特許第6684816号(P6684816)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684816
(24)【登録日】2020年4月1日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】カットオブジェクト製造装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/66 20060101AFI20200413BHJP
   B26D 5/00 20060101ALI20200413BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20200413BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20200413BHJP
   B26D 5/40 20060101ALI20200413BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   B41J11/66
   B26D5/00 F
   B41J21/00 Z
   B26D7/06 B
   B26D5/40
   B65H37/04 Z
【請求項の数】14
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-546020(P2017-546020)
(86)(22)【出願日】2015年11月19日
(65)【公表番号】特表2018-505080(P2018-505080A)
(43)【公表日】2018年2月22日
(86)【国際出願番号】EP2015077163
(87)【国際公開番号】WO2016079268
(87)【国際公開日】20160526
【審査請求日】2018年6月6日
(31)【優先権主張番号】102014223628.2
(32)【優先日】2014年11月19日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102014225760.3
(32)【優先日】2014年12月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517176401
【氏名又は名称】ツェーエーヴェーエー シュティフトゥンク ウント コー.カーゲーアーアー
【氏名又は名称原語表記】CEWE STIFTUNG & CO. KGAA
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】シュッツ、ペーター
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−011095(JP,A)
【文献】 特開2005−219309(JP,A)
【文献】 特開平11−277821(JP,A)
【文献】 特開平09−174899(JP,A)
【文献】 特開2003−104598(JP,A)
【文献】 特開2002−211791(JP,A)
【文献】 特開2005−88247(JP,A)
【文献】 特開2009−166258(JP,A)
【文献】 特開2000−335041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00
B41J 2/315−2/345
B41J 2/42−2/425
B41J 2/475−2/48
B41J 5/00− 5/52
B41J 21/00−21/18
B65H 7/00
B65H 43/00
B65H 37/00
B65H 41/00
B65H 45/00−47/00
B65H 23/18−23/198
B65H 26/00
B26D 5/00− 5/42
B26D 7/00−11/00
G03B 17/48−17/55
G09F 1/00− 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断パターンと該切断パターン内のプリントパターンを含むパターンに基づきカットオブジェクトを製造する装置であって、
該装置(1)は、
・前記パターンをプリント基材(14)にプリントし、プリントされたプリント基材(以下「プリント済みプリント基材」という。)(14)をアウトプットする熱昇華型プリンタ(11)、
・プリント基材(14)を切断パターンに沿って切断する切断装置(13)、但し、切断装置はプリント基材(14)を切断する切断ユニット(31)と、切断装置(13)内でプリント基材を移動する第1移動ユニット(18)を有し、第1移動ユニット(18)は、切断プロセス中、第1移動ユニット(18)から切断ユニット(31)への移動方向及び切断ユニット(31)から第1移動ユニット(18)に戻る移動方向に、プリント基材(14)を移動するよう適合されている、
を含み、
熱昇華型プリンタ(11)は、アウトプットされたプリント基材(14)がプリントが行われたプリントエリア(55)とプリントが行われなかった非プリントエリア(56)を有するように、プリント基材(14)にプリントするよう適合されており、
プリントエリア(55)と非プリントエリア(56)は、配置方向(57)において連続的に交互に配置されており、配置方向(57)における非プリントエリア(56)の寸法(59)は、切断ユニット(31)と第1移動ユニット(18)の間の距離(54)以上であり
熱昇華型プリンタ(11)と切断装置は、移動方向(53)と配置方向(57)が揃えられているように、配置されており、
該装置(1)は、更に、
a)プリント済みプリント基材(14)を熱昇華型プリンタ(11)から切断装置(13)へ自動的に移送する移送装置(12)、但し、移送装置(12)はプリント済みプリント基材(14)を順方向において熱昇華型プリンタ(11)から切断装置(13)へ自動的に移動する第2移動ユニット(16)を含み、該順方向は移動方向(53)及び配置方向(57)と揃えられている、
及び、
b)少なくとも移送装置(12)及び切断装置(13)を制御する制御装置(10)
を含
熱昇華型プリンタ(11)は、巻取り紙状のプリント基材から切り取られるべき部分にプリントエリア(55)と非プリントエリア(56)を提供するよう適合されており、
プリントパターンはプリントエリア(55)にプリントされており、非プリントエリア(56)はプリントされておらず、
熱昇華型プリンタ(11)は前記切り取られるべき部分を切り取り、当該切り取った部分をプリント済みプリント基材(14)としてアウトプットするよう適合されている、
装置。
【請求項2】
請求項に記載の装置において、
熱昇華型プリンタ(11)、移送装置(12)及び切断装置(13)は、プリント基材(14)が順方向において熱昇華型プリンタ(11)から移送装置(12)を介して切断装置(13)へ直動可能であるように配置されており、
移送装置(12)は、プリント基材(14)を回転することなく並進運動のみ実行することにより、プリント済みプリント基材(14)を順方向に移動するよう適合されている、
装置。
【請求項3】
請求項又はに記載の装置において、
制御装置(10)は、最初に、プリント済みプリント基材(14)を第1移動ユニット(18)へ移動するよう第2移動ユニット(16)のみが作動され、次に、該2つの移動ユニット(18、16)が同期的にプリント済みプリント基材(14)を更に切断装置(13)内へ移動するよう該2つの移動ユニット(18、16)が作動されるように、該2つの移動ユニット(18、16)を制御するよう適合されている、
装置。
【請求項4】
請求項に記載の装置において、
移送装置(12)は、プリント済みプリント基材(14)が第2移動ユニット(16)によって切断装置(13)の方向へ移動される距離を測定する測定ユニット(19)を更に含み、
制御装置(10)は、プリント済みプリント基材(14)の第1移動ユニット(18)への移動が完了したことを測定された距離が示すまで、プリント済みプリント基材(14)が切断装置(13)の方向へ前進されるように、第2移動ユニット(16)を制御するよう適合されている
装置。
【請求項5】
請求項に記載の装置において、
測定ユニット(19)は、熱昇華型プリンタ(11)がプリント済みプリント基材(14)を移送装置(12)内へ案内した距離を測定するようにも適合されており、
制御装置(10)は、プリント済みプリント基材(14)の第1移動ユニット(18)への移動が完了したことを測定された距離全体が示すまで、プリント済みプリント基材(14)が切断装置(13)の方向へ前進されるように、第2移動ユニット(16)を制御するよう適合されている、
装置。
【請求項6】
請求項に記載の装置において、
第2移動ユニット(16)は、順方向において空転するモータ駆動型ローラ(20)を有し、
測定ユニット(19)は、熱昇華型プリンタ(11)がプリント済みプリント基材(14)を移送装置(12)内へ移動した距離を測定するために、プリント済みプリント基材(14)が熱昇華型プリンタ(11)から移送装置(12)内へ移動されるとき、前記ローラ(20)の従動的自由回転(passive freewheeling rotation)を測定するよう適合されている、
装置。
【請求項7】
請求項1〜の何れかに記載の装置において、
第1移動ユニット(18)は、プリント済みプリント基材(14)を切断装置(13)へ移動するためのモータ駆動型ローラ(21)を含む、但し、モータ駆動型ローラ(21)は空転しない、
装置。
【請求項8】
請求項の何れかに記載の装置において、
移送装置(12)は、第1移動ユニット(18)がプリント済みプリント基材(14)を移送装置(12)の方向へ後進させるとき、第2移動ユニット(16)のそばを通過するようプリント済みプリント基材(14)を案内するよう適合されている案内ユニット(22)を含む、
装置。
【請求項9】
請求項に記載の装置において、
案内ユニット(22)は、第1移動ユニット(18)がプリント済みプリント基材(14)を移送装置(12)の方向へ後進させるとき、第2移動ユニット(16)の下側でプリント済みプリント基材(14)を案内するよう適合されている、
装置。
【請求項10】
請求項の何れかに記載の装置において、
移送装置(12)は、プリント済みプリント基材(14)が移送装置(12)に供給される時点を検出するプリント基材検出ユニット(19)を有し、
制御装置(10)は、プリント基材(14)が供給されたことが検出されてから予め設定された期間が経過するまでは第2移動ユニット(16)がプリント済みプリント基材(14)を切断装置(13)の方向へ移動させないように、第2移動ユニット(16)を制御するよう適合されている、
装置。
【請求項11】
請求項10の何れかに記載の装置において、
第2移動ユニット(16)は、プリント済みプリント基材(14)を移動するための、切断装置(13)の方向において自由回転するモータ駆動型ローラ(20)を含む、
装置。
【請求項12】
請求項10及び11に記載の装置において、
熱昇華型プリンタ(11)と移送装置(12)は、熱昇華型プリンタ(11)から移送装置(12)に供給されたプリント済みプリント基材(14)が第2移動ユニット(16)の空転ローラ(20)を回転させるように適合されており、
プリント基材検出ユニット(19)は、第2移動ユニット(16)のローラ(20)の回転を検出することにより、プリント基材(14)が供給される時点を検出するよう適合されている、
装置。
【請求項13】
切断パターンと該切断パターン内のプリントパターンを含むパターンに基づきカットオブジェクトを製造する方法であって、
該方法は、以下の工程:
・熱昇華型プリンタ(11)によって、プリントパターンをプリント基材(14)にプリントし、プリント済みプリント基材(14)をアウトプットすること、
・切断装置(13)によってプリント基材(14)を切断パターンに沿って切断すること、但し、切断装置(13)はプリント基材(14)を切断する切断ユニット(31)と、切断装置(13)内でプリント基材を移動する第1移動ユニット(18)を有し、第1移動ユニット(18)は、切断オペレーション中、第1移動ユニット(18)から切断ユニット(31)への移動方向及び/又は切断ユニット(31)から第1移動ユニット(18)に戻る移動方向に、プリント基材(14)を移動する、
を含み、
熱昇華型プリンタ(11)は、アウトプットされたプリント基材(14)がプリントが行われたプリントエリア(55)とプリントが行われなかった非プリントエリア(56)を含むように、プリント基材(14)にプリントし、
プリントエリア(55)と非プリントエリア(56)は、配置方向(57)において連続的に配置されており、配置方向(57)における非プリントエリア(56)の寸法(59)は、切断ユニット(31)と第1移動ユニット(18)の間の距離(54)以上であり
熱昇華型プリンタ(11)と切断装置は、移動方向(53)と配置方向(57)が揃えられているように、配置されており、
該方法は、更に、
a)プリント済みプリント基材(14)を熱昇華型プリンタ(11)から切断装置(13)へ移送装置(12)によって自動的に移送すること、但し、移送装置(12)はプリント済みプリント基材(14)を順方向において熱昇華型プリンタ(11)から切断装置(13)へ自動的に移動する第2移動ユニット(16)を含み、該順方向は移動方向(53)及び配置方向(57)と揃えられていること、
及び、
b)少なくとも移送装置(12)及び切断装置(13)を制御装置(10)によって制御すること
を含み、
熱昇華型プリンタ(11)は、巻取り紙状のプリント基材から切り取られるべき部分にプリントエリア(55)と非プリントエリア(56)を提供し、
プリントパターンはプリントエリア(55)にプリントされ、非プリントエリア(56)はプリントされず、
熱昇華型プリンタ(11)は前記切り取られるべき部分を切り取り、当該切り取った部分をプリント済みプリント基材(14)としてアウトプットする、
方法。
【請求項14】
切断パターンと該切断パターン内のプリントパターンを含むパターンに基づきカットオブジェクトを製造するためのコンピュータプログラムであって、
該コンピュータプログラムは、請求項1に記載のカットオブジェクトの製造装置(1)を制御する制御装置(10)において該コンピュータプログラムが実行されるとき請求項13に記載のカットオブジェクトの製造方法が実行されるように該製造装置(1)を制御するよう適合されているプログラムコードを含む、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カットオブジェクトを製造するための装置、方法及びコンピュータプログラムに関する。本発明は、更に、カットオブジェクト製造装置において使用するための熱昇華型プリンタ(ないしサーモプリンタ:Thermosublimationsdrucker)に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、プリントパターンを紙基材のようなプリント基材に熱昇華型プリンタによってプリントし、次いで、X/Y切断機のような切断装置によってプリント基材を切り抜いて、カットオブジェクトを製造することは従来技術から知られている。このようにオブジェクトを製造する場合、プリント材料の消費は比較的多くなり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】JP H11 320993 A
【特許文献2】US 2013/149019 A1
【特許文献3】US 2014/126947 A1
【特許文献4】JP 2007 022070 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、プリント材料の消費量を削減することが可能な、カットオブジェクトの製造のための装置、方法及びコンピュータプログラムを提供することである。更に、本発明の目的は、プリント材料の消費量を削減することが可能な、カットオブジェクトの製造装置において使用するための熱昇華型プリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、カットオブジェクトの製造装置であって、以下の構成要素:
・パターンをプリント基材にプリントし、プリントされたプリント基材(以下「プリント済みプリント基材」ともいう。)をアウトプットする熱昇華型プリンタ、
・プリント基材を切断パターンに沿って切断する切断装置、但し、切断装置はプリント基材を切断する切断ユニットと、切断装置内でプリント基材を移動する第1移動ユニットを有し、第1移動ユニットは、切断プロセス中、第1移動ユニットから切断ユニットへの移動方向及び切断ユニットから第1移動ユニットに戻る移動方向に、プリント基材を移動するよう適合(構成)されている、
を含み、
熱昇華型プリンタは、アウトプットされたプリント基材がプリントが行われたプリントエリアとプリントが行われなかった非プリントエリアを有するように、プリント基材にプリントするよう適合(構成)されており、
プリントエリアと非プリントエリアは、連続的に配置されており、配置方向における非プリントエリアの寸法は、切断ユニットと第1移動ユニットの間の距離以上であり
熱昇華型プリンタと切断装置は、移動方向と配置方向が揃えられているように、配置されており、
該製造装置は、更に、
a)プリント済みプリント基材を熱昇華型プリンタから切断装置へ自動的に移送する移送装置、但し、移送装置はプリント済みプリント基材を順方向において熱昇華型プリンタから切断装置へ自動的に移動する第2移動ユニットを含み、該順方向は移動方向及び配置方向と揃えられている、
及び、
b)少なくとも移送装置及び切断装置を制御する制御装置
を含
熱昇華型プリンタは、巻取り紙状のプリント基材から切り取られるべき部分にプリントエリアと非プリントエリアを提供するよう適合されており、
プリントパターンはプリントエリアにプリントされており、非プリントエリアはプリントされておらず、
熱昇華型プリンタは前記切り取られるべき部分を切り取り、当該切り取った部分をプリント済みプリント基材としてアウトプットするよう適合されている、
カットオブジェクトの製造装置によって達成される。
更に、上記の目的は、切断パターンと該切断パターン内のプリントパターンを含むパターンに基づきカットオブジェクトを製造する方法によっても達成される。
該方法は、以下の工程:
・熱昇華型プリンタによって、プリントパターンをプリント基材にプリントし、プリント済みプリント基材をアウトプットすること、
・切断装置によってプリント基材を切断パターンに沿って切断すること、但し、切断装置はプリント基材を切断する切断ユニットと、切断装置内でプリント基材を移動する第1移動ユニットを有し、第1移動ユニットは、切断オペレーション中、第1移動ユニットから切断ユニットへの移動方向及び/又は切断ユニットから第1移動ユニットに戻る移動方向に、プリント基材を移動する、
を含み、
熱昇華型プリンタは、アウトプットされたプリント基材がプリントが行われたプリントエリアとプリントが行われなかった非プリントエリアを含むように、プリント基材にプリントし、
プリントエリアと非プリントエリアは、配置方向において連続的に配置されており、配置方向における非プリントエリアの寸法は、切断ユニットと第1移動ユニットの間の距離以上であり、
熱昇華型プリンタと切断装置は、移動方向と配置方向が揃えられているように、配置されており、
該方法は、更に、
a)プリント済みプリント基材を熱昇華型プリンタから切断装置へ移送装置によって自動的に移送すること、但し、移送装置はプリント済みプリント基材を順方向において熱昇華型プリンタから切断装置へ自動的に移動する第2移動ユニットを含み、該順方向は移動方向及び配置方向と揃えられていること、
及び、
b)少なくとも移送装置及び切断装置を制御装置によって制御すること
を含み、
熱昇華型プリンタは、巻取り紙状のプリント基材から切り取られるべき部分にプリントエリアと非プリントエリアを提供し、
プリントパターンはプリントエリアにプリントされ、非プリントエリアはプリントされず、
熱昇華型プリンタは前記切り取られるべき部分を切り取り、当該切り取った部分をプリント済みプリント基材としてアウトプットする。
【発明を実施するための形態】
【0006】
アウトプットされたプリント基材の全体がプリントされているのではなく、プリントエリアのみがプリントされているため、プリント材料の消費を削減することができる。更に、アウトプットされたプリント基材の配置方向の寸法は少なくとも第1移動ユニットと切断ユニットの間の距離に等しいため、更に、切断装置の内部の第1移動ユニットと切断ユニットの間の領域における切断は一般的に技術的に複雑(困難)であるか或いは不可能でさえあるため、プリント済みプリント基材がプリントエリアと非プリントエリアを有するように熱昇華型プリンタによってプリント済みプリント基材を製造することにより、製造プロセスに悪影響を及ぼすことなく、プリント材料の消費を削減することができる。
【0007】
本発明の一実施形態において、配置方向における非プリントエリアの寸法は、切断ユニットと第1移動ユニットの間の距離に等しい。本発明の他の一実施形態では、配置方向における非プリントエリアの寸法は、切断ユニットと第1移動ユニットの間の距離よりも僅かだけより大きい。例えば、配置方向における非プリントエリアの寸法は、切断ユニットと第1移動ユニットの間の距離よりも1mm、5mm、10mm、15mm又は20mmを超えない程度だけより大きくすることができる。
【0008】
製造装置は、粘着ラベルをカットオブジェクトとして製造するよう適合(構成)されることが可能であり、プリント基材は、基材材料、例えば紙基材(紙下地)から剥し取ることが可能な粘着フィルムとすることができる。切断装置は、カットオブジェクトを製造するために、カットパターンに沿って、粘着フィルムのみを切断し、その下にある基材材料を切断しないよう適合(構成)されることが可能である。カットオブジェクトが製造された後、粘着フィルムの周囲が切断された(cut-around)部分、即ち、カットオブジェクトは、粘着フィルムから剥し取ることができる。製造装置は、他の種類のカットオブジェクト、例えば非粘着性の切り抜き紙オブジェクトを製造するよう適合(構成)されることも可能である。
【0009】
熱昇華型プリンタと切断装置は、移動方向と配置方向が揃えられている(合致する)ように、配置されていることが好ましい。製造装置は、更に、a)プリント済みプリント基材を熱昇華型プリンタから切断装置へ自動的に移送する移送装置、但し、移送装置はプリント済みプリント基材を順方向において熱昇華型プリンタから切断装置へ自動的に移動する第2移動ユニットを含み、該順方向は移動方向及び配置方向と揃えられている(合致している)、及び、b)少なくとも移送装置及び切断装置を制御する制御装置を含むことが好ましい。
【0010】
かくして、製造装置は、熱昇華型プリンタ、移送装置及び切断装置を含み、プリンタはプリント基材をプリントしかつプリント済みプリント基材をアウトプットし、その後、移送装置はアウトプットされたプリント基材を切断装置へ自動的に案内し、切断装置において、プリント基材は切断パターンに沿って切断されて、カットオブジェクトが製造される。プリント済みプリント基材はプリンタから切断装置へ自動的に移送されるため、切断装置の内部におけるプリント基材の配向は分かっているので、切断装置の内部におけるプリント基材の手作業の調整(位置合せ)は必ずしも必要ではなく、その結果、エラーが生じる可能性を低下することができる、即ち、不正確な切断の可能性を小さくし、その結果、カットオブジェクトの品質を向上することができる。
【0011】
熱昇華型プリンタと切断装置は互いに対し離隔して配置された(別々の)ユニットであることが好ましい。切断装置は(一体型)熱昇華型プリンタと一体化されないことが好ましく、また、熱昇華型プリンタは(一体型)切断装置と一体化されないことが好ましい。移送装置は熱昇華型プリンタと切断装置の間に配置されることが好ましい。移送装置は熱昇華型プリンタとも切断装置とも一体化されないことが好ましい。
【0012】
熱昇華型プリンタ、移送装置及び切断装置は、プリント基材が順方向において熱昇華型プリンタから移送装置を介して切断装置へ直動(直進)可能であるように配置されていることが好ましく、移送装置は、プリント基材(これはとりわけ粘着フィルムである。)を回転することなく並進運動のみ実行することにより、プリント済みプリント基材を順方向に移動するよう適合(構成)されていることが好ましい。移送装置はプリント基材を回転することなく並進運動のみ実行することによりプリント済みプリント基材を移動するため、切断装置の内部におけるプリント済みプリント基材の不正確な(位置)調整(位置合せ)の可能性、従って、不正確な切断の可能性は更に小さくなる。この切断精度(正確性)を更に改善するために、プリント済みプリント基材が配向マーキングを有するよう、パターンは配向マーキングを備えることができ、切断装置はプリント済みプリント基材上の配向マーキングを検出する検出ユニットを有し、切断が実行される前に、検出された配向マーキングに基づいて、切断装置の内部におけるプリント済みプリント基材の配向を最適化(適正化)するよう適合(構成)されることができる。とりわけ、プリント済みプリント基材を切断装置の内部で逆方向及び順方向に移動させる切断装置の第1移動ユニットと、それ(逆方向及び順方向)に対して横方向に、とりわけそれ(逆方向及び順方向)に対して直交方向に移動可能な切断装置の切断ユニットは、切断が実行される前に、配向マーキングに対する切断ユニットの位置が予め定められた位置により良好に対応するように制御されることができる。このようにして、切断精度は更に改善可能である。
【0013】
プリント済みプリント基材は熱昇華型プリンタから切断装置へ予め設定された態様で自動的にかつ比較的正確に供給されるため、プリント済みプリント基材上の複数の配向マーキングに基づく自動再位置決めは、精度に関する限りでは、一般的には更なる利点をもたらさない。このため、このような再位置決めは、好ましい一実施形態では、ただ1つの配向マーキングに基づいてのみ実行される。尤も、他の実施形態では、複数の配向マーキングを使用することも可能であり、また、再位置決めは省略することも可能であるが、この場合、プリント済みプリント基材は配向マーキングを備えないことも可能である。配向マーキングは、好ましくはプリント済みプリント基材のコーナー領域に配置されるL字型構造を含むことが好ましい。
【0014】
検出ユニットは、プリント済みプリント基材を照射するための光源、とりわけレーザと、プリント済みプリント基材から反射された光を検出する検出器を有することが可能であり、検出ユニットは、該反射光に基づいて配向マーキングを検出するよう適合(構成)されることが可能であり、制御装置は、第1移動ユニットが作動(活性化)されるまでレーザを作動(活性化)させないよう適合(構成)されることが可能である。このようにして、製造装置のエネルギ消費を削減することができる。
【0015】
制御ユニットは、粘着フィルム[プリント済みプリント基材]が切断パターンに沿って切断されるようにプリント済みプリント基材と切断ユニットが移動されるよう、第1移動ユニットと切断ユニットを制御するよう構成されていることが好ましい。
【0016】
制御装置は、最初に、プリント済みプリント基材を第1移動ユニットへ移動するよう第2移動ユニットのみが作動(活性化)され、次に、該2つの移動ユニットが同期的に(同期して)プリント済みプリント基材を更に切断装置内へ移動するよう該2つの移動ユニットが作動(活性化)されるように、該2つの移動ユニットを制御するよう適合(構成)されていることが好ましい。より具体的には、プリント済みプリント基材は第1移動ユニットの前方の短距離のところに(短距離だけ離れたところに、ないし少々手前に)移動され、その後初めて、2つの移動ユニットは、プリント済みプリント基材を切断装置内へ案内するために同期的に(同期して)移動される。最初に第2移動ユニットがプリント済みプリント基材を第1移動ユニットの前方の短距離のところに(少々手前に)移動させるため、かつ、プリント済みプリント基材が第1移動ユニットの前方の短距離のところに(少々手前に)位置付けられる状態が到達されてから初めて、両方の移動ユニットがプリント済みプリント基材を切断装置内へ案内するために同期的に(同期して)移動(駆動)される(という事実の)ため、第2移動ユニットが第1移動ユニットに対してプリント済みプリント基材を押し付けることを阻止することができ、その結果、プリント済みプリント基材のカール、折り曲げ及び/又はねじれを阻止することができる。更に、プリント済みプリント基材が第1移動ユニットの直ぐ前方に位置付けられる上述の状態が到達されたときにのみ第1移動ユニットが作動(活性化)されるため、第1移動ユニットは不必要に作動(活性化)されることがなくなり、その結果、エネルギ消費を削減することができる。
【0017】
移送装置は、プリント済みプリント基材が第2移動ユニットによって切断装置の方向へ移動される距離を測定する測定ユニットをも更に含み、制御装置は、プリント済みプリント基材の第1移動ユニットへの移動が完了したことを測定された距離が示すまで、プリント済みプリント基材が切断装置の方向へ前進されるように、第2移動ユニットを制御するよう適合(構成)されていることが好ましい。測定ユニットを用いることにより、最初に第2移動ユニットがプリント済みプリント基材を第1移動ユニットの前方の短距離のところ(少々手前)までしか移動しないこと(そのような位置で留めること)が、相対的に簡単な技術的手段で保証することが可能になる。
【0018】
測定ユニットは、熱昇華型プリンタがプリント済みプリント基材を移送装置内へ案内した距離を測定するようにも適合(構成)されており、制御装置は、プリント済みプリント基材の第1移動ユニットへの移動が完了したことを測定された距離全体が示すまで、プリント済みプリント基材が切断装置の方向へ前進されるように、第2移動ユニットを制御するよう適合(構成)されていることが好ましい。熱昇華型プリンタがプリント済みプリント基材を移送装置内へ案内した距離を付加的に考慮することにより、最初にプリント済みプリント基材が第1移動ユニットの前方の短距離のところ(少々手前)までしか移動されない(そのような位置で留められる)よう、プリント済みプリント基材が第2移動ユニットによって一層より正確に移動されることが可能になる。
【0019】
第2移動ユニットは、順方向において空転する(自由回転する:freewheel)モータ駆動型ローラを有し、測定ユニットは、熱昇華型プリンタがプリント済みプリント基材を移送装置内へ移動した距離を測定するために、プリント済みプリント基材が熱昇華型プリンタから移送装置内へ移動されるとき、該ローラの従動的自由回転(passive freewheeling rotation)を測定するよう適合(構成)されていることが好ましい。第2移動ユニットが順方向において空転するモータ駆動型ローラを有するため、熱昇華型プリンタはプリント済みプリント基材を第2移動ユニットへ即ち(より正確には)第2移動ユニットのモータ駆動型ローラへ、プリント済みプリント基材がカール、折り曲げ及び/又はねじれの危険に晒されることなく、移動することができる。これにより、プリント済みプリント基材が切断装置内で不正確に位置合せ(配向)される可能性、従って不正確に切断される可能性は更に小さくなる。回転に基づく距離の測定(測定距離)は、第2移動ユニットがプリント済みプリント基材を切断装置の方向へ移動した距離を測定するために使用することも可能である。これにより、(本発明の製造)装置を設計上(構造上)よりコンパクトにすることが可能になる。
【0020】
第1移動ユニットは、プリント済みプリント基材を切断装置へ移動するためのモータ駆動型ローラを含み、モータ駆動型ローラは空転しないことが好ましい。移送装置は、更に、第1移動ユニットがプリント済みプリント基材を移送装置の方向へ後進させるとき、第2移動ユニットのそばを通過するようプリント済みプリント基材を案内するよう調整(構成)されている案内ユニットを含むことが好ましい。案内ユニットは、とりわけ、第1移動ユニットがプリント済みプリント基材を移送装置の方向へ後進させるとき、第2移動ユニットの下側でプリント済みプリント基材を案内するよう調整(構成)されている。プリント済みプリント基材を第2移動ユニットのそばを通過するよう案内することにより、プリント済みプリント基材が一般的に第2移動ユニットの方向へ後進されている間に、プリント済みプリント基材が切断装置において切断されるときカール、折り曲げ及び/又はねじれを被らないことを保証することができる。このようにして、プリント済みプリント基材が切断装置の内部における切断オペレーション中に正確に位置合せされた状態が維持されることも保証することができ、その結果、切断精度を更に一層改善することができる。
【0021】
移送装置は、プリント済みプリント基材が移送装置に供給される時点を検出するプリント基材検出ユニットを有することが可能であり、制御装置は、プリント基材が供給されたことが検出されてから予め設定された期間が経過するまでは第2移動ユニットがプリント済みプリント基材を切断装置の方向へ移動させないように、第2移動ユニットを制御するよう適合(構成)されることが可能である。熱昇華型プリンタは巻取り紙状の(一巻の:a web of)プリント基材から切り取られるべき部分にプリントエリアと非プリントエリアを提供するよう適合(構成)されており、プリントパターンはプリントエリアにプリントされており、非プリントエリアはプリントされておらず、熱昇華型プリンタは当該部分を切り取り、当該切り取った部分をプリント済みプリント基材としてアウトプットすることが好ましい。予め設定された期間は、少なくとも、第2移動ユニットがアウトプットされたプリント済みプリント基材を切断装置の方向へ移動し始めるときに熱昇華型プリンタの切断オペレーションが完了されている程の長さであることが好ましい。このようにして、例えば、巻取り紙状のプリント基材がまだ切り取られておらず、熱昇華型プリンタがまだプリント済みプリント基材を解放(アウトプット)していないにも拘わらず、第2移動ユニットが早くもプリント済みプリント基材の第1移動ユニットの方向への移動を試みることを阻止することができる。プリント済みプリント基材の切断装置内における不正確な位置合せ、従って、切断オペレーションの精度の悪化を最終的に引き起こし得る、プリント粘着フィルムの例えば不注意な移動、とりわけねじれを阻止することができる。
【0022】
第2移動ユニットは、プリント基材(これはとりわけ粘着フィルムである)を移動するためのモータ駆動型ローラ(複数)を含み、該モータ駆動型ローラは切断装置の方向において空転(自由回転:Freilauf)可能であることが好ましい。
【0023】
熱昇華型プリンタと移送装置は、熱昇華型プリンタから移送装置に供給されたプリント済みプリント基材が第2移動ユニットの空転ローラ(複数)を回転させるように適合(構成)されており、プリント基材検出ユニットは、第2移動ユニットのローラの回転を検出することにより、プリント基材が供給される時点を検出するよう適合(構成)されていることが好ましい。空転ローラのこの従動的回転は、とりわけ、プリント済みプリント基材が熱昇華型プリンタによって移送装置内へ案内された距離を測定するために、付加的に利用することができる。第2移動ユニットのローラはかくして異なる複数の目的のために使用されることが可能であり、かくして(本発明の製造)装置を設計(構造)上極めてコンパクトにすることができる。
【0024】
プリントパターンは、好ましくは、カラーパターン及び/又は白黒パターン及び/又はグレースケールパターンである。(本発明の製造)装置は、ユーザが入力データを入力することを可能にするよう適合(構成)されている入力装置と、当該ユーザ入力データに基づいてパターンを生成するパターン生成手段を含むことができ、パターンは切断パターンと切断パターン内部のプリントパターンを含む。尤も、パターンは他の態様で予め設定されてもよい。入力装置はフォトデータ受信ユニットを含み、フォトデータ受信ユニットはユーザのフォトデータをユーザ入力データ(Benutzereingabe)として受信するよう適合(構成)されていることが好ましい。入力装置は、更に、ユーザに対し複数の異なるパターンテンプレートを示すよう、及び、ユーザが(1つの)パターンテンプレートをユーザ入力データとして選択することを可能にするよう適合(構成)されていることが好ましい。入力装置は、更に、ユーザが商品、とりわけドラッグストアのセルフサービスエリアにおいて購入すべき商品を選択することを可能にするよう適合(構成)されていることが好ましく、入力装置は、更に、選択された商品に基づいて及び商品(複数)とパターン(複数)の間の予め定められたアロケーション(ないし対応関係情報:Zuordnungen)に基づいて(1つの)パターンテンプレートを選択するよう、及び、選択されたパターンテンプレートをユーザ入力データとして提供するよう適合(構成)されることができる。より具体的には、商品は、商品(識別)コードでマーキングされていてもよく、入力装置は、ユーザによって選択された商品の商品コードを読み取るための商品コードリーダを含んでもよい。商品コードは、例えば、バーコードとすることができ、商品コードリーダは、バーコードを読み取るためのユニット(装置)とすることができる。入力装置は、更に、ユーザが選択されたパターンテンプレートを修正する入力データを入力することを可能にするよう適合(構成)されることが可能であり、例えば、ユーザは、該パターンに付加されるべきテキスト及び/又はカラーを入力することができる。フォトデータも該パターンに付加可能である。
【0025】
入力装置、パターン生成手段、熱昇華型プリンタ、移送装置及び切断装置は、更に、カットオブジェクトを製造するための同じ装置に組み込まれている(一体化されている)ことが好ましい。従って、ユーザは例えばドラッグストアのセルフサービスエリアで直接に(その場で)データを入力することができ、その後、パターン生成装置はユーザ入力データに基づいてパターンを生成し、熱昇華型プリンタは生成されたパターンをプリント基材にプリントし、プリント済みプリント基材は移送装置によって切断装置へ自動的に案内され、切断装置はプリント基材を切断パターンに沿って切断し、以って、カットオブジェクトをセルフサービスエリアで直接に(その場で)製造することができる。かくして、製造装置は、ユーザ入力データを用いて、比較的迅速なプロセスで、パーソナライズされたカットオブジェクトを製造することができる。
【0026】
上記の目的は、請求項1に記載のカットオブジェクトの製造装置の一部として使用される熱昇華型プリンタによっても達成することができる。該熱昇華型プリンタは、プリントパターンをプリント基材にプリントしかつプリント済みプリント基材をアウトプットするよう適合(構成)されている。該熱昇華型プリンタは、アウトプットされたプリント基材がプリントが行われたプリントエリアとプリントが行われなかった非プリントエリアを含むように、プリント基材にプリントするよう適合(構成)されている。
【0027】
上記の目的は、カットオブジェクトの製造方法によっても達成される。該方法は、以下の工程:
・熱昇華型プリンタによって、プリントパターンをプリント基材にプリントし、プリント済みプリント基材をアウトプットすること、
・切断装置によってプリント基材を切断パターンに沿って切断すること、但し、切断装置はプリント基材を切断する切断ユニットと、切断装置内でプリント基材を移動する第1移動ユニットを有し、第1移動ユニットは、切断オペレーション中、第1移動ユニットから切断ユニットへの移動方向及び/又は切断ユニットから第1移動ユニットに戻る移動方向に、プリント基材を移動する、
を含み、
熱昇華型プリンタは、アウトプットされたプリント基材がプリントが行われたプリントエリアとプリントが行われなかった非プリントエリアを含むように、プリント基材にプリントし、
プリントエリアと非プリントエリアは、連続的に配置されており、配置方向における非プリントエリアの寸法は、少なくとも切断ユニットと第1移動ユニットの間の距離に等しい。
【0028】
上記の目的は、カットオブジェクトを製造するためのコンピュータプログラムによっても達成される。該コンピュータプログラムは、請求項1に記載のカットオブジェクトの製造装置を制御する制御装置において該コンピュータプログラムが実行されるとき請求項13に記載のカットオブジェクトの製造方法が実行されるように該製造装置を制御するよう適合されているプログラムコードを含む。
【0029】
請求項1に記載の装置、請求項13に記載の方法及び請求項14に記載のコンピュータプログラムは、とりわけ従属請求項に記載されているような、類似の及び/又は同一の好ましい実施形態を有すると理解されるべきである。
【0030】
以下に、本発明の実施例を添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】カットオブジェクトの製造装置の一実施形態の例示的模式図。
図2図1に示した装置の幾つかの構成要素の例示的模式図。
図3】本発明に応じてカットオブジェクトとして製造された幾つかの粘着ラベルを含むプリントされかつ切断された粘着フィルムの例示的模式図。
図4図1に示した装置のプリンタ、移送装置及び切断装置の組み合わせを或る方向から見た例示的模式図。
図5図1に示した装置のプリンタ、移送装置及び切断装置の組み合わせを図4とは異なる方向から見た例示的模式図。
図6図1に示した装置のプリンタ、移送装置及び切断装置の組み合わせを図4図5とは異なる方向から見た例示的模式図。
図7図1に示した装置のプリンタ、移送装置及び切断装置の組み合わせを図4図6とは異なる方向から見た例示的模式図。
図8図4図7に示した組み合わせの概要の例示的模式図。
図9】カットオブジェクトの製造方法の一実施形態を説明するフローチャート。
【実施例】
【0032】
図1は、カットオブジェクト(この実施形態では粘着ラベルである。)の製造装置の一実施形態を模式的かつ例示的に示す。この例では、装置1はドラッグストアのセルフサービスエリアにある。装置1は、ハウジング2に感圧性モニタ3、フォトデータ受信ユニット5及び商品コードリーダ6を有する。感圧性モニタ3、フォトデータ受信ユニット5及び商品コードリーダ6は、ユーザが入力データを入力することを可能にするよう適合(構成)されている入力装置8の構成要素として理解することも可能である。ハウジング2の内部には、ユーザ入力データに基づいてパターン15を生成するためのパターン生成手段9もあり、パターン15は、切断パターンと該切断パターン内のプリントパターンを含む。図2は、パターン生成手段9及びハウジング2の内部に設置されている装置1の他の構成要素を模式的かつ例示的に示す。図3は、幾つかのパターン15を含むプリントされかつ切断されたプリント[基材]14の一例を示す。
【0033】
フォトデータ受信ユニット5は、ユーザのフォトデータをユーザ入力データとして受信するよう適合(構成)されている。ユーザは、ドラッグストアのセルフサービスエリアで入手可能な商品を選択し、それをつかみ上げて商品コードリーダ6へもたらして、該商品に割り当てられた商品コードを商品コードリーダ6で読み取らせることもできる。商品コードは例えばバーコードであることが可能であり、商品コードリーダ6はバーコードを読み取るためのユニット(バーコード読み取り装置)であることが可能である。入力装置8は、商品(複数)又は商品コード(複数)とパターンテンプレート(複数)との間のアロケーション(ないし対応関係情報)を有することも可能であり、1又は2以上のパターンテンプレートは、これらのアロケーションとユーザによって選択された商品から読み取られる商品コードに基づいて感圧性モニタ3上に表示されることも可能である。幾つかのパターンテンプレートが感圧性モニタ3上に表示されると、ユーザはそれらのうちの1つを選択することができる。入力装置8は、ユーザが所望の変更、例えば所望のテキスト、所望のカラー等を入力することを可能にするよう適合(構成)されることも可能である。これらのユーザ入力データに基づいて、パターン生成手段9はパターンを生成することができる。
【0034】
装置1は、更に、粘着フィルム[プリント基材]14にプリントパターンをプリントするための熱昇華型プリンタ11、粘着フィルム[プリント基材]14を切断パターンに沿って切断するための切断装置13、及び、プリントされたプリント基材(「プリント済みプリント基材」)14を熱昇華型プリンタ11から切断装置13へ自動的に移送するための移送装置12を含み、移送装置12は、プリント済みプリント基材14を順方向において熱昇華型プリンタ11から切断装置13へ自動的に移動するための第2移動ユニット16を含む。装置1は、更に、プリント済みプリント基材14の熱昇華型プリンタ11から切断装置13への自動的移送を制御するよう適合(構成)されている制御装置10を含む。
【0035】
プリントパターンは、好ましくは、カラーパターン及び/又は白黒パターン及び/又はグレースケールパターンである。熱昇華型プリンタは、巻取り紙状のプリント基材(この例では巻取り紙状の粘着フィルム)から切り取られるべき部分にプリントエリア55と非プリントエリアを提供するよう適合(構成)されており、プリントパターンはプリントエリア55にプリントされており、非プリントエリア56はプリントされておらず、熱昇華型プリンタ11は当該部分を切り取り、当該切り取った部分をプリント済みプリント基材(この例ではプリント済み粘着フィルム14)としてアウトプットする。
【0036】
熱昇華型プリンタ11と移送装置12は、プリントされかつ切断された粘着フィルム14がアウトプットされるとき、該フィルム14が熱昇華型プリンタ11から移送装置12に供給されるよう適合(構成)かつ配置されている。熱昇華型プリンタ11、移送装置12及び切断装置13は、粘着フィルム14が順方向において熱昇華型プリンタ11から移送装置12を介して切断装置13へ直動(直進)可能であるように配置され、移送装置12は、粘着フィルム14を回転することなく、並進運動のみを実行することにより、順方向においてプリント済みプリント基材14を移動するよう適合(構成)されている。熱昇華型プリンタ11によってプリントされかつ切断装置13によって切断された粘着フィルム14は、出口スロット7を通過してハウジング2の外部に案内される。
【0037】
以下に、熱昇華型プリンタ11、移送装置12及び切断装置13の詳細について、図4図8を参照して説明する。なお、図4及び図5は或る角度から見た斜視図であり、図6及び図7は側面図である。図8は、ハウジング30の内部に配設されているため図4図7では視認できない切断装置13の構成要素(複数)も示す概要図である。
【0038】
移送装置12の第2移動ユニット16は、複数のシャフトに(夫々)配された複数のローラ20を含み、該複数のシャフトはベルトを介してモータによって駆動される。これらのローラ20のうち少なくとも熱昇華型プリンタ11の最も近くにあるシャフトに配されているローラは、プリント済み粘着フィルム14の前進運動の方向において空転する(自由回転する:Freilauf)ことができる。ローラ(複数)20が配されている第2移動ユニット16の複数のシャフトの各々の一方の端部はスプロケット(歯車)38を有し、該スプロケット38は、シャフト(複数)従ってローラ(複数)20が第2移動ユニット16のモータによって駆動されるとき別のスプロケット39が回転するよう当該スプロケット39と噛合する。ローラ20を有する第2移動ユニット16のシャフトがモータ駆動されない場合であっても、当該シャフトがプリント済み粘着フィルム14の熱昇華型プリンタ11から移送装置12への移動により回転する場合には、スプロケット39は回転する。
【0039】
第2移動ユニット16は、更に、例えば光源と光検出器の組み合わせから構成されるセンサ40を含み、これらの光源と光検出器は、センサ40のそばを移動するスプロケット39の歯の数をカウントできるように配置される。センサのそばを移動するスプロケット39の歯数に基づいて、制御装置10は、スプロケット39がどの程度回転されたかを決定する(求める)ことができる。これは、プリント済みプリント基材14が熱昇華型プリンタ11によって(熱昇華型プリンタ11を介して)移送装置12内へ、更には第2移動ユニット16によって切断装置13の方向へ移動された距離の測定に利用することができる。
【0040】
熱昇華型プリンタ11の最も近くに配置されているスプロケット39の回転の検出は、プリント済みプリント基材14が移送装置12内へ(既に)供給されているか否かを確認する(feststellen)ために利用することができる。従って、スプロケット38、39とセンサ40の組み合わせは、プリント済みプリント基材14が移送装置12に供給される時点を検出するための粘着フィルム[プリント基材]検出ユニット19として理解することができる。スプロケット38、39とセンサ40の組み合わせは、熱昇華型プリンタ11がプリント済み粘着フィルム14を移送装置12へ案内した距離及び第2移動ユニット16がプリント済み粘着フィルム14を切断装置13の方向へ移動した距離の測定にも使用可能であるため、この組み合わせは、これらの距離を測定するための測定ユニット19として理解することも可能である。
【0041】
第2移動ユニット16は、粘着フィルム14が供給されたことが検出されてから予め設定された期間が経過するまでは第2移動ユニット16がプリント済み粘着フィルム14を切断装置13の方向へ移動させないように制御されることが好ましい。予め設定された期間は、少なくとも、第2移動ユニット16がプリント済み粘着フィルム14を切断装置13の方向へ移動し始めるときに熱昇華型プリンタ11の切断オペレーションが完了されているような長さであることが好ましい。
【0042】
制御装置10は、プリント済み粘着フィルム14が切断装置13の第1移動ユニット18へ移動したことを測定された距離が示すまで、第2移動ユニット16がプリント済み粘着フィルム14を切断装置13の方向へ前進させるように、適合(構成)されていることが好ましい。第2移動ユニット16は、とりわけ、プリント済み粘着フィルム14が第1移動ユニット18のローラ21の直ぐ前方に位置付けられ(配置され)ていることを測定された距離が示すまでプリント済み粘着フィルム14が切断装置13の方向へ前進させられるよう制御される。第1移動ユニット18のローラ21は、モータ駆動されるが、空転(自由回転)はしない。ローラ21は、プリント済み粘着フィルム14が切断装置13の内部において順方向及び逆方向に移動可能であるように回転されることができる。
【0043】
第1及び第2移動ユニット18、16は、最初に、プリント済み粘着フィルム14を第1移動ユニット18へ移動するよう第2移動ユニット16のみが作動(活性化)され、次に、該2つの移動ユニット18、16が同期的に(同期して)プリント済み粘着フィルム14を更に切断装置13内へ移動するよう該2つの移動ユニット18、16が作動(活性化)されるように、制御されることが好ましい。移送装置12の案内ユニット22は、プリント済み粘着フィルム14が切断装置13内へ移動し、移送装置12を去った場合、プリント済み粘着フィルム14が切断装置13の第1移動ユニット18から再び移動されて後進されると、プリント済み粘着フィルム14が第2移動ユニット16のそばを通って移動されるよう、作動(活性化)される。より具体的には、案内ユニット22は、第1移動ユニット18がプリント済み粘着フィルム14を移送装置12の方向に後進させるとき、プリント済み粘着フィルム14が第2移動ユニット16の下方で案内されるよう、調整されることができる。この実施形態では、案内ユニット22は、ガイド36及びサーボ駆動装置37を含む。サーボ駆動装置37は、プリント済み粘着フィルム14が切断装置13から後進されるとき、例えば金属のシートで形成されているガイド36が、プリント済み粘着フィルム14を第2移動ユニット16を避けて通過する(vorbeifuehren)ように案内するために持ち上げられるよう、制御される。
【0044】
粘着フィルム14が移送装置12から切断装置13へ移動しているとき、粘着フィルム14を押え付けるために加圧ローラ35を使用することができる。加圧ローラ35は、サーボ駆動装置37がガイド36を持ち上げるとき、加圧ローラ35が上方に枢動されるように、設計(構成)されることができる。
【0045】
プリント済み粘着フィルム14は、熱昇華型プリンタ11によって粘着フィルム14にプリントされた配向マーキング17を有する。切断装置13は、プリント済み粘着フィルム14上の配向マーキングを検出するための検出ユニット32を含む。切断装置13は、切断が実行される前に、検出された配向マーキング17に基づいて、切断装置13の内部におけるプリント済み粘着フィルム14の配向(位置どり)を最適化(適正化)するよう適合(構成)されている。より具体的には、切断装置13の内部においてプリント済み粘着フィルム14を順方向及び逆方向に移動するための第1移動ユニット18と、それ(順方向及び逆方向)に対して直交方向に移動可能な切断装置13の切断ユニット31は、切断が実行される前に、配向マーキングに対し相対的な切断ユニットの位置が予め定められた位置に極めて正確に対応するように制御されることができる。
【0046】
この実施形態では、切断ユニット31及び検出ユニット32の両方が、切断装置13の同じヘッド33に取り付けられており、このヘッド33は、モータによって軸34に沿って順方向及び逆方向に対し直交方向に移動されることができる。検出ユニット32が配向マーキング17の内側コーナー50の上方に位置付けられる(配置される)ように、第1移動ユニット18はプリント済み粘着フィルム14を移動しかつヘッド33は検出ユニット32を移動する。検出ユニット32は、とりわけ、光源、例えばレーザ、と光検出器、例えばフォトダイオード、を含む。検出ユニット32の光源から出射された光のビームが配向マーキング17の内側コーナー50に入射するように、第1移動ユニット18はプリント済み粘着フィルム14を移動しかつ検出ユニット32を有するヘッド33は移動される。この状態に到達すると、切断ユニット31は、プリント済み粘着フィルム14に対する、とりわけプリントパターンに対する、規定された極めて正確な配向を有する。その後、切断装置13は、粘着フィルム14が夫々のパターン15の切断パターンに沿って切断されるよう制御され、粘着フィルム14は下地(基材)上、とりわけ紙下地(紙基材)又はその他の下地(基材)媒体上にあり、切断装置13は、粘着フィルム14のみを切断し、その下にある下地(基材)を切断しないよう適合(構成)されていることが好ましい。そして、プリント及び切断によって製造された粘着ラベルは、出口スロット7を通過して排出されることができる。ユーザは、プリント及び切断された粘着フィルム14から粘着ラベルを引き離す(剥し取る)ことができ、そのラベルを所望の商品に貼り付けることができる。
【0047】
熱昇華型プリンタは、プリントエリア55と非プリントエリア56が配置方向57において連続的に配置されており、配置方向57における非プリントエリア56の寸法59が少なくとも移動方向53における即ち順方向又は逆方向における切断ユニット31と第1移動ユニット18の間の距離54に等しいように、適合(構成)されていることが好ましい。従って、寸法59は距離54より大きいか等しい。距離54は、例えば、移動方向53におけるa)第1移動ユニット18が粘着フィルム14と接触しかつ切断ユニット31に最も近い接触点とb)切断ユニット31が切断を行う切断部位の間の距離とすることができる。第1移動ユニット18が、粘着フィルム14を移動するためにのみ、或る(1つの)部位で粘着フィルム14に接触する場合、距離54は、ただ単に、移動方向53における上記接触点と切断部位の間の距離である。
【0048】
熱昇華型プリンタ11は、プリントエリアと非プリントエリアが予め設定されかつ固定されている(一定である)よう適合(構成)されることができる。尤も、熱昇華型プリンタ11は、プリントエリアと非プリントエリアが可変、とりわけ調整可能であるよう適合(構成)されることも可能である。熱昇華型プリンタ11は、配置方向におけるプリントエリアと非プリントエリアの寸法が調整可能であるよう適合(構成)されることが好ましい。プリントエリアと非プリントエリアは、とりわけ熱昇華型プリンタの相応のインターフェースによって、手動で調整されること、又は他のユニットによって制御されることができる。
【0049】
例えばドラッグストアのとりわけセルフサービスエリアにおいてカットオブジェクト(この実施形態では粘着ラベル)を製造するための方法の一実施形態について、以下に、図9に示したフローチャートを参照して説明する。
【0050】
ステップ101では、ユーザは、入力装置8にユーザ入力データを入力することができる。ユーザは、例えば、フォトデータ、テキスト、所望のカラー等を入力することができる。ユーザは、更に、例えば複数のそのようなパターンテンプレートから(1つの)所望のパターンテンプレートを選択することができる。この選択は、商品を選択することによって行うことも可能である。この場合、ユーザは、最初に、商品を選択し、その後、ユーザは、選択された商品に適合する1又は2以上のパターンテンプレートを提示されることができる。ユーザに対し複数のパターンテンプレートが提示される場合、ユーザは、入力装置8によってこれらのパターンテンプレートのうちの1つを選択することができる。
【0051】
ステップ102では、1つのパターンがユーザ入力データに基づいてパターン生成手段9によって生成される。このパターンは、切断パターンと、該切断パターン内のプリントパターンを含む。例えば、フォトデータに含まれるユーザの写真がパターンテンプレートに組込まれ、このパターンテンプレートは、更に、ステップ101においてユーザによって入力されたカラー及び/又はテキストによって修正(修飾)することができる。このようにして生成されたパターン、少なくともプリントパターンは、熱昇華型プリンタ11に送信される。
【0052】
ステップ103では、熱昇華型プリンタ11はプリントパターンを粘着フィルム14にプリントし、プリント済み粘着フィルム14をアウトプットする。ここで、熱昇華型プリンタ11は、アウトプットされた粘着フィルム14がプリントが行われたプリントエリア55とプリントが行われなかった非プリントエリア56を有するように、粘着フィルム14にプリントするが、プリントエリア55と非プリントエリア56は配置方向57において連続的に配置されており、配置方向57における非プリントエリア56の寸法59は少なくとも切断ユニット31と第1移動ユニット18の間の距離に等しい。より具体的には、熱昇華型プリンタ11は、巻取り紙状の粘着フィルムから切り取られるべき部分にプリントエリア55と非プリントエリア56を提供し、プリントパターンはプリントエリア55にプリントされ、非プリントエリア56にはプリントはされない。熱昇華型プリンタ11は、当該部分を切り取り、その切り取った部分をプリント済みプリント基材(この例ではプリント済み粘着フィルム14)として排出する。
【0053】
ステップ104では、プリント済み粘着フィルムは、移送装置12によって熱昇華型プリンタ11から切断装置13へ自動的に移送され、移送装置12の第2移動ユニット16は、プリント済み粘着フィルムを順方向において熱昇華型プリンタ11から切断装置13へ自動的に移動する。ステップ105では、切断装置13は、粘着フィルムを切断パターンに沿って切断してカットオブジェクトを製造し、ステップ106では、このように製造された粘着ラベル(カットオブジェクト)が、出口スロット7を介してアウトプット(排出)される。
【0054】
入力装置8は、所望のカラー、所望のパターンテンプレート等を選択するための及び所望のテキストを入力するためのタッチセンシティブモニタ3を介してユーザによって作動可能なグラフィカルユーザインターフェースを提供することが好ましい。このように製造された粘着ラベル(カットオブジェクト)は、購入されるべき商品、例えばシャワージェルの容器、ミューズリー(muesli:シリアルの一種)のパッケージ等、に貼着されるべき粘着ラベルであってもよく、この場合、それぞれの製品に即ちそれぞれの製品パッケージに適する粘着ラベルが製造される。尤も、装置1は、特定の商品又は商品容器に対し特別に適合されたものではない(それらの専用ではない)粘着ラベルを製造するよう適合(構成)されてもよい。このことは、装置1は、特定の商品から独立しておりかつ例えば自動車その他の物体に貼着可能な粘着ラベル(ステッカー)を製造するよう適合(構成)されてもよいことを意味する。
【0055】
装置1は、パーソナライズされた粘着ラベル(カットオブジェクト)を、即ち、ユーザ入力データによってデザインされた粘着ラベルを製造することを可能にする。図1図8を参照して説明した実施形態では、フォトデータ受信ユニット5は、記録媒体、例えばUSBフラッシュドライブ、によってフォトデータを読み込むよう適合(構成)されている。尤も、他の実施形態では、フォトデータ受信ユニットは、他の方法でフォトデータを受信するよう適合(構成)されることも可能である。例えば、フォトデータは、有線又は無線データ通信を介してカメラから、とりわけ撮像機能を有するスマートフォンから、直接的に受信されてもよい。フォトデータ受信ユニットは、フェイスブック、ドロップボックス、CEWEクラウド(サービス名)等のようなクラウドサービスを介してフォトデータを受信するよう適合(構成)されてもよい。
【0056】
熱昇華型プリンタは、紙下地等の下地媒体上に配されている粘着フィルムに夫々のパターンをプリントし、その後、プリント済み粘着フィルムは移送装置によって切断装置へ移送されるが、これはステッカー(sticker)カッターとして理解することも可能である。粘着フィルムに設けられた配向マーキングは、センサ、即ち、切断装置の検出ユニットによって検出され、粘着フィルムの再調整(再位置合せ)のために、即ち、粘着フィルムの垂直及び水平アライメント(位置合せ)のために使用される。プリント済み粘着フィルムに加えて、デジタルクリッピングマスク(digital clipping mask)、即ち、切断パターンが切断装置に送られる。このデジタルクリッピングマスクはカットオブジェクトのアウトライン(輪郭)を表すものである。切断装置の切断ユニットは、粘着フィルムを切断パターンに沿って切り込むために、粘着ラベルのアウトラインに沿って、即ち、切断パターンに沿って移動されるドラッグナイフ(Schleppmesser)を含むことが好ましい。ドラッグナイフは、粘着フィルムのみが切り込まれ、下地媒体は切り込まれないように移動されることが好ましい。
【0057】
切断装置は、ユーザに対しテンプレート(複数)の形で即ちパターンテンプレート(複数)の形で提供される任意の切断パターンを切り抜くよう適合(構成)されることが可能であり、ユーザはこれらのテンプレートの何れか1つを選択することができる。切断後、切断装置は、最終的に製造されている(完成した)粘着ラベルをアウトプット(排出)する。粘着ラベルは、如何なる残留物も残すことなく、ユーザによって下地材料から引き離されることができる。ユーザがカットオブジェクト(粘着ラベル)を適用することを望む商品を選択すれば、ユーザ自身によって貼り付けを行うことができる。かくして、ドラッグストアで入手可能な商品は、ユーザ自身によって簡単な方法でパーソナライズすることができる。
【0058】
粘着ラベルは上記の実施形態においてはカットオブジェクトとして製造されているが、他の実施形態においては他の(種類の)カットオブジェクトを製造することができる。例えば、プリントパターンは、非粘着性の紙基材(紙下地)のような非粘着性のプリント基材にプリントされることができ、その後、カットオブジェクトは切断パターンに沿って非粘着性プリント基材を切断することによって製造されることができる。
【0059】
カットオブジェクトを製造するためのパターンは、パーソナライズされたカットオブジェクトを製造するために、上記の実施形態ではユーザ入力データに基づいて生成されるが、パターンは、他の実施形態では異なる態様で提供されることも可能である。例えば、予め設定されたパーソナライズされていないパターンも、カットオブジェクトを作成するために使用することができる。
【0060】
上記の実施形態において熱昇華型プリンタによってプリントされかつアウトプットされるプリント基材は、移送装置によって熱昇華型プリンタから切断装置へ自動的に移送されるが、これは、他の実施形態では異なる方法で、例えば手作業で、行うこともできる。この場合、製造装置は移送装置を備えないことも可能である。
【0061】
上記の実施形態における熱昇華型プリンタはカットオブジェクトの製造装置の1つの構成要素であるが、当該装置内で使用される熱昇華型プリンタは、当該装置から独立に使用することも可能である。そのように使用される場合も、プリントエリアと非プリントエリアは固定的かつ予め設定されるか又は可変的であることが可能であるが、この場合、配置方向における非プリントエリアの寸法は、少なくとも切断ユニットと第1移動ユニットの間の距離に等しくある必要はない。とりわけ配置方向における、プリントエリアと非プリントエリアの寸法は、手動で調整可能であり、とりわけ、熱昇華型プリンタの相応のインターフェースによって、又は、熱昇華型プリンタを制御する、とりわけ少なくともプリントエリアと非プリントエリアの寸法を制御するユニットによって、調整可能である。
【0062】
特許請求の範囲において、用語「有する(aufweisen)」及び「含む(umfassen)」は、列記されたもの以外の構成要素又はステップを除外せず、また、不定冠詞「ein」は複数を除外しない(複数も含まれる)。
【0063】
1つのユニット又は装置は、特許請求の範囲に記載された複数の構成要素の機能(複数)を実行することもできる。個々の機能及び構成要素が異なる従属請求項に記載されているという事実は、これらの機能又は構成要素の組み合わせが有利に使用できないことを意味するものではない。
【0064】
カットオブジェクトの製造方法に従うカットオブジェクトの製造装置のコントローラは、コンピュータプログラムコードとして及び/又は適切なハードウェアの形で実現することが可能であるが、とりわけ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)である。
【0065】
コンピュータプログラムは、適切な媒体に、例えば光学記録媒体又は他のハードウェアと組み合わせて又はその一部として作動される固体記録媒体に記録及び/又は配信される(distributed)ことができる。尤も、コンピュータプログラムは、他の方式で、例えばインターネットその他の遠距離通信システムを介して、配信されることも可能である。
【0066】
特許請求の範囲に付した図面参照符号は、特許請求の範囲によって与えられる主題及び保護範囲がこれらの図面参照符号によって限定されることを意味するものと理解すべきではない。
【0067】
本発明は、カットオブジェクト(カット済みないし切断済みオブジェクト)の製造装置に関する。熱昇華型プリンタは、プリントパターンをプリント基材にプリントし、プリント済みプリント基材をアウトプット(排出)する。次いで、切断装置は、プリント基材を切断パターンに沿って切断する。切断装置は、切断ユニットと、切断中にプリント基材を移動する移動ユニットを含む。熱昇華型プリンタは、アウトプットされたプリント基材がプリントが行われたプリントエリアとプリントが行われなかった非プリントエリアを有するように、プリント基材にプリントするよう適合(構成)されている。プリントエリアと非プリントエリアは、連続的に配置されており、配置方向における非プリントエリアの寸法は、少なくとも切断ユニットと第1移動ユニットの間の距離に等しい。
【0068】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を付記する。
(形態1)切断パターンと該切断パターン内のプリントパターンを含むパターンに基づきカットオブジェクトを製造する装置が提供される。
該装置は、
・前記パターンをプリント基材にプリントし、プリントされたプリント基材(以下「プリント済みプリント基材」という。)をアウトプットする熱昇華型プリンタ、
・プリント基材を切断パターンに沿って切断する切断装置、但し、切断装置はプリント基材を切断する切断ユニットと、切断装置内でプリント基材を移動する第1移動ユニットを有し、第1移動ユニットは、切断プロセス中、第1移動ユニットから切断ユニットへの移動方向及び切断ユニットから第1移動ユニットに戻る移動方向に、プリント基材を移動するよう適合されている、
を含み、
熱昇華型プリンタは、アウトプットされたプリント基材がプリントが行われたプリントエリアとプリントが行われなかった非プリントエリアを有するように、プリント基材にプリントするよう適合されており、
プリントエリアと非プリントエリアは、配置方向において連続的に交互に配置されており、配置方向における非プリントエリアの寸法は、少なくとも切断ユニットと第1移動ユニットの間の距離に等しい。
(形態2)上記の装置において、熱昇華型プリンタと切断装置は、移動方向と配置方向が揃えられているように、配置されていることが好ましい。
(形態3)上記の装置は、更に、
a)プリント済みプリント基材を熱昇華型プリンタから切断装置へ自動的に移送する移送装置、但し、移送装置はプリント済みプリント基材を順方向において熱昇華型プリンタから切断装置へ自動的に移動する第2移動ユニットを含み、該順方向は移動方向及び配置方向と揃えられている、
及び、
b)少なくとも移送装置及び切断装置を制御する制御装置
を含むことが好ましい。
(形態4)上記の装置において、熱昇華型プリンタ、移送装置及び切断装置は、プリント基材が順方向において熱昇華型プリンタから移送装置を介して切断装置へ直動可能であるように配置されており、
移送装置は、プリント基材(粘着フィルム)を回転することなく並進運動のみ実行することにより、プリント済みプリント基材を順方向に移動するよう適合されていることが好ましい。
(形態5)上記の装置において、制御装置は、最初に、プリント済みプリント基材を第1移動ユニットへ移動するよう第2移動ユニットのみが作動され、次に、該2つの移動ユニットが同期的にプリント済みプリント基材を更に切断装置内へ移動するよう該2つの移動ユニットが作動されるように、該2つの移動ユニットを制御するよう適合されていることが好ましい。
(形態6)上記の装置において、移送装置は、プリント済みプリント基材が第2移動ユニットによって切断装置の方向へ移動される距離を測定する測定ユニットを更に含み、
制御装置は、プリント済みプリント基材の第1移動ユニットへの移動が完了したことを測定された距離が示すまで、プリント済みプリント基材が切断装置の方向へ前進されるように、第2移動ユニットを制御するよう適合されていることが好ましい。
(形態7)上記の装置において、測定ユニットは、熱昇華型プリンタがプリント済みプリント基材を移送装置内へ案内した距離を測定するようにも適合されており、
制御装置は、プリント済みプリント基材の第1移動ユニットへの移動が完了したことを測定された距離全体が示すまで、プリント済みプリント基材が切断装置の方向へ前進されるように、第2移動ユニットを制御するよう適合されていることが好ましい。
(形態8)上記の装置において、第2移動ユニットは、順方向において空転するモータ駆動型ローラを有し、
測定ユニットは、熱昇華型プリンタがプリント済みプリント基材を移送装置内へ移動した距離を測定するために、プリント済みプリント基材が熱昇華型プリンタから移送装置内へ移動されるとき、前記ローラの従動的自由回転(passive freewheeling rotation)を測定するよう適合されていることが好ましい。
(形態9)上記の装置において、第1移動ユニットは、プリント済みプリント基材を切断装置へ移動するためのモータ駆動型ローラを含む、但し、モータ駆動型ローラは空転しないことが好ましい。
(形態10)上記の装置において、移送装置は、第1移動ユニットがプリント済みプリント基材を移送装置の方向へ後進させるとき、第2移動ユニットのそばを通過するようプリント済みプリント基材を案内するよう適合されている案内ユニットを含むことが好ましい。
(形態11)上記の装置において、案内ユニットは、第1移動ユニットがプリント済みプリント基材を移送装置の方向へ後進させるとき、第2移動ユニットの下側でプリント済みプリント基材を案内するよう適合されていることが好ましい。
(形態12)上記の装置において、移送装置は、プリント済みプリント基材が移送装置に供給される時点を検出するプリント基材検出ユニットを有し、
制御装置は、プリント基材が供給されたことが検出されてから予め設定された期間が経過するまでは第2移動ユニットがプリント済みプリント基材を切断装置の方向へ移動させないように、第2移動ユニットを制御するよう適合されていることが好ましい。
(形態13)上記の装置において、第2移動ユニットは、プリント済みプリント基材(プリント済み粘着フィルム)を移動するための、切断装置の方向において自由回転する(空転する)モータ駆動型ローラを含むことが好ましい。
(形態14)上記の装置において、熱昇華型プリンタと移送装置は、熱昇華型プリンタから移送装置に供給されたプリント済みプリント基材が第2移動ユニットの空転ローラを回転させるように適合されており、
プリント基材検出ユニットは、第2移動ユニットのローラの回転を検出することにより、プリント基材が供給される時点を検出するよう適合されていることが好ましい。
(形態15)上記のカットオブジェクトの製造装置の一部として使用される熱昇華型プリンタが提供される。該熱昇華型プリンタは、プリントパターンをプリント基材にプリントしかつプリント済みプリント基材をアウトプットするよう適合されており、該熱昇華型プリンタは、アウトプットされたプリント基材がプリントが行われたプリントエリアとプリントが行われなかった非プリントエリアを含むように、プリント基材にプリントするよう適合されている。
(形態16)切断パターンと該切断パターン内のプリントパターンを含むパターンに基づきカットオブジェクトを製造する方法が提供される。該方法は、以下の工程:
・熱昇華型プリンタによって、プリントパターンをプリント基材にプリントし、プリント済みプリント基材をアウトプットすること、
・切断装置によってプリント基材を切断パターンに沿って切断すること、但し、切断装置はプリント基材を切断する切断ユニットと、切断装置内でプリント基材を移動する第1移動ユニットを有し、第1移動ユニットは、切断オペレーション中、第1移動ユニットから切断ユニットへの移動方向及び/又は切断ユニットから第1移動ユニットに戻る移動方向に、プリント基材を移動する、
を含み、
熱昇華型プリンタは、アウトプットされたプリント基材がプリントが行われたプリントエリアとプリントが行われなかった非プリントエリアを含むように、プリント基材にプリントし、
プリントエリアと非プリントエリアは、配置方向において連続的に配置されており、配置方向における非プリントエリアの寸法は、少なくとも切断ユニットと第1移動ユニットの間の距離に等しい。
(形態17)切断パターンと該切断パターン内のプリントパターンを含むパターンに基づきカットオブジェクトを製造するためのコンピュータプログラムが提供される。該コンピュータプログラムは、上記のカットオブジェクトの製造装置を制御する制御装置において該コンピュータプログラムが実行されるとき上記のカットオブジェクトの製造方法が実行されるように該製造装置を制御するよう適合されているプログラムコードを含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9