特許第6684851号(P6684851)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684851
(24)【登録日】2020年4月1日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】切断工具及び切断機
(51)【国際特許分類】
   A01M 21/02 20060101AFI20200413BHJP
   A01B 1/16 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   A01M21/02
   A01B1/16
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-95704(P2018-95704)
(22)【出願日】2018年5月17日
(65)【公開番号】特開2019-198285(P2019-198285A)
(43)【公開日】2019年11月21日
【審査請求日】2018年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】501340384
【氏名又は名称】秋葉建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091410
【弁理士】
【氏名又は名称】澁谷 啓朗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 孝信
【審査官】 川野 汐音
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/060104(WO,A1)
【文献】 特開平08−090454(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3192458(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3205714(JP,U)
【文献】 特開2000−308424(JP,A)
【文献】 米国特許第01777029(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 1/02− 1/04
A01D 34/84
A01G 3/04− 3/08
A01G 23/00
A01M 1/00−99/00
B25D 11/02−11/04
E02F 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート製等の構造物の細い隙間に生える雑草類を切断して除去する切断工具であって、
衝撃装置に接続するためのシャンク部と、このシャンク部の先端から一体的に延びる軸部と、この軸部の先端に一体的に設けられた刃部と、を具備し、
前記刃部は、表面及び前記構造物の上面と接触するように平面状に形成された裏面を備え、この表面及び裏面の間隔が先端に向かって漸次小さくなって先端に切断刃を有していて、
前記刃部の前記裏面は、前記軸部の軸線に対して後方側から先端にかけて表側に傾斜して延び
前記刃部の幅方向両側端の少なくとも先端部にはそれぞれ、幅方向外側を向いて前後方向に延びている切断補助刃が設けられている、ことを特徴とする切断工具。
【請求項2】
コンクリート製等の構造物の細い隙間に生える雑草類を切断して除去する切断工具であって、
衝撃装置に接続するためのシャンク部と、このシャンク部の先端から一体的に延びる軸部と、この軸部の先端に一体的に設けられた刃部と、を具備し、
前記刃部は、表面及び前記構造物の上面と接触するように平面状に形成された裏面を備え、この表面及び裏面の間隔が先端に向かって漸次小さくなって先端に切断刃を有し、
前記刃部の前記裏面は、前記軸部の軸線に対して後方側から先端にかけて表側に傾斜して延びていて
前記刃部の幅方向両側端の少なくとも先端部にはそれぞれ、補助刃部が一体的に形成され、
前記補助刃部は、前記刃部の前記裏面から延び、前記構造物の上面と接触するように形成された補助裏面を有し、前記補助刃部の先端及び幅方向外端の少なくとも先端側に切断用刃が設けられるように形成された、前記刃部の前記表面から延びる補助表面を備えていて、
前記補助刃部の幅方向外端の前記切断用刃は、幅方向外側を向いて前後方向に延びている、ことを特徴とする切断工具。
【請求項3】
前記補助刃部の前記補助裏面は平面状に形成されている、ことを特徴とする請求項記載の切断工具。
【請求項4】
前記補助刃部の前記補助裏面は、前記軸部の軸線に対して後方側から先端にかけて表側に傾斜して延びている、ことを特徴とする請求項記載の切断工具。
【請求項5】
衝撃装置と、この衝撃装置に前記シャンク部が取り付けられた請求項1乃至請求項のいずれかに記載の切断工具と、を備え、前記衝撃装置から前記切断工具の前記刃部に振動衝撃力が加えられるように構成されている、ことを特徴とする切断機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路肩や中央分離帯などの構造物の隙間、特に道路などに沿って長く生じている隙間に生えた雑草類を除去するのに適した切断工具及びこの切断工具を備えた切断機に関する。
【背景技術】
【0002】
路肩や中央分離帯などに構成されるコンクリート及びアスファルト構造物は、構造物の構成体同士の間に隙間が空かないようにして施工される。しかしながら、コンクリート及びアスファルトは気温の上昇及び降下に応じて膨張及び収縮を繰り返すので、コンクリート及びアスファルト構造物の構成体同士の間には年月が経過すると隙間が発生する。このような隙間はまた、車両から伝わる振動などによっても発生する。そしてコンクリート及びアスファルト構造物に隙間が発生すると、この隙間に雑草類が生えるようになってしまうので、この雑草類を除去することが必要となる。ところが、路肩や中央分離帯のように長く延びるコンクリート構造物又はコンクリート・アスファルト構造物では隙間も長く延びている場合が多いので、通常の草刈具を用いて隙間の雑草類を短期間に除去するのは困難である。
【0003】
ところで、一般的な草刈りを効率的に行うことを目的として、電動回転ハンマーからの振動打撃力を切断具に伝達して草刈りを行う草刈機が開発されている(例えば特許文献1参照)。このような草刈機を用いれば、草の根は刃部の振動によって簡単かつ効率的に切断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−82990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された草刈機は、切断具に振動打撃力を自動的に伝達して草刈りを実行するので、草刈り作業の負担を軽減して草刈り効率を高めるものではあるが、刃部を地面から土の内部に差し込んで雑草類を切断し除去するように切断具が形成されているので、コンクリート及びアスファルト構造物の構成体同士の間の隙間に生えた雑草類を効率よく切断できるようには構成されていない。
【0006】
そこで本発明は、コンクリート等の構造物の構成体同士の間の隙間に生えた雑草類を効率よく切断できる切断工具及び切断機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するための本発明の切断工具は、コンクリート製等の構造物の細い隙間に生える雑草類を切断して除去する切断工具であって、衝撃装置に接続するためのシャンク部と、このシャンク部の先端から一体的に延びる軸部と、この軸部の先端に一体的に設けられた刃部と、を具備し、前記刃部は、表面及び前記構造物の上面と接触するように形成された平面状の裏面を備え、この表面及び裏面の間隔が先端に向かって漸次小さくなって先端に切断刃を有していて、前記刃部の前記裏面は、前記軸部の軸線に対して後方側又は後端から先端にかけて表側に傾斜して延びているものである。本発明の切断工具のシャンク部を衝撃装置に接続し、この衝撃装置を手又は腕で支えて雑草類の切断除去作業を行う。刃部の裏面をコンクリート製等の構造物の上面に全面的に又はほぼ全面的に接触させて切断除去作業を行うと、軸部及びシャンク部は斜め上方に延びるので、無理な作業姿勢をとる必要がない。そして、例えば、衝撃装置から刃部に振動衝撃力を伝達しながら、刃部の裏面を、隙間を跨ぐようにしてコンクリート製等の構造物の上面に全体的に又はほぼ全体的に接触させた状態で構造物の上面に沿ってスライドさせることにより、構造物の構成体同士の間の隙間に生えた雑草類を切断除去することができる。
【0008】
刃部の幅方向両側端の少なくとも先端部にはそれぞれ、切断補助刃を形成しておくことが好ましい。このように構成することにより、コンクリート製等の構造物の角部又は段差部に生えている雑草類を簡単に切断できる。あるいは、刃部の幅方向両側端の少なくとも先端部にそれぞれ、補助刃部を一体的に形成しておき、補助刃部を、刃部の裏面から延び、構造物の上面と接触するように形成された、例えば平面状の補助裏面を有し、補助刃部の先端及び幅方向外端の少なくとも先端側に切断用刃が設けられるように形成された、刃部の表面から延びる補助表面を備えるように構成することもできる。補助刃部の補助裏面は、軸部の軸線に対して後方側又は後端から先端にかけて表側に傾斜して延びるように形成できる。軸部の軸線に対する補助刃部の補助裏面の傾斜角度は、例えば刃部の裏面の傾斜角度と等しく、例えば補助刃部の補助裏面は刃部の裏面と共面又は共平面を形成する。
【0009】
また、この目的を達成するための本発明の切断機は、衝撃装置と、この衝撃装置に前記シャンク部が取り付けられた請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の切断工具と、を備え、前記衝撃装置から前記切断工具の前記刃部に振動衝撃力が加えられるように構成されているものである。衝撃装置は電動式、空圧式又は油圧式とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の切断工具及び切断機を用いれば、コンクリート製等の構造物の細い隙間に生える雑草類を簡単かつきれいに切断して除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る切断機の斜視図である。
図2】本発明に係る切断工具の正面図である。
図3】切断工具の平面図ある。
図4】切断機の使用方法を説明する斜視図である。
図5】切断機の使用方法を説明する正面図である。
図6】切断機の使用方法を説明する平面図である。
図7】切断工具の刃部の好ましい構成を示す図である。
図8】本発明に係る別の切断工具の正面図である。
図9】別の切断工具の側面図である。
図10】別の切断工具の平面図である。
図11】別の切断工具の斜視図である。
図12】別の切断工具を備えた切断機の使用方法を説明する斜視図である。
図13】別の切断工具を備えた切断機の使用方法を説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を図面の参照により説明する。
【0013】
まず、図1を参照して本発明に係る切断機の構成を説明する。
【0014】
切断機1は、取手部3を有し、内蔵のバッテリー(図示せず)で駆動する振動衝撃電動装置5と、この振動衝撃電動装置5の取付部7にシャンク部9(図2参照)が差し込まれて取り付けられた切断工具11と、を備え、振動衝撃電動装置5は矢印X方向の振動衝撃を切断工具11又は刃部19に加えるように構成されている。
【0015】
図2及び図3を参照して切断工具11の形状を説明する。
【0016】
切断工具11は、断面円形の軸部本体13及びこの軸部本体13の先端に一体的に形成された、先端に向かって漸次高さが低くなり、先端部に幅広部を設けた扁平部15を有する軸部17と、この軸部17の後端に一体的に設けられた、振動衝撃電動装置5の取付部7に差し込んで接続するためのシャンク部9と、軸部17の扁平部15の先端に一体的に設けられた刃部19と、を備え、刃部19は薄肉の幅広状に形成され、ほぼ、後側の底辺部(上底部)が先端側の底辺部(下底部)より短い等脚台形状に構成されている。刃部19は、先端に向かって漸次幅が広くなるように形成され、また、先端に向かって漸次厚さが薄くなり、先端に切断刃21を有するように構成されていて、刃部19の裏面23は、平面状に形成され、後端から先端に向かって軸部17(軸部本体13)の軸方向(軸線L)に対してθ1の角度で表側に傾斜して延び、刃部19の表面25は、平面状に形成され、後端から先端に向かって軸部17(軸部本体13)の軸方向(軸線L)に対してθ2の角度で表側に傾斜して延びている。裏面23の軸線Lに対する傾斜角度θ1は20度乃至35度であるのが効果的である。傾斜角度θ1が20度未満であると、刃部19をコンクリート製等の構造物の上面でスライドさせる際に、刃部19の裏面23の後側が持ち上がってしまい、刃部19の切断刃21によりコンクリート製等の構造物の上面を大きく傷付けるおそれがあるし、刃部19が摩耗しやすい。また、裏面23の軸線Lに対する傾斜角度θ1が35度を超えると、刃部19をコンクリート製等の構造物の上面でスライドさせる際に、刃部19の切断刃21が浮き上がってしまい、雑草類を確実に切断できなくなるおそれがある。表面25の軸線Lに対する傾斜角度θ2は10度乃至25度であるのが好ましい。切断工具11は、振動衝撃電動装置5の取手部3の延びる方向と刃部19の切断刃21の延びる方向が垂直又はほぼ垂直となるように振動衝撃電動具5に取り付けられる。
【0017】
図4及び図5を参照して切断機1の使用方法を説明する。
【0018】
刃部19の裏面23を全面的に路肩構造物のコンクリート製構成体27及びアスファルト製構成体29の間の隙間31を跨ぐようにしてコンクリート製構成体27及びアスファルト製構成体29の上面に接触させ、振動衝撃電動装置5を駆動して刃部19に振動を加えながら刃部19をスライド前進させて行くと、コンクリート製構成体27及びアスファルト製構成体29の上面の高さ位置で雑草類Y1を切断して除去することができる。
【0019】
なお、コンクリート製構成体27と路肩構造物のコンクリート製構成体33との間の隙間35に生えた雑草類Y2の切断除去は、刃部19の裏面23をコンクリート製構成体33の上面に全面的に接触させ、かつ、例えば図6で示されているように、刃部19の先端部(切断刃21)の幅方向外端をコンクリート製構成体27の内面37に接触させた状態で、刃部19をコンクリート製構成体33の上面に沿ってスライドさせて行う。雑草類Y2を確実に切断できるように、刃部19の幅方向両側端に、例えば表面を傾斜させて、切断補助刃39を形成しておくことが効果的である(図7参照)。ここでは、切断補助刃39は刃部19の幅方向両側端の全長にわたって形成されている。
【0020】
次に、図8乃至図11を参照して切断工具11の変更例41の形状を説明する。
【0021】
切断工具41は、断面円形の軸部本体13及びこの軸部本体13の先端に一体的に形成された、先端に向かって漸次高さが低くなり、先端部に幅広部を設けた扁平部15を有する軸部17と、この軸部17の後端に一体的に設けられた、振動衝撃電動装置5の取付部7に差し込んで接続するためのシャンク部9と、軸部17の扁平部15の先端に一体的に設けられた切刃部43と、を備え、切刃部43は切刃本体45(刃部)とこの切刃本体45の先端部の幅方向両側端にそれぞれ、一体的に突出形成された補助刃部47とを有している。切刃本体45は薄肉の幅広状に形成され、ほぼ、後側の底辺部(上底部)が先端側の底辺部(下底部)より短い等脚台形状に構成されている。切刃本体45は、先端に向かって漸次幅が広くなるように形成され、また、先端に向かって漸次厚さが薄くなり、先端に切断刃49を有するように構成されていて、切刃本体45の裏面51は、後端から先端に向かって軸部17(軸部本体13)の軸方向(軸線)に対して20度乃至35度の角度で表側に傾斜して延び、切刃本体45の表面53は、後端から先端に向かって軸部17(軸部本体13)の軸方向(軸線)に対して10度乃至25度の角度で表側に傾斜して延びている。
【0022】
それぞれの補助刃部47の裏面55は、切刃本体45の裏面51と共面又は共平面を形成するように裏面51を側方に延長して形成され、後端から先端に向かって裏面51と同一の角度で表側に傾斜して延びている。また、補助刃部47の表面57は、補助刃部47の先端に補助切断刃59が設けられ、補助刃部47の幅方向外端の先端側に補助切断刃61が形成されるように、切刃本体45の表面53から側方に延びている。補助刃部47の先端の補助切断刃59は切断刃49を直線状に延長するように形成され、補助刃部47の表面57の幅方向外側は、補助切断刃61が形成されるように幅方向外側に向かって裏側に傾斜している。
【0023】
切断工具41は、振動衝撃電動装置5の取手部3の延びる方向と切断刃49の延びる方向が垂直となるように振動衝撃電動具5に取り付けられる。
【0024】
図12及び図13を参照して切断工具41を備えた切断機1の使用方法を説明する。
【0025】
雑草類Y2の切断除去は、切刃部43の裏面51、55をコンクリート製構成体33の上面に全面的に接触させ、切刃部43に設けられている補助刃部47の外側端の補助切断刃61をコンクリート製構成体27の内面37に接触させた状態で、振動衝撃電動装置5を駆動して切刃部43に振動を加えながら切刃部43をコンクリート製構成体33の上面に沿ってスライドさせて行う。なお、雑草類Y1の切断除去は、切断工具3を有する切断機1と同じようにして行うことができる。
【符号の説明】
【0026】
1 切断機
5 振動衝撃電動装置
9 シャンク部
11、41 切断工具
13 軸部
19 刃部
21、49 切断刃
23、55 裏面
25、53 表面
45 切刃本体(刃部)
Y1 雑草類
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13