特許第6684788号(P6684788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6684788ポリアニリン/還元型酸化グラフェン複合体の調製方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684788
(24)【登録日】2020年4月1日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】ポリアニリン/還元型酸化グラフェン複合体の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/198 20170101AFI20200413BHJP
   C01B 32/184 20170101ALI20200413BHJP
   H01G 11/36 20130101ALI20200413BHJP
   H01G 11/48 20130101ALI20200413BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20200413BHJP
   C09C 1/46 20060101ALI20200413BHJP
   C09C 3/08 20060101ALI20200413BHJP
   C09C 3/10 20060101ALI20200413BHJP
   C09D 11/037 20140101ALI20200413BHJP
   C09D 11/52 20140101ALI20200413BHJP
【FI】
   C01B32/198ZNM
   C01B32/184
   H01G11/36
   H01G11/48
   H01G11/86
   C09C1/46
   C09C3/08
   C09C3/10
   C09D11/037
   C09D11/52
【請求項の数】13
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-523813(P2017-523813)
(86)(22)【出願日】2015年10月29日
(65)【公表番号】特表2018-502030(P2018-502030A)
(43)【公表日】2018年1月25日
(86)【国際出願番号】IB2015058356
(87)【国際公開番号】WO2016067243
(87)【国際公開日】20160506
【審査請求日】2018年9月7日
(31)【優先権主張番号】TO2014A000882
(32)【優先日】2014年10月29日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516003023
【氏名又は名称】フォンダツィオーネ インスティテゥート イタリアーノ ディ テクノロジア
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ボッチーニ、 セルジオ
(72)【発明者】
【氏名】チオレリオ、 アレサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ポーロ、 サミュエル
【審査官】 小野 久子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0087192(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102350372(CN,A)
【文献】 国際公開第2015/001534(WO,A1)
【文献】 特開2014−093412(JP,A)
【文献】 DI WEI; ET AL,PROPERTIES OF GRAPHENE INKS STABILIZED BY DIFFERENT FUNCTIONAL GROUPS,NANOTECHNOLOGY,英国,IOP,2011年 4月20日,VOL:22, NR:24,PAGE(S):245702, pp.1-7,http://dx.doi.org/10.1088/0957-4484/22/24/245702,URL,http://iopscience.iop.org/article/10.1088/0957-4484/22/24/245702/meta
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/00−32/991
C09C 1/46
C09C 3/08
C09C 3/10
C09D 11/037
C09D 11/52
H01G 11/36
H01G 11/48
H01G 11/86
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化グラフェンを、乳化剤を含有する酸性水溶液の中に分散させることで、酸化グラフェン分散液を得る工程;
有機溶剤の中に一種類または複数種類のアニリンオリゴマーを溶解させることで、オリゴマー溶液を得る工程;
酸化グラフェン還元を完了するのに必要とされる量に対し化学量論的に過剰量のオリゴマーを添加するように、前記オリゴマー溶液を前記酸化グラフェン分散液と混合する工程;
余剰な前記オリゴマーを酸化するために、ポリアニリン/還元型酸化グラフェン複合体の懸濁液に酸化剤を添加して、ポリアニリン/還元型酸化グラフェン複合体の懸濁液を得る工程、
を含む、ポリアニリン/還元型酸化グラフェン複合体を得るための方法。
【請求項2】
前記オリゴマーがアニリン二量体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オリゴマーが、メトキシル、エトキシル、プロピルオキシル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tertブチル、ペンチル、フェニル、スルホニル、ビニルからなる群から選択されるラジカルによって、窒素原子に対しオルト位およびメタ位の一方、または窒素原子それ自体のうちいずれか置換されている、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記乳化剤が、ポリ(スチレンスルホネート)、ドデシルベンゼンスルホネート、メチルベンゼンスルホネート(MBSA)、2−アミノ−エチル−ホスホネート、ポリアクリレート、アジピン酸塩、ポリ(2−アクリルアミド−3−メチル−1−プロパンスルホネート)、ドデシルジフェニルオキシド二スルホネート、N,N’−ジメチル(メタクリロイルエチル)アンモニウムプロパンスルホネート、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホネート、イソフタル酸5−スルホネートから成る群から選択される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記有機溶剤が、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−ジオキサン、1,5−ペンタンジオール、1−プロパノール、2−ブトキシエタノール、2−プロパノール、アセトアルデヒド、酢酸、アセトン、アセトニトリル、酪酸、ジエタノールアミン、ジエチレントリアミン、ジメトキシエタン、ジ−メチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、エタノール、エチルアミン、エチレングリコール、ギ酸、フルフリル酸、グリセロール、メタノール、メチルジエタノールアミン、イソシアン化メチル、プロパン酸、プロピレングリコール、ピリジン、テトラヒドロフラン、トリエチレングリコール、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドからなる群から選択される、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記酸化剤が過硫酸アンモニウム、Cu2+塩、Cu塩、Fe3+塩、Pd2+塩、MnO塩、Sb+5塩、Ag塩、Au3+塩、Au塩、Pt2+塩、Cr2−塩、Rh4+塩、Ce4+塩、Mn3+塩、Co3+塩、CrO2−塩、S−2塩、過酸化水素および気体酸素からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記酸化剤が過硫酸アンモニウムであることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記オリゴマー溶液を前記酸化グラフェン分散液と混合する前記工程の後に加熱工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記加熱工程が40〜90℃の温度間隔に亘って実行される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記加熱工程が、20分間〜6時間の期間実行される、請求項8から請求項9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記酸性水溶液が、塩酸、硝酸、硫酸およびリン酸からなる群から選択される酸の水溶液である、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の方法に従って得られた複合体の、電磁的応用のためのインクとしての使用。
【請求項13】
正もしくは負の静電容量および/または過剰静電容量を有するコンデンサおよびスーパーキャパシタからなる群から選択される素子の実現化のための、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の方法に従って得られた複合体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアニリン/還元型酸化グラフェン複合体を得るための方法に関する。特に前記複合体は、導電性インクとして、並びに膜およびセンサーを製造するための、熱電気、電気化学、電磁気、電気機械、電子発光、電気流動および化学等の他の電気的および電子工学的応用において、使用される。
【背景技術】
【0002】
導電性重合体(ICP)の電気伝導度は、それらの構造内の共役型のπ電子系の存在に基づいている。ポリアニリン(PANI)は、ドープポリアセチレンまたはポリフェニレン等の他のICPと比較して比較的低い伝導率値を示すが、高い安定性および加工性を示すという利点を有するICPである。その作製の容易さ、良好な環境安定性、興味深い酸化還元特性、並びに電子デバイスおよび光デバイスにおける応用潜在性から、ポリアニリンは、最も重要な導電性重合体の1つとなっており、過去20年間に亘って特に研究が行われてきた。近年では、ポリアニリンが、デジタル印刷に使用可能であり且つ可塑性高分子基板上に薄膜として堆積可能である機能的インクの合成に使用できることが示され;またポリアニリンは、低周波数範囲における負の過剰静電容量(negative overcapacity)等の特定の電子状態を示す。「蝶」型の電荷対直流電圧図という特定の傾向は、Di Ventra et alにおいて示唆されたように、根底にあるメモリスタ(memristive)性、またはより良好な「メムキャパシタ(memcapacitive)」性の明らかな証拠である。有望なメモリスタ性は、PANI−グラフェンナノコンポジットを用いて製造されたデバイスで見出されており、これは、神経形態学的システムにおけるさらなる応用のための基礎を提供する。
【0003】
その発見から10年が経過したが、ハニカム格子を有する二次元グラフェンは、この材料に関連する従来にない現象により大きな関心を喚起し続けており、この現象は、炭素原子に属する電子が、六方対称性を有する経路に従ってグラフェンシートによって定義される平面内を移動しなければならないという事実から主に生じており、このことは、炭素原子を無質量粒子に類似させている。PANIマトリックス内のグラフェンの導入による、PANI/グラフェンのナノコンポジット構造の形成は、ICPの電子的特徴に改善をもたらし、また、興味深い新たな電子的効果ももたらした。具体的には、荷電基によって隣接するICPマトリックスに導入されるもの等の、短半径撹乱ポテンシャルによる電子の散乱における量子相対論的効果に従って、小散乱中心に干渉する無質量ディラックフェルミ粒子は、無視できる寄与を全体抵抗力に与える。共鳴散乱の場合にのみ、抵抗力への寄与が非相対論的電子ガスのそれと等しいことが分かる。
【0004】
親水性を非常に高くする底面および縁の酸素官能基の存在により、酸化グラフェンシート(GO)は、水中で膨らみ分散し易いことから、しばしば高分子複合材料の配合においてグラフェンに好まれる。
【0005】
さらに、GOは強い酸化性質を有しているとかねてから認知されており、そのためGOは、GO還元プロセスをアニリン前駆物質の酸化重合プロセスと連結する、PANI/グラフェン複合体のワンポット合成に使用されてきた。しかし、このプロセスは、アニリン前駆物質の二量体化に存する律速段階を有する。
【0006】
PANI/還元型酸化グラフェン複合体の既知の合成法は、陰イオン性乳化剤の存在下、酸化グラフェンの分散液を有機溶剤中のアニリンオリゴマーの溶液と混合するプロセスを使用する。
【0007】
しかし、得られる複合体は、酸化グラフェンの還元に対してある化学量論比で形成される、明確に定義された限定量のPANIがもたらされるのみであるという欠点を有する。
【0008】
従って、毒性の低い試薬から開始され、水性媒体中で実行され、既知の方法よりもより迅速で簡便であり、高度に規則的な生成物を提供し、インクジェット印刷によって得られるフレキシブルエレクトロニクス等の応用のために要求に応じて変化させることが可能であるポリアニリン/還元型酸化グラフェン比を有する安定な還元型グラフェンポリアニリン溶液の調製を可能にする、ポリアニリンおよび還元型酸化グラフェンの複合体を調製するための別の方法が、当該技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
従って、本発明の目的は、上記の方法の欠点を持たない新規の調製法を提供することである。
【0010】
本発明は請求項1に記載のポリアニリンおよび還元型酸化グラフェン複合体を調製するための調製法、並びに請求項12および請求項13に記載の前記複合体の使用に関することから、前記目的は本発明により達成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
次に、本発明を添付図の図面を参照して詳細に説明する。
図1図1はPANI−PSS、PPGおよびCE−PPG複合体の紫外可視吸収スペクトルを示している。
図2図2はPANI−PSS複合体の窒素流下の熱分解(TGA)における重量減少を示している。
図3図3はPPG複合体の窒素流下の熱分解(TGA)における重量減少を示している。
図4図4はCE−PPG複合体の窒素流下の熱分解(TGA)における重量減少を示している。
図5図5は、a)絶縁性挙動を示す、インクジェットにより印刷された(幅1mm、異なる数の刷り重ね)PPG試料群のIV曲線、b)抵抗性伝導の挙動を示す、インクジェットにより印刷された(幅1mm、異なる数の刷り重ね)CE−PPG試料群のIV曲線、c)直線的な抵抗性寄与の差し引き後のCE−PPG試料の周期的IV測定(10回反復)、d)小さな履歴現象と共にメモリスタ性挙動を示すCE−PPG試料の周期的IV測定(10回反復)、を示している。
図6図6は、a)10Vの振幅を有する正弦波励振を受けた、インクジェットによって印刷された(幅1mm、2回および10回刷り重ね)PPG試料群の、20Hz〜2MHzのインピーダンス計数、b)10Vの振幅を有する正弦波励振を受けた、インクジェットによって印刷された(幅1mm、2回および10回刷り重ね)PPG試料群の、20Hz〜2MHzのインピーダンス相、c)10Vの振幅を有する正弦波励振を受け、−40〜+40VのDC寄与を環化する、2回の刷り重ね(幅1mm厚)でインクジェットによって印刷されたPPG試料のナイキストグラフ、d)10Vの振幅を有する正弦波励振を受け、−40〜+40VのDC寄与を環化する、10回の刷り重ね(1mm幅)でインクジェットによって印刷されたPPG試料のナイキストグラフ、e、f)異なる数の刷り重ねで印刷された2つのCE−PPGデバイスについてのインピーダンスの実数部(e)と虚数部(f)との比較、を示している。
図7図7は、a)−40〜+40Vで周期的に繰り返される重複電位を伴う、15kHzの正弦波信号を受けた、1mmのPPGの2回刷り重ねにおいて印刷されたデバイスにおける直列抵抗、b)−40〜+40Vで周期的に繰り返される重複電位を伴う、15kHzの正弦波信号を受けた、1mmのPPGの2回刷り重ねにおいて印刷されたデバイスにおける直列容量、c)−40〜+40Vで周期的に繰り返される重複電位を伴う、15kHzの正弦波信号を受けた、1mmのPPGの2回刷り重ねにおいて印刷されたデバイスにおける直列抵抗の調節、d)図6eおよび図6fで解析されたCE−PPGデバイス上の直列容量、を示している。
図8図8は、a)PANI−PSS複合体のFT−IRスペクトル、b)PPG複合体のFT−IRスペクトル、c)CE−PPG複合体のFT−IRスペクトルを示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第一態様によれば、以下の工程を含む、ポリアニリンおよび還元型酸化グラフェン複合体を得るための方法が提供される:
乳化剤を含有する酸性水溶液中に酸化グラフェンを分散させることで、酸化グラフェンの分散液を得る工程;
有機溶剤中に一種類または複数種類のアニリンオリゴマーを溶解させることで、オリゴマー溶液を得る工程;
酸化グラフェンの還元を完了するのに必要とされる量に対して化学量論的に過剰量のオリゴマーを添加するように、前記オリゴマー溶液を前記酸化グラフェンの分散液と混合する工程;
余剰な前記オリゴマーを酸化するために、ポリアニリンおよび還元型酸化グラフェン複合体の懸濁液に酸化剤を添加して、ポリアニリンおよび還元型酸化グラフェン複合体の懸濁液を得る工程。
【0013】
好都合なことに、本方法は、オリゴマーからの開始が、立体効果によっても減少される、アニリンのオルト位において分岐する統計的確率を減少させるため、規則性がより高いポリアニリン鎖を含有する複合体を得ることを可能にし;このようにして得られた生成物は、還元型酸化グラフェン(rGO)シートを分離してポリアニリンをグラフェンに結合する乳化剤の存在によって、DMSO等の有機溶剤中においても安定な溶液を形成するため、インクジェット印刷技術においてのインクとしての最終使用を簡易にする。
【0014】
開始単量体としてアニリンを利用する方法と異なり、オリゴマー、好ましくは二量体から開始する重合は、毒性試薬の使用を必要とせず、反応の実行をより容易にする。最後に、オリゴマーの使用によって、最終複合体中の還元型酸化グラフェン濃度が調整可能となり、その結果、その使用を厳密に必要な量に限定することが可能となり、それにより、必要とされる適用の種類に応じて、化合物の伝導率(グラフェンの含量が減少するにつれて減少する)の変動が可能となる。
【0015】
後に酸化剤によって酸化される過剰オリゴマーの使用は、公知技術の複合体に対してさらにより大量の重合体を含有し、それにより共鳴散乱効果を有意に向上させる、複合体の調製を可能にする。本文において、「オリゴマー」とは、有限且つ少数のモノマー単位、好ましくは2〜最大10のモノマー単位の重合から生じる化合物を意味する。
【0016】
一実施形態では、アニリンのオリゴマーは、必要であれば、窒素原子のオルト位およびメタ位において、または窒素原子それ自体において、メトキシル、エトキシル、プロピルオキシル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tertブチル、ペンチル、フェニル、スルホニル、ビニルからなる群から選択されるラジカルで置換され得る。
【0017】
乳化剤の使用により、オリゴマーを水溶液中で可溶化する問題は克服され、安定な懸濁液が形成される。
【0018】
一実施形態では、使用されるアニリンオリゴマーは二量体(N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン)(DANI)である。
【0019】
オリゴマーは、好ましくは、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−ジオキサン、1,5−ペンタンジオール、1−プロパノール、2−ブトキシエタノール、2−プロパノール、アセトアルデヒド、酢酸、アセトン、アセトニトリル、酪酸、ジエタノールアミン、ジエチレントリアミン、ジメトキシエタン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、エタノール、エチルアミン、エチレングリコール、ギ酸、フルフリルアルコール、グリセロール、メタノール、メチルジエタノールアミン、イソシアン化メチル、プロパン酸、プロピレングリコール、ピリジン、テトラヒドロフラン、トリエチレングリコール、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドから成る群から選択される有機溶剤中に溶解される。
【0020】
酸化グラフェンは、例えば、スルホネート、ホスホリレートおよびカルボネートから成る群から選択される陰イオン性乳化剤、好ましくは、ポリ(ナトリウム4−スチレンスルホネート)(PSS)、ドデシルベンゼンスルホネート(DBSA)、メチルベンゼンスルホネート(MBSA)、2−アミノ−エチル−ホスホネート、ポリアクリレート、アジピン酸塩、ポリ(2−アクリルアミド−3−メチル−1−プロパンスルホネート)、ドデシルジフェニルオキシド二スルホネート、N,N’−ジメチル(メタクリロイルエチル)アンモニウムプロパンスルホネート、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホネート、イソフタル酸5−スルホネートから成る群から選択される、陰イオン性乳化剤を含有する酸性水溶液中に懸濁される。酸性水溶液は、塩酸、硝酸、硫酸およびリン酸からなる群から選択される酸の水溶液である。
【0021】
本発明の方法は、水に非可溶性であることで有名なアニリン二量体の使用にもかかわらず、酸化グラフェン溶液中に存在する乳化剤の作用後の安定なエマルジョンの形成により、水性環境中で実行することができる。
【0022】
重合反応中、酸化グラフェンはポリアニリンへと重合するオリゴマーの酸化剤として作用し、一方で、酸化グラフェンは還元型グラフェンを形成するオリゴマーによって還元される。
【0023】
オリゴマー溶液は、それに含有されるオリゴマーが酸化グラフェンの還元を完了するのに必要とされる量に対して化学量論的に過剰であるような量で、酸化グラフェン懸濁液に添加される。
【0024】
好都合なことに、二量体は、単量体アニリンよりも酸化グラフェンに対してより効果的な還元剤であることが分かり、そのため反応速度がより速く、単量体アニリンを使用する場合の70℃で24時間の反応時間に対して、80℃で1時間の内に完全反応が確定される。
【0025】
一実施形態では、酸化グラフェン懸濁液をオリゴマー溶液と混合した後、この反応混合物が、40〜90℃、好ましくは60〜80℃の温度に、具体的には20分間〜6時間の期間をかけて加熱することで、重合が促進および加速された。
【0026】
還元型酸化グラフェン添加の減少が望ましい場合、ジアニリンをより高い分子量を有するオリゴマーと置き換えることが可能である。
【0027】
酸化グラフェンによって酸化されない過剰オリゴマーは、後に、酸化剤、好ましくは0.1ボルトを超える酸化能を有する酸化剤、より好ましくは過硫酸アンモニウム、Cu2+、Cu、Fe3+、Pd2+、MnO、Sb+5、Ag、Au3+、Au、Pt2+、Cr2−、Rh、Ce4+、Mn3+、Co3+、CrO2−、Sの塩、過酸化水素および気体酸素からなる群から選択される酸化剤で酸化される。
【0028】
一実施形態では、酸化剤は過硫酸アンモニウムである。
【0029】
本発明のさらなる特徴は、説明のみを目的としたいくつかの非限定例の以下の記述から明らかとなる。
【0030】
以下の略語が下記実施例で使用される:min(分)、h(時間)、μs(マイクロ秒)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、ml(ミリリットル)、nm(ナノメートル)、Da(ダルトン)、mmol(ミリモル)、M(モル濃度)、W(ワット)、℃(摂氏温度)、Hz(ヘルツ)、V(ボルト)、PANI(ポリアニリン)、ICP(導電性重合体)、DANI(アニリンの二量体、N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン)、GO(酸化グラフェン)、rGO(還元型酸化グラフェン)、PSS(ポリ(ナトリウム4−スチレンスルホネート))、DMSO(ジメチルスルホキシド)、STM(走査トンネル顕微鏡)、APS(過硫酸アンモニウム)、HC1(塩酸)。
【実施例】
【0031】
実施例1
本発明のポリアニリンおよび還元型酸化グラフェン複合体の合成(CE−PPG)
0.7〜1.2nm厚の300〜800nmシート形状の単層酸化グラフェンを、チープ・チューブス社(CheapTubes)(ブラトルバラ、バーモント州、米国)から購入し、それを受け取った状態で使用した。アニリン二量体(N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン98%)、ポリ(ナトリウム4−スチレンスルホネート)(PSS、PM=70000Da)、塩酸(HCl、37重量%)、ジメチルスルホキシド(DMSO、99.9%)および過硫酸アンモニウム(APS、98%)をシグマ・アルドリッチ社(ミラノ、イタリア)から入手し、それらを受け取った状態で使用した。0.050gのGOを、0.1M HCl中の100mlのPSS(0.500g)の溶液に添加した。この分散液を超音波探触子で1時間(50W)処理して、安定なGO分散液を得た。次に、これを0.1M HCl溶液で300mlに希釈した。
【0032】
次に、0.411gのPSSを添加した。
【0033】
10ml DMSO中のDANI(4mmol、0.921g)の溶液を別に調製した。
【0034】
10mlのこの溶液をオリゴマー分散液に滴加して、DANIのエマルジョンを得た。この溶液を1時間かけて80℃に加熱し、酸化グラフェンの完全還元を得た。加熱中、緑色の沈殿物が形成された。この溶液を25℃に冷却し、100mlのHCl 0.1M中に事前に溶解された過剰のAPSをゆっくりと加え(5mmol、1.141g)、過剰のDANIを酸化した。
【0035】
4時間後、沈殿物を濾過し、変色まで蒸留水で数回洗浄し、次にメタノールで洗浄し、最後に、恒量が得られるまで60℃で乾燥させた。
【0036】
実施例2
公知技術に基づくポリアニリンおよび還元型酸化グラフェン複合体の合成(PPG)
基準物質として、TO2013A000561で説明される通りにポリアニリンおよび還元型酸化グラフェン複合体を調製した。
【0037】
0.100gのGOを、0.1M HCl中の100mlのPSS溶液(1.000g)に添加した。この分散液を超音波探触子で1時間(50W)処理して、安定なGO分散液を得た。
【0038】
10ml DMSO中のDANI(4.34mmol、1.000g)の溶液を別に調製した。
【0039】
10mlのこの溶液をオリゴマー分散液に滴加して、DANIのエマルジョンを得た。この溶液を1時間かけて80℃に加熱し、酸化グラフェンの完全還元を得た。加熱中に緑色の沈殿物が形成され、その後、DANIの酸化によりPANIが形成した。沈殿物を遠心分離によって分離し、蒸留水およびエタノールで数回洗浄した。緑色粉末の最終産物(PPG)を、恒量が得られるまで60℃で乾燥させた。
【0040】
実施例3
本発明に従って得られた複合体(CE−PPG)の物理的化学的特徴づけ、および公知技術の複合体(PPG)との比較
実施例1および実施例2で得られた複合体の構造を特徴付け、GOの還元および随伴性のDANIの酸化を評価した。
【0041】
紫外可視スペクトル
紫外可視吸収スペクトルを、UV−vis−NIR Cary 5000分光計を用いて、DMSO溶液中、周囲温度で、250〜1100nmの波長範囲において、記録した。
【0042】
DMSO溶液中の複合体の紫外可視スペクトルが図1に示され、図中、頭字語PANI−PSSはドープ剤としてPSSを含有するポリアニリン複合体を表し、PPGは、実施例2の説明の通りに調製した、PSSをドープした、ポリアニリンおよび還元型グラフェン複合体であり、CE−PPGは本発明の複合体である。多くの他の溶媒と同様に、PANI−PSS複合体はDMSO中で小型螺旋高次構造をとる。この場合、観察される主なバンドは以下である:PSSの吸収と部分的に重なったおよそ314nmにおけるπ−π遷移;溶液にその緑色を与える、プロトン化伝導性PANI−PSSに関する443nmにおけるポーラロン−πバンド;塩基エメラルジン(base emeraldine)21について観察される、np遷移に関するおよそ600〜650nmにおける吸収バンド。この後者のバンドは、PANIが高分子剤をドープされ、第二ドーピングされない予定の通り、PANI−PSS複合体が完全にプロトン化されていないことを示す。
【0043】
比較的に大量のグラフェンの存在は、PPG複合体の試料における紫外可視スペクトルを改変し、これにより、292nmにおけるπ−π遷移はまだ識別可能であるが、前記バンドに重なるグラフェンの吸光度は最大値をより低い波数に向けてシフトさせる。同じ理由で、ポーラロン−πバンド(およそ440nm)を特定することは困難であるが、一方、塩基形態のエメラルジンに由来するnp遷移はかろうじて識別可能である。
【0044】
一方、より多量のPANIを含有するCE−PPG複合体の試料は、グラフェンの存在によってピーク最大値がシフトされていても、PANI−PSSにより類似したバンドを示す。π−π遷移は284nmに観察され、ポーラロン−πバンドは約437nmに観察され、np遷移は約600−650nmに観察される。
【0045】
赤外線スペクトル
フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)のスペクトルを、FT−IR Nicolet 5700(サーモフィッシャー社)分光計を用いて収集した。
【0046】
シリコンウエーハー上にDMSO溶液を沈着させることにより、試料を調製した。測定は、4000から400cm−1までの2cm−1の分解能で収集された64のスペクトルの平均から取られた。
【0047】
完全なFT−IRスペクトルを図8に示す。ピークの割当を以下の表1、表2および表3に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
PSSおよびPANIの主要ピークが存在していることから、PPG複合体のFT−IRスペクトルはPANI−PSS複合体のそれと非常に類似している。
【0052】
PSSはポリスチレンおよびスルホン酸基の特徴的なピークを示している。3100〜3000cm−1の領域は水素と芳香族炭素との間の結合の振動を示しており、一方、3000〜2800cm−1の領域は脂肪族鎖の水素と炭素との間の結合の伸長を示している。ベンゼン環の炭素間伸長は1600cm−1および1503cm−1に現れる。1120cm−1および1004cm−1のピークは、ベンゼン環の平面における骨格の振動に、および、ベンゼン環の平面の外側の振動に、割り当てることができる。SO基の反対称性および対称性の振動吸収ピークはそれぞれ、1222cm−1および1030cm−1のピークに割り当てることができる。622cm−1に中心がある特徴的なバンドは、ベンゼン環のC−S伸長に対応する。PANIの存在は、第二級芳香族アミンの窒素水素結合の伸長による3227cm−1のピークによって、および、3100〜3000cm−1における芳香環の炭素水素伸長によって、確認された。
【0053】
芳香環の領域において、PANIは、キノンジイミノユニット(PANIの酸化型)のC=N伸長を原因とする、1566cm−1におけるバンドを示す。ベンゾノイドジアミンユニット(PANIの還元型)の芳香環のC−C伸長は1489cm−1に現れ、最後に、746cm−1におけるバンドはキノン環の平面の外側のCHのバンドによるものである。
【0054】
PPG試料およびCE−PPG試料のFT−IRスペクトルはPANI−PSSのFT−IRスペクトルと非常に類似しているため、PPG試料の場合においてもPANIの形成の確認となる。
【0055】
熱重量分析
熱重量分析(TGA)を、10mg試料に対して、TG 209 F1 Libra(登録商標)(NETZSCH有限責任会社)熱重量分析計を用いて、加熱速度10℃min−1、25℃〜800℃、窒素流(60cmmin−1)下で、行った。報告された熱分解温度は、最大重量減少率(Tmax)を参照している。残留重量パーセントは800℃で評価した。実験誤差は概して0.05mg未満(およそ±0.5%)であると見積もられた。
【0056】
図2から分かるように、PANI−PSS複合体は3つの主要な重量減少を示す:開始溶液からの湿気の蒸発および小分子(例えばHCl)の脱気からもたらされる、204℃における第一の重量減少;PANIの熱分解に対応する、それぞれ324℃および394℃における、第二および第三のピーク。
【0057】
PPG複合体(図3)において、酸素の減少を原因とする、220℃におけるピークの完全な欠如により、DANIとの相互作用による初期GOの減少(およそ50重量%)が確認される。重量減少のTGA曲線はPANI−PSS複合体のそれと非常に類似しており、これは、小分子の脱気による200℃未満の第一重量減少を示している。重量減少の第二相および第三相は、PANI−PSSにおいて観察されたものと同じ温度間隔にあり、これにより、重合が起こったことが確認される。
【0058】
最後に、CE−PPGのTGA(図4)はPANI−PSSのそれと実質的に同一である。しかし、予定の通り、800℃における最終重量は、PANI−PSS複合体の41.5%に比べて、初期重量に対しておよそ43.6%より少なく、これにより、不揮発性のグラフェンの存在が確認される。
【0059】
DC特性
実施例1および実施例2に記載の合成物質をDMSO中に分散させて、印刷可能なインク調合物を調製した。インクの溶解性を増加させるため、機械的混合および超音波槽を使用した。溶液はゲル化前は1〜2日間安定である。従って、印刷の直前に、インクを再分散させるために溶液を超音波槽で1時間処理し、その後、3mlタンクに入れ、インクジェット印刷システムに充填した。対称性インパルスを用いた、固定のジェットパラメータは以下である:第一立上り時間12μs、保持時間15μs、立下り時間5μs、エコー時間20μs、第二立上り時間2μs、待機電圧0V、維持電圧35V、エコー電圧−13V。
【0060】
複合体PPGおよびCE−PPGのDC特性の解析(図5)は、PPG試料中よりもPANIがより大量に存在するCE−PPG試料中ではパーコレーション伝導経路が優先され、これにより、PPGの絶縁的挙動(図5a)からCE−PPGの抵抗損的(ohmic dissipative)挙動(図5b)へとコンダクタンスが改善されることを示している。
【0061】
同じ印加電位間隔において、CE−PPGを通過する電流はPPGにおいて測定される電流よりも5桁大きい。GOのグラフェンへの還元の確認は、CE−PPGよりも3桁大きい伝導率を有する純粋PANIとの直接比較から得られる。別の重要な特性は、図5b中のエラーバーによって示されるような、極端に明瞭なシグナルである。
【0062】
さらに、IV測定をサイクルさせることにより、メモリスタ性の活用も可能であり(図5c)、その特徴的な「蝶型」図は、直線的な抵抗性寄与を差し引いた後によりはっきりと見ることができる(図5d)。
【0063】
DC刺激およびAC刺激の組合せを適用することにより、特定の挙動を観察することができる。具体的には、図6において、全周波数範囲における持続的な負の容量(persistent negative capacity)の証拠が、少数の刷り重ねにより印刷されたPPGにおいて示され:その相は10kHz未満の値から1MHzまでの+90°において飽和している(図6aおよび図6b)。一方、多数の刷り重ねにより印刷されたPPGは、500Hz未満でのみ統計的に+90°まで伸び、一方でより高い周波数においては抵抗性伝導体のように振る舞う、インピーダンス相を示す。見た目には、インピーダンスは、PPG試料(図6cおよび図6d)について示されるように、直流分極に依存していない。最も有望な結果は、インピーダンスの抵抗性部分および反応性部分が、kHz領域において発生し試料の厚さに依存する共鳴拡散を示す(図6eおよび図6f)、高い伝導率を有する試料(CE−PPG)において得られた。
【0064】
いくつかのPPG試料において、この共鳴は安定なシグナルを生み出し、これにより、インピーダンスの抵抗性成分および反応性成分の両方において認められる、完全に電圧制御されたインピーダンス変化がもたらされる(図7a、図7bおよび図7c)。この物質は電圧制御移相器要素として即座に利用可能であるため、この特性は非常に興味深い。
【0065】
多くの実験例が、スーパーキャパシタにおける適用のためのPANIと組合せた、グラフェンまたは他の炭素系ナノ材料からなる階層構造に基づいていたが、ナノメータ規模で生じるその現象の明確な定義は今まで与えられていなかった。
【0066】
インピーダンススペクトルは通常、定位相素子、または単に適応性を向上させるために使用されるワールブルグインピーダンス素子等の電子工学において周知の他の拡散回路素子のような、理想的な素子を含むモデルに適応する。
【0067】
PANI/グラフェンナノコンポジットにおける負誘電率値を説明しようとする試みが、表面プラズモン共鳴およびグラフェンフェルミ準位電圧の同調性を誘起する最近の研究で為された。グラフェンはディラックフェルミ粒子の相対論的状態から金属に類似した通常の状態への制御電圧転換を示し得るが、プラズモン周波数は概して、本特許に記載される現象(kHz台の典型的周波数)よりもかなり高い(10〜100THz)。
【0068】
従って、この実施例に従って作られたプリントインクジェットデバイスは、動作周波数に応じて正または負の過剰静電容量を備えた、適用可能なスーパーキャパシタとして電子工学分野において実用化される。インピーダンスの抵抗成分を考慮すると、500Hzから5kHzの間にCE−PPG試料において見られる莫大な寄与(多数の刷り重ねにより印刷された試料において特に明らか、図6e)は共鳴散乱によって説明でき、またしても、グラフェンの量子相対論的性質は、散乱ポテンシャルが抵抗力に対して無視できない寄与を与えるほどである。
【0069】
従って、グラフェンの量子相対論的特性が表れ、ディラックフェルミ粒子とPANI鎖に隣接した小散乱中心との間の共鳴エネルギーの伝達を誘起するシステムが説明された。これらの事象は、高周波数(MHz)における負の容量、電圧制御位相変化および特徴的な共鳴周波数(kHz)における負/正の分岐性容量等の、1つの単一材料では今まで報告されなかった、非常に興味深い物理的現象の発生を示している。これらの特性は、溶剤およびダイレクトインクジェット印刷における使用の可能性をきっかけに、高度な電子デバイスにおいて利用することができる。
【0070】
参考文献
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7A
図7B
図7C
図7D
図8