特許第6684885号(P6684885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6684885
(24)【登録日】2020年4月1日
(45)【発行日】2020年4月22日
(54)【発明の名称】回路カード部品と追加処理ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/467 20060101AFI20200413BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20200413BHJP
【FI】
   H01L23/46 C
   H05K7/20 D
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-210705(P2018-210705)
(22)【出願日】2018年11月8日
(65)【公開番号】特開2019-145777(P2019-145777A)
(43)【公開日】2019年8月29日
【審査請求日】2018年11月8日
(31)【優先権主張番号】15/903,465
(32)【優先日】2018年2月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508018934
【氏名又は名称】廣達電腦股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Quanta Computer Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】特許業務法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 朝榮
(72)【発明者】
【氏名】陳 逸傑
(72)【発明者】
【氏名】蔡 明鴻
(72)【発明者】
【氏名】陳 仁茂
【審査官】 正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−152886(JP,A)
【文献】 特開平01−215098(JP,A)
【文献】 特開2016−178208(JP,A)
【文献】 特開2003−046279(JP,A)
【文献】 特開2012−059741(JP,A)
【文献】 国際公開第02/049106(WO,A1)
【文献】 特開平02−144998(JP,A)
【文献】 特開2011−181882(JP,A)
【文献】 米国特許第08154869(US,B2)
【文献】 中国実用新案第206441100(CN,U)
【文献】 中国特許出願公開第106304768(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/467
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端と、後端と、前記前端と前記後端との間を接続する縦方向のエッジと、前記縦方向のエッジから延出するバスコネクタとを有する回路カードと、
前記回路カードの第1の表面に配置され、前記後端から前記前端まで前記回路カードの前記第1の表面に沿う気流流路に実質的に垂直に配置される複数の素子と、
個別に前記複数の素子に設けられ、第1のヒートシンク構造を備え、前記第1のヒートシンク構造は前記後端と他のヒートシンク構造との間に配置される複数の空冷ヒートシンク構造と、
を備え、
前記空冷ヒートシンク構造の各々は、複数の抵抗領域を含み、前記抵抗領域が直列に配置され且つ前記気流流路に実質的に垂直になり、前記抵抗領域が第1の空気抵抗を有する第1の抵抗領域及び前記第1の空気抵抗よりも小さい第2の空気抵抗を有する第2の抵抗領域を含み、前記空冷ヒートシンク構造の1つにおける前記第1の抵抗領域が気流流路に沿って、前記空冷ヒートシンク構造の別の1つにおける前記第1の抵抗領域と重ならないように、前記空冷ヒートシンク構造における抵抗領域が揃えられ
前記第1のヒートシンク構造の前記第2の抵抗領域は前記第1のヒートシンク構造の前記第1の抵抗領域と前記縦方向のエッジとの間に配置されている、回路カード部品。
【請求項2】
前記複数の空冷ヒートシンク構造の各々は、複数のフィンを含む請求項1に記載の回路カード部品。
【請求項3】
前記第1の抵抗領域における前記フィンの一部の間隔は、前記第2の抵抗領域における前記フィンの一部の間隔よりも小さい請求項2に記載の回路カード部品。
【請求項4】
前記複数の空冷ヒートシンク構造の各々における前記第1の抵抗領域を通る気流が、前記気流流路に沿う第1の方向に実質的に等しくなるように、前記複数の空冷ヒートシンク構造における抵抗領域が揃えられている、請求項1〜3の何れか1項に記載の回路カード部品。
【請求項5】
前記複数の空冷ヒートシンク構造は、前記気流流路に垂直な方向に実質的に同じ幅を有する請求項1〜4の何れか1項に記載の回路カード部品。
【請求項6】
前記複数の空冷ヒートシンク構造は、前記気流流路に沿って互いに実質的に重なる請求項1〜5の何れか1項に記載の回路カード部品。
【請求項7】
前端と、後端と、前記前端と前記後端との間を接続する縦方向のエッジと、前記縦方向のエッジから延出するバスコネクタとを有する回路カードと、
気流流路に沿って直列に前記回路カードの第1の表面に配置される第1のプロセッサー及び第2のプロセッサーと、
前記第1のプロセッサーに設けられる第1のヒートシンク構造と、
前記第2のプロセッサーに設けられる第2のヒートシンク構造と、
を備え、
前記第1のヒートシンク構造は前記後端と前記第2のヒートシンク構造との間に配置され、
各前記第1のヒートシンク構造と各前記第2のヒートシンク構造とは、前記気流流路に実質的に垂直になるように配置される第1の抵抗領域と第2の抵抗領域を少なくとも含み、
前記第1の抵抗領域が第1の空気抵抗を有し、且つ前記第2の抵抗領域が前記第1の空気抵抗よりも小さい第2の空気抵抗を有し、
前記第1のヒートシンク構造における前記第1の抵抗領域が前記気流流路に沿って、前記第2のヒートシンク構造における前記第1の抵抗領域と重ならず、
前記第1のヒートシンク構造の前記第2の抵抗領域は前記第1のヒートシンク構造の前記第1の抵抗領域と前記縦方向のエッジとの間に配置されている追加処理ユニット。
【請求項8】
前記第1のヒートシンク構造と前記第2のヒートシンク構造との各々は、複数のフィンを含む請求項7に記載の追加処理ユニット。
【請求項9】
前記第1のヒートシンク構造と前記第2のヒートシンク構造とは、前記気流流路に垂直な方向に実質的に同じ幅を有する請求項7〜8の何れか1項に記載の追加処理ユニット。
【請求項10】
前記第1のヒートシンク構造と前記第2のヒートシンク構造とは、前記気流流路に沿って互いに実質的に重なる請求項7〜9の何れか1項に記載の追加処理ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンピューティングシステム素子の冷却に関し、より詳しくは、コンピューティング装置における複数の素子の双方向及び均一な冷却のシステムや方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピューティング装置を含む電子機器の分野において、代表的には、素子を小さくすると共に、同じ又は改善された性能を提供する傾向がある。これは、ほとんどの場合、装置の密度が増加することを意味する。しかしながら、装置の密度が増加するにつれて、電力密度も増加する。それに対して、高い電力密度により、放熱及び温度制御の問題が増える可能性がある。場合によっては、温度制御の問題が非常に深刻になることがある。例えば、「シャドー」という配置を有する(素子が気流に沿って直列に配置される)高電力チップセットを有するコンピューティング装置では、そのような状況により過熱の問題になる可能性がある。具体的には、第1の上流素子(気流に沿う)が適切に冷却されるが、後の下流素子(気流に沿う)が適切に冷却されないことがある。その理由は、空気が第1の素子によって加熱されると、第2の素子からの熱を吸収する空気の能力が制限されるからである。
【0003】
従来的に、この問題は、気流抵抗のバランスを取るために、異なる上流及び下流ヒートシンクを使用することで解決される。具体的には、より多くの空気を下流のヒートシンクに到達させるように、空気の流れ抵抗が低い上流のヒートシンクを使用する。このように、下流のヒートシンクに到達する空気は、温度が向上する可能性があるが、依然として余分な熱を吸収するのに十分な能力を有する。また、下流のヒートシンクは、空気がより長く滞在し、より多くの熱を吸収できるように、より高い気流抵抗で構成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成は、中間的なやり方であり、下流素子の冷却効率を改善するために上流素子の冷却効率を犠牲してしまう。さらに、このような構成は、単方向的なものである。従って、この解決法を実施するコンピューティング装置は、気流が正しい方向にあることを保証するために、互換性のある換気システムと組み合わせなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態は、コンピューティング装置における複数の素子の双方向及び均一な冷却のシステムや方法に関する。
一実施形態によれば、回路カードと、回路カードの第1の表面に配置され、(それぞれが二つ以上の抵抗領域をわたるように)実際に回路カードの第1の表面に沿う気流流路に垂直に配置される複数の素子と、個別に複数の素子に設けられる 複数の空冷ヒートシンク構造と、を備え、複数の空冷ヒートシンク構造の各々は、複数の抵抗領域を含み、抵抗領域が直列に配置され且つ気流流路に実際に垂直になり、抵抗領域が第1の空気抵抗を有する第1の抵抗領域及び第1の空気抵抗よりも小さい第2の空気抵抗を有する第2の抵抗領域を含み、空冷ヒートシンク構造の1つにおける第1の抵抗領域が気流流路に沿って、空冷ヒートシンク構造の別の1つにおける第1の抵抗領域と重ならないように、空冷ヒートシンク構造における抵抗領域が揃えられている、回路カード部品を提供する。
【0006】
一実施例において、複数の空冷ヒートシンク構造の各々は、複数のフィンを含んでよい。また、第1の抵抗領域におけるフィンの一部の間隔は、第2の抵抗領域中フィンの一部の間隔よりも小さくてよい。
【0007】
一実施例において、複数の空冷ヒートシンク構造の各々の第1の抵抗領域を流れる気流が、気流流路に沿う第1の方向に実際に等しくなるように、複数の空冷ヒートシンク構造における複数の抵抗領域が揃えられる。また、空冷ヒートシンク構造の各々の第1の抵抗領域を流れ且つ第1の方向と対向する第2の方向に沿う別の気流が、実際に第1の方向の気流に等しくなるように、複数の空冷ヒートシンク構造における複数の抵抗領域が揃えられる。
【0008】
一実施例において、複数の空冷ヒートシンク構造は、気流流路に垂直な方向に実際に同じ幅を有してよい。また、複数の空冷ヒートシンク構造は、気流流路に沿って実際に互いに重なってよい。
【0009】
別の実施形態によれば、回路カードと、気流流路に沿って回路カード表面における第1の表面に直列に配置される第1のプロセッサー及び第2のプロセッサーと、第1のプロセッサーに設けられる第1のヒートシンク構造と、第2のプロセッサーに設けられる第2のヒートシンク構造と、を備え、第1のヒートシンク構造と第2のヒートシンク構造とは、気流流路に実際に垂直になるように配置される第1の抵抗領域と第2の抵抗領域を少なくとも含み、第1の抵抗領域が第1の空気抵抗を有し、且つ第2の抵抗領域が第1の空気抵抗よりも小さい第2の空気抵抗を有し、第1のヒートシンク構造における第1の抵抗領域が気流流路に沿って、第2のヒートシンク構造における第1の抵抗領域と重ならない追加処理ユニットを提供する。
【0010】
一実施例において、第1のヒートシンク構造と第2のヒートシンク構造との各々は、複数のフィンを含んでよい。また、第1の抵抗領域における複数のフィンの一部の間隔は、第2の抵抗領域における複数のフィンの一部の間隔よりも小さくてよい。
【0011】
一実施例において、ヒートシンク構造の各々の第1の抵抗領域を流れる気流は、気流流路に沿う第1の方向に実際に等しい。また、ヒートシンク構造の各々の第1の抵抗領域を流れ且つ第1の方向と対向する第2の方向に沿う別の気流が、実際に第1の方向の気流に等しくなるように、第1のヒートシンク構造と第2のヒートシンク構造における複数の抵抗領域が揃えられる。
【0012】
一実施例において、第1のヒートシンク構造と第2のヒートシンク構造とは、気流流路に垂直な方向に実際に同じ幅を有してよい。
【0013】
一実施例において、第1のヒートシンク構造と第2のヒートシンク構造とは、気流流路に沿って実際に互いに重なる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】各実施形態によるヒートシンク構造を使用するように配置される回路カード部品を示す模式図である。
図2図1の切断線2−2に沿う回路カード部品を示す断面図である。
図3】各実施形態による回路カード部品を示すシミュレーションモデルである。
図4A】従来のヒートシンク構造を有する回路カード部品を示すシミュレーション結果である。
図4B図3の回路カード部品を示すシミュレーション結果である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明を説明するが、添付図面において同一の番号で類似又は等しい素子を指定する。添付図面は、比例して描かれたものではなく、単に本発明を説明するために提供される。以下、説明用の示例を参照して、本発明の複数の態様を説明する。注意すべきなのは、以下、本発明を全面的に理解させるために、数多くの具体的な細部、関係及び方法を述べる。しかしながら、当業者であれば、一つ又は複数の具体的な細部がなくても又は他の方法を利用せずに本発明を実施することもできることは、容易に見分ける。他の実施例において、本発明を不明にしないように、既知の構造や操作は詳しく示されていない。ある動作が異なる順序で発生し及び/又は他の動作や事象と同時に発生する場合があるため、本発明は、動作や事象の説明順序により制限されない。また、示された全ての動作や事象の何れも本発明の方法に基づいて実施されるわけでもない。
【0016】
上記のように、シャドー配置に高電力チップセットを有するコンピューティング装置の従来の冷却技術は、いくつかの問題がある。各種の実施形態は、シャドー配置の複数の素子と共に使用するための新しいヒートシンク構造を提供することで、これらの問題を軽減する。このように、従来のヒートシンク装置に対して冷却が改善されると共に、複数の方向の気流が可能になる。以下、図1を参照して、各種の実施形態の構造を説明する。
【0017】
図1は、本発明の一つ又は複数の実施例においてヒートシンク構造を使用する回路カード部品100を示す模式図である。図1に示すように、回路カード部品100は、実際的に平面である回路カード102を備える。回路カード102は、前端102A、後端102B、第1の縦方向のエッジ102C、第2の縦方向のエッジ102Dを有する。回路カード部品100において、縦方向のエッジ102Cと縦方向のエッジ102Dとは、実際に互いに平行である。回路カード102は、縦方向のエッジ102Cと縦方向のエッジ102Dから延出する少なくとも1つのバスコネクタ104を含んでよい。図1の例示的な配置において、バスコネクタ104は、縦方向のエッジ102Dから延出し、且つ実際に回路カード102の平面に平行である。回路カード部品100は、回路カード102に取り付けられるブラケット構造106を更に備えてよい。
【0018】
図1におけるバスコネクタ104は、高速周辺機器相互接続(Peripheral Component Interconnect Express;PCIe)バスとして示される。しかし、各種の実施形態は、これに限定されない。各種の実施形態において、他の如何なるコンピュータバスを制限されずに使用してもよい。
【0019】
回路カード102は、例えば、如何なる既知のプロセスで製造されたプリント回路基板(printed circuit board;PCB)であってもよい。しかしながら、各種の実施形態はこれに限定されない。それに対して、プリント回路基板の代わりに、各種の電子素子を機械的に支持し及び電気的に接続するための基板や他の実際的に平面である構造を形成するための他の如何なる技術を使用してもよい。
【0020】
ある実施例において、各種の実施形態の追加のユニットについて図面で説明する。しかしながら、各種の実施形態はこれに限定されない。それに対して、本明細書で説明する技術は、マザーボード又はコンピューティング装置で使用される如何なる他のタイプの回路基板を含む、任意の他のタイプの回路カード部品と共に使用してもよい。
【0021】
図1に示すように、回路カード102は、2つ以上のプロセッサー110i(ただし、i=1…m且つm≧2)を支持するように配置される。これらは、グラフィックス処理ユニット(graphics processing units;GPUs)又は如何なる他のタイプのユニットであってよい。また、回路カード部品100は、例えばスイッチ素子、メモリ素子、入出力(I/O)コネクタ及び他の制御素子のような追加素子(未図示)を含んでよい。しかしながら、各種の実施例によるコンピューティング装置は、上記の素子に限定されず、図1に示すものより多い又は少ない素子を含んでよい。
【0022】
上記の素子に加え、回路カード部品100は、複数のヒートシンク構造120i(ただし、i=1…m且つm≧2)を含む。各ヒートシンク構造120iとプロセッサー110iにおける1つは互いに関連する。各種の実施例において、各ヒートシンク構造120iは、パッシブ式空冷ヒートシンクからなる。例えば、従来のヒートシンク設計において、各ヒートシンク構造120iは、ベース(図1に図示せず)から延出する複数のフィン、ロッド又は如何なる他のタイプの冷却素子を含んでよい。動作において、これらの冷却素子は、空気が冷却素子の間を通って、更に冷却素子からの熱エネルギーを吸収することを可能にするように配置される。
【0023】
しかしながら、従来のヒートシンク構造と異なり、冷却素子の配置は、プロセッサー110iの冷却が改善されるように配置される。また、冷却素子の配置は、1つ以上の方向の気流に対応する。図2は、切断線2−2に沿う回路カード部品100を示す断面図である。図1に示すように、切断線2−2は、プロセッサー1101における1つ目と互いに関連するヒートシンク構造1201を通るようにガイドされる。
【0024】
図2に示すように、ヒートシンク構造1201は、プロセッサー1101と熱接触するベース122を含んでよい。これは各種の形態によって実現される。例えば、ある特定の実施例において、ベースは、接着剤あるいは1つ又は複数の固定具を使用してプロセッサ1101に取り付けられる、高い熱伝導性の金属又はセラミック材料であってもよい。しかしながら、ヒートシンク構造を被冷却素子に取り付けるための任意の方法は、限定されずに各種の実施形態において使用することができる。
【0025】
各種の実施例において、冷却素子は、ヒートシンク構造1201の幅にわたって一連の抵抗領域124i(ただし、i=1…n且つn≧2)を提供するように配置されてよい。より具体的に、各種の実施例において、各抵抗領域における冷却素子は、少なくとも1つの第1の抵抗領域及び第2の抵抗領域において、異なる気流抵抗を設けるように配置される。これは、異なる抵抗領域のヒートシンク構造1201にわたる冷却素子のサイズ、数及び/又は間隔によって実現されてよい。従って、ある抵抗領域は、他の抵抗領域よりも大きい又は小さい気流抵抗を提供することができる。この形態により、空気は、ヒートシンク構造1201の特定部分を高速に通り且つ他の部分を通ってゆっくり移動することができる。例えば、図2に示すように、抵抗領域1241における冷却密度は、124nにおける冷却密度よりも高く、更にそれぞれ高気流抵抗及び低気流抵抗領域を提供することができる。
【0026】
冷却素子が異なる抵抗領域における配置の結果として、ヒートシンク構造1201から離れる(且つ次のヒートシンク構造に続く)空気は、少なくとも2つの異なる温度の組成を有する空気からなる。第1の部分は、高い気流抵抗部分(例えば、抵抗領域1241)を通過する空気からなる。この空気は、ヒートシンク構造1201をゆっくり通過し、従ってヒートシンク構造から一定量の熱を吸収する。それに対して、この空気は、第1の高温(ヒートシンク構造1201へ最初に入る空気に対応する)でヒートシンク構造1201を出る。第2の部分は、低気流抵抗部分(例えば、抵抗領域124n)を通過する空気からなる。この空気は、ヒートシンク構造1201を迅速に通過し、ヒートシンク構造1201から一定量の熱を吸収するが、この量が抵抗領域1241を通過する空気によって吸収される熱よりも小さい。それに対して、第2の高温(ヒートシンク構造1201に最初に入る空気に対応する)でヒートシンク構造1201を出る空気の温度は、第1の抵抗領域1241からの空気の第1の高温よりも低い。シャドー配置における他の素子に用いられるヒートシンク構造は、以下により詳細に検討されるように、配置が類似であっても異なってもよい。
【0027】
異なる抵抗領域からの温度差から生じる結果は、有利に下流側の冷却を改善するために使用することができる。図1を参照すると、気流流路130及び気流流路132が示されている。図1に示すように、気流流路130及び気流流路132は、回路カード102の後端102Bから前端102Aまで、縦方向のエッジ102C及び縦方向のエッジ102Dと実質的に平行である。気流流路130及び気流流路132に沿って供給される空気が最初はほぼ同じ温度にあると仮定すると、以下のことが観察される。
【0028】
まず、気流流路130に沿った空気は、ヒートシンク構造1201の高気流抵抗領域1241を通るようにガイドされる。同時に、気流流路132に沿った空気は、ヒートシンク構造1201の低気流抵抗領域124nを通るようにガイドされる。上記のように、これにより、点A(ヒートシンク構造1201の直ぐ下流で、気流流路130に沿った)の空気は、点B(ヒートシンク構造1201の直ぐ下流で、気流流路132に沿った)の空気よりも高い温度を有する。その結果、点Bの空気は、点Aの空気よりも大きな熱吸収能力を有する。従って、この結果によって下流の素子を冷却することができる。
【0029】
例えば、図1に示すように、ヒートシンク構造120mは、点A及び点Bの空気温度を考慮して設計することができる。すなわち、ヒートシンク構造120mは、点Aの比較的熱い空気が点Bの比較的冷たい空気よりも速くヒートシンク構造120mを通過するように構成することができる。これは、ヒートシンク構造120m内の抵抗領域124iを適切に構成することで達成することができる。特に、ヒートシンク構造120mは、気流流路130に沿って低気流抵抗領域(124n)が配置され、気流流路132に沿って高気流抵抗領域が配置されるように構成することができる。その結果、ヒートシンク構造120mは、気流流路132に沿って比較的熱い空気に頼るのではなく、気流流路132に沿って比較的冷たい空気を効果的に利用して冷却する。この配置の結果として、ヒートシンク構造1201に到達する空気の少なくとも一部が下流での冷却のために確保されるので、素子110iのより均一な冷却を達成することが可能である。その結果、ヒートシンク構造1201に到達する空気の少なくとも一部は依然として比較的低温であるので、熱を吸収する能力が高い。
【0030】
図1に示す配置は、各ヒートシンク構造120iの単一の高気流抵抗領域(1241)及び各ヒートシンク構造120iの低気流抵抗領域(124n)に関して説明したが、これは説明しやすくするためのものだけである。各種の実施形態において、各ヒートシンク構造120iは、任意の数の高気流抵抗領域及び任意の数の低気流抵抗領域を含んでよい。このような配置では、ヒートシンク構造1201及びヒートシンク構造120mは、ヒートシンク構造1201の抵抗領域が高い気流抵抗領域である場合、その下流に位置するヒートシンク構造120mの抵抗領域が低い気流抵抗領域となるように構成される。同様に、ヒートシンク構造1201の抵抗領域が低気流抵抗領域である場合、その下流に位置するヒートシンク構造120mの抵抗領域は、高い気流抵抗領域となる。
【0031】
図1の構成は、主として、ヒートシンク構造のシャドー配置を有する2つのプロセッサに関して説明される。しかしながら、各種の実施形態は、これに限定されない。それに対して、本明細書で論じる技術は、それぞれのヒートシンク構造を有する任意の数のプロセッサの配置に適用することができる。この配置では、同じ方法が使用される。すなわち、各種のヒートシンク構造の抵抗領域は、いずれかの気流流路に沿って一方のヒートシンク構造が高い気流抵抗領域を有し、他方のヒートシンク構造が対応する低い気流抵抗領域を有するように構成される。これは、各種の方法で行うことができる。例えば、ある配置では、高気流抵抗領域用の冷却素子は、高い気流抵抗を提供する第1の間隔、数、及び/又はサイズで配置され、全ての低気流抵抗領域用の冷却素子は、低い気流抵抗を提供する同様な第2の間隔、数、及び/又はサイズで配置されてよい。
【0032】
あるいは、各ヒートシンク構造の高気流抵抗領域の目標気流抵抗を特定することができる。従って、各気流流路に沿った抵抗領域における冷却素子の構成は、目標気流抵抗に確実に達するように構成することができる。場合によっては、複数のヒートシンク構造の間で冷却素子の配置が異なることが考えられる。
【0033】
ある実施例において、各ヒートシンク構造における配置及び構成は、複数の方向で実質的に同じ冷却性能を提供するように選択することもできる。例えば、図1に戻って参照すると、気流流路130及び気流流路132は、後端102Bから前端102Aへ向くように示されている。しかしながら、ヒートシンク構造の抵抗領域は、実質的に同じ冷却を提供するように、前端102Aから後端102Bへ向くようにガイドされる気流が配置されてもよい。具体的には、図1に示すように、同じ気流流路内の抵抗領域を対称に配置することができ、すなわち、前端102A又は後端102Bから見て同じ抵抗領域の配置を観測することができる。
【0034】
例えば、回路カード部品100を後端102Bから見ると、以下のようになる。まず、ヒートシンク構造1201内の高抵抗領域1241の後に、ヒートシンク構造120m内の低抵抗領域124nが続く。次に、ヒートシンク構造1201内の低抵抗領域124nの後に、ヒートシンク構造120m内の高抵抗領域1241が続く。これに対して、回路カード部品100を前端102Aから見た場合、以下のようになる。まず、ヒートシンク構造120mの高抵抗領域1241の後に、ヒートシンク構造1201の低抵抗領域124nが続く。次に、ヒートシンク構造120mの低抵抗領域124nの後にヒートシンク構造1201の高抵抗領域1241が続く。従って、前端102A又は後端102Bは、抵抗領域の配置が実質的に同じである。結果として、空気は回路カード上の任意の方向に移動することができ、実質的に同じ冷却結果を有する。
【0035】
上記の検討はまた、冷却された素子及び関連するヒートシンク構造が同一であり、シャドーの配列で完全に揃えられているという仮定に基づいている。しかしながら、各種の実施形態は、これに限定されない。これに対して、本明細書に記載された方法は、(気流に沿った)部分的に重なっている素子の任意の配置に適用することができる。このような構成において、重なり部分における抵抗領域の同じ配置は、上記のようにすることができる。重ならない部分では、ヒートシンク構造は、より多くの従来の方法に従って構成することができる。従って、この構成のヒートシンク構造は、3つ以上のタイプの抵抗領域(低気流抵抗、高気流抵抗、及び従来の気流抵抗)を含んでよい。
【0036】
一方、部分的に重なる構成素子のための気流抵抗の適切なバランスを確保するために、ヒートシンク構造に対して過剰設計(overdesigned)を行わってよい。すなわち、素子が部分的に重なっていても、関連するヒートシンク構造は、少なくともヒートシンク構造が実質的に重なるように延出してもよい。このような配置では、上記のように抵抗領域を構成することができる。
【0037】
また注意すべきなのは、図1は、(気流流路に沿った)素子及び関連するヒートシンク構造の深さが実質的に同じであることも示している。しかしながら、深さが変わる場合、抵抗領域の配置は異なる可能性がある。特に、抵抗領域の抵抗は、冷却素子の深さ及びサイズ、間隔及び配置に依存して変化するので、ヒートシンク構造の抵抗領域は、同じ冷却素子配置のサイズ、間隔及び空気流抵抗を有することを意図する。さらに、異なる抵抗領域における冷却素子のサイズ、間隔及び配置は、素子の冷却要件に基づいて変化してもよい。
【0038】
以下に示される例は、各種の実施形態を限定することを意図するものではない。これに対して、それらは説明の目的のみのためである。
【0039】
各種の実施例の配置の有効性を実証するために、各種の実施例に従って配置された回路カード部品の熱性能をシミュレートする。以下は、図3図4A及び図4Bに示されている。
【0040】
図3は、上記のヒートシンクアーキテクチャを試験するための回路カード部品300のモデルを示す。特に、このモデルは、高速周辺機器相互接続汎用グラフィックス処理ユニット(PCIe GPGPU)追加処理ユニット用の回路カード部品300を示し、2つのグラフィックス処理ユニット(GPU)が並列形態で計算を実行する。図3に示すように、このモデルは、回路カード部品300の回路カード302に配置された2つのグラフィックス処理ユニット(ヒートシンク構造3201及びヒートシンク構造3202によって覆われる)を示す。図3に示すように、回路カード部品300は、追加素子も含む。
【0041】
シミュレーションのために、ヒートシンク構造3201及びヒートシンク構造3202は、それぞれ2つの抵抗領域3241及び抵抗領域3242を含むように構成される。各ヒートシンク構造3201及びヒートシンク構造3202の配置は、それぞれ図3図A及びBに示されている。抵抗領域3241及び抵抗領域3242は、それぞれ高気流抵抗領域及び低気流抵抗領域に対応する。具体的には、ヒートシンク構造3201及びヒートシンク構造3202の抵抗領域3241は、数N1が18個であり間隔P1が1.8mmであるフィンで構成されている。これに対して、ヒートシンク構造3201及びヒートシンク構造3202の各々の抵抗領域3242は、数N2が14個であり間隔P2が2.5mmであるフィンで構成されている。
【0042】
シミュレーションの結果を図4A及び図4Bに示す。図4Aは、ヒートシンク構造の従来の配置を有する従来の回路カード部品のシミュレーション結果を示す。図4Aはまた、気流の方向(410)を示す。図4Aに示すように、第1のグラフィックス処理ユニット(GPU)/ヒートシンク構造に関連する抵抗領域402は、第2のグラフィックス処理ユニット(GPU)/ヒートシンク構造に関連する抵抗領域404よりも温度が低い。これは、新鮮な空気が第1の抵抗領域402で十分に加熱され、従って第2の抵抗領域404を冷却する冷却能力がより少ない、従来のヒートシンク構造配置で予期される。
【0043】
図4Bは、図3に示すように、一実施例による回路カード部品のシミュレーション結果を示す。図4Bはまた、気流の方向(420)を示す。図4Bに示すように、第1のグラフィックスプロセッサ/ヒートシンク構造に関連する抵抗領域406は、第2のグラフィックスプロセッサ/ヒートシンク構造に関連する抵抗領域408と温度が類似である。上記のように、少なくとも一部の冷気を抵抗領域408に提供するように構成された異なる抵抗領域を有する結果は、抵抗領域406の温度がわずかに上昇するデメリットになる。しかしながら、シミュレーション結果から分かるように、抵抗領域406における温度が上昇しても、このデメリットと引き換えて回路カード部品300での温度がより均一であり、グラフィックス処理ユニットなどの重要な素子の過熱を回避する。
【0044】
以上、本発明の各種の実施形態を説明したが、それは単に範例であるが制限するものではないことは理解すべきである。本発明の精神や範囲から逸脱せずに、本願に基づいて開示された実施形態に各種の修正を加えることができる。そのため、本発明の広さ及び範囲は、上記いずれの実施形態によりも制限されない。それに対して、本発明の範囲は、添付の請求項及びその同等物により定義されるべきである。
【0045】
一つ又は複数の実施によって本発明を説明と記述したが、当業者であれば、本明細書及び添付図面を読んで理解した後で同じ効果の修正や修飾を想到することができる。また、本発明の特定特徴は、達成された幾つかのものの中の一つだけが公開されるが、このような特徴は他の達成された一つ又は複数の他の特徴と組み合わせてもよく、如何なる指定又は特定された適用に有利である。
【0046】
本文に用いる用語は、特定な実施形態を説明するためのものであるが、本発明を限定する意図ではない。本文に用いるものであれば、上下文で特に明確に指定されない限り、単数形の「一つ」及び「前記」は、複数形を含むことを意図する。また、実施形態及び/又は特許請求の範囲に用いる用語「備える」、「を含む」、「有する」又はその変形について言えば、これらの用語は、「含む」に類似な用語の意味を表現する意図がある。
【0047】
別に定義されない限り、本文に使用する全ての用語(技術及び科学用語を含む)は、当業者が一般に理解する意味を有する。更に理解すべきなのは、一般に使用される辞書のように定義される用語は、その本発明の関連分野での意味と一致の意味を有する形態で解釈されるべきであり、且つ特に明確に定義されない限り、理想化又は正式すぎる意味で解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0048】
100、300 回路カード部品
102、302 回路カード
102A 前端
102B 後端
102C 第1の縦方向のエッジ
102D 第2の縦方向のエッジ
104 バスコネクタ
106 ブラケット構造
110m 、1101 プロセッサー
120m 、1201、3201、3202 ヒートシンク構造
122 ベース
124n、124n-1、1241、1242、3241、3242、402、404、406、408 抵抗領域
130、132 気流流路
410、420 方向
2−2 切断線
A、B 点
N1、N2 数
P1、P2 間隔
図1
図2
図3
図4A
図4B