(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
製紙又はパルプ製造プロセスにおいて利用されるファブリック、ベルト、フェルト又はスクリーンを洗浄又はコンディショニングする方法であって、該ファブリック、ベルト、フェルト又はスクリーンの少なくとも一部を、ソルケタールと任意に少なくとも1つの界面活性剤とを含む配合物で処理することを含む、方法。
製紙プロセスにおいて利用される製紙用プレスフェルトを洗浄又はコンディショニングする方法であって、該製紙用プレスフェルトの少なくとも一部を、ソルケタールと任意に少なくとも1つの界面活性剤とを含む配合物で処理することを含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、組成物又は配合物として存在するフェルトコンディショナー及び/又はフェルトクリーナーに関する。フェルトコンディショナー又はフェルトクリーナーは少なくともソルケタールを含有し、例えば下記に更に記載される他のフェルトコンディショニング及び/又は洗浄用の化学物質又は構成成分を含有していてもよい。フェルトコンディショナーは、製紙工場及び/又はパルプ工場において使用される任意のデバイス(機械若しくはフィーダー、又はベルト若しくはフェルト若しくはファブリック若しくはスクリーン)を洗浄及び/又はコンディショニングするために使用することができる。フェルトコンディショナー又はクリーナーは製紙用プレスフェルトの処理に有用である。フェルトコンディショナー又はクリーナーは製紙用プレスフェルトを洗浄する、若しくは製紙用プレスフェルトをコンディショニングする、又はその両方の方法に使用することができる。フェルトコンディショナーは、該用語が製紙において使用される場合にボイルアウト操作に使用することができる。フェルトコンディショナーは1つ以上の製紙機若しくはパルプ製造機、又はその表面及び/又はパイプ及び/又はスクリーン(複数の場合もある)、又は製紙若しくはパルプ製造プロセスにおいて使用される若しくは存在する他の構成部分を洗浄するために使用することができる。
【0018】
より詳細には、本願の目的上、「フェルトコンディショナー」という用語が全体を通して使用されるが、「フェルトコンディショナー」はフェルトコンディショナー及び/又はフェルトクリーナーとみなされることを理解されたい。言い換えると、本発明のフェルトコンディショナー組成物は使用することができ、製紙用プレスフェルトをコンディショニングすることが可能であり、及び/又は製紙用プレスフェルトを洗浄することが可能であり、言及される他の洗浄/コンディショニングに使用することができる。
【0019】
本発明のフェルトコンディショナーはソルケタールを単独で又は他のフェルトコンディショニング及び/又は洗浄用の化学物質とともに含む(comprises)、本質的にそれからなる、それからなる又はそれを含む(includes)。
【0020】
ソルケタールは、ジイソプロピリデングリセロール又は2,2-ジメチル-4-ヒドロキシメチル-1,3-ジオキソラン又は1,2-イソプロピリデン-グリセロール又は2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノール等としても知られる。ソルケタールはグリセロールアセトン又はジオキソランとしても知られる。ソルケタールは、例えばSigma-Aldrich又はRhodiaから市販されている。ソルケタールは概して、80℃の引火点及び約188℃〜190℃の沸点を有する。
【0021】
ソルケタールは本発明における研究に基づくと、フェルトコンディショナー中の主要構成成分として極めて有利である。ソルケタールは無色であり、透明の液体であり、低い蒸発率から非腐食性とみなされ、臭気が殆どなく、低毒性とみなされる。さらに、本発明における研究から、ソルケタールが製紙産業において使用されるフェルト上に見られる又は見られる可能性がある湿潤強度及び/又は乾燥強度添加剤、リグニン、デンプン、サイズ剤、脂肪酸、グルー、ラテックス、油、グリース及び/又はワックスに対して優れた溶解特性を有することが決定された。また、ソルケタールは一般的な有機溶剤及び/又は水に混和性を有することから、最大限に使用される。本発明に使用されるソルケタールは単独で、又は下記により詳細に記載される他の溶剤及び/又は界面活性剤とともに使用することができる。
【0022】
本発明のフェルトコンディショナー配合物は、フェルトコンディショナー配合物の全重量をベースとして0.5 wt%〜100 wt%、例えば約1wt%〜100 wt%、約5 wt%〜95 wt%、約10 wt%〜約90wt%、約15 wt%〜約90 wt%、約20 wt%〜約90 wt%、約30wt%〜約90 wt%、約40 wt%〜95 wt%、約70 wt%〜99wt%の量でソルケタールを含有し得る。
【0023】
フェルトコンディショナーは1つ以上の界面活性剤、例えば1つ以上の非イオン界面活性剤、1つ以上の陰イオン界面活性剤及び/又は1つ以上の陽イオン界面活性剤を含有し得る。例を下記に提示する。
【0024】
フェルトコンディショナーは無芳香性であり得る。
【0025】
本発明のフェルトコンディショナーは水、及び/又は1つ以上の他の希釈剤、及び/又は1つ以上の付加的な洗浄剤及び/又は1つ以上の付加的なコンディショニング剤を含有し得る。
【0026】
存在する場合に水又は他の希釈剤の量は、フェルトコンディショナー配合物の全重量をベースとして約0.5 wt%〜約99.5 wt%とすることができる。存在する場合に界面活性剤(複数の場合もある)の量は、フェルトコンディショナー配合物の全重量をベースとして約0.5 wt%〜約99.5 wt%とすることができる。本発明のフェルトコンディショナー配合物中に任意に存在し得る他の洗浄剤及び/又は他のコンディショニング剤の量は、フェルトコンディショナー配合物の全重量をベースとして約10 wt%〜約90 wt%とすることができる。これらの範囲のいずれについても、他の量として、フェルトコンディショナー配合物の全重量をベースとして約1 wt%〜約95 wt%、約5 wt%〜約90 wt%、約10 wt%〜約75wt%、約20 wt%〜約70 wt%、約40 wt%〜約60 wt%を挙げることができる。
【0027】
フェルト上に適用される活性成分の濃度又はフェルトコンディショナー配合物の濃度は、任意の希釈後に、プレスフェルトの処理に使用される液体の全量をベースとして約100 ppm〜約3 wt%、例えば約100ppm〜約1 wt%、約100 ppm〜約0.75 wt%、約100 ppm〜約0.5wt%の量であり得る。
【0028】
紙は水とセルロース繊維とで構成され得る繊維懸濁液(パルプ完成紙料)から連続的に製造することができる。製紙プロセスは成形、圧搾及び乾燥の3つの段階を含み得る。成形段階では、希釈パルプ完成紙料はワイヤ上又は2つのワイヤ間に導かれる。水の大部分がパルプ完成紙料からワイヤを通して排出され、湿潤紙ウエブが作られる。圧搾段階では、紙ウエブは、残りの水の大半を紙ウエブから抽出するために使用される1つ又は概して複数の多孔質プレスフェルトと接触する。多くの場合、ピックアップフェルトは湿潤紙ウエブが接触する最初のフェルトであり、フェルトの後ろに配置されるサクションピックアップロールによって紙ウエブをワイヤから取り外した後、紙ウエブをプレスセクションの残りの部分へと移すために使用される。次いで、紙ウエブは概して、互いに極めて接近して配置され、プレスニップを形成する回転プレスロール及び/又はプレスシュー等の固定要素を有し得る1つ以上のプレスを通過する。各ニップにおいて、紙ウエブは1つ又は2つのプレスフェルトと接触し、そこで水が紙ウエブからプレスフェルトへと圧力及び/又は真空によって押し出される。シングルフェルトプレスニップでは、紙ウエブは片側でプレスロールと接触し、反対側でフェルトと接触する。ダブルフェルトプレスニップでは、紙ウエブは2つのフェルト間を通過する。プレスセクションの後、紙ウエブが通常は一連の蒸気加熱シリンダー乾燥機(dryer cans)を通り抜けることによって乾燥し、残りの水が除去される。
【0029】
プレスフェルトはナイロンベースファブリックで構成され、ナイロンベースファブリックは織目(weave)パターンで配置された1つ〜4つの個々のフィラメント層で構成され得る。押出ポリマー膜又はメッシュがベースファブリック層の1つ以上として含まれていてもよい。ベースファブリックフィラメントよりも直径の小さなバット繊維がベースの両側に縫い込まれ、フェルトに厚いブランケット様の外観を与える。プレスフェルトは水をニップ内の紙ウエブから迅速に取り込み、紙及びフェルトがプレスニップを出る際に水が再吸収されてシートへと戻らないように水を保持するように設計される。プレスフェルトは、連続的にシート接触段階と返送段階との間をベルト状に循環する無限ループであってもよい。ニップで紙ウエブからフェルトへと引き込まれる水は、概してフェルト返送段階中にユールボックス(と称されることが多い)で真空によってフェルトから除去される。
【0030】
様々な物質が、紙ウエブがプレスフェルトに到達する時点で紙ウエブ中に含有される液体に溶解又は懸濁し、これらの物質はしたがって紙ウエブから抽出される水とともにプレスフェルトへと移動する可能性がある。これらの物質の1つ以上がプレスフェルトにとどまり、ユールボックスで水とともに除去されずにそこに蓄積する場合がある。プレスフェルト中又はプレスフェルト上に存在し得る溶解又は懸濁された物質としては、セルロース微粒子、ヘミセルロース等の繊維状パルプに由来する物質、並びにフレッシュ木材パルプに由来する木材ピッチ等の粘着性の構成成分、並びに再生パルプに由来するグルー、樹脂及びワックスが挙げられる。多糖、タンパク質及び他の生体物質等の微生物の成長の副産物も紙料、ひいてはプレスフェルト中に存在する可能性がある。完成紙に或る特定の特性を付与するために紙料に添加される様々な機能性添加剤がプレスフェルトに紛れ込んでいる可能性もある。これらの添加剤としては、ロジン、アルキルケテンダイマー(AKD)及びアルケニルコハク酸無水物(ASA)等のサイズ剤;湿潤強度樹脂及び乾燥強度剤、例えばデンプン;並びにクレー、タルク、軽質又は重質炭酸カルシウム(PCC、GCC)、及び二酸化チタンを含む無機充填剤が挙げられる。紙製造に使用される加工添加剤もプレスフェルト中に存在する可能性があり、アラム、有機ポリマー及び様々な微粒子を含む歩留向上剤及び濾水向上剤;並びに消泡剤、特に油をベースとするものが含まれる。
【0031】
効率的な紙製造のために、プレスフェルトは沈着物を有しないものとする。油性又は粘着性の物質のようなプレスフェルト上に形成される沈着物は紙ウエブへと戻り、完成紙に汚点又は穴を生じ得る。これらは紙の破断又は引裂を引き起こし、生産低下を生じる可能性がある。さらに、プレスフェルトは空隙容量の高い多孔質でなくてはならない。乾燥機セクションにおいて紙から水を蒸発させることは費用がかかり、大量のエネルギーを消費するため、プレスセクションにおいてプレスフェルトにより可能な限り多くの水を紙ウエブから除去することが有益である。このため、フェルトを通した水の移動を制限する汚染物質で充満したフェルトは紙ウエブから除去することができる水の量を制限する。これにより乾燥機セクションにおいて紙ウエブを乾燥させる時間を取るために機械の速度が遅くなる可能性がある。不均一に充満されたフェルトはシートからの不均一な水の除去をもたらし、水滴の筋、しわ及び紙ウエブの破断を引き起こす可能性もある。
【0032】
ワックス等の一部の疎水性物質は、水がフェルト内に入るのを防ぐ障壁層をフェルト表面に形成する可能性がある。粘着質又は粘着性の他の疎水性物質、例えばピッチ及び消泡剤油はフェルトの圧縮を増大させ、空隙容量を失わせることで、プレスフェルトに入ることができる水の量を制限し得る。プレスフェルト構造上の又はプレスフェルト構造内に埋め込まれた粒子状物質を含有する沈着物は、プレスフェルトの寿命を制限する摩耗問題を引き起こす可能性がある。デンプン、タンパク質及びヘミセルロース等の一部の親水性物質は実際にフェルト内の水及び他の沈着物質を捕捉し得るゲルの形態でフェルト内に存在する傾向があり、ユールボックスで除去することができる水の量を制限する。これらの親水性ゲルは、現在用いられているフェルトコンディショニング処理がそれらを妨げるのに非効果的であるため、フェルトにおいて特に問題となる。
【0033】
本発明のフェルトコンディショナーは、上記に例示されるように沈着物の形成を最小限に抑える及び/又はかかる沈着物を除去することによってフェルトの性能を向上させ、実効寿命を延ばす能力を有する。
【0034】
フェルトコンディショナーは、任意に紙の製造時にフェルトが紙ウエブと接触しないファブリック返送段階中にシャワー又は他の手段によって連続的又は断続的に製紙用フェルトに適用することができる。これらの処理は、動水力により化学物質のフェルトへの移動を助け、フェルトに充満する汚染物質を防ぎ、除去するのを助けるように、フェルトの内部又は機械側に低圧シャワーによって、多くの場合フェルトキャリアロールの直前に適用することができる。かかる処理は、汚染物質が初めてフェルトに到達する時点で処理が表面上に存在するように、同様のシャワーによってフェルトのシート側にユールボックスの後及びニップの前で適用することができる。
【0035】
フェルトコンディショナーは、フェルト上又はフェルト内の量が所望の効果を生じるのに十分であるような任意の方法でフェルトに適用することができる。フェルトコンディショナーはフェルトをシート接触段階と返送段階との間をベルト状に回転させながら、任意の時点でフェルトに適用することができる。例えば、フェルトコンディショナーはフェルト表面に直接吹き付け、刷毛塗り、ロール塗布又はパドル塗布することができる。フェルトコンディショナーは、フェルトキャリアロール等のフェルトと接触する様々な装置の表面に同様の手段によって適用することができる。この場合、フェルトコンディショナーはフェルトと処理した装置表面とが接触する際にフェルト表面に移される。フェルトの一部を、例えばフェルトがタンクを通過する際にフェルトコンディショナーがフェルト上又はフェルト内に吸収されるように、フェルト返送段階中にフェルトコンディショナーを含有するタンクを通過させることによってフェルトコンディショナーの溶液に浸漬することができる。フェルトコンディショナーは紙ウエブの作製前に紙料系に添加しても、又はフェルトとの接触の直前に紙ウエブに適用してもよい。フェルトコンディショナーはシートの水とともにフェルト内に入る。
【0036】
本発明のフェルトコンディショナーは、a)抄紙機に使用される乾燥機フェルト(複数の場合もある);b)抄紙機フォーミングファブリック(複数の場合もある);c)パルプ乾燥機(又はパルプ取り込み機若しくは紙ではなく市販パルプを製造する機械)上で使用されるフォーミングファブリック及び/又はプレスフェルト;d)円網抄紙機又は他のタイプの抄紙機上のフォーミングファブリック(複数の場合もある);e)パルプ工場又は製紙工場で使用されるスクリーン及び/又はクリーナーを洗浄又はコンディショニングするために使用することができる。
【0037】
任意の方法では、フェルトコンディショナーは未処理(neat)(不希釈)で又は希釈して溶剤/担体系に適用することができる。例えば、フェルトコンディショナーはフェルトに噴霧ミスト散布システムを用いて不希釈で適用し得る。フェルトコンディショナーは、フェルトの機械側及び/又はシート側で一般に使用される任意の様々な湿式低圧及び/又は高圧洗浄又は潤滑シャワーを用いてフェルトに適用することができる。シャワーは1インチ幅のフェルトにつき毎分約0.01ガロン〜約0.15ガロン又はそれ以上の速度でフェルトに適用することができる。湿式シャワーにおけるソルケタールの濃度は約0.1重量ppm〜約1000重量ppm(又はそれ以上)、又は約1重量ppm〜約200重量ppmであり得る。
【0038】
フェルトコンディショナーは、例えば紙の製造時にフェルトに断続的又は連続的に適用することができる。フェルトコンディショナーはフェルトの機械側若しくはフェルトのシート側のいずれか、又はその両方に適用することができる。フェルトコンディショナーは、例えばフェルトが連続的に移動し、どの時点でもフェルトの一部が紙の一部と同時に直接接触するように紙の作製時にフェルトに適用することができる。フェルトコンディショナーは、シートと機械側又はシート側で同時に接触していない領域においてフェルトのどの部位に適用してもよい。
【0039】
酸化剤(複数の場合もある)、酸(複数の場合もある)及び/又はアルカリ(複数の場合もある)が本発明のフェルトコンディショナー中に含有されていてもよい。その量はフェルトコンディショナーの全重量の約1 wt%〜約90 wt%であり得る。
【0040】
本発明のフェルトコンディショナーは1つ以上の酵素、1つ以上の配合助剤、1つ以上の安定剤及び/又は1つ以上の保存料を含有していてもよい。
【0041】
抄紙機による紙の製造時に酵素が物質に作用して、該物質を除去する及び/又は該物質がフェルト上若しくはフェルト内に沈着するのを妨げる助けとなるように抄紙機上のプレスフェルトに液体として適用し得る任意の酵素を使用することができる。酵素は細菌又は真菌起源に由来していても、又は修飾されていてもよい。酵素の例としては、リパーゼ、アミラーゼ、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ及び/又はプロテアーゼが挙げられる。
【0042】
少なくとも1つの希釈剤及び/又は保存料がフェルトコンディショナー中に存在していてもよい。例としては、水、アルコール(複数の場合もある)、塩(複数の場合もある)等が挙げられる。希釈剤及び/又は保存料の例としては、プロピレングリコール、ソルビトール、グリセロール、スクロース、マルトデキストリン、カルシウム塩、塩化ナトリウム、ホウ酸、ソルビン酸カリウム、メチオニン及びベンズイソチアゾリノンが挙げられるが、これらに限定されない。消泡剤及び/又は粘度調整剤が本発明のフェルトコンディショナー中に存在していてもよい。
【0043】
フェルトコンディショナー中に存在し得る付加的な構成成分の例としては、1つ以上の界面活性剤及び/又はカチオン性若しくはアニオン性分散剤若しくはポリマーが挙げられる。界面活性剤としては、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとを含有するブロックコポリマー、アルキルポリグリコシド、長鎖脂肪酸のポリエチレングリコールエステル、エトキシ化脂肪アミン、ベタイン、アンホアセテート、脂肪アルキルイミダゾリン(imidazolines)、アルキルアミドプロピルジメチルアミン、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、アルキルスルフェート、アルキルエトスルフェート、アルキルベンジルスルホネート、アルキルジフェニルオキシドジスルホネート、アルコールエトスルフェート及びリン酸エステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
カチオン性又はアニオン性分散剤又はポリマーの例としては、ナフタレンスルホネートホルムアルデヒド縮合物、アクリル酸ポリマー若しくはコポリマー、リグノスルホネート、ポリビニルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、又はエピクロルヒドリンとジメチルアミン、エチレンジアミン、ジメチルアミンプロピルアミン(propylamine)及びポリアルキレンポリアミンから選択される少なくとも1つのアミンとを反応させることによって得られるポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
ソルケタール以外に使用することができる他の付加的な成分の例が、米国特許第4,715,931号(Schellhamer)、国際公開第95/29292号(Duffy)、米国特許第4,895,622号(Barnett)、米国特許第4,861,429号(Barnett)、米国特許第5,167,767号(Owiti)、カナダ特許第2,083,404号(Owiti)、米国特許第5,520,781号(Curham)、米国特許第6,051,108号(O'Neal)、米国特許第5,575,893号(Khan)、米国特許第5,863,385号(Siebott)、米国特許第5,368,694号(Rohlf)、米国特許第4,995,994号(Aston)及び米国特許第6,171,445号(Hendriks)(各々の内容全体が引用することにより本明細書の一部をなす)に記載されている。
【0046】
非イオン界面活性剤の例としては、エチレンオキシド(EO)等のアルキレンオキシドと疎水性分子との様々な縮合生成物が挙げられるが、これに限定されない。疎水性分子の例としては、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、トリグリセリド、脂肪アミン、脂肪アミド、アルキルフェノール、多価アルコール及びそれらの部分脂肪酸エステルが挙げられる。他の例としては、ポリアルキレンオキシドブロックコポリマー、ポリアルキレンオキシドのエチレンジアミンテトラブロックコポリマー、及びアルキルポリグリコシドが挙げられる。例としては、アルコールが約C
10〜C
18の分岐又は直鎖である脂肪アルコールエトキシレートである非イオン界面活性剤、例えばSurfonic(商標) L(HuntsmanCorporation,Houston,Tex.)又はTDAシリーズ、Neodol(商標)シリーズ(ShellChemical Company,Houston,Tex.)及びTergitol(商標)シリーズ(Union Carbide Corporation,Danbury Conn.)が挙げられる。非イオン界面活性剤の他の例としては、アルキルフェノールエトキシレート、長鎖脂肪酸のポリエチレングリコールエステル、エトキシ化脂肪アミン、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロックを含有するポリマー、並びにアルキルポリグリコシドが挙げられる。
【0047】
界面活性剤の他の例には両性、陽イオン及び/又は陰イオン界面活性剤が含まれる。両性界面活性剤の例としては、ベタイン、スルタイン、アミノプロピオネート及びカルボキシル化イミダゾリン誘導体が挙げられる。両性界面活性剤(amphoterics)の例には約C
10〜C
18の脂肪アルキル鎖が含まれ、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、ナトリウムアルキルアンホアセテート及び二ナトリウムアルキルアンホジアセテートを挙げることができる。陽イオン界面活性剤の例としては、脂肪アルキルアミン、脂肪アルキルイミダゾリン、アミンオキシド、アミンエトキシレート、及び1つ〜4つの脂肪アルキル基を第四級窒素上に有する第四級アンモニウム化合物、又はジアルキルイミダゾリン第四級アンモニウム化合物が挙げられる。陽イオン界面活性剤の例には約C
10〜C
18の脂肪アルキル鎖が含まれ、脂肪アルキルイミダゾリン、アルキルアミドプロピルジメチルアミン、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド及びアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドが挙げられる。陰イオン界面活性剤の例としては、非イオン界面活性剤について前述した疎水性分子のスルフェート、スルホネート、リン酸エステル及びカルボキシレート、並びにそれらのエチレンオキシドとの縮合生成物が挙げられる。陰イオン界面活性剤の例としては、アルキルスルフェート、アルキルエトスルフェート、アルキルベンジルスルホネート、アルキルジフェニルオキシドジスルホネートのナトリウム塩、アンモニウム塩又はカリウム塩、及びアルコールエトキシレート又はアルキルフェノールエトキシレートのリン酸エステルの酸又は塩形態が挙げられる。
【0048】
アニオン性ポリマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、又はフマル酸、マレイン酸若しくは無水マレイン酸等の他の不飽和カルボニル化合物、及びそれらの中和形態をベースとするポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。これらの化合物はポリエチレングリコールアリルエーテル、アリルオキシヒドロキシプロパンスルホン酸、イソブチレン等のアルケン、及びスチレン等のビニル化合物のような化合物と共重合していてもよい。かかるポリマーは付加的にスルホン化していてもよい。アニオン性ポリマーの更なる例としては、ポリナフタレンスルホネートホルムアルデヒド縮合物及びスルホン化リグニンが挙げられる。アニオン性ポリマーの例としては、リグノスルホネート;約400〜4000の分子量を有するポリナフタレンスルホネートホルムアルデヒド縮合物、及び約1000〜100000の分子量を有するポリアクリル酸又はメタクリル酸ポリマー又はコポリマーが挙げられる。
【0049】
カチオン性ポリマーの例としては、アミン(第一級、第二級又は第三級)及び/又は第四級アンモニウム基を含有する水溶性カチオン性ポリマーが挙げられるが、これに限定されない。カチオン性ポリマーの例には、エピハロヒドリンと1つ以上のアミンとの間の反応によって得られるもの、アミン又は第四級アンモニウム基を含有するエチレン性不飽和モノマーに由来するポリマー、ジシアンジアミド−ホルムアルデヒド縮合物及びカチオン化(post cationized)ポリマーが含まれる。カチオン化ポリマーには、ジメチルアミン及びホルムアルデヒドでカチオン化されたポリアクリルアミドであり、続いて塩化メチル又は硫酸ジメチルで四級化されて(quaternized)いてもよいマンニッヒポリマーが含まれる。カチオン性ポリマーの例には、ポリビニルアミン及びポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドを含む不飽和のモノマーに由来するものが含まれる。カチオン性ポリマーの例には、エピクロルヒドリン(EPI)とジメチルアミン(DMA)、エチレンジアミン(EDA)、ジメチルアミンプロピルアミン及びポリアルキレンポリアミンから選択される少なくとも1つのアミンとを反応させることによって得られるものが含まれる。トリエタノールアミン及び/又はアジピン酸が反応中に含まれていてもよい。かかるポリマーは直鎖又は分岐であり、部分的に架橋していてもよく、好ましくは約1000〜約1000000の分子量の範囲である。
【0050】
本発明の例示を意図する以下の実施例によって、本発明を更に明確にする。
【実施例】
【0051】
実施例1
本発明のフェルトコンディショナーを評価するために、様々な試験を行い、汚れたフェルトサンプルを洗浄するその能力及び下記に更に記載する他の特性を決定した。
【0052】
具体的には、これらの実施例においては、フェルトコンディショナー配合物を水で希釈した1 wt%のソルケタールを用いて調製した。
【0053】
汚れたフェルトサンプルを準備するために、汚れたフェルトを民間製紙工場から入手し、これを吸水試験のために5×5 cmの正方形に切り、残りを濾過試験のために12×12 cmの正方形に切った。フェルトサンプルを50℃で2時間乾燥させた後、サンプルを秤量した。上記に示されるように、本発明のフェルトコンディショナー生成物の1 %(v/v)溶液を水中で調製した。次いで、正方形フェルトの一部を、900 mLの1 %フェルトコンディショナーにおよそ50 rpmで撹拌しながら50℃で2時間浸漬した。対照サンプルについては、付加的な正方形フェルトを900 mLの水のみにおいて同じ速度で撹拌しながら50℃で2時間使用した。これを「ブランク」とみなす。2時間後に、フェルトコンディショナー配合物又は水ブランクを取り出し、フェルトサンプルを水で十分にすすいだ後、105℃で30分間乾燥させた。
【0054】
その後、乾燥させたフェルトサンプル(本発明の処理を行ったもの又は対照)を、紙と接触する面を上にして水平に設置し、次いで1 mLの水を各フェルトサンプル上にピペットで垂らした。吸水に要する時間を記録した。この試験を5回繰り返し、平均吸水(秒)を得た。
【0055】
本発明について平均吸水は5.68秒であり、対照すなわちブランクサンプルについて平均吸水は1分超であった。本試験の一環として様々な市販のフェルトコンディショナー溶液も使用したが、種々の活性成分を含有する試験した市販の溶液のいずれも、本発明よりも速い吸水をもたらさなかったことが留意される。さらに、試験中に、本発明のフェルトコンディショナー配合物は臭気が著しく少なく、更にはるかに高い引火点を有することが認められた。
【0056】
吸水の結果から、汚れたフェルトが対照すなわちブランクサンプルに対して適切に洗浄されることが明らかに示される。
【0057】
濾過試験に関しては、指定のように付加的な12×12 cmの汚れた正方形フェルトを洗浄し、直径7.5 cmの円形に切った後、Dynamic Drainage Jar内に設置し、500 mLの水を満たした。フェルトを、バルブが開いている場合に水がフェルトを通過する必要があるようにジャー内に配置した。水がバルブを通ってジャーから流れ出るのにかかる時間を記録した。本発明では、濾過、すなわち500mLの水がジャーを出るのに要する時間は25.78秒であった。ブランクすなわち対照サンプルについては、この時間は5分超であった。さらに、市販のフェルトコンディショナー配合物と比較すると、本発明は短い濾過時間に関して顕著に良好とはいかないまでも良好であり、この場合も本発明の配合物によってコンディショニングしたフェルトサンプルが使用済みフェルトの洗浄に非常に効果的であることが反映された。
【0058】
最後に、他の5×5 cmフェルトサンプルを50℃で2時間乾燥させ、重量減少量を記録した。これらの付加的なフェルトサンプルを本発明の配合物で処理するか、又は対照とした。本質的に、沈着物重量減少試験は処理によって除去される沈着物の量を記録する方法である。本発明では、記録された重量減少は0.65 %であった(洗浄したフェルトの重量と処理前の元の汚れたフェルトの重量とを本質的に比較する)。
【0059】
他の民間製紙工場から入手した付加的なフェルトサンプルを上記と同様に更に試験したが、いずれの場合も、上記の実施例に記載される本発明のフェルトコンディショナーを用いた処理が、吸水試験及び濾過試験に関して特性の顕著な改善をもたらすことが留意される。
【0060】
実施例2
フェルト洗浄検査を紙ウエブの脱水に使用される産業用製紙機のプレスセクション上で行い、本発明のフェルトコンディショナーの性能を市販品と比較した。
【0061】
検査に使用した本発明のフェルトコンディショナー(「FC」)は表1に示す組成を有するものであった。
【0062】
【表1】
【0063】
表1中の構成成分は市販のものであった。構成成分1はソルケタール製品である。構成成分2は非イオン界面活性剤製品である。構成成分3はポリオキシエチレンラウリルエーテルである。フェルトコンディショナー(FC)は無色透明の液体であった。フェルトコンディショナー(FC)を検査のフェルト処理に使用する前に、水で1 %(v/v)溶液まで予め希釈した。
【0064】
比較のために、試験データを同じプレスセクションフェルトに対して使用した市販の分散剤製品について得た。これはBuckman Laboratories International, Inc.(Memphis,Tennessee)から市販されているBUSPERSE
(商標) 2281(「BSP 2281」)とした。
【0065】
検査のために、処理組成物(FC又はBUSPERSE
(商標) 2281)の添加点はフェルトプレス噴霧管とした。試験データをフェルトコンディショナー(FC)については連続23日間の生産ランタイム、BSP 2281については連続13日間の生産ランタイムにわたって収集した。適用戦略の他の特徴及び手順を表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】
真空圧レベルデータを、指定のコンディショナー組成物の各々について実施した検査において毎日、プレスセクションフェルトの前後で記録した。圧力値は全て同じ単位、例えばkPa単位で記録した。FCを用いる検査及びBSP 2281を用いる検査についての吸引前、1回目の上方吸引、1回目の下方吸引、2回目の上方吸引及び2回目の下方吸引プレスフェルト位置の平均真空圧値を表3に示す。
【0068】
【表3】
【0069】
表3の結果から、本発明のフェルトコンディショナー(FC)の使用が既存の生産高要件の制御に効果的であることが示される。さらに、試験した市販品と比較して、紙1トン当たりの本発明のフェルトコンディショナー(FC)の使用量は20 %減少する。これらの結果から、本発明のフェルトコンディショナーがフェルトの寿命を改善するために使用され得ることが示される。
【0070】
本発明は以下の態様/実施形態/特徴を任意の順序及び/又は任意の組合せで包含する:
1. 製紙又はパルプ製造プロセスにおいて利用されるファブリック、ベルト、フェルト又はスクリーンを洗浄又はコンディショニングする方法であって、該ファブリック、ベルト、フェルト又はスクリーンの少なくとも一部を、ソルケタールと任意に少なくとも1つの界面活性剤とを含む配合物で処理することを含む、方法。
2. 製紙プロセスにおいて利用される製紙用プレスフェルトを洗浄又はコンディショニングする方法であって、該製紙用プレスフェルトの少なくとも一部を、ソルケタールと任意に少なくとも1つの界面活性剤とを含む配合物で処理することを含む、方法。
3. 前記配合物が少なくとも1つの界面活性剤を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
4. 前記配合物が少なくとも1つの非イオン界面活性剤を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
5. 前記配合物が少なくとも1つの陰イオン界面活性剤を更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
6. 前記配合物が少なくとも1つの陽イオン界面活性剤を更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
7. 前記配合物が1つ以上の溶剤を更に含み、該1つ以上の溶剤がソルケタールではない、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
8. 前記コンディショニングが、前記製紙用プレスフェルトのフェルト構造上又はフェルト構造内での沈着物の沈着又は充満を妨げる、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
9. 前記処理が連続的である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
10. 前記処理が断続的である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
11. 前記配合物が1つ以上の付加的なフェルトコンディショニング化学物質、洗浄化学物質、又はその両方を更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
12. 基板を洗浄又はコンディショニングする方法であって、該基板を、ソルケタールを含む配合物で処理することを含む、方法。
13. 前記基板がパルプ製造機若しくは製紙機、又はその一部若しくはその表面である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
14. 前記基板がパルプ工場又は製紙工場において使用されるスクリーン又はクリーナーである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
15. 前記基板が乾燥機フェルト、抄紙機フォーミングファブリック、パルプ乾燥機上で使用されるファブリック若しくはフェルト、又は円網抄紙機上のフォーミングファブリックである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
16. 前記製紙用プレスフェルトが連続フェルトである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
17. 前記製紙用プレスフェルトが回転連続コンベヤーベルトを含み、前記配合物が該回転コンベヤーベルトの1回転当たりに少なくとも1回適用される、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
18. 前記処理が前記配合物を前記製紙用プレスフェルト上に吹き付けることを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
19. 前記処理が前記製紙用プレスフェルトを前記配合物中に浸すことを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
20. 前記配合物が少なくとも1つの酸、少なくとも1つの塩基又はそれらの組合せを更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
21. 前記配合物が少なくとも1つの界面活性剤、水若しくは他の希釈剤、又はその両方を更に含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
22. 前記配合物が約10 wt%〜約95 wt%の前記ソルケタールを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
23. 前記少なくとも1つの界面活性剤が、前記配合物の重量をベースとして約1 wt%〜約90 wt%の量で存在する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
【0071】
本発明は文及び/又は段落に記載される上記及び/又は下記のこれらの様々な特徴又は実施形態の任意の組合せを包含し得る。本明細書に開示される特徴の任意の組合せが本発明の一部であるとみなされ、組み合わせることができる特徴に関しては何ら限定を意図しない。
【0072】
出願人らはこの開示における全ての引用文献の全内容を具体的に援用する。さらに、量、濃度又は他の値若しくはパラメータが範囲、好ましい範囲、又は好ましい上限値と好ましい下限値とのリストのいずれかとして与えられる場合、これは範囲が別々に開示されているかに関わらず、任意の範囲上限又は好ましい値と任意の範囲下限又は好ましい値との任意の対からなる全ての範囲を具体的に開示するものと理解される。数値の範囲が本明細書で言及されている場合、特に指定のない限り、範囲はその端点、並びに範囲内の全ての整数及び端数を含むことが意図される。本発明の範囲は、範囲を規定する場合に言及された特定の値に限定されることは意図されない。
【0073】
本発明の他の実施形態は、本明細書の考察及び本明細書に開示される本発明の実施から当業者にとって明らかであろう。本明細書及び本実施例は単なる例示とみなされ、本発明の真の範囲及び趣旨は添付の特許請求の範囲及びその均等物により示されることが意図される。