特許第6684799号(P6684799)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6684799向上した光学特性を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂組成物、層、及び中間膜
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684799
(24)【登録日】2020年4月1日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】向上した光学特性を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂組成物、層、及び中間膜
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/30 20060101AFI20200413BHJP
   C08L 29/14 20060101ALI20200413BHJP
   C03C 27/12 20060101ALN20200413BHJP
【FI】
   B32B27/30 102
   C08L29/14
   !C03C27/12 D
【請求項の数】12
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2017-530619(P2017-530619)
(86)(22)【出願日】2015年12月4日
(65)【公表番号】特表2018-502948(P2018-502948A)
(43)【公表日】2018年2月1日
(86)【国際出願番号】US2015063907
(87)【国際公開番号】WO2016094220
(87)【国際公開日】20160616
【審査請求日】2018年12月3日
(31)【優先権主張番号】14/563,372
(32)【優先日】2014年12月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/563,347
(32)【優先日】2014年12月8日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503316891
【氏名又は名称】ソルティア・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100112634
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ファルハウディー,ヤルダ
(72)【発明者】
【氏名】リ,チョウ
【審査官】 岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−523449(JP,A)
【文献】 特開2001−206742(JP,A)
【文献】 特開平05−085782(JP,A)
【文献】 特開昭57−074348(JP,A)
【文献】 特開昭54−119550(JP,A)
【文献】 特開2001−316140(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0139520(US,A1)
【文献】 特開平04−254444(JP,A)
【文献】 米国特許第05190826(US,A)
【文献】 特開平10−025390(JP,A)
【文献】 特開2004−107143(JP,A)
【文献】 特開2002−326844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
C08L 29/14
C03C 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂;
第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量よりも少なくとも2重量%多いか又は少ない残留ヒドロキシル含量を有する第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂;及び
少なくとも1.460の屈折率を有する可塑剤;
を含む第1の樹脂層
を含み;
第1の樹脂層は第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として少なくとも0.5重量%の第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含み、第1の樹脂層は少なくとも1.480の屈折率を有し、
第1の樹脂層のガラス転移温度は少なくとも26℃であり、中間膜中の第1の樹脂層と接触している隣接する樹脂層を更に含み、隣接する樹脂層は他のポリ(ビニルアセタール)樹脂及び可塑剤を含み、他のポリ(ビニルアセタール)樹脂は第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量よりも少なくとも2重量%少ない残留ヒドロキシル含量を有し、隣接する樹脂層は25℃未満のガラス転移温度を有し、
5%未満の曇り度を有するポリマー中間膜。
【請求項2】
第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂が、第1及び第2の樹脂の合計重量を基準として少なくとも2.5重量%の量で第1の樹脂層中に存在する、請求項1に記載の中間膜。
【請求項3】
第1の樹脂層に含まれる第1又は第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂のうち残留ヒドロキシル含量が少ない方のガラス転移温度は25℃未満である、請求項1に記載の中間膜。
【請求項4】
第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計量は第1の樹脂層中に存在する全樹脂の合計重量の少なくとも50重量%であり、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂のそれぞれは第1の樹脂層中の全樹脂の合計重量を基準として少なくとも2.5重量%の量で第1の樹脂層中に存在し、第1の樹脂層は2%未満の曇り度を有する、請求項1に記載の中間膜。
【請求項5】
第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、第1の樹脂層内において、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方が第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の他方の中に分散して、それによって第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方のドメインが第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の他方の中に形成されるようにブレンドされている、請求項1に記載の中間膜。
【請求項6】
請求項1に記載の中間膜、及び少なくとも1つの硬質基材を含む多層パネル。
【請求項7】
少なくとも第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂、第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂、及び可塑剤をブレンドすることによって形成されるブレンドされた樹脂層;
を含み;
第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方は、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の他方の中に分散して、それによって第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方のドメインが第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の他方の中に形成されており;
ブレンドの前において、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の少なくとも1つは1.492より高い屈折率を有し;そして
ブレンドの後において、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の屈折率と第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の屈折率の間の差の絶対値は0.010以下であり、
第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂と第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量の間の差は少なくとも3重量%であり、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂と第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂のガラス転移温度の間の差は少なくとも3℃であり、中間膜は2%未満の曇り度を有する中間膜。
【請求項8】
第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は1.492より高い屈折率を有し、ブレンドされた樹脂はブレンドされた樹脂層中の樹脂の合計重量を基準として少なくとも0.5重量%の第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含み、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂は1.492未満の屈折率を有する、請求項に記載の中間膜。
【請求項9】
第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、及び2−エチルヘキサナールからなる群から選択される少なくとも1種類のアルデヒドの残基を含み、第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は少なくとも1種類の芳香族アルデヒドの残基を含む、請求項に記載の中間膜。
【請求項10】
第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂は少なくとも15重量%の残留ヒドロキシル含量を有し、ブレンドされた樹脂層の少なくとも一部は20℃以下のガラス転移温度を有する、請求項に記載の中間膜。
【請求項11】
中間膜はモノリス型中間膜である、請求項10に記載の中間膜。
【請求項12】
中間膜はブレンドされた樹脂層に隣接する第2の樹脂層を更に含む、請求項に記載の中間膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明はポリマー樹脂に関し、特に多層パネルにおいて用いられるものなどのポリマー中間膜において用いるのに好適なポリマー樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]ポリ(ビニルブチラール)(PVB)は、例えば安全ガラス又はポリマー積層体のような光透過性積層体などの多層パネルにおいて中間膜として用いることができるポリマーシートの製造においてしばしば用いられている。PVBはまた、光起電ソーラーパネルにおいて、商業用途及び住居用途の電力を生成及び供給するのに用いるパネルを封入するためにも用いられている。
【0003】
[0003]安全ガラスとは、一般にガラスの2つのシートの間に配置されている少なくとも1つのポリマーシート又は中間膜を含む透明な積層体を指す。安全ガラスは建築用途及び自動車用途において透明バリヤとしてしばしば用いられており、その主要な機能の1つは、物体がガラスを貫通することなく衝撃又は打撃から生成するエネルギーを吸収し、加えられる力がガラスを破壊するのに十分である場合においてもガラスを結合した状態に維持することである。これによって鋭利なガラスの破片が分散するのが回避され、囲まれた領域内の人又は物体に対する損傷及び損害が最小になる。安全ガラスはまた、紫外(UV)及び/又は赤外(IR)放射線の減少のような他の利益を与えることもでき、これはまた、色、テクスチャーなどを加えることによって窓の開口部の美的外観を向上させることもできる。更に、より静かな内部空間をもたらす所望の音響特性を有する安全ガラスも製造されている。
【0004】
[0004]音響性能のような望ましい特性の組を示すポリマーは、しばしば耐衝撃性又は強度のような他の所望の特性に欠けている。したがって、複数の特性の望ましい組み合わせを達成するために、多層ポリマー中間膜が用いられている。これらの多層中間膜には、2つの外側の「スキン」層の間にサンドイッチされている少なくとも1つの内側の「コア」層を含ませることができる。しばしば、中間膜のコア層は、より低いガラス転移温度を有するより軟質の層にすることができ、これによってその音響性能が向上する。しかしながら、かかる樹脂層は容易に加工及び/又は輸送するのが困難である可能性があるので、しばしばかかる多層中間膜のスキン層をより硬質のより高いガラス転移温度を有するものにして、これにより中間膜に向上した加工性、強度、及び耐衝撃性を与えている。
【0005】
[0005]しかしながら、異なる特性を有する種々の層を用いると、中間膜内に光学欠陥を生成させる可能性もある。例えば、これらのタイプの多層中間膜に共通の1つの欠陥は色斑である。色斑は、通常は最終構造体における不均一な染み又はテクスチャーとして現れる好ましくない形態の光学的歪み又は視覚的欠陥である。色斑は、個々の層が異なる屈折率を有する軟質層と硬質層の間の界面における小規模の表面変動によって引き起こされる。明澄度は、中間膜又はパネル内の曇り度のレベルを測定することによって求められる他の重要な光学特性である。高い曇り度は、通常は異なるタイプの光学的に適合しないポリマー及び/又は可塑剤をブレンド又は混合する場合に生じる。かかる混合物においては、ブレンドを通過する光は異なるポリマー材料の領域に出会うと散乱して、その結果、曇った視覚的に明澄でない外観が与えられる。高明澄度のポリマー及び中間膜は、非常に低い曇り度を有するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]而して、耐衝撃性及び音響性能などの他の特性を犠牲にすることなく、減少した曇り度及び色斑、並びに向上した明澄度のような望ましい光学特性を示すポリマー樹脂、樹脂層、及び中間膜に対する必要性が存在する。かかる中間膜はモノリス型又は多層型であってよく、安全ガラス及びポリマー積層体などの広範囲の用途において用いることができなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]本発明の一態様は、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂、及び第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量よりも少なくとも2重量%多いか又は少ない残留ヒドロキシル含量を有する第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含む第1の樹脂層を含み、第1の樹脂層は第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として少なくとも0.5重量%の第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含み、第1の樹脂層は少なくとも1.480の屈折率を有するポリマー中間膜に関する。
【0008】
[0008]本発明の他の態様は、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量よりも少なくとも2%少ない残留ヒドロキシル含量を有する第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂、及び、少なくとも1.460の屈折率を有する少なくとも1種類の可塑剤を含み、第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として少なくとも0.5重量%の量で樹脂組成物中に存在し、樹脂組成物は5%以下の曇り度を有するポリマー樹脂組成物に関する。
【0009】
[0009]本発明の更に他の態様は、第1のヒドロキシル含量を有する第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含む第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂組成物、及び第1のヒドロキシル含量よりも少なくとも2%少ない第2のヒドロキシル含量を有する第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含む第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂組成物を与え;第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂組成物と第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂組成物をブレンドしてブレンドされた樹脂組成物を形成し;ブレンドされた樹脂組成物からブレンドされた樹脂層を形成する工程を含み、ここで第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として少なくとも約0.5重量%の量でブレンドされた樹脂層中に存在し、ブレンドされた樹脂層は少なくとも1.480の屈折率を有する、中間膜を製造する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0010]本発明の種々の態様による樹脂組成物、層、及び中間膜には、1種類以上の熱可塑性ポリマー、及び屈折率(RI)調整剤(balancing agent)を含ませることができる。本明細書において用いる「屈折率調整剤」又は「RI調整剤」という用語は、少なくとも1つの樹脂又は層の屈折率を調節するために組成物、層、又は中間膜中に含ませる任意の成分又は添加剤を指す。RI調整剤は、中間膜内の樹脂又は層の少なくとも1つの屈折率を増加又は減少させることができ、これによって色斑、曇り度、及び/又は明澄度などの中間膜の光学特性を、RI調整剤を用いないで形成される同じ中間膜と比べて向上させることができる。
【0011】
[0011]本明細書において用いる「ポリマー樹脂組成物」及び「樹脂組成物」という用語は、1種類以上のポリマー樹脂を含む組成物を指す。ポリマー組成物には、場合によって可塑剤及び/又は他の添加剤のような他の成分を含ませることができる。本明細書において用いる「ポリマー樹脂層」及び「樹脂層」という用語は、ポリマーシートに成形された、場合によって1種類以上の可塑剤と混合した1種類以上のポリマー樹脂を指す。ここでも、樹脂層に更なる添加剤を含ませることができるが、これらは必須ではない。本明細書において用いる「中間膜」という用語は、多層パネルを形成するために少なくとも1つの硬質基材と共に用いるのに好適な単層又は多層ポリマーシートを指す。「単一シート」中間膜及び「モノリス型」中間膜という用語は、1つの単一の樹脂シートから形成される中間膜を指し、一方、「複数層」及び「多層」中間膜という用語は、共押出、積層、又は他の形態で互いと結合されている2以上の樹脂シートを有する中間膜を指す。
【0012】
[0012]ここに記載する樹脂組成物、層、及び中間膜には、1種類以上の熱可塑性ポリマーを含ませることができる。好適な熱可塑性ポリマーの例としては、ポリ(ビニルアセタール)樹脂、ポリウレタン(PU)、ポリ(エチレン−co−ビニル)アセテート(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ(塩化ビニル−co−メタクリレート)、ポリエチレン、ポリオレフィン、エチレンアクリレートエステルコポリマー、ポリ(エチレン−co−ブチルアクリレート)、シリコーンエラストマー、エポキシ樹脂、並びに上記に示した任意のポリマーから誘導されるエチレン/カルボン酸コポリマー及びそのイオノマーのような酸コポリマー、並びにこれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。幾つかの態様においては、熱可塑性ポリマーは、ポリ(ビニルアセタール)樹脂、ポリ塩化ビニル、及びポリウレタンからなる群から選択することができ、或いは樹脂には1種類以上のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含ませることができる。ここではポリ(ビニルアセタール)樹脂に関して記載するが、上記のポリマー樹脂の1以上を、本発明の種々の態様にしたがって下記に記載するポリ(ビニルアセタール)樹脂と共に、又はこれに代えて含ませることができることを理解すべきである。
【0013】
[0013]ここに記載する樹脂組成物、層、及び中間膜がポリ(ビニルアセタール)樹脂を含む場合には、ポリ(ビニルアセタール)樹脂は任意の好適な方法にしたがって形成することができる。ポリ(ビニルアセタール)樹脂は、ポリビニルアルコールを酸触媒の存在下で1種類以上のアルデヒドによってアセタール化することによって形成することができる。得られる樹脂は、次に、例えば米国特許第2,282,057号明細書及び米国特許第2,282,026号明細書、並びに"Vinyl Acetal Polymers", Encyclopedia of Polymer Science & Technology, 3版, vol.8, p.381-399, B.E. Wade (2003)に記載されているもののような公知の方法にしたがって分離し、安定化し、乾燥することができる。得られるポリ(ビニルアセタール)樹脂は、他に示していない限りにおいては、ASTM−D1396にしたがって測定して少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%の全アセタール化%を有していてよい。ポリ(ビニルアセタール)樹脂中のアルデヒド残基の全量はアセタール成分として総称することができ、ポリ(ビニルアセタール)樹脂の残りは残留ヒドロキシル及び残留アセテート基であり、これは下記において更に詳細に議論する。
【0014】
[0014]幾つかの態様によれば、本樹脂組成物、層、又は中間膜には、少なくとも1種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含ませることができ、これは組成物、層、又は中間膜中の全樹脂の合計重量を基準として少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、又は少なくとも約45重量%の量で組成物、層、又は中間膜中に存在させることができる。全体として、少なくとも1種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、全樹脂の合計重量を基準として、組成物、層、又は中間膜の少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、又は少なくとも約80重量%を構成させることができる。幾つかの態様においては、少なくとも1種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂以外の樹脂の量は、全樹脂の合計重量を基準として約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約2重量%以下、又は約1重量%以下であってよい。
【0015】
[0015]幾つかの態様においては、本樹脂組成物、層、又は中間膜には、少なくとも第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含ませることができ、これらのそれぞれは、組成物、層、又は中間膜中の全樹脂の合計重量を基準として少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、又は少なくとも約45重量%の量で組成物、層、又は中間膜中に存在させることができる。全体として、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、全樹脂の合計重量を基準として、組成物、層、又は中間膜の少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、又は少なくとも約80重量%を構成させることができる。幾つかの態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂以外の樹脂の量は、全樹脂の合計重量を基準として約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約2重量%以下、又は約1重量%以下であってよい。
【0016】
[0016]幾つかの態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方は、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として12重量%未満の量で組成物、層、又は中間膜中に存在させることができる。例えば、第1又は第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約1.5重量%、少なくとも約2重量%、少なくとも約2.5重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約3.5重量%、少なくとも約4重量%、少なくとも約4.5重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約5.5重量%、少なくとも約6重量%、少なくとも約6.5重量%、少なくとも約7重量%、及び/又は約12重量%以下、約11.5重量%以下、約11重量%以下、約10.5重量%以下、約10重量%以下、約9.5重量%以下、約9重量%以下、約8.5重量%以下、約8重量%以下、約7.5重量%以下の量で、組成物、層、又は中間膜中に存在させることができる。幾つかの態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方は、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として約0.5重量%〜約12重量%、約1.5重量%〜約11.5重量%、約2重量%〜約11重量%、約2.5重量%〜約10重量%の範囲の量で、組成物、層、又は中間膜中に存在させることができる。
【0017】
[0017]第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂には、任意の好適なアルデヒドの残基を含ませることができ、幾つかの態様においては、少なくとも1種類のC〜C10アルデヒド、少なくとも1種類のC〜Cアルデヒドの残基を含ませることができる。好適なC〜Cアルデヒドの例としては、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、2−メチルバレルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、及びこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の少なくとも一方に、樹脂のアルデヒド残基の全重量を基準として少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、又は少なくとも約70重量%の少なくとも1種類のC〜Cアルデヒドの残基を含ませることができ、及び/又は約90重量%以下、約85重量%以下、約80重量%以下、約75重量%以下、約70重量%以下、又は約65重量%以下の少なくとも1種類のC〜Cアルデヒド、或いは約20重量%〜約90重量%、約30重量%〜約80重量%、又は約40重量%〜約70重量%の範囲の少なくとも1種類のC〜Cアルデヒドを含ませることができる。C〜Cアルデヒドは上記に示した群から選択することができ、或いはこれはn−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、及びこれらの組合せからなる群から選択することができる。
【0018】
[0018]種々の態様においては、第1及び/又は第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、ポリビニルn−ブチラール(PVB)樹脂であってよい。他の態様においては、第1及び/又は第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、主としてn−ブチルアルデヒドの残基を含み、例えば樹脂の全アルデヒド残基の合計重量を基準として約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、又は約2重量%以下のn−ブチルアルデヒド以外のアルデヒドの残基を含んでいてよいポリ(ビニルn−ブチラール)樹脂であってよい。第1及び/又は第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂がPVB樹脂である場合には、樹脂の分子量は、Cotts及びOuanoの低角レーザー光散乱(SEC/LALLS)法を用いてサイズ排除クロマトグラフィーによって測定して少なくとも約50,000ダルトン、少なくとも約70,000ダルトン、少なくとも約100,000ダルトン、及び/又は約600,000ダルトン以下、約550,000ダルトン以下、約500,000ダルトン以下、約450,000ダルトン以下、又は425,000ダルトン以下であってよい。本明細書において用いる「分子量」という用語は重量平均分子量(M)を指す。第1及び/又は第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の分子量は、約50,000ダルトン〜約600,000ダルトン、約70,000ダルトン〜約450,000ダルトン、又は約100,000ダルトン〜約425,000ダルトンの範囲であってよい。
【0019】
[0019]ここでは概して第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂に関して記載するが、幾つかの態様においては第1及び第2のアセタール基を含む同等の単一のポリ(ビニルアセタール)樹脂を第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂に代えて用いて同様の結果を得ることができることを理解すべきである。本明細書において用いる「ポリ(ビニルアセタール)樹脂組成物」という用語は、樹脂のブレンド中に存在する個々のポリ(ビニルアセタール)樹脂を指す場合があり、或いは単一のポリ(ビニルアセタール)樹脂上に存在するアセタール基を指す場合がある。種々の態様においては、層、中間膜、又はブレンド中における第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂成分と第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂成分との量の重量比は、約0.5:99.5〜約99.5:0.5、約1:99〜99:1、約10:90〜約90:10、約25:75〜約75:25、又は約40:60〜約60:40の範囲であってよい。
【0020】
[0020]幾つかの態様においては、少なくとも1つの樹脂組成物、層、又は中間膜に、少なくとも第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂成分及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂成分を含ませることができる。幾つかの態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂成分に第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含ませることができ、これを物理的に混合して樹脂ブレンドを形成することができ、これを1以上の可塑剤又は他の添加剤と混合して、ブレンドされた樹脂層又は中間膜を与えることができる。他の態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂成分は、それぞれ単一のポリ(ビニルアセタール)樹脂中の第1及び第2のアセタール部分として存在させることができる。樹脂ブレンドと同様に、この単一の「複合」ポリ(ビニルアセタール)樹脂は、場合によっては可塑剤とブレンドして樹脂層及び中間膜中において用いることができる。
【0021】
[0021]幾つかの態様においては、樹脂成分がポリ(ビニルアセタール)樹脂を含む場合には、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、第1及び第2の樹脂の一方が第1及び第2の樹脂の他方の中に分散されて、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方のドメインを第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の他方の中に形成することができるようにブレンドすることができる。かかるブレンドされた樹脂は単一層の中間膜として用いることができ、或いはこれは1以上の隣接する層と組み合わせて多層中間膜を形成することができる。他の態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を多層中間膜の隣接する層の中に存在させて、中間膜の複数の層の1つが第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含み、中間膜の他の層が第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含むようにすることができる。また、複数の層の少なくとも1つに隣接して更なる層を存在させることもできる。
【0022】
[0022]本発明の種々の態様による樹脂組成物、層、及び中間膜には、少なくとも1種類の可塑剤を更に含ませることができる。組成物、層、又は中間膜における1種類又は複数の樹脂の特定の組成に応じて、可塑剤は、樹脂100部あたりの部(phr)で少なくとも約5phr、少なくとも約10phr、少なくとも約15phr、少なくとも約20phr、少なくとも約25phr、少なくとも約30phr、少なくとも約35phr、少なくとも約40phr、少なくとも約45phr、少なくとも約50phr、少なくとも約55phr、少なくとも約60phr、及び/又は約120phr以下、約110phr以下、約105phr以下、約100phr以下、約95phr以下、約90phr以下、約85phr以下、約75phr以下、約70phr以下、約65phr以下、約60phr以下、約55phr以下、約50phr以下、約45phr以下、又は約40phr以下、或いは約5phr〜約120phr、約10phr〜約110phr、約20phr〜約90phr、又は約25phr〜約75phrの範囲の量で存在させることができる。具体的な態様は下記において詳細に議論する。
【0023】
[0023]本明細書において用いる「樹脂100部あたりの部」又は「phr」という用語は、重量基準で樹脂100部に対して存在する可塑剤の量を指す。例えば、30gの可塑剤を100gの樹脂に加えた場合には、可塑剤は30phrの量で存在する。樹脂組成物、層、又は中間膜が2種類以上の樹脂を含む場合には、可塑剤の重量を存在する全樹脂の合計量と比較して樹脂100部あたりの重量部を求める。更に、本明細書において層又は中間膜の可塑剤含量が与えられている場合には、これは層又は中間膜を製造するために用いた混合物又は溶融体中の可塑剤の量に関して与えられている。
【0024】
[0024]好適な可塑剤の例としては、トリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)(3GEH)、トリエチレングリコールジ(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)(4−GEH)、ジヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、ヘキシルシクロヘキシルアジペート、ジイソノニルアジペート、ヘプチルノニルアジペート、ジ(ブトキシエチル)アジペート、及びビス(2−(2−ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、ジブチルセバケート、ジオクチルセバケート、並びにこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。可塑剤は、トリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)及びテトラエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)からなる群から選択することができ、或いは可塑剤はトリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)を含んでいてよい。
【0025】
[0025]幾つかの態様によれば、ここに記載する組成物、層、及び中間膜中の第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は異なる組成を有していてよい。例えば幾つかの態様においては、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量及び/又は残留アセテート含量よりも少なくとも約2重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約4重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約6重量%、又は少なくとも約8重量%多いか又は少ない残留ヒドロキシル含量及び/又は残留アセテート含量を有していてよい。本明細書において用いる「残留ヒドロキシル含量」及び「残留アセテート含量」という用語は、それぞれ処理が完了した後に樹脂上に残留しているヒドロキシル及びアセテート基の量を指す。例えば、ポリビニルn−ブチラールは、ポリ酢酸ビニルをポリビニルアルコールに加水分解し、次にポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドによってアセタール化してポリビニルn−ブチラールを形成することによって製造することができる。ポリ酢酸ビニルを加水分解するプロセスにおいては、全てのアセテート基がヒドロキシル基に転化する訳ではなく、残留アセテート基が樹脂上に残留する。同様に、ポリビニルアルコールをアセタール化するプロセスにおいては、全てのヒドロキシル基がアセタール基に転化する訳ではなく、同様に樹脂上に残留ヒドロキシル基が残留する。その結果、殆どのポリ(ビニルアセタール)樹脂は、ポリマー鎖の一部として、残留ヒドロキシル基(ビニルヒドロキシル基として)、及び残留アセテート基(酢酸ビニル基として)の両方を含む。残留ヒドロキシル含量及び残留アセテート含量は、ポリマー樹脂の重量を基準とする重量%で表され、他に示していない限りにおいてASTM−D1396にしたがって測定される。
【0026】
[0026]また、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量の間の差は、少なくとも約2重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、又は少なくとも約30重量%であってもよい。本明細書において用いる「・・・重量%異なる」又は「差は・・・少なくとも・・・重量%である」という用語は、1つの数値を他のものから減じることによって算出される2つの与えられた重量%の間の差を指す。例えば、12重量%の残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂は、14重量%の残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂よりも2重量%少ない残留ヒドロキシル含量を有する(14重量%−12重量%=2重量%)。本明細書において用いる「差」という用語は、他の値よりも多いか又は少ない値を指すことができる。
【0027】
[0027]第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の少なくとも一方は、少なくとも約14重量%、少なくとも約14.5重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約15.5重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約16.5重量%、少なくとも約17重量%、少なくとも約17.5重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約18.5重量%、少なくとも約19重量%、少なくとも約19.5重量%、及び/又は約45重量%以下、約40重量%以下、約35重量%以下、約33重量%以下、約30重量%以下、約27重量%以下、約25重量%以下、約22重量%以下、約21.5重量%以下、約21重量%以下、約20.5重量%以下、又は約20重量%以下、或いは約14重量%〜約45重量%、約16重量%〜約30重量%、約18重量%〜約25重量%、約18.5重量%〜約20重量%、又は約19.5重量%〜約21重量%の範囲の残留ヒドロキシル含量を有していてよい。
【0028】
[0028]他のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、少なくとも約8重量%、少なくとも約9重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも11重量%、及び/又は約16重量%以下、約15重量%以下、約14.5重量%以下、約13重量%以下、約11.5重量%以下、約11重量%以下、約10.5重量%以下、約10重量%以下、約9.5重量%以下、又は約9重量%以下、或いは約8重量%〜約16重量%、約9重量%〜約15重量%、又は約9.5重量%〜約14.5重量%の範囲の残留ヒドロキシル含量を有していてよく、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量の間の差が上述したように少なくとも約2重量%になるように選択することができる。また、1種類以上の他のポリ(ビニルアセタール)樹脂を樹脂組成物、層、又は中間膜中に存在させることもでき、これらは上記に与えた範囲内の残留ヒドロキシルを有していてよい。更に、1種類以上の他のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量は、第1及び/又は第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量と同一又は異なっていてよい。
【0029】
[0029]幾つかの態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の少なくとも一方は、他方と異なる残留アセテート含量を有していてよい。例えば幾つかの態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留アセテート含量の間の差は、少なくとも約2重量%、少なくとも約3重量%、少なくとも約4重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約10重量%であってよい。ポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方は、上記に記載のように測定して約4重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下、又は約1重量%以下の残留アセテート含量を有していてよい。幾つかの態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の少なくとも一方は、少なくとも約5重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約16重量%、少なくとも約18重量%、少なくとも約20重量%、又は少なくとも約30重量%の残留アセテート含量を有していてよい。第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の間の残留アセテート含量の差は上記に与えた範囲内であってよく、或いはこの差は約3重量%未満、約2重量%以下、約1重量%以下、又は約0.5重量%以下であってよい。樹脂組成物又は中間膜中に存在する更なるポリ(ビニルアセタール)樹脂は、第1及び/又は第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留アセテート含量と同じか又は異なる残留アセテート含量を有していてよい。
【0030】
[0030]幾つかの態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量の間の差は、約2重量%未満、約1重量%以下、約0.5重量%以下であってよく、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の間の残留アセテート含量の差は、少なくとも約3重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、又は少なくとも約30重量%であってよい。他の態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留アセテート含量の差は、約3重量%未満、約2重量%以下、約1重量%以下、又は約0.5重量%以下であってよく、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量の差は、少なくとも約2重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、又は少なくとも約30重量%であってよい。
【0031】
[0031]種々の態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル及び/又は残留アセテート含量の差は、最終の組成物、層、又は中間膜に対して強度、耐衝撃性、貫通抵抗性、加工性、又は音響性能のような幾つかの性能特性を制御又は与えるように選択することができる。例えば、通常は約16重量%より大きなより多い残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂は、樹脂組成物又は層に対する高い耐衝撃性、貫通抵抗性、及び強度を促進することができ、一方、通常は16重量%未満の残留ヒドロキシル含量を有するより少ないヒドロキシル含量の樹脂は、中間膜又はブレンドの音響性能を向上させることができる。
【0032】
[0032]より多いか又はより少ない残留ヒドロキシル含量及び/又は残留アセテート含量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂にはまた、少なくとも1種類の可塑剤と混合する場合に、最終的に異なる量の可塑剤を含ませることができる。その結果、異なる組成を有する第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂から形成される層又はドメインは、単一の樹脂層又は中間膜において異なる特性を有することもできる。理論によって縛られることは望まないが、与えられた可塑剤とポリ(ビニルアセタール)樹脂との相溶性は、少なくとも部分的にポリマーの組成、及び特にその残留ヒドロキシル含量によって定まる可能性があると推定される。概して、より多い残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂は、より少ない残留ヒドロキシル含量を有する同様の樹脂と比べて与えられた可塑剤に対してより低い相溶性(又は容量)を示す傾向がある。その結果、より多い残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂は、より少ない残留ヒドロキシル含量を有する同様の樹脂よりも可塑化されず、より高い剛軟性を示す傾向がある。これとは逆に、より少ない残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂は、与えられた可塑剤によって可塑化した際により多い量の可塑剤を含める傾向を示す可能性があり、これによってより多い残留ヒドロキシル含量を有する同様の樹脂よりも低いガラス転移温度を示すより軟質の樹脂層を与えることができる。特定の樹脂及び可塑剤に応じて、これらの傾向は逆転する可能性がある。
【0033】
[0033]異なるレベルの残留ヒドロキシル含量を有する2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂を可塑剤とブレンドすると、可塑剤を樹脂層又はドメインの間に分配して、より少ない残留ヒドロキシル含量を有する層又はドメイン中により多い可塑剤を存在させることができ、より多い残留ヒドロキシル含量を有する層又はドメイン中により少ない可塑剤を存在させることができる。最終的には、2つの樹脂の間に平衡状態が達成される。ポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量と可塑剤相溶性/容量との間の相関関係によって、ポリマー樹脂に適当な量の可塑剤を加えることを容易にすることができる。また、かかる相関関係によって、可塑剤を他の形態で樹脂の間で移動させる際に2以上の樹脂の間の可塑剤含量の差を安定に維持することも促進される。
【0034】
[0034]幾つかの態様においては、樹脂層又は中間膜には、少なくとも、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂及び第1の可塑剤を含む第1の樹脂層、並びに第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂及び第2の可塑剤を含む、第1の樹脂層に隣接する第2の樹脂層を含ませることができる。第1の可塑剤と第2の可塑剤は同じタイプの可塑剤であってよく、或いは第1の可塑剤と第2の可塑剤は異なっていてよい。幾つかの態様においては、第1及び第2の可塑剤の少なくとも一方は2種類以上の可塑剤のブレンドであってもよく、これは1以上の他の可塑剤と同一又は異なっていてよい。第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方が、他方の残留ヒドロキシル含量よりも少なくとも2重量%多いか又は低い残留ヒドロキシル含量を有する場合には、樹脂層の間の可塑剤含量の差は、少なくとも約2phr、少なくとも約5phr、少なくとも約8phr、少なくとも約10phr、少なくとも約12phr、又は少なくとも約15phrであってよい。殆どの態様においては、より低いヒドロキシル含量を有する樹脂を含む樹脂層は、より多い可塑剤含量を有していてよい。樹脂層又は中間膜の他の特性を制御又は維持するためには、第1及び第2の樹脂層の間の可塑剤含量の差は、約40phr以下、約30phr以下、約25phr以下、約20phr以下、又は約17phr以下であってよい。他の態様においては、第1及び第2の樹脂層の間の可塑剤含量の差は、少なくとも約40phr、少なくとも約50phr、少なくとも約60phr、又は少なくとも約70phrであってよい。
【0035】
[0035]その結果、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を多層中間膜の隣接する層の中に存在させる幾つかの態様においては、第1及び第2の樹脂層は異なるガラス転移温度を示していてよい。同様に、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂をブレンド中に存在させる場合には、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方のドメインは、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の他方と異なるガラス転移温度を示していてよい。ガラス転移温度又はTは、ポリマーのガラス状態からゴム状態への転移を示す温度である。ここに記載する樹脂及び層のガラス転移温度は、動的機械熱分析(DTMA)によって求めた。DTMAは、試料の貯蔵(弾性)係数(G’)(パスカル)、損失(粘性)係数(G”)(パスカル)、及びtanδ(G”/G’)を、与えられた振動数及び温度スイープ速度において温度の関数として測定する。次に、温度スケールでのtanδピークの位置によってガラス転移温度を求める。ここに与えるガラス転移温度は、1Hzの振動数において、剪断モード下、3℃/分の温度スイープ速度で求めた。
【0036】
[0036]第1の樹脂層と第2の樹脂層、又はブレンドされた樹脂又は樹脂層の種々の領域の間のガラス転移温度の差は、少なくとも約3℃、少なくとも約5℃、少なくとも約8℃、少なくとも約10℃、少なくとも約12℃、少なくとも約15℃、少なくとも約18℃、少なくとも約20℃、少なくとも約22℃、又は少なくとも約25℃であってよい。第1及び第2の樹脂層の一方は、少なくとも約26℃、少なくとも約28℃、少なくとも約30℃、少なくとも約33℃、少なくとも約35℃、及び/又は約70℃以下、約65℃以下、約60℃以下、約55℃以下、約50℃以下、或いは約26℃〜約70℃、約30℃〜約60℃、約35℃〜約50℃の範囲のガラス転移温度を有していてよい。第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の他方は、25℃以下、約20℃以下、約15℃以下、約10℃以下、約5℃以下、約0℃以下、約−5℃以下、又は約−10℃以下のガラス転移温度を有していてよい。
【0037】
[0037]第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を互いとブレンドして一方の樹脂のドメインが他方の中に分散されるようにする場合には、第1及び第2の樹脂のドメインの間に可塑剤含量及び/又はガラス転移温度のかかる差を存在させることもできる。例えば幾つかの態様においては、樹脂層又は中間膜に、上記に記載したように、より多いか又はより低い可塑剤含量の種々のドメイン、及び/又はより高いか又はより低いガラス転移温度を有するドメインを含ませることができる。幾つかの態様においては、樹脂層又は中間膜の少なくとも一部は、少なくとも約26℃、少なくとも約28℃、少なくとも約30℃、少なくとも約33℃、少なくとも約35℃、及び/又は約70℃以下、約65℃以下、約60℃以下、約55℃以下、約50℃以下、或いは約26℃〜約70℃、約28℃〜約60℃、約35℃〜約50℃の範囲のガラス転移温度を有していてよく、及び/又は樹脂層又は中間膜の少なくとも一部は、25℃以下、約20℃以下、約15℃以下、約10℃以下、約5℃以下、約0℃以下、約−5℃以下、又は−10℃以下のガラス転移温度を有していてよい。
【0038】
[0038]ここに記載する1以上の樹脂ブレンド、層、及び中間膜に種々の他の添加剤を含ませて、中間膜に特定の特性又は特徴を与えることができる。かかる添加剤としては、染料、顔料、安定剤、例えば紫外線安定剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、IR吸収剤又は遮断剤、例えばインジウムスズオキシド、アンチモンスズオキシド、六ホウ化ランタン(LaB)、及びセシウムタングステンオキシド、加工助剤、流動向上添加剤、潤滑剤、耐衝撃性改良剤、成核剤、熱安定剤、UV吸収剤、分散剤、界面活性剤、キレート剤、カップリング剤、接着剤、プライマー、強化添加剤、及び充填剤を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0039】
[0039]更に、本発明の中間膜において種々の接着制御剤(ACA)を用いて、ガラスへのシートの接着性を制御することができる。種々の態様においては、樹脂組成物、層、又は中間膜中に存在させるACAの量は、少なくとも約0.003phr、少なくとも約0.01phr、少なくとも約0.025phr、及び/又は約0.15phr以下、約0.10phr以下、又は約0.04phr以下、或いは約0.003phr〜約0.15phr、約0.01phr〜約0.10phr、又は約0.025phr〜約0.04phrの範囲であってよい。好適なACAとしては、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、マグネシウムビス(2−エチルブチレート)、マグネシウムビス(2−エチルヘキサノエート)、及びこれらの組み合わせ、並びに米国特許第5,728,472明細書において開示されているACAを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0040】
[0040]異なる組成を有する樹脂、及び異なる特性を有する可塑化樹脂層はまた異なる屈折率を示す傾向があり、これによって得られる層又はブレンドの光学品質が低下する可能性がある。理論によって縛られることは望まないが、屈折率のかかる差によって、異なる樹脂層又はドメインを通過する光が異なる方向に屈折する可能性があり、これにより最終生成物において曇りを引き起こす可能性がある。時には、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂又は層の屈折率と第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂又は層の屈折率の間の差の絶対値は、ASTM−D542にしたがって589nmの波長及び25℃において測定して0.010を超える可能性がある。その結果、これらの組成物、層、又は中間膜は、5%より高い曇り度及び/又は3より高い色斑値を有する可能性がある。
【0041】
[0041]しかしながら、本発明の種々の態様においては、ポリ(ビニルアセタール)樹脂を含む組成物、層、及び中間膜に更に、組成物、層、又は中間膜の屈折率を調節するために少なくとも1種類の屈折率(RI)調整剤を含ませることができる。幾つかの態様においては、本組成物、層、又は中間膜に、少なくとも第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を、少なくとも1種類のRI調整剤と一緒に含ませることができる。他の態様においては、本組成物、層、又は中間膜に、単一のポリ(ビニルアセタール)樹脂を少なくとも1種類のRI調整剤と一緒に含ませることができる。上記で議論したように、RI調整剤は、少なくとも1つの樹脂又は層の屈折率を増加又は減少させて、それによって中間膜の光学特性を、RI調整剤を用いないで形成される同じ中間膜と比べて向上させることができる、樹脂若しくは樹脂ブレンド、層、又は中間膜、或いはこれらの一部の中に存在させる任意の好適な薬剤であってよい。幾つかの態様においては、樹脂ブレンド、層、又は中間膜は、RI調整剤の不存在下で形成した際に少なくとも5%の曇り度を有していてよい。
【0042】
[0042]RI調整剤は任意の好適な形態であってよく、1以上の樹脂と物理的にブレンドすることができ、或いはそれを少なくとも1つの樹脂と化学的に結合又は反応させて、RI調整剤がポリマー鎖中に導入されるようにすることができる。RI調整剤の例としては、液体RI添加剤、固体RI添加剤、及びポリ(ビニルアセタール)樹脂の1以上の中に存在する少なくとも1つのアルデヒドの残基を挙げることができるが、これらに限定されない。ここで、RI調整剤、並びにそれを含む樹脂組成物、層、及び中間膜の種々の態様を下記において詳細に議論する。
【0043】
[0043]RI調整剤は、ポリ(ビニルアセタール)樹脂、樹脂層、又は中間膜の屈折率を変化させるのに十分な量で樹脂、樹脂層、又は中間膜中に存在させることができる。RI調整剤はまた、2つのポリ(ビニルアセタール)樹脂の少なくとも一方の屈折率を変化させて、それによって異なる屈折率を有する2つのポリ(ビニルアセタール)樹脂層の屈折率の間の差を最小にするのに十分な量で組成物、層、又は中間膜中に存在させることもできる。RI調整剤はまた、樹脂組成物、層、又は中間膜内の1以上のポリ(ビニルアセタール)樹脂と1以上の可塑剤の屈折率の間の差を最小にすることもできる。幾つかの態様においては、RI調整剤は、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂層の屈折率と第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂層の屈折率の間の差の絶対値を、0.010以下、約0.009以下、約0.008以下、約0.007以下、約0.006以下、約0.005以下、約0.004以下、又は約0.003以下に減少させるのに十分な量で存在させることができる。多層中間膜が2以上の樹脂層を含む場合には、RI調整剤は一方又は両方の層中に存在させることができ、幾つかの態様においては、1つの層の中に、1以上の他の層の中におけるよりも多い量で存在させることができる。
【0044】
[0044]幾つかの態様においては、RI調整剤は、ASTM−D542にしたがって589nmの波長及び25℃の温度において測定して少なくとも1.421の屈折率を有するアルデヒドの1以上の残基を含んでいてよい。このRI調整アルデヒド(ここでは「高屈折率アルデヒド」又は「高RIアルデヒド」と呼ぶこともできる)は、少なくとも約1.425、少なくとも約1.450、少なくとも約1.475、少なくとも約1.500、少なくとも約1.510、又は少なくとも約1.515、及び/又は約1.675以下、約1.650以下、又は約1.625以下、或いは約1.425〜約1.675、約1.475〜約1.650、又は約1.515〜約1.625の範囲の屈折率を有していてよい。高RIアルデヒドは、少なくとも1つの芳香環又は基を含む芳香族アルデヒドであってよい。芳香族アルデヒドの例としては、C〜C30芳香族アルデヒド、C〜C25芳香族アルデヒド、又はC〜C20芳香族アルデヒドを挙げることができるが、これらに限定されない。本発明の種々の態様においてRI調整剤として用いることができる高RIアルデヒドの具体例を下表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
[0045]RI調整剤が少なくとも1種類の高RIアルデヒドの残基を含む場合には、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の少なくとも一方に、第1又は第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂のアルデヒド残基の全重量を基準として少なくとも約0.5重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約55重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、及び/又は約99.5重量%以下、約99重量%以下、約97重量%以下、約95重量%以下、約90重量%以下、約85重量%以下、約80重量%以下、約75重量%以下、約70重量%以下、約65重量%以下、又は約60重量%以下の量の少なくとも1種類の高RIアルデヒドの残基を含ませることができる。第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の少なくとも一方に、第1又第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂のアルデヒド残基の全重量を基準として約0.5重量%〜約99.5重量%、約10重量%〜約90重量%、約25重量%〜約75重量%、又は約40重量%〜約60重量%の範囲の量の少なくとも1種類の高RIアルデヒドの残基を含ませることができる。
【0047】
[0046]高RIアルデヒド残基の量は、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)とUV検出の組み合わせを用いて求めることができる。特に、FT−IRは樹脂の残留ヒドロキシルを測定するために用いられ、SECは高RIアルデヒド残基の量を求めるために用いられ、任意の他のアルデヒド残基の量は差によって求められる。FT−IR分析は、ATRサンプリングアタッチメントを備えたPerkin Elmer Spectrum 100FT−IR分光計(Perkin Elmer, Waltham, Massachusettsから商業的に入手できる)を用いて行う。分析は、4cm−1の分解能での8回のスキャンを用いて行う。試験の前に、シリカを用いるデシケーター内で室温において一晩乾燥して過剰の湿分を除去した、種々の残留ヒドロキシルの幾つかのポリ(ビニルn−ブチラール)樹脂から較正データを得る。ヒドロキシル伸縮バンドのピーク最大波数は、ASTM−D1396によって予め求められたそれぞれの試料のビニルアルコールモル含量と相関しており、得られる直線状のカーブフィッティングを用いて、分析する試料の残留ヒドロキシルモル含量を予測する。これらの値は、下記に記載するように、SEC分析を用いてポリ(ビニルアセタール)樹脂の組成の決定を完了した後に、計算によって重量%に変換することができる。
【0048】
[0047]SEC分析は、拡張パックを備えたDionex Chromeleon v.6.8データ獲得ソフトウエア(Thermo Fischer Scientific, Sunnyvale, CAから商業的に入手できる)を搭載したWaters 410インライン示差屈折率検出器及びWaters 2998PDAインラインUV検出器を装備したWaters 2695 Allianceポンプ及び自動サンプラー(Waters Corporation, Milford, Massachusettsから商業的に入手できる)を用いて行う。分析は、PL Gel Mixed C(5ミクロン)カラム及びMixed E(3ミクロン)カラムを用い、1.0mL/分の流速で50マイクロリットルの注入体積を用いて行う。試料は、0.03グラム〜0.09グラムの間の樹脂を10mL〜15mLの安定化テトラヒドロフラン中に溶解し、次に0.22ミクロンのPTFEフィルターを通してそれぞれを濾過することによって調製する。狭い分子量のポリスチレン標準試料及び高RIアルデヒドの残基のみを含むポリ(ビニルアセタール)樹脂を用いてクロマトグラフの当初の較正を行い、広い分子量のポリスチレン(American Polymer Standard Corporation, Mentor, OhioからPSBR250Kとして商業的に入手できる)を用いてその後の試料を較正する。
【0049】
[0048]幾つかの態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方のみが高RIアルデヒドの残基を含み、一方、他の態様においては、樹脂の両方にかかる残基を含ませることができる。高RIアルデヒドの残基を含む樹脂の屈折率は、少なくとも約1.492、少なくとも約1.495、少なくとも約1.500、少なくとも約1.505、少なくとも約1.510、又は少なくとも約1.515であってよい。
【0050】
[0049]種々の態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の少なくとも一方に、1.421未満の屈折率を有する少なくとも1種類のアルデヒドの残基を含ませることもできる。これらのアルデヒドの例としては、例えば上記で議論したC〜Cアルデヒドのような脂肪族アルデヒドを挙げることができる。1.421未満の屈折率を有するアルデヒドは、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、及び2−エチルヘキシルアルデヒドからなる群から選択することができる。
【0051】
[0050]これらの残基を存在させる場合には、第1及び/又は第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂に、第1又は第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂のアルデヒド残基の全重量を基準として少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約45重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約55重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約65重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、及び/又は約99重量%以下、約97重量%以下、約95重量%以下、約90重量%以下、約85重量%以下、約80重量%以下、約75重量%以下、約70重量%以下、約65重量%以下、又は約60重量%以下のこれらのアルデヒドを含ませることができる。
【0052】
[0051]1.421未満の屈折率を有するアルデヒドの残基の量は、上記に記載のFT−IR/SEC法を用いて求めて、次に次式:[100重量%−残留ヒドロキシルの重量%(FT−IRから)−高RIアルデヒド残基の重量%(SECから)−残留アセテートの重量%(FT−IRから)=1.421未満の屈折率を有するアルデヒドの残基の重量%]にしたがって計算することによって求められる。第1及び/又は第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂には、1.421未満の屈折率を有するアルデヒドの残基を、第1又は第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂のアルデヒド残基の全重量を基準として約10重量%〜約99重量%、約25重量%〜約75重量%、又は約40重量%〜約60重量%の範囲の量で含ませることができる。これらの樹脂の一方の屈折率は、上記記載のように測定して約1.492未満、約1.491未満、又は約1.490未満であってよい。
【0053】
[0052]幾つかの態様によれば、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方は主として高RIアルデヒドの残基を含み、一方、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の他方は、主として1.421未満の屈折率を有する少なくとも1種類のアルデヒドの残基を含む。ここで用いる「主として」という用語は少なくとも75重量%を意味し、したがって主として規定されているアルデヒドの残基を含むポリ(ビニルアセタール)樹脂は、その樹脂のアルデヒド残基の全重量を基準として少なくとも75重量%の規定されているアルデヒドの残基を含む。主として高RIアルデヒドの残基を含むポリ(ビニルアセタール)樹脂には、樹脂のアルデヒド残基の全重量を基準として約25重量%以下、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約2重量%以下、又は約1重量%以下の、1.421未満の屈折率を有する他のアルデヒドの残基を含ませることができる。
【0054】
[0053]同様に、主として1.421未満の屈折率を有するアルデヒドの残基を含んでいてよい他のポリ(ビニルアセタール)樹脂には、樹脂のアルデヒド残基の全重量を基準として約25重量%以下、約20重量%以下、約15重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約2重量%以下、又は約1重量%以下の高RIアルデヒドの残基を含ませることができ、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、又は少なくとも約99%の、1.421未満の屈折率を有する1種類以上のアルデヒドの残基を含ませることができる。幾つかの態様においては、組成物中における主として高RIアルデヒドの残基を含む樹脂と他の1種類又は複数の樹脂との比は、少なくとも約1:99、少なくとも約5:95、少なくとも約10:90、少なくとも約20:80、少なくとも約25:75、少なくとも約30:70、少なくとも約40:60、及び/又は約99:1以下、約95:5以下、約90:10以下、約85:15以下、約75:25以下、約70:30以下、又は約60:40以下、或いは約1:99〜99:1、約10:90〜約90:10、約25:75〜75:25、又は約40:60〜60:40の範囲であってよい。
【0055】
[0054]他の態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の少なくとも一方は、高RIアルデヒド及び1.421未満の屈折率を有する少なくとも1種類のアルデヒドの残基を含んでいて、それによって高及び低RIアルデヒドの両方の残基を含む「複合」樹脂を形成している。これらの態様によれば、複合樹脂における高RIアルデヒド残基及び1.421未満の屈折率を有するアルデヒドの残基の量、並びに1つと他との重量比は、樹脂ブレンドに関して上記に与えたものと同じ範囲内であってよい。第1又は第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂が高RI及びより低いRIのアルデヒドの両方の残基を含む場合には、2つのポリ(ビニルアセタール)樹脂の他方にはまた、少なくとも1種類の高RIアルデヒドの残基を含ませることもできる。或いは、2つの樹脂の他方には高RIアルデヒド残基は少ししか含ませないか又は全く含ませないで、それが約10未満、約5未満、約2未満、又は約1重量%未満の高RIアルデヒドの残基を含み、残りは、例えばn−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、及びこれらの組合せからなる群から選択されるアルデヒドなどの、1.421未満の屈折率を有するアルデヒドの残基であるようにすることができる。
【0056】
[0055]中間膜が多層中間膜である場合には、これには、少なくとも第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂を有する少なくとも1つの樹脂層、及び少なくとも第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含む他の樹脂層を含ませることができ、ここで第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂と第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量の間の差は少なくとも2重量%である。ポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方又は両方に高RIアルデヒドの残基を含ませることができ、樹脂層の1つは、少なくとも約0.002、少なくとも約0.003、少なくとも約0.004、及び/又は約0.010以下、約0.009以下、約0.008以下、又は約0.007以下だけ、或いは約0.002〜約0.010、約0.003〜約0.009、又は約0.004〜約0.007の範囲の量だけ他よりも高いか又は低い屈折率を有していてよい。幾つかの態様においては、中間膜が少なくとも3つの樹脂層を含む場合には、最も内側の樹脂層はより高い屈折率を有していてよく、一方、他の態様においては、外側の樹脂層の1つ又は両方の屈折率をより高くすることができる。幾つかの態様においては、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方のみに高RIアルデヒドの残基を含ませることができる。他の態様においては、ポリ(ビニルアセタール)樹脂の両方に少なくとも1種類の高RIアルデヒドの残基を含ませることができるが、樹脂はなお上記に与えた範囲内の屈折率の差を示すことができる。
【0057】
[0056]ポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方又は両方に、少なくとも1種類の高RIアルデヒドの残基を含ませることができる。幾つかの態様において、かかる基を含むポリ(ビニルアセタール)樹脂が例えば15重量%以下の残留ヒドロキシル含量を有する場合には、かかる樹脂を含む樹脂層は、それぞれ上記に記載したように測定して20℃未満、約15℃以下、約10℃以下、約5℃以下、約0℃以下、約−5℃以下、又は約−10℃以下のガラス転移温度、及び少なくとも約1.465、少なくとも約1.470、少なくとも約1.475、少なくとも約1.480、少なくとも約1.485、又は少なくとも約1.490の屈折率を有することができる。層の可塑剤含量は、種々の態様によれば、少なくとも約50phr、少なくとも約55phr、少なくとも約60phr、少なくとも約65phr、及び/又は約120phr以下、約110phr以下、約90phr以下、約85phr以下、約80phr以下、又は約75phr以下、或いは約50phr〜約120phr、約55phr〜約110phr、約60phr〜約90phr、又は約65phr〜約75phrの範囲であってよい。
【0058】
[0057]上記で議論した多層中間膜中の高RIアルデヒドの残基を有する樹脂が例えば16重量%より多い残留ヒドロキシル含量を有する場合には、この樹脂を含む樹脂層は、それぞれ上記に記載したように測定して少なくとも約26℃、少なくとも約30℃、少なくとも約33℃、又は少なくとも約35℃のガラス転移温度、及び少なくとも約1.470、少なくとも約1.475、少なくとも約1.480、少なくとも約1.485、又は少なくとも約1.490の屈折率を有することができる。層の可塑剤含量は、幾つかの態様によれば、50phr未満、約45phr以下、約40phr以下、約30phr以下、約20phr以下であってよい。
【0059】
[0058]本発明の種々の態様によれば、RI調整剤には、液体のRI調整剤を含ませることができる。ここで用いる「液体のRI調整剤」という用語は、25℃及び1気圧の標準状態において液体であるRI調整剤を指す。幾つかの態様においては、液体のRI調整剤は、例えば高RI可塑剤であってよい。ここで用いる「高RI可塑剤」という用語は、上記に記載のように測定して少なくとも1.46の屈折率を有する可塑剤を指す。RI調整剤として用いるのに好適な高RI可塑剤は、上記で議論したように測定して少なくとも約1.470、少なくとも約1.480、少なくとも約1.490、少なくとも約1.500、少なくとも約1.510、少なくとも約1.520、及び/又は約1.600以下、約1.575以下、又は約1.550以下の屈折率を有していてよい。高RI可塑剤の屈折率は、約1.460〜約1.600、約1.470〜約1.575、約1.480〜約1.550、約1.490〜約1.525の範囲であってよい。
【0060】
[0059]高RI可塑剤のタイプ又はクラスの例としては、ポリアジペート(約1.460〜約1.485のRI);エポキシ化大豆油のようなエポキシド(約1.460〜約1.480のRI);フタレート及びテレフタレート(約1.480〜約1.540のRI);ベンゾエート及びトルエート(約1.480〜約1.550のRI);及び他の特殊な可塑剤(約1.490〜約1.520のRI)を挙げることができるが、これらに限定されない。好適なRI可塑剤の具体例としては、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエート、ポリプロピレングリコールジベンゾエート、イソデシルベンゾエート、2−エチルヘキシルベンゾエート、ジエチレングリコールベンゾエート、ブトキシエチルベンゾエート、ブトキシエトキシエチルベンゾエート、ブトキシエトキシエトキシエチルベンゾエート、プロピレングリコールジベンゾエート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールベンゾエートイソブチレート、1,3−ブタンジオールジベンゾエート、ジエチレングリコールジ−o−トルエート、トリエチレングリコールジ−o−トルエート、ジプロピレングリコールジ−o−トルエート、1,2−オクチルジベンゾエート、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、ジ−2−エチルヘキシルテレフタレート、ビスフェノールAビス(2−エチルヘキサノエート)、ジ(ブトキシエチル)テレフタレート、ジ(ブトキシエトキシエチル)テレフタレート、及びこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。高RI可塑剤は、ジプロピレングリコールジベンゾエート、及びトリプロピレングリコールジベンゾエート、及び/又は2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジベンゾエートから選択することができる。
【0061】
[0060]樹脂層又は中間膜が高RI可塑剤を含む場合には、可塑剤は層中に単独で存在させることができ、或いは1以上の更なる可塑剤とブレンドすることができる。また、他の1種類又は複数の可塑剤に高RI可塑剤を含ませることもでき、或いは1以上は1.46未満の屈折率を有するより低いRIの可塑剤であってよい。幾つかの態様においては、より低いRIの可塑剤は、約1.450未満、約1.445未満、又は約1.442未満の屈折率を有していてよく、上記に示した群から選択することができる。2種類以上の可塑剤の混合物をRI調整剤として用いる場合には、この混合物は1以上の上記の範囲内の屈折率を有することができる。
【0062】
[0061]多層中間膜においてRI調整剤として用いる場合には、高RI可塑剤は、2以上の樹脂層中において異なる量で存在させることができる。同様に、樹脂組成物又はブレンドされた樹脂層においてRI調整剤として用いる場合には、高RI可塑剤は上記に記載したように分配することができ、これによってより低い残留ヒドロキシル含量を有する樹脂層又はドメインがより多い量の高RI可塑剤を有することができるようにすることができる。幾つかの態様においては、少なくとも1つの層、或いは樹脂層又は中間膜の少なくとも一部に、高RI可塑剤をRI調整剤として、少なくとも約5phr、少なくとも約10phr、少なくとも約15phr、少なくとも約20phr、少なくとも約25phr、少なくとも約30phr、少なくとも約35phr、及び/又は約50phr以下、約45phr以下、又は約40phr以下の量で含ませることができる。高RI可塑剤は、約5phr〜約50phr、約10phr〜約45phr、約20phr〜約40phrの範囲の量で樹脂層又は中間膜中に存在させることができる。幾つかの態様においては、1以上の他の層又は部分に、高RI可塑剤を、少なくとも約50phr、少なくとも約55phr、少なくとも約60phr、少なくとも約65phr、少なくとも約70phr、及び/又は約120phr以下、約110phr以下、約100phr以下、約90phr以下、又は約75phr以下、或いは約50phr〜約120phr、約55phr〜約110phr、約60phr〜約90phr、約65phr〜約75phrの範囲の量で含ませることができる。これらの量は、組成物中に存在する1.460未満の屈折率を有するものを包含する任意の他の可塑剤を含んでいてよく、或いは高RI可塑剤のみを含んでいてよい。
【0063】
[0062]高RI可塑剤を多層中間膜においてRI調整剤として用いる場合には、中間膜に、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂を有する少なくとも1つの樹脂層、及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含む他の樹脂層を含ませることができ、ここで、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂と第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量の間の差は少なくとも2重量%である。樹脂層の少なくとも1つに、高RI可塑剤を、樹脂層の屈折率と他の樹脂層の屈折率の間の差の絶対値が0.010以下になるのに十分な量で含ませることができる。幾つかの態様において、中間膜が少なくとも3つの樹脂層を含む場合には、最も内側の樹脂層はより高い屈折率を有していてよく、一方、他の態様においては、外側の樹脂層の1つ又は両方の屈折率をより高くすることができる。
【0064】
[0063]より低い残留ヒドロキシル含量を有する少なくとも1種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含む樹脂層中に高RI可塑剤を含ませる場合には、樹脂層の少なくとも一部は25℃以下、約20℃以下、約15℃以下、約10℃以下、約5℃以下、約0℃以下、約−5℃以下、又は約−10℃以下のガラス転移温度を有することができ、この層は、上記記載のように測定して少なくとも約1.465、少なくとも約1.470、少なくとも約1.475、少なくとも約1.480、少なくとも約1.485、又は少なくとも約1.490の屈折率を有することができる。この層の可塑剤含量は、幾つかの態様においては、少なくとも約50phr、少なくとも約55phr、少なくとも約60phr、及び/又は約120phr以下、約110phr以下、約90phr以下、約85phr以下、約80phr以下、又は約75phr以下、或いは約50phr〜約120phr、約55phr〜約110phr、約60phr〜約90phr、又は約60phr〜約75phrの範囲であってよい。
【0065】
[0064]より多い残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂を含む樹脂層中に高RI可塑剤を存在させる場合には、層の少なくとも一部は、少なくとも約26℃、少なくとも約30℃、少なくとも約33℃、又は少なくとも約35℃のガラス転移温度を有することができ、この層は、上記に記載のように測定して少なくとも約1.470、少なくとも約1.475、少なくとも約1.480、少なくとも約1.485、又は少なくとも約1.490の屈折率を有することができる。この層の可塑剤含量は、幾つかの態様によれば、50phr未満、約45phr以下、約40phr以下、約30phr以下、又は約20phr以下であってよい。
【0066】
[0065]本発明の種々の態様によれば、RI調整剤は、1以上の層、又は層若しくは中間膜の複数の部分の中に存在する固体RI添加剤であってよい。ここで用いる「固体RI添加剤」という用語は、ポリ(ビニルアセタール)樹脂、樹脂層、又は中間膜の屈折率を調節するために用いられ、25℃及び1気圧の周囲条件において固体である添加剤を指す。種々の態様においては、固体RI添加剤は、少なくとも約27℃、少なくとも約30℃、少なくとも約35℃、少なくとも約40℃、少なくとも約45℃、少なくとも約50℃、少なくとも約55℃、少なくとも約60℃、少なくとも約75℃、少なくとも約80℃、少なくとも約85℃、少なくとも約90℃、少なくとも約95℃、又は少なくとも約100℃の融点を有していてよい。樹脂ブレンド、層、又は中間膜において用いる場合には、固体RI添加剤は、第1と第2の樹脂層の屈折率の間の差の絶対値が約0.010以下になるのに十分な量で存在させることができる。第1と第2の樹脂層の屈折率の間の差は、固体RI添加剤の不存在下で同じ樹脂層中に配合した際には0.010より高い可能性がある。
【0067】
[0066]幾つかの態様においては、固体RI添加剤は、少なくとも1つの樹脂層又は中間膜の屈折率を増加させるための高RI固体添加剤であってよい。高RI固体添加剤の屈折率は、上記に記載のように測定して少なくとも約1.460、少なくとも約1.465、少なくとも約1.470、少なくとも約1.475、少なくとも約1.480、少なくとも約1.485、少なくとも約1.490、少なくとも約1.495、少なくとも約1.500、少なくとも約1.505、少なくとも約1.510、少なくとも約1.525、少なくとも約1.550、少なくとも約1.575、又は少なくとも約1.600であってよい。他の態様においては、固体RI添加剤は、少なくとも1つの樹脂又は樹脂層の屈折率を減少させるためのRI低下固体添加剤であってよい。RI低下固体添加剤は、上記に記載のように測定して1.460未満、約1.455以下、約1.450以下、約1.445以下、又は約1.440以下の屈折率を有していてよい。より高い場合でも又はより低い場合でも、固体RI添加剤は、ポリ(ビニルアセタール)樹脂の屈折率と少なくとも約0.005、少なくとも約0.010、少なくとも約0.050、少なくとも約0.10、及び/又は約0.50以下、約0.35以下、又は約0.20以下異なる屈折率を有していてよい。固体RI添加剤とポリ(ビニルアセタール)樹脂の間の屈折率の差は、約0.005〜約0.50、約0.010〜約0.35、又は約0.050〜約0.35の範囲であってよい。
【0068】
[0067]種々の態様においては、固体RI添加剤は、樹脂組成物又は中間膜中に、添加剤及び層又は中間膜の特定にタイプに応じて、少なくとも約0.5phr、少なくとも約1phr、少なくとも約1.5phr、少なくとも約2phr、又は少なくとも約5phrの量で存在させることができる。固体RI添加剤には、高RI添加剤であっても又はRI低下添加剤であっても、樹脂組成物又は層中の少なくとも1種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂と物理的に混合又はブレンドすることができる物理的固体RI添加剤を含ませることができ、或いはこれは、1以上のポリ(ビニルアセタール)樹脂の骨格と反応させてその中に導入されるようにすることができる反応性固体RI添加剤であってよい。
【0069】
[0068]固体RI添加剤は、1種類以上の低RI可塑剤と組み合わせて用いることができる。低RI可塑剤の例としては、トリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)(3GEH)、トリエチレングリコールジ(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)(4−GEH)、ジヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、ヘキシルシクロヘキシルアジペート、ジイソノニルアジペート、ヘプチルノニルアジペート、ジ(ブトキシエチル)アジペート、及びビス(2−(2−ブトキシエトキシ)エチル)アジペート、ジブチルセバケート、ジオクチルセバケート、及びこれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。この可塑剤は、トリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)及びテトラエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)からなる群から選択することができ、或いはこの可塑剤はトリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)を含んでいてよい。固体RI添加剤はまた、上述した1種類以上の高RI可塑剤と組み合わせて用いることもできる。
【0070】
[0069]固体RI添加剤が物理的固体RI添加剤である場合には、これは中間膜中の1以上のポリ(ビニルアセタール)樹脂又は層と組み合わせることができる。幾つかの態様においては、物理的固体RI添加剤は、少なくとも1つの層又は中間膜中に、少なくとも約1phr、少なくとも約2phr、少なくとも約3phr、少なくとも約5phr、少なくとも約8phr、少なくとも約10phr、少なくとも約12phr、少なくとも約15phr、少なくとも約20phr、及び/又は約60phr以下、約55phr以下、約50phr以下、約45phr以下、約40phr以下、約35phr以下、約30phr以下、約25phr以下、約20phr以下、又は約15phr以下の量、或いは約1phr〜約60phr、約5phr〜約50phr、又は約10phr〜約45phrの範囲の量で存在させることができる。好適な物理的固体高RI添加剤の例としては、ポリアジペート、2500未満の分子量を有するポリスチレン、エポキシド、フタル酸エステル、安息香酸エステル、例えば酸化ジルコニウムのような無機酸化物、及びこれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。物理的固体RI低下添加剤は、ハロゲン化添加剤及びケイ素含有添加剤からなる群から選択することができる。
【0071】
[0070]多層中間膜において用いる場合には、物理的固体RI添加剤は、樹脂層の1つの中に、1以上の他の層よりも多い量で存在させることができる。樹脂層の1つの中に存在する物理的固体RI添加剤の量と、例えば隣接する層などの他の層の中に存在する物理的固体RI添加剤の量との間の差は、少なくとも約2phr、少なくとも約5phr、少なくとも約8phr、少なくとも約10phr、及び/又は約30phr以下、約25phr以下、又は約20phr以下であってよく、或いはこれは約2phr〜約30phr、約5phr〜約25phr、又は約10phr〜約20phrの範囲であってよい。幾つかの態様によれば、層の少なくとも1つに、少なくとも約1phr、少なくとも約5phr、少なくとも約10phr、少なくとも約15phr、及び/又は約60phr以下、約55phr以下、約50phr以下、約45phr以下の物理的固体RI添加剤を含ませることができ、或いは物理的固体RI添加剤は、約1phr〜約60phr、約10phr〜約50phr、又は約15phr〜約45phrの範囲の量で存在させることができる。幾つかの態様においては、物理的固体RI添加剤は、1以上の層中に、少なくとも約5phr、少なくとも約10phr、少なくとも約15phr、少なくとも約20phr、及び/又は約60phr以下、約55phr以下、約50phr以下の量、或いは約5phr〜約60phr、約15phr〜約55phr、又は約20phr〜約50phrの範囲の量で存在させることができる。
【0072】
[0071]多層中間膜が3以上の樹脂層を含み、固体RI添加剤が固体高RI添加剤である場合には、内側又はコアの1つ又は複数の層に、外側又はスキンの層よりも多い量の物理的固体RI添加剤を含ませることができる。しかしながら、固体RI添加剤が固体RI低下添加剤である場合には、外側のスキン層に、内側のコア層よりも多い量の固体RI添加剤を含ませることができる。コア層には、中間膜中に存在する物理的固体RI添加剤の全量の少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、又は少なくとも約80%を含ませることができる。
【0073】
[0072]固体RI添加剤が反応性固体RI添加剤である場合には、それを少なくとも1種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂と反応させて、添加剤の少なくとも一部がポリマー鎖中に導入されるようにすることができる。反応性RI添加剤は芳香族添加剤であってよく、幾つかの態様においては、無水フタル酸、及び例えばジフェニルジメトキシシランなどのフェニルアルコキシシランを含ませることができる。
【0074】
[0073]幾つかの態様においては、反応性RI添加剤は、多層中間膜の1つの層の中に、中間膜の1以上の他の層の中に存在するよりも多い量で存在させることができる。幾つかの態様においては、これは1以上の樹脂層から排除するか、又は実質的に排除することができる。例えば、中間膜が少なくとも3つの樹脂層を含む多層中間膜である場合には、内側のコア層に、少なくとも約0.5phr、少なくとも約1phr、少なくとも約1.5phr、少なくとも約2phr、少なくとも約2.5phr、少なくとも約3phr、及び又は約50phr以下、約30phr以下、約20phr以下、約15phr以下、約12phr以下、約10phr以下、又は約8phr以下、或いは約0.5phr〜約20phr、約1phr〜約12phr、又は約2phr〜約8phrの範囲の量の1種類以上の反応性固体RI添加剤を含ませることができる。1つ又は複数の外側のスキン層に、約10phr以下、約5phr以下、約2phr以下、約1phr以下、又は約0.5phr以下の反応性固体RI添加剤を含ませることができる。コア層には、中間膜中に存在する反応性RI添加剤の全量の少なくとも約65%、少なくとも約75%、少なくとも約85%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%を含ませることができる。
【0075】
[0074]固体RI添加剤を多層中間膜においてRI調整剤として用いる場合には、中間膜に、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂を有する少なくとも1つの樹脂層、及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含む他の樹脂層を含ませることができ、ここで第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂と第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量の間の差は少なくとも2重量%である。樹脂層の少なくとも1つに、高RI添加剤を、第1の樹脂層の屈折率と第2の樹脂層の屈折率の間の差の絶対値が0.010以下になるのに十分な量で含ませることができる。中間膜が少なくとも3つの樹脂層を含む幾つかの態様においては、最も内側の樹脂層はより高い屈折率を有していてよく、一方、他の態様においては、外側の樹脂層の1つ又は両方の屈折率をより高くすることができる。
【0076】
[0075]より低い残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂を含む樹脂層中に固体RI添加剤を含ませる場合には、この樹脂層は、それぞれ上記に記載したように測定して、25℃以下、約20℃以下、約15℃以下、約10℃以下、約5℃以下、約0℃以下、約−5℃以下、又は約−10℃以下のガラス転移温度、及び少なくとも約1.465、少なくとも約1.470、少なくとも約1.475、少なくとも約1.480、少なくとも約1.485、少なくとも約1.495、又は少なくとも約1.500の屈折率を有することができる。この層の可塑剤含量は、幾つかの態様においては、少なくとも約50phr、少なくとも約55phr、少なくとも約60phr、少なくとも約65phr、及び/又は約120phr以下、約110phr以下、約90phr以下、約85phr以下、約80phr以下、又は約75phr以下、或いは約50phr〜約120phr、約55phr〜約110phr、約60phr〜約90phr、約65phr〜約75phrの範囲であってよい。
【0077】
[0076]より多い残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルアセタール)樹脂を含む樹脂層中に固体RI添加剤を存在させる場合には、この層は、少なくとも約26℃、少なくとも約30℃、少なくとも約33℃、又は少なくとも約35℃のガラス転移温度を有することができる。幾つかの態様においては、この層は、少なくとも約1.470、少なくとも約1.475、少なくとも約1.480、少なくとも約1.485、少なくとも約1.490、少なくとも約1.500、少なくとも約1.510の屈折率を有することができる。この層の可塑剤含量は、幾つかの態様によれば、50phr未満、約45phr以下、約40phr以下、約30phr以下、又は約20phr以下であってよい。
【0078】
[0077]本発明の種々の態様にしたがって少なくとも2種類のポリ(ビニルアセタール)樹脂及びRI調整剤を含ませて調製した樹脂組成物、層、及び中間膜は、耐衝撃性及び音響性能のような他の特性を犠牲にすることなく向上した光学特性を示すことができる。上記で議論したように、例えば残留ヒドロキシル含量、残留アセテート含量、又はアルデヒド残基のような樹脂の特性又は組成における差のために、RI調整剤を用いないで調製した同じ樹脂の同じブレンドは、低下した光学性能を有する組成物、層、及び中間膜を与える可能性がある。
【0079】
[0078]明澄度は、ここに記載する組成物、層、及び中間膜の光学性能を示すために用いられる1つのパラメーターであり、曇り度すなわち%を測定することによって求めることができる。曇り度は、試料によって散乱した光を入射光に対して定量したものである。幾つかの態様においては、ここに記載する樹脂ブレンド、層、及び中間膜は、ASTM−D1003−13−手順Bにしたがって光源Cを用いて2°の観察角度で測定して5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満、又は約0.5%未満の曇り度を有することができる。試験は、Hunterlab Ultrascan XE装置(Hunter Associates, Reston, VAから商業的に入手できる)のような分光光度計を用いて、それぞれが2.3mmの厚さを有する透明なガラス(PennsylvaniaのPittsburgh Glass Worksから商業的に入手できる)の2つのシートの間に積層した0.76mmの厚さを有するポリマー試料に関して行う。
【0080】
[0079]更に、ここに記載する樹脂層及び中間膜は、3以下、2以下、又は1以下の色斑値を有することができる。色斑は、テクスチャー又は粒状性として検出される光学品質の他の指標である。色斑は、そのレベルが過度に高いか又は過度に激しくて、それによって好ましくない外観をもたらす場合には視覚的欠陥である。色斑は、試験積層体に関するシャドウグラフの投影を、1〜4の範囲の色斑値(1は低い色斑(即ち少ない数の混乱)の基準を表し、4は高い色斑(即ち多数の混乱)の基準を表す)のシリーズ又はスケールを表す1組の標準積層体シャドウグラフと交互に定性的に比較することによって評価及び分類される。高い色斑は、特に自動車及び建築用途において概して好ましくないとみなされる。場合によっては、ゼロの色斑を有する(色斑がない)単一層の中間膜を有するモデル積層体を用いて、1の等級よりも低いような基準セットのスケールよりも低い色斑等級を有する試験積層体における評価を容易にする。ゼロ色斑の積層体のものと同様のシャドウグラフ投影を示す試験積層体は、ゼロの色斑等級を有すると評価される。試験積層体は、それぞれが2.3mmの厚さを有する透明なガラス(PennsylvaniaのPittsburgh Glass Worksから商業的に入手できる)の2つのシート、及び中間膜を用いて調製する。中間膜は、通常は約35ミクロン〜40ミクロンのランダムな表面粗さ:Rz、及び0.76mm〜0.86mmの厚さを有する。
【0081】
[0080]ここで与える色斑値は、キセノンアークランプ、試料ホルダー、投影スクリーン、及びデジタルカメラを含むクリアモトルアナライザー(Clear Mottle Analyzer)(CMA)を用いて求めた。キセノンアークランプを用いてスクリーン上に積層試料のシャドウグラフを投影し、得られるシャドウグラフの画像を記録するようにカメラを構成した。次に、コンピューター画像化ソフトウエアを用いて画像をデジタル分析し、予め記録した標準試料の画像と比較して試料の色斑を求めた。CMAを用いて色斑を求める方法は、米国特許出願公開第2012/0133764号明細書に詳細に記載されている。
【0082】
[0081]光学性能を求めるために用いる他のパラメーターは、透明度又は可視透過率(%Tvis)であり、これはASTM−D1003手順Bにしたがって、HunterLab UltraScan EXのような分光光度計を用い、光源Cを用いて2°の観察角度において測定される。ここで与える値は、約0.76mmの中間膜の厚さ及び2.3mmの透明ガラス(PennsylvaniaのPittsburgh Glass Worksから商業的に入手できる)の厚さを有するガラス積層体試料を分析することによって得た。幾つかの態様においては、本発明の樹脂層及び中間膜は、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約85.5%、少なくとも約86%、少なくとも約86.5%、少なくとも約87%、少なくとも約87.5%、少なくとも約88%、又は少なくとも約88.5%の可視透過率(%)を有することができる。より具体的には、本発明の樹脂層及び中間膜は、ACA、UV安定剤、及び酸化防止剤の添加剤のみを含む中間膜に関しては85より高く、或いは上述の顔料、IR吸収剤又は遮断剤のような更なる添加剤を含む中間膜に関しては80%より高い%Tvisを有する。原料着色又は着色ポリマー中間膜のような高いレベルの顔料及び/又は染料を含むポリマー中間膜は、所望通りにより低い%Tvisを有することができる。
【0083】
[0082]上記の範囲内の1以上の光学特性を示すことに加えて、ここに記載する樹脂層及び中間膜はまた、所望の範囲内の音響特性を示すこともできる。幾つかの態様においては、上記で議論したように、樹脂層又は中間膜の少なくとも一部は、25℃以下、約20℃以下、約15℃以下、約10℃以下、約5℃以下、約0℃以下、約−5℃以下、又は約−10℃以下のガラス転移温度を有していてよく、これによって層又は中間膜の音響性能を促進することができる。同時に、層又は中間膜の少なくとも一部は、少なくとも約26℃、少なくとも約30℃、少なくとも約35℃のガラス転移温度を有していてよく、これによって耐衝撃特性及び強度を促進することができる。
【0084】
[0083]幾つかの態様においては、本発明による樹脂層又は中間膜は、少なくとも約0.70のtanδの値を有することができる。tanδは、動的機械熱分析(DMTA)によって測定される試料の貯蔵弾性率(G‘)(パスカル)に対する損失弾性率(G”)(パスカル)の比である。DMTAは、1Hzの振動数を用いて、剪断モード下、3℃/分の温度スイープ速度で行う。ガラス転移温度におけるG”/G‘曲線のピーク値がtanδの値である。ここで種々の態様にしたがって記載する樹脂層又は中間膜は、少なくとも約1.0、少なくとも約1.05、少なくとも約1.10、少なくとも約1.25、少なくとも約1.50、少なくとも約1.75、少なくとも約2.0、又は少なくとも約2.25のtanδを有することができる。
【0085】
[0084]更に、本樹脂層及び中間膜は、少なくとも約0.10、少なくとも約0.15、少なくとも約0.17、少なくとも約0.20、少なくとも約0.25、少なくとも約0.27、少なくとも約0.30、少なくとも約0.33、又は少なくとも約0.35の減衰損失係数(damping loss factor)、又は損失係数を有することができる。損失係数は、ISO標準規格16940に記載されているように機械インピーダンス測定によって測定される。それぞれが2.3mmの厚さを有する透明ガラスの2つのシートの間にポリマー試料を積層し、25mmの幅及び300mmの長さを有するように調製する。次に、積層された試料を、Bruel and Kjaer(Naerum, オランダ)から商業的に入手できる振動振盪機を用いて中心点において励振し、インピーダンスヘッド(Bruel and Kjaer)を用いて、棒材を励振して振動させるのに必要な力、及び振動の速度を測定する。得られる伝達関数を、National Instrumentデータ獲得及び分析システムに記録し、ハーフパワー法を用いて第1振動モードにおける損失係数を計算する。幾つかの態様において、RI調整剤が高RI可塑剤である場合には、層又は中間膜は、20℃において0.25より高く、0.27より高く、0.30より高く、又は0.35より高い損失係数を有することができ、一方他の態様において、RI調整剤が固体RI添加剤又は少なくとも1種類の高RIアルデヒドの残基である場合には、層又は中間膜は、20℃において少なくとも約0.10、少なくとも約0.15、少なくとも約0.20、少なくとも約0.25、又は少なくとも約0.30の損失係数を有することができる。
【0086】
[0085]第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の2つの別個の樹脂の樹脂ブレンドと同様に、2つ以上の別個の樹脂層又は中間膜をブレンドすると、しばしば予期しなかった特性及び性能属性を有する新規な1つ又は複数の樹脂層或いは1つ又は複数の中間膜を得ることができる。例えば、より低い残留ヒドロキシル含量及びより低いガラス転移温度を有する樹脂層又は中間膜を、より多い残留ヒドロキシル含量及びより高いガラス転移温度を有する他の樹脂層又は中間膜とブレンドして、より低いガラス転移温度の軟質のドメイン(これによってその音響性能が向上する)、及びより高いガラス転移温度の硬質のドメイン(これによって樹脂層又は中間膜に向上した加工性、強度、及び耐衝撃性が与えられる)を有する新規な樹脂層又は中間膜を与えることができる。他の例としては、単一シートの中間膜と多層中間膜をブレンドすること、2つの多層中間膜をブレンドすること、又は1つの多層中間膜を他の多層中間膜の樹脂層中にブレンドすることが挙げられる。本質的に、2つの材料をブレンドすることによって得られる効果は、材料の内容物にしたがって2以上の樹脂、可塑剤、又は他の添加剤をブレンドすることによって達成することもできる。ここで用いる「ブレンド樹脂材料」(blend resin material)又は「ブレンド材料」(blend material)とは、他の樹脂組成物、樹脂層、又は中間膜中にブレンドする樹脂組成物、樹脂層、又は中間膜を指す。2つの樹脂層又は2つの中間膜をブレンドする際には、ブレンドする2つの材料の少なくとも1つに本発明の樹脂層又は中間膜を含ませることができる。他の態様においては、両方の材料に本発明の樹脂層又は中間膜を含ませることができる。
【0087】
[0086]幾つかの態様によれば、ここに記載する樹脂組成物、層、又は中間膜の少なくとも一部に、他の樹脂、層、又は中間膜を含ませることができる。幾つかの態様においては、組成物、層、又は中間膜中の樹脂の全量の少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、又は少なくとも約50%を、ブレンド樹脂材料由来にすることができる。
【0088】
[0087]しばしば、ブレンド樹脂材料中の樹脂及び可塑剤のタイプ及び/又は量が、その中にブレンド樹脂材料を加える製造される樹脂又は可塑剤のタイプ及び/又は量と実質的に異なっている場合には、ブレンド樹脂材料を含む得られる樹脂組成物、層、又は中間膜の明澄度又は曇り度によって求められる光学性能が悪影響を受ける可能性がある。本発明の幾つかの態様によれば、より高いレベルのブレンド樹脂材料を含む樹脂層及び中間膜は、上記で議論した1種類以上のRI調整剤を用いることによって製造することができる。
【0089】
[0088]RI調整剤が高RI可塑剤を含む場合には、最終組成物、層、又は中間膜の明澄度を減少させるか又は曇り度を増加させることなく、ここに記載する樹脂組成物、層、又は中間膜を製造するプロセスに対して、より多い量のブレンド樹脂材料を加えることができる。幾つかの態様においては、ブレンド材料を含む組成物に第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含ませることができ、ここで樹脂の一方は他の樹脂の残留ヒドロキシル含量よりも少なくとも2重量%少なくてよい残留ヒドロキシル含量を有する。かかる組成物には、1.460の屈折率を有する少なくとも1種類の高RI可塑剤を更に含ませることができ、幾つかの態様においては、組成物、層、又は中間膜中に存在する第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計量の3%より多くを、ブレンド組成物、層、又は中間膜由来にすることができる。第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量の差にかかわらず、0.5重量%より多いブレンド樹脂材料を含む組成物は、約5以下、約4以下、約3以下、約2以下、又は約1以下、或いは約0.5以下の曇り度を有することができる。
【0090】
[0089]ブレンド樹脂組成物と共にRI調整剤として用いる高RI可塑剤は、上記に記載した1以上の範囲の屈折率を有していてよい。高RI可塑剤は、組成物、層、又は中間膜の製造中にブレンド材料と一緒に加えることができ、及び/又は高RI可塑剤の少なくとも一部を、プロセスに加えるブレンド樹脂材料中に存在させることができる。更に、例えば上記に記載のように測定して約1.450未満、約1.445未満、又は約1.442未満の屈折率を有するものなどの1種類以上の他の可塑剤を、ブレンドする樹脂材料中、及び/又は製造する樹脂組成物、層、又は中間膜の中に存在させることもできる。幾つかの態様においては、1種類以上の更なる高RI可塑剤を、ブレンド材料中、及び/又はその中にかかる材料をブレンドする樹脂組成物、層、又は中間膜中に存在させることもできる。
【0091】
[0090]上記に記載したブレンドされた樹脂材料を含む樹脂組成物は、本発明の種々の態様による層及び中間膜を形成するために用いることができる。例えば、ブレンド樹脂材料を含む樹脂組成物を用いて単一のモノリス型中間膜を形成することができ、或いはそれを用いて多層中間膜の1以上の層を形成することができる。種々の層及び中間膜中で用いる場合には、更なる可塑剤を加えて、樹脂層又は中間膜中に存在する可塑剤の全量を上記に記載の範囲内にすることができるようにすることができる。同様に、ブレンド樹脂材料を含む組成物から形成される樹脂層及び中間膜のガラス転移温度及び屈折率を上記に与えた範囲内にすることもできる。更に、ブレンドされた材料を含む組成物から形成される樹脂層及び中間膜も、上記に記載の音響特性を示すことができ、下記に記載する任意の用途に含ませることができる。
【0092】
[0091]幾つかの態様によれば、ここに記載する樹脂組成物、層、又は中間膜の少なくとも一部に、例えばリサイクルされた層又は中間膜などの1種類以上のリサイクルされた樹脂材料を含ませることができる。ここで用いる「リサイクルされた」という用語は、製造ラインから取り出されて、その後に戻されることを意味する。しばしば、リサイクルされた材料を用いると、ブレンド又は混合される材料の異なる組成及び特性のために、明澄度又は曇り度によって求められる最終組成物、層、又は中間膜の光学性能に悪影響を与える可能性がある。しかしながら、幾つかの態様においては、ここに記載するものと同等の光学及び/又は音響特性をなお示しながら、ここに記載する層又は中間膜に少なくとも1種類のリサイクルされた樹脂材料を含ませることができる。リサイクル樹脂材料のタイプ及び/又は量は上記に記載の1以上の範囲内であってよく、層又は中間膜に少なくとも1種類のRI調整剤を更に含ませることができる。更に、リサイクルされた樹脂材料を含む樹脂層及び中間膜も、下記に記載する1以上の範囲内の光学及び/又は音響性能を有することができる。
【0093】
[0092]上記に記載した樹脂組成物、層、及び中間膜は、任意の好適な方法にしたがって製造することができる。種々の態様においては、これらの組成物、層、及び中間膜を製造する方法に、2種類以上のポリ(ビニルアセタール)樹脂を与え、少なくとも1種類の樹脂をRI調整剤、及び場合によっては少なくとも1種類の可塑剤又は他の添加剤とブレンドしてブレンドされた組成物を形成し、そしてブレンドされた組成物から層を形成することを含ませることができる。
【0094】
[0093]幾つかの態様においては、本方法の最初の工程において与えられる樹脂は1種類以上のポリ(ビニルアセタール)樹脂の形態であってよく、一方、他の態様においては、1種類以上の樹脂前駆体を与えることもできる。幾つかの態様において、2種類以上のポリ(ビニルアセタール)樹脂を物理的にブレンドする場合には、2つの樹脂をブレンドすることに溶融ブレンドすることを含ませることができ、これは少なくとも約140℃、少なくとも約150℃、少なくとも約180℃、少なくとも約200℃、少なくとも約250℃の温度で行うことができる。他の態様において、与えられるポリ(ビニルアセタール)樹脂成分が樹脂前駆体を含む場合には、ブレンド工程に、2種類以上のアルデヒドをポリビニルアルコールと反応させて、2以上のアルデヒド基を有する単一のポリ(ビニルアセタール)樹脂を与えることを含ませることができる。更に、ブレンド工程の一部に、樹脂の1以上を少なくとも1種類の可塑剤及び/又は上記に記載のRI調整剤の1以上とブレンドすることを含ませることができる。
【0095】
[0094]得られるブレンドされた樹脂は、次に任意の好適な方法にしたがって1以上の樹脂層に成形することができる。ポリマー層及び中間膜を形成する代表的な方法としては、溶液キャスト、圧縮成形、射出成形、溶融押出、メルトブロー、及びこれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。2以上の樹脂層を含む多層中間膜はまた、例えば共押出、ブローンフィルム、メルトブロー、浸漬被覆、溶液被覆、ブレード塗布、パドル塗布、エアナイフ塗布、印刷、粉末被覆、噴霧被覆、及びこれらの組合せのような任意の好適な方法にしたがって製造することもできる。本発明の種々の態様においては、層又は中間膜は押出又は共押出によって形成することができる。押出プロセスにおいては、1種類以上の熱可塑性ポリマー、可塑剤、及び場合によっては上記に記載の1種類以上のRI調整剤などの少なくとも1種類の添加剤を予め混合して、押出装置中に供給することができる。液体、粉末、又はペレット形態であってよいACA、着色剤、及びUV抑制剤のような他の添加剤を用いることもでき、これらは押出装置に導入する前に熱可塑性ポリマー又は可塑剤中に混合することができる。これらの添加剤は、ポリマー樹脂中に、及び拡大解釈すると得られるポリマーシート中に導入して、それによってポリマー層又は中間膜の幾つかの特性、及び最終多層ガラスパネル又は他の最終製品におけるその性能を向上させることができる。
【0096】
[0095]種々の態様においては、層又は中間膜の厚さ又はゲージは、少なくとも約10ミル、少なくとも約15ミル、少なくとも約20ミル、及び/又は約100ミル以下、約90ミル以下、約60ミル以下、約50ミル以下、又は約35ミル以下であってよく、或いはこれは約10ミル〜約100ミル、約15ミル〜約60ミル、又は約20ミル〜約35ミルの範囲であってよい。ミリメートルでのポリマー層又は中間膜の厚さは、少なくとも約0.25mm、少なくとも約0.38mm、少なくとも約0.51mm、及び/又は約2.54mm以下、約2.29mm以下、約1.52mm以下、又は約0.89mm以下、或いは約0.25mm〜約2.54mm、約0.38mm〜約1.52mm、又は約0.51mm〜約0.89mmの範囲であってよい。幾つかの態様においては、樹脂層又は中間膜に、シートの長さ若しくは最長寸法及び/又は幅若しくは第2の最長寸法に沿って実質的に同じ厚さを有する平坦なポリマー層を含ませることができ、一方、他の態様においては、例えば多層中間膜の1以上の層を楔形状にするか、或いは楔形状のプロファイルを与えて、中間膜の厚さがシートの長さ及び/又は幅に沿って変化して、層又は中間膜の一方の縁部が他方よりも大きい厚さを有するようにすることができる。中間膜が多層中間膜である場合には、中間膜の複数の層の少なくとも1つ、少なくとも2つ、又は少なくとも3つの層を楔形状にすることができる。中間膜がモノリス型中間膜である場合には、ポリマーシートは平坦又は楔形状にすることができる。楔形状の中間膜は、例えば自動車及び航空機用途におけるヘッドアップディスプレイ(HUD)パネルにおいて有用である可能性がある。
【0097】
[0096]本発明の幾つかの態様による樹脂組成物、層、及び中間膜は、樹脂層又は中間膜及び少なくとも1つの硬質基材を含む多層パネルにおいて用いることができる。任意の好適な硬質基材を用いることができ、幾つかの態様においては、これはガラス、ポリカーボネート、二軸配向PET、コポリエステル、アクリル樹脂、及びこれらの組合せからなる群から選択することができる。硬質基材がガラスを含む場合には、ガラスは、上記に示す群から選択することができる。硬質基材がポリマー材料を含む場合には、ポリマー材料にハードコート表面層を含ませることができ、又は含ませなくてもよい。幾つかの態様においては、多層パネルは1対の硬質基材を含み、その間に樹脂中間膜が配置される。このパネルは、例えば、自動車用フロントガラス及び窓、航空機用風防及び窓、船舶用途、鉄道用途等の種々の輸送用途用のパネル、窓、扉、階段、通路、バラスター、装飾建築パネルのような構造建築パネル、ハリケーン用ガラス又は竜巻用ガラスのような耐候パネル、耐弾パネル、及び他の同様の用途などの種々の最終用途のために用いることができる。
【0098】
[0097]ガラスのような2つの硬質基材の間に樹脂層又は中間膜を積層する場合には、このプロセスに少なくとも次の:(1)2つの基材及び中間膜を組み立ててアセンブリにし;(2)IR放射材又は対流装置によってアセンブリを第1の短い時間加熱し;(3)アセンブリを、第1の脱気のために加圧ニップロール中に通し;(4)アセンブリを約60℃〜約120℃へ短時間加熱して、中間膜の縁部を封止するのに十分な一時的接着をアセンブリに与え;(5)アセンブリを第2の加圧ニップロール中に通して、中間膜の縁部を更に封止して更なる取扱いを可能にし;そして(6)アセンブリを、135℃〜150℃の間の温度及び150psig〜200psigの間の圧力において約30分間〜90分間オートクレーブ処理する;工程を含ませることができる。幾つかの態様にしたがって上記の工程(2)〜(5)において記載した中間膜−ガラス界面を脱気するための他の方法としては、真空バッグ及び真空リングプロセスが挙げられ、これらの両方もここに記載する本発明の中間膜を形成するために用いることができる。
【0099】
[0098]幾つかの態様においては、多層パネルに、層又は中間膜上に配置される少なくとも1つのポリマーフィルムを含ませて、「二重層」と呼ばれる多層パネルを形成することができる。幾つかの態様においては、二重層において用いる中間膜には多層中間膜を含ませることができ、一方、他の態様においてはモノリス型中間膜を用いることができる。ここに記載する多層パネルにおいてポリマーフィルムを用いると、赤外吸収性のような他の性能の向上も与えながら最終パネルの光学特性を向上させることができる。ポリマーフィルムは、フィルム単独では必要な貫通抵抗及びガラス保持特性を与えないという点で、ポリマー層又は中間膜とは異なる。ポリマーフィルムはまたシートより薄くてもよく、0.001mm〜0.25mmの範囲の厚さを有していてよい。ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)が、ポリマーフィルムを形成するのに用いる材料の一例である。
【実施例】
【0100】
[0099]以下の実施例は、本発明を製造及び使用することを当業者に教示するために本発明を例示する意図であり、いかなるようにも発明の範囲を限定することは意図しない。
[0100]以下の実施例は、種々のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含む幾つかの樹脂組成物、層、及び中間膜の製造を記載する。下記に記載するように、多くの組成物、層、及び中間膜について行う幾つかの試験を用いて、種々の比較材料及び本発明材料の音響及び光学特性を評価した。
【0101】
実施例1:高屈折率のポリ(ビニルアセタール)樹脂の製造:
[0101]n−ブチルアルデヒド(nBuCHO;RI=1.377)、イソブチルアルデヒド(iBuCHO;RI=1.374)、及び2−エチルヘキシルアルデヒド(2EHCHO;RI=1.414)を含む1種類以上のアルデヒドを用いてポリビニルアルコールをアセタール化することによって、下表2において比較樹脂CR−1〜CR−12と呼ぶ幾つかの比較ポリ(ビニルアセタール)樹脂を調製した。上記に詳細に記載したASTM−D1396又はFT−IR/SEC法のいずれかを用いて、得られた樹脂の組成を測定した。また、上記に記載した方法にしたがって幾つかの樹脂の屈折率及びガラス転移温度(T)も測定し、結果を下表2に示す。
【0102】
【表2】
【0103】
[0102]更に、同様の方法で本発明の幾つかの態様による幾つかのポリ(ビニルアセタール)樹脂も調製した。これらの本発明樹脂(表3において本発明樹脂DR−1〜DR−21と呼ぶ)は、n−ブチルアルデヒドと、ベンズアルデヒド(BzCHO;RI=1.545)、シンナムアルデヒド(CCHO;RI=1.620)、4−クロロベンズアルデヒド(4−ClBzCHO;RI=1.5850)、2−フェニルプロピオンアルデヒド(2PHPrCHO;RI=1.517)、及びヒドロシンナムアルデヒド(HCCHO;RI=1.523)を含む種々の高屈折率アルデヒドの混合物を用いてポリビニルアルコールをアセタール化することによって形成した。幾つかの本発明樹脂の屈折率も求め、結果を下表3にまとめる。
【0104】
【表3】
【0105】
[0103]表2及び3において示されように、上記に示したものを含む少なくとも1種類の高屈折率アルデヒドの残基を含むポリビニルアセタール樹脂は、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、及び2−エチルヘキシルアルデヒドのようなアルデヒドの残基を含むものよりも高い屈折率を示す傾向がある。
【0106】
実施例2:高屈折率樹脂中間膜の製造:
[0104]上記の表2に示す幾つかの比較樹脂及び表3に示す幾つかの本発明樹脂を、種々の量の可塑剤のトリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサノエート)(3GEH)と混合及び溶融ブレンドすることによって、幾つかの比較及び本発明中間膜を形成した。それぞれの得られた中間膜(比較中間膜CL−1〜CL−14及び本発明中間膜DL−1〜DL−26と呼ぶ)の組成、屈折率、及びガラス転移温度を上記に記載のように測定し、結果をそれぞれ下表4及び5にまとめる。
【0107】
【表4】
【0108】
【表5】
【0109】
[0105]表4及び5において示されるように、表3からのより高い屈折率の本発明樹脂を用いた本発明中間膜は、表2に示す比較樹脂のようなより低い屈折率の樹脂を用いて調製した比較中間膜よりも高い屈折率を示す。更に、本発明中間膜DL−1及びDL−2及びDL−6並びにDL−23〜DL−25を比較することによって示されるように、中間膜を形成するために用いる可塑剤の量は、層のガラス転移温度及び屈折率の両方に影響を与えるが、必ずしも全ての樹脂に関して同程度ではない。例えばDL−1(75phrの3GEH;本発明樹脂1)とDL−2(50phrの3GEH;本発明樹脂1)を比較することによって示されるように、可塑剤の量を約33%減少させると、中間膜のガラス転移温度が11℃(1℃から12℃へ)上昇するが、屈折率は0.006(1.473から1.479へ)しか増加しない。しかしながら、DL−25(60phrの3GEH;本発明樹脂5)とDL−6(75phrの3GEH;本発明樹脂5)を比較することによって示されるように、この樹脂によって形成される層中の可塑剤含量を減少させると、ガラス転移温度は1℃(1℃から2℃へ)しか上昇せず、一方、屈折率は0.004(1.484から1.488へ)増加する。
【0110】
実施例3:高屈折率樹脂を用いる中間膜の製造:
[0106]実施例2において形成し、それぞれ表4及び5においてまとめた幾つかの比較中間膜及び本発明中間膜を用いて、幾つかの比較及び本発明多層中間膜を生成させた。それぞれの多層中間膜は、通常はより低い残留ヒドロキシル含量を有する樹脂で形成された5ミルの厚さを有する内側の「コア」層をサンドイッチしている合計で28ミルの厚さを有する1対の外側の「スキン」層を含んでいた。中間膜の組成、並びに屈折率、ガラス転移温度、色斑、及び損失係数を含む幾つかの特性を上記に記載のように測定し、比較多層中間膜(CI−1〜CI−16)及び本発明多層中間膜(DI−1〜DI−29)に関する結果を下表6及び7にまとめる。
【0111】
【表6】
【0112】
【表7-1】
【0113】
【表7-2】
【0114】
[0107]表6において示されるように、0.010以上の屈折率の差を有するスキン及びコア層から形成された中間膜は、5より高い色斑値によって示されるように光学欠陥を示した。しかしながら、表7において示されるように、0.010未満の屈折率の差を有するスキン及びコア層から形成された中間膜は、1以下の低い色斑値を示した。更に、表7において示されるように、かかる低い色斑値は、隣接する層の屈折率の間の差の絶対値が0.010未満である限りにおいては、スキン層よりも高いか又は低い屈折率を有するコア層を有する中間膜によって達成することができた。また、表7において示されるように、高RIアルデヒド残基、及び0.010より大きい屈折率の差の両方を有するスキン及びコア層から形成された中間膜は、5以上の高い色斑値を示した。
【0115】
実施例4:多層中間膜の安定性:
[0108]上記の実施例1〜3に記載するように製造した2つの比較多層中間膜のCI−2及びCI−7、並びに2つの本発明多層中間膜のDI−4及びDI−5を試験して、時間経過に伴う中間膜の相対的安定性を求めた。最初の時点(t=0)及び層が平衡に達した後のそれぞれの層のガラス転移温度を比較することによって、正味の可塑剤移動を測定した。結果を下表8にまとめる。
【0116】
【表8】
【0117】
[0109]本発明中間膜DI−4は、平衡状態において中間膜のスキン及びコア層の両方のガラス転移温度における最小の変化を示した。これは、中間膜CI−2、CI−7、及びDI−4のそれぞれのスキン層とコア層の間の最小量の可塑剤移動を示す。比較中間膜CI−2及びCI−7は比較的安定である可能性があるが、両方とも5より高い色斑値を示し、これは殆どの光学用途において許容できない。これに対して、本発明中間膜DI−4によって示された色斑値は1未満であった。
【0118】
[0110]平衡状態における本発明中間膜DI−5によって示されたガラス転移温度における僅かな低下は、少量の可塑剤がスキン層からコア層へ移動したことを示した。かかる移動は、スキン層中においてより少ない量の可塑剤、又はコア中においてより多い量を用いることによって軽減することができる。それでも、本発明中間膜DI−5のコア層とスキン層の屈折率は0.004しか相違しておらず、その結果、この中間膜も1未満の色斑値を示した。
【0119】
実施例5:ブレンドされたポリ(ビニルアセタール)樹脂:
[0111]上記の実施例1において記載したように製造した幾つかの比較樹脂及び本発明樹脂を、38phrの3GEH可塑剤と混合及び溶融ブレンドして、比較のブレンドされた層CBL−16及びCBL−17、並びに本発明のブレンドされた層DBL−27及びDBL−28を形成した。比較樹脂層CL−2を表に示す。CL−15は比較樹脂CR−10及び38phrの3GEHを用いて調製し、一方、本発明樹脂層DL−27及びDL−28は、それぞれ本発明樹脂DR−3及びDR−5、並びに38phrの3GEHを用いて調製した。それぞれのブレンドされた樹脂中間膜に関する曇り度及び可視透過率(%)(Tvis)を、曇り度及び可視透過率(%)と共に測定した。結果を下表9に示す。
【0120】
【表9】
【0121】
[0112]表9において示されるように、比較樹脂CR−2及びCR−10のブレンドから形成した比較のブレンドされた中間膜CBL−16及びCBL−17は、高い色斑値、並びに比較樹脂CR−2の単一の樹脂層(比較層CL−2)又はCR−10の単一の樹脂層(比較中間膜CL−15)よりも低い可視透過率(%)を示した。これに対して、比較樹脂CR−2及び高屈折率の本発明樹脂(層DBL−27においては樹脂DR−3、又は層DBL−228においては樹脂DR−5)のブレンドから形成した本発明のブレンドされた中間膜DBL−27及びDBL−28は、比較樹脂CR−2のみを用いて調製した比較中間膜CL−2と実質的に同等の曇り度及び可視透過率(%)を示した。而して、本発明の高屈折率樹脂を比較中間膜に加えても、得られる中間膜の光学品質は低下しない。
【0122】
実施例6:高屈折率添加剤を有する中間膜の製造:
[0113]ポリビニルアルコールをn−ブチルアルデヒドでアセタール化することによって幾つかのポリ(ビニルアセタール)樹脂を調製した。異なる残留ヒドロキシル含量を有する樹脂を、種々の量の3GEH可塑剤と溶融ブレンドし、多層中間膜の種々の層を形成するために用いた。それぞれの中間膜は、それぞれが14ミルの厚さを有する2つの外側の「スキン」層の間にサンドイッチされている5ミルの厚さを有する内側の「コア」層を有していた。コア層を形成するために用いたポリ(ビニルブチラール)樹脂は11重量%のヒドロキシル含量を有しており、スキン層のために用いた樹脂は19重量%のヒドロキシル含量を有していた。いずれの樹脂も約2重量%の残留アセテート含量を有していた。
【0123】
[0114]3GEHで可塑化した樹脂層を用い、コア及びスキン層中に種々の量で存在させて、比較中間膜CI−17〜CI−19を形成した。本発明中間膜DI−30〜DI−38には、3GEHに加えて、種々の量の2種類の異なる高屈折率の添加剤:Benzoflex(登録商標)2-45(ジエチレングリコールジベンゾエート;Eastman Chemical Company, Kingsport, Tennesseeから商業的に入手できる)(添加剤A−1)(28℃の融点及び1.542の屈折率を有していた);及びBenzoflex(登録商標)352(1,4−シクロヘキサンジメタノールジベンゾエート;Eastman Chemical Companyから商業的に入手できる)(添加剤A−2)(118℃の融点及び1.554の屈折率を有していた);も含ませた。比較中間膜CI−17〜CI−19及び本発明中間膜DI−30〜DI−38のそれぞれの層の屈折率及びガラス転移温度を測定し、結果を下表10にまとめる。
【0124】
【表10】
【0125】
[0115]表10において示されるように、3GEH可塑剤のみを含んでいた中間膜のコア層の可塑剤含量を増加させると、層のガラス転移温度が低下し、最終的にはその音響性能が向上した。しかしながら、かかる増加によってまた、スキン層とコア層の屈折率の間の差が広がり、それによって中間膜の光学品質が低下した。表10における本発明中間膜DI−30〜DI−38を比較することによって示されるように、更なる高屈折率添加剤を用いて調製したコア層の屈折率は、可塑剤装填量の増加に伴ってほぼ一定に維持され、一方、ガラス転移温度における同様の低下をなお示した。この結果、ほぼ同等の屈折率を有するコア及びスキン層を有する中間膜が得られ、これは色斑のような光学欠陥が大きく減少した。同時に、コア層はまた十分に低いガラス転移温度も示し、これはこの樹脂は音響特性も有していたことを示す。
【0126】
実施例7:反応性高屈折率添加剤を有するコア層の製造:
[0116]11重量%の残留ヒドロキシル含量及び約2重量%の残留アセテート含量を有するポリビニルn−ブチラール樹脂を種々の量の3GEH可塑剤と溶融ブレンドすることによって、多層中間膜の内側のコア層をシミュレートするために用いる幾つかの樹脂層を形成した。比較層CL−16は75phrの3GEHを含んでおり、一方、本発明層DL−29〜DL−31は、3GEHと反応性高屈折率添加剤(反応性高RI添加剤)の種々の混合物を用いて調製した。本発明層DL−29及びDL−30において用いた反応性高RI添加剤(添加剤A)はジフェニルジメトキシシラン(Gelest Inc., Morrisville, PennsylvaniaからSID4535.0として商業的に入手できる)であり、本発明層DL−31において用いた反応性高RI添加剤(添加剤B)は無水フタル酸(Sigma Aldrich Co., St. Loius, Missouriから商業的に入手できる)であった。比較層CL−16及び本発明層DL−29〜DL−31のそれぞれの屈折率を測定し、結果を下表11に示す。
【0127】
【表11】
【0128】
[0117]表11において示されるように、3GEHを1種類以上の反応性高屈折率添加剤と組み合わせて用いて形成した樹脂層は、3GEHのみを用いて調製した樹脂層よりも高い屈折率を有していた。その結果、多層中間膜における内側のコア層として用いた場合に、本発明層DL−29〜DL−31は、ポリビニルn−ブチラールを用いて形成したスキン層の屈折率(RI=1.477)により密に合致する屈折率を有していた。その結果、コア層として本発明層DL−29〜DL−31を用いて形成した多層中間膜は、内側のコア層として比較層CL−16を用いて形成した多層中間膜よりも少ない光学欠陥を示す。
【0129】
実施例8:高屈折率可塑剤を有する樹脂ブレンドを用いる種々の中間膜:
[0118]実施例1において上記に記載した手順にしたがって、2種類のポリビニルn−ブチラール樹脂のR−1及びR−2を調製した。樹脂R−1は19重量%の残留ヒドロキシル含量を有しており、一方、樹脂R−2は11重量%の残留ヒドロキシル含量を有していた。両方の樹脂とも2重量%の残留アセテート含量を有していた。種々のブレンド割合をシミュレートするために、種々の量の樹脂R−1及びR−2を含ませた幾つかの樹脂ブレンドを調製した。このブレンドを、3GEH(可塑剤P−1;RI=1.442)、ジオクチルフタレート(可塑剤P−2;RI=1.485)、30重量%の3GEHと70重量%のBenzoflex(登録商標)2088(Eastman Chemical Company, Kingsport, Tennesseeから商業的に入手できる)のブレンド(可塑剤P−3;RI=1.506)、及びノニルフェニルテトラエチレングリコール(可塑剤P−4;RI=1.500)から選択される38phrの可塑剤と混合した。次に、両方の樹脂及び可塑剤を含ませた得られた可塑化樹脂を単一のシートに成形した。それぞれのシートに関する屈折率、曇り度、及び可視透過率(%)を求め、結果を下表12に示す。
【0130】
【表12】
【0131】
[0119]表12において示されるように、可塑剤P−1を用いて調製したブレンドされた樹脂層は、より低いヒドロキシル含量の樹脂のR−2の量が増加するに伴って実質的に一定の屈折率を維持したが、高いレベルのR−2を有するこれらの樹脂ブレンドの光学特性は、R−2の量が増加するにつれて悪化した。例えば表12において示されるように、1.1%より多い樹脂R−2を含ませたブレンドの曇り度は増加し、一方、これらのブレンドの可視透過率(%)は88.5%から81.7%へ減少した。
【0132】
[0120]これに対し、より高屈折率の可塑剤のP−2〜P−4で可塑化した樹脂R−2を2.2%より多く含む樹脂ブレンドは、それぞれ、より少ない量の樹脂R−2を有するブレンドと実質的に同等の曇り度及び可視透過率(%)を示した。したがって、可塑剤P−2〜P−4のようなより高屈折率の可塑剤を用いた樹脂ブレンドは、最終ブレンドの光学特性に悪影響を与えることなく、より低いヒドロキシル含量の樹脂をより多い量で用いることを可能にすることができると結論することができる。
【0133】
実施例9:高屈折率可塑剤を含むポリ(ビニルブチラール)層:
[0121]3種類の異なるポリ(ビニルn−ブチラール)樹脂(PVB−1〜PVB−3)を異なるタイプ及び量の可塑剤と混合及び溶融ブレンドすることによって、幾つかのポリ(ビニルn−ブチラール)層を形成した。樹脂PVB−1〜PVB−3のそれぞれは、11重量%〜20.4重量%の範囲の異なる残留ヒドロキシル含量を有しており、3つの樹脂は全て1重量%の残留ビニルアセテート含量を有していた。比較層CL−17〜CL−19は種々の量のトリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)(3GEH;RI=1.442)を用いて調製し、一方、本発明層DL−32〜DL−37には3GEHとBenzoflex(登録商標)354(Eastman Chemical Company, Kingsport, Tennesseeから商業的に入手できる)(RI=1.53)の混合物を含ませた。それぞれの層の屈折率を測定し、結果を下表13にまとめる。
【0134】
【表13】
【0135】
[0122]表13において示されるように、高屈折率可塑剤を含む樹脂層は、低屈折率可塑剤のみを含むものよりも高い屈折率を示した。
実施例10:高屈折率添加剤を有する中間膜の製造:
[0123]実施例9において形成し、表13にまとめた比較中間膜及び本発明中間膜の幾つかを用いて、幾つかの比較多層中間膜及び本発明多層中間膜を生成させた。それぞれの多層中間膜は、より低い残留ヒドロキシル含量を有する樹脂で形成した5ミルの厚さを有する内側の「コア」層をサンドイッチしているそれぞれ14ミルの厚さを有する1対の外側の「スキン」層を含んでいた。上記に記載のように全可塑剤含量、屈折率、ガラス転移温度、色斑、及び損失係数などの多層中間膜の組成及び幾つかの特性を測定し、比較多層中間膜CI−20及びCI−21並びに本発明多層中間膜DI−39〜DI−41に関する結果を下表14にまとめる。
【0136】
【表14】
【0137】
[0124]表14において示されるように、0.010より大きい屈折率の差をを有するスキン及びコア層から形成した中間膜は、5の色斑値によって示されるようにより多い光学欠陥を示した。更に、高屈折率可塑剤を用いた本発明中間膜DI−39〜DI−41は、1.460未満の屈折率を有する可塑剤のみを用いた比較中間膜CI−20及びCI−21と比べてより高い全体的な屈折率を示した。
【0138】
[0125]好ましい態様であると現在考えられているものを含む幾つかの態様の記載に関連して発明を開示したが、詳細な説明は例示の意図であり、本発明の範囲を限定すると理解すべきではない。当業者に理解されるように、本明細書において詳細に記載されているもの以外の態様は本発明に包含される。発明の精神及び範囲から逸脱することなく、記載されている態様の修正及び変更を行うことができる。
【0139】
[0126]更に、本発明の任意の単一の構成要素に関して与えられている任意の範囲、値、又は特徴は、互換的な場合には、本発明の任意の他の構成要素に関して与えられている任意の範囲、値、又は特徴と互換的に用いて、本明細書全体にわたって与えられているそれぞれの構成要素に関して規定されている値を有する一態様を形成することができることが理解される。例えば、与えられている任意の範囲の可塑剤を含むことに加えて、与えられている任意の範囲の残留ヒドロキシル含量を有するポリ(ビニルブチラール)を含む中間膜を形成して、本発明の範囲内であるが、列記するのは煩雑である多くの変形体を形成することができる。更に、フタレート又はベンゾエートのような属又はカテゴリーに関して与えられている範囲はまた、他に示していない限りにおいて、ジオクチルテレフタレートのようなそのカテゴリーの属又は構成要素の中の種に適用することもできる。
本発明は以下の実施態様を含む。
(1)第1ポリ(ビニルアセタール)樹脂;及び
第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量よりも少なくとも2重量%多いか又は少ない残留ヒドロキシル含量を有する第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂;
を含む第1の樹脂層を含み;
第1の樹脂層は第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として少なくとも0.5重量%の第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含み、第1の樹脂層は少なくとも1.480の屈折率を有するポリマー中間膜。
(2)少なくとも1.460の屈折率を有する可塑剤を更に含む、(1)に記載の中間膜。
(3)第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂が、第1及び第2の樹脂の合計重量を基準として少なくとも2.5重量%の量で第1の樹脂層中に存在する、(1)に記載の中間膜。
(4)第1の樹脂層の少なくとも一部のガラス転移温度は25℃未満である、(1)に記載の中間膜。
(5)第1の樹脂層のガラス転移温度は少なくとも26℃であり、中間膜中の第1の樹脂層と接触している隣接する樹脂層を更に含み、隣接する樹脂層は他のポリ(ビニルアセタール)樹脂及び可塑剤を含み、他のポリ(ビニルアセタール)樹脂は第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量よりも少なくとも2重量%少ない残留ヒドロキシル含量を有し、隣接する樹脂層は25℃未満のガラス転移温度を有する、(1)に記載の中間膜。
(6)第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計量は第1の樹脂層中に存在する全樹脂の合計重量の少なくとも50重量%であり、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂のそれぞれは第1の樹脂層中の全樹脂の合計重量を基準として少なくとも2.5重量%の量で第1の樹脂層中に存在し、第1の樹脂層は2%未満の曇り度を有する、(1)に記載の中間膜。
(7)第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、第1の樹脂層内において、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方が第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の他方の中に分散して、それによって第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方のドメインが第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の他方の中に形成されるようにブレンドされている、(1)に記載の中間膜。
(8)中間膜が5%未満の曇り度を有する、(7)に記載の中間膜。
(9)(1)に記載の中間膜、及び少なくとも1つの硬質基材を含む多層パネル。
(10)第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂;
第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量よりも少なくとも2%少ない残留ヒドロキシル含量を有する第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂;及び
少なくとも1.460の屈折率を有する少なくとも1種類の可塑剤;
を含み;
第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として少なくとも0.5重量%の量で樹脂組成物中に存在し、樹脂組成物は5%以下の曇り度を有するポリマー樹脂組成物。
(11)第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂が、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方が第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の他方の中に分散して、それによって第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方のドメインが第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の他方の中に形成されるように互いとブレンドされている、(10)に記載の組成物。
(12)第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂が、15重量%以下の残留ヒドロキシル含量を有し、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として少なくとも2.5重量%の量で樹脂組成物中に存在する、(10)に記載の組成物。
(13)樹脂組成物は1.450未満の屈折率を有する少なくとも1種類の更なる可塑剤を更に含む、(10)に記載の組成物。
(14)(10)に記載の樹脂組成物、及び少なくとも1種類の可塑剤を含み、少なくとも26℃のガラス転移温度及び少なくとも1.480の屈折率を有する樹脂層。
(15)少なくとも第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂、第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂、及び可塑剤をブレンドすることによって形成されるブレンドされた樹脂層;
を含み;
第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方は、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の他方の中に分散して、それによって第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方のドメインが第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の他方の中に形成されており;
ブレンドの前において、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の少なくとも1つは1.492より高い屈折率を有し;そして
ブレンドの後において、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の屈折率と第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の屈折率の間の差の絶対値は0.010以下である中間膜。
(16)第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は1.492より高い屈折率を有し、ブレンドされた樹脂はブレンドされた樹脂層中の樹脂の合計重量を基準として少なくとも0.5重量%の第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含み、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂は1.492未満の屈折率を有する、(15)に記載の中間膜。
(17)第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、及び2−エチルヘキサナールからなる群から選択される少なくとも1種類のアルデヒドの残基を含み、第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は少なくとも1種類の芳香族アルデヒドの残基を含む、(15)に記載の中間膜。
(18)第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂と第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量の間の差は少なくとも2重量%であり、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂と第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂のガラス転移温度の間の差は少なくとも3℃であり、中間膜は2%未満の曇り度を有する、(15)に記載の中間膜。
(19)第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂は少なくとも15重量%の残留ヒドロキシル含量を有し、ブレンドされた樹脂層の少なくとも一部は20℃以下のガラス転移温度を有する、(15)に記載の中間膜。
(20)中間膜はモノリス型中間膜である、(19)に記載の中間膜。
(21)中間膜はブレンドされた樹脂層に隣接する第2の樹脂層を更に含む、(15)に記載の中間膜。
本発明は以下の他の実施態様を含む。
(1)第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂;
第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量よりも少なくとも2重量%多いか又は少ない残留ヒドロキシル含量を有する第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂;及び
少なくとも1.460の屈折率を有する可塑剤;
を含む第1の樹脂層
を含み;
第1の樹脂層は第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計重量を基準として少なくとも0.5重量%の第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含み、第1の樹脂層は少なくとも1.480の屈折率を有し、
第1の樹脂層のガラス転移温度は少なくとも26℃であり、中間膜中の第1の樹脂層と接触している隣接する樹脂層を更に含み、隣接する樹脂層は他のポリ(ビニルアセタール)樹脂及び可塑剤を含み、他のポリ(ビニルアセタール)樹脂は第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量よりも少なくとも2重量%少ない残留ヒドロキシル含量を有し、隣接する樹脂層は25℃未満のガラス転移温度を有するポリマー中間膜。
(2)第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂が、第1及び第2の樹脂の合計重量を基準として少なくとも2.5重量%の量で第1の樹脂層中に存在する、(1)に記載の中間膜。
(3)第1の樹脂層に含まれる第1又は第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂のうち残留ヒドロキシル含量が少ない方のガラス転移温度は25℃未満である、(1)に記載の中間膜。
(4)第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の合計量は第1の樹脂層中に存在する全樹脂の合計重量の少なくとも50重量%であり、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂のそれぞれは第1の樹脂層中の全樹脂の合計重量を基準として少なくとも2.5重量%の量で第1の樹脂層中に存在し、第1の樹脂層は2%未満の曇り度を有する、(1)に記載の中間膜。
(5)第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、第1の樹脂層内において、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方が第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の他方の中に分散して、それによって第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方のドメインが第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の他方の中に形成されるようにブレンドされている、(1)に記載の中間膜。
(6)中間膜が5%未満の曇り度を有する、(5)に記載の中間膜。
(7)(1)に記載の中間膜、及び少なくとも1つの硬質基材を含む多層パネル。
(8)少なくとも第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂、第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂、及び可塑剤をブレンドすることによって形成されるブレンドされた樹脂層;
を含み;
第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方は、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の他方の中に分散して、それによって第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の一方のドメインが第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の他方の中に形成されており;
ブレンドの前において、第1及び第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の少なくとも1つは1.492より高い屈折率を有し;そして
ブレンドの後において、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂の屈折率と第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の屈折率の間の差の絶対値は0.010以下であり、
第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂と第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂の残留ヒドロキシル含量の間の差は少なくとも3重量%であり、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂と第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂のガラス転移温度の間の差は少なくとも3℃であり、中間膜は2%未満の曇り度を有する中間膜。
(9)第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は1.492より高い屈折率を有し、ブレンドされた樹脂はブレンドされた樹脂層中の樹脂の合計重量を基準として少なくとも0.5重量%の第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂を含み、第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂は1.492未満の屈折率を有する、(8)に記載の中間膜。
(10)第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂は、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、及び2−エチルヘキサナールからなる群から選択される少なくとも1種類のアルデヒドの残基を含み、第2のポリ(ビニルアセタール)樹脂は少なくとも1種類の芳香族アルデヒドの残基を含む、(8)に記載の中間膜。
(11)第1のポリ(ビニルアセタール)樹脂は少なくとも15重量%の残留ヒドロキシル含量を有し、ブレンドされた樹脂層の少なくとも一部は20℃以下のガラス転移温度を有する、(8)に記載の中間膜。
(12)中間膜はモノリス型中間膜である、(11)に記載の中間膜。
(13)中間膜はブレンドされた樹脂層に隣接する第2の樹脂層を更に含む、(8)に記載の中間膜。