(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「考案の詳細な説明」に、以下の点が記載されている。
【0003】
「この考案はホームパーティセット用包装容器に関し、更に詳述すれば、ホームパーティ用冷凍食品等を収納すると共に、これらを収納する容器本体を閉蓋すべき蓋体内に説明書、ナイフ、フォーク、装飾用品等の小物を収納すべきスペースを確保した断熱性包装容器を提供しようとしている。
【0004】
従来、加工食品、精肉、魚介類等の冷凍食品を消費者が持ち帰るための包装容器としては、合成樹脂の発泡体からなるものが、断熱性、軽量性、廉価性等の点で優れているので、好適なものとされて広く用いられている。このような包装容器にスープ、メインディッシュ、デザート等の洋風フルコースの冷凍食品を蓄冷剤と共に収納したものは、消費者がこれを家庭へ持ち帰って家庭用冷凍庫に保存しておけば、いつでも気楽にホームパーティを開くことができ、またその使用後の包装容器はレジャー用クーラーボックスとして再利用できる等、その実用的価値は極めて高い。
【0005】
このようなホームパーティセット用包装容器においては、前記洋風フルコース用冷凍食品を収納すべきスペースのほかに説明書、ナイフ、フォーク、装飾用品等の小物を収納すべきスペースを確保しておいた方が好都合である。
【0006】
そこでこの考案においては、上記ホームパーティ用包装容器として、断熱性、軽量性、廉価性等の点で優れていると共に、冷凍食品の収納スペース以外に小物の収納スペースを確保したものを提供することが目的である。
【0007】
そしてこの考案に係るホームパーティセット用包装容器は、合成樹脂の発泡体又はこれを主体として容器本体及び蓋体が形成され、該蓋体の裏面側に設けた凹所には、着脱自在な中蓋を嵌合させることによって蓋体内に収納用空隙が形成されるようになし、該中蓋には裏面側に把持用突出部が形成されてあり、更に容器本体に輪状の吊り下げ用紐帯が敷設され、該輪状の紐帯は、容器本体の相対向する側壁の縦中央部外側に夫々形成された紐帯通し孔及び紐帯掛止溝にて係止された上で容器本体の底面に掛け回されるように形成してあることを特徴としている。」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述のホームパーティセット用包装容器は、蓋体の裏面側に設けた凹所に着脱自在な中蓋を嵌合させることにより、蓋体内に冷凍食品の収納スペース以外に収納用空隙が形成される。すなわち、中蓋を嵌合させても、冷凍食品の収納スペースを分割することはできず、また、中蓋を取り外しても、収納スペースを一体化することができない、という問題があった。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、収納部(収納スペース)を分割したり、一体化したりすることができるクーラーボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明は、クーラーボックスにおいて、物品を収納する収納部を内側に有し、前記物品を前記収納部に出し入れする開口部を前記収納部の上端に有する発泡体製のボックス本体と、前記開口部を開閉する発泡体製の外蓋と、前記収納部の所定高さに取り付けられて、前記収納部を上段と下段とに分割する内蓋と、を備え、前記内蓋は、着脱自在な発泡体製の複数の仕切りによって構成
され、前記複数の仕切りは、上面に、横向きに置いた円筒状の缶類の不要な動きを規制するスリットを有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、クーラーボックスは、その全体が発泡体製なので、全体を軽く仕上げることができる。また、収納部は、内蓋を構成する複数の仕切りが所定高さに取り付けられることにより、この仕切りを境として上段と下段とに分割されるので、クーラーボックスを種々の形態で使用することができる。
【0013】
例えば、複数の仕切りを所定高さに取り付けることにより、収納部を上段と下段とに分けて、それぞれ異なるもの、例えば、外蓋を開けることで直ちにアクセスできる上段には、缶類の飲み物を収納し、下段には必要時以外は、アクセスが不要な肉類や野菜類等を収納することができる。
【0014】
また、内蓋が複数の仕切りによって構成されているので、複数の仕切りのうちの何枚か(実施形態では、2枚の仕切りのうちの1枚)を所定高さから取り外すことにより、下段に収納した物品を簡単に取り出すことができる。
また、複数の仕切りをすべて所定高さから取り外すことにより、収納部全体を上段及び下段に分割することなく、一体化して使用することができる。
また、複数の仕切りは、上面に、横向きに置いた円筒状の缶類の不要な動きを規制するスリットを有するので、例えば、クーラーボックスを肩ベルトを介して、肩から吊るした場合でも、スリットにより、横向きに置いた円筒状の缶類の不要な動きを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を適用した実施形態を、図面に基づいて詳述する。なお、各図面において、同じ符号を付した部材等は、同一又は類似の構成のものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略している。
<実施形態1>
図1〜
図13を参照して本発明を適用した実施形態1に係るクーラーボックス1について説明する。
【0017】
ここで、
図1は、外蓋20の上面の凹状保持部21で仕切り31を保持し、肩ベルト40を取り付けた状態のクーラーボックス1の平面斜視図であり、
図2は、同じく底面斜視図である。また、
図3は、外蓋20の上面の凹状保持部21で仕切り31を保持し、肩ベルト40を取り外した状態のクーラーボックス1の平面図であり、
図4は、同じく底面図、
図5は、同じく正面図、そして、
図6は、同じく右側面図である。また、
図7は、
図3のA−A線矢視図であり、
図8は、
図3のB−B線矢視図である。
なお、以下の説明では、
図1〜
図4中に矢印で示す上下前後左右が、クーラーボックス1の上下前後左右に対応するものとして説明する。
【0018】
クーラーボックス1は、
図1、
図2に示すように、ボックス本体10、外蓋20、内蓋30、及び肩ベルト40を備えて構成されている。なお、上述の肩ベルト40のないものも、クーラーボックス1というものとする。
【0019】
ボックス本体10は、
図7、
図8に示すように、物品(不図示)を収納する収納部11を内側に有し、物品を収納部11に出し入れする開口部12を収納部11の上端に有している。なお、本実施形態のクーラーボックス1は、収納部11に対して、物品を収納するとともに、保冷剤(不図示)を入れることにより、クーラーボックスとして作用するものである。
【0020】
収納部11は、
図4、
図7、
図8に示すように、前後左右の4個の側部13、すなわち前側部13a、後側部13b、左側部13c、右側部13d、及び底部14で囲まれたほぼ直方体状の空間となっている。
【0021】
ここで、
図13は、内蓋30及び外蓋20を取り外した(取り除いた)状態のクーラーボックス1の平面図である。つまり、
図13は、ボックス本体10を上から見た図である。
【0022】
収納部11には、
図7、
図8、
図13に示すように、所定高さHの複数の台座15が形成されている。複数の台座15は、4個の側部13の中央及び両端から内側に突出するように形成されている。すなわち、複数の台座15は、前側部13a及び後側部13bの左右方向の中央、また、左側部13c及び右側部13dの前後方向の中央から内側に少し突出するように形成されている。さらに、複数の台座15は、前側部13a及び後側部13bの左右方向の両端、また、左側部13c及び右側部13dの前後方向の両端から内側に少し突出するように形成されている。これら複数の台座15の上面15aは、所定高さHとなっている。これら上面15aには、
図10、
図11に示すように、後述する仕切り31が着脱自在に載せられる。収納部11は、この所定高さHに取り付けた仕切り31によって、上段11aと下段11bとに分割されている。
【0023】
4個の側部13の内面13Aのうち、下段11bに対応する部分は、底部14に対してほぼ垂直に形成され、また、上段11aに対応する部分は、上側ほど少し開いたテーパ状に形成されている。このようにテーパ状に形成することより、内蓋30としての仕切り31の着脱を容易にしている。また、このテーパ状の部分のうち、左側部13cと右側部13dの中央に対応する部分には、指ガイド16が形成されている。この指ガイド16は、テーパ状の部分をさらに削っていて、仕切り31の着脱を、さらに容易にしている。なお、仕切り31については、後に詳述する。
【0024】
図8に示すように、4個の側部13の外面13Bのうち、左側部13c及び右側部13dの外面13Bには、肩ベルト溝17が形成されている。また、底部14の底面14aにも肩ベルト溝17が形成されている。これら肩ベルト溝17は、左側部13c、底部14、及び右側部13dのそれぞれの前後方向の中央に形成され、全体として「コ」字形に連続している。さらに、左側部13cの肩ベルト溝17及び右側部13dの肩ベルト溝17の上端に対応して、それぞれ肩ベルト孔18が形成されている。
【0025】
図4に示すように、4個の側部13の外面13Bのうち、前側部13a及び後側部13bの外面13Bは、底面視(平面視)において、外側に向かって凹状の曲面に形成されている。つまり、前側部13a及び後側部13bは、外面13Bの左右方向の中央が、内側に凹んでいる。このように、肩ベルト40を肩に掛けたときに、クーラーボックス1の人に当たる外面13Bが凹んでいるため、このクーラーボックス1を持ちやすくなっている。
【0026】
さらに、
図13に示すように、前側部13a及び後側部13bの上端における左右方向の中央には、後に説明する外蓋20を開ける際に指を入れる切り欠き19が形成されている。
【0027】
ここで、
図9は、仕切り31を内蓋30として使用し、肩ベルト40を取り外した状態のクーラーボックス1の平面図である。また、
図10は、
図9のA−A線矢視図であり、
図11は、
図9のB−B線矢視図である。また、
図12は、仕切り31を内蓋30として使用し、外蓋20を取り外した状態のクーラーボックス1の平面図である。
【0028】
開口部12は、収納部11の上端、すなわち4個の側部13の上端において、上方に向かって開口している。この開口部12は、物品を収納部11に出し入れするための出し入れ口として使用される。
以上、説明したボックス本体10は、全体が発泡体、例えば発泡スチロールによって形成されている。
【0029】
外蓋20は、ボックス本体10の開口部12を開閉する。外蓋20は、
図7、
図8に示すように、ボックス本体10の開口部12に上方から嵌り込むことにより、開口部12を覆い、また、ボックス本体10の切り欠き19に指を入れることにより、開口部12を開放することができる。外蓋20は、上面に、収納部11の所定高さHから取り外した複数の仕切り31を保持する凹状保持部21を有している。凹状保持部21は、周囲が額縁状に高くなり、この額縁状に高くなった部分は、複数の仕切り31よりも少し浅く形成されている。凹状保持部21は、ボックス本体10の肩ベルト孔18に対応する部分に切り欠き部22を有していて、凹状保持部21に対する仕切り31の着脱を容易にしている。外蓋20の前側の外周縁及び後側の外周縁は、上述のブロック本体10の前側部13a及び後側部13bと同様、左右方向の中央が凹んでいる。
上述した外蓋20は、発泡体、例えば発泡スチロールによって形成されている。
【0030】
内蓋30は、ボックス本体10の収納部11の所定高さHに取り付けられて、収納部11を上段11aと下段11bとに分割する。本実施形態では、内蓋30は、2枚の仕切り31によって構成されている。これら仕切り31は、所定高さHから取り外されて外蓋20の凹状保持部21に取り付ける(嵌め込む)ことができる。仕切り31は、左右方向の寸法が、凹状保持部21の左右方向の寸法の2分の1であり、前後方向の寸法が、凹状保持部21の前後方向の寸法と同じに設定されている。また、2枚の仕切り31を、台座15の上面15aに乗せたときに、この2枚の台座15により、収納部11の下段11bをほぼ覆うようになって、内蓋30として作用している。
【0031】
このように、1枚の仕切り31は、その前後方向の長さが、外蓋20の凹状保持部21の前後方向の寸法と同じに設定され、また、ボックス本体10の前側部13aの内面13Aと後側部13bの内面13A間の距離とほぼ等しくなっている。したがって、仕切り31は、2枚ともが凹状保持部21に嵌め込まれた場合、2枚ともが台座15の上面15aに置かれて内蓋30として使用される場、また、1枚が凹状保持部21に嵌め込まれて他の1枚が台座15の上面15aに置かれた場合のいずれも、ボックス本体10が前後方向に縮められるのを防止する強度部材として作用する。
【0032】
図8、
図11、
図12に示すように、仕切り31には、指掛け部32が形成されている。指掛け部32は、左の仕切り31には、左端縁の中央に、また、右の仕切り31には、右端縁の中央に形成されている。指掛け部32は、仕切り31の厚さ方向(上下方向)を貫通する指入れ部32aと、指入れ部32aの厚さ方向の途中から内側に窪んだ指先入れ部32bとにより、仕切り31の厚さ方向の上側に凸部として形成されている。このように、仕切り31の厚さ方向の上側を指掛け部(凸部)32とし、下側を凹部に形成することができる。これにより、
図10、
図11に示すように、指先が仕切り31の裏面側にまで至らなくても指先を指掛け部32に引っかけることができるので、仕切り31が
図11に示すように、所定高さHに嵌っている場合でも、比較的簡単にこれを取り外すことができる。
【0033】
仕切り31は、上面に、横向きに置いた円筒状の缶類の不要な動きを規制するスリット33を有している。本実施形態では、各仕切り31は、それぞれ4個のスリット33が形成されている。各スリット33は、凹状に形成されていて、例えば、500ミリリットルの円筒状の缶類を横向きに置いた際に、この缶類の外周面がスリット33の両側のエッジ33aに当たるようになっている。これにより、この缶類の不要な動きを規制することができる。
上述した内蓋30は、仕切り31が発泡体、例えば発泡スチロールによって形成されている。
【0034】
肩ベルト40は、
図1、
図2に示すように、ボックス本体10の底部14、左側部13c、及び右側部13dの外面に形成された肩ベルト溝17に係合され、また、肩ベルト孔18に通されている。肩ベルト40は、このようにボックス本体10を下方から支えるように配置されている。肩ベルト40は、肩ベルト溝17に「コ」字形に掛けられ、さらに肩ベルト孔18に通されている。
ここで、以上説明したクーラーボックス1の効果について整理する。ただし、一部、ダブル記載もある。
【0035】
・クーラーボックス1は、物品を収納する収納部11を内側に有し、物品を収納部11に出し入れする開口部12を収納部11の上端に有する発泡体製のボックス本体10と、開口部12を開閉する発泡体製の外蓋20と、収納部11の所定高さHに取り付けられて、収納部11を上段11aと下段11bとに分割する内蓋30とを備え、内蓋30は、着脱自在な発泡体製の複数の仕切り31によって構成されている。
【0036】
これにより、クーラーボックス1全体が発泡体製なので、全体を軽く仕上げることができる。また、収納部11は、内蓋30を構成する複数の仕切り31が所定高さHに取り付けられることにより、この仕切り31を境として上段11aと下段11bとに分割されるので、クーラーボックス1を種々の形態で使用することができる。
【0037】
例えば、複数の仕切り31を所定高さHに取り付けることにより、収納部11を上段11aと下段11bとに分けて、それぞれ異なるもの、例えば、外蓋20を開けることで直ちにアクセスできる上段11aには、缶類の飲み物を収納し、下段11bには必要時以外は、アクセスする必要のない肉類や野菜類等を収納することができる。
【0038】
また、内蓋30が複数の仕切り31によって構成されているので、複数の仕切り31のうちの何枚か(実施形態では、2枚の仕切り31のうちの1枚)を所定高さHから取り外すことにより、下段11bに収納した物品を簡単に取り出すことができる。
【0039】
また、複数の仕切り31をすべて所定高さHから取り外すことにより、収納部11全体を上段11a及び下段11bに分割することなく、一体として使用することができる。
・複数の仕切り31は、上面に、横向きに置いた円筒状の缶類の不要な動きを規制するスリット33を有する。
【0040】
これにより、例えば、クーラーボックス1を肩ベルト40を介して、肩から吊るした場合でも、スリット33により、横向きに置いた円筒状の缶類の不要な動きを防止することができる。
・外蓋20は、上面に、所定高さHから取り外した複数の仕切り31を保持する凹状保持部21を有している。
これにより、所定高さHから取り外した複数の仕切り31を、外蓋20と一体に保持することができるため、仕切り31のみを紛失することがない。
・ボックス本体10は、底部14、左側部13c、及び右側部13dの外面に、肩に掛ける肩ベルト40が係合する肩ベルト溝17を有している。
これにより、全体が発泡体製で比較的弱いクーラーボックス1を、肩ベルト40によって下方から支持することができる。
・ボックス本体10は、前側部13a及び後側部13bの外面13Bのうちの少なくとも一方が、平面視において外側に向かって凹状の曲面に形成されている。
これにより、肩ベルト40によってクーラーボックス1を吊るしたときに、前側部13a又は後側部13bが人に当たりにくくすることができる。