【実施例】
【0074】
実施例1:照射する光の波長による二酸化塩素発生量の変化
本実施例においては、
図1および
図2に記載の二酸化塩素発生ユニットおよび二酸化塩素発生装置を用いて試験を行った。
【0075】
図1は、本実施例に用いた二酸化塩素発生用ユニットの薬剤収納部および光源部の内部構造を示した縦断面図である。
図1に示すとおり、二酸化塩素発生用ユニット10は薬剤収納部11および可視領域の光を発生させる光源部(LEDチップ12および操作基板13)を備える。薬剤収納部11は、試験用薬剤14を含む。薬剤収納部11は、内部と外部をエアが移動できるように、開口部16を備える。二酸化塩素発生用ユニット10は、装置外部のエアを装置内に導くためのチューブ15を備える。
【0076】
チューブ15から導入されたエアは、開口部16を通って薬剤収納部11の内部に供給される。供給されたエア中に含まれる水蒸気は、試験用薬剤14中の亜塩素酸塩に取り込まれる。光源部から発生した可視領域の光は、薬剤収納部11の底面を透過して、薬剤収納部11の内部に存在する試験用薬剤14に照射される。水蒸気を含んだ亜塩素酸塩は、照射された光と反応し、二酸化塩素を発生させる。亜塩素酸塩と共に試験用薬剤14に含まれる二酸化チタンは、可視領域の光を照射されることにより、亜塩素酸塩から二酸化塩素が発生する反応を促進する。発生した二酸化塩素は、開口部16を通じて外部へ排出される。
【0077】
図2は、本実施例に用いた二酸化塩素発生装置の全体構造を示した縦断面図である。
図2に示すとおり、二酸化塩素発生装置20は、二酸化塩素発生用ユニット21を内部に備える。二酸化塩素発生装置20の装置本体22は、装置外部のエアを装置内部へ導入するためのエア供給口23、および、装置内部のエアを装置外部へ排出するためのエア排出口25を備える。さらに、二酸化塩素発生装置20は、装置内部へ効率よくエアを導入するために、ファン24を内部に備える。
【0078】
ファン24の駆動によって、エア供給口23から装置本体22の内部へエアが導入される。導入されたエアは、装置内部に設置された二酸化塩素発生用ユニット21を通過して、エア排出口25から排出される。二酸化塩素発生用ユニット21では、
図1に記載の装置と同様の機構で二酸化塩素が発生するため、エア排出口25から排出されるエアには二酸化塩素が含まれる。
【0079】
10wt%亜塩素酸ナトリウム水溶液70gを100gのセピオライトに噴霧吸着させ乾燥させた後、さらに10wt%水酸化ナトリウム水溶液20gを噴霧吸着させて乾燥させた。これに、チタン粉末に焼成処理を施して調製した粉状の二酸化チタン20gを混合して、本実施例において用いる試験用薬剤とした。
【0080】
図2に記載の二酸化塩素発生装置中の薬剤収納部に、上記の薬剤を格納した。薬剤収納部の開口部から1L/minで薬剤収納部内にエアを導入し、LEDチップから薬剤収納部内の薬剤に対して光を照射した。LEDチップから照射する光の波長を80nm〜430nmまで2nmごとに変化させ、二酸化塩素発生装置から排出されたエアに含まれる二酸化塩素濃度およびオゾン濃度を測定した。なお、本実施例は、二酸化塩素発生装置を約7リットルのチャンバーに格納して行い、二酸化塩素濃度およびオゾン濃度の測定は、当該チャンバー内における二酸化塩素濃度およびオゾン濃度を測定することによって行った。その結果を、
図3および
図4に示した。なお、本試験には、周波数カウンタ(MCA3000、テクトロニクス社)、スペクトラム・アナライザー(BSA、アジレント・テクノロジー社)、波長スイープ光源(TSL−510、サンテック社)、紫外線積算光量計(UIT−250、ウシオ電機社)、および紫外線積算光量計受光器(VUV−S172、UVD−C405、ウシオ電機社)を用いた。
【0081】
図3は、様々な光の波長における、エア中の二酸化塩素濃度およびオゾン濃度の実測値を示したグラフであり、
図4は、上記の測定値のうち、紫外領域(80nm〜358nm)における測定値の平均値と、可視領域(360nm〜430nm)における測定値の平均値を比較したグラフである。なお、
図4において、紫外領域および可視領域における二酸化塩素の測定値の平均値はそれぞれ約2.25ppm、約4.87ppmであり、紫外領域および可視領域におけるオゾンの測定値の平均値はそれぞれ約7.04ppm、約3.04ppmであった。
【0082】
図3に示すように、薬剤に照射する光の波長を紫外領域から可視領域にかけて移動させていくと、エア中のオゾン濃度は紫外領域で極大となり、紫外領域から可視領域にかけて減少していくことが示された。一方、驚くべきことに、エア中の二酸化塩素濃度は、紫外領域から可視領域にかけて上昇していくことが示された。この結果から、当業者であれば、本発明において好適に用いられる波長の範囲は、本実施例の測定範囲の上限である430nmを越えて、例えば、少なくとも450nm程度の波長においても問題なく使用可能であることを理解できる。
【0083】
さらに、
図4に示すように、紫外領域と可視領域とにおける、エア中のオゾン濃度および二酸化塩素濃度のそれぞれの平均値を比較すると、オゾン濃度は紫外領域から可視領域にかけて約43%まで減少したのに対し、二酸化塩素濃度は紫外領域から可視領域にかけて約213%まで上昇した。
【0084】
すなわち、固形の亜塩素酸塩、および、金属触媒または金属酸化物触媒の混合物に対して可視領域の光を照射することによって、紫外領域の光を照射するよりも極めて効率的に二酸化塩素を発生させることができることがわかった。
【0085】
実施例2:触媒の形状による二酸化塩素発生量の変化
本実施例において用いるサンプル1では、粒状の二酸化チタン(チタンを焼成処理して調製したもの)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で薬剤を調製した。本実施例で用いるサンプル2およびサンプル3では、実施例1と同様の方法で薬剤を調製した。
【0086】
上記の方法によって調整した薬剤(サンプル1〜3)をそれぞれ実施例1に記載の二酸化塩素発生装置の薬剤収納部に格納した。サンプル1およびサンプル2については、薬剤収納部の開口部から1L/minで装置内にエアを導入し、光源部のLEDチップから405nmの光を照射した。サンプル3については、薬剤収納部の開口部から1L/minで装置内にエアを導入するのみで、光は照射しなかった。照射開始から11時間後までの、装置から排出されたエアに含まれる二酸化塩素濃度を測定した。サンプル1〜3それぞれについての測定結果を
図5に示す。
【0087】
図5に示すように、薬剤中に粒状の二酸化チタンを混合した場合(サンプル1)は、薬剤中に粉状の二酸化チタンを混合した場合(サンプル2)と比較して、より効率的に二酸化塩素を発生させ得ることがわかった。
【0088】
実施例3:薬剤中の亜塩素酸塩と二酸化チタンの含有比率に関する検討
10wt%亜塩素酸ナトリウム水溶液70gを100gのセピオライトに噴霧吸着させ乾燥させた後、さらに10wt%水酸化ナトリウム水溶液20gを噴霧吸着させて乾燥させた。これに、粉状の二酸化チタンを、量を変化させて混合し、本実施例に用いる試験用薬剤とした。試験用薬剤への可視光の照射は、実施例1と同じ二酸化塩素発生装置および照射方法にて行い、二酸化塩素濃度の測定も、実施例1と同様に行った。
【0089】
図6は、本発明の組成物中の亜塩素酸塩と二酸化チタンの割合を変化させた場合の、二酸化塩素発生量の変化を示した図である。
図6中において示される、薬剤中の二酸化チタンの含有量(wt%)と、薬剤中の亜塩素酸塩と二酸化チタンとの質量比と、可視光照射開始1時間後のエアに含まれる二酸化塩素濃度(ppm)との関係を表1に示す。また、
図7は、本発明の薬剤中の二酸化チタンの含有量と、可視光照射によって発生した二酸化塩素濃度の最大値との関係を示す。
【表1】
【0090】
図6、
図7、表1に示すとおり、試験用薬剤に可視光を照射した場合に発生する二酸化塩素の量は、薬剤中の亜塩素酸塩に対する二酸化チタンの質量割合が0〜約0.3へ増加するにつれて上昇し、亜塩素酸塩に対する二酸化チタンの質量割合が約0.3を越えると徐々に低下することが示された。さらに、組成物中の亜塩素酸塩に対する二酸化チタンの質量割合が約1.0を越えると、二酸化チタンを混合しない場合よりも二酸化塩素の発生量が低下することが示された。
【0091】
図8は、本実施例の試験用薬剤に長時間可視光を照射し続けた場合の二酸化塩素発生量の変化を示した図である。
図8に示すとおり、長時間にわたって観察した場合であっても、
図6や
図7に示す結果と同様、試験用薬剤における亜塩素酸塩と二酸化チタンの混合割合(質量比)を、1:0.04〜0.8(好ましくは1:0.07〜0.6、より好ましくは1:0.07〜0.5)とした場合、混合割合をそれ以外の範囲とした場合と比較して、高濃度の二酸化塩素を安定的に放出し続けることが確認された。
【0092】
実施例4:光源部のサンドイッチ構造についての検討
本発明における、光源部のサンドイッチ構造の有効性についての試験を行った。本実施例においては、
図9に記載の二酸化塩素発生用ユニット、および、
図10に記載の二酸化塩素発生装置を用いて実験を行った。
【0093】
図9は、本発明の一実施形態である、二酸化塩素発生用ユニット30の内部構造を示した図である。
図9に示すとおり、本発明の二酸化塩素発生用ユニット30は、薬剤収納部32および可視領域の光を発生させる光源部(電子基板33およびLEDチップ34)を備える。薬剤収納部32は、内部に固形の亜塩素酸塩を含む薬剤を含む。薬剤収納部32は、内部と外部をエアが移動できるように、開口部(ガス発生口31、エア導入口36)を備える。
【0094】
エア導入部36から導入されたエアは、薬剤収納部32の内部に供給される。供給されたエア中に含まれる水蒸気は、薬剤収納部32に収納されている試験用薬剤に取り込まれる。光源部から発生した可視領域の光は、薬剤収納部32の外装部35を透過して、薬剤収納部32の内部に収納されている薬剤に照射される。水蒸気を含んだ試験用薬剤は、照射された光と反応し、二酸化塩素を発生させる。発生した二酸化塩素は、ガス発生口31を通じて外部へ放出される。
【0095】
図10は、本発明の一実施形態である、二酸化塩素発生装置40の内部構造を示した図である。
図10に示すとおり、本発明の二酸化塩素発生装置40は、本発明の一実施形態である、二酸化塩素発生用ユニット(LEDチップ装着基板41、および、薬剤収納部42)を内部に備える。二酸化塩素発生装置は、内部に送風ファン44をさらに備え、送風ファン44の駆動によって、二酸化塩素発生用ユニット内部へエアを供給する。送風ファン44の駆動を調節することにより、二酸化塩素発生用ユニット中の薬剤収納部内の相対湿度を調節することができる。
【0096】
送風ファン44の駆動によって、二酸化塩素発生用ユニットのエア導入口から薬剤収納部の内部へエアが供給される。供給されたエア中に含まれる水蒸気は、薬剤収納部に収納されている試験用薬剤に取り込まれる。光源部から発生した可視領域の光は、薬剤収納部の外装部を透過して、薬剤収納部の内部に収納されている薬剤に照射される。水蒸気を含んだ試験用薬剤は、照射された光と反応し、二酸化塩素を発生させる。発生した二酸化塩素は、ガス発生口を通じて外部へ放出される。
【0097】
10wt%亜塩素酸ナトリウム水溶液70gを100gのセピオライトに噴霧吸着させ乾燥させた後、さらに10wt%水酸化ナトリウム水溶液20gを噴霧吸着させて乾燥させた。これに、粉状の二酸化チタン約1.8gを混合して、本実施例おいて用いる試験用薬剤とした。調製した試験用薬剤を、
図9に記載の二酸化塩素発生用ユニットの薬剤収納部に収納し、2面の光源部(それぞれ100mm
2)より可視光を照射した。本試験は1m
3のチャンバー内で行い、チャンバー内の温度は約26℃、相対湿度は約40%であった。比較例においては、1面(片面)の光源部を可視光の照射用いた以外は、実施例と同様に試験を行った。
【0098】
実施例および比較例において、チャンバー内の二酸化塩素濃度の継時的な変化を測定した結果を、
図11に示した。また、照射開始からのそれぞれの時間における、実施例と比較例とにおけるチャンバー内の二酸化塩素濃度の比を
図12に示した。なお、
図12においては、2つの光源部(両面)から光を照射した場合には、1つの光源部(片面)のみから光を照射した場合と比較して、二酸化塩素の発生量が2倍以上になることを示すため、二酸化塩素発生量の比をとるための、片面照射の場合の二酸化塩素発生量は、2倍値を用いている。
【0099】
図11および
図12に示すとおり、可視光を2つの光源部(両面)から照射した場合には、驚くべきことに、可視光を1つの光源(片面)のみから照射した場合と比較して、二酸化塩素の発生量が2倍以上となることが示された。さらに、
図12に示すとおり、比較例における二酸化塩素発生量に対する、実施例における二酸化塩素発生量の比の値は、時間の経過とともにさらに上昇することも示された。
【0100】
上記の結果は、
図13によって説明され得る。すなわち、光強度は、光が媒質中を通過する際に指数関数的に減少するため、片面のみからの照射では、薬剤の内部や奥までは光が届きにくく、薬剤全体に効率的に光を照射するのは困難である。しかし、薬剤に対して2方向(あるいは、2以上の方向)から光を照射することにより、薬剤の内部まで、反応に必要な量の光を供給することが可能となり、二酸化塩素を効率よく発生させることが可能となった。
【0101】
実施例5:薬剤収納部の相対湿度についての検討
図9に記載の二酸化塩素発生用ユニット、および、
図10に記載の二酸化塩素発生装置を用いて、薬剤収納部内の相対湿度による、二酸化塩素発生量の変化について検討した。
【0102】
薬剤収納部に収納する薬剤、可視光の照射方法、および、二酸化塩素濃度の測定については、実施例4と同様の条件を用いた。薬剤収納部内の相対湿度は、送風ファンの駆動により、薬剤収納部へ供給されるエアの量(すなわち、薬剤へ供給される水蒸気の量)を制御することによって調節した。薬剤収納部内の相対湿度と、チャンバー内の二酸化塩素濃度との関係を、
図14および
図15に示した。
図14は、0.5時間から2時間の光照射中に複数回測定した二酸化塩素濃度を平均した値およびその標準偏差を示し、
図15は、チャンバー内の二酸化塩素濃度の継時的変化を示す。
【0103】
図14に示すとおり、薬剤収納部内の相対湿度を30〜80%RH(好ましくは50〜70%RH、さらに好ましくは40〜60%RH)に調節することにより、二酸化塩素の発生量を増加させることができることが示された。なお、薬剤収納部内の相対湿度が30%未満になると、亜塩素酸塩から二酸化塩素が発生する反応に必要な水分が不足し、相対湿度が80%よりも高くなると、結露した水に発生した二酸化塩素が溶け込むため、ガスとして放出される二酸化塩素の量が減少すると考えられる。
【0104】
また、
図15に示すとおり、薬剤収納部内の相対湿度を30〜80%RH(好ましくは40〜70%RH、さらに好ましくは40〜60%RH)に調節することにより、相対湿度が30%未満の場合と比較して、照射開始からの時間が経過しても、放出する二酸化塩素濃度を高く維持することができる。なお、相対湿度を20%とした場合においても、照射開始初期の二酸化塩素濃度が高くなるのは、照射開始前の薬剤自体にある程度の水分が含まれているためだと考えられる。
【0105】
実施例6:間欠照射の有用性についての検討
図9に記載の二酸化塩素発生用ユニットを用いて、本発明における、可視光の間欠照射の有用性について検討を行った。
【0106】
薬剤収納部に収納する薬剤、および、二酸化塩素濃度の測定については、実施例4と同様の条件を用いた。光源部からの可視光の間欠照射は、LEDのON/OFFの切り替えによって、可視光の照射と停止とを交互に行うことによって実施した。具体的には、下記の(1)〜(3)の条件で、間欠照射を行った。
【0107】
(1)照射開始2分間は光を照射し続け、照射開始2分以降は、10秒光を照射(LEDをON)し、80秒光の照射を停止(LEDをOFF)するというサイクルを繰り返した。
(2)照射開始2分間は光を照射し続け、照射開始2分以降は、20秒光を照射(LEDをON)し、80秒光の照射を停止(LEDをOFF)するというサイクルを繰り返した。
(3)照射開始2分間は光を照射し続け、照射開始2分以降は、30秒光を照射(LEDをON)し、80秒光の照射を停止(LEDをOFF)するというサイクルを繰り返した。
本試験の結果を
図16に示す。なお、
図16のグラフにおける「相対ClO
2ガス濃度」は、照射開始2分後の二酸化塩素濃度を1とした場合の、それぞれの時間における二酸化塩素濃度の相対値を表す。
【0108】
図16に示すとおり、本発明において、光源部から可視光を間欠照射し、当該間欠照射における照射時間と停止時間のバランスを調節することによって、所望の濃度の二酸化塩素を発生させることができた。
【0109】
また、本発明において、光源部から可視光を間欠照射することにより、照射開始初期に比較的高濃度の二酸化塩素が放出されることを防ぐことができた。光源部から可視光をし続ける場合(すなわち、間欠照射を行わない場合)には、例えば、
図6のグラフのように、照射開始初期に二酸化塩素発生濃度が極大となり、その後徐々に減衰する。すなわち、本発明において、光源部から可視光を間欠照射することにより、より安定的に二酸化塩素を放出することができる。
【0110】
さらに、当然のことながら、光源部から可視光を間欠照射する場合には、光源部から可視光を照射し続ける場合と比較して、二酸化塩素の供給源である、固形の亜塩素酸塩を含む薬剤の消費量を抑えることができる。すなわち、本発明において、可視光を間欠照射することのできる光源を用いることにより、二酸化塩素発生用ユニットの使用可能期間を延長することができる。
【0111】
実施例7:薬剤収納部における通気性シートの使用の検討1
本発明の二酸化塩素発生装置においては、例えば
図10に記載のように、薬剤収納部に収納されている固形の薬剤へ水分(水蒸気)を供給するために、および/または、二酸化塩素ガスをより広範囲に拡散するため、送風ファンによって、薬剤収納部へ能動的に空気を送り込むことがある。しかし、薬剤収納部へ送り込む風の量や空気の湿度等によっては、薬剤が過度に乾燥し、二酸化塩素の発生効率が低下する場合や、薬剤が過度に湿潤となってしまうことがある。
【0112】
そこで、
図17に示すように、薬剤収納部の開口部を通気性シート(本実施例においては、エクセポール(登録商標)(三菱樹脂社製)を使用)で覆う構造とし、本発明の二酸化塩素発生装置を駆動する実験を試みた。その結果、本発明の装置中に送り込んだ空気の大部分が薬剤収納部の表面をなぞるように流れ、一部の空気のみが薬剤収納部の内外を行き来することにより、薬剤収納部へ送り込む風の量や空気の湿度の変化によらず、固形の薬剤の状態を安定化することができた。すなわち、通気性シートを使用することにより、本発明の装置の二酸化塩素拡散能力を維持したまま、二酸化塩素の発生効率を安定化させることができた(
図18)。さらに、薬剤収納部の開口部を通気性シートで覆ったことにより、送り込む空気の勢いを高めても、薬剤が薬剤収納部の外へこぼれ出ることがなくなり、装置の実用性をより高めることができた。
【0113】
実施例8:薬剤収納部における通気性シートの使用の検討2
上記の実施例7において、通気性シートとして不織布(エルベス(登録商標、ユニチカ社製))を用いて、同様の実験を行った。その結果、本発明の装置中に送り込んだ空気の大部分が薬剤収納部の表面をなぞるように流れ、一部の空気のみが薬剤収納部の内外を行き来することにより、薬剤収納部へ送り込む風の量や空気の湿度の変化によらず、固形の薬剤の状態を安定化することができた。すなわち、不織布を使用することにより、本発明の装置の二酸化塩素拡散能力を維持したまま、二酸化塩素の発生効率を安定化させることができた(
図18)。さらに、薬剤収納部の開口部を不織布で覆ったことにより、送り込む空気の勢いを高めても、薬剤が薬剤収納部の外へこぼれ出ることがなくなり、装置の実用性をより高めることができた。