(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の第1の実施形態に係るパッケージ10が、
図1に示され、非被覆封止面12Uを有する紙を含む基体12と、紙12の非被覆封止面12Uに結合されて
図2に示されるように物品13(例えば、はさみ)を収容する物品受容空間11を形成するように構成されるスキン層16を含む多層フィルム14と、を含む。はさみ13を利用するために、技術者は、繊維の裂けが存在しないように、紙12の非被覆封止面12Uから紙繊維を剥がさず、かつ物品受容空間11中にそれらの紙繊維を排出せずに、
図3に示されるように紙12を引き剥がして、フィルム14のスキン層16から紙12の非被覆封止面12Uを外すことができる。本開示の第2の実施形態に係るパッケージ100が、
図5〜12に示されている。
【0011】
パッケージ10は、
図1〜3に示されるように、紙12およびフィルム14を含む。紙12は、紙繊維を含む非被覆封止面12Uを有する。フィルム14は、スキン層16を含み、このスキン層16は、熱に曝されたときに紙12の非被覆封止面12Uにフィルム14を結合して、
図1および2に示されるようにそれらの間に物品受容空間11を確立し、かつ紙12の非被覆封止面12Uが
図3に示されるように紙12の非被覆封止面12Uからのフィルム14の剥離の際に実質的に無傷のままであるように、紙12の非被覆封止面12Uから紙繊維を剥がさずかつ物品受容空間11中に紙繊維を排出せずに、フィルム14および紙12のうちの一方への外部からの剥離力の付加に応じて紙12の非被覆封止面12Uからフィルム14を外す可剥性スキン手段を提供するように構成される。
【0012】
共押出インフレーションフィルムが包装、滅菌、および流通に耐えるのに十分なシール強度を有する紙の非被覆封止面に直接封止され得る(成形)ウェブを形成するために、本明細書において使用される。さらに、本開示にしたがって作製されるパッケージは、紙繊維が紙の非被覆封止面によって落とされてパッケージ内容物に接触することなく、パッケージ内容物が必要なときに最終使用者によって開けやすいままである。さらに、本開示にしたがって作製されるシールは、包装機械における広い動作範囲にわたって一貫した可剥性を提供する。
【0013】
フィルム14は、
図2に示されるように、熱を用いて紙12の非被覆封止面12Uまたは他の好適な基体に結合されて、フィルム14と紙12の非被覆封止面12Uとの間に形成される物品受容空間11中にはさみ13などの物品を閉じ込める。フィルム14のスキン層16は、紙12の非被覆封止面12Uに直接結合して、それらの間に気密シールを提供し、さらにスキン層16が、
図3に示されるように紙12が引き剥がされるときに、紙12の非被覆封止面12Uから非常に容易に剥がれる(すなわち、脱離する(unbond))。フィルム14は、紙の上側ウェブ12の非被覆封止面12Uにヒートシールされるウェブである。パッケージ10は、高温、エチレンオキシドガス、または放射線への曝露によって滅菌されて、パッケージ10中に貯蔵されるはさみ13も滅菌され得る。
【0014】
フィルム14のスキン層16は、パッケージ10が開封される際、紙12の非被覆封止面12Uから紙繊維を剥がさず、かつ紙繊維がはさみ13に接触し得る物品受容空間11中に紙繊維を排出せずに、はさみ13を利用するために紙12の非被覆封止面12Uとフィルム14との間の気密シールを破るために、紙12の非被覆封止面12Uから予想以上に容易に外れる、本開示に係る組成物である。スキン層16は、例えば、本開示の例示的な実施形態の共押出(co−extruded)多層フィルム14に含まれる多くの層のうちの1つである。本開示に係る例示的なフィルムの例が、
図4A〜4Cに含まれる。したがって、フィルム14のスキン層16の接着特性のため、基体として高価なコート紙を使用する必要がない。多くの場合、高コストのコーティングが紙基体の封止面に適用されて、それらの紙基体を特定のシール強度を有するフィルムウェブに接着させ、それらの紙基体が紙基体からのフィルムの剥離の際に紙繊維を全く落とさずまたは他の形で繊維の裂けの兆候を全く示さないようにされる。本明細書に開示されるフィルムは、インフレーションフィルム共押出(blown film co−extrusion)およびキャストフィルム共押出(cast film co−extrusion)プロセスを含むがこれらに限定されない多くの方法によって作製され得る。
【0015】
フィルム14は、共押出インフレーションフィルム、実例として、紙の上側ウェブ12の非被覆封止面12Uに可剥性気密シールを形成することが可能なスキン層16を有する多層ウェブである。シールは、本開示にしたがってシールを開封する際、紙12の非被覆封止面12Uから紙繊維を引っ張らずに、きれいに剥がれる。
【0016】
本開示は、新規なスキン層を有する共押出多層フィルムが、紙基体の非被覆封止面に可剥性気密シールを形成することが可能であるという本発明者らの発見を利用するものであり、このシールは、ASTM F88によって測定した際に300g/インチを超える結合強度(好ましくは、450g/インチを超える結合強度)を提供する。このシールは、(例えば、シールの開封後のフィルムの目視検査によって測定した際に)シールの開封の際に紙基体から紙繊維を引っ張らずにきれいに剥がれる。
【0017】
図4Aに示される例示的な第1の実施形態において、パッケージ10は、非被覆封止面12Uを有する紙基体12と、可剥性共押出多層フィルム14と、物品13によって占められる物品受容空間11とを含み、ここで、物品13は、紙基体12および可剥性フィルム14に接触するように挿入され配置される。可剥性フィルム14は、スキン層16、コア18、および外層20を含み、ここで、コア18は、挿入されてスキン層16および外層20と接触している。可剥性フィルム14のスキン層16は、熱活性化気密シールによって、紙基体12の非被覆封止面12Uに結合される。コア18は、第1のポリマー層181、第2のポリマー層182、第3のポリマー層183、第4のポリマー層、および第5のポリマー層185を連続して含む。
【0018】
図4Bに示される例示的な第2の実施形態において、パッケージ10’は、非被覆封止面12Uを有する紙基体12と、可剥性共押出多層フィルム14’と、物品13(例えば、はさみまたは注射器)によって占められる物品受容空間11とを含み、ここで、物品13は、紙基体12および可剥性フィルム14’に接触するように挿入され配置される。可剥性フィルム14’は、スキン層16、コア18’、および外層20を含み、ここで、コア18’は、挿入され、スキン層16および外層20と接触している。可剥性フィルム14’のスキン層16は、熱活性化気密シールによって、紙基体12の非被覆封止面12Uに結合される。コア18’は、第1のポリマー層181’、第2のポリマー層182’、および第3のポリマー層183’を含む。
【0019】
図4Cに示される例示的な第3の実施形態において、パッケージ10”は、非被覆封止面12Uを有する紙基体12と、可剥性共押出多層フィルム14”と、物品13(例えば、はさみまたは注射器)によって占められる物品受容空間11とを含み、ここで、物品13は、紙基体12および可剥性フィルム14”に接触するように挿入され配置される。可剥性フィルム14”は、スキン層16、コア18”、および外層20を含み、ここで、コア18”は、挿入され、スキン層16および外層20と接触している。可剥性フィルム14”のスキン層16は、熱活性化気密シールによって、紙基体12の非被覆封止面12Uに結合される。コア18”は、第1の(単一の)ポリマー層181”を含む。
【0020】
パッケージ10は、
図1〜3および4Aに示されるように、基体10および多層フィルム14を含む。基体12は、非被覆封止面12Uを有し、かつ紙繊維を含む紙を含む。フィルム14は、基体12に連結されて、それらの間に位置し、かつ物品13を中に受容するように構成される物品受容空間11が形成される。
図4Aに示されるように、多層フィルム14は、外層20と、外層20と基体12に含まれる紙の非被覆封止面12Uとの間に挿入されるスキン層16と、を含む。スキン層16は、
図1〜4Aに示されるように所定の温度を超える熱にスキン層16の曝露の際に基体12に含まれる紙の非被覆封止面12Uに結合して、スキン層16と紙12の非被覆封止面12Uとの間の物品受容空間11中に存在する物品13を閉じ込めて紙12の非被覆封止面12Uをスキン層16に結合させて、物品受容空間11中に存在する物品13を
図1および2に示されるように密閉されたチャンバ中に保持するように物品受容空間11を囲む気密シールをそれらの間に確立し、かつ、紙12の非被覆封止面12Uとスキン層16との間の結合を破断する紙12への外部からの紙剥離力の付加に応じて、基体12に含まれる紙12の非被覆封止面12Uから脱離するための熱活性化シール手段を提供するように構成される。紙12の非被覆封止面12Uから紙繊維を剥がさずかつそれらの紙繊維を物品受容空間11中に排出せずに紙12の非被覆封止面12Uがスキン層16から剥がされて、物品受容空間11および物品受容空間11中の任意の物品13が紙12の非被覆封止面12Uに関連する紙繊維によって汚染されることなく、使用者が、
図3に示されるように、紙12の非被覆封止面12Uの少なくとも一部を多層フィルム14のスキン層16から剥がして物品受容空間11中の物品13を利用する。
【0021】
本開示の一態様は、挿入されるスキン層16が比較的薄く、共押出多層フィルム14/14’/14”の厚さのうちの少量(例えば、約5〜6%程度ないし約20%程度の厚さ)であるが、フィルムの特性に対するスキン層の影響は決して小さくないことである。言い換えると、スキン層16の寸法寄与は、小さいかもしれないが、それが含有されることで、多層フィルムの可剥性の著しい向上につながる。この点で、挿入されるスキン層の厚さが、フィルムの全厚にわずかに寄与するが、フィルムの全体的特性に著しく寄与する。特定の理論に制約されるものではないが、好適な滑り成分および粘着防止成分と組み合わされたスキン層の厚さ(例えば、多層可剥性フィルムの全厚に応じて、約5〜6%程度ないし約20%程度の厚さ)と、(約3〜約10の範囲の)ポリマーメルトインデックスと、ポリオレフィン含量(例えば、約40%のポリブテン−1)との組合せが、本明細書に記載される可剥性に著しく寄与するものと考えられる。ポリブテン−1に加えて、可剥性を付与し得る他のポリ−α−オレフィンも本開示の範囲内であるものと考えられる。
【0022】
本明細書において使用される際、コアという用語は、ポリオレフィンまたはプラスチックの1つ以上の層の層形態である。コアという用語は、単層形態にも使用される。本明細書において使用される際、層という用語は、複数のポリオレフィン成分を含んでいてもまたは含んでいなくてもよいポリオレフィンまたはプラスチックの平面配置である。層という用語は、連続した平面配置を含むが、このような配置に限定されない。層という用語は、不連続の平面配置、例えば、メッシュ、多孔性シート、穿孔されたシート、およびスクリムも含む。
【0023】
[メルトインデックス] 本明細書において使用される際、メルトインデックス(MI)という用語は、ポリマー組成物の流れやすさの尺度である。MIは、圧力の付加によって特定の直径および長さのキャピラリーを通って10分間に流れるポリマーの質量(グラム)に等しい。ASTM D−1238−00は、メルトインデックスを決定するための標準的な試験方法を表す。MIは、分子量の間接的な尺度であり、高いメルトインデックスは、典型的に、低い分子量に相当する。さらに、MIは、ポリマー組成物が、その溶融形態で、圧力下で流れる能力の尺度である。MIは、粘度に反比例するものと考えられ得るが、粘度は、加えられる力にも左右される。
【0024】
[分子量] 多くの分析技術が、MWおよびMWDの測定のために利用可能である。1つのこのような手法が、光散乱によるポリマーの重量平均分子量の測定のための標準的な試験方法を表すASTM D 4001−93(2006)に記載されている。ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)は、MWならびにMWDについての情報を提供することができる。本明細書に記載されるポリマー組成物のうちの1つ以上の特性を決定するのに使用され得る別の技術としては、昇温溶出分別法(TREF)が挙げられる。さらに、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)は、TREFと連動して、特定のポリマー組成物の他の特性を得ることができる。
【0025】
[密度] 密度値は、密度勾配技術によるプラスチックの密度の標準的な試験方法であるASTM D 1505−98に準拠して得られる密度値を表す。
【0026】
[分枝] ポリマーが分枝される程度およびそれらの分枝の長さが、例えば、C−13 NMR、GPC、昇温溶出分別法(TREF)、および結晶化分析分別法(Crystallization analysis fractionation)(Crystaf)によって測定され得る。さらに、レオロジー特性が、短鎖および長鎖分枝の相対量を比較するのに使用され得る。例えば、弛緩時間は、ポリマー鎖が溶融状態で変形後に弛緩するのにかかる時間を反映している。分枝を分析するための別の方法は、線形熱収縮(linear thermal shrinkage)によるものである。フィルムまたはシートの形態のポリマーが、ASTM D 2732−96に準拠して試験され得る。ASTM D 2732は、無制限の線形熱収縮のための標準的な試験方法を表す。無制限の線形熱収縮(別名、自由収縮として知られている)は、収縮を抑制する制限が全く存在しないかまたはごくわずかに存在する条件下で高温に曝されるフィルムに起こる特定の方向の線寸法の不可逆的で急速な減少を表す。
【0027】
短鎖分枝(SCB)は、本明細書において使用される際、約40個未満の炭素原子の分枝である。本開示の一態様は、微結晶構造の形成を妨げ得るSCBである。本明細書において使用される際、長鎖分枝(LCB)は、ポリマー直鎖の平均臨界絡み合い距離(average critical entanglement distance)より長い長さを有する分枝である。例えば、長鎖分枝は、40個を超える炭素原子の鎖長を有する分枝を含む。本開示の別の態様は、実質的に直鎖状のポリエチレンが、実質的なSCBを含むが、LCBを実質的に含まないことである。したがって、実質的に直鎖状のポリエチレンは、実質的に短鎖の分枝状ポリエチレンと呼ばれ得る。
【0028】
本明細書において使用される際、実質的に長鎖分枝がないことは、1000個の主鎖炭素当たり約0.01個未満の長鎖分枝点のLCB密度として定義される。本明細書において使用される際、ある長鎖分枝は、1000個の主鎖炭素当たり約0.01〜約0.2個の長鎖分枝点のLCB密度として定義される。本明細書において使用される際、実質的な長鎖分枝は、1000個の主鎖炭素当たり0.2個を超える長鎖分枝点を有するポリマーを表すのに使用される。
【0029】
[ASTM標準試験方法(参照により援用される)] 本明細書に記載される各ASTM標準試験方法が参照され、このASTM標準試験方法は、ポリマー組成物およびそれで作製されるフィルムを試験するための方法に関する開示について、参照により本明細書に援用される。
【0030】
[分析限界] 本開示の別の態様は、隣接する層が、分析技術によって実質的に区別できない組成物から構成され得ることである。本開示のこの態様は、分析により感知できるより多い層を有し得る多層フィルムをもたらす。一態様において、本開示は、非常に類似した化学的および/または物理的特性を有する互いに隣接する層を導入することを含み得る。薄い層の厚さと組み合わされた層間の化学的および/または物理的特性の類似性により、分析技術によって感知される層の数が、存在する層の実際の数より少なくなり得る。
【0031】
[cPE] 本明細書において使用される際、触媒ポリエチレン(cPE)という用語は、触媒反応によって(例えば、チーグラー・ナッタ、フィリップス、メタロセン、または他のシングルサイト触媒反応によって)作製されるエチレンとα−オレフィンコモノマーとのコポリマーを表すのに一般に使用される。cPEは、エチレンとα−オレフィンコポリマーとのコポリマーをもたらす非メタロセンまたはポストメタロセン触媒反応によって作製されるポリマーを含む。cPEは、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ヘキセン、1−オクテンまたは1−デセンを含む様々なα−オレフィンモノマーで作製されるコポリマーを含む。一実施形態において、cPEは、エチレンと、1−ヘキセンおよび1−オクテンの群から選択される1つとのコポリマーである。別の実施形態において、cPEは、エチレンと1−オクテンとのコポリマーである。
【0032】
例示的な実施形態において、α−オレフィンコモノマーは、1−ブテン、1−ヘキセン、および1−オクテンからなる群から選択される。α−オレフィンコモノマーは、ポリマーの総重量の約1重量%〜約20重量%、好ましくは、ポリマーの総重量の約1重量%〜約10重量%で組み込まれ得る。一実施形態において、α−オレフィンコモノマーは、約6%〜約8%のパーセンテージで組み込まれる。一実施形態において、α−オレフィンは、約5%〜約15%のパーセンテージで組み込まれるブテンである。別の実施形態において、α−オレフィンは、約5%〜約15%のパーセンテージで組み込まれるブテンである。
【0033】
例示的な実施形態において、cPEは、約1〜約6の範囲内のMWDを有する。一実施形態において、cPEは、約1.5〜約5の範囲内のMWDを有する。別の実施形態において、cPEは、約2〜約4の範囲内のMWDを有する。例示的な実施形態において、cPEは、約20,000〜約500,000g/モル、好ましくは、約50,000〜約200,000g/モルの平均分子量を有する。
【0034】
[VLDPE] 本明細書において使用される際、VLDPEは、約0.88〜約0.92g/cm
3または約0.89g/cm
3〜約0.91g/cm
3の密度を有するcPEである。それは、超低密度ポリエチレン(ULDPE)または極低密度ポリエチレン(VLDPE)と呼ばれ得る。VLDPEは、約0.5〜約5g/10分、好ましくは、約1〜約4g/10分のMIを有し得る。例えば、VLDPEは、約0.91g/cm
3の密度および約3g/10分のMIを有し得る。同様に、VLDPEは、約0.90g/cm
3の密度および約4g/10分のMIを有し得る。約0.90〜約0.91g/cm
3の密度および約1g/10分のMIを有するVLDPEも使用され得る。一態様において、特徴的な密度が、エチレンを、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、または1−オクテンのうちの1つと共重合させることによって得られた可能性がある。一実施形態において、VLDPEは、エチレンと、1−ヘキセンおよび1−オクテンの群から選択される1つのコモノマーとのコポリマーである。別の実施形態において、cPEは、エチレンと1−オクテンとのコポリマーであるVLDPEであり、ここで、コポリマーは、約10%の平均コモノマーパーセンテージを有する。
【0035】
[LDPE] 本明細書において使用される際、低密度ポリエチレン(LDPE)は、約0.91g/cm
3〜約0.93g/cm
3の範囲の密度を有するポリエチレンポリマーとして定義される。LDPEは、ラジカル重合によって重合され得、高度な短鎖および長鎖分枝を有する。LDPEという用語は、高圧ラジカル重合によって重合される高圧法低密度ポリエチレン(HPLDPE)を含むことが意図される。例えば、LDPEは、管型または撹拌反応器中で、約15,000psi〜約50,000psiの圧力および約300℃以下の温度でラジカル開始剤を用いて作製されるエチレンホモポリマーであり得る。この重合技術によれば、多数の長鎖分枝が、ポリマーの長さに沿って形成され得る。一態様において、LDPEは、1つの低い融点を有するものと特徴付けられ得る。例えば、0.92g/cm
3の密度のLDPEが、典型的に、約112℃の融点を有するであろう。別の態様において、LDPEは、結晶構造に十分に詰め込まれ得ない。したがって、LDPEは、不定形の固体構造を形成する傾向を有し得る。したがって、分子間力はより弱く、瞬間的双極子−誘起双極子(instantaneous−dipole induced−dipole)引力がより低くなり得る。さらに、LDPEは、HDPEより低い引張り強さを有するが、比較的高い靭性を有する。
【0036】
例示的な実施形態において、フィルムは、約0.1〜約20g/10分のMIを有するLDPEを含む。一実施形態において、フィルムは、約2g/10分のMIを有するLDPEを含む。別の実施形態において、フィルムは、約0.2g/10分のMIを有するLDPEを含む。例示的な実施形態において、フィルムは、約0.91g/cm
3〜約0.93g/cm
3の密度を有するLDPEを含む。別の実施形態において、フィルムは、約0.92g/cm
3の密度を有するLDPEを含む。
【0037】
[HDPE] 例示的な実施形態において、多層フィルムは、本明細書においてHDPEと呼ばれる高密度ポリエチレンから構成される層を含む。別の実施形態において、高密度ポリエチレンは、ポリエチレンが高度な結晶構造を有するようにごくわずかな短鎖または長鎖分枝を示す生成物を形成するための手段によって、エチレンを反応させた生成物である。
【0038】
例示的な実施形態において、高密度ポリエチレンは、単峰性のMWDを有するホモポリマー高密度ポリエチレンである。ホモポリマー高密度ポリエチレンは、生成物が実質的に分枝を有さないようにエチレンを反応させた生成物である。一実施形態において、ホモポリマー高密度ポリエチレンは、約1g/10分〜約9g/10分のMIおよび約0.935g/cm
3〜約0.96g/cm
3の密度を有する。
【0039】
[EAC] 本明細書において使用される際、エチレンアクリレートコポリマー(EAC)という用語は、エチレンおよびアクリレートモノマーから合成される、様々な分子量、密度、および立体規則性を有するポリマーを含む。エチレンメチルアクリレート(EMA)、エチレンエチルアクリレート(EEA)、エチレンブチルアクリレート(EBA)およびエチレン酢酸ビニル(EVA)などのコポリマーが、本開示の範囲内に含まれる。一実施形態において、EACはランダムコポリマーである。別の実施形態において、EACはブロックコポリマーである。さらに別の実施形態において、EACは相分離され、すなわち、コポリマーは、ブロックが混合しないように重合される。したがって、本開示のEACは、規則性のある微細構造を有するポリマーを含む。球形、円筒形、および層状、規則性のある二連続二重ダイヤモンド、規則性のある三相連続二重ダイヤモンドまたは穿孔された層状形態などの規則性のある形態を示すEACポリマーも本開示の範囲内に含まれる。
【0040】
例示的な実施形態において、フィルムは、実質的な長鎖分枝を含有するエチレン−酢酸ビニル(EVA)コポリマーを含む。一実施形態において、EVAは、高圧プロセスを用いて作製されるタイプである。例えば、EVAは、エチレンと酢酸ビニルとの間のラジカル重合反応によって製造され得る。一実施形態において、この重合は、高圧(この文脈において、約20,000psi超)および高温(この文脈において、約200〜320℃)で、従来の撹拌オートクレーブまたは管型反応器中で行われ得る。別の実施形態において、EVAコポリマーの分子量は、プロピレンまたはイソブチレンなどの連鎖停止剤の添加によって制御される。別の実施形態において、EVAコポリマーの分枝のタイプおよびレベルは、LDPEにおいて観察されるものと類似であり得る。別の実施形態において、(最終的なEVAコポリマーの総重量を基準にして)約5〜約50重量パーセントの酢酸ビニルが、エチレンと共重合される。さらに別の実施形態において、EVAコポリマーは、最終的なEVAコポリマーの総重量を基準にして、約2%〜約9%の酢酸ビニル含量を有する。一実施形態において、EVAコポリマーは、約5重量%〜約15重量%の共重合された酢酸ビニルを含み、約0.88g/cm
3〜0.912g/cm
3の密度および約0.5〜10g/10分のメルトインデックスを有する。
【0041】
例示的な実施形態において、フィルムは、約0.1〜約20g/10分のMIを有するEACを含む。一実施形態において、フィルムは、約0.5〜約8g/10分のMIを有するEACを含む。一実施形態において、フィルムは、約0.5〜約0.8g/10分のMIを有するEACを含む。別の実施形態において、フィルムは、約0.65g/10分のMIを有するEACを含む。例示的な実施形態において、フィルムは、約0.91g/cm
3〜約0.93g/cm
3の密度を有するEACを含む。一実施形態において、フィルムは、約0.920g/cm
3〜約0.925g/cm
3の密度を有するEACを含む。別の実施形態において、フィルムは、約0.92g/cm
3の密度を有するEACを含む。別の実施形態において、EACは、約0.945g/cm
3の密度、約10.0g/10分のMIを有し、約24%のメチルアクリレートコモノマーを含有する。
【0042】
例示的な実施形態において、フィルムは、EMAコポリマーを含有する少なくとも1つの層を含む。一実施形態において、EMAコポリマーは、約3〜約7のMIを有する。別の実施形態において、EMAコポリマーは、約0.93g/cm
3〜約0.96g/cm
3の範囲の密度を有する。一実施形態において、EMAコポリマーは、約15%〜約35%のメチルアクリレート単位および約65%〜約85%のエチレン単位を含む。一実施形態において、EMAコポリマーは、約24%のメチルアクリレート単位および約76%のエチレン単位を含む。
【0043】
[EPコポリマー] 本明細書において使用される際、エチレンプロピレンコポリマー(EPコポリマー)という用語は、様々な比率のエチレンおよびプロピレンモノマーから合成される、様々な分子量、密度、および立体規則性を有するポリマーを含む。例えば、EPコポリマーという用語は、主にエチレン単位から構成されるポリマーおよび主にプロピレン単位から構成されるポリマーを含む。例えば、本開示の範囲内のEPコポリマーは、約1%〜約99%のエチレンモノマー単位および約1%〜約99%のプロピレンモノマー単位を含み得る。
【0044】
例示的な実施形態において、フィルムは、約0.1〜約20g/10分のMIを有するEPコポリマーを含む。一実施形態において、フィルムは、約4〜約14g/10分のMIを有するEPコポリマーを含む。一実施形態において、フィルムは、約6〜約8g/10分のMIを有するEPコポリマーを含む。例示的な実施形態において、フィルムは、約0.88g/cm
3〜約0.92g/cm
3の密度を有するEPコポリマーを含む。一実施形態において、フィルムは、約0.89g/cm
3〜約0.91g/cm
3の密度を有するEPコポリマーを含む。別の実施形態において、フィルムは、約0.900g/cm
3〜約0.902g/cm
3の密度を有するEPコポリマーを含む。例示的な実施形態において、フィルムは、約0.1%〜約8%のエチレンを含むランダムコポリマー構造を含むEPコポリマーを含む。一実施形態において、EPコポリマーは、ランダムコポリマー構造中に約3%〜約5%のエチレンを含む。
【0045】
[PA] 例示的な実施形態において、1つ以上の層が、ポリアミド(PA)を含み得る。
【0046】
[PP] 例示的な実施形態において、1つ以上の層が、ポリプロピレンを含み得る。本明細書において使用される際、ポリプロピレン(PP)という用語は、プロピレンモノマーから合成される、様々な分子量、密度、および立体規則性を有するポリマーを含む。PPという用語は、プロピレンのホモポリマーまたはプロピレンまたはエチレンなどの他のより低級もしくはより高級のα−オレフィンのコポリマーであるポリマーを含むことが意図される。本開示の範囲内のPPという用語は、軟質のPPであるものと特徴付けられるPPを含む。例示的な実施形態において、PPは、約0.9g/cm
3の密度、および約12g/10分のMIを有するポリプロピレンホモポリマーである。
【0047】
[PIB] 例示的な実施形態において、1つ以上の層が、ポリ−イソブチレン(PIB)を含み得る。一実施形態によれば、PIBは、約98%のイソブチレンと、約2%のイソプレンとの重合によって生成された可能性がある。別の実施形態によれば、PIBは、2−メチル−1−プロペンの重合によって生成された可能性がある。例示的な実施形態において、PIBは、気相浸透圧測定法(vapor phase osmometry)によって測定した際に約1,000〜3,000g/モルの範囲の数平均分子量を有し得る。別の実施形態において、PIBは、気相浸透圧測定法によって測定した際に約1200〜1800g/モルの範囲の数平均分子量を有し得る。
【0048】
[SBC] 本明細書において使用される際、スチレンブロックコポリマー(SBC)という用語は、ブロックコポリマーが得られるように少なくとも1つのコポリマーと重合されたスチレンを有するポリマーを含む。当業者は、ブロックコポリマーが、封鎖された分子構造のため、ランダムコポリマーと実質的に異なることを理解するであろう。スチレンと、ブタジエン、ブチレン、エチレン、イソプレンのうちの1つまたは組合せとのコポリマーが、ブロックコポリマーの範囲内である。SBCポリマーの一態様は、それがマイクロスケールまたはナノスケールの相分離を示し得ることである。例えば、SBCは、周期的ナノ構造を形成し得る。一実施形態において、SBCは、約0.9g/cm
3の密度、および約2g/10分〜約25g/10分のMIを有する。
【0049】
特定の理論に制約されるものではないが、本明細書におけるポリマーは、所与の層に所望される特性を有するポリマーブレンドを得るために様々な比率で混合され得る。ポリマーブレンドは、個々の成分を乾式混合し、続いて、フィルムを作製するのに使用される押出機中で直接、またはフィルムを作製する前に別個の押出機中で予め溶融混合することによって、溶融混合することを含む任意の好都合な方法によって形成され得る。ポリマーブレンドはまた、ポリマーブレンドの造粒の前に、二重重合技術によって、または所望の量の第1のポリマーを、重合反応器からの第2のポリマーの溶融流れ中に直接溶融移送することによって調製され得る。ポリマーブレンドはまた、本明細書に記載されるように、適切な重量比で特定の特性を有する個別のポリマーを乾式混合することによって作製され得る。
【0050】
例示的な実施形態において、1つ以上の層が、cPEとLDPEとのブレンドを含み得る。cPEとLDPEとのブレンドに関する開示について、参照により本明細書に援用される米国特許第7,172,815号明細書が参照される。一実施形態において、ブレンドは、LDPEおよびcPEを含む。一態様において、ポリマーブレンド中のcPE:LDPEの割合は、LDPEの分子量に左右される。一実施形態において、cPE:LDPE比は、約5:1〜約33:1である。別の実施形態において、cPE:LDPE比は、約7:1〜約25:1である。約0.1〜約1g/10分のMIを有するLDPEの場合、cPE:LDPE比は、約16:1〜約33:1である。一実施形態において、約1g超/10分〜約2g/10分のMIを有するLDPEの場合、cPE:LDPE比は、約7:1〜約24:1である。別の実施形態において、約1g超/10分〜約2g/10分のMIを有するLDPEの場合、cPE:LDPE比は、約7:1〜約16:1である。一実施形態において、約2g超/10分〜約20g/10分のMIを有するLDPEの場合、cPE:LDPE比は、約4.5:1〜約16:1である。別の実施形態において、約2g超/10分〜約20g/10分のMIを有するLDPEの場合、cPE:LDPE比は、約4.5:1〜約7.5:1である。
【0051】
再度、
図4A〜4Cを参照すると、可剥性共押出多層フィルム14/14’/14”は、スキン層16、コア18/18’/18”、および外層20を含み、ここで、コア18/18’/18”が挿入され、スキン層16および外層20と接触している。
図4Aに示される第1の例示的な実施形態において、コア18は、第1のポリマー層181、第2のポリマー層182、第3のポリマー層183、第4のポリマー層、および第5のポリマー層185を含む。
図4Bに示される第2の例示的な実施形態において、コア18’は、第1のポリマー層181’、第2のポリマー層182’、および第3のポリマー層183’を含む。
図4Cに示される第3の例示的な実施形態において、コア18”は、第1の(単一の)ポリマー層181”を含む。
【0052】
[スキン層16] この場合も、理論に制約されるのを望むものではないが、好適な滑り成分および粘着防止成分と組み合わされた、スキン層16の厚さと、ポリマーメルトインデックスと、ポリオレフィン含量との組合せが、本明細書に記載される可剥性に実質的に寄与するものと考えられる。
【0053】
例示的な実施形態において、スキン層16は薄く、例えば、可剥性フィルム14/14’/14”の全厚の約10%である。したがって、本開示の一態様は、挿入されるスキン層16が、共押出多層フィルム14/14’/14”の全厚のうちの少量(例えば、約5%程度ないし約20%程度の厚さ)であることである。一実施形態において、スキン層は、共押出多層フィルム14/14’/14”の全厚の約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、または20%であり得る。しかしながら、スキン層16の寸法寄与は、小さいかもしれないが、それを含めることの結果が、多層フィルム14/14’/14”の可剥性の著しい向上につながる。この点で、挿入されるスキン層16の厚さが、フィルムの全厚にわずかに寄与するが(好ましくは、3〜3.5ミルであるが、他の厚さが可能である)、フィルムの全体的特性に著しく寄与する。
【0054】
例示的な実施形態において、スキン層16は、約6のMIを有するベース封止として、ポリマー、例えば、LDPEを含む。MIが、例えば、約3〜約10の範囲にわたって変化し得、望ましい剥離性を共押出多層フィルム14/14’/14”にさらに与えることが予測される。特に、MIは、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、および約10であり得る。この範囲のMIを有するものと考えられる他の例示的なポリマーとしては、限定はされないが、PA、VLDPE、LLDPE、HDPE、EVAコポリマー、EPコポリマー、PPホモポリマーおよびコポリマー、ならびにそれらの組合せおよび混合物が挙げられる。
【0055】
例示的な実施形態において、スキン層16は、約20重量%〜約80重量%、約30重量%〜約50重量%、約35重量%〜約45重量%、または約40重量%で存在する剥離剤として、ポリ−α−オレフィン、例えば、ポリブテン−1を含む。約40重量%で存在する、ポリ(3−メチル−1−ブテン)、ポリペンテン−1、ポリヘキセン−1、ポリ(3−メチル−1−ペンテン)、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ(3−メチル−1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)、および同様のポリマーなどの他のポリ−α−オレフィン性剥離剤が、望ましい剥離性を共押出多層フィルム14に与え得ることが予測される。
【0056】
[外層20] 外層20は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、および同様のポリマーなどの1つ以上のポリマーならびにそれらのコポリマー、組合せ、および混合物、cPEコポリマー、PA、VLDPE、LDPE、LLDPE、HDPE、PIB、SBC、EAC、EMAコポリマー、EEAコポリマー、EBAコポリマー、EVAコポリマー、EPコポリマー、PPホモポリマーおよびコポリマー、ならびにそれらの組合せおよび混合物を含む。一実施形態において、外層20はcPEを含む。別の実施形態において、外層20はPPを含む。さらに別の実施形態において、外層20はHDPEを含む。一実施形態において、外層20はLDPEを含む。一実施形態において、外層はLLDPEを含む。一実施形態において、外層20は、LLDPEと、cPE、PP、HDPE、EPコポリマーおよびLDPEからなる群から選択される1つ以上のポリマーとのブレンドを含む。例示的な実施形態において、外層20は、層のノンクリング(non−cling)特性を向上させるためにいくつかのノンクリング添加剤または粘着防止添加剤のいずれかを含み得る。このような添加剤としては、シリカ、タルク、珪藻土、シリケート、潤滑剤などが挙げられる。
【0057】
[コア18] ここで、
図4Aを参照すると、コア18は、第1のポリマー層181、第2のポリマー層182、第3のポリマー層183、第4のポリマー層、および第5のポリマー層185を含み、これらの層のそれぞれは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、および同様のポリマーなどの1つ以上の独立して選択されるポリマーならびにそれらのコポリマー、組合せ、および混合物、cPEコポリマー、PA、VLDPE、LDPE、LLDPE、HDPE、PIB、SBC、EAC、EMAコポリマー、EEAコポリマー、EBAコポリマー、EVAコポリマー、EPコポリマー、PPホモポリマーおよびコポリマー、ならびにそれらの組合せおよび混合物を含む。一実施形態において、第1のポリマー層181はLDPEを含む。別の実施形態において、第2のポリマー層182はLLDPEを含む。さらに別の実施形態において、第3のポリマー層183はPAを含む。別の実施形態において、第4のポリマー層184はLLDPEを含む。別の実施形態において、第5のポリマー層185は、LDPEとLLDPEとの混合物またはブレンドを含む。さらに別の実施形態において、第1のポリマー層181はLDPEを含み、第2のポリマー層182はLLDPEを含み、第3のポリマー層183はPAを含み、第4のポリマー層184はLLDPEを含み、第5のポリマー層185は、LDPEとLLDPEとの混合物またはブレンドを含む。
【0058】
[コア18’] ここで、
図4Bを参照すると、コア18’は、第1のポリマー層181’、第2のポリマー層182’、および第3のポリマー層183’を含み、これらの層のそれぞれは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、および同様のポリマーなどの1つ以上の独立して選択されるポリマーならびにそれらのコポリマー、組合せ、および混合物、cPEコポリマー、PA、VLDPE、LDPE、LLDPE、HDPE、PIB、SBC、EAC、EMAコポリマー、EEAコポリマー、EBAコポリマー、EVAコポリマー、EPコポリマー、PPホモポリマーおよびコポリマー、ならびにそれらの組合せおよび混合物を含む。一実施形態において、第1のポリマー層181’はLDPEを含む。別の実施形態において、第2のポリマー層182’はPAを含む。さらに別の実施形態において、第3のポリマー層183’は、LDPEとLLDPEとの混合物またはブレンドを含む。さらに別の実施形態において、第1のポリマー層181’はLDPEを含み、第2のポリマー層182’はPAを含み、第3のポリマー層183’は、LDPEとLLDPEとの混合物またはブレンドを含む。本明細書に開示される可剥性フィルムの実施形態は、少なくとも1つのコア層を有する。本明細書に開示される可剥性フィルムの実施形態は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上のコア層を有し得る。
【0059】
[コア18”] ここで、
図4Cを参照すると、コア18”は、第1の(単一の)ポリマー層181”を含み、この層は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、および同様のポリマーなどの1つ以上のポリマーならびにそれらのコポリマー、組合せ、および混合物、cPEコポリマー、PA、VLDPE、LDPE、LLDPE、HDPE、PIB、SBC、EAC、EMAコポリマー、EEAコポリマー、EBAコポリマー、EVAコポリマー、EPコポリマー、PPホモポリマーおよびコポリマー、ならびにそれらの組合せおよび混合物を含む。一実施形態において、第1のポリマー層181”はLDPEを含む。別の実施形態において、第1のポリマー層181”はPAを含む。さらに別の実施形態において、第1のポリマー層181”は、LDPEとLLDPEとの混合物またはブレンドを含む。
【0060】
本開示の第2の実施形態に係るパッケージ100が、
図5および6に示され、非被覆封止面112Uを有する紙で作製される基体の上側ウェブ112と、紙112の非被覆封止面112Uに結合されるように構成されるスキン層16を含む多層フィルム114(成形ウェブ)と、フィルム114と紙112の非被覆封止面112Uとの間に設けられる物品受容空間111を画定するように、フィルム114に形成される物品貯蔵チャネル114C中に位置する注射器113とを含む。注射器113を利用するために、技術者は、繊維の裂けが存在しないように、紙112の非被覆封止面112Uから紙繊維を剥がさず、かつそれらの紙繊維を物品受容空間111および物品貯蔵チャネル114C中に排出せずに、
図12に示されるように紙112を引き剥がして、フィルム114のスキン層16から紙112の非被覆封止面112Uを外すことができる。
【0061】
フィルム114は、
図7に示されるように、熱を用いて紙112または他の好適な基体または上側ウェブの非被覆封止面112Uに結合されて、フィルム114と紙112の非被覆封止面112Uとの間に形成される物品受容空間111中に注射器113などの物品を閉じ込める。フィルム114のスキン層16は、紙112の非被覆封止面112Uに直接結合して、それらの間に気密シールを提供し、さらにスキン層16が、
図12に示されるように紙112が引き剥がされるときに紙112の非被覆封止面112Uから非常に容易に剥がれる。フィルム114は、非被覆紙の上側ウェブ112の封止面112Uにヒートシールされた成形ウェブである。パッケージ100は、放射線、ガス、または他の手段への曝露によって滅菌されて、パッケージ10中に貯蔵される注射器113も滅菌され得る。紙は、限定はされないが、Arjo−Wiggins DS60であり得る。
【0062】
フィルム114のスキン層16は、パッケージ100が開封される際、紙112の非被覆封止面112Uから紙繊維を剥がさず、かつ紙繊維が注射器113に接触し得る物品受容空間111中に紙繊維を排出せずに、注射器113を利用するために紙112の非被覆封止面112Uとフィルム114との間の気密シールを破るために紙112の非被覆封止面112Uから予想外に容易に外れる組成物である。スキン層16は、例えば、共押出多層フィルム114に含まれる多くの層のうちの1つである。本開示に係る例示的なフィルムの例が、
図4A〜4Cに含まれる。したがって、フィルム114のスキン層16の接着特性のため、基体として高価なコート紙を使用する必要がない。高コストのコーティングが、多くの場合、紙基体の封止面に適用されて、それらの紙基体を、特定のシール強度を有するフィルムウェブに接着させ、それらの紙基体が、紙基体からのフィルムの剥離の際に紙繊維を全く落とさないようにする。
【0063】
フィルム114は、共押出インフレーションフィルム、実例として、紙の上側ウェブ112の非被覆封止面112Uに可剥性シールを形成することが可能なスキン層16を有する多層成形ウェブである。シールは、本開示にしたがってシールを開封する際、紙112の非被覆封止面112Uから紙繊維を引っ張らずに、きれいに剥がれる。
【0064】
パッケージ100を成形するための例示的な方法が、
図8〜11に概略的に示されている。フィルム114の外層が加熱可能な真空床40と結合し、かつスキン層16が真空床40と反対側を向くように、フィルム114は、
図8に示されるように、熱成形装置中の加熱可能な真空床40へと移動される。床40は、加熱され、真空源42によって生成される真空により、
図9に示される成形された形状を取るようにフィルム114が変形される。成形された後、フィルム114は、
図9に示されるように物品貯蔵チャネル114Cを含むように成形され、紙112の非被覆封止面112Uがフィルム114のスキン層16に結合される前に、注射器113が、これらのチャネル114Cのうちの1つに入れられる。
【0065】
熱活性化シールが、
図10に示されるように、紙112の非被覆封止面112Uと多層フィルム114のスキン層16との結合部分間に確立される。任意の好適な(壊れやすい)手段によって互いに結合された、
図11に示されるような2つのパッケージ100を形成することが本開示の範囲内である。
【0066】
本明細書に記載される多層可剥性フィルムの実施形態は、基体に結合されるイージーピールシステム(easy peel system)を提供する。基体は、非被覆紙であり得る。非被覆紙は、限定はされないが、Arjo Wiggins DS60であり得る。本明細書に記載される多層可剥性フィルムを含むイージーピールシステムは、フィルムが紙基体(例えば、紙)から剥がされるときに紙繊維の裂けを示さない。本明細書に記載されるシステム中の多層可剥性フィルムは、約0.5〜約3.0ポンド/インチ、約0.5〜約2.5ポンド/インチ、0.5〜約2.0ポンド/インチ、0.5〜約1.5ポンド/インチ、0.5〜約1.0ポンド/インチ、1.0〜約3.0ポンド/インチ、1.0〜約2.5ポンド/インチ、1.0〜約2.0ポンド/インチ、1.0〜約1.5ポンド/インチ、1.5〜約3.0ポンド/インチ、1.5〜約2.5ポンド/インチ、1.5〜約2.0ポンド/インチの剥離シール強度を有することができ、紙基体(例えば、パッケージ)から剥がされるときに紙繊維を引き裂かない。一実施形態において、多層可剥性フィルムは、約0.5ポンド/インチ、1.0ポンド/インチ、1.1ポンド/インチ、1.2ポンド/インチ、1.25ポンド/インチ、1.3ポンド/インチ、1.4ポンド/インチ、1.5ポンド/インチ、1.6ポンド/インチ、2.0ポンド/インチ、2.5ポンド/インチ、または3.0ポンド/インチの剥離シール強度を有することができ、紙基体(例えば、パッケージ)から剥がされるときに紙繊維を引き裂かない。
【実施例】
【0067】
(実施例I)
共押出多層可剥性フィルム
図4Aに係る多層可剥性封止フィルムを、従来のインフレーションフィルム共押出プロセスを用いて作製した。共押出多層可剥性フィルムの配合物が、表1に示される。
【0068】
【表1】
【0069】
(実施例II)
共押出多層可剥性フィルム
図4Aに係る多層可剥性封止フィルムを、従来のインフレーションフィルム共押出プロセスを用いて作製した。共押出多層可剥性フィルムの配合物が、表2に示される。
【0070】
【表2】
【0071】
(実施例III)
多層可剥性封止フィルムを、従来のインフレーションフィルム共押出プロセスを用いて作製した。スキン層を含む多層可剥性封止フィルムのシール強度を試験した。スキン層は、ポリエチレンおよび40%のポリブテン−1を含んでいた。さらに、スキン層は、フィルムの10%であり、フィルムは、厚さ3.5ミルであった。スキン層を、非被覆紙(Arjo Wiggins DS60)に結合した。「未処理の(green)」試料を封止し、シールが形成された直後に引っ張った。10秒間冷ましてから強度を測定した。「エージングされた(aged)」試料を封止し、14日間封止したままにしておいてから、引き剥がした。60psiおよび1秒間の滞留時間で、Enepayヒートシール試験機(Magma)を用いて、試験を行った。試験機がシールを形成し、フィルムを紙から引っ張り、次に、剥離力を測定する。データを収集し、表3に示す。
【0072】
【表3】
【0073】
(実施例IV)
多層可剥性封止フィルムを、従来のインフレーションフィルム共押出プロセスを用いて作製した。異なるスキン層を有する多層可剥性封止フィルムを、様々な温度(°F)にわたるヒートシール強度(g/インチ)について試験した。多層可剥性封止フィルムを含むパッケージを、Multivac R145で製造した。パッケージを3〜5日間エージングした。次に、1インチ幅の試験片を各パッケージから取り、次に、剥離強度についてInstron引張試験機で試験した。
【0074】
フィルムAは、厚さ3.5ミルである、全フィルムの10%のスキン層を有し、40%のポリブテン−1を含んでいた。フィルムBは、厚さ1.3ミルである、全フィルムの15%のスキン層を有し、40%のポリブテン−1を含んでいた。フィルムCは、厚さ1.3ミルである、全フィルムの10%のスキン層を有し、45%のポリブテン−1を含んでいた。フィルムDは、厚さ3.0ミルである、全フィルムの10%のスキン層を有し、35%のポリブテン−1を含んでいた。パッケージ
【0075】
【表4】
【0076】
(実施例V)
多層可剥性封止フィルムを、従来のインフレーションフィルム共押出プロセスを用いて作製した。異なるスキン層を有する多層可剥性封止フィルムを、様々な温度(°F)にわたるヒートシール強度(g/インチ)について試験した。多層可剥性封止フィルムを含むパッケージを、Multivac R145で製造した。パッケージを3〜5日間エージングした。次に、1インチ幅の試験片を各パッケージから取り、次に、剥離強度についてInstron引張試験機で試験した。
【0077】
スキン層の異なる配合物を有するこれらのフィルムを、様々な温度(°F)にわたるヒールシール強度(g/インチ)について試験した。フィルムAは、全フィルムの10%のスキン層を有し、45%のポリブテン−1を含んでいた。フィルムBは、全フィルムの10%のスキン層を有し、35%のポリブテン−1を含んでいた。フィルムCは、全フィルムの10%のスキン層を有し、40%のポリブテン−1を含んでいた。
【0078】
【表5】
ここで、原出願の分割直前の特許請求の範囲は、次のようなものである。
[請求項1]
紙繊維を含む非被覆封止面を有する紙と、
可剥性スキン手段を提供するように構成されかつスキン層を含むフィルムと、
を備えたパッケージであって、
前記スキン層が、熱に曝されたときに、前記紙の非被覆封止面に前記フィルムを結合してそれらの間に物品受容空間を確立し、
前記紙繊維が前記紙の非被覆封止面から剥離せずかつ前記紙繊維が前記物品受容空間の中に排出されることなく、前記フィルムおよび前記紙のうちの一方への外部からの剥離力の付与に応じて前記フィルムが前記紙の非被覆封止面から剥離されて、前記紙の非被覆封止面が、前記紙の非被覆封止面から前記フィルムが剥離される間、実質的に損傷しないことを特徴とするパッケージ。
[請求項2]
前記スキン層が、全フィルムの約5%〜約20%を占め、前記スキン層の約20%〜約80%がポリ−α−オレフィンである、請求項1に記載のパッケージ。
[請求項3]
前記スキン層が、ポリマー、コポリマー、またはそれらの組合せをさらに含む、請求項2に記載のパッケージ。
[請求項4]
前記ポリマーがポリエチレンである、請求項3に記載のパッケージ。
[請求項5]
前記ポリエチレンが、約3〜約10のメルトインデックスを有する、請求項4に記載のパッケージ。
[請求項6]
前記ポリエチレンが、約6のメルトインデックスを有する、請求項2〜5のいずれか一項に記載のパッケージ。
[請求項7]
前記ポリ−α−オレフィンがポリブテン−1である、請求項2〜5のいずれか一項に記載のパッケージ。
[請求項8]
前記ポリ−α−オレフィンが、約1のメルトインデックスを有する、請求項2〜7のいずれか一項に記載のパッケージ。
[請求項9]
前記ポリ−α−オレフィンが、前記スキン層の約40%を占める、請求項2〜8のいずれか一項に記載のパッケージ。
[請求項10]
前記スキン層が、全フィルムの約10%を占める、請求項2〜9のいずれか一項に記載のパッケージ。
[請求項11]
全フィルムが、厚さ3〜3.5ミルである、請求項2〜10のいずれか一項に記載のパッケージ。
[請求項12]
前記フィルムが、約0.5〜約3.0ポンド/インチの剥離シール強度を有する、請求項2〜11のいずれか一項に記載のパッケージ。
[請求項13]
前記スキン層が、滑り成分をさらに含む、請求項2〜12のいずれか一項に記載の多層可剥性フィルム。
[請求項14]
前記スキン層が、粘着防止成分をさらに含む、請求項2〜13のいずれか一項に記載の多層可剥性フィルム。
[請求項15]
前記スキン層が、全フィルムの約10%を占める、請求項2〜14のいずれか一項に記載の多層可剥性フィルム。
[請求項16]
非被覆封止面を有しかつ紙繊維を含む紙、を有する基体と、
前記基体に連結されて間に配設されかつ物品をその中に受容するように構成される物品受容空間が形成される多層フィルムと、
を備え、
前記多層フィルムが、外層と、前記外層および前記基体に設けられた前記紙の非被覆封止面の間に挿入されるスキン層と、を含み、前記スキン層が、熱活性化シール手段を提供するように構成され、
前記スキン層が、所定の温度を超える熱に曝露される間に前記基体に設けられた前記紙の非被覆封止面に結合して、前記スキン層と前記紙の非被覆封止面との間の物品受容空間中に存在する物品を封止し、前記紙の非被覆封止面が前記スキン層に結合されて、封止されたチャンバの中に前記物品受容空間中に存在する物品を保持するように前記物品受容空間を囲む気密シールがそれらの間に確立され、
前記熱活性化シール手段が、前記紙への外部からの紙剥離力の付加に応じて前記基体に含まれる前記紙の非被覆封止面から脱離し、前記紙繊維が前記紙の非被覆封止面から剥離せずかつそれらの紙繊維が前記物品受容空間中に排出されることなく、前記紙の非被覆封止面と前記スキン層との間の結合が破断されて前記紙の非被覆封止面が前記スキン層から剥がれ、その結果、使用者が前記紙の非被覆封止面の少なくとも一部を前記多層フィルムの前記スキン層から剥がして前記物品受容空間の中の物品を利用するときに、前記物品受容空間および前記物品受容空間中の任意の物品が前記紙の非被覆封止面に関連する紙繊維
によって汚染されないことを特徴とするパッケージ。
[請求項17]
前記スキン層が、全フィルムの約5%〜約20%を占め、前記スキン層の約20%〜約80%がポリ−α−オレフィンである、請求項16に記載のパッケージ。
[請求項18]
外層と、少なくとも1つのコア層と、コアと、スキン層とを含む多層可剥性フィルムであって、
前記スキン層が、全フィルムの約5%〜約20%を占め、
前記スキン層の約20%〜約80%がポリ−α−オレフィンである多層可剥性フィルム。
[請求項19]
前記スキン層が、ポリマー、コポリマー、またはそれらの組合せをさらに含む、請求項18に記載の多層可剥性フィルム。
[請求項20]
前記ポリマーがポリエチレンである、請求項19に記載の多層可剥性フィルム。
[請求項21]
前記ポリエチレンが、約3〜約10のメルトインデックスを有する、請求項20に記載の多層可剥性フィルム。
[請求項22]
前記ポリエチレンが、約6のメルトインデックスを有する、請求項18〜21のいずれか一項に記載の多層可剥性フィルム。
[請求項23]
前記ポリ−α−オレフィンがポリブテン−1である、請求項18〜21のいずれか一項に記載の多層可剥性フィルム。
[請求項24]
前記ポリ−α−オレフィンが、約1のメルトインデックスを有する、請求項18〜23のいずれか一項に記載の多層可剥性フィルム。
[請求項25]
前記ポリ−α−オレフィンが、前記スキン層の約40%を占める、請求項18〜24のいずれか一項に記載の多層可剥性フィルム。
[請求項26]
前記スキン層が、全フィルムの約10%を占める、請求項18〜25のいずれか一項に記載の多層可剥性フィルム。
[請求項27]
全フィルムが、厚さ3〜3.5ミルである、請求項18〜26のいずれか一項に記載の多層可剥性フィルム。
[請求項28]
約0.5〜約3.0ポンド/インチの剥離シール強度を有する、請求項18〜27のいずれか一項に記載の多層可剥性フィルム。
[請求項29]
前記スキン層が、滑り成分をさらに含む、請求項18〜28のいずれか一項に記載の多層可剥性フィルム。
[請求項30]
前記スキン層が、粘着防止成分をさらに含む、請求項18〜29のいずれか一項に記載の多層可剥性フィルム。
[請求項31]
前記スキン層が、全フィルムの約10%を占める、請求項18〜30のいずれか一項に記載の多層可剥性フィルム。