【実施例1】
【0015】
図1〜6に本発明の実施例を示す。
図1は、エアシャワー装置の構成を示す正面図である。本エアシャワー装置1は、エアジェットファン2、メインフィルタ3、プレフィルタ4、エアジェットノズル5、制御部6、静電気除去装置8、静電気電荷測定器9を備えている。これらの配置は、
図1の通りでなくても良い。
【0016】
エアジェットファン2により、エアシャワー装置内から塵埃を含むエアをプレフィルタ4を通して吸い込み、HEPAフィルタ等のメインフィルタ3を通して塵埃を除去し、天井および側面に設けられたエアジェットノズル5から装置内の人や物品にエアジェット気流7を吹き付けて、塵埃を除去する。静電気除去装置8は、静電気を中和するイオンを発生し、静電気電荷測定器9は、装置内の人や物品の帯電電位を測定する。エアジェットファン2や静電気除去装置8は、制御部6によってON−OFFなどが制御される。
【0017】
図2に、エアシャワー装置の制御構成を示す。静電気電荷測定器10で電位測定した結果を制御部11に送り、エアジェットやインターロックや静電気除去装置のON−OFF等の各制御を行う。更に、制御部11をパソコン12と連動させることにより、エアシャワー装置の入室の管理、監視を行うことも可能となる。電位測定した結果は、制御部11から表示器13に送られ、装置内の人や物品の電位が表示される。なお、図では表示器13を記載しているが、パソコン12で表示するようにしても良い。
【0018】
図3に、エアシャワー装置の平面構成図を示す。エアシャワー装置1は、ダーティ側ドア14、ダーティ側インターロック装置15、クリーン側ドア16、クリーン側インターロック装置17を備えている。ここで、ダーティ側とは、汚れた空気がある側で、例えばクリーンルームの外である。また、クリーン側とは、清浄な空気がある側で、例えばクリーンルームの中である。なお、ダーティ側およびクリーン側のドアは自動ドアやシートシャッタなどでも良い。符号18はエアジェット作動用の光電管スイッチを示し、人の入室を検知し、検知信号により制御部がエアジェットを作動させる。なお、光電管スイッチ18は、入室者の入室を検知できるセンサであれば良く、光電管スイッチに限られない。
【0019】
図4に、エアシャワー装置の全体制御フローを示す。
図4において、左側の欄は、
図3の平面図における人の位置や、ダーディ側およびクリーン側のドアの開閉などを示す。中央の欄は、エアシャワー装置を通ってクリーンルームに入室するまでの、エアシャワー装置の動作の各ステップを示す。右側の欄は、各動作ステップに対応して静電気チェック、ダーティ側インターロック、およびクリーン側インターロックのオン−オフの状態を示す。
【0020】
エアシャワー装置は、以下の各ステップにて動作する。
ステップ101は入室前の待機状態である。この時、入室者はダーティ側で待機しており、静電気チェックOFF、ダーティ側インターロックOFF、クリーン側インターロックOFFである。静電気チェックは行われておらず、ダーティ側ドアおよびクリーン側ドア共に、ロックされていない。
ステップ102で、入室者はエアシャワー内に入室するためにダーティ側ドア14を開く。この時、静電気チェックOFF、ダーティ側インターロックOFF、クリーン側インターロックONであり、クリーン側ドアがロックされる。
ステップ103で、入室者はエアシャワー装置内に入室する。
ステップ104で、入室者が入室し終わるとダーティ側ドア14を閉める。この時、静電気チェックOFF、ダーティ側インターロックOFF、クリーン側インターロックOFFとなり、クリーン側ドアのロックが解除される。
【0021】
ステップ105で、入室者によってエアジェット作動用の光電管スイッチ18が遮られ、光電管スイッチ18がONとなる。
ステップ106で、入室者が検知されるとエアジェットが作動する。このエアジェット作動方式は、光電管スイッチ18以外の押釦スイッチ、近接スイッチ等の別手段で作動するようにしても良い。他にも、ドア閉で作動するようにしても良い。この時、静電気チェックON、ダーティ側インターロックON、クリーン側インターロックONとなり、静電気チェックが開始され、また、ダーティ側ドアおよびクリーン側ドアがロックされる。そして、エアジェットが作動することにより、人や物品の塵埃を高速気流により吹き飛ばし、除去を行う。
ステップ107では、静電気チェックにて静電気帯電電位測定を行う。
ステップ108で、静電気の測定電位が設定値まで下がった場合、静電気チェックOKと判断する。この時、静電気チェックOFF、ダーティ側インターロックON、クリーン側インターロックONとなり、静電気チェックを終了する。
ステップ108で、帯電電位が設定値まで下がらない場合には、ステップ107に戻って、更に静電気量をモニタリングする。そして、帯電電位が設定値まで下がらない場合はエアジェットが作動し続ける。
帯電電位が設定値まで下がることにより、ステップ109で、エアジェットが停止する。
【0022】
ステップ110で、所定時間が経過し、クリーンアップ(沈静化)が終了する。この時、静電気チェックOFF、ダーティ側インターロックOFF、クリーン側インターロックOFFとなり、ダーティ側ドアおよびクリーン側ドアのロックが解除される。
ステップ111で、入室者はクリーン側に退室するためにクリーン側ドア16を開ける。この時、静電気チェックOFF、ダーティ側インターロックON、クリーン側インターロックOFFとなり、ダーティ側がロックされる。
ステップ112で、入室者はクリーン側へ退出する。
ステップ113で、クリーン側ドア16を閉める。この時、静電気チェックOFF、ダーティ側インターロックOFF、クリーン側インターロックOFFとなり、ダーティ側ドアのロックが解除される。
ステップ114で、入室者のクリーンルームへの入室が完了する。
【0023】
図4の全体制御フローにおいて、ステップ107の静電気チェックによる帯電電位の測定に基づいて、静電気量に応じてエアジェット風速を可変させる制御を行っても良い。
図5に、この制御構成図を示す。静電気電荷測定器19により測定した帯電電位が大の場合、エアシャワー装置内の人や物品に付着している塵埃は取れにくいため、制御部20によりエアジェットモータ21を高速運転させる。これに対し、帯電電位が小の場合、塵埃は取れやすいのでエアジェットモータ21の低速運転を行う。なお、静電気電荷測定器19が多段階出力可能な場合は、エアジェットモータの回転速度も多段階で制御可能となる。
【0024】
次に、全体制御フローのステップ106からステップ109の部分の詳細制御フローについて、
図6を用いて説明する。
ステップ201で、エアジェットおよび静電気除去装置がONとなり、同時にエアジェットのタイマが作動する。通常、エアシャワー装置内の人や物品の塵埃を除去するために必要な時間をタイマにて予め設定しておく。
ステップ202で、エアジェットの動作がタイマで設定した規定時間に到達したかを確認する。規定時間に到達したOKの場合は、次のステップ203の静電気チェックへ進み、到達していないNGの場合は、タイマ規定時間到達チェックがOKとなるまでループする。
ステップ203で、静電気電荷測定器で測定した帯電電位に基づいて静電気チェックを行い、静電気電位が規定値に到達しているかを確認する。静電気電位が規定値まで低下したOKの場合、ステップ204でエアジェットおよび静電気除去装置をOFFとし、次の動作に進むことが可能となる。静電気電位が既定値より高いNGの場合、ステップ203の静電気チェックがOKになるまで、エアジェットおよび静電気除去装置をONした状態で、ループすることになる。
【0025】
本実施例によれば、入室者がエアシャワー装置に入室してエアジェットや静電気除去装置が作動した後、エアジェットの動作がタイマで設定した規定時間に到達し、静電気電荷測定器で測定した帯電電位が規定値まで低下した場合に、エアジェットや静電気除去装置の動作を停止するようにしたので、クリーンルーム内への塵埃の持ち込みおよび塵埃の付着を確実に抑制することができる。また、エアジェットが動作中は、ダーティ側インターロックおよびクリーン側インターロックを動作させるので、クリーンルーム内への塵埃の持ち込みを確実に抑制することができる。
【0026】
また、静電気電荷測定器により測定した帯電電位に基づいて、帯電電位が高い場合には風速を大きく、また、帯電電位が低い場合には風速を小さくなるようにエアジェットを制御することにより、付着した塵埃を良好に除去することができる。
【0027】
さらに、静電気電荷測定器により測定した帯電電位を表示器などにより表示するようにしたので、エアシャワー装置内の人や物品の帯電量をモニタリングすることができる。