎用演算装置に通常存在するその他の要素を含む演算装置110等、1つ以上の演算装置を有してもよい。
【0019】
[0027] メモリ130は、プロセッサ120によって実行又は使用されてもよい指示132及びデータ134を含む、1つ以上のプロセッサ120によってアクセス可能な情報を記憶する。メモリ130は、ハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD、又はその他の光学ディスク等の電子装置の補助で読み込まれてもよいデータを記憶する演算装置可読媒体、又はその他の媒体を含む、プロセッサによってアクセス可能な情報を記憶可能なあらゆる種別のメモリであってもよい。システム及び方法は、前述と異なる組み合わせを含んでもよく、指示及びデータの異なる部分が異なる種別の媒体に記憶される。
【0020】
[0028] 指示132は、プロセッサによって直接(機械コード等)又は間接(スクリプト等)実行される指示の任意のセットであってもよい。例えば、指示は、演算装置可読媒体上に演算装置コードとして記憶されてもよい。この点に関して、「指示」及び「プログラム」という用語は、本明細書中、相互に交換可能に使用されてもよい。指示は、プロセッサによる直接処理のために対象コード形式で記憶されるか、オンデマンドで翻訳されるか、予めコンパイルされる独立ソースコードモジュールのスクリプト又はコレクションを含むその他任意の演算装置言語で記憶されてもよい。指示の機能、方法、及びルーチンは、以下に詳述する。
【0021】
[0029] データ134は、指示132に応じて、プロセッサ120によって検索、記憶、又は修正されてもよい。例えば、クレームの主題は任意の特定のデータ構造に限定されるものでないが、データは、複数の異なるフィールド及びレコードを有するテーブル、XML文書、又はフラットファイルとして、関係データベースで演算装置レジスタに記憶されてもよい。データはまた、演算装置可読形式でフォーマットされてもよい。
【0022】
[0030] 1つ以上のプロセッサ120は、市販のCPU等、任意の従来のプロセッサであってもよい。或いは、1つ以上のプロセッサは、ASIC等の専用装置であるか、その他のハードウェアベースプロセッサであってもよい。図1は、プロセッサ、メモリ、及び演算装置110のその他の要素を同一のブロック内にあるものとして機能的に示しているが、当業者は、プロセッサ、演算装置、又はメモリが、実際には、同一の物理的ハウジング内に収容されてもされなくてもよい複数のプロセッサ、演算装置、又はメモリを含んでもよいことを理解するであろう。例えば、メモリは、演算装置110とは異なるハウジングに配置されたハードドライブ又はその他の記憶媒体であってもよい。従って、プロセッサ又は演算装置の参照は、並列に動作してもしなくてもよいプロセッサ、演算装置、又はメモリのコレクションの参照を含むことを理解するであろう。
【0023】
[0031] 演算装置110は、上述のプロセッサ及びメモリと、ユーザ入力150(例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーン、及び/又はマイク)と、種々の電子ディスプレイ(例えば、スクリーンを有するモニタ、又は情報を表示するよう動作可能なその他任意の電気装置)等のすべての要素は、演算装置とともに正常使用される。本例において、車両は、情報又は視聴覚体験を提供するため、内部電子ディスプレイ152と、1つ以上のスピーカ154とを備える。この点に関して、内部電子ディスプレイ152は、車両100の車内に配置されてもよく、演算装置110によって使用され、車両100内の乗客に情報を提供してもよい。
【0024】
[0032] 演算装置110は、以下に詳述するクライアント演算装置及びサーバ演算装置等、その他の演算装置との通信を促進する1つ以上のワイヤレスネットワーク接続154も備えてよい。ワイヤレスネットワーク接続には、Bluetooth、Bluetooth low energy(LE)、セルラー接続等の短距離通信プロトコル、インターネット、ワールドワイドウェブ、イントラネット、仮想プライベートネットワーク、広域ネットワーク、ローカルネットワーク、1つ以上の会社の専有通信プロトコルを使用したプライベートネットワーク、イーサネット、WiFi、及びHTTP等を含む種々の構成及びプロトコル、及び以上に述べたものの種々の組み合わせが含まれてもよい。
【0025】
[0033] 一例において、演算装置110は、車両100に組み込まれた自律型運転演算システムであってもよい。自律型運転演算システムは、車両の種々の要素と通信可能であってもよい。例えば、図1に戻ると、演算装置110は、メモリ130の指示134に応じて、車両100の移動、速度等を制御するために、減速システム160、加速システム162、操舵システム164、信号送信システム166、ナビゲーションシステム168、位置判定システム170、及び検出システム172等、車両100の種々のシステムと通信中であってもよい。またこれらのシステムは、演算装置110の外部に示されているが、実際には、これらのシステムもまた車両100を制御する自律型運転演算システムとして、演算装置110に組み込まれてもよい。
【0026】
[0034] 一例として、演算装置110は、車両の速度を制御するため、減速システム160及び加速システム162と相互作用してもよい。同様に、操舵システム164は、車両100の方向を制御するため、コンピュータ110によって使用されてもよい。例えば、車両100が道路上で使用されるように構成される、乗用車又はトラック等である場合、操舵システムは、車両の方向転換をさせるため、ホイールの角度を制御する要素を備えてもよい。信号送信システム166は、例えば、必要に応じて方向指示器又はブレーキライトを点灯させることにより、他のドライバ又は車両にその車両の意図を信号送信するため、演算装置110によって使用されてもよい。
【0027】
[0035] ナビゲーションシステム168は、ある場所へのルートの判定及び追従のため、演算装置110によって使用されてもよい。この点に関して、ナビゲーションシステム168及び/又はデータ134は、例えば、道路の形状及び昇降、車線、交差点、横断歩道、速度制限、信号、建造物、標識、リアルタイム交通情報、植生、又はその他の対象及び情報を特定する高度に詳細なマップ等、詳細マップ情報を記憶してもよい。
【0028】
[0036] 位置判定システム170は、マップ上又は地球上における車両の相対位置又は絶対位置を判定するため、演算装置110によって使用されてもよい。例えば、位置システム170は、装置の緯度、経度、及び/又は、高度位置を判定するため、GPS受信機を備えてもよい。レーザーベース位置推定システム、慣性援用GPS、又はカメラベース位置推定等、その他の位置システムを使用して、車両の位置を特定してもよい。車両の位置には、緯度、経度、及び高度等の絶対的地理位置と、多くの場合、絶対的地理位置に比べて少ないノイズで判定を行うことのできる、車両のすぐ周辺の他の車両に対する位置等の相対位置情報とが含まれてもよい。
【0029】
[0037] 位置判定システム170は、車両の方向及び速度又はその変化を判定する加速度測定器、ジャイロスコープ、又はその他の方向/速度検出装置等、演算装置110と通信するその他の装置も備えてよい。単なる例示であるが、加速装置は、重心方向又はその直交面に対するそのピッチ、ヨー、又はロール(又はそれらの変化)を判定してもよい。装置はまた、スピードの増減と、そのような変化の方向とを追跡してもよい。本明細書に記載した装置による位置及び方角データは、演算装置110、その他の演算装置、又は以上の組み合わせに対して自動的に提供されてもよい。
【0030】
[0038] 検出システム172は、その他の車両、道路の障害物、交通信号、標識、樹木等、車両の外部の対象を検出する1つ以上の要素も備える。例えば、検出システム170は、演算装置110によって処理されてもよいデータを記録するレーザー、ソナー、レーダー、カメラ、及び/又は、その他の検出装置を備えてもよい。車両が乗用車等の小さな乗客用車両である場合、この乗用車は、ルーフ上又はその他の便利な位置に搭載されたレーザー又はその他のセンサを備えてもよい。
【0031】
[0039] 演算装置110は、種々の要素を制御することにより、車両の方向及び速度を制御してもよい。例示として、演算装置110は、詳細マップ情報及びナビゲーションシステム168からのデータを使用して、車両を目的地の位置まで完全に自律的に案内してもよい。コンピュータ110は、位置判定システム170を使用して車両の位置を判定し、検出システム172を使用して、その位置まで安全に到達するのに必要であれば、対象の検出及び対応を行ってもよい。このために、コンピュータ110は、車両を(例えば、加速システム162により、エンジンに提供される燃料又はその他のエネルギーを増加させることで)加速し、(例えば、減速システム160により、エンジンに供給する燃料を減少させるか、ギアを変えるか、且つ/又は、ブレーキを掛けることで)減速し、(例えば、操舵システム164により、車両100のフロントホイール又はリアホイールを旋回させることで)方向転換し、(例えば、信号送信システム166の方向指示器を点灯させることで)このような変更の信号送信を行わせてもよい。従って、加速システム162及び減速システム162は、車両のエンジンと車両のホイールとの間に種々の要素を備えた駆動系の一部であってもよい。またコンピュータ110は、このようなシステムを制御することにより、車両を自律的に誘導するために、車両の駆動系も制御してよい。
【0032】
[0040] 車両100の演算装置110はまた、その他の演算装置と情報の送受信を行ってもよい。図2及び図3は、各々、複数の演算装置210、220、230、及び240と、ネットワーク260を介して接続された記憶システム250とを備えるシステム200の一例の絵図及び機能図である。システム200はまた、車両100と、車両100と同様に構成されてもよい車両100Aとも備える。簡易化のため数台の車両と演算装置のみを示しているが、通常のシステムはこれより非常に多い数の車両及び演算装置を含んでもよい。
【0033】
[0041] 図3に示す通り、演算装置210、220、230、及び240は、各々、1つ以上のプロセッサ、メモリ、データ、及び指示を備えてもよい。このようなプロセッサ、メモリ、データ、及び指示は、演算装置110の1つ以上のプロセッサ120、メモリ130、データ132、及び指示134と同様に構成されてもよい。
【0034】
[0042] ネットワーク260と介在ノードには、Bluetooth、Bluetooth LE、インターネット、ワールドワイドウェブ、イントラネット、仮想プライベートネットワーク、広域ネットワーク、ローカルネットワーク、1つ以上の会社の専有通信プロトコルを使用したプライベートネットワーク、イーサネット、WiFi、及びHTTP等の短距離通信プロトコルを含む種々の構成及びプロトコル、及び以上に述べたものの種々の組み合わせが含まれてもよい。このような通信は、モデム及びワイヤレスインタフェース等、その他の演算装置との間でデータを送信可能な任意の装置によって促進されてもよい。
【0035】
[0043] 一例において、1つ以上の演算装置110は、データを受信し、処理し、その他の演算装置との間でデータを送信し合う目的で、ネットワークの異なるノードで情報を交換する、例えば、ロードバランスサーバファーム等、複数の演算装置を有するサーバを備えてもよい。例えば、1つ以上の演算装置210は、ネットワーク260を介して、車両100の演算装置110又は車両100Aの同様の演算装置、演算装置220、230、及び240と通信可能な1つ以上のサーバ演算装置を備えてもよい。例えば、車両100及び100Aは、サーバ演算装置によって種々の位置に送り込むことのできるすべての車両の一部であってもよい。この点に関して、すべての車両のうちこれらの車両が、車両の各位置判定システムによって提供されるサーバ演算装置の位置情報を定期的に送ってもよく、1つ以上のサーバ演算装置は、車両の位置を追跡してもよい。
【0036】
[0044] またサーバ演算装置210は、ネットワーク260を使用して、演算装置220、230、及び240のディスプレイ224、234、及び242等、ディスプレイ上でユーザ222、232、及び242等のユーザに情報を送信及び提示してもよい。この点に関して、演算装置220、230、及び240は、クライアント演算装置とみなされてもよい。
【0037】
[0045] 図3に示す通り、クライアント演算装置220、230、及び240は、各々、ユーザ222、232、及び242による使用を目的としたパーソナル演算装置であってもよく、1つ以上のプロセッサ(例えば、中央処理装置(CPU))、データ及び指示を記憶するメモリ(例えば、RAM及び内部ハードドライブ)、ディスプレイ224、234、及び244等のディスプレイ(例えば、スクリーンを有するモニタ、タッチスクリーン、プロジェクタ、テレビ、又は情報を表示するよう動作可能なその他の装置)、及びユーザ入力装置226、236、及び246(例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーン、又はマイク)を含むパーソナル演算装置とともに通常使用する要素のすべてを有してもよい。クライアント演算装置はまた、ビデオストリームを記録するカメラ、スピーカ、ネットワークインタフェースデバイス、及びこれらの要素を互いに接続するのに使用される要素のすべても備えてよい。
【0038】
[0046] またクライアント演算装置220及び230は、クライアント演算装置の位置及び方角を判定する要素228及び238も備えてよい。例えば、これらの要素は、装置の緯度、経度、及び/又は高度を判定するGPS受信機と、車両100の位置判定システム170に関連して上述した加速度測定器、ジャイロスコープ、又はその他の方向/速度検出装置とを備えてもよい。
【0039】
[0047] クライアント演算装置220、230、及び240は、各々、フルサイズのパーソナル演算装置を備えてもよく、或いはインターネット等のネットワークを通じて無線でサーバとデータを交換可能な携帯演算装置を備えてもよい。単なる例示として、クライアント演算装置220は、携帯電話、又は無線機器対応PDA、タブレットPC、ウェアラブル演算装置又はシステム、又はインターネット又はその他のネットワークを介して情報を得ることのできるネットブック等の装置であってもよい。その他の例において、クライアント演算装置230は、図2にヘッドマウント演算システムとして示す、ウェアラブル演算システムであってもよい。一例として、ユーザは、小型のキーボード、キーパッド、マイク、カメラによる可視信号の使用、又はタッチスクリーンを使用して情報を入力してもよい。
【0040】
[0048] いくつかの例において、クライアント演算装置240は、コンシェルジュサービスをユーザ222及び232等のユーザに提供するため、管理人によって使用されるコンシェルジュワークステーションであってもよい。例えば、コンシェルジュ242は、以下さらに詳述する、車両100及び100Aの安全動作とユーザの安全とを促進するため、各クライアント演算装置又は車両100又は100Aを通じ、電話通話又は音声接続を介してユーザと通信するコンシェルジュワークステーション240を使用してもよい。図2及び図3には単一のコンシェルジュワークステーション240のみを示しているが、任意の数のワークステーションが通常のシステムに含まれてもよい。
【0041】
[0049] 記憶システム250は、以下に詳述する種々の情報を記憶してもよい。この情報は、本明細書に記載の特徴の一部又はすべてを実施するため、1つ以上のサーバ演算装置210等、サーバ演算装置によって検索又はアクセスしてもよい。例えば、この情報には、1つ以上のサーバ演算装置にユーザを特定するために使用可能な認証情報等(例えば、伝統的な単一ファクター認証の場合はユーザ名及びパスワード、ランダム識別子、生体認証等、マルチファクター認証で通常使用される他のタイプの認証情報)、ユーザアカウント情報が含まれてもよい。ユーザアカウント情報には、ユーザ名、コンタクト情報、ユーザクライアント演算装置(又は、同一のユーザアカウントで複数の装置を使用する場合の装置)の特定情報と、1つ以上のユーザ独自の信号等、個人情報も含んでよい。
【0042】
[0050] 記憶システム250は、位置間のルートを生成及び評価するルーティングデータも記憶してよい。例えば、ルーティング情報を使用して、第1位置の車両が第2位置に到着するのにどれくらいかかるかを推定してもよい。この点に関して、ルーティング情報には、必ずしも上述の詳細マップ情報程具体的でなくてもよいが、道路を含むマップ情報と、方向(一方通行、二方向等)、方角(北、南等)、速度制限、期待される交通条件を特定する交通情報等、これらの道路についての情報とが含まれてもよい。
【0043】
[0051] メモリ130と同様、記憶システム250は、ハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD、CD−ROM、書き込み可能メモリ、及びリードオンリーメモリ等、サーバ演算装置210によってアクセス可能な情報を記憶可能な任意の種別のコンピュータ制御記憶部とすることができる。また記憶システム250には、同一又は異なる地理的位置に物理的に配置されてもよい複数の異なる記憶装置にデータが記憶される、分散型記憶システムが含まれてもよい。記憶システム150は、図2に示すようなネットワーク260を介して演算装置に接続されてもよく、且つ/又は、演算装置110、210、220、230、及び240のいずれかに直接接続又は組み込まれてもよい。
【0044】
[0052] 図4A〜4Dは、車両100の外観図の例である。見てわかる通り、車両100は、ヘッドライト402、フロントガラス403、テール/方向指示ライト404、リアフロントガラス405、ドア406、サイドミラー408、タイヤ及びホイール410、及び方向指示/駐車ライト412等、通常車両の多くの特徴を備える。ヘッドライト402、テール/方向指示ライト404、及び方向指示/駐車ライト412は、信号送信システム166と関連付けられてもよい。ライトバー407も、信号送信システム166と関連付けられてもよい。
【0045】
[0053] 車両100は、検出システム172のセンサも備える。例えば、ハウジング414は、360°以下の視野を有する1つ以上のレーザー装置と、1つ以上のカメラ装置とを備えてもよい。ハウジング416及び418は、例えば、1つ以上のレーダー及び/又はソナー装置を備えてもよい。検出システムの装置は、テールライト404及び/又はサイドミラー408等の通常の車両要素に組み込まれてもよい。このようなレーダー装置、カメラ装置、及びレーザー装置は、各々、検出システム172の一部としてのこれらのデバイスからのデータを処理し、センサデータを演算装置110に提供する処理要素と関連付けられてもよい。
【0046】
[0054] 図5は、ドア406を開放した車両100の一例としての内面図である。本例において、間にコンソール504を備えた乗客用の2つのシート502が設けられる。ストレージビン領域508と内部電子ディスプレイ152とを有するダッシュボード構成506がシート502のすぐ前方に設けられる。容易に見て取れるように、車両100は、乗客が、駆動系を介して車両の操舵、加速、及び/又は、減速を直接制御する半自律型又は手動運転モードを可能にするような、ハンドル、アクセル(加速)ペダル、又はブレーキ(減速)ペダルを備えていない。代わりに、以下に詳細に説明の通り、ユーザ入力は、ユーザ入力150(図示せず)のマイク、コンソール504の特徴、及びワイヤレスネットワーク接続156に限定される。この点に関して、内部電子ディスプレイ152は、乗客に情報提供のみを行うものであり、タッチスクリーン又はその他のユーザ入力用インタフェースを備える必要がない。他の実施形態において、内部電子ディスプレイ152は、タッチスクリーン、又は目的地等、乗客に情報を入力させるその他のユーザ入力装置を備えてもよい。
【0047】
[0055] 内部電子ディスプレイ152は、ディスプレイの幅が長さより著しく短い略矩形を有する。内部電子ディスプレイ152は、反射防止コーティングを備えてもよく、乗客がシート502のいずれかに着席した時、乗客の目の高さに合わせるように、ストレージビン領域508の上方に据え付けられる。ユーザ入力150のマイクは、内部電子ディスプレイ152の頂上部中央の小さな開口の後方に配置されてもよい。
【0048】
[0056] ストレージビン領域508は、ショッピングバッグ、財布、バックパック等、物品を保持するように構成されてもよい。ストレージビンの深さは、車両100の急減速又は急加速時、より大きな対象がストレージビン領域から飛び出しにくくなるように構成されてもよい。いくつかの例において、弾性ストラップを使用して、ストレージビン領域内の物品をさらに固定してもよい。ストレージビン領域508は、シート502に着席した乗客のフットレストとして二重目的を果たしてもよい。
【0049】
[0057] 図6は、コンソール504の上面図である。コンソール504は、車両100の特徴を制御する種々のボタンを備える。例えば、コンソール504は、ドア406をロック及びロック解除するボタン602、ドア406の窓を昇降させるボタン604、車両の内側ライトを点灯するボタン606、シート502の暖房機能を制御するボタン608、スピーカ154のボリュームを制御するボタン610等、通常の車両に見出されてもよいボタンを備える。
【0050】
[0058] またコンソール504は、ワイヤレスネットワーク接続156の1つを介したコンシェルジュ242との通信を開始するボタン611も備える。コンシェルジュワークステーションが一旦車両と接続された場合、コンシェルジュは、スピーカ154及び/又は内部電子ディスプレイ152を介して乗客と通信してもよい。またマイクにより、乗客は、コンシェルジュと直接話すことができる。場合によって、車両100は、コンシェルジュが乗客のステータスを見てその安全を確認することができるように、内部静止画カメラ又は内部動画カメラを備えてもよい。
【0051】
[0059] ボタン612及び614は、ユーザ入力150の一部とすることができ、この点に関して、乗客が、車両において走行を開始又は終了するため、例えば、コンピュータ110と通信できるようにしてもよい。これに関して、ボタン612は、押下されると、車両100を短時間のうちに停止する緊急停止ボタンとして作用してもよい。乗客は、アクセルペダル又はブレーキペダルによって車両100の加速又は減速を直接制御することができないため、ボタン612は、乗客に安心感を与え、緊急事態に速やかに作用する重大な緊急停止ボタンであってもよい。
【0052】
[0060] また緊急停止ボタン612によって開始される停止は潜在的に急停止となる性質があるため、緊急停止ボタンは、緊急停止ボタンの偶発的始動の可能性を低減してもよい1つ以上の特徴を備えてもよい。一例として、このような特徴には、乗客が緊急停止ボタンを始動可能となる前に、まず取り除かれ、持ち上げられ、変位されなければならないカバーが含まれてもよく、緊急停止ボタンは、始動するために(押下する代わりに)引っ張る必要があってもよい。
【0053】
[0061] 図7A図7Cは、フリップアップカバー712を備えた一例としての緊急停止ボタン612である。フリップアップカバー712は、フリップアップカバーの閉鎖を減速する減衰器を備えたばね負荷カバーであってもよい。図7Aは、通常降下位置にあるフリップアップカバー712及び緊急停止ボタン612の一例である。この点に関して、緊急停止ボタンは、始動されず、フリップアップカバーが閉鎖される。本例において、カバーは、乗客に緊急停止ボタンを見せ、緊急停止ボタンのテキストを読み取らせるため、透明プラスチックで作成されてもよい。
【0054】
[0062] 図7Bにおいて、フリップアップカバー712が開放されているが、見て取れる通り、緊急停止ボタンは始動されていない。この点に関して、カバーが取り除かれても、緊急停止を開始するには、緊急停止ボタンに第2の動作が実施されなければならない。
【0055】
[0063] 図7Cにおいて、フリップアップカバー712が開放されており、(上昇位置に示される通り)緊急停止ボタン612が始動されている。図示の通り、緊急停止ボタン612は、緊急停止ボタンを始動するため、フリップアップカバーの略反対方向に引き上げられなければならない。フリップアップカバーと引き上げボタンとの組み合わせは簡易であり容易に使用されるが、緊急停止ボタンの偶発的始動の可能性を低減する。
【0056】
[0064] 緊急停止ボタンには、他の特徴及び構成も使用されてよい。例えば、フリップアップの代わりに、カバーは、緊急ボタン上からスライドして外されてもよい。同様に、緊急停止ボタンは、引き上げられる代わりに、通常の押下ボタン始動であってもよい。
【0057】
[0065] ボタン614は、多機能ボタンであってもよい。例えば、図8は、同一のボタンの例を提供しており、ここでボタン614は、3つの異なる状態にある。第1状態802において、ボタン614は非アクティブであり、すなわち押下されても、車両のコンピュータ110は、車両の移動制御に関する何らかの特別な動作で応じることもない。しかしながら、非アクティブ状態であっても、車両のコンピュータは、ボタンが押下されたことを示す何らかの視覚的又は聴覚的フィードバックを乗客に提供してもよい。一例として、このフィードバックは、コンピュータが、ボタンは押下又は始動されたが、ボタンは現在非アクティブであり、車両は何らかの特定の方法で車両を誘導することによって応答することはない(例えば、走行を開始したり、寄せて停車したりしない)ことを認識している旨を示すものであってもよい。
【0058】
[0066] 第2状態804では、車両が走行開始の準備ができている時、ボタン614は、乗客が目的地への走行を開始するか、又は場所を去るのに使用する「出発」ボタンに変わってもよい。車両100が一旦動き始めると、ボタン614は、第3状態806に変わってもよく、この時ボタン614は、乗客が非緊急停止の開始に使用する「車寄せ停車」ボタンである。この点に関して、コンピュータ110は、緊急停止ボタン612による急停止にするのでなく、車両を寄せるのに妥当な場所を判定することによって応じてもよい。矢印812、814、及び816は、これらの状態が、第1、第2、及び第3の順にのみ表示される必要はなく、第2から第1へ、第3から第1へ、第3から第2へ等、コンピュータ110の必要によって命じられる通り切り替わってもよいことを示している。
【0059】
[0067] 或いは、単一の多目的ボタン614を有するのでなく、異なるアクティブ化状態を有する2つのボタンが使用されてもよい。この点に関して、第1ボタンは、非アクティブ状態と、乗客に目的地への走行を開始させるか、又は場所を去らせることのできるアクティブ状態、すなわち「出発」状態を有してもよい。第2ボタンは、非アクティブ状態と、乗客に非緊急停止を開始させることのできるアクティブ状態、すなわち「車寄せ停車」状態を有してもよい。いくつかの例において、第1ボタンがアクティブ状態にある時、第2ボタンは非アクティブ状態にある。同様に、第2ボタンがアクティブ状態にある時、第1ボタンは非アクティブ状態にあってもよい。以下にさらに詳述する通り、車両が走行を開始するか、場所を去る準備ができる前は、第1ボタン及び第2ボタンの双方が非アクティブ状態であってもよい。
【0060】
[0068] 従って、ナビゲーションの目的で乗客がコンピュータ110と通信を行うのは、ボタン614(又は上述の例の2つのボタン)、緊急停止ボタン612、乗客のクライアント演算装置とのワイヤレスネットワーク接続156(Bluetooth LE等)、及び車両のコンピュータに情報を中継するサーバ210に対する乗客クライアント演算装置からの情報送信に限定されてもよい。いくつかの例において、乗客は、上述の通り、マイクを通じた音声命令を介して、車両のコンピュータ110に情報を提供してもよい。しかしながら、乗客は、電話通話、乗客のクライアント演算装置上のアプリケーション、マイク、及び/又はコンシェルジュボタン611を介してコンシェルジュと通信してもよく、次いでコンシェルジュがコンシェルジュワークステーションを介して車両のある態様について指示制御してもよい。
【0061】
[0069] 以上に述べ、図面に示した動作に加えて、種々の動作についてこれから説明する。以下の動作は、以下に述べる順番どおりに実施されなければならないものでないことを理解しなければならない。むしろ、種々のステップを異なる順又は同時に取り扱うことができ、ステップが追加又は省略されてもよい。
【0062】
[0070] 一態様において、ユーザは、クライアント演算装置に車両をリクエストするアプリケーションをダウンロードしてもよい。例えば、ユーザ222及び232は、電子メールのリンクを介して、ウェブサイトから直接、又はアプリケーションストアからアプリケーションをクライアント演算装置220及び230にダウンロードしてもよい。例えば、クライアント演算装置は、例えば、1つ以上のサーバ演算装置210にネットワークを通じてアプリケーションのリクエストを送信し、これに応じてアプリケーションを受け付けてもよい。アプリケーションは、クライアント演算装置に局所的にインストールされてもよい。
【0063】
[0071] そしてユーザは、自身のクライアント演算装置を使用してアプリケーションにアクセスし、車両をリクエストしてもよい。一例として、ユーザ232等のユーザは、クライアント演算装置230を使用して、1つ以上のサーバ演算装置210に車両のリクエストを送信してもよい。この点に関して、このリクエストは、ユーザ232を特定し、ユーザのピックアップ場所(ユーザによって入力された場所、又は例えば要素238を使用して取得されたユーザのクライアント演算装置の現在位置等)と、目的地の位置等の情報も提供してよい。この目的地の位置は、ユーザによって入力されてもよい。
【0064】
[0072] クライアント演算装置は、アプリケーションを介して、1つ以上のサーバ演算装置210にリクエストを送ってもよい。これに応じて、サーバ演算装置は、ユーザの現在位置に車両を送り出し、予想ピックアップ時間等、その他の情報を提供してもよい。或いは、サーバは、利用可能な車両がない場合、クライアント演算装置に通知してもよい。
【0065】
[0073] ユーザは、自身のクライアント演算装置を使用して、ピックアップ場所、降車場所、場合によっては、車両が停止可能なサービス領域内の1つ以上の中間停車場所を入力、提供、又は選択してもよい。その後、この情報は、サーバ演算装置210に送られ、車両100等の派遣車両に中継されてもよい。これらのピックアップ場所及び目的地は、事前に規定されてもよく(例えば、駐車場の特定領域等)、又は単に車両のサービス領域内の任意の場所であってもよい。
【0066】
[0074] 車両がユーザのもとに到着すると、コンピュータ110は、ユーザの認証を試みてもよい。例えば、Bluetooth LE等の短距離通信プロトコルを有するワイヤレス接続を使用して、コンピュータ110及びクライアント演算装置は、25メートル等、任意の所定距離で通信してもよい。例えば、通信が一旦成立すると、ワイヤレスネットワーク接続156のうちの1つを使用して、ユーザ認証の近似又はプロキシとして既知の認証技術を使い、クライアント演算装置が認証されてもよい。場合によっては、車両がユーザのクライアント演算装置のそばを通り、ワイヤレス接続がなされると、車両が選択場所に到着する前であっても認証がなされてよい。
【0067】
[0075] 一旦ユーザ(及び/又はユーザのクライアント演算装置)が十分に認証され、例えば10メートル以下等、車両100から特定の閾値距離に到着すると、ドア406のロックが自動解除され、場合によっては開き、ユーザが車両に入れるようにしてもよい。
【0068】
[0076] 一旦ユーザ(及び/又はユーザのクライアント演算装置)が車両に入ると、コンピュータ110は、内部電子ディスプレイ152上にウェルカム画面を表示してもよい。このウェルカム画面は、ユーザ(ここでは乗客)に車両の使用方法に関する指示を提供してもよい。例えば、指示には、必要に応じて乗客がドア406を閉めること、自身のシートベルトを締めることをリクエストすることが含まれてもよい。シート、ドア、及びシートベルトに関連付けられたセンサを使用して、乗客がこれに従ったかを判定してもよい。この時、ボタン614は、非アクティブ状態、すなわち図8に示す第1状態802であってもよい。
【0069】
[0077] 一旦乗客が指示に従うと、コンピュータ110は、ボタン614を始動するか、ボタン614を第2状態804に変えてもよい。この点に関して、ユーザがドアを閉めなかったり、又はシートベルトを閉めない場合、コンピュータ110は、ボタン614を非アクティブ状態、すなわち第1状態802から変化させないことにより、乗客が車両を使用して走行できないようにしてもよい。上述の通り、乗客が目的地への走行を開始する準備ができた時、自身でボタン614を押下又は始動してもよい。これに応じて、コンピュータ110は、目的地(降車場所)に車両を自律制御するように、必要なシステムを開始してもよい。
【0070】
[0078] 一旦乗客がボタン614を始動すると、コンピュータ110は、内部電子ディスプレイ152上に、車両100が移動準備ができていることを示してもよい。また乗客専用の音風景又はデフォルトの音風景がスピーカ154を通じて再生開始し、内部電子ディスプレイ152が、到着予想時刻、目的地の情報、現在時刻、天気等の情報を提供する「乗車画面」を提供してもよい。
【0071】
[0079] 一旦乗客がボタン614を始動して目的地までの走行を開始し、コンピュータ110が車両を自律制御すると、コンピュータ110は、ボタン614の状態を、ボタン614が「車寄せ停車」ボタンとなる第3状態806へと変えてもよい。走行中、「車寄せ停車」状態のボタン614を乗客が始動すると、コンピュータ110は、目的地に到着する前、車両を停止又は寄せて停止するのに妥当な場所を特定することによって応答する。コンピュータ110はまた、ユーザに、車両を寄せて停止しようとしている旨を内部電子ディスプレイ152上で通知してもよい。この寄せて止める機能は、コンシェルジュと通話することにより、又は乗客のクライアント演算装置上でアプリケーションを使用することによって達成されてもよい。
【0072】
[0080] したがって、車寄せ停車ボタンにより、乗客に走行中の車両を停止させてもよい。このためには、早急に応答を希望することと、車両を停止するのに妥当な場所を見つける必要性との間で均衡をとることが重要である。一例として、ユーザが車寄せ停車ボタンを押下すると、ボタンは第2状態804に戻り、再び「出発」ボタンとなる。
【0073】
[0081] 一旦ボタン614が第3状態806で始動されると、コンピュータ110は、「寄せて停車する準備中。キャンセルの場合、出発ボタンを押下。」などと内部電子ディスプレイ152に表示してもよい。この点に関して、乗客は、例えば、減速したり車線を変更したり、車両が物理的に寄せて停止を始める前に、ボタン614を再び押下又は始動することにより、車両を寄せて停車させるリクエストをキャンセルしてもよい。一例において、ディスプレイは、所定期間、例えば3秒をカウントダウンするカウンタも示してよい。この点に関して、ユーザが「出発」ボタン(第2状態804にあるボタン614)を押下すると、カウントダウンはクリアされ、走行が継続される。ユーザが何もしなければ、カウンタはゼロまでカウントダウンを行う。カウンタがゼロに到達すると、コンピュータ110は、車両を寄せて停車し始め、乗客は、車両が寄せられて停車することを止めることができなくなる。一例において、車両が最も右側の車線にいない場合、車両は、できる限り早く、且つ、できる限り安全に、最も右側の車線へと変更する。
【0074】
[0082] その後、コンピュータ110は、短期間、例えば10秒前後のうちに、車両を道路の脇に寄せて停車させる。このために、コンピュータ110は、車両が次の10秒間にどこにいるかに基づき、車両の現在の車線から抜け出すための路肩の余地等、オープンスペースを探してもよい。寄せて停車させる好適な場所が見つけられず、車両が安全でない場所(例えば、線路、交差点、混雑した道路、交差点)にいない場合、コンピュータは、現在の車線が混雑していたとしても信号送信システムを使用して、ハザードライトを点灯し、その車線(その車線の端に寄せることが好ましい)に停止してもよい。
【0075】
[0083] また緊急停止ボタン612は、乗客により、緊急停止を即時に開始するために使用することができる。図7A〜7Cに関連して上述した通り、乗客は、フリップアップカバー712等のカバーを外した後、ボタン612を必要に応じて引っ張り上げるか、又は押下することによってボタン612を始動させる必要があってもよい。
【0076】
[0084] このような緊急停止が開始されると、コンピュータ110は、例えば、車両の速度及び制動力に応じて、3秒前後等の非常に短い期間内に車両を停止してもよい。コンピュータは、緊急停止ボタンが始動され、助けが求められた旨(コンシェルジュ又は緊急対応センターのいずれか、例えば911コールセンター)の通知も乗客に表示してよい。またコンシェルジュは、乗客及び車両のステータスを査定するため、例えば、乗客を見てその安全を確認するビデオカメラ又は静止画カメラを使用することにより、車両に自動接続されてもよい。
【0077】
[0085] 一旦車両が停止されると、ドアが走行中、事前にロック状態であった場合にはドアのロックが解除されてもよく、事前にロックされていなかった場合には単に開放してユーザを車両の外に出させる。このプロセスの一部として、車両は、認証解除を行ってもよい。
【0078】
[0086] 図9A及び9Bは、車両100のコンピュータ110等、自律車両の1つ以上の演算装置によって実施されてもよい上述の態様のいくつかの一例としてのフロー図900である。本例において、コンピュータ110は、ピックアップ場所及び降車場所を含む派遣指示をブロック902で受信する。その後、車両のコンピュータは、ブロック904で車両をピックアップ場所に誘導する。一旦車両が到着すると、コンピュータ110は、ブロック906において、上述の通り、乗客のクライアント演算装置を認証する。ブロック910において、クライアント演算装置が認証されなかった場合、コンピュータは、ブロック910で、認証が成功するまで、或いは、例えばサーバ演算装置210又はコンシェルジュワークステーション240からさらなる指示が受信されるまで待機する。認証が成功した時、コンピュータ110は、ブロック912にて、車両のドアのロックを解除し、乗客に指示を提供する。上述の通り、これらの指示には、乗客にドアを閉めてシートベルトを締めるように促すことが含まれてもよい。
【0079】
[0087] その後、コンピュータは、ブロック914にて、指示が完了したか否かを判定する。指示が完了していない場合、コンピュータは、ブロック916にて待機し、必要に応じて指示を反復する。コンピュータは、例えば、サーバ演算装置210又はコンシェルジュワークステーション240からの指示を待機してもよい。一旦指示が完了されると、コンピュータ110は、ブロック918にて、第1ボタンを非アクティブから第1アクティブ状態に変えることにより、第1ボタンを始動する。このボタンは、ボタン614に対応してもよい。この点に関して、上述の通り、非アクティブ状態は、第1状態802に対応してもよく、第1アクティブ状態は、第2状態804に対応してもよい。
【0080】
[0088] コンピュータ110は、ブロック920にて、第1ボタンでユーザ入力を受け付ける。これに応じて、コンピュータ110は、ブロック922にて、車両101を降車場所に誘導し、第1ボタンの状態を第2アクティブ状態に変える。本例において、第2アクティブ状態は、ボタン614の第3状態804に対応してもよい。
【0081】
[0089] 続いて図9Bを参照すると、フロー図は、3つの別の分岐A、B、及びCに分かれている。分岐Aでは、コンピュータ110は、ブロック924にて、第2ボタンでのユーザ入力を受け付ける。この第2ボタンは、緊急停止ボタン612に対応してもよい。この点に関して、コンピュータは、ブロック926にて、車両を即時に停止し、第1ボタンの状態を非アクティブ状態に変える。また本例において、コンピュータ110は、ボタン612の状態を非アクティブ状態、すなわち第1状態802に変えてもよい。一旦停止すると、コンピュータ110は、ブロック928にて、ドアのロックを解除する。
【0082】
[0090] 分岐Bにおいて、コンピュータ110は、ブロック924にて、第1ボタンでのユーザ入力を受け付ける。また第1ボタンは、第3状態806に対応する第2アクティブ状態にある。この点に関して、コンピュータは、ブロック932にて、カウントダウンを開始し、第1ボタンの状態を第1アクティブ状態に変える。これにより、乗客に、車両を寄せて停車させるリクエストをキャンセルする機会を与える。その後、コンピュータ110は、ブロック934にて、カウントダウン中、第1ボタンでユーザ入力を受け付けたか否かを見るべく待機する。受け付けた場合、フロー図は、図9Bのブロック922に戻り、コンピュータ110は、車両を降車場所へと誘導し、第1ボタンの状態を第2アクティブ状態に戻す。図9Bのブロック934に戻り、コンピュータがカウントダウン中、第1ボタンでユーザ入力を受け付けなかった場合、コンピュータは、ブロック936にて、上述の通り、車両を寄せて停車するのに安全な場所を探す。最終的に、コンピュータ110は、ブロック938にて車両を寄せて停車させ、一旦停止すると、コンピュータ110は、ブロック940にてドアのロックを解除する。
【0083】
[0091] 分岐Cにおいて、コンピュータ110は、車両を降車場所に誘導しつつ、第1ボタン又は第2ボタンにおけるユーザ入力を受け付けない。このようにして一旦車両が降車場所に到着すると、コンピュータは、ブロック942及びブロックにて車両を停止してもよく、一旦停止すると、コンピュータ110は、ブロック944にてドアのロックを解除する。
【0084】
[0092] 上述の通り、いくつかの例において、乗客は、1つ以上の中間停止位置を提供してもよい。このような例において、車両が一旦中間停止位置に到着すると、コンピュータ110は、再び車両を停止させ、ドアのロックを解除してもよい(ブロック942及び944に図示)。この時、コンピュータ110は、乗客がドアを開けるか、シートベルトを外すかのいずれかまで、第1ボタンの状態を第2アクティブ状態から第1アクティブ状態に変えてもよい。このようにして、フローは図9Aのブロック912に戻り、必要に応じて乗客にドアを閉めてシートベルトを締めるように促し、適用可能性に応じてブロック914及び/又は916に進んでもよい。
【0085】
[0093] また上述の通り、ボタン614等の単一の多機能ボタンを有する代わりに、異なる始動状態の2つのボタンを緊急停止ボタンとともに使用し、車両のコンピュータへのリクエストを通信してもよい。状態を差別化するため、ボタンは、図8に示す通り、ボタンの現在の状態を示す情報をユーザに表示してもよい。この点に関して、双方のボタンは、最初に、ドアが開放されている場合、又はシートベルトが締められていない場合等の車両が走行開始の準備ができていない非アクティブ状態(図8の状態802を参照)にあってもよい。一旦車両が走行開始の準備をすると、ボタンのうちの一方のみ(第1ボタン)が車両のコンピュータによって、第1ボタンを使用して乗客からの目的地への走行を開始するリクエストを車両のコンピュータに通信してもよい、アクティブ状態、すなわち「出発」状態(図8の状態804を参照)に変えられてもよい。第2ボタンは、車両が走行を開始するまで非アクティブ状態に維持されてもよい。
【0086】
[0094] 第1ボタンの始動によって一旦走行が開始されると、第1ボタンは再び非アクティブとなり、第2ボタンは、車両のコンピュータにより、第2ボタンを使用して車両を寄せて停車する旨のリクエストを乗客から車両のコンピュータに通信してもよいアクティブ状態(図8の状態806参照)に変えられてもよい。この点に関して、乗客は、これら2つのボタンのうちの一方のみを同時に使用することができてもよい。車両が停止しているか、寄せられて停車している場合、第2ボタンは、車両のコンピュータによって非アクティブ状態に再び変えられ、第1ボタンは、車両のコンピュータにより、停止の状況に応じてアクティブ状態又は非アクティブ状態に変えられてもよい。
【0087】
[0095] 指摘のない限り、以上の代替例は互いに排他的なものでなく、種々の組み合わせで実装されて独自の効果を得てもよい。上述の特徴のこれらの変形例及び組み合わせ、並びにその他の変形例及び組み合わせがクレームに規定の主題から逸脱することなく利用可能であるため、実施形態の以上の説明は、クレームに規定の主題を限定するものでなく、例示するものであるとみなされなければならない。また本明細書に説明した例の提供は、「等」「含む」などの表現と同様、クレームの主題を特定の例に限定するものと解釈されてはならない。むしろこれらの例は、可能な多くの実施形態の1つのみ例示したものである。さらに異なる図面中の同一の参照符号は、同一又は同様の要素を特定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
[0096] 本発明は、乗客を目的地に誘導する車両、例えば、自律的走行を含むがこれに限定されない幅広い産業分野に適用可能である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B